サトイモ 里芋

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Flora of Mikawa

サトイモ科 Araceae サトイモ属

中国名 芋 yu , 野芋 ye yu
英 名 taro , wild taro , Elephant's Ear , dasheencocoyam , dasheen , eddo
学 名 Colocasia esculenta (L.) Schott
サトイモの葉芽
サトイモの葉芽2
サトイモの葉
サトイモ
花 期 8~9月
高 さ 25~80㎝
生活型 多年草
生育場所 栽培種
分 布 外来種 中国、台湾、アッサム、バングラデシュ、東ヒマラヤ、インド、ラオス、マラヤ、ミャンマー、ネパール、スマトラ原産
撮 影 西尾市  21.4.4
サトイモはタロイモの一種であり、タロイモは世界中で食用に栽培されている根菜類である。サトイモはイモだけでなく、葉柄も食べられる野菜でもある。サトイモは狭義にはColocasia esculentaを指し、原産地不明の栽培種である。原産地はインド~中国、東南アジアの一部、太平洋諸島、オーストラリアなどと推定されている。日本でも各地で自生が確認されているが、日本の自生種は全て3倍体であり、国外で栽培されていたものが、日本へ持ち込まれたものと考えられている。日本のサトイモは種子ができず、花もほとんど見られない。現在では多くの品種が日本各地で栽培され、3倍体品種だけでなく、2倍体品種もある。
 根茎は垂直~水平、塊茎は直径は3~5㎝又はそれ以上(15㎝以下)。匍匐茎は長い又は無い。葉は2又は3枚又はそれ以上。葉柄は緑色、長さ25~80㎝、鞘は長さの1/3~2/3。葉身は上面が艶のないワックス状で防水(水がときに水銀滴状になり)、長円状卵形~ほぼ円形、長さ13~45㎝×幅10~35㎝、基部は浅い心形(湾入は1~4㎝)、先は短い尖頭。花序柄は普通、単生、長さ16~26㎝。仏炎苞は筒部が緑色、長さ3.5~5㎝×幅1.2~1.5㎝。拡大部は下部が開き、クリーム色~黄金色、披針形又は楕円形、長さ10~19㎝×幅2~5㎝、先は尖鋭形。肉穂花序は雌ゾーンが円錐形、長さ3~3.5㎝×幅約1.2㎝。子房は直径1~3mm。柱頭はほぼ無柄、子房の先より幅が狭い。不稔のゾーンは狭い円筒形、長さ3~3.3㎝。不稔の花(雌しべ)は細長い上部から見られ、直径約0.5mm。雄ゾーンは円筒形、長さ4~6.5㎝×幅約7mm。花序付属体(appendix)は狭円錐形、長さ15~45mm×幅約2mm。液果は緑色、長さ約4mm。種子は少数。集葯雄しべは高さ約1mm、直径約0.8mm。花期は8月下旬~9月上旬頃。

サトイモ属

  family: Araceae - genus Colocasia

 多年草、休眠期があるか又は常緑、小型、中型、又は巨大、乳液をもつ。茎は地下性で類球形又は類円筒形の塊茎、又はほとんど地上生で大型。葉は数枚、無茎植物ではロゼットになり、樹枝状の種では頂部が樹冠状になる。葉柄は無毛、ときに著しく粉白を帯び、まれに有毛、葉鞘はかなり長い。葉身は盾状、卵状心形~ 矢じり状心形、下面は無毛、粉白を帯び、白粉で覆われ、まれに直軟毛があり、後の裂片は円く、短く~ほぼ全体が合着し、基部の肋はよく発達する。1次側脈は羽状、亜葉縁脈を作り、1又は2本の葉縁脈があり、2次及び3次側脈は広角度で1次脈から生じて葉縁に向かって強くアーチ状になり、不明瞭な1次葉縁脈(interprimary collective veins)を形成する。高次の葉脈は網状。花序は各花の仮軸(floral sympodiu)ごとに1個~多数つき、葉をつける。花序柄は葉柄よりほとんど短い。仏炎苞(spathe)は筒部と拡大部の間でくびれ、ときに肉穂花序(spadix)の上に弱い2次のくびれをもつ。筒部は果時に宿存して大きくなり、その後先から不規則に裂けて開き、巻き込んだ縁をもち、普通、拡大部よりかなり短く、卵形又は長円形。拡大部は花時に直立して残り、±巻かれ、又はそれから後屈し、その後脱落し、白色又は黄色、ごく狭い披針形~長円形~舟形。肉穂花序は無柄、仏炎苞より短い。雌性ゾーンは短く、不稔の雄花の狭いゾーンにより別れ、又は雄ゾーンに隣接する。雄ゾーンは円筒形~紡錘形。頂部の花序付属体(appendix)は直立し、±平滑、狭い円錐形~紡錘形~錐形、ときに減じて小さい微突形の突起になり又は欠く。花は単性、裸か。子房は卵形又は長円形、1室。胚珠は多数、半直交性(hemiorthotropous)。珠柄(funicles)は比較的、長い。胎座は2~5個、側膜胎座。花柱の領域は短く、狭く又は狭くなく、ときに±欠く。柱頭は円盤状頭状又は弱く分裂。雌しべ内仮雄しべ(interpistillar staminodes:肉穂花序の雌花に見られる仮雄しべ)はいくつかの種にあり、弱いこん棒形、関連する雌しべと等長。不稔の花(synandrodes=sterile flowers)はあれば凹んだ倒ピラミッド形、側部が扁平、切形。雄花は3~6雄しべ(androus)。雄しべは合着し、±切形の集葯雄しべ(synandrium)となる。半葯は側着、長円状線形、先の穴から裂開する。花序は直立又は花序柄が曲がって低くなる。果実は帯緑色~帯白色、又は鈍い橙色、倒円錐形又は長円形、強い果実臭のある液果、多数の種子をもつ。柱頭の残物が宿存する。種子は小さく、卵形~楕円形、種皮は厚く、肋がある。胚は軸状、円筒形、胚乳は豊富。
 世界に約20種あり、熱帯、亜熱帯のアジアに分布する。英名はtaro , dasheen

サトイモ属の主な種と園芸品種

1 Colocasia affinis Schott,
 中国、バングラデシュ北部、インド北東部、ミャンマー、ネパール原産。中国名は卷苞芋 juan bao yu。英名はElephant Ear。
品種)  'Jenningsii' , 'Roquefort'
2 Colocasia antiquorum Schott ヤマサトイモ 山里芋
  synonym Colocasia esculenta (L.) Schott var. antiquorum (Schott) C.E.Hubb. et Rehder 
  synonym Colocasia antiquorum Schott  ...KewscienceやPlantNETなどではサトイモに含めている
 中国、インド、ラオス、ミャンマー、タイ原産。中国名は滇南芋 dian nan yu。英名はArabian cocoa root。
 多年草、地上生、匍匐茎(ストロンのランナー)をもち、根茎は普通、直立する。根茎は長さ120~135㎝×幅12~18㎝。匍匐茎(ストロンのランナー)は6~12本、水平に這い、淡緑色~淡紫色、単純で細く長さ70~80㎝×幅約0.5㎝。節間は円筒形、長さ15~25㎝、塊茎は無い。葉は4~8枚、集まってつく。葉柄は薄緑色~赤紫色、長さ55~140㎝、基部の1/2に鞘がある。葉身は下面が淡緑色~黄緑色、ときに縁が紫色。上面は緑色~黄緑色、光沢があり、可湿性(水が均一にコーティングされる)、盾状、卵状心形~矢じり状心形、長さ30~80㎝×幅18~70㎝、膜質。一次側脈は5~9本、淡緑色又は紫色、一次内脈は不明瞭。花序は3~5(6)個。花序柄は緑色又は紫色、円筒形又は類3稜形、葉柄より短く、長さ40~70㎝×幅1.5~2㎝。仏炎苞は筒部と拡大部の間でくびれる。筒部は黄緑色又は紫色、長円形、長さ4~12㎝幅1.4~4.5㎝、ほぼ円筒状。拡大部は基部が巻き込み、ほぼ直立~後屈し、山吹色(golden yellow)、ときに縁が紫色になり、長円形、長円状卵形、又は倒卵形、長さ7~24㎝×幅4~14㎝、先は鈍形又は鋭形。肉穂花序は無柄、仏炎苞より短い。雌ゾーンは山吹色、円筒形、長さ2~3㎝×幅0.3~0.75㎝ 、肉穂花序の長さの約1/2cm、少数の雌しべ内仮雄しべ(interpistillar staminodes)をもつ。雌花は倒卵形。子房は1室。胎座は2個。柱頭は無柄又はほぼ無柄、円盤状、6裂。不稔ゾーンは帯白色、円筒形、長さ1~5㎝×幅0.3~1.8㎝。不稔の花(synandrodes)は凹んだ倒ピラミッド形。雄ゾーンは黄色、円筒形、長さ3.5~14㎝×幅0.4~1.5㎝。集葯雄しべ(synandria) は雄しべが3~10個(androus)、黄色、長さ1~2mm。花序付属体(appendix)(ppendix)は無いか又は狭い円錐形、長さ約5㎝。果実は見られない。花期は5~9月。2n=28。
2-1 Colocasia antiquorum Schott var. toonoimo T.Itô  トウノイモ 唐芋
  synonym Colocasia tonoimo Nakai
 京野菜の1つ。別名は京芋。いもの形がエビのように曲がる。
品種) エビイモ(海老芋) , 海老芋赤茎 , 赤カラトリ , 白カラトリ , 仁芋

3 Colocasia esculenta (L.) Schott  サトイモ 里芋
  synonym Colocasia konishii Hayata  サトイモモドキ 
  synonym Colocasia formosana Hayata  サトイモモドキ
  synonym Colocasia antiquorum Schott ヤマサトイモ ...KewscienceやPlantNETなどの見解。Kewscienceでは含めない。
  synonym Colocasia esculenta var. stolonifera (Haines) H.B.Naithani
 中国、台湾、アッサム、バングラデシュ、東ヒマラヤ、インド、ラオス、マラヤ、ミャンマー、ネパール、スマトラ原産。中国名は芋 yu , 野芋 ye yu。英名はtaro , wild taro , Elephant's Ear , dasheencocoyam , dasheen , eddo。茎の地下の塊茎(いも)と葉柄(ずき)を食用にする。世界中で栽培されている。原産地はKewscienceに従った。GRINではオーストラリアを原産地にしている。
【Flora of Chinaの解説】
 中国各地、台湾がおそらく原産地であり、世界中の熱帯、亜熱帯で広く栽培されている。
 根茎は垂直~水平、塊茎は直径は3~5㎝又はそれ以上(15㎝以下)。匍匐茎は長い又は無い。葉は2又は3枚又はそれ以上。葉柄は緑色、長さ25~80㎝、鞘は長さの1/3~2/3。葉身は上面が艶のないワックス状で防水(水がときに水銀滴状になり)、長円状卵形~ほぼ円形、長さ13~45㎝×幅10~35㎝、基部は浅い心形(湾入は1~4㎝)、先は短い尖頭。花序柄は普通、単生、長さ16~26㎝。仏炎苞は筒部が緑色、長さ3.5~5㎝×幅1.2~1.5㎝。拡大部は下部が開き、クリーム色~黄金色、披針形又は楕円形、長さ10~19㎝×幅2~5㎝、先は尖鋭形。肉穂花序は雌ゾーンが円錐形、長さ3~3.5㎝×幅約1.2㎝。子房は直径1~3mm。柱頭はほぼ無柄、子房の先より幅が狭い。不稔のゾーンは狭い円筒形、長さ3~3.3㎝。不稔の花(雌しべ)は細長い上部から見られ、直径約0.5mm。雄ゾーンは円筒形、長さ4~6.5㎝×幅約7mm。花序付属体(appendix)は狭円錐形、長さ15~45mm×幅約2mm。液果は緑色、長さ約4mm。種子は少数。集葯雄しべは高さ約1mm、直径約0.8mm。花期は春~晩秋、2~4月(中国南部)又は8~9月(中国北部)。2n=26, 28, 30, 36, 38, 42, 44, 46, 48, 52, 58, 84, 116。

【Flora of North Americaの解説】
Colocasia antiquorum Schotをsynonymとする。
北アメリカ、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ、アジア、アフリカ、太平洋諸島、オーストラリアで栽培されている。
 球茎は地下にあり、でんぷん質。ストロンは長く、表面やその近くに節をもち、水平に広がる。葉柄は緑色、しばしば、先が紫色になり、長さ30~80(~180) ㎝、スポンジ状で隙間は空気で満たされる。葉身は上面が緑色~暗緑色、又は粉白を帯びた青緑色、普通、葉柄の接合点に赤色又は紫色の斑点をもち、盾状、長さ17~70㎝×10~40㎝、1次側脈は平行、2次側脈は網状、1次側脈の間に集団脈(collective vein)を作り、先は微突形。仏炎苞は長さ20~35㎝、筒部は緑色。拡大部は外側が橙色、筒部より3倍以上長く、花期に基部が開き、先が後屈し、肉穂花序を露出する。肉穂花序は長さ9~15㎝。雌花は豆緑色(pea green)、白色の退化した雌しべを散在する。子房は1室。胚珠は36~67個。不稔の花は白色~淡黄色。雄花と不稔の先端は淡橙色、雄しべは3~6本、合着する。果実は橙色。種子は長さ1~1.5mm、野生では観察されない。2n = 28, 42(東半球)。花期は晩春~晩秋。
品種)  'Bikini-tini' , 'Black Beauty' , 'Black Coral' (Royal Hawaiian Series) , 'Black Magic' , 'Black Marble' , 'Black Ruffles' , 'Black Runner' , 'Black Sapphire Gecko' , 'Bloody Mary' , 'Blue Hawaii' (Royal Hawaiian Series) , 'Bun Long' , 'Burgundy Stem' , 'Chiba-maru' , 'Chicago Harlequin' , 'Chinese Eddoe' , 'Coal Miner' , 'Diamond Head' (Royal Hawaiian Series) , 'Eddoa' , 'Elena' , 'Elepaio' , 'Elepaio Keiki' (v) , 'Emerald' , 'Euchlora' , 'Fontanesii' , 'Fukugashira' , 'Globulifera' , 'Hawaiian Eye' (Royal Hawaiian Series) , 'Hawaiian Punch' (Royal Hawaiian Series) , 'Hilo Bay' (Royal Hawaiian Series) , 'Hilo High Colour' , 'Illustris' , 'Jack's Giant' , 'Japanese Cranberry' , 'Kakakura ʻUlaʻula' , 'Kalo' , 'Kona Coffee' (Royal Hawaiian Series) , 'Lemon Lime Gecko' , 'Lemonade' , 'Lime Aide' , 'Little Black Magic' , 'Luyutou 1' , 'Madeira' , 'Maea' , 'Mammoth' , 'Maui Gold' (Royal Hawaiian Series) , 'Maui Lehua' , 'Maui Magic' (Royal Hawaiian Series) , 'Mayugwa' , 'Midnight' , 'Midori Sour' , 'Miranda' , 'Mojito' (v) , 'Nancy's Revenge' , 'Ngeruuch' , 'Nigrescens' , 'ʻOene' , 'ʻOhe' , 'ʻOʻopukai' , 'Paʻakai' , 'Paʻakala' , 'Painted Black Gecko' , 'Palau Keiki' , 'Pa'lehua' , 'Papapueo' , 'Pauakea' , 'Piʻiʻaliʻi' , 'Piko ʻEleʻele' , 'Piko Kea' , 'Piko Keʻokeʻo' , 'Piko Uaua' , 'Piko Uliuli' , 'Pineapple Princess' (Royal Hawaiian Series) (v) , 'Pink China' , 'Pink Princess' , 'Purple Stem' , 'Putih' , 'Red Eyed Gecko' , 'Rhubarb' , 'Rosea' ズイキ , 'Royal Cho' , Royal Hawaiian® Black Coral , Royal Hawaiian® Blue Hawaii , Royal Hawaiian® Diamond Head , Royal Hawaiian® Hawaiian Eye , Royal Hawaiian® Hilo Bay , Royal Hawaiian® Kona Coffee , Royal Hawaiian® Maui Gold , Royal Hawaiian® Maui Magic , Royal Hawaiian® Morning Dew , Royal Hawaiian® Pineapple Princess , Royal Hawaiian® Royal Hilo , Royal Hawaiian® Tropical Storm , Royal Hawaiian® White Lava , 'Ruffles' , 'Sangria' , 'Silver Splash' , 'Surf City' , 'Tea Cup' , 'Tiger Stripe' , 'Timba' , 'Uahiapele' , 'ʻUlaʻula Kumu' , 'Ulaula Kumu-oha' , 'ʻUlaʻula Moano' , 'ʻUlaʻula Poni' , 'Ventura' , 'Violet Stem' , 'Wehiwa' , 'Xcintho' (PBR) , 'Yatsugashira' , 'Yellow Splash'

和品種 3倍体


1 蘞芋(えぐいも)系
 'Eguimo'エグイモ , 大土垂(おおどだれ)
2 土垂(どだれ)系
 海老芋白茎(えびいもしろぐき), 台湾白 , 土垂丸(どだれまる), 三州(さんしゅう), 台湾乙女 , 早生芋(わせいも), 愛知早生 , 大野芋 , 親責(おやぜめ)
3 蓮葉芋系(茎が白く白芋ともいわれる)
 女早生(おんなわせ), 女芋(めいも), 弥市(やいち), 早生蓮葉芋(わせはすばいも), 相馬
4 石川早生系
 石川早生(いしかわわせ)、愛媛早生(えひめわせ), 文久早生(ぶんきゅうわせ) , ふたごいも ,
5 黒軸系
 烏播(うーはん), 浜北(はまきた)
5 赤芽系
 セレベス , 赤芽奄美 , 赤芽 , 正月まん
6 その他
 味間いも , 帛乙女 , 大和早生

和品種 2倍体


 みがしき , 八つ頭(親芋と子芋がくっつ)=赤ズイキ , 筍芋(たけのこいも)=京芋[明治時代に台湾から渡来。京いもともいわれる。]

3-1 Colocasia esculenta (L.) Schott var. aquatilis (Hassk.) Kitam. ex M.Hotta  ミズイモ 水芋
 南西諸島で栽培されている。水田で栽培され、田芋ともいわれる。

4 Colocasia gigantea (Blume) Hook.f.  ハスイモ 蓮芋
 中国、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は大野芋 da ye yu。英名はgiant taro , giant elephant ear , Indian taro。東南アジアで広く栽培されている。  多年草、大型~超大型、常緑。茎は地上性、、大きく丈夫。葉は非常に大きく、葉柄は淡緑色、著しく白粉で覆われ、長さ2.5m以下、下半部は鞘になる。葉身は下面が白色の白粉で覆われ、特に未熟なときに覆われ、上面は緑色又は淡緑色、卵状心形、長さ25~250㎝×幅17~150㎝、膜質、基部は心形、盾状、縁は波打ち、先は短い尖鋭形。花序は5~13個、葉腋から生じる(実際にはシュートの上に頂生し、新しいシュートに置き換えられる)。花序柄は白粉に覆われ、円筒形、長さ30~80㎝×幅1~2㎝、花序柄の長さとほぼ等しい膜質の低出葉(cataphyll)をもつ。仏炎苞は長さ12~24㎝。筒部は緑色、楕円形、長さ3~6㎝×幅1.5~2㎝。拡大部は直立、白色、長円状舟形、明瞭にくびれ、長さ8~19㎝×2~3㎝。肉穂花序は長さ9~20㎝。雌ゾーンは白色又はクリーム色、円錐形。不稔ゾーンは長さ3~4.5㎝、細い。雄ゾーンは長さ5~14㎝。花序付属体(appendix)は非常に短く、長さ1~5mm、先は鋭形。液果は長円形、長さ約5mm。種子は多数、紡錘形、多数の明瞭な縦の条線をもつ。花期は4~6月。果期は9月。2n = 28。
品種) 'Thailand Giant'

5 Colocasia fallax Schott
  synonym Colocasia heterochroma H.Li & Z.X.Wei  中国、バングラデシュ、ブータン、インド、ネパール、タイ原産。中国名は假芋 jia yu。英名はsilver leaf elephant ear
品種) 'Dark Shadows' , 'Silver Dollar'

6 その他ハイブリッド
品種) 'Big Dipper' , 'Bikini-tini' , 'Black Ripple' , 'Black Swan' , 'Blackwater' , 'Coffee Cups' , 'Cranberry' , 'Dark Star' , 'Distant Memory' , Dragon Heart Gigante , 'Electric Blue Gecko' , 'Emerald' , 'Fierce Gigante' , 'Heart of the Jungle' , 'Himalayan Dragon' , 'Imperial Gigante' , 'Kachhu' , 'Madeira' , 'Maximus Gigante' , 'Noble Gigante' , Royal Hawaiian® Aloha , Royal Hawaiian® Hawaiian Punch , 'Sangria' , 'Smiley Face' , 'Trao' , 'Victorious Gigante'

日本のサトイモ

 サトイモの遺物は現在まで世界中で全く発見されていないので、考古学的にはサトイモの起源や日本へ渡来した時期も不明であり、文献の記載などから推定されているものである。サトイモは紀元前3000年ごろにはインドで栽培されていたと推定され、紀元前 200~100 年の中国の史記に記載がある。日本では927年に成立した『延喜式』や奈良時代の風土記に作物として記載がある。サトイその品種を記載した日本最古の書物は918年の『本車和名』であり、芋と記載された19品種が載せられ、このうちのいくつかは17世紀の農業書などに記載が残っている。これ以前の文献記載はないが、5世紀以降には新羅や百済との交易があったことから、少なくとも10世紀初め頃にはいくつかの品種が渡来し、日本で栽培が行われていたと推定される。日本各地で自生のサトイモが確認されている。これらは全て3倍体(2n=42)であり、古来に渡来した品種が野生化したものと考えられている。長野県小県郡青木村沓掛に自生しているサトイモ(弘法芋)は縄文早期末から中期初頭に渡来したサトイモではないかと推察されている。このほか、佐賀県鳥栖市(鳥栖自生芋)、山梨県甲府市羽黒町、鳥取県東伯郡関金町、島根県松江市大野町、東京都八丈島、高知県、麗児島県、沖縄県に自生が報告されている。日本の古からの栽培品種の中に蘞芋(えぐいも)品種群(青芋、ゑごいも、ゑごりいも、いごいも、はなさき、花いも、鴎芋、霜芋など)があり、自生種はこれにあたるものと考えられている。特徴は葉が他の品種と比べて青味を帯びた濃繰色であり、イモの蘞味(えぐみ)が強い。他の品種より開花し易く、花期は8月下旬~9月上旬。  日本の栽培品種は3倍体の他に2倍体もあり、ヤマサトイモ(Colocasia antiquorum)系統のトウノイモ(唐芋)、ハスイモ(Colocasia gigantea)系統のハスイモ(蓮芋)などは2倍体である。Colocasia antiquorumはサトイモ(Colocasia esculenta)に含める見解もある。

参考

1) Flora of China
 Colocasia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107697
2) Flora of North America
 Colocasia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=107697
3) GRIN
 Colocasia
http://www.narc.gov.jo/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=2816
4) Plant Finder - Missouri Botanical Garden
 Colocasia
http://www.missouribotanicalgarden.org/PlantFinder/PlantFinderDetails.aspx?taxonid=291500
5) 愛媛県農林水産研究所 HP
 サトイモ品種の起源
https://www.pref.ehime.jp/h35118/1707/siteas/11_chishiki/documents/11_satoimo1_298_1.pdf
6) 佐賀大学幾学部業報第71号 (19号1) 113-122 (1991)
 佐賀県鳥機市に自生しているサトイモについて
https://core.ac.uk/download/pdf/59165198.pdf
7) 佐賀大幾重量 (Bull.Fac. Agr., Saga Univ.) 72: 1 ~36 (1992)
 江戸時代の農書及び本草書類に記載されているサトイモの品種及び品撞群について
https://core.ac.uk/download/pdf/59165281.pdf