ピメレア・フォーシーズンズ

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Flora of Mikawa

ジンチョウゲ科 Thymelaeaceae ピメレア属

別 名 ライスフラワー
英 名 rice flower
学 名 Pimelea linifolia 'Four Seasons'
ピメレア・フォーシーズンズ花序
ピメレア・フォーシーズンズ花
ピメレア・フォーシーズンズ花筒
ピメレア・フォーシーズンズ総苞片
ピメレア・フォーシーズンズ茎
ピメレア・フォーシーズンズ
ピメレア・フォーシーズンズ花序横
ピメレア・フォーシーズンズ葉
花 期 3~5月
高 さ 0.3~1.5m
生活型 常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 外来種 オーストラリア原産
撮 影 西尾市  20.10.6
ピメレアはオーストラリア、ニュージーランド原産のジンチョウゲ科の栽培種。日本でも数種が栽培されている。花はジンチョウゲと似た丸い花序になるものが多いが、総苞片が花のように見えるピメレア・フィソデスもある。写真はピメレア・リニフォリアのフォーシーズンズという品種である。
 ピメレア属の種は約100種あり、花の美しいものも多い。
 草本~低木~小高木。毛は常に無色又は白色。葉は十字対生、ときに互生、葉柄は普通ごく短く、普通、下面が淡色。花序は頂生、まれに腋生、総状花序、ときに穂状、しばしば密集して頭状花序又は密散花序(束生)になり、総苞片は有又は無。花序柄の先は膨れ、凹面又は凸面の花托となる。花は単性又は両性。花筒(花被の筒部)は普通、下部(子房部分)が紡錘形で上部(花柱部分)は円筒形、果時に一部又は全体が宿存する。花被片(咢片)は4個、重なる。内花被片(花弁)は無い。雄しべは2本、ごくまれに1本、花筒の先又は先近くにつき、花被片に対生する。蜜腺の盤は無い。子房は1室。柱頭は頭状、パピラがあるかブラシ状。花期は冬~夏、四季咲きのものもある。

ピメレア属

  family Thymelaeaceae - genus Pimelea

 草本~低木~小高木。毛は常に無色又は白色。葉は十字対生、ときに互生、葉柄は普通ごく短く、普通、下面が淡色。花序は頂生、まれに腋生、総状花序、ときに穂状、しばしば密集して頭状花序又は密散花序(束生)になり、総苞片は有又は無。花序柄の先は膨れ、凹面又は凸面の花托となる。花は単性又は両性。花筒(花被の筒部)は普通、下部(子房部分)が紡錘形で上部(花柱部分)は円筒形、果時に一部又は全体が宿存する。花被片(咢片)は4個、重なる。内花被片(花弁)は無い。雄しべは2本、ごくまれに1本、花筒の先又は先近くにつき、花被片に対生する。蜜腺の盤は無い。子房は1室。柱頭は頭状、パピラがあるかブラシ状。英名はrice flower。
 世界に約108種あり、オーストラリア、ニュージーランドに分布する。93種がオーストラリア固有種、オーストラリアの全ての州にある。

ピメレア属の主な種と園芸品種

1 Pimelea curviflora R.Br. ピメレア・クルビフローラ
 西オーストラリア州原産。英名はcurved rice-flower。
 亜低木又は低木、高さ20~150㎝。茎は有毛。葉は主に長円形~楕円形~倒披針形、長さ5~20mm×幅2~8mm、両面に毛があり、又は上面に毛があり、下面に短くて細かく、わずかにもつれた伏毛~開出毛がある。花は頂生の頭状花序につき、果時にしばしば長くなる。苞は無いか又は分化が乏しく、普通、花より短い。花はほとんどが各花序に6~20個つき、長さ5~12mm、暗赤色、黄色、又は帯緑色、ほとんど毛がある。果実は長さ2~4mm、緑色。
1-1 Pimelea curviflora var. sericea Benth.
  synonym Pimelea curviflora var. sericea Benth.
  synonym Pimelea curviflora subsp. gracilis var. sericea Benth.
 ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、ビクトリア州原産。
 亜低木、高さ15~30㎝。しばしば焼け跡から茎が数本、再発芽する。葉は普通、狭楕円形~狭卵形、長さ5~15(~20)mm×幅2~5mm、表裏はやや同色で淡緑色又は鈍い緑色、葉の上面は普通、まばらに絹毛があり、まれに無毛。葉の下面には伏した絹毛があるか、又は様々な太さ、長さ及び密度の開出毛がある。花は花序に主に10~25個つく。花柄には短い伏毛がある。花被は長さ5~8.5mm、緑黄色、花筒には長さ約0.5mm以下の伏毛がある。花被片(咢片)は長さ1.3~2.5mm、しばしば暗赤色になり、まばらに短毛がある。果実は長さ2~4mm、緑色、真っすぐ。種子は卵形、平滑又は微細な小隆起(minutely colliculate)があり、光沢がある。花期は3~6月(オーストラリアで9~12月)。
品種) 'Villosa'
2 Pimelea ferruginea Labill. ピメレア・フェルギネア
 西オーストラリア州原産。英名はCoastal banjine , pink riceflower , rosy rice flowe , million , rose banjine。別名はピンク・ライスフラワー。
 常緑低木、直立し、丸く密集して叢生し、高さ0.3~1.5m。葉は十字対生、上面が光沢のある暗緑色、楕円形、長さ10~12mm。枝先の直径2~2.5㎝の球形の頭状花序に花を密につける。花は明るいピンク色。咢片は4個、花弁のように見える。花期は5~6月。
品種) 'Bonne Petite' , 'Magenta Mist' , 'Snowball'

3 Pimelea linifolia Sm. ピメレア・リニフォリア
 ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、南オーストラリア州、タスマニア州、ビクトリア州原産。英名はslender rice flower
 常緑低木、這う~高さ1.5mまで。茎は無毛、節が明瞭。葉は対生、短柄がある。葉身はほとんどが、楕円形~倒披針形~披針形、長さ3~40mm×幅1~9mm。花序は頭状花序、頂生し、直立又は垂れ下がり、花が7個~多数(約60個)つく。総苞片は4個(ときに8個)、無柄、披針形~狭披針形~卵形、長さ7~17mm×幅3~11mm、外側は無毛、内側は無毛又は部分的に有毛、緑色又は帯赤色。花は両性又は雌性、主に長さ10~20mmで雌花は短く、外側が毛深く、内側は無毛又は有毛、普通、白色、ときにピンク色、まれに黄色。花筒は長さ7~16mm。花柱は子房より長い。子房の上で横周裂開する。咢片は開出し、長さ1.5mm、内側は無毛。花序柄は長さ1~40mm、有毛又は無毛。雄しべは咢片より短いか、まれに少し長い。葯は横に又はやや横に裂開する。花柱は突き出る。果実は乾き、長さ3~5mm、緑色、花托筒の基部に包まれる。
品種) 'Four Seasons'
3-1 Pimelea linifolia Sm. subsp. linifolia
 英名はQueen of the Bush, Slender Rice-flower。
 葉と苞は明瞭な葉縁脈がない。花は毛があるが絹毛ではない。葉は緑色。花は頭状花序に20個以上。直立、平伏、又は群生する低木、高さ1.5m以下、広さは様々。葉は倒披針形又は狭楕円形、主に長さ5~30mm×幅は普通1~4mm、まれに7mm以下。苞は±卵形、長さ4~19mm×幅3~10mm、しばしば赤色を帯びる。花は頭状花序に7~44個つき、長さ10~20mm、短毛があり、基部に長毛を宿存する。
3-2 Pimelea linifolia subsp. collina (R.Br.) Threlfall
 葉や苞は明瞭な葉縁脈が隆起し、葉の下面では少なくとも明瞭。花は普通、絹毛がある。低木、高さ1m以下。葉は狭楕円形、長さ4~25mm×幅1~4mm。苞は狭卵形~±卵形、長さ4~15mm。葉と苞は乾くとしばしば緑青色になる。花は各頭状花序に9~50個。
3-3 Pimelea linifolia subsp. caesia Threlfall
 葉や苞は明瞭な葉縁脈がない。花は毛があるが絹毛ではない。葉は粉白を帯び、帯青色。頭状花序に花は20個未満。大木、平伏~群生し、高さ50㎝以下。葉は狭楕円形、長さ5~20mm×幅3~4mm程度。苞は±倒披針形~卵形、長さ7~15mm、鋭形~鈍形、帯青色。頭状花序は花が7~21個つき、花は長さ16~19mm、毛があり、宿存する基部に長いが密でない毛をもつ。
3-4 Pimelea linifolia subsp. linoides (A.Cunn.) Threlfall
 葉や苞は明瞭な葉縁脈がない。花は毛があるが絹毛ではない。葉は緑色。花は頭状花序に20個以上。繁茂する低木、高さ2.5m以下。しばしば ブルーマウンテンズの吹きさらしに生える。葉は狭長円形~狭楕円形、主に長さ10~35mm×幅3~6mm、しばしば赤色を帯びる。苞は±卵形、ときに狭く、主に長さ10~16mm×幅5~9mm、しばしば赤色を帯びる。花は頭状花序に28~60個つき、長さ14~20mm、花序軸はたまに果時に長くなる。

4 Pimelea physodes Hook.  ピメレア・フィソデス
 西オーストラリア州原産。英名はQualup bell。カットフラワーとして栽培されている。花弁に見えるのは総苞片である。
 低木、直立し、高さ0.2~1m。枝は木質、小枝は花の近くがしばしば帯赤色になる。葉は楕円形、長さ10mm×幅6mm程度。花序は頭状花序、枝先につく。総苞は大きな、鐘形になり垂れ下がる。総苞片は葉状、クリーム色~緑色~ピンク色を帯びた紫色、赤色、紫色。花は小さく、多数、束生し、黄色、緑色と赤色。花期は冬~春。

5 Pimelea prostrata Willd. ピメレア・プロストラタ
 ニュージーランド原産。英名はStrathmore weed , New Zealand Daphne , Pinatoro
 平伏~だらしなく広がり、多数分枝し、高さ50㎝以下、幅はそれ以上。主茎は丈夫、直径±2㎝以下。枝は丈夫、樹皮は暗褐色~ほとんど黒色。小枝は細く、しなやか~硬く、汚白色の毛が密生する。葉は近接し、ほぼ無柄~無柄。葉身は開出~反曲し、長さ3~6mm×幅1~3mm、卵形~楕円状長円形、±凹面形、先は鈍形~類鋭形、革質、しばしば縁が赤くなる。類花葉は似ていて幅が広い。花序は頭状花序、花が3~10個つき、花被は長さ3~4mm、絹毛があり、裂片は長さ1~2.5mm、ほぼ卵形、毛は愛。果実は漿果、白色又は赤色、卵形、長さ約2mm。 5亜種がある。
品種) 'Misty Blue' , Tennyson's form

6 Pimelea spectabilis Lindl. ピメレア・スペクタビリス
 西オーストラリア州の南西部原産。比較的乾燥した地域に自生する。
 常緑低木、直立し、高さ0.5~2m、普通は小さい。葉はおよそ長さ20~30mm、狭楕円形、先は漸尖し、先端は尖り柔らかい。花は球形の頭状花序に多数つく。球形花序は属中で最も大きく、直径50mm以上あり、目立つ。総苞片は4個、卵形、先が柄鋭形、平開する。花序はクリーム色~白色で中心がピンク色(蕾がピンク色)。花は筒部が長く、先が4裂し、開出して先端が鋭形。花期は冬~春。

7 ハイブリッド
品種) 'Bonne Petite' , 'Diamond Head'

参考

1) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
 Pimelea linifolia Sm.
https://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Pimelea~linifolia
2) GRIN
 Species of Pimelea
https://apg.pir.sa.gov.au/gringlobal/taxonomylist.aspx?category=species&type=genus&value=Pimelea&id=9400
3)Flora of New Zealand
 Pimelea prostrata (J.R.Forst. & G.Forst.) Willd.
http://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Pimelea-prostrata.html
4) Kew Science
 Pimelea Banks ex Gaertn.  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331856-2
5) Flora of Victoria
 Pimelea
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/cd98e35e-f5e2-4936-9f8e-da7a186300d1