タチコゴメグサ 立小米草

mark

Flora of Mikawa

ハマウツボ科 Orobanchaceae コゴメグサ属

学 名 Euphrasia maximowiczii Wettst.
タチコゴメグサの花序
タチコゴメグサの花
タチコゴメグサの茎
タチコゴメグサ
タチコゴメグサの葉
花 期 8~10月
高 さ 15~30㎝
生活型 1年草
生育場所 日当たりのよい草地
分 布 在来種(日本固有種) 本州(東北地方南部~近畿地方、中国地方 西部)、四国、九州
撮 影 蓼科高原 03.8.8
コゴメグサ属は地域的な亜種が多く、分布域の狭いものが多い。この中でタチコゴメグサは分布域が広い種である。科はゴマノハグサ科からハマウツボ科に移動された。
 茎は下向きに曲がった毛が生え、直立し、上部で分枝する。葉は長さ6~10㎜、幅4~8㎜の広卵形、基部は切形状の円形、縁に鋭い鋸歯が4~7対あり、鋸歯の先が芒状に尖る。花は上部の葉液に1個ずつつく。花冠は長さ5~6㎜(上唇の先まで6~7㎜)、花冠の下唇は上唇より長く、紫色の条があり、中央に黄色の斑紋がある。萼は長さ4~5㎜、2中裂し、さらに2浅裂する。蒴果実は長さ4~5㎜、中に10数個の種子が入る。
 ミヤマコゴメグサ Euphrasia insignis subsp. insignis は葉の鋸歯が芒状にならない。ときに中間的なものも見られる。
 トガクシコゴメグサ Euphrasia insignis subsp. insignis var. togakusiensis は葉先の約半分に先が芒状の鋸歯が2~4個つく。

コゴメグサ属

  family Orobanchaceae - genus Euphrasia

 1年草または多年草、半寄生性。葉は対生し、下部の葉は普通小さく、上部では大きくなる。花序は頂生の穂状花序または総状花序。苞は葉より大きく、対生し、掌状脈があり、縁は硬くなった(callous)肥厚した歯がある。萼は筒状~鐘形、4裂し、側裂片よりも中裂片が深く分裂する。花冠筒部は筒状、先が膨れ、拡大部は2唇形。下唇は3裂、裂片の先はしばしば凹形。 上唇は真っすぐで、かぶと形(galeate)、裂片は 外巻き。雄しべは4本、2強雄しべ。葯は輻合(connivent)して、かぶとに囲まれる。葯室は平行で分離し、基部で尖るが、後部の2個の葯は各室に1距をもち、4個すべてが隙間に沿って毛をもつ。柱頭はわずかに広がり、全縁または2裂する。蒴果は扁平、2溝があり、胞背裂開、先は鈍形。種子は多数、小さく、楕円形、横紋のある(cross striate)翼をもつ。
 世界に約200種あり、世界中に分布する。

コゴメグサ属の主な種と園芸品種

1 Euphrasia amurensis Freyn アムールコゴメグサ 
 中国、ロシア原産。中国名は东北小米草 dong bei xiao mi cao。

2 Euphrasia coreana W.Becker トゲトゲコゴメグサ 
 韓国(済州島)原産。
 和名は茎葉や苞葉の鋸歯が甚だ長く尖り、それが密に重なり、トゲトゲしく感じるため。高さ8~15㎝、花冠は長さ6㎜、萼は長さ5mm。朝鮮産のタチコゴメグサに最も似る。

3 Euphrasia coreanalpina Nakai ex Y.Kimura チョウセンヒナコゴメグサ 
 朝鮮で1935年に採集され、命名された。
 高さ10~15㎝。小型で、葉は鋸歯が両側に2~3個しかなく、長さ約4㎜。花も小さく、花冠は長さ約4㎜。蒴果は萼より大きい。

4 Euphrasia hachijoensis Nakai ex Furumi ハチジョウコゴメグサ 八丈小米草

 伊豆諸島の八丈島、御蔵島に分布。山頂の草地に生える。
 1年草。高さ3~13㎝。葉が大きく長楕円形~倒披針形、2~4対の粗い尖った鋸歯をもつ。萼筒は筒状鐘形、萼歯は大きく、やや幅の狭い。

5 Euphrasia hirtella Jordan ケコゴメグサ[広義]
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ原産。中国名は长腺小米草 chang xian xiao mi cao。
 葉や苞や萼に腺毛がある。

5-1 Euphrasia hirtella Jordan var. paupera T.Yamaz. ケコゴメグサ 毛小米草

 朝鮮に分布。
 葉や苞や萼に腺毛がある。茎は枝分れが少ない。E.hirtellaの基準形にくらべると、葉は小形で鋸歯は細かく、数が多く、鋸歯の先はやや芒状に尖り、花序は伸長して葉がまばらにつぎ、基準種のように密集した葉の間から花を出すことはない。花冠の長さは約7㎜。

6 Euphrasia insignis Wettst. ミヤマコゴメグサ[広義]
 日本固有種(本州、四国、九州)

6-1 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. insignis ミヤマコゴメグサ 深山小米草

 本州(主に中部地方の北アルプス(飛繹山脈)、白山および、滋賀県~東北地方の日本海側)に分布する。亜高山帯から高山帯の砂礫地に生える。
 1年草。高さ6~20cm。茎は単一、直立またはわずかに分枝して直立し、下向きの白色の屈毛がある。茎や萼に腺毛はない。葉は対生し、下部の葉は小さく、中部の葉が最も大きい。葉身は長さが幅の2倍以上あり、倒卵形~へら形、長さ5~10㎜×幅4~6mm、基部は急に狭まってくさび形となり、葉柄はほぼ無、葉の上半分の縁に少数の鈍い鋸歯があり、葉の両面とも無毛。萼筒は鐘形、4深裂し、裂片は同形で、先は鋭形。花冠はやや大きく、長さ8~9㎜、上唇は白色、紫色の条線があり、下唇は3中裂し、裂片はさらに2浅裂し、内面に黄斑がある。花期は7~9月。
 地域ごとに少しずつ形が異なり、中部地方以北に分布するsubsp. insignis と 中部地方以南に分布するsubsp. iinumae の2群に分けられているが、中間形もあり、判別は難しい。subsp. insignis は繊細で枝が細く、subsp. iinumaeは大きく、よく分枝し、枝が太い傾向がある。両亜種はさらに、数変種に細分されている。

6-1-1 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. daisenensis (Y.Kimura) Murata ダイセンコゴメグサ 大山小米草)

 大山固有種。
 苞葉の鋸歯や萼の先は鋭く尖り、花が非常に大きい。キュウシュウコゴメグサに似ているが花が大きく、キュウシュウコゴメグサとも呼ばれる。

6-1-2 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. japonica (Wettst.) Ohwi ホソバコゴメグサ 細葉小米草

  synonym Euphrasia japonica Wettst.
 本州(東北地方~関東地方北部、新潟県、長野県)に分布する。高山帯の砂礫地に生える。
 1年草、高さ10~20cm、半寄生。茎は褐色でよく分枝し、細毛がある。葉は対生、上部は互生し、細く、倒卵状長楕円形~倒披針形、鈍鋸歯がある。茎上部の葉腋に花を単生する。花冠は白色、2唇形。上唇は3裂し、裂片は反り返りる。花期は7~8月。

6-1-3 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. nummularia (Nakai) T.Yamaz. マルバコゴメグサ 丸葉小米草

 本州の東北地方(月山、朝日連峰、飯豊山)に分布する。
 1年草。葉はホソバコゴメグサのより大きくて円く、倒卵状円形、基部はやや丸みのあるくさび形。

6-1-4 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. omiensis (Y.Kimura ex H.Hara) T.Yamaz.  オウミコゴメグサ 近江小米草

  synonym Euphrasia omiensis Y.Kimura ex H.Hara
 滋賀県の近江比良山に生える。1927年採集の標本が2点存在するが、現在は生育が不明で絶滅(EX) と判断されている。
 1年草。葉は長楕円形、上下で幅が狭くなり、先はやや鋭頭で、1~2対の浅いやや鋭形の鋸歯をもつ。

6-1-5 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. pubigera (Koidz.) Murata マツラコゴメグサ 

 敦賀市の岩籠山(いわごもりやま)、三重県と奈良県にまたがる大台ヶ原山に分布する。1922年に奈良県大台ヶ原山で採集された標本記録のみで、現在では生育が確認されず、絶滅(EX) と判断されている。
 1年草。全体に小さい。葉はホソバコゴメグサに似て倒披針形、鋸歯がやや尖る。葉の鋸歯は2~3対あり、鋸歯が深くて尖る。花はトガクシコゴメグサ(萼は長さ約3mmで、花冠の長さは萼の約3倍)に似るが、萼は長さ約4mm、花冠の長さは萼の約2倍。

6-1-6 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. sadoensis Y.Kimura サドコゴメグサ 佐渡小米草

 佐渡固有種。茎は枝分れが多く、花も葉も小さく、葉が密集する。

6-1-7 Euphrasia insignis Wettst. subsp. insignis var. togakusiensis (Y.Kimura) Y.Kimura ex H.Hara トガクシコゴメグサ 戸隠小米草

 本州の長野県(浅間山、戸隠山、飯縄山)、石川県(白山)、福井県(経ヶ岳)、岐阜県(大日ヶ岳)に分布する。
 1年草、草丈は高い。葉や苞は基部がくさび形、葉先の約半分に先が芒状の鋸歯が2~4個つく。萼が芒状に尖り、花冠の長さが萼の約3倍ある。

6-2 Euphrasia insignis Wettst. subsp. iinumae (Takeda) T.Yamaz. イブキコゴメグサ 伊吹小米草

  synonym Euphrasia iinumae Takeda 
 滋賀県の伊吹山、霊仙山、尾張定光寺山に生える。
 1年草。高さ10~20㎝。茎は多数、分枝する。葉は葉柄が短く、葉身は幅が広く、卵状円形~卵状広楕円形、基部は広くさび形または円形、縁に鋸歯があり、鋸歯の先端は鈍い。萼は萼片の先がやや鈍く、縁に短軟毛が密にある。

6-2-1 Euphrasia insignis Wettst. subsp. iinumae (Takeda) T.Yamaz. var. idzuensis (Takeda) T.Yamaz. イズコゴメグサ 伊豆小米草

  synonym Euphrasia iinumae Takeda var. idzuensis (Takeda) Ohwi
  synonym Euphrasia idzuensis Takeda
 東海地方、伊豆半島、箱根に分布する。  1年草、茎が直立し、草丈が高い。葉はやや細い、卵状楕円形、鋸歯が鋭く、尖る。花冠は萼長さの2.5~3倍あり、下唇の長さは上唇の約2倍。

6-2-2 Euphrasia insignis Wettst. subsp. iinumae (Takeda) T.Yamaz. var. kiusiana (Y.Kimura) T.Yamaz. キュウシュウコゴメグサ 九州小米草

  synonym Euphrasia kiusiana Y.Kimura
  synonym Euphrasia iinumae Takeda var. kiusiana (Y.Kimura) Ohwi
 九州北西部、本州(中国地方、近畿地方北部、北陸地方)分布する。山地に生える。
 葉は卵形、基部が楔形、鋸歯は尖鋭形芒状。苞は葉状、鋸歯が芒状に尖る。萼は小型で短く、長さ4㎜以下、萼片の先も尖る。花が大きく、花冠は長さ約9㎜、萼の長さの2.5~3倍。

6-2-3 Euphrasia insignis Wettst. subsp. iinumae (Takeda) T.Yamaz. var. makinoi (Takeda) T.Yamaz. トサコゴメグサ 土佐小米草

  synonym Euphrasia iinumae Takeda var. makinoi (Takeda) Ohwi
 四国、本州(山口県)に分布。
 葉は幅が広く広卵形~卵状円形、鋸歯はやや尖るがキュウシュウコゴメグサのように芒状にはならない。苞には短い芒状の鋸歯がある。萼が大きいのが特徴で、長さ約6㎜、萼片の尖りは少ない。四国西部のものは萼がやや短く、キュウシュウコゴメグサに近くなる。花冠の長さは萼の2倍。

7 Euphrasia kisoalpina Hid.Takah. et Ohba コケコゴメグサ 苔小米草
 木曾駒ヶ岳木曾山脈付近に分布する。風衝草原に生える。
 小型の1年草。高さは2~6cm。茎は単一まれに分枝し、下向きの屈毛と開出する腺毛がある。茎、葉、苞、萼の腺毛は多細胞の腺のある長軟毛。葉は広倒卵形で、長さ3~5㎜×幅2.5~4.5mm、両面に細毛と腺毛がまばらにあり、縁は円鋸歯、歯は1対(まれに2対)。萼は約1/2まで上下に2中裂し、さらに2浅裂し、萼片は鈍形。花冠は長さ3.5~5.5mm、2唇形、白色。下唇3は裂する花冠下唇の中裂片に黄色の斑点がある。雄しべは先が緩やかに湾曲して突き出ない。葯は長さ0.8~1.0㎜、。短雄しべの花糸は長さ1.5~1.7mm。長雄しべの花糸は長さ2.2~2.5㎜。蒴果は萼とほぼ同長または短い。花期は8月。

8 Euphrasia matsumurae Nakai  コバノコゴメグサ 小葉の小米草
 本州(関東北部の日光・秩父・赤石山脈、南アルプスの八ヶ岳など)に分布。別名はヒメコゴメグサ。亜高山帯から高山帯の風衝草地で尾根状のやや乾いた場所に生える。
 1年草。半寄生。高さ3~18㎝。茎は多くは分枝し、ときに単純であり、腺のある多細胞の長軟毛があり、ときに腺毛がほとんどない。葉は長さ4~8㎜×幅3~6mm、倒卵形~広へら形(狭い扇形)、基部は狭く、不明瞭なやや葉柄状となり、先の縁に2~3対の円鋸歯があり、両面とも無毛またはまばらに腺毛がある。上部の葉腋に花を単生する。萼は広鐘形、長さ3~3.5mm×幅約2mm、上下に2中裂(深さ1/2)し、裂片はさらに2浅裂(深さ1/3~1/4)し、萼片は不等長、先は鈍形。花冠は2唇形、背面の長さ8~11mm、白色で紫色の条線がある。下唇は広く開出し、上唇より大きく、内側に軟毛があり、外側に長い軟毛がある。下唇の中裂片に目立つ黄色の斑紋がある。長雄しべは花糸が長さ約4.5mm、短雄しべの花糸は長さ2.5~2.7mm。葯は長さ1.5~1.7㎜。花柱は長さ6~9mm、先は著しく湾曲し、花冠から突き出る。蒴果は倒卵形、長さ3~4 mm×幅約2 mm、3~4個の種子を含む。種子は楕円形、約・長さ2mm×幅1.2㎜。花期は7~8月。

8-1 Euphrasia matsumurae Nakai f. eglandulosa T.Shimizu  センナシヒメコゴメグサ 

 茎、葉、萼に腺毛がほとんどないもの。

9 Euphrasia maximowiczii Wettst.  タチコゴメグサ 立小米草
 日本固有種(本州の東北地方南部~近畿地方・中国地方西部、四国、九州)。日当たりのよい草地に生える。
 1年草、高さ15~30㎝。茎は下向きに曲がった毛が生え、直立し、上部で分枝する。葉は長さ6~10㎜、幅4~8㎜の広卵形、基部は切形状の円形、縁に鋭い鋸歯が4~7対あり、鋸歯の先が芒状に尖る。花は上部の葉液に1個ずつつく。花冠は長さ5~6㎜(上唇の先まで6~7㎜)、花冠の下唇は上唇より長く、紫色の条があり、中央に黄色の斑紋がある。萼は長さ4~5㎜、2中裂し、さらに2浅裂する。蒴果実は長さ4~5㎜、中に10数個の種子が入る。花期は8~10月。

9-1 Euphrasia maximowiczii Wettst. var. arcuata F.Maek. ex T.Yamaz. ミチノクコゴメグサ 陸奥小米草

 東北地方(岩手県、青森県など)に分布する。
 草丈が高く、全体に剛毛が多く、茎に開出気味の長軟毛が生える。葉は幅の広い円形で、縁は鋸歯の先が芒状に尖る。

9-2 Euphrasia maximowiczii Wettst. var. calcarea T.Yamaz. シライワコゴメグサ 白岩小米草

 長野県南部の赤石山脈(南アルプス)西部の石灰岩地帯に生える。
 高さ15~30㎝。葉が卵形ではば狭く、卵形~狭卵形、縁は鋭鋸歯、タチコゴメグサに比べて鋸歯の先が鈍く、芒状にならない。花冠はタチコゴメグサに似ている。

9-3 Euphrasia maximowiczii Wettst. var. yezoensis (H.Hara) H.Hara ex T.Yamaz. エゾコゴメグサ 蝦夷小米草

  synonym Euphrasia yezoensis H.Hara
 北海道、東北地方(青森県、福島県)に分布する。
 ミチノクコゴメグサに似て剛毛が多く、葉の両面や萼に短い剛毛が密にある。草丈が低く、葉は広卵形で小さく、芒状の鋸歯をもたない。

10 Euphrasia microphylla Koidz.  ナヨナヨコゴメグサ 
 四国に分布する。山地の塩基性の岩礫地にのみ生える。別名はイシヅチコゴメグサ
 小さな1年草。茎は高さ5~9(~17)㎝、曲がった毛が生える。茎は繊細、糸状、下部で少し分枝し、単茎、白色の微毛がある。葉は対生し、狭倒披針形(狭細楔形)、長さ1~4mm(3~8)mm×幅0.8~4mm、両面とも無毛で、基部はしだいに狭まって不明瞭な葉柄状になり、先に円い3(5)歯がある。苞もまた葉状で小さく、3歯がある。上部の葉腋に小さな唇形花をつける。萼は狭い鐘形、萼筒は無毛、萼片は反曲しない。花冠は長さ約6㎜、白色で紫色の筋がある。蒴果は縁に細かい縁毛があり、各室に種子は1~2個。花期は8月。

11 Euphrasia mollis (Ledeb.) Wettst. チシマコゴメグサ 千島小米草
  synonym Euphrasia arctica var. mollis (Ledeb.) S.L.Welsh
  synonym Euphrasia officinalis var. mollis Ledeb.
 日本(知床半島)、千島列島、ロシア、アラスカに分布する。英名はsubalpine eyebright。2007年に高橋・岩崎によって発見された新産種。
 高さ6~7㎝。葉は茎の上部に密集してつき、ほとんど無柄。花はコゴメグサ属の中では最も花が小さく、淡黄色、長さ4~5mm、軟毛がある。果実は楕円形。花期は6~8月。

11-1 Euphrasia mollis (Ledeb.) Wettst. var. pseudomollis (Juz.) T.Yamaz. カラフトコゴメグサ 樺太小米草

 樺太千島南部に分布する。
 高さ6~16㎝。葉は短い葉柄があり、茎にややまばらにつく。花冠は無毛。基準種との中間形があり、区別は困難。

12 Euphrasia multifolia Wettst.  ツクシコゴメグサ 筑紫小米草
 九州西北部、四国西部、本州の中国地方西部に分布する。別名はタヨウコゴメグサ(多葉小米草)。
 1年草。やや高く、高さ10~35㎝。茎は直立し、上部で多数、分枝し、白色の短毛があり、小型の葉が多数つき、基部の葉は早く落ちる。葉は卵状長円形~長円形、長さ6~10㎜×幅4~6㎜、基部は円形~鈍形で狭まり葉柄状になり、先はやや鈍くなる。葉の縁に2~4対の先の鈍い鋸歯があり、葉の両面は無毛。枝先に花穂をつくり多数の花をつける。苞葉は葉と同形で鋸歯の先端はややとがる。萼は長さ約4.5mm、筒形で上下に半ばまで裂け、裂片はさらに2浅裂する。花冠は白色で紫色のすじが入り、長さ約7mm。花冠下唇は小さいが上唇よりはやや長い。花期は9~10月。

12-1 Euphrasia multifolia Wettst. var. inaensis Hid.Takah. イナコゴメグサ 伊那小米草

 長野県南部に分布する。湿地に生える。長野県下伊那郡波合村平谷から新種報告されたものであり、ツクシコゴメグサと全く同じものであるが、分布域が離れているともいわれている。
 1年草。葉は倒卵形~長楕円形、基部はくさび形に狭まり、鋸歯は3~4対あり、先端は鋭頭からやや鈍頭。花冠は長さ8~10mm。萼は筒形。花期は8~9月。
12-2 Euphrasia multifolia Wettst. var. kirisimana Y.Kimura クモイコゴメグサ 

 九州の霧島山固有種。1995年以降探索されているが、クモイコゴメグサは再確認されていないため絶滅(EX) 種とされている。
 1年草。茎はあまり枝分かれせず、葉が卵形、鋸歯の先端が鋭い。ヨーロッパのE.nemorosaに似ている。

13 Euphrasia nankotaizanensis Yamam. ナンココゴメグサ 
 台湾原産。中国名は高山小米草 gao shan xiao mi cao。

14 Euphrasia pectinata Ten. ダッタンコゴメグサ 
  synonym Euphrasia tatarica Fisch. ex Spreng.
 韓国、中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ原産。中国名は小米草 xiao mi cao。
14-1 Euphrasia pectinata Ten. subsp. simplex (Freyn) D.Y.Hong  コウライコゴメグサ 
  synonym Euphrasia maximowiczii auct. non Wettst.
 韓国、中国、ロシア原産。中国名は高枝小米草 gao zhi xiao mi cao。
 鋸歯が刺状に鋭く尖る。

14-2 Euphrasia pectinata Ten. var. obtusiserrata (T.Yamaz.) T.Yamaz. エゾノダッタンコゴメグサ 

  synonym Euphrasia tatarica Fisch. ex Spreng. var. obtusiserrata T.Yamaz.
 北海道の根室地方、利尻島、礼文島、南千島の色丹島、択捉島に分布する。
 1年草。高さ6~17㎝。茎は上部でわずかに分枝して、直立し、曲がった毛がやや密にある。葉は茎の中部につくものが大きく、幅が広く、卵状円形、長さ7~14mm×幅7~14mm、基部は切形状円形、縁に3~5対のやや鈍鋸歯があり、両面に剛毛がある。茎の上部の葉腋に花を単生する。苞葉は葉と同形で鋸歯の先端は鋭くとがる。花冠は白色で紫色の筋があり、長さ7~8mm。下唇はやや広がり、上唇より長い。萼は筒形、剛毛があり、上下に半ばまで裂け、裂片はさらに2浅裂する。花期は8~9月。

15 Euphrasia retrotricha Nakai ex T.Yamaz. フセンコゴメグサ
 朝鮮原産。
 萼は筒状鐘形。蒴果は長円形。上部の葉は鋸歯が鋭い。花冠は長さ6~7㎜。

16 Euphrasia tarokoana Ohwi  タロココゴメグサ 
 台湾原産。中国名は大鲁阁小米草 da lu ge xiao mi cao。

17 Euphrasia transmorrisonensis Hayata
 台湾原産。

17-1 Euphrasia transmorrisonensis Hayata var. transmorrisonensis  ニイタカコゴメグサ 

  synonym Euphrasia pumilio Ohwi
  synonym Euphrasia matsudae Yamam.
  synonym Euphrasia masamuneana Ohwi
  synonym Euphrasia exilis Ohwi
  synonym Euphrasia bilineata Ohwi
 台湾原産。中国名は台湾小米草 tai wan xiao mi cao。
 最上部の葉は卵状円形~楕円形、無毛または有毛、まれに腺毛がある。

17-2 Euphrasia transmorrisonensis Hayata var. durietziana (Ohwi) T.C.Huang et M.J.Wu  ネバリコゴメグサ 

  synonym Euphrasia durietziana Ohwi
 腺毛がある。

18 Euphrasia yabeana Nakai ヒナコゴメグサ 雛小米草
 日本固有種(中部地方北部)。高山に生える。ミヤマコゴメグサ(var.insignis)の発育不良のもの。
 茎や葉に腺毛がなく、葉がごく小さく、長さ幅ともに2~8.5mm、萼筒は中部まで切れ込み、萼片は三角状披針形で先が尖らず、花時に反り返る

参考

1) Flora of China
 Euphrasia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=112361
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Euphrasia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:60452048-2
3) World Flora Online
 Euphrasia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012430
4) 植物研究雑誌 17(9): 524–540(1941)
 木村陽二郎 : 西日本(四国・九州・朝鮮) 及満州のコゴメグサ属植物
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_017_524_540.pdf
5) 植物研究雑誌 57(4): 120–124(1982)
 高橋秀男 : 木曾山脈産コゴメグサ属の1新種
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_057_120_124.pdf
6) 植物分類・地理 Vol. 2(4) 305-307(1933/11/11)
 大井次三郎 台湾のコゴメグサ属
http://jboli.c.u-tokyo.ac.jp/~jsps/pdf/2(4)/110003761574.pdf
7) 植物分類・地理 Vol. 2(1) 59-60(1933/02/01)
 小泉源一 : コゴメグサ屬の新種
http://jboli.c.u-tokyo.ac.jp/~jsps/pdf/2(1)/110003761483.pdf
8) 植物分類・地理 Vol. 13 202-206(1943/11/01)
 木村陽二郎 日本産コゴメグサ屬新植物
http://jboli.c.u-tokyo.ac.jp/~jsps/pdf/13/110003762609.pdf
9) 植物分類・地理 Vol. 20(1) 158-164(1962/05/30)
 山崎敬 東亜産コゴメグサ属1
http://jboli.c.u-tokyo.ac.jp/~jsps/pdf/20(1)/110003762912.pdf
10) 植物学雑誌 Bot.Mag.Tokyo,Vol 61 No 721-726(1948)
 木村陽二郎 日本産コゴメグサ属の種と分布
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/61/721-726/61_721-726_103/_pdf/-char/ja
11) Tchang Bok Lee(2), Takasi Yamazaki (1) - 韓國産 玄蔘科植物
 A Revision of the Scorophulariaceae in Korea
http://arbor.snu.ac.kr/snu/data/bulletin/04/2384830103.pdf