タマアジサイ 玉紫陽花
Flora of Mikawa
アジサイ科 Hydrangeaceae アジサイ属
別 名 | ヤマタバコ |
学 名 | Hydrangea involucrata Sieb. synonym Platycrater involucrata (Siebold) H.Ohba & S.Akiyama |
花 期 | (6~)7~9月 |
高 さ | 1~2m |
生活型 | 落葉低木 |
生育場所 | 山地の林内、丘陵の谷間 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州(東北地方南部の福島県・関東地方・中部地方)、伊豆諸島、トカラ列島 |
撮 影 | 設楽町 02.7.14 |
アジサイ属の日本固有種。山地の林内、丘陵の谷間に生える。
落葉低木、高さ1~2m。樹皮は灰白色から茶褐色で、成長すると薄く剥がれる。茎、葉に短毛が密生する。冬芽は1個の頂芽と2個の対生する側芽がある。頂芽は芽鱗に包まれ、長さ6~8㎜、芽鱗は薄く、粗い毛が多数ある。側芽は頂芽よりも小さい。葉痕が冬芽の下にあり、V字形~三角形、維管束痕は3~5個ある。葉は十字対生し、葉柄は長さ1~9㎝。葉身は長円形~倒卵形、長さ10~25㎝幅4~12㎝、基部は円形、縁に牙歯状の細鋸歯があり、歯先が芒状になり、先は尖り、葉の両面は短毛がありザラつく。枝先に苞に花序が包まれた蕾をつけ、蕾は球形、直径1.5~3.5㎝。蕾が開くと、包んでいた苞は落ち、散房花序状の集散花序が開き、花序は直径10~15㎝、花序軸には白色の短毛が密にある。花序の周辺に装飾花をつけ、花弁状萼片は3~5個、白色~帯紫白色。花序の中央部に淡紫色の両性花を多数つける。花弁は5個、早落生。雄しべは10本。蒴果は直径約3㎜の球形、2個の花柱が角のように宿存する。2n=30。花期は(6~)7~9月。
3変種がある。
伊豆諸島に分布。大型の蕾を持ち、葉が厚くて毛が多い。
トカラ列島(口之島、諏訪之瀬島)、八重山諸島(黒島)の3島だけに分布する。葉が厚く、革質。心皮数が多く、3~4個。果実は大きく、直径約5㎜。
タマアジサイの品種)
花が咲くにつれ、両性花も成長し八重花になる品種。江戸時代からの古品種。
伊豆大島原産のタマアジサイの品種。玉のような球形の蕾から次第に花が開き、八重咲きの装飾花が幾重にも段咲きになる。
2 Hydrangea longifolia Hayata ナガバアジサイ 長葉紫陽花
台湾原産。中国名は长叶绣球 chang ye xiu qiu。高山の森林に生える。タマアジサイに似て苞に花序が包まれた蕾がある。蕾は卵形。葉の下面の毛が2分岐毛。
低木、直立する。小枝、葉柄、葉身、花序は密に伏毛があり、単毛と2分岐毛の両方がある。小枝は暗褐赤色、円柱形または先近くに鈍い角(かど)がわずかにある。葉柄は細く、長さ1.5~2㎝。葉身は披針形、長さ10~20㎝×幅3~4.5㎝、紙質、下面に単毛よりも多くの2分岐毛があり、上面には単毛よりも少ない2分岐毛があり、中脈の両側に二次脈が8~10本あり、細く、下面で明瞭、基部は鈍形~楔形、縁は芒状の小鋸歯があり、先は尾状尖鋭形。花序は散房花序状の集散花序、長さ約9㎝×幅11~14㎝。苞は卵形、約・長さ2㎝×幅1.5㎝、密に毛があり、落下する前は未熟な花序を包む。不稔性の花は萼片が4個、楕円形~広卵形、果時に長さ1.5~1.8㎝×幅1.1~1.5㎝。稔性の花は不明。蒴果は鐘形、長さ約3㎜×幅3.5~4㎜、単毛と少数の2分岐毛があり、先は切形。萼歯は宿存し、三角形、長さ約0.5㎜。花柱は宿存性、2本、直立~反り返り、長さ1.5~2㎜、上部で広がる。種子は褐色、楕円形、扁平、長さ約0.5㎜、両端に翼がつき、翼は幅0.2~0.4㎜。 種皮には条線脈がある。花期は1月。
落葉低木、高さ1~2m。樹皮は灰白色から茶褐色で、成長すると薄く剥がれる。茎、葉に短毛が密生する。冬芽は1個の頂芽と2個の対生する側芽がある。頂芽は芽鱗に包まれ、長さ6~8㎜、芽鱗は薄く、粗い毛が多数ある。側芽は頂芽よりも小さい。葉痕が冬芽の下にあり、V字形~三角形、維管束痕は3~5個ある。葉は十字対生し、葉柄は長さ1~9㎝。葉身は長円形~倒卵形、長さ10~25㎝幅4~12㎝、基部は円形、縁に牙歯状の細鋸歯があり、歯先が芒状になり、先は尖り、葉の両面は短毛がありザラつく。枝先に苞に花序が包まれた蕾をつけ、蕾は球形、直径1.5~3.5㎝。蕾が開くと、包んでいた苞は落ち、散房花序状の集散花序が開き、花序は直径10~15㎝、花序軸には白色の短毛が密にある。花序の周辺に装飾花をつけ、花弁状萼片は3~5個、白色~帯紫白色。花序の中央部に淡紫色の両性花を多数つける。花弁は5個、早落生。雄しべは10本。蒴果は直径約3㎜の球形、2個の花柱が角のように宿存する。2n=30。花期は(6~)7~9月。
3変種がある。
1-1 Hydrangea involucrata var. involucrata タマアジサイ 玉紫陽花 狭義
1-2 Hydrangea involucrata Siebold var. idzuensis Hayashi ラセイタタマアジサイ 羅背板玉紫陽花
synonym Hydrangea involucrata 'Raseita-tama'伊豆諸島に分布。大型の蕾を持ち、葉が厚くて毛が多い。
1-3 Hydrangea involucrata Siebold var. tokarensis M.Hotta et T.Shiuchi トカラタマアジサイ 吐噶喇玉紫陽花
synonym Hydrangea involucrata 'Tokada Tama'トカラ列島(口之島、諏訪之瀬島)、八重山諸島(黒島)の3島だけに分布する。葉が厚く、革質。心皮数が多く、3~4個。果実は大きく、直径約5㎜。
タマアジサイの品種)
(1) Hydrangea involucrata Siebold f. hortensis (Maxim.) Ohwi ギョクダンカ 玉段花
synonym Hydrangea involucrata 'Hortensis' (d)花が咲くにつれ、両性花も成長し八重花になる品種。江戸時代からの古品種。
(2) Hydrangea involucrata Siebold f. leucantha Sugim. シロバナタマアジサイ 白花玉紫陽花
両性花、装飾花ともに純白色の一重咲き品種。(3) Hydrangea involucrata Siebold f. multiplex (Nakai) Okuyama ヨウラクタマアジサイ 瓔珞玉紫陽花
synonym Hydrangea involucrata 'Yoraku' (d) , 'Yohraku-tama伊豆大島原産のタマアジサイの品種。玉のような球形の蕾から次第に花が開き、八重咲きの装飾花が幾重にも段咲きになる。
(4) Hydrangea involucrata Siebold f. plenissima Tuyama ココノエタマアジサイ 九重玉紫陽花
花全体が白い装飾花に覆われる。(5) Hydrangea involucrata Siebold f. sterilis Hayashi テマリタマアジサイ 手毬玉紫陽花
花序の花がすべて八重咲きの装飾花になるもの。(6) その他の品種
'Handemari-tama' , 'Multiplex' , 'Mihara-kokonoe'三原九重タマアジサイ , 'Oshima' , 'Plena' (d) , 'Plenissima' (d) , 'Sterilis' , 'Viridescens' , ヤエノギョクダンカ , 'Yokudanka' (d)2 Hydrangea longifolia Hayata ナガバアジサイ 長葉紫陽花
台湾原産。中国名は长叶绣球 chang ye xiu qiu。高山の森林に生える。タマアジサイに似て苞に花序が包まれた蕾がある。蕾は卵形。葉の下面の毛が2分岐毛。
低木、直立する。小枝、葉柄、葉身、花序は密に伏毛があり、単毛と2分岐毛の両方がある。小枝は暗褐赤色、円柱形または先近くに鈍い角(かど)がわずかにある。葉柄は細く、長さ1.5~2㎝。葉身は披針形、長さ10~20㎝×幅3~4.5㎝、紙質、下面に単毛よりも多くの2分岐毛があり、上面には単毛よりも少ない2分岐毛があり、中脈の両側に二次脈が8~10本あり、細く、下面で明瞭、基部は鈍形~楔形、縁は芒状の小鋸歯があり、先は尾状尖鋭形。花序は散房花序状の集散花序、長さ約9㎝×幅11~14㎝。苞は卵形、約・長さ2㎝×幅1.5㎝、密に毛があり、落下する前は未熟な花序を包む。不稔性の花は萼片が4個、楕円形~広卵形、果時に長さ1.5~1.8㎝×幅1.1~1.5㎝。稔性の花は不明。蒴果は鐘形、長さ約3㎜×幅3.5~4㎜、単毛と少数の2分岐毛があり、先は切形。萼歯は宿存し、三角形、長さ約0.5㎜。花柱は宿存性、2本、直立~反り返り、長さ1.5~2㎜、上部で広がる。種子は褐色、楕円形、扁平、長さ約0.5㎜、両端に翼がつき、翼は幅0.2~0.4㎜。 種皮には条線脈がある。花期は1月。