スイレンボク 睡蓮木
Flora of Mikawa
アオイ科 Malvaceae ウオトリギ属
中国名 | 水莲木 shui lian mu |
英 名 | bow-wood , button-wood , crossberry , African starbush, four corners, lavender starflower |
学 名 | Grewia occidentalis L. synonym Grewia chirindae Baker f. synonym Grewia microphylla Weim. |
花 期 | 5~10月 |
高 さ | 1~2m |
生活型 | 常緑又は落葉低木 |
生育場所 | 栽培種 |
分 布 | 帰化種 アフリカ(モザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのクワズール・ナタール州)原産 |
撮 影 | 西尾市(栽培) 16.6.3 |
盆栽に使われ、スイレンに似た小さな花のため、睡蓮木という。寒さに弱く、日本では低温では落葉する。花は春から秋まで咲き、5~6月に開花が始まる。シナノキ科 Tiliaceae はアオキ科に含められた。
学名はGrewia occidentalisが正しく、Grewia caffraは誤りと思われる。同じように南アフリカに分布するが、Grewia caffraは花が黄色、花弁が反りかえる。Flora of Zimbabweを参考にすると違いがよくわかる。
原産地のアフリカでは開花が10月~1月。林縁、開けた林地又は低木林に生える。低木又は小木、しばしば這う。葉は楕円形~わずかに卵形、長さ14㎝以下、対照な葉の基部から3脈があり、表面はやや光沢のある緑色、裏面は淡色、まばらに主に脈上に毛がある。葉縁は波形(ホタテ貝の縁のような)又は歯状。花は腋生、単生又は数個の束状につき、紫色(パープル)~藤色(モーブ色)~ピンク色、まれに白色、直径(1.5~)約3㎝。花弁5個、萼片5個とも表面が同色。萼片は厚く、有毛、裏面が緑色を帯びる。雄しべ多数、花糸は紅紫色、葯は黄色。雌しべ1個。果実は液果、ほとんど4裂し(4個の球がくっついた形 crossberry ,four corners)、直径約15㎜、熟すと赤褐色、食べられる。
●Grewia caffra Meisn.(Grewia fruticetorum J. Drumm. ex Baker f.) 英名はClimbing raisin。分布はモザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのムプマランガ州, クワズール・ナタール州。通常は多くの茎があり、這う低木。茎は明瞭な4角があり、小枝は硬く、ときに刺状になる。葉は長楕円状卵形~披針形、長さ2~6㎝、基部から3脈があり、無毛又はまばらに星状毛がある。葉縁は細かい歯状。花は黄色、直径約2㎝、数個の花が腋生する果実は球形、分裂せず、無毛又はまばらに星状毛がつき、直径7~10㎜、褐色~赤色、食べられる。
高木又は低木。小枝は普通、星状毛がある。葉は互生。托葉は小さく、脱落性。葉柄は短い。葉身は基部の脈が3~5本、縁は鋸歯又はまれに分裂。花は両性、雌雄混株又は単性(雌雄同株)、普通、集散花序に3個~多数の花がつき、単生又は束生、腋生又は葉に対生し、まれに頂生する。花序柄や花柄には普通、毛がある。苞は脱落性。萼片は5個、黄色、白色、又はライラック色、まれに褐色、分離、敷石状、外面に毛があり、内面は普通、無毛、まれに毛がある。花弁は5個、野生ではほとんどが黄色又は白色、萼片より短く、蜜腺が普通、鱗片状、花弁の基部につき、縁に普通、絨毛がある。雌雄しべ柄(androgynophore)は短く、普通、無毛。雄しべは多数、分離、長さは不規則。葯は球形、背着、縦に裂開する。子房は2~4室。胚珠は室に2~8個。花柱は1本。柱頭は膨れ、盾状、全縁又は2~4裂。核果は普通、2個又は4個の小核果をもつ。胚乳は豊富、子葉は平ら。
世界に約90種が旧世界の熱帯に分布する。
synonym Grewia hirsutovelutina Burret
synonym Grewia kainantensis Masamune
中国(広東省、広西省、貴州省、海南省、雲南省)、台湾、インド、ラオス、ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。中国名は苘麻叶扁担杆 qing ma ye bian dan gan。低木、草原の斜面に生える。
低木または小高木、高さ1~5m。小枝は黄褐色の粗い星状毛がある。葉柄は1~2㎝、粗い星状の綿毛があり、葉身は広卵形~ほぼ円形、通常は上部で分裂し、長さ7~11㎝×幅5~9㎝、紙質、下面に密に黄色と褐色の粗い星状綿毛があり、上面はまばらに粗い星状毛があり、基部の側脈は葉身の長さの1/2以上あり、それぞれに7~9本の2次脈をもち、上部の側脈は3~4対、葉の基部は円形かまたはわずかに心形、縁は小鋸歯があり、先は鋭形。集散花序は葉腋に3~7個。花序柄は長さ3~6mm。小花柄は長さ4~8㎜。苞は糸状、早落性。萼片は白色、狭い長円形、長さ6~8㎜×幅約2㎜、外面に毛があり、内面は無毛。花弁は長さ2~3㎜。雌雄しべ柄(androgynophore)は無毛。雄しべは長さ4~5㎜。子房は絨毛がある。花柱は萼片の長さと同じ長さ。柱頭は2裂。核果は不明瞭に2~4裂、綿毛があり、裂片ごとに小核果が1個。
2 Grewia biloba G. Don アツバウオトリギ 厚葉魚捕木 広義
朝鮮、中国、台湾原産。中国名は扁担杆 bian dan gan
低木又は小高木、高さ0.5~1(~4)m、多数、分枝する。小枝は有毛又は無毛に近い。托葉は錐形、長さ3~4㎜。葉柄は長さ4~8㎜、密に微軟毛がある。葉身は卵状円形又は倒卵状楕円形、ときに、浅く、3裂、長さ4~9㎝×幅2.5~4㎝、薄い革質、下面はまばらに星状毛~星状綿毛があり、上面はよりまばらに星状毛があり、基部側脈は葉身の長さの1/2以上、側脈は3~5対、基部は楔形又は鈍形、細鋸歯縁、先は鋭形。集散花序は腋生、花が多数つき、花序柄は1㎝以下。花柄は長さ3~6㎜。苞は錐形、長さ3~5㎜。萼片は狭長円形、長さ4~7㎜、外面は有毛、内面は白色、無毛。花弁は長さ1~1.5㎜。雌雄しべ柄は長さ約0.5㎜、毛がある。雄しべは長さ約2㎜。子房は有毛。花柱は萼片の長さと同長。核果は赤色、2~4裂し、各裂片に小核果が1個。花期は5~7月。
朝鮮、中国、台湾原産。中国名は扁担杆 bian dan gan
葉身は楕円形~倒卵状電計、長さ4~9㎝×幅2.5~4繊維、下面にまばらに星状毛がある。
中国原産。中国名は小花扁担杆 xiao hua bian dan gan 。別名はエノキウツギ
葉身は楕円形~倒卵状楕円形、長さ4~9㎝×幅2.5~4㎝、下面に密に柔らかい星状毛がある。花が小さい。
葉身は類円形、長さ1~1.5㎝、下面にはまばらに軟毛がある。花が大きい。
3 Grewia caffra Meisn グレウィア・カフラ
synonym Grewia fruticetorum J. Drumm. ex Baker f.
モザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのムプマランガ州, クワズール・ナタール州原産。英名はClimbing raisin。
通常は多くの茎があり、這う低木。茎は明瞭な4角があり、小枝は硬く、ときに刺状になる。葉は長楕円状卵形~披針形、長さ2~6㎝、基部から3脈があり、無毛又はまばらに星状毛がある。葉縁は細かい歯状。花は黄色、直径約2㎝、数個の花が腋生する果実は球形、分裂せず、無毛又はまばらに星状毛がつき、直径7~10㎜、褐色~赤色、食べられる。
4 Grewia celtidifolia Juss. エノキバウオトギ 榎葉魚捕木
synonym Grewia yunnanensis Hung T. Chang.
中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、雲南省)、台湾、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。中国名は朴叶扁担杆 pu ye bian dan gan。標高100~1800mの開けた森林、低木林に生える。
低木。 小枝は柔らかい灰褐色の綿毛がある。葉柄は長さ5~6㎜、柔らかい綿毛があり、葉身は広卵形、長さ8~10㎝×幅4.5~6㎝、下面に短い黄褐色の星状綿毛があり、上面は無毛になり、基部の側脈は葉身の長さの3/4、縁から約1㎝であり、それぞれに二次脈が5~6本あり、側脈は上部に2~3対、基部は円形、縁は鋸歯縁、先は短い鋭形。集散花序は長さ1~1.5㎝、黄褐色の星状綿毛がある。花序柄は長さ1cm以下。小花柄は長さ2~3㎜。萼片は披針形、長さ6~7㎜、外面に綿毛があり、内面に毛がある。花弁は長さ3~4㎜、基部に腺がある。雄しべは長さ3~4㎜。雌雄しべ柄(androgynophore)は毛がある。子房は2室、綿毛がある。花柱は長さ約2㎜。核果はほぼ球形、浅く溝があり、直径6~8㎜、星状毛がある。外果皮が内果皮から分離していない。小核果 1~2個。花期は4~6月。果期は7~8月。
5 Grewia eriocarpa Juss. オオバウオトリギ 大葉魚捕木
synonym Grewia boehmeriifolia Kanehira & Sasaki
synonym Grewia lantsangensis Hu.
中国(広東省、広西省、貴州省、雲南省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は毛果扁担杆 mao guo bian dan gan
低木または小高木、高さ8mまで。小枝は柔らかい灰色の星状綿毛がある。托葉は糸状、披針形、長さ5~10㎜。葉柄は長さ5~10㎜、葉身は卵形または卵状長円形、長さ6~13㎝×幅3~6㎝、紙質、乾くと黒褐色になり、下面に柔らかい灰色の星状綿毛があり、上面にはまばらに星状毛があり、基部の側脈は葉身の長さの3/4まで、側脈は3~4対、葉基部は斜めの円形かまたは切形、縁は小鋸歯があり、先は尖鋭形または鋭形。集散花序は1~3個、腋生、長さ1.5~3㎝。花序柄は長さ3~8mm。小花柄は長さ3~5mm。 苞は披針形。 花は両性。萼片は狭長円形、長さ6~8㎜、両面に毛がある。花弁は長さ約3㎜、腺は無い。雌雄しべ柄(androgynophore)は無い。雄しべは長さが不規則で、萼片より短い。子房には毛がある。花柱は微軟毛がある。核果はほぼ球形、溝があり、直径6~8 mm、星状毛がある。小核果 1~2個。
6 Grewia prunifolia A.Gray マリアナウオトリギ
synonym Grewia crenata (J.R.Forst. & G.Forst.) Schinz & Guillaumin
synonym Grewia mariannensis Merr. マリアナ諸島原産。
synonym Grewia novocaledonica Burret.
synonym Grewia oblongifolia Blume
クック諸島、フィジー、マリアナ諸島、ニューカレドニア、ニウエ、サモア、ソサエティ諸島、トンガ、ツアモツ、トゥブアイ島、バヌアツ、ウォリス・フツナ諸島原産。
小高木、高さ6mほど。葉は互生し、単葉、広楕円形、長さ15㎝x幅9㎝・以下、光沢のある緑色、基部は円形、先は鋭形、縁には多数の小歯がある。花は腋生の小さな密散花序につき(束生)、直径約3㎝。萼片は5個、広がり、楕円形、長さ15㎜x幅5mm・以下、先端は鋭形、上は白色、下は緑色。 雄しべは多数。花柱は先端が緑色で2裂する。果実は直径約8㎜、ほぼ球形~3裂し、黒色に熟す。
7 Grewia occidentalis L. スイレンボク 睡蓮木
synonym Grewia chirindae Baker f.
synonym Grewia microphylla Weim.
アフリカ(モザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのクワズール・ナタール州)原産。中国名は水莲木 shui lian mu。英名はbow-wood, button-wood , crossberry , African starbush, four corners, lavender starflower。林縁、開けた林地又は低木林に生える。
低木又は小木、高さ1~2m、しばしば這う。葉は楕円形~わずかに卵形、長さ14㎝以下、対照な葉の基部から3脈があり、表面はやや光沢のある緑色、裏面は淡色、まばらに主に脈上に毛がある。葉縁は波形(ホタテ貝の縁のような)又は歯状。花は腋生、単生又は数個の束状につき、紫色(パープル)~藤色(モーブ色)~ピンク色、まれに白色、直径(1.5~)約3㎝。花弁5個、萼片5個とも表面が同色。萼片は厚く、有毛、裏面が緑色を帯びる。雄しべ多数、花糸は紅紫色、葯は黄色。雌しべ1個。果実は液果、ほとんど4裂し(4個の球がくっついた形 crossberry ,four corners)、直径約15㎜、熟すと赤褐色、食べられる。花期は5~10月。原産地のアフリカでは開花が10月~1月。(Flora of Zimbabwe)
8 Grewia piscatorum Hance ヒメウオトリギ 姫魚捕木
中国(福建省、海南省)、台湾原産。中国名は海岸扁担杆 hai an bian dan gan 。沿岸地域に生える。
低木、小さく、多数、分枝し、伸びて、細い。小枝はまばらに星状毛がある。托葉は糸状、長さ約2㎜。葉柄は長さ2~3㎜、葉身は卵形または楕円形、長さ1~2.3㎝×幅1~2㎝、ほぼ膜質、上面は無毛、乾くと帯緑色、輝き(luminous)、無毛または下面にまばらに直軟毛があり、基部の側脈は葉身の長さの約1/2、側脈は2~3対、基部は円形~わずかに心形、縁には鋸歯があり、先は鈍形かまたは短い鋭形。集散花序はほぼ頂部に腋生し、1または2個つき、通常、花が3個つく。花序柄は長さ約5㎜。小花柄は花序柄と同長、またはわずかに短い。苞は錐形、長さ2~4㎜。萼片は狭長円形、長さ5~7㎜、外面に毛があり、内面は無毛。花弁は長さ1.5~2㎜。雌雄しべ柄(androgynophore)は非常に短い。 雄しべは多数、長さ4~5㎜。子房は毛がある。花柱は無毛。核果は2または4裂し、溝がある。小核は裂片ごとに1個。
9 Grewia rhombifolia Kaneh. et Sasaki ヒシバウオトリギ 菱葉魚捕木
台湾原産。中国名は菱叶扁担杆 ling ye bian dan gan。
低木。小枝はさび褐茶色の星状綿毛がある。托葉は錐形、長さ5~7㎜。葉柄は長さ5~7mm。 葉身は菱形または卵形、まれに卵形輪形、長さ2.5~5.5×幅2~4.5cm、まばらに星状、葉脈のみ背軸に毛が生え、向軸に無光沢、側基底脈は葉身の1/2の長さ、側脈は4~5本 対になっており、基部は広楔形からほぼ円形、縁は不規則な鋸歯状、頂点はわずかに鋭角または鈍形です。 腋窩集散花序。花序柄は長さ5~8mm。小花柄は長さ5~7mm。 苞は錐形、長さ約4mm。萼片は長さ約6㎜×幅1.5~2㎜、下面は無毛、上面は星状綿毛がある。花弁は長楕形、長さ約1.5㎜、腺はほぼ円形、毛がある。雄しべは多数あり、長い絹毛が生える。子房は毛がある。花柱は無毛。 核果は2~4裂し、小核は裂片ごとに1個。花期は6月。
Grewia
Grewia
Grewia occidentalis
Grewia crenata
学名はGrewia occidentalisが正しく、Grewia caffraは誤りと思われる。同じように南アフリカに分布するが、Grewia caffraは花が黄色、花弁が反りかえる。Flora of Zimbabweを参考にすると違いがよくわかる。
原産地のアフリカでは開花が10月~1月。林縁、開けた林地又は低木林に生える。低木又は小木、しばしば這う。葉は楕円形~わずかに卵形、長さ14㎝以下、対照な葉の基部から3脈があり、表面はやや光沢のある緑色、裏面は淡色、まばらに主に脈上に毛がある。葉縁は波形(ホタテ貝の縁のような)又は歯状。花は腋生、単生又は数個の束状につき、紫色(パープル)~藤色(モーブ色)~ピンク色、まれに白色、直径(1.5~)約3㎝。花弁5個、萼片5個とも表面が同色。萼片は厚く、有毛、裏面が緑色を帯びる。雄しべ多数、花糸は紅紫色、葯は黄色。雌しべ1個。果実は液果、ほとんど4裂し(4個の球がくっついた形 crossberry ,four corners)、直径約15㎜、熟すと赤褐色、食べられる。
●Grewia caffra Meisn.(Grewia fruticetorum J. Drumm. ex Baker f.) 英名はClimbing raisin。分布はモザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのムプマランガ州, クワズール・ナタール州。通常は多くの茎があり、這う低木。茎は明瞭な4角があり、小枝は硬く、ときに刺状になる。葉は長楕円状卵形~披針形、長さ2~6㎝、基部から3脈があり、無毛又はまばらに星状毛がある。葉縁は細かい歯状。花は黄色、直径約2㎝、数個の花が腋生する果実は球形、分裂せず、無毛又はまばらに星状毛がつき、直径7~10㎜、褐色~赤色、食べられる。
ウオトリギ属
family Malvaceae - genus Grewia高木又は低木。小枝は普通、星状毛がある。葉は互生。托葉は小さく、脱落性。葉柄は短い。葉身は基部の脈が3~5本、縁は鋸歯又はまれに分裂。花は両性、雌雄混株又は単性(雌雄同株)、普通、集散花序に3個~多数の花がつき、単生又は束生、腋生又は葉に対生し、まれに頂生する。花序柄や花柄には普通、毛がある。苞は脱落性。萼片は5個、黄色、白色、又はライラック色、まれに褐色、分離、敷石状、外面に毛があり、内面は普通、無毛、まれに毛がある。花弁は5個、野生ではほとんどが黄色又は白色、萼片より短く、蜜腺が普通、鱗片状、花弁の基部につき、縁に普通、絨毛がある。雌雄しべ柄(androgynophore)は短く、普通、無毛。雄しべは多数、分離、長さは不規則。葯は球形、背着、縦に裂開する。子房は2~4室。胚珠は室に2~8個。花柱は1本。柱頭は膨れ、盾状、全縁又は2~4裂。核果は普通、2個又は4個の小核果をもつ。胚乳は豊富、子葉は平ら。
世界に約90種が旧世界の熱帯に分布する。
ウオトリギ属の主な種と園芸品種
1 Grewia abutilifolia W.Vent ex Juss. カイナンウオトリギ 海南魚捕木synonym Grewia hirsutovelutina Burret
synonym Grewia kainantensis Masamune
中国(広東省、広西省、貴州省、海南省、雲南省)、台湾、インド、ラオス、ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。中国名は苘麻叶扁担杆 qing ma ye bian dan gan。低木、草原の斜面に生える。
低木または小高木、高さ1~5m。小枝は黄褐色の粗い星状毛がある。葉柄は1~2㎝、粗い星状の綿毛があり、葉身は広卵形~ほぼ円形、通常は上部で分裂し、長さ7~11㎝×幅5~9㎝、紙質、下面に密に黄色と褐色の粗い星状綿毛があり、上面はまばらに粗い星状毛があり、基部の側脈は葉身の長さの1/2以上あり、それぞれに7~9本の2次脈をもち、上部の側脈は3~4対、葉の基部は円形かまたはわずかに心形、縁は小鋸歯があり、先は鋭形。集散花序は葉腋に3~7個。花序柄は長さ3~6mm。小花柄は長さ4~8㎜。苞は糸状、早落性。萼片は白色、狭い長円形、長さ6~8㎜×幅約2㎜、外面に毛があり、内面は無毛。花弁は長さ2~3㎜。雌雄しべ柄(androgynophore)は無毛。雄しべは長さ4~5㎜。子房は絨毛がある。花柱は萼片の長さと同じ長さ。柱頭は2裂。核果は不明瞭に2~4裂、綿毛があり、裂片ごとに小核果が1個。
2 Grewia biloba G. Don アツバウオトリギ 厚葉魚捕木 広義
朝鮮、中国、台湾原産。中国名は扁担杆 bian dan gan
低木又は小高木、高さ0.5~1(~4)m、多数、分枝する。小枝は有毛又は無毛に近い。托葉は錐形、長さ3~4㎜。葉柄は長さ4~8㎜、密に微軟毛がある。葉身は卵状円形又は倒卵状楕円形、ときに、浅く、3裂、長さ4~9㎝×幅2.5~4㎝、薄い革質、下面はまばらに星状毛~星状綿毛があり、上面はよりまばらに星状毛があり、基部側脈は葉身の長さの1/2以上、側脈は3~5対、基部は楔形又は鈍形、細鋸歯縁、先は鋭形。集散花序は腋生、花が多数つき、花序柄は1㎝以下。花柄は長さ3~6㎜。苞は錐形、長さ3~5㎜。萼片は狭長円形、長さ4~7㎜、外面は有毛、内面は白色、無毛。花弁は長さ1~1.5㎜。雌雄しべ柄は長さ約0.5㎜、毛がある。雄しべは長さ約2㎜。子房は有毛。花柱は萼片の長さと同長。核果は赤色、2~4裂し、各裂片に小核果が1個。花期は5~7月。
2-1 Grewia biloba G.Don var. biloba アツバウオトリギ 厚葉魚捕木
synonym Grewia tenuifolia Kaneh. et Sasaki朝鮮、中国、台湾原産。中国名は扁担杆 bian dan gan
葉身は楕円形~倒卵状電計、長さ4~9㎝×幅2.5~4繊維、下面にまばらに星状毛がある。
2-2 Grewia biloba G.Don var. parviflora (Bunge) Hand.-Mazz. ウオトリギ 魚捕木
synonym Grewia parviflora Bunge中国原産。中国名は小花扁担杆 xiao hua bian dan gan 。別名はエノキウツギ
葉身は楕円形~倒卵状楕円形、長さ4~9㎝×幅2.5~4㎝、下面に密に柔らかい星状毛がある。花が小さい。
2-2-1 Grewia biloba G.Don var. parviflora (Bunge) Hand.-Mazz. f. angusta (Nakai) T.B.Lee ホソバエノキウツギ
synonym Grewia parviflora Bunge f. angusta (Nakai) W.T.Lee2-3 Grewia biloba var. microphylla (Maximowicz) Handel-Mazzetti
中国原産。中国名は小叶扁担杆 xiao ye bian dan gan。葉身は類円形、長さ1~1.5㎝、下面にはまばらに軟毛がある。花が大きい。
3 Grewia caffra Meisn グレウィア・カフラ
synonym Grewia fruticetorum J. Drumm. ex Baker f.
モザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのムプマランガ州, クワズール・ナタール州原産。英名はClimbing raisin。
通常は多くの茎があり、這う低木。茎は明瞭な4角があり、小枝は硬く、ときに刺状になる。葉は長楕円状卵形~披針形、長さ2~6㎝、基部から3脈があり、無毛又はまばらに星状毛がある。葉縁は細かい歯状。花は黄色、直径約2㎝、数個の花が腋生する果実は球形、分裂せず、無毛又はまばらに星状毛がつき、直径7~10㎜、褐色~赤色、食べられる。
4 Grewia celtidifolia Juss. エノキバウオトギ 榎葉魚捕木
synonym Grewia asiatica Linnaeus var. celtidifolia (Jussieu) L. F. Gagnepain
synonym Grewia simaoensis Y. Y. Qiansynonym Grewia yunnanensis Hung T. Chang.
中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、雲南省)、台湾、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。中国名は朴叶扁担杆 pu ye bian dan gan。標高100~1800mの開けた森林、低木林に生える。
低木。 小枝は柔らかい灰褐色の綿毛がある。葉柄は長さ5~6㎜、柔らかい綿毛があり、葉身は広卵形、長さ8~10㎝×幅4.5~6㎝、下面に短い黄褐色の星状綿毛があり、上面は無毛になり、基部の側脈は葉身の長さの3/4、縁から約1㎝であり、それぞれに二次脈が5~6本あり、側脈は上部に2~3対、基部は円形、縁は鋸歯縁、先は短い鋭形。集散花序は長さ1~1.5㎝、黄褐色の星状綿毛がある。花序柄は長さ1cm以下。小花柄は長さ2~3㎜。萼片は披針形、長さ6~7㎜、外面に綿毛があり、内面に毛がある。花弁は長さ3~4㎜、基部に腺がある。雄しべは長さ3~4㎜。雌雄しべ柄(androgynophore)は毛がある。子房は2室、綿毛がある。花柱は長さ約2㎜。核果はほぼ球形、浅く溝があり、直径6~8㎜、星状毛がある。外果皮が内果皮から分離していない。小核果 1~2個。花期は4~6月。果期は7~8月。
5 Grewia eriocarpa Juss. オオバウオトリギ 大葉魚捕木
synonym Grewia boehmeriifolia Kanehira & Sasaki
synonym Grewia lantsangensis Hu.
中国(広東省、広西省、貴州省、雲南省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は毛果扁担杆 mao guo bian dan gan
低木または小高木、高さ8mまで。小枝は柔らかい灰色の星状綿毛がある。托葉は糸状、披針形、長さ5~10㎜。葉柄は長さ5~10㎜、葉身は卵形または卵状長円形、長さ6~13㎝×幅3~6㎝、紙質、乾くと黒褐色になり、下面に柔らかい灰色の星状綿毛があり、上面にはまばらに星状毛があり、基部の側脈は葉身の長さの3/4まで、側脈は3~4対、葉基部は斜めの円形かまたは切形、縁は小鋸歯があり、先は尖鋭形または鋭形。集散花序は1~3個、腋生、長さ1.5~3㎝。花序柄は長さ3~8mm。小花柄は長さ3~5mm。 苞は披針形。 花は両性。萼片は狭長円形、長さ6~8㎜、両面に毛がある。花弁は長さ約3㎜、腺は無い。雌雄しべ柄(androgynophore)は無い。雄しべは長さが不規則で、萼片より短い。子房には毛がある。花柱は微軟毛がある。核果はほぼ球形、溝があり、直径6~8 mm、星状毛がある。小核果 1~2個。
6 Grewia prunifolia A.Gray マリアナウオトリギ
synonym Grewia crenata (J.R.Forst. & G.Forst.) Schinz & Guillaumin
synonym Grewia mariannensis Merr. マリアナ諸島原産。
synonym Grewia novocaledonica Burret.
synonym Grewia oblongifolia Blume
クック諸島、フィジー、マリアナ諸島、ニューカレドニア、ニウエ、サモア、ソサエティ諸島、トンガ、ツアモツ、トゥブアイ島、バヌアツ、ウォリス・フツナ諸島原産。
小高木、高さ6mほど。葉は互生し、単葉、広楕円形、長さ15㎝x幅9㎝・以下、光沢のある緑色、基部は円形、先は鋭形、縁には多数の小歯がある。花は腋生の小さな密散花序につき(束生)、直径約3㎝。萼片は5個、広がり、楕円形、長さ15㎜x幅5mm・以下、先端は鋭形、上は白色、下は緑色。 雄しべは多数。花柱は先端が緑色で2裂する。果実は直径約8㎜、ほぼ球形~3裂し、黒色に熟す。
7 Grewia occidentalis L. スイレンボク 睡蓮木
synonym Grewia chirindae Baker f.
synonym Grewia microphylla Weim.
アフリカ(モザンビーク、ジンバブエ、南アフリカのクワズール・ナタール州)原産。中国名は水莲木 shui lian mu。英名はbow-wood, button-wood , crossberry , African starbush, four corners, lavender starflower。林縁、開けた林地又は低木林に生える。
低木又は小木、高さ1~2m、しばしば這う。葉は楕円形~わずかに卵形、長さ14㎝以下、対照な葉の基部から3脈があり、表面はやや光沢のある緑色、裏面は淡色、まばらに主に脈上に毛がある。葉縁は波形(ホタテ貝の縁のような)又は歯状。花は腋生、単生又は数個の束状につき、紫色(パープル)~藤色(モーブ色)~ピンク色、まれに白色、直径(1.5~)約3㎝。花弁5個、萼片5個とも表面が同色。萼片は厚く、有毛、裏面が緑色を帯びる。雄しべ多数、花糸は紅紫色、葯は黄色。雌しべ1個。果実は液果、ほとんど4裂し(4個の球がくっついた形 crossberry ,four corners)、直径約15㎜、熟すと赤褐色、食べられる。花期は5~10月。原産地のアフリカでは開花が10月~1月。(Flora of Zimbabwe)
8 Grewia piscatorum Hance ヒメウオトリギ 姫魚捕木
中国(福建省、海南省)、台湾原産。中国名は海岸扁担杆 hai an bian dan gan 。沿岸地域に生える。
低木、小さく、多数、分枝し、伸びて、細い。小枝はまばらに星状毛がある。托葉は糸状、長さ約2㎜。葉柄は長さ2~3㎜、葉身は卵形または楕円形、長さ1~2.3㎝×幅1~2㎝、ほぼ膜質、上面は無毛、乾くと帯緑色、輝き(luminous)、無毛または下面にまばらに直軟毛があり、基部の側脈は葉身の長さの約1/2、側脈は2~3対、基部は円形~わずかに心形、縁には鋸歯があり、先は鈍形かまたは短い鋭形。集散花序はほぼ頂部に腋生し、1または2個つき、通常、花が3個つく。花序柄は長さ約5㎜。小花柄は花序柄と同長、またはわずかに短い。苞は錐形、長さ2~4㎜。萼片は狭長円形、長さ5~7㎜、外面に毛があり、内面は無毛。花弁は長さ1.5~2㎜。雌雄しべ柄(androgynophore)は非常に短い。 雄しべは多数、長さ4~5㎜。子房は毛がある。花柱は無毛。核果は2または4裂し、溝がある。小核は裂片ごとに1個。
9 Grewia rhombifolia Kaneh. et Sasaki ヒシバウオトリギ 菱葉魚捕木
台湾原産。中国名は菱叶扁担杆 ling ye bian dan gan。
低木。小枝はさび褐茶色の星状綿毛がある。托葉は錐形、長さ5~7㎜。葉柄は長さ5~7mm。 葉身は菱形または卵形、まれに卵形輪形、長さ2.5~5.5×幅2~4.5cm、まばらに星状、葉脈のみ背軸に毛が生え、向軸に無光沢、側基底脈は葉身の1/2の長さ、側脈は4~5本 対になっており、基部は広楔形からほぼ円形、縁は不規則な鋸歯状、頂点はわずかに鋭角または鈍形です。 腋窩集散花序。花序柄は長さ5~8mm。小花柄は長さ5~7mm。 苞は錐形、長さ約4mm。萼片は長さ約6㎜×幅1.5~2㎜、下面は無毛、上面は星状綿毛がある。花弁は長楕形、長さ約1.5㎜、腺はほぼ円形、毛がある。雄しべは多数あり、長い絹毛が生える。子房は毛がある。花柱は無毛。 核果は2~4裂し、小核は裂片ごとに1個。花期は6月。
参考
1) Flora of ChinaGrewia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=114070
2)GRINGrewia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=5160
3) Flora of ZimbabweGrewia occidentalis
http://www.zimbabweflora.co.zw/index.php)
4) Cook Islands Biodiversity DatabaseGrewia crenata
http://cookislands.bishopmuseum.org/species.asp?id=6191