シバハギ 芝萩

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Flora of Mikawa

マメ科  Fabaceae シバハギ属

別 名 クサハギ、タチゲシバハギ
中国名

假地豆 jia di dou

英 名 Asian tick trefoil
学 名 Grona heterocarpa (L.) H.Ohashi et K.Ohashi
 synonym Desmodium heterocarpon (L.) DC.
シバハギの花序
シバハギの花
シバハギの花と萼
シバハギの葉裏
シバハギ
シバハギの葉
花 期 7~10月
高 さ 30~150㎝
生活型 常緑低木、亜低木
生育場所 草地、斜面、水辺、茂み、林内
分 布 在来種 本州(静岡県以西)、四国、九州、沖縄、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、スリランカ、タイ、カンボジア、ベトナム、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、アフリカ(タンザニア)、オーストラリア、太平洋諸島
撮 影 豊川市  16.8.26
マメ科ハギ属に似ているが、シバハギ属であり、花が小さく、果実が節果。
 低木~亜低木。直立又は平伏、高さ30~150㎝、基部で多数、分枝する。葉は3小葉、葉柄は長さ1~2㎝、わずかに短毛がある。頂小葉の葉身は楕円形~狭楕円形~広倒卵形、長さ2.5~6㎝、幅1.3~3㎝。葉裏は白色の伏毛があり、葉表は無毛。葉の基部は鈍形、葉先は円形~鈍形~凹形~微突形。総状花序は頂生又は腋生、長さ2.5~7㎝、花軸には白色の長いかぎ状毛又は黄色や白色の伏した直毛がある。花序の花は密生する。花柄は長さ3~4㎜。萼は長さ1.5~2㎜、4裂し、裂片は先にわずかに2歯がある。花冠は紫色~紫赤色、又は白色、長さ約5㎜。旗弁は倒卵状長楕円形、短く、爪状。翼弁は倒卵形、明瞭、爪状。竜骨弁は極端に曲がり、先は鈍形。果序は豆果が密生する。豆果は直立し、狭長楕円形、長さ1.2~2㎝、幅2.5~3㎜、上部の縫合は浅く波打ち、両側の縫合にかぎ状毛があり、5~8個の四角形の小節果に分かれる。

シバハギ属

  family Fabaceae - genus Grona

 亜低木または草本、ときに低木。葉は1小葉、3小葉、または1~3小葉、葉柄がある。托葉は離生、ほぼ対称。小葉は葉枕があり(pulvinate)、托葉があり、紙質またはほぼ革質、縁は全縁、側脈は普通、縁に到達しない。小托葉(stipels)は錐形。花序は頂生または頂生および腋生、またはごくまれに葉に対生し、ほとんどが総状花序または円錐花序であり、まれに束生する。花は緩くまたは密につき、普通、各節に花が2~4個つく。苞は普通、早落性、薄膜質、条線がある。二次の苞は無い。小苞は無い。萼は鐘形、4または5裂し、2唇形。上側の2個の裂片は分離、または様々な度合いに先の2歯が合着し、外側の裂片は普通、側裂片より長く、尖鋭形。旗弁は普通、広倒柄案形~ほぼ円形、先は円形またはしばしば凹形、基部は先細になるか、またはしばしば突然狭くなり、耳は無い。翼弁は竜骨弁より長くなく、普通内曲し、先は円形または鈍径。竜骨弁はほとんど内曲し、先は鈍形、まれに円形またはほぼ鋭形で、嘴は無く、爪部は翼弁の爪部より長い。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)、旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は分離。葯は均一。子房はほとんど無柄で、基部の周りに盤は無い。柱頭は頂生、わずかに頭状。節果(loments)は、無柄または有柄、扁平またはまれにわずかに膨れ、3関節以上あり、多かれ少なかれ厚くなり、小節果(articles)の間は連続的またはわずかにくびれ、小節果は小型、半円形~四角形、ときに楕円状長円形、外側の縫合線がわずかにまたははっきりとくびれ、側面に鈎をもつ毛がある。種子は扁平、側面から見るとほとんどが広楕円状長円形またはほぼ円形であり、へその周りにはっきりと縁仮種皮(rim-arillate)がある。
 世界に47種あり、世界の熱帯、亜熱帯地域に分布する。

1 Grona heterocarpa (L.) H.Ohashi et K.Ohashi シバハギ 芝萩
  synonym Desmodium heterocarpon (L.) DC. var. patulepilosum (Ohwi) Ohwi
  synonym Desmodium heterocarpon (L.) DC. var. buergeri (Miq.) Hosok.
  synonym Desmodium heterocarpon (L.) DC.
  synonym Desmodium heterocarpon subsp. heterocarpon
 日本(本州の静岡県以西、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、ブータン、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は假地豆 jia di dou。英名はAsian tick trefoil。別名はクサハギ、タチゲシバハギ。草地、斜面、水辺、茂み、林内に生える。
 低木~亜低木。直立又は平伏、高さ30~150㎝、基部で多数、分枝する。葉は3小葉、葉柄は長さ1~2㎝、わずかに短毛がある。頂小葉の葉身は楕円形~狭楕円形~広倒卵形、長さ2.5~6㎝、幅1.3~3㎝。葉裏は白色の伏毛があり、葉表は無毛。葉の基部は鈍形、葉先は円形~鈍形~凹形~微突形。総状花序は頂生又は腋生、長さ2.5~7㎝、花軸には開出する白色の長い鈎状毛ある。花序の花は密生する。花柄は長さ3~4㎜。萼は長さ1.5~2㎜、4裂し、裂片は先にわずかに2歯がある。花冠は紫色~紫赤色、又は白色、長さ約5㎜。旗弁は倒卵状長楕円形、短く、爪状。翼弁は倒卵形、明瞭、爪状。竜骨弁は極端に曲がり、先は鈍形。果序は豆果が密生する。豆果は直立し、狭長楕円形、長さ1.2~2㎝、幅2.5~3㎜、上部の縫合は浅く波打ち、両側の縫合にかぎ状毛があり、5~8個の四角形の小節果に分かれる。花期は7~10月。果期は10~12月。
1-1 Grona heterocarpa (L.) H.Ohashi et K.Ohashi var. strigosa (Meeuwen) H.Ohashi et K.Ohashi   
  synonym Desmodium heterocarpon (L.) DC. var. strigosum Meeuwen
 中国、台湾、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は糙毛假地豆 cao mao jia di dou。
 花軸には密に帯黄色または白色の真っすぐな伏毛がある花期は7~10月。果期は10~11月。
2 Grona heterophylla (Willd.) H.Ohashi et K.Ohashi  カワリバマキエハギ 変葉蒔絵萩
  synonym Desmodium heterophyllum (Willd.) DC.
 日本(南西諸島)、中国、台湾、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム。 オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は异叶山蚂蝗 yi ye shan ma huang。沖縄、小笠原で見られる。川沿い、道端、畑の縁、草原などに生える。
 多年草、平伏または斜上し、高さ10~70cm。若い部分に開出毛がある。葉は3小葉、しばしば下部に1小葉の葉が混じる。葉柄は長さ0.5~1.5cm。頂小葉の葉身は広楕円形または広楕円状倒卵形、長さ1~3cm×幅0.8~1.5cm、基部は鈍形、先は円形またはほぼ切形、しばしば凹形。花は、葉腋に単生または双生し、または花軸に2~3個が散在する。小花柄は長さ1~2.5cm。萼は5深裂し、上側の2つの裂片は基部の近くで深く切れ込み、絨毛と微細な鈎状毛がある。花冠は紫赤色~白色、長さ約5mm。旗弁は広倒卵形。翼弁は卵形または狭楕円形で、短い耳がある。竜骨弁はわずかに曲がり、短い爪部がある。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)。子房は伏毛がある。節果は狭い長円形、真っすぐまたは曲がり、長さ1.2~1.8cm×幅約3mm、下側の縫合は深く波打ち、上側の縫合は真っすぐ、3~5節(接合)があり、扁平。小節果は広長円形または正方形、長さ3.5~4mm、無毛になり、網状脈がある。花期および果期は7~10月。2n=22。

3 Grona triflora (L.) H.Ohashi et K.Ohashi  ハイマキエハギ 這蒔絵萩
  synonym Desmodium triflorum (L.) DC.
  synonym Hedysarum triflorum L.
 中国、台湾、カンボジア、インド、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、南北アメリカ、南西アジア、オーストラリア、太平洋諸島の熱帯原産。中国名は三点金 san dian jin。USA南部など熱帯地域に帰化し、沖縄や小笠原で見られる。荒れ地、草地、道端、川沿い、砂質土壌に生える。
 多年草、平伏し、高さ10~50㎝、開出毛がある。葉は3小葉。葉柄は長さ約5mm。頂小葉の葉身は倒心形、円形、倒卵形、長さ2.5~10mm×幅2.5~10mm、基部はくさび形、先は切形、わずかに凹形。 花は単生または葉腋に2~3個つく。小花柄は長さ3~8mm、果時に1.3cmに伸びる。萼は密に絨毛があり、5深裂する。萼片は狭い披針形、咢筒より長い。花冠は紫赤色、萼ほぼ同じ長さ。旗弁は倒心形、基部は漸尖し、長い爪部がある。翼弁は楕円形、短い爪部がある。竜骨弁はわずかにかま形、翼弁より長く、曲がり、長い爪部がある。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)。節果は狭い長円形で、わずかにかま形、扁平、長さ5~12㎜×幅約2.5mm、下側の縫合は波打ち、上側の縫合糸は真っすぐ、3~5節がある。小節果はほぼ正方形で、短く、鈎状毛があり、網目状の脈がある。花期および果期は6~10月。2n=22。

参考

1) Flora of China
 Desmodium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=109693
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Grona
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:22526-1
3) World Flora Online
 Desmodium
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000011206;jsessionid=F6CB053EEF22D9165E7DFBC095A248A2
4) 植物研究雑誌 第66巻 第1号 14-25 (1991)
 Desmodium heterocarpon (L.) DC.の分類学的問題 , 大橋広好
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_066_14_25.pdf
5) 植物研究雑誌 第93巻 第2号 104-120(2018)
 大橋広好,大橋一晶:マメ科シバハギ属の新学名 Grona
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-2_104-120.pdf
6) World Checklist of Vascular Plants(WCVP)
 Grona
https://wcvp.science.kew.org/