スズメノトウガラシ 雀の唐辛子

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Flora of Mikawa

アゼナ科 Linderniaceae スズメノトウガラシ属

中国名 泥花草 ni hua mu cao
英 名 sparrow false pimpernel
学 名 Bonnaya antipoda (L.) Druce 

 synonym Lindernia antipoda (L.) Alston

スズメノトウガラシの花6
スズメノトウガラシの花
スズメノトウガラシ花の正面
スズメノトウガラシ花の横
スズメノトウガラシ花の上
スズメノトウガラシ花の下
スズメノトウガラシピンクの花
スズメノトウガラシ果実
スズメノトウガラシ種子
スズメノトウガラシ
スズメノトウガラシ苞葉と果柄
スズメノトウガラシ葉表
スズメノトウガラシ葉裏
スズメノトウガラシ2
花 期 8~10月
高 さ 5~20㎝
生活型 1年草
生育場所 水田、日当たりのよい湿地
分 布 在来種  日本本州、四国、九州、沖縄、中国、インド、スリランカ、マレーシア、ニューギニア、オーストラリア、ミクロネシア、ポリネシア
撮 影 豊田市  07.8.27
スズメノトウガラシは2変種に分ける見解があり、よく分枝し、葉が細いのがエダウチスズメノトウガラシである。ゴマノハグサ科からオオバコ科に移されたが、APG III(2009年版)ではアゼナ科として分離された。2013年の分子系統解析の再解析によって旧来統合されていたアゼナ属が分割され、スズメノトウガラシ属に移された。これに伴いエダウチスズメノトウガラシやヒロハスズメノトウガラシなどの変種に分けない扱いになった。
 1年草、高さ5~20㎝。茎は多数分枝し、4稜形、直立、斜上、又は拡散し、小枝は長さ5~30㎝、無毛。葉は羽状脈、無柄、倒披針形~倒卵状長円形、先は鋭形~ほぼ鋭形、基部は狭くなり、長さ1~4㎝×幅0.5~1㎝、縁は鋭鋸歯、3~10対の歯があり、無毛。花のシュートに花が単生、腋生で総状花序につき、各花は苞が基部につき、苞は小さく、線状披針形、長さ2㎜以下。花柄は丈夫、対生又はまれに互生し、花時と果時に斜上し、長さ4~15㎜、無毛。萼は5深裂し、裂片は線状披針形、尖鋭形~鋭形、花時に長さ3.6~5.8㎜、果時に5.1~6.5㎜、無毛。花冠は淡ピンク色~淡青紫色、まれに白色、長さ8~12.5㎜、外面にまばらに腺があり、内面は仮雄しべの間に白色の羊毛状毛がある。下唇(腹側)は3個の円い裂片をもち、中裂片は長さ3.5㎜×幅4㎜・以下、上唇(背側)は広卵形、先は全縁、長さ4.5㎜×幅3㎜・以下。雄しべは2本。花糸は長さ1.7~2㎜。葯は長さ1.3㎜以下。仮雄しべはこん棒形、黄色、長さ3.3~4.3㎜、仮雄しべの間は淡黄色の羊毛状毛がある。子房は披針状卵形、緑色、長さ1.7~2㎜。花柱は長さ2.5~4㎜。花盤は淡黄色、子房の腹側につき、長さは子房の長さの1/2以下、長さ1.2㎜。蒴果は円筒形、先は鋭形、長さ10~14.5㎜、宿存する萼の長さの2.5~3倍。種子は角(かど)があり、長さ0.37~0.41㎜×幅0.23~0.31㎜。長さ/幅・比は1.5以下、小凹点があり(scrobiculate)、星状の突起と散在する網目がある。花期は8~10月。

スズメノトウガラシ属.

  family Linderniaceae - genus Bonnaya

 草本、普通、無毛、まれに直軟毛があり、茎は這い、細く又は直立する。葉は対生、羽状脈が特徴、普通、側脈は明瞭、全縁又は小歯状、まれに鋸歯状。花は腋生、対生又は未熟から互生し生し、普通、花柄があり、上部の花は総状花序につく。萼は5深裂し、ほぼ等長。花冠は突き出る筒部をもち、2唇形、5深裂する。上唇は短い。雄しべは4本、上位の2本は稔性、突き出さず、不稔の2本は仮雄しべ、こん棒形又は線形、下唇の基部につき、付属体は無い。葯は密着する。柱頭は平らになり、2薄板状。蒴果は線状円筒形、2バルブ。バルブは全縁、膜質、縁は平ら、隔壁は平行。
 世界に14種あり、 B. antipoda (L.) Druce1種だけがアジア、アフリカ、新世界に分布し、他は熱帯アフリカ、マダガスカル、東アジア~南東アジアとオーストラリア北部に分布する。section Aculeataとsection Bonnayaの2sect. に分けられる。
 section Bonnaya(11種)
 1年草又はまれに多年草。茎は普通、4稜形。葉は普通、羽状脈。花序は花が緩い総状花序又は単生で腋生。萼は5深裂し、基部で合着する。萼片は線状披針形、等長。花冠は下唇の列片が3個、円い。上唇は先が鈍形又は2裂。雄しべは後ろ側の2本が稔性。仮雄しべは2、前側、単純、こん棒形又は線形。花柱は白色。子房は緑色。花盤は黄色。蒴果は円筒形、先は鋭形、宿存する萼より長い。種子は角(かど)があり、面は凹点があり、数個の星状の突起がある。

スズメノトウガラシ属の主な種

1 Bonnaya antipoda (L.) Druce スズメノトウガラシ 雀の唐辛子

  synonym Lindernia antipoda (L.) Alston var. verbenifolia (Colsm.) Ohba

  synonym Lindernia antipoda (L.) Alston
  synonym Bonnaya verbenifolia (Colsm.) Spreng.
  synonym Vandellia antipoda (L.) T. Yamaz.
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、中国、インド、スリランカ、マレーシア、ニューギニア、オーストラリア、ミクロネシア、ポリネシア原産。北アメリカ(ルイジアナ州)、メキシコ、ベネズエラに帰化。中国名は泥花草 ni hua mu cao。英名はsparrow false pimpernel , sparrow lindernia。水田、日当たりのよい湿地に生える。
 1年草、高さ5~20㎝。茎は多数分枝し、4稜形、直立、斜上、又は拡散し、小枝は長さ5~30㎝、無毛。葉は羽状脈、無柄、倒披針形~倒卵状長円形、先は鋭形~ほぼ鋭形、基部は狭くなり、長さ1~4㎝×幅0.5~1㎝、縁は鋭鋸歯、3~10対の歯があり、無毛。花のシュートに花が単生、腋生で総状花序につき、各花は苞が基部につき、苞は小さく、線状披針形、長さ2㎜以下。花柄は丈夫、対生又はまれに互生し、花時と果時に斜上し、長さ4~15㎜、無毛。萼は5深裂し、裂片は線状披針形、尖鋭形~鋭形、花時に長さ3.6~5.8㎜、果時に5.1~6.5㎜、無毛。花冠は淡ピンク色~淡青紫色、まれに白色、長さ8~12.5㎜、外面にまばらに腺があり、内面は仮雄しべの間に白色の羊毛状毛がある。下唇(腹側)は3個の円い裂片をもち、中裂片は長さ3.5㎜×幅4㎜・以下、上唇(背側)は広卵形、先は全縁、長さ4.5㎜×幅3㎜・以下。雄しべは2本。花糸は長さ1.7~2㎜。葯は長さ1.3㎜以下。仮雄しべはこん棒形、黄色、長さ3.3~4.3㎜、仮雄しべの間は淡黄色の羊毛状毛がある。子房は披針状卵形、緑色、長さ1.7~2㎜。花柱は長さ2.5~4㎜。花盤は淡黄色、子房の腹側につき、長さは子房の長さの1/2以下、長さ1.2㎜。蒴果は円筒形、先は鋭形、長さ10~14.5㎜、宿存する萼の長さの2.5~3倍。種子は角(かど)があり、長さ0.37~0.41㎜×幅0.23~0.31㎜。長さ/幅・比は1.5以下、小凹点があり(scrobiculate)、星状の突起と散在する網目がある。花期は8~10月。

2 Bonnaya ciliata (Colsm.) Spreng. スズメノトウガラシモドキ 雀の唐辛子擬

  synonym Lindernia ciliata (Colsm.) Pennell
  synonym Gratiola ciliata Colsm.
 日本(琉球諸島)、中国、インド、ネパール、カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナム、マレーシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア原産。中国名は刺齿泥花草 ci chi ni hua cao。英名はfringed lindernia, fringed false pimpernel。北アメリカに帰化。湿った場所、水田、草原、荒地、小道端などに生える。
 1年草、高さ5~20㎝。茎は緩く、分枝し、4稜形、直立又は斜上し、無毛だが節にまばらに粗毛がある。葉は羽状脈があり、無柄、長円形~楕円形、先は円形、基部はくさび形又は抱茎、長さ1~2.5(~3.3)㎝×幅0.5~1.1㎝、縁は鋭鋸歯、歯が(6)10~15対あり、両面とも無毛、たまに、下面に芒状の粗毛が散在する。花序は総状花序、頂生、各花の基部に苞がつき、苞は小さく、線状披針形、長さ3.1~7(~9.5)㎜。花柄は対生、斜上し、花時に長さ1.5~3.5㎜、果時に長さ3~7.5㎜。萼は5深裂し、裂片は錐形尖鋭形、花時に長さ1.8~2.8㎜、果時に長さ3.2~4.4㎜、狭い薄膜質の縁をもち、まばらに縁毛があり、無毛。花冠は白色又は淡ピンク色、長さ5.5~7㎜、花冠筒部は外面に腺があり、内側は無毛。下唇は3個の円い裂片をもち、中裂片は側裂片より大きく、中裂片にピンク色の斑紋があり、長さ3㎜×幅4.2㎜・以下。上唇は長円形、凹形、長さ4㎜×幅2.5㎜・以下。雄しべは2本、花糸は長さ0.9㎜以下。葯は長さ0.4㎜以下。仮雄しべは2本、こん棒形、先は鈎形、長さ1.5㎜以下、白色、腺があり、基部に直軟毛があり、先は淡ピンク色~ピンク色。子房は楕円形、長さ0.8㎜。花柱は長さ4㎜以下。花盤は淡黄色、子房の腹側につき、長さは子房の長さの1/2以下、長さ0.4㎜。蒴果は円筒形、先は尖鋭形、長さ7~14㎜×幅0.8~1.2㎜、宿存する萼の長さの3倍。種子は角(かど)があり、不規則な三角形、長さ0.39~0.48㎜×幅0.30~0.37㎜、長さ/幅・比は1.35以下、小凹点があり(scrobiculate)、星状の突起と散在する網目がある。花期と果期は夏~冬。

3 Bonnaya multiflora Bonati ボンナヤ・ムルティフロラ
  synonym Vandellia multiflora (Bonati) T. Yamaz.
  synonym Lindernia viatica (Kerr ex Barnett) Philcox
  synonym Ilysanthes viatica Kerr ex Barnett   synonym Lindernia bonatii (T. Yamaz.) Philcox
 カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア原産。英名はmany-flowered bonnaya。中国名は擬泥花草。拟泥花草高500m以下の湿った水田ぼや湿地、川辺などに生える。
 1年草、高さ5~25cm。 茎は単純または緩やかに分枝し、四角形で、直立~斜上し、無毛。 葉は不明瞭な羽状脈があるか脈が無く、無柄、線形~線状披針形、先は鈍形または鋭形、長さ14~39(~46)㎜×幅1.3~5㎜、縁には不明瞭な鋸歯があり、4~6対の歯があるか、またはほぼ全縁、無毛。花序は緩やかな総状花序で、長さ4~12cm、10~20個の花があり、各花には基部に苞がつく。苞は披針形~線状卵形、長さ2~3㎜。小花柄は丈夫で、花時と果時に斜上し、長さ4~10㎜。 萼は深く5裂し、裂片は鋭形、花時に長さ2.6~4.2㎜、果時に長さ3.4~4.8㎜になり、無毛。花冠は淡紫色~淡青色、長さ6~10mm。腹側の唇(下唇)には3個の円形の裂片があり、各裂片は長さ2~3㎜以下×幅2㎜。以下背唇(上唇)は長円形、先は鈍形、長さ3~4㎜×幅1.5~2㎜。雄しべは2本。花糸は長さ1㎜以下。葯は長さ1mm以下。仮雄しべはこん棒形、わずかに湾曲しており、黄色、長さ2~3㎜、基部は白色の直軟毛がある。子房は楕円形、長さ1.8㎜以下。花柱は長さ6㎜以下。花盤は淡黄色、腹側で子房に付着し、子房の長さの1/2~1/3以下、長さ0.6~1㎜以下。蒴果は円筒形、先は鋭形、長さ8~15㎜×幅0.7~1㎜、宿存する萼の長さの2.5~4倍の長さ。種子は角張り、長さ0.33~0.47㎜×幅0.21~0.30㎜、長さと幅の比は1.7以下、表面に小凹点があり(scrobiculate)、星状の突起と点在する網目(mesh)を持つ。

4 Bonnaya oppositifolia (Retz.) Spreng. タイワンヒメクチバシグサ 台湾姫嘴草

  synonym Vandellia oppositifolia (Retz.) Haines,
  synonym Lindernia oppositifolia (Retz.) Mukherjee
 インド、ネパール、バングラデシュ、スリランカ原産。英名はopposite-leaved bonnya。開けた湿地、または標高の低い浅い水域の縁辺に生える。
 1年草、高さ8~17㎝。茎は緩やかに分枝し、四角形で直立または斜上し、無毛。 葉は羽状脈があり、無柄、狭楕円形~狭長円形、先はほぼ鋭形~鋭形、長さ11~42㎜×幅4~9㎜、縁は円鋸歯状鋸歯があり、10~18対の歯があり、無毛。花序は長さ3~7㎝、4~10(~12)個の花がほとんどの部分で向かい合ってつき、通常は花序の基部に1~2個の花が単生する。各花には基部に苞があり、苞は小さく、線状披針形、長さ3㎜以下。花序の基部にある葉状の苞に対生して、花が単生する。花に対生する苞は線状楕円形、長さ5~10㎜。 小花柄は花時と若い果時には斜上し、成熟した果実では花序の基部にある小花柄が後屈し、長さ4~6㎜。萼は深く5裂し、花時に長さ2.5~4.7㎜、果時に長さ3.2~4.8㎜、無毛。花冠は淡藤色~淡ピンク色、長さ4~8㎜。腹側の唇(下唇)には3個の円い裂片があり、中央の裂片は長さ3㎜×幅4㎜・以下。背唇(上唇)は広長円形、先は鈍形、長さ3.7㎜×幅2㎜・以下。雄しべは2本。花糸は長さ2㎜以下。葯は長さ1㎜以下。仮雄しべは棍棒形、淡青色~白色。子房は楕円形、長さ1.5㎜以下。花柱は長さ4.5㎜以下。蒴果は円筒形、先は鋭形、長さ7~9㎜×幅1.2~2㎜、宿存する萼の長さの2~2.2倍。

5 Bonnaya ruellioides (Colsm.) Spreng. クチバシグサ 嘴草
  synonym Lindernia reptans (Roxb.) F. Muell.
  synonym Lindernia ruellioides (Colsmann) Pennell
  synonym Bonnaya reptans (Roxburgh) Sprengel
  synonym Bonnaya repens G.Don
 日本(琉球列島)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ニューギニア原産。中国名は旱田草 han tian cao。英名はcreeping bonnaya。標高1500m以下の草原、平原、山谷、森林に生える。
 1年草、高さ10~15㎝。 匍匐性は30cmまで。 茎はほとんど直立せず、通常は枝分かれし、無毛で、節から根を出す。葉柄は長さ0.3~2㎝、上部は太い。葉身は長円形、楕円形、卵状長円形、または円形、長さ1~4㎝×幅0.6~2cm、ザラつく毛があるかまたは無毛、基部はほぼ抱茎または広楔形、縁は基部の上に密に規則的な鋭鋸歯があり、先は鈍形~鋭形。総状花序は頂生し、2~10個の花がつく。苞は披針状線形。小花柄は短く、上部は徐々に太くなり、無毛。萼は果時に長さ約6㎜~1㎝、基部は合着する。萼片は線状披針形、無毛。花冠は赤紫色、長さ1~1.4㎝。花冠筒部は長さ7~9㎜。下唇は 3裂し、裂片は等長または、中央の裂片が他の裂片よりわずかに大きい。上唇は2裂。稔性の雄しべは2本、後側にあり、付属体はない。不稔の雄しべは2本、前側にある。柱頭は平らになる。蒴果は円錐形、宿存する萼の長さの約2倍の長さ。種子は褐色、楕円形。花期は6~9月。果期は7~11月。

6 Bonnaya sanpabloensis Y.S.Liang & J.C.Wang ボンナヤ・サンパブロエンシス

 中国、インド、タイ、フィリピン原産。中国名は圣巴勃罗泥花草 sheng ba bo luo ni hua cao。標高600~680mにある川床に沿って生える。
 1年草、直立~斜上(ときに這い)、長さ25~30cm(まれに1mまでになる)、下部の節で根を出す。茎は分枝し、通常は4稜形、無毛、緑色~褐色、節間は長さ2~4㎝。葉は無柄またはほぼ無柄、長円状倒卵形~楕円形、長さ2~4㎝×幅0.5~1㎝、先は鈍形またはまれに鋭形、基部は鋭形、縁は鋸歯があり、歯は7~15対、両面とも無毛、羽状脈があり、2次脈は9~11対。総状花序は緩く、無毛。 花は各花序柄に8~15個あり、基部に苞がつく。苞は線状披針形、花時に長さ2~4㎜、果時に6~8㎜。小花柄は花時に斜上し、果時にほとんど垂直になり、花時に長さ3~20㎜、果時に長さ10~20㎜。萼は深く5裂し、萼片は線状披針形、鋭形~尖鋭形、無毛、果時に伏せ、花時に長さ3~5㎜×幅約1㎜、果時に長さ4~6㎜。花冠は2唇形、長さ9~12㎜、外側にまばらに腺があり、青色~紫色、上唇は2裂し、長さ4から5㎜×幅2~3㎜。下唇は3裂し、長さ3~4㎜×幅3.2~4㎜、中裂片は大きく、基部に白色の斑紋がある。雄しべは2本、花糸は長さ1.3~2.2㎜、淡青色~淡紫色、葯は長さ1.2~1.6㎜。仮雄しべは2本、こん棒形、長さ5~6㎜、下半分は白色で直軟毛があり、上側の半分は無毛で黄色。子房は円筒形、長さ約2㎜、幅約0.8㎜。花柱は長さ5~6㎜。花盤は黄色~帯緑色、子房の腹側に付着する。蒴果は円筒形、長さ1.3~1.8㎝×幅1~2㎜、先は鋭形、果時の小花柄よりわずかに短く、果時の萼より2~3倍長い。種子は多数、角張り、帯褐色、長さ0.3~0.4㎜×幅0.2~0.3㎜、表面に小凹点があり(scrobiculate)、星状の突起と点在する網目がある。花期と果期は1年中。

7 Bonnaya tenuifolia (Colsm.) Spreng. ヒメクチバシグサ 姫嘴草
  synonym Vandellia tenuifolia (Colsm.) Haines 
  synonym Lindernia tenuifolia (Colsm.) Alston
 中国、台湾、インド、スリランカ、カンボジア、ラオス、ベトナム、インドネシア、インドネシア、マレーシアフィリピン、ニューギニア原産。中国名は细叶母草 xi ye mu cao。英名はthin-leaved bonnaya。標高500m以下の水辺、道端に生える。
 1年草、高さ5~20㎝。茎は単純または緩く分枝し、四角形で直立または斜上し、無毛す。 葉は羽状脈があり、無柄、線形または線状披針形、先は鈍形またはほぼ鋭形、長さ8~30㎜×幅0.5~5㎜、下部の茎葉の縁は上部に円鋸歯があり、3(~5)対の歯がある。上部の茎葉は全縁、無毛。花序は頂生、総状花序、長さ3~6㎝、4~10(~13)個の花がほとんど対生し、通常花序の中央に1(~2)個の花が単生する。 それぞれの花には苞があり、苞は小さく、卵形~線形、先端は鋭形、長さ約 1.2㎜。花序の中間にある葉状の苞に対生して、花が単生する。花に対生した苞は葉状、線状披針形、長さ5~1㎜。小花柄は丈夫で、花時に斜上し、果時に曲がり、長さ2~10 mm、無毛。萼は5深裂し、花時に長さ1.5~2.4㎜、果時に長さ2.1~2.8㎜になり、無毛。花冠は紫色~淡青色、長さ4~8㎜、外面にまばらに腺があり。腹側の唇(下唇)には3個の円い裂片があり、中央裂片は約・長さ2.5㎜×幅3.5㎜。背側の唇(上唇)は広楕円形、先は鈍形、長さ約2㎜×幅約2㎜。雄しべは2本。花糸は長さ約1㎜。葯は長さ0.7~1㎜。仮雄しべはこん棒形、わずかに湾曲し、淡青色~白色、長さ0.4~1.7㎜、基部に毛がある。子房は楕円形、長さ約1.1㎜。花柱は長さ約4㎜。花盤は淡黄色、腹側で子房に付着し、長さは子房の長さの1/2~1/3以下、長さ0.4㎜以下。 蒴果は細長く、円筒形で、先は鋭形、長さ5~12㎜×幅0.7~1㎜、宿存する萼の2.5~4倍の長さになる。種子は角張っていて、長さ0.26~0.36㎜×幅0.19~0.25 ㎜、長さと幅の比は1.38以下、表面に小凹点があり(scrobiculate)、種皮は星状の突起と点在する網目をもつ。
 1年草、高さ約15㎝。根はひげ根、束生する。茎は直立またはほぼ平伏で斜上し、多数、分枝し、条線があり、無毛、まれに第2節または第3節から発根する。葉は無柄、線形、長さ1~2.8㎝×幅約2㎜、無毛、基部はやや抱茎、縁には不明瞭に短い鋸歯があるかまたはほぼ全縁、中肋は目立つ。花は少なく、葉に対生する。苞は線形、長さ1.5~3.5㎜。 小花柄は長さ5~10㎜、無毛、果時に反り返る。萼は基部が合着する。葉は線状披針形、長さ約2㎜、無毛、先は鈍形、中肋が目立つ。花冠は紫赤色。下唇は3裂し、中裂片は他の裂片より大きく、上唇よりわずかに長い。上唇は小さく、不明瞭に2裂する。稔性の雄しべは2本、後側につく。仮雄しべは2本、前側につく。蒴果は円筒形、長さ1.5㎝、長さは萼の2~3倍、先は尖鋭形。(Flora of China)

参考

1) Flora of China
 Lindernia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=118628
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Bonnaya
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:330102-2
3)GRIN
 Bonnaya
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=22795
4) Willdenowia, 43(2): 209-238 (2013)
Fischer E., Schäferhoff B. and Kai Müller K. 2013.:The phylogeny of Linderniaceae – The new genus Linderniella, and new combinations within Bonnaya, Craterostigma, Lindernia, Micranthemum, Torenia and Vandellia
https://www.researchgate.net/publication/259762272_The_phylogeny_of_Linderniaceae_-_The_new_genus_Linderniella_and_new_combinations_within_Bonnaya_Craterostigma_Lindernia_Micranthemum_Torenia_and_Vandellia
6) 植物研究雑誌 Journ. Jap. Bot. Vol. 29 No.10 p299-306(1954)
 山崎敬:東亜産アゼナ属,ウリクサ属とその類縁1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/29/10/29_29_10_3787/_pdf/-char/ja
7) 植物研究雑誌J. Jap. Bot.30(6): 171–180.(1955)
 山崎敬特:東亜産アゼナ属,ウリクサ属,ノモナウリクサ属とその類縁3
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/30/6/30_30_6_3878/_pdf/-char/ja
8) 植物研究雑誌 55(11): 321–327.(1980)
 原 寛 1980. 東亜植物註解 (8). アゼトウガラシ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/55/11/55_55_11_7160/_pdf/-char/ja
9) 植物研究雑誌J. Jpn. Bot. 92(5): 307–308 (2017)
 大橋広好:シロバナアゼトウガラシ(アゼナ科)の新学名
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/92/5/92_92_5_10818/_pdf/-char/ja
10) A General History of the Dichlamydeous Plants, 第 4 巻
 Vandellia plant
11) Australian Systematic Botany 2014, 27, 180–198
Yi-Shuo Liang , Jenn-Che Wang: A systematic study of Bonnaya section Bonnaya (Linderniaceae)
https://www.researchgate.net/publication/269279878_A_systematic_study_of_Bonnaya_section_Bonnaya_Linderniaceae
12)BHL :A General History of the Dichlamydeous Plants, Comprising Complete ..
 genus Bonnaya description p537,538
https://www.biodiversitylibrary.org/item/191790#page/553/mode/1up
13)RHEEDEA Vol,28(2) 178-180(2019)
 Bonnaya sanpabloensis (Linderniaceae): An addition to the flora of India
https://www.researchgate.net/publication/334224125_Bonnaya_sanpabloensis_Linderniaceae_An_addition_to_the_flora_of_India