タマクルマバソウはアカネ科クルマバソウ属の栽培種。写真は品種のブルーシャンデリア 'Blue Shandelier'。
　　1年草、根はひげ根。茎は少数又は1本、高さ10～30(～40)㎝、4稜形、直立し、しばしば規則的に散開する枝をもち、無毛又は細かくザラつき又は微細剛毛がある。葉及び葉状の托葉は茎の中間部では4～8輪生し、ほぼ無柄。葉身は乾くと紙質、披針形、線状披針形、又はへら形、長さ(7～)12～25(～30)mm×幅(1.5～)2～5(～10)mm、葉身に無毛～まばらに微細剛毛があり、脈上や縁に密に細かいザラつきや前向の刺状突起があり、基部は鋭形、先は鈍形～円形、二次脈は明瞭ではない。花序は頂生、頭状花序～類頭状花序。花序柄は長さ1.5～4㎝。総苞片は葉状、長さ1～12mm、白色の縁毛がある。花は無柄。花冠は淡～澄んだ紫青色、高杯形、外側に密にパピラがある。花冠筒部は長さ8～10mm、葯の周りののど部で広がる。花冠裂片は4個、楕円形～卵形、長さ2～3mm、先は鈍形。子房は卵形、長さ約1㎜、無毛になる。分果は長さ1～1.8㎜、無毛。花期は6～7月。果期は8～9月。

クルマバソウ属

　　family Rubiaceae －　genus Asperula

　亜低木、多年草又は1年草。束晶(raphides)をもつ。葉は対生、普通、葉状の托葉をもち、4～14輪生し、葉柄は無又は短、ダニ室は無い。まれに、葉状の托葉は無くなる。花序は密錐花序状(thyrsoid)の円錐花序～頭状花序、頂生及びしばしば腋生の花序柄の有～無の集散花序をもち、苞があり、しばしば融合し、ときに総苞がある。花は花柄が有又は無、前葉(prophylls)をもち、両性、単形。咢の拡大部は減じ、無い。花冠は青色、ピンク色、紫色、又は黄白色～緑白色、高杯形、漏斗形、鐘形、ときに車形、内側は無毛。花冠裂片は4又は5個、蕾中では敷石状。雄しべは4又は5本、花冠筒部につき、突き出す(ときに突き出ない)。花糸は長～短。葯は背着。子房は下位(花托筒)、2室、胚珠は各室に1個、直立及び中軸。柱頭は球形～こん棒形、しばしば2裂、突き出ないか又は突き出る。果実は分離果(schizocarpous)、普通、双生、乾く。分果は2個、非裂開、1種子をもち、類球形、楕円状長円形、又は腎形、平滑～こぶ状、無毛～有毛(鉤状毛は無い)。種子は小さく、種皮は膜質。胚乳は角質、胚は曲がり、子葉は葉状、幼根は円柱形、子房上位。x=10,11。英名はwoodruff。
　世界に約200種あり、北アフリカ、中央アジア、南西アジア、ヨーロッパに分布する。

　ヤエムグラ属(Galium)は近縁属であり、世界に約600種以上ある。クルマバソウ(Galium odoratum)は以前はクルマバソウ属とされていたが、ヤエムグラ属に移された。

クルマバソウ属の主な種と園芸品種

1 Asperula hexaphylla All.　 カスミムグラ　霞葎
　　synonym　Asperula allionii Baumg.
　　synonym　Asperula umbellata Willd. ex DC.
　フランス、イタリア原産。英名はsix leaved woodruff。
　トゲナシムグラ(Galium mollugo L. )も別名がカスミムグラと呼ばれる似ているが、葉は普通8輪生で幅がやや広く、花がピンク色を帯びない。
　多年草、高さ8～20㎝、無毛光沢がある。根は橙色。半地中の匍匐茎を伸ばす。多数の茎を直立して分枝し、茎は細く、4稜形。葉は6輪生、無柄。葉身は狭く、線形、長さ6～15㎜、先は鋭形、脈は1本、硬く、無毛、縁はザラつき、普通、節間より短い。花序は頂生の頭状花序、基部は花よりかなり短い総苞片に囲まれる。小花は小さく、線形、無毛。花柄は無。花冠はピンク色を帯びた白色、筒状漏斗形、筒部は葉の長さに2～3倍。花柱は2分岐、長く突き出る。花冠拡大部は4裂、まれに3裂。果実は分離果、無毛、平滑。花期は夏。x = 11。

2 Asperula orientalis Boiss. et Hohen.　 タマクルマバソウ　玉車葉草
　トルコ、イラン、イラク、レバノン・シリア、北西ヨーロッパ、トランスコーカサス原産。中国名は蓝花车叶草 lan hua che ye cao。英名はannual woodruff , oriental woodruff , blue woodruff。
　1年草、根はひげ根。茎は少数又は1本、高さ10～30(～40)㎝、4稜形、直立し、しばしば規則的に散開する枝をもち、無毛又は細かくザラつき又は微細剛毛がある。葉及び葉状の托葉は茎の中間部では4～8輪生し、ほぼ無柄。葉身は乾くと紙質、披針形、線状披針形、又はへら形、長さ(7～)12～25(～30)mm×幅(1.5～)2～5(～10)mm、葉身に無毛～まばらに微細剛毛があり、脈上や縁に密に細かいザラつきや前向の刺状突起があり、基部は鋭形、先は鈍形～円形、二次脈は明瞭ではない。花序は頂生、頭状花序～類頭状花序。花序柄は長さ1.5～4㎝。総苞片は葉状、長さ1～12mm、白色の縁毛がある。花は無柄。花冠は淡～澄んだ紫青色、高杯形、外側に密にパピラがある。花冠筒部は長さ8～10mm、葯の周りののど部で広がる。花冠裂片は4個、楕円形～卵形、長さ2～3mm、先は鈍形。子房は卵形、長さ約1㎜、無毛になる。分果は長さ1～1.8㎜、無毛。花期は6～7月。果期は8～9月。
品種)　'Blue Chandelier' , 'Blue Surprise'

3 Asperula tinctoria L.　 アカゾメムグラ　赤染葎
　ヨーロッパ、ロシア原産。英名はdyer's woodruff。古代ギリシャやローマで根が布を染める赤色の染料を作るために利用されたが、セイヨウアカネ(Rubia tinctorum)には劣る。
　多年草、高さ25～50cm、茎は垂直に枝分かれし、ほぼ無毛、4稜形。葉は無柄、4～6輪生し、上部では対生。葉身は線形、長さ2～6cm×幅約1mm。 枝先の密錐花序状(thyrsoid)の円錐花序に小さな花を多数つける。咢片はない。花冠は白色、漏斗形、幅3～4mm、花冠筒部は長さ約mm。裂片は3個、三角状卵形。雄しべ4個。雌しべ1個。果実は2分果、長さ約2㎜、無毛、平滑。花期は6～7月。2n=22。

4 Asperula sintenisii Asch. ex Bornm.　アスペルラ・シンテニシィー
　トルコ原産。英名はSintenis woodruff ·
　多年草、常緑、密に房状になり、クッション形になり、高さ3～4(15)㎝。茎は多数分枝し、垂直の枝は多く、短く2㎝程度。葉は重なるようにつき、線形～長円形、長さ4～8㎜、粉白色を帯び青緑色。花は枝先の葉状の苞腋に1又は2個つき、密に株を被う。花冠はピンク色～淡ピンク色、狭い筒形、先は4裂。。花期は5～6月。 品種)　'Klon P' , 'Kaz Dag'

参考

1) Flora of China
　Asperula 　 2) Plants of the World Online | Kew Science
　Asperula 　 3) GRIN
　Asperula 　 4）Tela Botanica
　Asperula hexaphylla Ail