シモバシラ 霜柱

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae シモバシラ属

英 名 snow poppy , Chinese Bloodroot
学 名 Keiskea japonica Miq.
 synonym Collinsonia japonica (Miq.) Harley
シモバシラの花
シモバシラの葉
シモバシラの萼
シシモバシラの果実
シシモバシラの上部の茎
シシモバシラの茎
シモバシラ
シモバシラ花
シモバシラの葉表
シシモバシラの葉裏
シシモバシラの葉裏の腺点
シシモバシラの分果
花 期 9~10月
高 さ 40~90㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の陰地
分 布 在来種(日本固有種) 本州(関東地方以西)、四国、九州
撮 影 新城市  05.10.15
和名の由来は初冬の時期に枯草の茎に霜がつき、霜の柱が出来ること由来する。学名は従来のKeiskea japonicaとしているが、シモバシラ属(Keiskea)が、アメリカに分布するコリンソニア属(Collinsonia)に統合されるようになったため、現在ではWFOなどはCollinsonia japonicaである。YlistやFlora of ChinaはKeiskea japonicaを採用している。
 茎は断面が四角形、下向きに曲がった毛があり、花序軸には毛が多く、腺点もある。葉は長さ6~20㎝の長卵形~長楕円形、鋸歯縁。葉裏には腺点が密生する。茎頂に花穂を伸ばし、花は花序の片側にそろってつく。花冠は長さ約7㎜の白色~淡紅色の唇形、上唇は2浅裂し、下唇は3浅裂する。下唇の内側に白毛がある。雄しべ4個、長さは花冠の約2倍。葯は紫紅色。萼には白毛と黄色の腺点があり、萼の内面に長い白毛があり、花冠との間に毛先が見え、萼は果時にも果実を包んで残る。果実は4分果、分果の数が少ないことも多い。分果は直径約2㎜のほぼ球形、表面に網目模様がある。2n=20。
 花冠の淡紅色の品種をウスベニシモバシラという。

シモバシラ属

  family Lamiaceae - genus Keiskea

 草本又は亜低木。葉は葉柄があり、歯がある。輪散花序は花が2個、頂生と腋生の総状花序につく。苞は宿存し、やや緩く又は覆瓦状につく。萼は鐘形、まばらに毛があり、のど部は歯の切れ込みに毛の房があり又は直軟毛が環状につく。萼歯は5個、ほぼ等長又は後ろ側の歯が小さい。花冠は白色、黄色、又は紫色。花冠筒部は漏斗形~ほぼ円筒形、環状になる。上唇は2裂、下唇の中裂片は平ら、円形の側裂片より長い。雄しべは4本、突き出し又は、まれに突き出さず、前側の2本は長い。、花糸は分離、無毛、歯がない。葯室は2個、散開し、先は合流する。花柱は糸状、先は2裂、裂片は錐形又は±線形、等長又は不等長。小堅果はほぼ球形、無毛。
 世界に6種があり、中国に5種、日本に1種分布する。

シモバシラ属の主な種と園芸品種

1 Keiskea japonica Miq.  シモバシラ 霜柱
  synonym Collinsonia japonica (Miq.) Harley   synonym Keiskea japonica Miq. var. hondoensis Nakai ex H.Hara
 日本固有種(本州の関東地方以西、四国、九州)。英名はsnow poppy , Chinese Bloodroot
 多年草、高さ40~90㎝。茎は断面が四角形、下向きに曲がった毛があり、花序軸には毛が多く、腺点もある。葉は長さ6~20㎝の長卵形~長楕円形、鋸歯縁。葉裏には腺点が密生する。茎頂に花穂を伸ばし、花は花序の片側にそろってつく。花冠は長さ約7㎜の白色~淡紅色の唇形、上唇は2浅裂し、下唇は3浅裂する。下唇の内側に白毛がある。雄しべ4個、長さは花冠の約2倍。葯は紫紅色。萼には白毛と黄色の腺点があり、萼の内面に長い白毛があり、花冠との間に毛先が見え、萼は果時にも果実を包んで残る。果実は4分果、分果の数が少ないことも多い。分果は直径約2㎜のほぼ球形、表面に網目模様がある。2n=20。花期は9~10月。
1-1 Keiskea japonica Miq. f. rubra Kigawa  ウスベニシモバシラ 薄紅霜柱
 花冠の淡紅色の品種。

2 Keiskea macrobracteata Masam.  タイワンシモバシラ 台湾霜柱
  synonym Collinsonia macrobracteata (Masam.) Harley
 台湾原産。中国名は大苞偏穗花 da bao pian sui hua

コリンソニア属

  family Lamiaceae - genus Collinsonia

 多年草、しばしば、柑橘類の香りがある。葉はかなり大きく、対生又は類輪生、粗い歯がある。花序は花が2個の輪散花序、総状花序状、小苞は無い。苞は普通、小さく、宿存する。萼は鐘形、萼片はしばしばほぼ等長、披針状錐形~デルタ形、ときに後ろ側の唇は短く、中裂片はまれに微小、萼片はしばしば果時の上側に曲がり、萼筒には不明瞭な(5~)10脈があり、のど部に毛があり、しばしば環状になる。花冠は白色、黄色、又は帯紫色。前側の唇(下唇)は中裂片が平らで全縁~不規則に切れ込み、花冠筒部は漏斗形~ほぼ円筒形、環状又は環状でなく、普通、長く突き出る。雄しべは4本、2強雄しべ(後ろ側の2本は短いか、仮雄しべ)、長く突き出し、まれに突き出ない。半葯は散開~弱く散開、しばしば先がわずかに合流する。小堅果は未熟により1(~2)個、球形~ほぼ球形、無毛、平滑又はかすかに網目がある。2n=50,52。
 世界に約10種あり、北アメリカ東部に4種、中国と日本に約6種、台湾に1種分布する。

コリンソニア属の主な種と園芸品種

1 Collinsonia canadensis L. コリンソニア・カナデンシス
 北アメリカ東部(USA、カナダ)原産。英名はhorse balm , Stoneroot , Richweed。
 多年草。高さ60~90(120)㎝、しばしば群生する。硬い木質の根茎があり以前は薬用に使われた。茎は普通、分枝せず、淡緑色、4稜形、稜は鈍く、面に浅い溝があり、無毛又は短毛がある。葉はつぶすとレモン又はシトロネラの香りがあり、お茶に使われる。葉は長さ5~15㎝×幅3.8~10㎝の卵形、縁に大きな鋭い歯があり、上面は緑色~濃緑色、無毛~まばらに短毛があり、下面は薄い灰緑色、無毛~まばらに毛があり、腺点がある。葉柄は長さ1.3~5㎝、薄緑色、無毛~短毛がある。ときに最上部の葉は無柄又はほぼ無柄になる。花序は頂生、穂状花序状の総状花序又は側枝を出してピラミッド状の円錐花序状になり、小さな花を多数つける。円錐花序は長さ20㎝×幅15㎝・以下。花序軸は薄緑色、鈍い4稜形、面に浅い溝があり、無毛~短毛がある。花柄は長さ約3mm又はそれよりわずかに長く、薄緑色、短毛がある。苞は小さく、狭く、緑色、長さ3mm以下、早落性。花は長さ8~13㎜。萼は微細な毛と腺点があり、短い筒形~鐘形、緑色、10本の縦のうねがあり暗緑色。萼歯は5個、下側の2歯は上側の歯より長く、線状披針形、上の3歯は線状デルタ形。花冠は主にクリーム色~黄色、2唇形、基部は細い筒状、口部は広がりトランペット形、広がった5裂片がある(上側2個、側部に2個、下側に大きな1個)。上裂片と側裂片はどちらも楕円形~楕円状ダルタ形、下裂片はバイオリン形、白色、外側に強いフリンジ(房飾り)がある。ときに、花冠の上側や中間の裂片に帯赤色の縞や棒があり、下側の裂片の基部に色あせた赤色のパッチや縞がある。花冠ののど部は高さより少し広く、細かい白毛のパッチがある。2本の稔性の雄しべが長く突き出し、花糸は白色、薄黄色又は薄緑黄色、稔性の葯は白色又は薄黄色。花柱もまた、長く突き出し、細く暗赤色、普通雄しべの側に曲がる。小堅果は0~2個、大きくなった咢の中で発達し、直径約1.5㎜、はぼ球形だが、やや扁平、暗褐色。花期は8~9月。
品種) 'Cumberland'

参考

1) Flora of China
 Keiskea
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=117022
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Keiskea⇒Collinsonia L.
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:328177-2
3) World Flora Online
 Collinsonia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000008942
4) Illinois Wildflowers
 Richweed Collinsonia canadensis
http://www.illinoiswildflowers.info/woodland/plants/richweed.html