シンコロステモン・ピンクサファイア
Flora of Mikawa
シソ科 Lamiaceae シンコロステモン属
別 名 | ヘミジギア・ピンクサファイア |
英 名 | sagebush |
学 名 | Syncolostemon 'Pink Sapphire' synonym Hemizygia 'Pink Sapphire' |
花 期 | 5~7月、10~12月 |
高 さ | 30~50㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 栽培種 |
分 布 | 外来種 アフリカ原産 |
撮 影 | 西尾市 18.11.28 |
ヘミジギア属は多年草、亜低木(多年性の柔らかな低木)又は茎が立ち上がる1年草、又は茎が多年性の木質の根茎から生じる。普通、芳香がある。葉は単葉、無柄又は有柄、様々な毛と腺点があり、普通、歯状。花序は普通、頂生する総状花序、疎又は密、輪散花序に花が2~6個。苞は小さく頂部の苞は大きく、色のつく頂部の苞(coma bract)として宿存する。萼は不等の5歯(1/4)があり、2唇形、上唇の1個の萼歯が最も大きく、広卵形~類円形、筒部に沿下する。筒部は短い。下唇は4歯、錐状~刺状、まれにデルタ状披針形。花冠は強い2唇形、5裂片(4/1)、白色、ピンク色、紫色。花冠筒部は萼より長く、中間付近から切形の口部まで広がり、ときに口部で再びわずかに狭くなる。上唇は斜上し、中裂片は下唇より短く小さく、側裂片より長く、普通、切形。下唇は凹面、水平~反曲する。雄しべは4個、突き出る(H. pretoriaeでは上側の対が突き出ない。)。2強雄しべ、上側の対の雄しべは花冠筒部の中間付近又は下につき( H. gerrardiiでは中間の上)、花糸は離生、普通、下部に毛があり、たまに上部まである。下側の対の雄しべは花冠ののど部につき、花糸は長さの一部又は全体で合着(たまに、ほとんど分離)、無毛。花柱は突き出て、普通、小さく2裂、たまに棍棒形。花盤は4裂、前側の裂片が大きい。小堅果は卵形、平滑、背側に目立つ脈があり、粘るか又は粘らない。2n=28。
ハイブリッド園芸品種) 'Candy Kisses'(オーストラリアで作られた斑入りハイブリッド30㎝以下) , 'Lemon Lime' , 'Mauve Magic'(45-60㎝) , 'Pink Kiss' , シャンパンゴールド , 'Pink Sapphire'ピンクサファイア , ヘミジギアハイブリッド青葉 , ホワイトモス , マーブルキャンディ
シンコロステモン属
family Lamiaceae - tribe Ocimeae - genus Syncolostemon芳香があり、多年草又は1年草、木質の草本又は亜低木(suffrutices)。茎は直立又は傾伏、上部で分枝、基部はしばしば、木質になる。葉は対生、有柄又は類無柄。花は両性、6個の花が輪生、普通、疎につく。苞は小さく又は大きく、色づき、花序の先のコーマ(coma bract 頂部の苞)を形成する。萼は宿存、水平又は先が下向き、短い筒形、2唇形、上唇は広卵形、全縁、筒部に短く沿下する。下唇は4個の錐状の歯があり、中間の対は普通、側対より長く、しばしば上側に曲がる。果時に後ろ側の唇は大きくなり、のど部が開き、無毛。花冠は白色~ピンク色又は白色にピンクの斑紋、2唇形。上唇は直立、浅く4裂し、裂片はしばしば、わずかに外巻きする。下唇は大きく、全縁、水平又は反曲し、のど部は切形、上唇にごく短い裂片をもつ。花冠筒部は真っすぐ又はわずかに曲がり、萼から突き出る。内側は無毛又は基部に毛がある。雄しべは4個、下向きに曲がり、ほぼ等長、付属枝はなく、若い花では後ろ側の雄しべはしばしば短いが、突き出る。後ろ側の対は縁毛があり又は類無毛、筒部の基部から1/3につく。前側の花糸は花冠ののど部について接触し、長さのほとんどが合着する。葯は背着、 synthecous(the thecae are fused near the apex and the insertion at the connective)。花盤は前側の裂片がわずかに長い。子房は無毛。子房は無毛。柱頭は頭状、2裂、裂片は短く、丸い。小堅果は4個、未熟では少なく、褐色、平滑、背脈をもち、卵形、基部に小さな傷痕があり、湿ったとき粘液を出す又は出さない。胚は真っすぐ。種子は無胚乳(exalbuminous)。
Hemizygiaは以前は属として認められていたが、数人の著者がSyncolostemonと密接な関係にあると解説し、中間的な種を確認した。Otieno等(2006)はHemizygiaが単系統のグループではなく、Syncolostemon.から形態学的に分離するのは困難であることを論証した。しかしながら、Hemizygiaを含めた広義のSyncolostemonは単系統であり、前側の雄しべの花糸の融合により容易に判別することができる。[Flora of Tropical East Africa. 2009]
Syncolostemonはシソ科の属であり、1838年に最初に解説された。以前は南アフリカに固有とされたが、サハラ以南のアフリカ(マダガスカルを含む)の数種とインドの1種が加えられた。
世界に51種があり、主に南アフリカの東部の夏降雨地域に広く分布する。英名はsagebushといわれる。
【シンコロステモン属の種】
01 Syncolostemon albiflorus (N.E.Br.) D.F.Otieno - 南アフリカ(トランスバール州)、 スワジランド
synonym Hemizygia albiflora (N.E.Br.) M.Ashby02 Syncolostemon argenteus N.E.Br. - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
03 Syncolostemon aurulentus Ngwenya - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
04 Syncolostemon bolusii (N.E.Br.) D.F.Otieno - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
synonym Hemizygia bolusii (N.E.Br.) Codd05 Syncolostemon bracteosus (Benth.) D.F.Otieno - サハラ以南のアフリカに広く分布
synonym Hemizygia bracteosa (Benth.) Briq.06 Syncolostemon canescens (Gurke) D.F.Otieno - アンゴラ、ボツワナ、南アフリカ(ケープ州、クワズールー ナタール州、北部諸州)、カプリビ ストリップ、モザンビーク、ナミビア、スワジランド、ジンバブエ
synonym Hemizygia canescens (Gurke) Ashby07 Syncolostemon cinereum (Codd) D.F.Otieno & Retief - 南アフリカ(自由州、クワズールー ナタール州)
synonym Hemizygia cinerea Codd08 Syncolostemon comosus (Wight ex Benth.) D.F.Otieno - インド南部
synonym Hemizygia comosa (Wright ex Benth.) A. J. Paton09 Syncolostemon comptonii Codd - スワジランド
10 Syncolostemon concinnus N.E.Br. - スワジランド、南アフリカ(自由州、クワズールー ナタール州、北部諸州)
11 Syncolostemon densiflorus Benth. - 南アフリカ(ケープ州、クワズールー ナタール州) Common pink plume
12 Syncolostemon elliottii (Baker) D.F.Otieno - ジンバブエ、ボツワナ、南アフリカ (トランスバール州)
synonym Hemizygia elliottii (Baker) M. Ashby13 Syncolostemon eriocephalus Verd. - 南アフリカ(リンポポ州)
14 Syncolostemon flabellifolius (S.Moore) A.J.Paton - モザンビーク、ジンバブエ
synonym Hemizygia flabellifolia S. Moore15 Syncolostemon floccosus (Launert) D.F.Otieno - ナミビア
synonym Hemizygia floccosa Launert16 Syncolostemon foliosus (S.Moore) D.F.Otieno - スワジランド、南アフリカ(クワズールー ナタール州、北部諸州)
synonym Hemizygia foliosa S.Moore
17 Syncolostemon gerrardii (N.E.Br.) D.F.Otieno - 南アフリカ(クワズールー ナタール州、北部諸州)
synonym Hemizygia gerrardii (N. E. Br.) Ashby18 Syncolostemon heterophyllus (Gürke) K.Balkwill - 南アフリカ(北部諸州)
19 Syncolostemon incanus (Codd) D.F.Otieno - 南アフリカ南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia incana Codd20 Syncolostemon latidens (N.E.Br.) Codd - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
synonym Hemizygia latidens (N.E. Br) Ashby21 Syncolostemon linearis (Benth.) D.F.Otieno - ジンバブエ
synonym Hemizygia linearis (Benth.) Briq.22 Syncolostemon macranthus (Gurke) Ashby - 南アフリカ(自由州、クワズールー ナタール州)
synonym Hemizygia cooperi Briq.23 Syncolostemon macrophyllus Gurke - 南アフリカ(クワズールー ナタール州、北部諸州)
synonym Hemizygia macrophylla (Gurke) Codd24 Syncolostemon madagascariensis (A.J.Paton & Hedge) D.F.Otieno - マダガスカル
synonym Hemizygia madagascariensis A.J.Paton & Hedge25 Syncolostemon modestus (Codd) D.F.Otieno - スワジランド、南アフリカ(北部諸州)
synonym Hemizygia modesta Codd26 Syncolostemon muddii (N.E.Br.) K.Balkwill - 南アフリカ(北部諸州)
27 Syncolostemon namapaensis D.F.Otieno - モザンビーク、タンザニア
28 Syncolostemon ngwenyae K.Balkwill - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
29 Syncolostemon obermeyerae (M.Ashby) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia obermeyerae Ashby30 Syncolostemon oritrephes (Wild) D.F.Otieno - モザンビーク、 ジンバブエ
synonym Hemizygia oritrephes Wild31 Syncolostemon ornatus (S.Moore) D.F.Otieno - ジンバブエ
synonym Hemizygia ornata S.Moore32 Syncolostemon parviflorus E.Mey. ex Benth. - スワジランド、南アフリカ(ケープ州、自由州、クワズールー ナタール州、北部諸州)
33.Syncolostemon parvifolius (Codd) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia parvifolia Codd34 Syncolostemon persimilis (N.E.Br.) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia persimilis (N.E.Br.) M.Ashby35 Syncolostemon petiolatus (Ashby) D.F.Otieno - スワジランド、南アフリカ(北部諸州)、モザンビーク
synonym Hemizygia petiolata Ashby36 Syncolostemon pretoriae (Gurke) D.F.Otieno - スワジランド、南アフリカ(クワズールー ナタール州、北部諸州)
synonym Hemizygia pretoriae (Gurke) Ashby37 Syncolostemon punctatus (Codd) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia punctata Codd38 Syncolostemon qudeniensis D.F.Otieno - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
39 Syncolostemon ramosus (Codd) D.F.Otieno - 南アフリカ(クワズールー ナタール州)
synonym Hemizygia ramosa Codd40 Syncolostemon ramulosus E.Mey. ex Benth. - 南アフリカ(クワズールー ナタール州、ケープ州)
41 Syncolostemon rectiflorus K.Balkwill - 南アフリカ(北部諸州)
42 Syncolostemon rehmannii (Gurke) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia rehmannii (Gurke) Ashby43 Syncolostemon rotundifolius E.Mey. ex Benth. -南アフリカ(クワズールー ナタール州、ケープ州)
44 Syncolostemon rugosifolius (M.Ashby) D.F.Otieno -南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia rugosifolia M.Ashby45 Syncolostemon stalmansii (A.J.Paton & K.Balkwill) D.F.Otieno - 南アフリカ(北部諸州)、スワジランド
synonym Hemizygia stalmansii A.J.Paton & K.Balkwill46 Syncolostemon stenophyllus (Gurke) D.F.Otieno - -南アフリカ(クワズールー ナタール州、ケープ州)
synonym Hemizygia stenophylla (Gurke) Ashby47 Syncolostemon subvelutinus (Gurke) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia subvelutina (Gurke) Ashby48 Syncolostemon teucriifolius (Hochst.) D.F.Otieno - モザンビーク、ジンバブエ、南アフリカ(クワズールー ナタール州、ケープ州、北部諸州)
synonym Hemizygia teucriifolia (Hochst.) Briq49 Syncolostemon thorncroftii (N.E.Br.) D.F.Otieno - 南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia thorncroftii (N.E.Br.) Ashby50 Syncolostemon transvaalensis (Schltr.) D.F.Otieno -南アフリカ(リンポポ州)
synonym Hemizygia transvaalensis (Schltr.) Ashby51 Syncolostemon welwitschii (Rolfe) D.F.Otieno - ナイジェリア、カメルーン、中央アフリカ、ザイール、タンザニア、ザンビア、アンゴラ
synonym Hemizygia welwitschii (Rolfe) Ashbyシンコロステモンの主な種と園芸種
1 Syncolostemon bracteosus (Benth.) D.F. Otieno シンコロステモン・ブラクテオスス
synonym Hemizygia bracteosa (Benth.) Briq.アンゴラ、ベニン、ボツワナ、カメルーン、カプリビ地区(北側のアンゴラとザンビア、南側のボツワナに挟まれた地域)、中央アフリカ共和国、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、南アフリカ(北部諸州)、セネガル、スーダン、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ原産。乾燥した熱帯林の岩の間、水路、開けた砂地などに生える。
おそらく1年草、基部が木質化することがあり、高さ0.25~0.7m。茎は疎~密に軟毛があり、長く弱い多細胞毛がある。葉は無柄。葉身は狭披針形~長円状披針形、長さ40~90㎜×幅8~24㎜、上面は微細剛毛があり、下面は疎~密に微小な灰白軟毛があり、先は鋭形、基部は漸尖し、縁は通常明瞭な歯がある。花序は単生または円錐花序、緩く、長さ120~300㎜。輪散花序は花が4~6個つく。苞は大きく、広卵形、長さ5~10㎜×幅4~8㎜、先の種髪として宿存する。萼は成熟すると長さ7㎜、腺絨毛がある。花冠は白色または藤色がかり、まれに紫色を帯び、長さ10~11㎜。花冠筒部は長さ7~8㎜、徐々に広がり、口部で幅2.5~3㎜。下唇は長さ3㎜。雄しべは下唇から短く突き出る。上側の1対の雄しべは花冠筒部の中央より下につき、長さの半分またはそれ以上の部分に細かい毛がある。下側の1対の雄しべは先端近くで統合する。柱頭はやや棍棒形。花期は10~5月。(e-Flora of South Africa)。
2 Syncolostemon canescens (Gürke) D.F.Otieno シンコロステモン・カネッセンス
synonym Hemizygia canescens (Gürke) Ashbyアンゴラ、ボツワナ、南アフリカ、カプリビ回廊、モザンビーク、ナミビア、スワジランド、ジンバブエ原産。英名はcoconut-scented sagebush, grey-haired sagebush。乾燥から湿潤の開けた森林および辺縁草地の岩の間、開けた場所、および水路に生える。
1年草または短命の多年草、高さ20~60㎝、やや木質化し、基部近くで分枝する。茎は斜上して広がり、疎~密に絨毛があり、長い開出毛があるが、稀にほとんど無毛である。葉はほぼ無柄または短い葉柄がある。葉身は線状披針形~長円状披針形または卵状披針形、長さ20~50㎜×幅5~15㎜、疎~密に細柔毛または灰白軟毛があり、しばしば長短の毛が混在し、先は鋭形、基部は楔形~漸尖し、縁には明瞭~不明瞭に、やや離れた歯がある。花序は単純または基部近くで1対の枝分かれがあり、緩く、長さ80~200㎜。萼は成熟すると長さ6~8㎜、腺のある剛毛~絨毛がある。花冠は帯ピンク色~ライラック色またはすみれ色で、長さ13~15㎜。花冠筒部は長さ9~12㎜で、口部で幅2.5~3 mmに広がる。下唇は長さ3㎜。雄しべは下唇より突き出る。上側の対の雄しべは花冠筒部の基部から2~3㎜のところに付き、花糸は基部近くに軟毛がある。上側の対の雄しべは長さの大部分で統合している。柱頭はやや棍棒形。
おそらく短命の多年草、高さ30~60㎝、下部は木質でしばしば分枝する。茎は広がり~斜上し、短い帯灰色の綿毛があり、毛はしばしばパリパリしている(crisped)か、ときにまばらだが絨毛がない。葉はほぼ無柄または短い葉柄がある。葉身は線形~線状披針形~披針形、まれに卵状披針形、長さ25~55 ㎜×幅3~15㎜、両面に密に灰色の綿毛があるか、まばらにパリパリとした綿毛があり、先は鋭形、基部は楔形~漸尖し、縁は上部半分で細かく~かなり粗い歯がある。葉柄は長さ5㎜まで。花序は単純~円錐花序状、緩く、長さ70~250㎜。仮輪は4~6花。苞は早落し、小さく、約・長さ2㎜×幅1㎜。萼は成熟すると長さ7~8㎜、腺綿毛があるか、微細剛毛がある。花冠は白色~淡藤色または帯紫色、長さ14~17㎜。花冠筒部は長さ10~13㎜、広がり口部で幅3~4㎜になる。下唇は長さ3~4㎜。雄しべは下唇を越えて突き出る。上側の対の雄しべは筒の基部から約4㎜のところに挿入され、花糸の基部近くに軟毛がある。下側の対の雄しべは長さの大部分で合着している。柱頭はやや棍棒状。(e-Flora of South Africa)
3 Syncolostemon comosus (Wight ex Benth.) D.F.Otieno シンコロステモン・コモスス
synonym Hemizygia comosa (Wright ex Benth.) A. J. Paton南インド原産。英名はHairy Java Tea。皮膚病の治療、防腐剤、虫除け剤として使用される。庭に観賞用に植栽される。花序の先の苞が花弁状に色づく。
低木、直立し、高さ0.9~1.5m、羊毛状毛がある。茎は丸く、多細胞の光沢のある腺毛がある。枝は通常対生する。葉は花序に向かって密集し、ほぼ無柄、葉身は倒卵形、くさび形、円鋸歯状鋸歯があり、両面に光沢のある毛がある。花序は枝先に頂生し、非常に長い総状花序になり、花序軸は太く、輪散花序は緩く並び、各輪散花序に花が6個つく。苞はバラ色(薄赤紫色)、上部の苞はより大きく、葉状で倒卵形、3脈があり、ほぼ全縁、腺があり、花芽を包んで隠し、脱落する。萼の杯は長さ約1.2㎝、直立するが、果時には反り返り、上唇は幅広く全縁、先は円形、最初は凹面形で果時には凸面形になり、下唇には4個の尖った歯がある。花冠は赤紫色、長い筒形で先が2唇形、長さ3.5~5㎝、ビロード状の毛があり、花冠筒部は長く、細く、先が内側に曲がる。上唇は下唇よりわずかに大きく、3裂し、中裂片はわずかにノッチがあり、下唇は全縁、凹面形。雄しべは4本、離生、傾斜している。花盤は膨らむ。花柱は糸状。柱頭は棍棒形。小堅果は卵形、平滑。花期は12~2月。
4 Syncolostemon incanus (Codd) D.F.Otien シンコロステモン・インカヌス
synonym Hemizygia incana Codd南アフリカ(北部諸州)。英名はKaapsehoop sagebush。カープシェ・フープ周辺で発見された。珪岩の間の砂質土壌に生える。
低木で、枝分かれが少なく、高さ約60㎝。茎は灰色の綿毛があり、樹枝状毛と長い単毛がある。葉は無柄~ほぼ無柄。葉身は卵形または披針形~楕円状披針形、長さ15~35㎜×幅6~12㎜、両面とも密に灰色の星状のビロード状毛があり、上面は下面よりも濃い暗灰色、先は鈍形~円形、基部は鈍形、縁は中央より上方に微細な円鋸歯状の歯がある。花序は単純または基部近くに1対の枝を持ち、長さ80~200㎜。仮輪に4~6花がつく。苞は卵形、早落性、長さ5㎜以下。萼は成熟すると長さ8~9㎜になり、腺のある絨毛がある。花冠は藤色、長さ12~15㎜。花冠筒部は長さ10~12㎜で、口部で3~4㎜に広がる。下唇は長さ3㎜。雄しべは下唇から突き出る。上側の1対の雄しべは花冠筒の基部近くに付き、花糸は基部近くに軟毛がある。下側の1対の雄しべはほぼ先端まで合着している。柱頭は短く2分岐する。(e-Flora of South Africa)
5 Syncolostemon latidens (N.E.Br.) Codd シンコロステモン・ラティデンス
南アフリカ(クワズール ナタール州)。英名はbroad-tooth sagebush, broad-toothed pink plume。森林の縁辺部およびその付近に生える。軟らかい低木、高さ1~1.5m、分枝する。茎は微細剛毛がある。葉は葉柄があり、葉身は卵形~広卵形、長さ30~50㎜×幅20~35㎜、乾くと暗褐色で微綿毛があり、先は鈍形~鋭形、基部は鈍形~切形、縁には円鋸歯の歯がある。葉柄は長さ3~10㎜。花序はかなり密な頂生の円錐花序で長さ100~200㎜。仮輪は通常花が6個で、間隔が4~8㎜離れてつく。苞は長さ5㎜×幅4㎜。萼は円筒形、長さ10~11㎜、腺をもつ剛毛があり、最上部の歯は広倒卵形、下側の4個の披針状三角形の歯よりも明らかに大きい。花冠は藤色がかったピンク色~濃ピンク色、長さ22~25㎜。花冠筒部は長さ20~22㎜、次第に広がり、口部で幅5~6㎜になる。下唇は長さ3~5㎜、成熟するとしばしば反り返る。雄しべはよく突き出ている。2本の上側の花糸は花冠筒部の中央より下につき、基部近くに軟毛がある。花柱はよく突き出ている。(e-Flora of South Africa)。
6 Syncolostemon obermeyerae (M.Ashby) D.F.Otieno シンコロステモン・オーバーマイヤー
synonym Hemizygia obermeyerae M.Ashbysynonym Hemizygia junodii Briq.
南アフリカ(北部諸州)。英名はSoutpansberg sagebush, pink sagebush。別名はヘミジギア・オーバーマイヤー。石の多い丘陵の斜面や森林の縁にシダや低木とともに生える。
亜低木、不規則に分枝し、高さ(~0.7)1~1.5m。茎は4稜形、帯灰色の毛がある。枝は短く、星状綿毛がある。葉は対生、葉柄がある。葉柄は長さ6~12㎜。葉身は広卵形~卵状披針形、長さ3~6㎝×幅1.8~3㎝、類無毛、帯褐色、上面にしわがあり、下面にかなり密に灰色の綿毛があり、先は鈍形~円形、基部は切形~鈍形、縁には細かい円鋸歯状の歯がある。花序は普通、分枝し、かなり密、長さ8~18㎝×直径10㎝以下。花序軸には星状毛がある。先の苞は宿存性、モーブ・パープル色、卵形、鋭形、長さ10~15㎜×幅5~10㎜以下、まばらに短毛がある。輪散花序は花が6個つき、間隔が1~2㎝離れてつく。萼は長さ8㎜、腺のある小剛毛がある。上唇は卵形、長さ約2㎜、萼筒に沿下する。下唇は4歯、デルタ状錐形、最も下の対は最も長く、長さ約2㎜。花冠はモーブピンク色、長さ18~22㎜無毛。花冠筒部は長さ15~17㎜、口部は広くなり6~8㎜。上唇は小さな付属体であり、長さ1㎜。下唇は凹面、長さ4~6㎜、水平~わずかに反曲する。雄しべは下唇を超えて突き出て、上向きに巻く。上側の雄しべの対は花冠筒部の中間の下につき、基部に微軟毛がある。下側の雄しべの対は先まで1本に合着する。柱頭は2裂。2n=28。花期は10~4月(アフリカ)。品種の'Candy Kisses'はハイブリッドともいわれる。(e-Flora of South Africa)。
品種) 'Candy Kisses'(斑入り品種)
7 Syncolostemon rotundifolius E.Mey. ex Benth. シンコロステモン・ロツンディフォリウス
synonym 南アフリカ(ケープ州、クワズール ナタール州)。英名はrounded-leaf sagebush, round-leaved pink plume。標高60~610 mの草原や岩の多い斜面の低木。草原、岩の露頭、峡谷または峡谷、砂岩、砂質土、川岸、河口、滝に生える。しばしば観賞用に栽培される。軟い常緑低木、高さ0.6~2m、分枝はまばら。茎は白色の綿毛がある。葉は葉柄がある。葉身は広楕円形~広倒卵形~ほぼ円形、長さ(6)10~25㎜×幅(4)6~18 mm、綿毛があり、腺点があり、先は円形、基部は楔形~鈍形、縁は全縁または中央より上部にわずかに円鋸歯の歯がある。葉柄は長さ2~5㎜。花序はかなり密集した円錐花序、まれに単純、長さ50~80㎜、直径60㎜以下、仮輪は花が2個。苞は長さ3~5㎜×幅3~4㎜。萼は円筒形、長さ9~10㎜、軟毛があるかまたは短い腺毛がある。萼歯はほぼ均等、三角形、長さ1.5~2.0㎜、しばしば最上部の歯は他の歯よりわずかに短い。萼筒は喉部で無毛。花冠は藤色、ピンク色またはマゼンタピンク色、長さ(20)23~27㎜。花冠筒部は長さ20~23㎜、。下唇は長さ3~5(8~10)㎜、成熟すると反り返る。雄しべは長さ10~15㎜、突き出る。2本の上側の花糸は花冠筒部の中央より下につき、基部近くに軟毛がある。花柱は突き出る。花期は8~5月。(e-Flora of South Africa)
8 Syncolostemon teucriifolius (Hochst.) D.F.Otieno シンコロステモン・テウクリーフォリウス
南アフリカ(ケープ州、クワズール・ナタール州、北部州)、スワジランド、ジンバブエ原産。英名はteucrium-leaved sagebush。標高600~1500mの密生した草原に局地的に生え、過放牧地域、山頂に広がる。高さ15~30㎝の灌木状の多年草。木質の根茎から毎年少数から多数の直立または斜上する茎が生じる。茎は細く、通常単茎で、灰色がかった星状軟毛がある。葉は無柄。葉身はほぼ革質で、線形~披針形または楕円形、長さ8~18㎜×幅3~6㎜、変色し、上面は帯黒色、星状軟毛があり、下面は帯灰色の星状軟毛があり、先は鋭形、基部は鈍形、縁は反り返り、全縁、。花序は単純、長さ40~80㎜。仮輪は苞腋につき、花が4~6個。苞は4~6個、長さ4~6㎜×幅2~3㎜。萼は成熟すると長さ5~6㎜、星状軟毛がある。花冠は藤色で長さ10~12㎜。花冠筒部は筒形、長さ9~10㎜、幅2.5㎜、喉部でわずかに狭まり、無毛。下唇は長さ2㎜。雄しべは短く突き出し、下唇をわずかに超え、または超えない。上側の対の雄しべは筒部の中央より下につき、花糸の下半分に毛がある。下側の対の雄しべは長さの半分以上で合着している。柱頭はわずかに2分岐する(e-Flora of South Africa)。花期は11月~1月。
9 Syncolostemon transvaalensis (Schltr.) D.F.Otieno シンコロステモン・トランスバーレンシス
synonym Hemizygia transvaalensis Schltr.南アフリカ(北部諸州)。英名はMpumalanga sagebush。草地の斜面や平地、岩場などに生える。
高さ0.3~1mの軟らかい亜低木。茎は木質の根茎から毎年生じ、まれに自由に分枝し、ときにほうき状(後者の場合は多数の小さな葉を持つ)になり、まれにまたは密に剛毛がある。葉は無柄または短い葉柄がある。葉身は、典型的な形では卵形~広卵形、長さ15~40㎜x幅8~22㎜、ほうき状の形では卵状楕円形~卵形、長さ12~20㎜×幅4~8㎜、表裏同色で、両面に疎~密に毛が生え、先は鋭形~鈍形、基部は鈍形~円形、縁は主に上部3分の2に鋸歯状の歯があり、まれに歯が不明瞭になる。花序は円錐花序、緩く、長さ70~200㎜。苞は卵形~披針形、先端の苞はピンクがかった紫色で、長さ12~24㎜×幅4~10㎜、しばしば緩い種髪(coma)を形成する。萼は成熟すると長さ12~14㎜になり、密に腺のある微細剛毛がある。花冠は帯白色~藤色またはライラックピンク色で、長さ18~22㎜。花冠筒部は長さ14~17㎜、口部で幅5㎜に広がる。下唇は長さ4~6㎜、しばしば反り返る。雄しべは下唇から突き出る。上側の1対の雄しべは筒部のほぼ中央に付着し、花糸は下半分に軟毛がある。下側の1対の雄しべは先端までまたはほぼ先端まで統合している。柱頭は2分岐。(e-Flora of South Africa)
10 Syncolostemon hybrid
別名はHemizygia hybrid ヘミジギアハイブリッド。
品種) 'Candy Kisses'(オーストラリアで作られた斑入りハイブリッド30㎝以下) , 'Lemon Lime' , 'Mauve Magic'(45-60㎝) , 'Pink Kiss' , シャンパンゴールド , 'Pink Sapphire'ピンクサファイア , ヘミジギアハイブリッド青葉 , ホワイトモス , マーブルキャンディ
※ ピンクサファイアは日本で作られた品種(2016年農林水産省品種登録 出願者浅野園芸 浅野寿晴)
ヘミジギアハイブリッド青葉は(有)サザンガーデンの品種、農林水産省品種登録の標準品種。
ヘミジギア属
family Lamiaceae - tribe Ocimeae- genus Hemizygia多年草、亜低木(多年性の柔らかな低木)又は茎が立ち上がる1年草、又は茎が多年性の木質の根茎から生じる。普通、芳香がある。葉は単葉、無柄又は有柄、様々な毛と腺点があり、普通、歯状。花序は普通、頂生する総状花序、疎又は密、輪散花序に花が2~6個。苞は小さく頂部の苞は大きく、色のつく頂部の苞(coma bract)として宿存する。萼は不等の5歯(1/4)があり、2唇形、上唇の1個の萼歯が最も大きく、広卵形~類円形、筒部に沿下する。筒部は短い。下唇は4歯、錐状~刺状、まれにデルタ状披針形。花冠は強い2唇形、5裂片(4/1)、白色、ピンク色、紫色。花冠筒部は萼より長く、中間付近から切形の口部まで広がり、ときに口部で再びわずかに狭くなる。上唇は斜上し、中裂片は下唇より短く小さく、側裂片より長く、普通、切形。下唇は凹面、水平~反曲する。雄しべは4個、突き出る(H. pretoriaeでは上側の対が突き出ない。)。2強雄しべ、上側の対の雄しべは花冠筒部の中間付近又は下につき( H. gerrardiiでは中間の上)、花糸は離生、普通、下部に毛があり、たまに上部まである。下側の対の雄しべは花冠ののど部につき、花糸は長さの一部又は全体で合着(たまに、ほとんど分離)、無毛。花柱は突き出て、普通、小さく2裂、たまに棍棒形。花盤は4裂、前側の裂片が大きい。小堅果は卵形、平滑、背側に目立つ脈があり、粘るか又は粘らない。2n=28。
【Codd (1976, 1985) のアフリカの28種】
H. albiflora , H. bolusii , H. bracteosa , H. canescens , H. cinerea , H. elliottii , H. floccosa , H. foliosa , H. gerrardii , H. incana , H. linearis , H. macrophylla , H. modesta , H. obermeyerae , H. parvifolia , H. persimilis , H. petiolata , H. petrensis , H. pretoriae , H. punctata , H. ramosa , H. rehmannii , H. rugosifolia , H. stenophylla , H. subvelutina , H. teucriifolia , H. thorncroftii , H. transvaalensis
Hemizygia (Benth.) Briq.はシソ科(Labiatae= Lamiaceae)のtribe Ocimeaeに置かれた(Cantino et al. 1992, Paton 1998, Paton et al. 2004)。多年性の柔らかな低木(亜低木)又は1年草からなり、普通、乾いた岩の多い林地や草地に見られる。Ocimeaeの中でSyncolostemonと密接に関係する。両属は前側の雄しべが融合し、これがOcimeae中の他の属から分けられる共有派生形質(synapomorphy)と推測される(Paton 1998, Paton et al. 2004)。Hemizygia は初め、 Bentham (1848)によって、Ocimumの節として認識されていたが、後に、Briquet(1897)によって属に昇格された。 Ashby (1935) はHemizygiaに26種を認め、一方、Codd (1976, 1985)は南アフリカの属に28種を報告した。 Paton (1998) はインドからのH. comosa (Wright ex Benth.) A. J. Patonを加え、新しい組み合わせとした。 そしてPaton and Hedge (1999) は新種のマダガスカルのH. madagascariensis A. J. Paton&Hedgeを報告した。もう1つの南アフリカからの新種、 H. stalmansii A. J. Paton & K. Balkwillが Paton and Balkwill (2001). により解説された。これにより、H. welwitschii (Rolfe) Ashby(Ashby 1935)を含めて、全体で32種がHemizygia として確認された。
その後、H. flabellifolia , H. cooperi , H. latidens , H. oritrephes , H. ornataが追加されている。
Hemizygia bracteosa complexの変化( variation)と分類群(taxa)の認識は多変量解析手法を用いて検討された。形態学的な特性から197種がサンプルされた。判断するに、H. bracteosaと H. welwitschii は多数の花の特性がオーバーラップする。しかし、葉の特性と互いの形態的な相違を維持する習性が異なっている。そのため、種として支持されるものである。最近の Hemizygia属の取り扱いの中で同義語とされるHemizygia ornataは葉と花の相違に基づいてH. welwitschiiと異なり、種レベルでの取り扱いが提案される。H. linearisの概念は解析に使った分類群の他の全ての要素(種)から分けられる基準種の評価の上に修正される。後者の形はH. petrensisと H. canescens とともに一連のグループを形成し、それらに特異的な認識のいずれかを与える試みは否定され、それらは最も早い名の H. canescensの元に、同義語とされるべきである。 H. petiolatの種の境界は修正されるが、その種の状態は維持される。
世界に約37種あり、主に南アフリカに分布し、サハラ以南のアフリカ(マダガスカルを含む)に数種、インドに1種が分布する。
【ヘミジギア属の種】37種
H. albiflora , H. bolusii , H. bracteosa , H. canescens , H. cinerea , H. comosa , H. cooperi , H. elliottii , H. flabellifolia , H. floccosa , H. foliosa , H. gerrardii , H. incana , H. latidens , H. linearis , H. macrophylla , H. madagascariensis , H. modesta , H. obermeyerae , H. oritrephes , H. ornata , H. parvifolia , H. persimilis , H. petiolata , H. petrensis , H. pretoriae , H. punctata , H. ramosa , H. rehmannii , H. rugosifolia , H. stalmansii , H. stenophylla , H. subvelutina , H. teucriifolia , H. thorncroftii , H. transvaalensis , H. welwitschii
【ヘミジギア属とシンコロステモン属の分類】
Hemizygia属
萼は2唇形、上唇は広卵形~類円形、普通、筒部に沿下する。下唇は4個の錐状~刺状の歯をもつ。
Syncolostemon属(狭義)
萼はほぼ等しい5歯、上側の歯は最も大きければ、楕円形~広楕円形、沿下しない。下側の4歯はデルタ形~錐形。
参考
1) Flora of ZimbabweSyncolostemon bracteosus (Benth.) D.F. Otieno
Hemizygia obermeyerae
The South African species of Hemizygia (Lamiaceae)
(Lamiaceae, Ocimeae)
The genus Syncolostemon (Lamiaceae)
Syncolostemon E.Mey. ex Benth.
Hemizygia (Benth.) Briq
Syncolostemon
Syncolostemon
Hairy Java Tea - Syncolostemon comosus