ススキの小穂と果実(頴果 えいか)

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Flora of Mikawa

ススキの花序

 ススキは秋の終わりに穂(花序)から白い毛のついた種子を飛ばす。種子と思われるのは小穂(しょうすい)であり、中に1個の果実をもつ。イネ科の果実は頴果(えいか)とよばれる。穀果(こくか)ともいわれ、米や麦など食用とするイネ科の種子を穀物という。頴果は硬くて薄い果皮に包まれた1個だけの種子をもつ。果皮は薄くて硬く、内部の種皮と癒合(ゆうごう)していて分離できない。カヤツリグサ科などの果実は痩果(そうか)といわれ、頴果と似ているが、果皮と種皮が完全な癒合でなく、分離しにくいものである。ドングリなど果皮が堅いが、種子から分離しやすいものは堅果(けんか)という。

ススキの小穂


 イネ科の植物は複穂状花序であり、最小の穂状花序を小穂という。小穂は2個の苞頴(ほうえい)と小花(しょうか)を数個もつ。ススキの小穂は苞頴の基部に束になった長い白毛(基毛)がある。基毛の長さは小穂の長さの1~1.5倍程度である。苞頴の上部にも毛がある。2個の小花をもつが、1個は不完全で果実を作らない。イネも同様で、3個の小花をもつが、2個は退化し、果実は1個だけである。コヌカグサやノガリヤスのように1小花だけのものもある。小穂をつける花序の枝は小梗(しょうこう)といい、長い小梗(長梗)と短い小梗(短梗))が対になっている。小梗は小花柄ともいう。ススキの小穂は基毛の下に関節があり、果実が熟すと、基毛が開き、小梗を残して関節から外れ、風で散布される。  ススキの第1小花は退化し護頴(ごえい)だけとなっている。第1小花の護頴は幅が広く芒がない。

ススキの第2小花


 ススキの第2小花は護頴と内頴(ないえい)、雄しべ3個、雌しべ1個、子房からなり、完全で果実をつくる。第2小花の護頴は幅が狭く、長い曲がった芒(のぎ)がつく。内頴は小さい。
 

ススキの果実(頴果 えいか)


 ススキの果実は熟すと暗赤褐色になり、苞頴の間から見えるようになる。長さ2.1~2.3㎜の倒披針状惰円形で、光沢がある。頭部に2個の柱頭が残っている。