シラネニンジン 白根人参
Flora of Mikawa
セリ科 Apiaceae シラネニンジン属
別 名 | チシマニンジン |
中国名 | 黑水岩茴香 hei shui yan hui xiang |
学 名 | Tilingia ajanensis Regel. Ligusticum ajanense (Regel) Kozo-Pol. |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 10~40㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 亜高山帯~高山帯の草地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州(中部地方以北)、朝鮮、中国 |
撮 影 | 栂池自然園 07.7.27 |
シラネニンジン属、イブキゼリ属、マルバトウキ属をまとめてマルバトウキ属 Ligusticum とする説もある。
葉は2~3回羽状複葉で羽片はさらに裂け、葉先や羽片の先がやや鈍頭、ニンジンの葉に似ている。しかし、裂片の幅は1~5㎜と変異が大きく、あまり似ていない場合もある。茎葉は小さく、0~3個つく。茎頂に複散形花序を出し、白色の小花を多数つける。花は直径2~3㎜、花弁は5個。雄しべ5個、葯は紫褐色。総苞片、小総苞片ともに線形。果実は長さ約3㎜の卵形~長楕円形、広い翼は無く、隆条がほぼ均等、花柱は短く1㎜以下。2n=22
ミヤマウイキョウは裂片がさらに細く、幅1㎜以下の線状。
イブキゼリモドキは葉先や羽片の先が尖る。花弁の柄が明瞭で、葯が淡紫色。
多年草。全体に無毛、茎は直立し、上部で分枝する。葉は長い葉柄があり、1~4回3出羽状複葉または1~3回羽状複葉。小葉の分裂又は鋸歯があり、裂片は線形~卵形。花序は複散形花序、総苞片と小総苞片がある。花弁は白色。果実は卵形~長楕円形、油管は分果の背側の溝に1~3個、分果が接しあう合生面に2~4個。
世界に5(2)種あり、東アジアに分布する。
※シラネニンジン属 Tilingiaは果実の稜の張り出す程度の違いで、マルバトウキ属 Ligusticumから区別されている。Flora of China やWorld Flora Onlineではマルバトウキ属に含めている。
synonym Ligusticum ajanense (Regel) Kozo-Pol. [Flora of China]マルバトウキ属
北海道、本州(中部地方以北)、朝鮮、中国原産。中国名は黑水岩茴香 hei shui yan hui xiang。別名はチシマニンジン。
多年草。高さ10~40㎝。葉は2~3回羽状複葉で羽片はさらに裂け、葉先や羽片の先がやや鈍頭、ニンジンの葉に似ている。しかし、裂片の幅は1~5㎜と変異が大きく、あまり似ていない場合もある。茎葉は小さく、0~3個つく。茎頂に複散形花序を出し、白色の小花を多数つける。花は直径2~3㎜、花弁は5個。雄しべ5個、葯は紫褐色。総苞片、小総苞片ともに線形。果実は長さ約3㎜の卵形~長楕円形、広い翼は無く、隆条がほぼ均等、花柱は短く1㎜以下。2n=22。花期は7~8月。
1-1 Tilingia ajanensis Regel f. latisecta (Takeda) Kitag. ヒロハシラネニンジン
裂片の幅が広いもの。
1-2 Tilingia ajanensis Regel f. pectinata (Koidz.) Kitag. ホソバシラネニンジン
裂片の幅が細いもの。
1-3 Tilingia ajanensis Regel var. angustissima (Nakai ex H.Hara) Kitag. ヒメシラネニンジン
北海道の日高山脈固有変種。超塩基性岩地帯に生え、小型で高さ約20㎝以下。葉の最終裂片の幅は3mm以下。
2 Tilingia holopetala (Maxim.) Kitag. イブキゼリモドキ 伊吹芹擬
synonym Ligusticum holopetalum (Maxim.) M.Hiroe & Constance
日本固有種(北海道、本州中部以北)。山地帯から高山帯下部の草地や林縁などに生える。別名はニセイブキゼリ、コイブキゼリ。
伊吹山に産することから和名をイブキゼリとしてきたが、伊吹山にあるのはセリモドキであることが判明し、和名がイブキゼリモドキと改名された。 多年草、高さ30~100cm。茎は直立し、上部で分枝する。全体に無毛。根出葉と下部の葉には長い葉柄がある。葉は1~2回3出羽状複葉、長さ5~10cm。小葉は卵形で羽状に分裂する。茎頂又は枝先に複散形花序をつける。小散形花序は5~8個。総苞片は線形、1~2個。小総苞片は線形、数個つく。花は直径約1.5mmの小さな白色の5弁花。果実は長楕円形、油管は分果の背隆状の各溝に2~3個ずつ、合生面に4個ある。花期は8~10月。
3 Tilingia tachiroei (Franch. et Sav.) Kitag. ミヤマウイキョウ 深山茴香
synonym Ligusticum tachiroei (Franchet & Savatier) M. Hiroe & Constance [ World Flora Online]
synonym Rupiphila tachiroei (Franch. & Sav.) Pimenov & Lavrova ミヤマウイキョウ [Kew Science]
synonym Tilingia filisecta (Nakai et Kitag.) Nakai et Kitag.
日本(北海道、本州中部地方以北、四国)、朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は岩茴香 yan hui xiang。別名はイワウイキョウ、ヤマウイキョウ。
高さ10~30㎝、細く、無毛。根は円筒形。 茎は単一または多数、少し分枝または非分枝。根生葉は葉柄が長さ5~7(~12)㎝。葉身は卵形、長さ5~10㎝×幅5~7㎝、3回 羽状複葉、一次の羽片は5~7対。最終裂片は線形、長さ3~15㎜×幅0.5~1㎜。茎葉は根生葉に似ており、小さい。散形花序は頂生と側生、直径2~4㎝。 苞は2~7個、披針形、縁は白色の膜状、普通、早落性。大散形花序の柄は5~10本、不等長、長さ5~15(~40)mm。小総苞片は5~8個、苞に似ていて、花柄の長さに等しい。 萼歯は目立ち、披針形、長さ約0.5㎜。花弁は白色または帯ピンク色、基部に短い爪部がある。花柱は柱下体の長さの約2倍。果実は長円形、長さ3~4㎜×幅1~2㎜、肋が目立ち、不等し。油管は各溝に1個、合生面に2個。種子の表面はわずかに凹状になる。花期は7~8月。果期は8~9月。
4 Tilingia tsusimensis (Y.Yabe) Kitag. シマノダケ 対馬野竹
synonym Tilingia nakaiana Kitag. コウライミツバ
日本(対馬)、朝鮮原産。山地の木陰、山頂部岩角地に生える。
多年草。高さ20~70cm。茎は直立し、少数分枝する。葉は3出複葉、小葉は縁が中裂し、緑色、上面に微毛があり、下面は白緑色で無毛。花序は複散形花序、花は小さく花序は目立たない。花期は8~9月。
基部は普通、繊維状の残骸の鞘に被われる。根生葉と下部の葉は葉柄があり、鞘がある。葉身は1~3回羽状複葉または2~4回3出羽状複葉。茎葉は徐々に上部で小さくなるか、無くなる。花序は分枝し、まれに不分枝。散形花序は複合、頂生および側生または頂生のみ。苞は少数、普通、早落性または無い。大散形花序の柄はしばしばわずかに内側に曲がり、果時に収束する。小総苞片(bracteoles)は披針形または線形、全縁または先が2~3裂または1~3回羽状分裂する。萼歯は目立ち、柱下体(stylopodium)の長さと同長~短くまたは廃れる。花弁は白色、紫色、バイオレット色、または帯淡ピンク色、先はノッチがあり、先端に内側に曲がった小裂片がある。柱下体は円錐形。花柱は花の中で広がるか直立し、開花後に 後屈する。果実は長円形または長円状卵形、背側が扁平、肋はすべての突出し、または側肋は狭い翼がある。油管(vittae)は溝に(1~)2~5個、合生面に2~10個。種子は表面が平坦、まれにわずかに凹面状。分果柄(carpophore)は基部まで2裂。
世界に約60種あり、アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。中国には40種(35種が固有種)ある。
朝鮮、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はScots lovage , Scottish licorice-root
品種) 'Eastern Promise'
Ligusticum
Ligusticum
Ligusticum
山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅱ
葉は2~3回羽状複葉で羽片はさらに裂け、葉先や羽片の先がやや鈍頭、ニンジンの葉に似ている。しかし、裂片の幅は1~5㎜と変異が大きく、あまり似ていない場合もある。茎葉は小さく、0~3個つく。茎頂に複散形花序を出し、白色の小花を多数つける。花は直径2~3㎜、花弁は5個。雄しべ5個、葯は紫褐色。総苞片、小総苞片ともに線形。果実は長さ約3㎜の卵形~長楕円形、広い翼は無く、隆条がほぼ均等、花柱は短く1㎜以下。2n=22
ミヤマウイキョウは裂片がさらに細く、幅1㎜以下の線状。
イブキゼリモドキは葉先や羽片の先が尖る。花弁の柄が明瞭で、葯が淡紫色。
シラネニンジン属
family Apiaceae - genus Tilingia多年草。全体に無毛、茎は直立し、上部で分枝する。葉は長い葉柄があり、1~4回3出羽状複葉または1~3回羽状複葉。小葉の分裂又は鋸歯があり、裂片は線形~卵形。花序は複散形花序、総苞片と小総苞片がある。花弁は白色。果実は卵形~長楕円形、油管は分果の背側の溝に1~3個、分果が接しあう合生面に2~4個。
世界に5(2)種あり、東アジアに分布する。
※シラネニンジン属 Tilingiaは果実の稜の張り出す程度の違いで、マルバトウキ属 Ligusticumから区別されている。Flora of China やWorld Flora Onlineではマルバトウキ属に含めている。
シラネニンジン属の主な種と園芸品種
1 Tilingia ajanensis Regel シラネニンジン 白根人参synonym Ligusticum ajanense (Regel) Kozo-Pol. [Flora of China]マルバトウキ属
北海道、本州(中部地方以北)、朝鮮、中国原産。中国名は黑水岩茴香 hei shui yan hui xiang。別名はチシマニンジン。
多年草。高さ10~40㎝。葉は2~3回羽状複葉で羽片はさらに裂け、葉先や羽片の先がやや鈍頭、ニンジンの葉に似ている。しかし、裂片の幅は1~5㎜と変異が大きく、あまり似ていない場合もある。茎葉は小さく、0~3個つく。茎頂に複散形花序を出し、白色の小花を多数つける。花は直径2~3㎜、花弁は5個。雄しべ5個、葯は紫褐色。総苞片、小総苞片ともに線形。果実は長さ約3㎜の卵形~長楕円形、広い翼は無く、隆条がほぼ均等、花柱は短く1㎜以下。2n=22。花期は7~8月。
1-1 Tilingia ajanensis Regel f. latisecta (Takeda) Kitag. ヒロハシラネニンジン
裂片の幅が広いもの。
1-2 Tilingia ajanensis Regel f. pectinata (Koidz.) Kitag. ホソバシラネニンジン
裂片の幅が細いもの。
1-3 Tilingia ajanensis Regel var. angustissima (Nakai ex H.Hara) Kitag. ヒメシラネニンジン
北海道の日高山脈固有変種。超塩基性岩地帯に生え、小型で高さ約20㎝以下。葉の最終裂片の幅は3mm以下。
2 Tilingia holopetala (Maxim.) Kitag. イブキゼリモドキ 伊吹芹擬
synonym Ligusticum holopetalum (Maxim.) M.Hiroe & Constance
日本固有種(北海道、本州中部以北)。山地帯から高山帯下部の草地や林縁などに生える。別名はニセイブキゼリ、コイブキゼリ。
伊吹山に産することから和名をイブキゼリとしてきたが、伊吹山にあるのはセリモドキであることが判明し、和名がイブキゼリモドキと改名された。 多年草、高さ30~100cm。茎は直立し、上部で分枝する。全体に無毛。根出葉と下部の葉には長い葉柄がある。葉は1~2回3出羽状複葉、長さ5~10cm。小葉は卵形で羽状に分裂する。茎頂又は枝先に複散形花序をつける。小散形花序は5~8個。総苞片は線形、1~2個。小総苞片は線形、数個つく。花は直径約1.5mmの小さな白色の5弁花。果実は長楕円形、油管は分果の背隆状の各溝に2~3個ずつ、合生面に4個ある。花期は8~10月。
3 Tilingia tachiroei (Franch. et Sav.) Kitag. ミヤマウイキョウ 深山茴香
synonym Ligusticum tachiroei (Franchet & Savatier) M. Hiroe & Constance [ World Flora Online]
synonym Rupiphila tachiroei (Franch. & Sav.) Pimenov & Lavrova ミヤマウイキョウ [Kew Science]
synonym Tilingia filisecta (Nakai et Kitag.) Nakai et Kitag.
日本(北海道、本州中部地方以北、四国)、朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は岩茴香 yan hui xiang。別名はイワウイキョウ、ヤマウイキョウ。
高さ10~30㎝、細く、無毛。根は円筒形。 茎は単一または多数、少し分枝または非分枝。根生葉は葉柄が長さ5~7(~12)㎝。葉身は卵形、長さ5~10㎝×幅5~7㎝、3回 羽状複葉、一次の羽片は5~7対。最終裂片は線形、長さ3~15㎜×幅0.5~1㎜。茎葉は根生葉に似ており、小さい。散形花序は頂生と側生、直径2~4㎝。 苞は2~7個、披針形、縁は白色の膜状、普通、早落性。大散形花序の柄は5~10本、不等長、長さ5~15(~40)mm。小総苞片は5~8個、苞に似ていて、花柄の長さに等しい。 萼歯は目立ち、披針形、長さ約0.5㎜。花弁は白色または帯ピンク色、基部に短い爪部がある。花柱は柱下体の長さの約2倍。果実は長円形、長さ3~4㎜×幅1~2㎜、肋が目立ち、不等し。油管は各溝に1個、合生面に2個。種子の表面はわずかに凹状になる。花期は7~8月。果期は8~9月。
4 Tilingia tsusimensis (Y.Yabe) Kitag. シマノダケ 対馬野竹
synonym Tilingia nakaiana Kitag. コウライミツバ
日本(対馬)、朝鮮原産。山地の木陰、山頂部岩角地に生える。
多年草。高さ20~70cm。茎は直立し、少数分枝する。葉は3出複葉、小葉は縁が中裂し、緑色、上面に微毛があり、下面は白緑色で無毛。花序は複散形花序、花は小さく花序は目立たない。花期は8~9月。
マルバトウキ属
family Apiaceae - genus Ligusticum基部は普通、繊維状の残骸の鞘に被われる。根生葉と下部の葉は葉柄があり、鞘がある。葉身は1~3回羽状複葉または2~4回3出羽状複葉。茎葉は徐々に上部で小さくなるか、無くなる。花序は分枝し、まれに不分枝。散形花序は複合、頂生および側生または頂生のみ。苞は少数、普通、早落性または無い。大散形花序の柄はしばしばわずかに内側に曲がり、果時に収束する。小総苞片(bracteoles)は披針形または線形、全縁または先が2~3裂または1~3回羽状分裂する。萼歯は目立ち、柱下体(stylopodium)の長さと同長~短くまたは廃れる。花弁は白色、紫色、バイオレット色、または帯淡ピンク色、先はノッチがあり、先端に内側に曲がった小裂片がある。柱下体は円錐形。花柱は花の中で広がるか直立し、開花後に 後屈する。果実は長円形または長円状卵形、背側が扁平、肋はすべての突出し、または側肋は狭い翼がある。油管(vittae)は溝に(1~)2~5個、合生面に2~10個。種子は表面が平坦、まれにわずかに凹面状。分果柄(carpophore)は基部まで2裂。
世界に約60種あり、アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。中国には40種(35種が固有種)ある。
マルバトウキ属の主な種
1 Ligusticum scoticum L.朝鮮、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はScots lovage , Scottish licorice-root
品種) 'Eastern Promise'
参考
1) Flora of ChinaLigusticum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=118546
2) Plants of the World Online | Kew ScienceLigusticum
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000452-2
Tilingia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:40604-1
3) World Flora OnlineLigusticum
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000538624
4) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76: 275-287(2001) 山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅱ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_275_287.pdf