セリモドキ 芹擬

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae セリモドキ属

別 名 タニセリモドキ
学 名 Dystaenia ibukiensis (Y.Yabe) Kitag.
セリモドキ花
セリモドキ鞘
セリモドキ葉
セリモドキ
花 期 7~9月
高 さ 60~80㎝
生活型 多年草
生育場所 山地
分 布 在来種(日本固有種) 本州(近畿地方以北)
撮 影 伊吹山  02.8.2
セリモドキはセリ科セリモドキ属の日本固有種。
 多年草。高さ60~80㎝。茎は直立し、上部で分枝する。葉は質がやや厚く、2~3回羽状複葉、小葉は不規則に分裂する。葉の表面は無毛、葉縁及び裏面脈上に短毛があることもある。頂小葉の基部は狭い楔形。大散形花序に、小さな白色の5弁花を多数つける。大散形花序の柄はほぼ同長で、10~30本。花柄の内側にも白色の短毛がある。萼歯は長三角形。総苞片は幅が狭く、小総苞は線形、有毛、ともに数は少ない。果実は長さ4~5㎜の卵状惰円形、隆条はすべて翼となり、背隆状の翼の幅は均等、側隆条の幅は背隆条より広い。花期は7~9月。
 タニセリモドキはセリモドキの葉の切れ込みの深いものをいうが、今は区別されていない。
 誤認しやすいヤマゼリは葉の切れ込みが規則的で質が薄い。また、大散形花序の柄がやや不均等で数が少ない。果実の側隆条の翼が幅広く、均等でない。
 ガイドブックに載っているニセイブキゼリTilingia holopetala (Maxim.) Kitag. は伊吹山には存在せず、伊吹山のものはセリモドキの誤り。ニセイブキゼリの分布の西限は福井県荒島岳である。

セリモドキ属

  family Apiaceae - genus Dystaenia

 多年草、太い根をもつ。葉は2~3回羽状複葉、葉柄があり、柄の下部は鞘状になって広がる。小葉は質が薄く、卵形、粗い切れ込みがある。複散形花序に総苞片、小総苞片がある。花は両性で白色、萼歯は極めて明瞭。果実は楕円形でやや扁平。分果の背隆条は細くて高く(薄い幅広の翼状)、互いに離れ、側隆条は背隆条よりさらに広い。油管は多数つき、数が多く不規則であり、太さも様々。
 世界に2種あり、日本、朝鮮に分布する。

セリモドキ属の主な種と園芸品種

1 Dystaenia ibukiensis (Y.Yabe) Kitag.  セリモドキ 芹擬
  synonym Ligusticum ibukiensis generic Yabe マルバトウキ属
 日本固有種(本州の近畿地方以北)。別名はタニセリモドキ。山地に生える。
 多年草。高さ60~80㎝。茎は直立し、上部で分枝する。葉は質がやや厚く、2~3回羽状複葉、小葉は不規則に分裂する。葉の表面は無毛、葉縁及び裏面脈上に短毛があることもある。頂小葉の基部は狭い楔形。大散形花序に、小さな白色の5弁花を多数つける。大散形花序の柄はほぼ同長で、10~30本。花柄の内側にも白色の短毛がある。萼歯は長三角形。総苞片は幅が狭く、小総苞は線形、有毛、ともに数は少ない。果実は長さ4~5㎜の卵状惰円形、隆条はすべて翼となり、背隆状の翼の幅は均等、側隆条の幅は背隆条より広い。花期は7~9月。

2 Dystaenia takeshimana (Nakai) Kitag. タケシマシシウド
  synonym Angelica takesimana Nakai
 日本の島根県隠岐島の中ノ島、朝鮮半島の東にある鬱陵島に分布する。日本の生育地は2012年に隠岐郡海士町指定天然記念物「タケシマシシウド群落」として指定されている。
 多年草、高さ150~200㎝。葉柄は短く、基部の鞘は茎を抱く。葉は2~3回羽状複葉。小葉は卵形(頂小葉は広披針形)、縁に粗い不規則な鋸歯がある。セリモドキとは葉の下面の細胞壁に違いがある。散形花序は直径20㎝、長さ6~10㎝、無毛。果実は楕円形。花期は6~7月。果期は8~9月。

参考

1) Flora of China
 Dystaenia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=118546
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Dystaenia
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:39949-1
 Dystaenia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:40604-1
3) World Flora Online
 Dystaenia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012844
4) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76: 275-287(2001)
 山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅱ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_275_287.pdf