プシュキニア・スキロイデスはキジカクシ科プシュキニア属の球根をもつ栽培種。
　多年草。球根は直径2～5㎝、鱗片は灰色。葉は普通、2枚、根生し、幅7～24mm、花茎と同長。花茎は直立し、高さ8～20㎝。花序は頂生、花を4～20個、わずかに下向きに、片側性につける。花柄は長さ6mm以下、基部にごく短い苞がある。花は両性、漏斗形、幅20mm以下。花被片は6個、淡青色で、中央に暗青色の縞があり、基部の1/4～1/3は融合し、筒形又は鐘形になる(var. scilloidesは約1/2が融合)。花冠の先に6本の内側に曲がった雄しべがあり、葯は黄色。雄しべは幅が広く、子房を被う(花冠の付属体)。子房は上位。蒴果は球形、3バルブ、多数の種子をもつ。種子は栄養に富んだエライオソーム(elaiosome)をもち、蟻が散布する。植物体全体に毒性がある。花期は4～5月。

プシュキニア属

　 family　Asparagaceae － genus Dopatrium

　多年草、地下に球根をもち、球根は直径2～5㎝。葉は根生し、普通2枚、直立し、平行脈、無柄、全縁、幅5～24mm、花茎とほぼ同長。花茎は茎葉がなく、花は総状花序に3～11個、まれに1個。花柄があり、苞はごく短い。花被片は6個、基部で融合し、ときに半分以上融合し、鐘形又は筒形、淡青色、白色、又は帯緑色、中央に暗色の縞がある。花の中心に高さ2～3mmの副花冠(corona：corolla appendage)があり、子房の周りの花弁状に幅広になった雄しべが取り囲み円錐状になる。子房は上位。花柱は1本。果実は蒴果、裂開し、3バルブ。種子は球形、エライオソーム(elaiosome)をもつ。
　世界に3種があり、トルコ、イラン、イラク、レバノン、シリア、トランスコーカサス、北コーカサスに分布する。

プシュキニア属の種と園芸品種

1 Puschkinia bilgineri Yildirim
　トルコ原産。
　花糸の融合で形成される副花冠の裂片がない。葯は副花冠の基部に生じる。花序はピラミッド形～半球形。蒴果は扁球形～車形。種子は黒色。

2 Puschkinia peshmenii Rix & B.Mathew
　トルコ、イラン西部原産。岩だらけの丘陵に生える。
　球根は直径約2㎝。葉は1本又は2本、線形、緑色、長さ13～22㎝×幅5～15mm。花はかなり開いた総状花序(穂状花序)につき、花は下向きに、普通、4～9個つき、たまに少数になる。花柄は7mm以下。花被片は6個、帯緑色、分離した花被片は長さ7～10mm×幅約3mm、花被の筒部は長さ3～4mm。花冠の中心に雄しべの花糸が融合してできる副花冠(corona)がある。花期は5月。

3 Puschkinia scilloides Adams　プシュキニア・スキロイデス
　　synonym　Puschkinia scilloides var. libanotica (Zucc.) Boiss.
　トルコ、イラン、イラク、レバノン、シリア、トランスコーカサス、北コーカサス原産。英名はstriped squill , Lebanon squill。
　多年草。球根は直径2～5㎝、鱗片は灰色。葉は普通、2枚、根生し、幅7～24mm、花茎と同長。花茎は直立し、高さ8～20㎝。花序は頂生、花を4～20個、わずかに下向きに、片側性につける。花柄は長さ6mm以下、基部にごく短い苞がある。花は両性、漏斗形、幅20mm以下。花被片は6個、淡青色で、中央に暗青色の縞があり、基部の1/4～1/3は融合し、筒形又は鐘形になる(var. scilloidesは約1/2が融合)。花冠の先に6本の内側に曲がった雄しべがあり、葯は黄色。雄しべは幅が広く、子房を被う(花冠の付属体)。子房は上位。蒴果は球形、3バルブ、多数の種子をもつ。種子は栄養に富んだエライオソーム(elaiosome)をもち、蟻が散布する。植物体全体に毒性がある。花期は2～4月(原産地では4～5月)。
品種)　'Alaverdi' , 'Alba' , 'Aragat's Gem' , 'Piatigorsk' , 'Sky Vision' , 'Snowdrift' , 'Zanzegur'

参考

1) Missouri Botanical Garden
　Puschkinia scilloides 2) Plants of the World Online | Kewscience
　Puschkinia 3) Flora Emslandia - Plants in Emsland (northwestern Germany)
　Puschkinia scilloides