タコノアシ  蛸の足

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Flora of Mikawa

タコノアシ科 Penthoraceae  タコノアシ属

別 名 サワシオン(沢紫苑)
中国名 扯根菜 che gen cai
学 名 Penthorum chinense Pursh
タコノアシの花序の枝
タコノアシの花柄の咢
タコノアシの花弁
タコノアシの花柄の腺毛
タコノアシの未熟な果実
タコノアシの茎
タコノアシの茎2
タコノアシの茎の基部
タコノアシ
タコノアシ散房状花序
タコノアシ花序
タコノアシ花
タコノアシ雌しべと雄しべ
タコノアシ葉表
タコノアシ葉表2
タコノアシ葉裏
タコノアシ鋸歯
花 期 8~10月
高 さ 30~80(~90)㎝
生活型 多年草
生育場所 河川敷や池沼などの低湿地
分 布 在来種  日本(本州、四国、九州、奄美大島)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ラオス、タイ、ベトナム
撮 影 豊橋市  19.9.7
タコノアシは河川敷や池沼などの低湿地に生え、開発のために生育場所が失われている。愛知県では準絶滅危惧種に指定されている。紅葉すると全体が赤くなり、果序がゆでだこの足のように見えることから、タコノアシと名付けられている。
 多年草、大きく、高さ30~80(~90)㎝。根茎は分枝し、数本の走出枝を出す。茎は普通、1本、上部で分枝(まれに基部で分枝)し、下部は無毛、上部には褐色の腺毛がある。葉は無柄又はほぼ無柄。葉身は披針形~狭披針形、長さ4~10㎝×幅4~12㎜、無毛、細鋸歯縁、両端は長い尖鋭形。集散花序(サソリ形又は散房花序状)は長さ1.5~4㎝、花が咲くにつれ、長く伸び、枝は長さ4~12㎝になり、先が斜めに斜上し、枝には褐色の腺毛がある。苞は卵形~狭卵形、小さい。花柄は長さ1~2.2㎜、褐色の腺毛がある。花は帯黄色、小さい。咢片は5個、三角形、約長さ1.5㎜×幅1.1㎜、革質、無毛、1脈がある。花弁は無いか又は1個~数個、白色。雄しべは10本、長さ約2.5㎜。雌しべは長さ約3.1㎜。心皮は5(又は6)個、基部近くで合着する。子房は5(又は6)室。花柱は5(又は6)個。蒴果は赤紫色、直径(4~)6~7㎜。種子は卵状長円形、いぼがある。花期と果期は8~10月。2n=16。

タコノアシ属

  family Penthoraceae - genus Penthorum

 多年草、直立、根はひげ根。根茎又は匍匐枝がある。茎は傾伏~斜上~直立、円柱形、下部は無毛~細かい毛(腺毛)があり、上部で広く分枝する。葉は互生、葉柄は短い。葉身は楕円状披針形~倒披針形~披針形又は狭披針形、質が薄く、基部は尖鋭形、先は長い尖鋭形。花は頂生及び腋生のサソリ形の(又は散房花序状の)集散花序につき、両性、黄緑色、小さい。花序柄があり、枝に腺毛がある。花托筒には腺毛がある。咢片は 5(~8)個、緑色又は赤色を帯び、三角形~狭三角形。花弁は. 不明瞭、5(~8)個又は欠き白色又は緑白色。雄しべは 10(~16)本、2輪につく。花糸は白色、黄色又はピンク色、無毛。葯は黄色又はピンク色。心皮は 5(~8)個、基部近くで合着する。胚珠は多数。花柱は短い。蒴果は5(~8)裂。心皮は先が嘴状になる。種子は多数、小さく、いぼがある。x =8 , 9.
 世界に2種あり、東アジアにPenthorum chinense、北アメリカにPenthorum sedoidesが分布する。
 最近の研究ではタコノアシ科(Penthoraceae)はユキノシタ科(Saxifragaceae)の一部ではなく、アリノトウグサ科 (Haloragaceae)に最も密接に関連していると報告されている。

タコノアシ属の種と園芸品種

1 Penthorum chinense Pursh  タコノアシ 蛸の足
  synonym Penthorum sedoides L. subsp. chinense (Pursh) S.Y.Li et K.T.Adair
  synonym Penthorum humile Regel & Maack
  synonym Penthorum intermedium Turczaninow

 日本(本州、四国、九州、奄美大島)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ラオス、タイ、ベトナム原産。中国名は扯根菜 che gen cai 。別名はサワシオン。河川敷や池沼などの低湿地に生える。
 多年草、大きく、高さ40~65(~90)㎝。根茎は分枝する。茎は普通、1本、まれに基部で分枝し、下部は無毛、上部は褐色の腺毛がある。葉は無柄又はほぼ無柄。葉身は披針形~狭披針形、長さ4~10㎝×幅4~12㎜、無毛、細鋸歯縁、先は尖鋭形。集散花序は長さ1.5~4㎝、枝は褐色の腺毛がある。苞は卵形~狭卵形、小さい。花柄は長さ1~2.2㎜、褐色の腺毛がある。花は帯黄色、小さい。咢片は5個、三角形、約長さ1.5㎜×幅1.1㎜、革質、無毛、1脈がある。花弁は5個又は欠く。雄しべは10本、長さ約2.5㎜。雌しべは長さ約3.1㎜。心皮は5(又は6)個、基部近くで合着する。子房は5(又は6)室。花柱は5(又は6)個。蒴果は赤紫色、直径4~5㎜。種子は卵状長円形、いぼがある。花期と果期は7~8月。2n=16。
【レッドデータブkック愛知2009】 愛知県準絶滅危惧種
 多年草、茎の基部は地中にあり、数個の走出枝を出す。地上部は直立し、ほとんど分枝せず、高さ30~80㎝、無毛、しばしば、淡紅色を帯びる。葉は狭披針形~披針形、長さ6~11㎝×幅5~12㎜、草質、両端は長い尖鋭形、縁には細鋸歯がある。茎の先に長さ4~12㎝の枝を数個、出し、小さな淡黄色花を多数、片側だけに総状につける。花弁は無い。果実は直径6~7㎜。花期は8~10月。

2 Penthorum sedoides L.
   basynonym Tecoma chrysotricha Mart. ex DC.
  synonym Tabebuia chrysotricha (Mart. ex DC.) Standl.
 カナダ、USA原産。英名はditch-stonecrop , American ditch stonecrop。
 茎は頻繁にピンク色又は赤色を帯び、特に古くなると顕著であり、高さ10~60(~80)㎝、腺毛は透明又は赤褐色でしばしば先端が黒色又は紫色になる。葉柄は無いか又は長さ1~10㎜。葉身は長さ2~18(~24)㎝×幅0.5~4(~5.5)㎝、下面と上面は無毛又はまばらに腺毛があり、毛の先端は黒色又は紫色。花序は偏側性(secund).、枝は2~7本、各枝は花が (6~)10~25(~30)個つく。花柄は長さ0.5~3㎜。花托筒は長さ0.5~1.5㎜×幅1.5~3.5㎜。咢片は宿存し、直立又は広がり、不等長、長さ 0.8~2㎜×幅0.4~1㎜、縁は全縁又は細鋸歯、片側に1~4個の歯があり、歯の先端に腺がある。花糸は長さ1~2㎜。葯は長さ0.7~1㎜。雌しべは長さ3~4㎜。柱頭は古くなるとしばしば紫色になる。種子は長さ0.5~0.7㎜×幅0.2~0.3㎜、いぼは帯赤色又は帯ピンク色。 2n = 18。

参考

1) Flora of China
 Penthorum
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124450
2) Flora of North America
 Penthorum
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=124450
3) GRIN
 Penthorum
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=9066