オルラヤ・グランディフローラ

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae オルラヤ属

別 名 ハナカザリゼリ(花飾芹)、ホワイトレースフラワー、 ホワイトレースソウ
中国名 蕾丝花 lei si hua
英 名 white lace flower , large-flower orlaya , Minoan Lace
学 名 Orlaya grandiflora (L.) Hoffm.
オルラヤ・グランディフローラの花
オルラヤ・グランディフローラの花2
オルラヤ・グランディフローラの総苞
オルラヤ・グランディフローラ果実2
オルラヤ・グランディフローラの葉
オルラヤ・グランディフローラの茎
オルラヤ・グランディフローラ
オルラヤ・グランディフローラ花序
オルラヤ・グランディフローラ果実
花 期 3~5月
高 さ 10~70㎝
生活型 1年草または多年草
生育場所 栽培種、野生化することもある。
分 布 帰化種  ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコスロバキア、東エーゲ海諸島、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、クレタ島、クリミア半島、ルーマニア、スペイン、スイス、トランスコーカサス、ユーゴスラビア)、アジア(トルコ)原産
撮 影 豊橋市  15.5.20(花)
       15.6.13(果実)
一見、花がコエンドロに似ている。ヨーロッパなどに自生する雑草で、観賞用に栽培される。
  1年草又は多年草、高さ10~70㎝、まれに基部が木質化する。茎は直立し、よく分枝する。葉は互生し、まれに基部で対生になる。葉柄は基部で鞘状になる。葉は2~3回羽状複葉。最終裂片は線形。大散形花序に小さな花を多数つける。大散形花序の花柄は5~12本、ほぼ同長。苞と小苞があり、苞には白色の縁取りがある。小散形花序は直径10~15㎝。小花柄は3~7本。花弁は白色。外側の花弁は深く2裂し、内側のものよりも7~8倍大きい。果実は2分果、長さ6~8㎜、長さ2~3㎜の白色の刺が密生する。油管は普通、見える。花期は3~5月。2n=20。
 コエンドロ(コリアンダー、パクチー) Coriandrum sativum は世界中で栽培され、野生化している。根生葉する下部の葉は1~2回羽状全裂、葉柄は長さ13㎝以下、基部に短い葉鞘がある。葉身は長さ約14㎝、幅約8㎝の広卵形、裂片は長さ1~2㎝、幅1~1.5㎝の広卵形~扇形、変化の多い小歯又は切れ込みがあり、最終裂片は広い。中間~上部の茎葉は互生し、3出複葉又は2~3回羽状全裂、上部の葉は小さくなり、最終裂片は線形~糸状、長さ2~15㎜、幅0.5~1.5㎜、鈍頭、全縁。大散形花序に多数の花をつける。花序柄は長さ2~10㎝、先に長さ1~2.5㎝の大花柄を2~8個つける。小総苞は2~5個つき、線形、全縁。小散形花は3~9個つく。小花柄は長さ2~5㎜。萼歯は卵状三角形~卵状被針形、不等長。花弁は白色~帯紫色、周囲の花の外側の花弁は大きく、2裂し、中央部の花の花弁は小さい。花柱は細く、長さ1.5~2.5㎜。果実は淡褐色、無毛、長さ約4㎜の類球形、縦の隆条があり、溝の中の油管は不明瞭。

オルラヤ属

  family Apiaceae - genus Orlaya

 1年草、無毛になりまたは毛があり、基部に繊維状の残骸はない。葉は2~3回羽状全裂。散形花序は複合、頂生または葉に対生する。雌雄両全性(hermaphrodite:同一花序に両性花のみ)と雄花。大散形花序に苞が2~3個つき、よく見え、宿存性があり、通常は膜質の縁を持つ。小散形花序につく小苞は苞に似るが、サイズが小さい。萼は萼歯が小さい。花弁は白色またはピンク色、周辺花の外側の花弁は長く、しばしばはるかに長く、広卵形、先端が深く凹形になる。果実は楕円形または卵形、背側が明らかに扁平になる。分果は1次の隆条は短い剛毛があり、2次の隆条は1~3列の刺があり、長くて硬く、基部は輻合するかまたはせず、頂点は鉤状だが、芒刺化(glochidiate)せず、油管(vitae)は6個、各2次隆条に1個、合成面(commissure)に2個。種子は胚乳を持ち、合成面が平ら。
 世界に3種があり、ヨーロッパ、北アフリカ、南西アジアに分布する。

オルラヤ属の主な種と園芸品種

1 Orlaya daucoides (L.) Greuter オルラヤ・ドコイデス
 ヨーロッパ(アルバニア、ブルガリア、コルシカ、キプロス、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、クレタ島、クリミア半島、ポルトガル、サルデーニャ、シチリア、スペイン、トランスコーカサス、トルコ、ヨーロッパのトルコ、ユーゴスラビア、アフリカ(アルジェリア、モロッコ、)、南西アジア(イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、チュニジア)原産。英名はflat-fruited orlaya。標高0~1400mの草地や耕作地に生える。
 1年草。茎は高さ8~40(50)cm、全体に分枝し、直立または開出し、条線があり、無毛~剛毛がある。根生葉は長さ2~10㎝×幅1.5~5㎝、2(3)回羽状全裂し、毛があり、輪郭は長楕円形またはが狭三角形で、最終裂片は長さ0.5~5㎜×幅0.3~2㎜、不分裂~2裂~羽状深裂またはまれに羽状全裂し、狭長円状披針形、先は鋭形、細い小葉柄があり、長さ10㎝以下。茎葉は根生葉に似ているが、小さくてあまり分割されておらず、無柄で鞘につく。散形花序は頂生で葉に対生してつき、大散形花序の柄(rays:大花柄)は2~4(5)本、長さ5~20㎜、無毛。花序柄は長さ1~12㎝。苞は2~3個つき、長さ10~14㎜×幅1.5~3㎜、狭卵形~披針形、長い縁毛があり、膜質の縁を持つ。小苞は(2)3~5個、不等長で、苞よりも小さく幅が広く、狭いが明瞭な膜質の縁がある。各散形花序に多数の花があり、2~3個が雌雄両全性(hermaphrodite)で、残りは雄花である。萼は萼歯が三角状錐形、長さ0.3~1.3㎜。花弁は白色またはピンク色、外側の花の外側の花弁は長さ約5~8㎜、深く2裂する。内側の花の花弁ははるかに小さい。花柱は長さ1~2㎜、直立する。果実は長さ8~18㎜×幅9~14㎜、分果は2次隆隆条があり、基部に2~3列の輻合した刺があり、その長さは果実の幅に等しい。2n=16。花期は3~5月。

2 Orlaya daucorlaya Murb. オルラヤ・ドコルラヤ
 アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、イタリア、ユーゴスラビア原産。
 1年草、直立し、高さ30-80cm。茎は分枝しる。下部の葉は卵形。2~3回羽状複葉、通常は毛がある。茎葉は似ているが、小さい。上部の茎葉は2~3回羽状複葉。大散形花序の柄(rays)は5~7(~10)本、果実(最終)の柄(fruiting rays:小花柄)は2~4本。苞は(3~)5~8個、卵状披針形、膜質の縁を持ち、通常は縁毛があり、長さは枝の半分である。小苞は似ているが、より小さく、薄膜質の縁が広い。萼歯は線状錐形。周辺花の花弁は内側の花弁の8倍までの長さで、長さ(5~)7~12㎜、深く2裂する。花柱は長さ2.5~4㎜。分果は長さ9~11㎜×幅5㎜、楕円形、1次の隆状は小剛毛をもち、すべての2次隆条は長い1列または部分的に2列の鉤状刺を持ち、強く扁平で基部で輻合する。2n=14。

3 Orlaya grandiflora (L.) Hoffm. オルラヤ・グランディフローラ
 ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコスロバキア、東エーゲ海諸島、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、クレタ島、クリミア半島、ルーマニア、スペイン、スイス、トランスコーカサス、ユーゴスラビア)、アジア(トルコ)原産。中国名は蕾丝花 lei si hua。英名はwhite lace flower , large-flower orlaya , Minoan Lace。別名はハナカザリゼリ(花飾芹)、ホワイトレースフラワー、 ホワイトレースソウ。標高500~1400mの道端、幹線道路沿い、耕作地の端に生える。観賞用に広く栽培されている。
 1年草又は多年草、高さ10~70㎝、まれに基部が木質化する。茎は直立し、よく分枝する。葉は互生し、まれに基部で対生になる。葉柄は基部で鞘状になる。葉は2~3回羽状複葉。最終裂片は線形。大散形花序に小さな花を多数つける。大散形花序の花柄は5~12本、ほぼ同長。苞と小苞があり、苞には白色の縁取りがある。小散形花序は直径10~15㎝。小花柄は3~7本。花弁は白色。外側の花弁は深く2裂し、内側のものよりも7~8倍大きい。果実は2分果、長さ6~8㎜、長さ2~3㎜の白色の刺が密生する。油管は普通、見える。花期は3~5月。2n=20。
【Flora Ibericaの解説】
 1年草。茎は高さ10~50cm、単純または基部近くで分枝し、無毛。根生葉は長さ2~10㎝×幅1.5~5㎝、2(3)回羽状全裂、無毛になるかまたは毛があり、輪郭は楕円形または狭三角形、最終裂片は長さ0.5~5㎜×幅0.3~2㎜、非分割~2裂~羽状深裂、またはまれに羽状全裂し、狭長円状披針形、先は鋭形、細い葉柄があり、長さ10㎝まで。散形花序は頂生、大散形花序の柄(rays)は5~12本、長さ10~30㎜、花序柄は長さ8~12㎝。苞は3~5(8)個、長さ10~14㎜×幅1.5~3㎜、狭卵形~披針形、縁は広い膜質で縁毛がある。小苞は3~8個、卵形、縁は広い膜質で縁毛がある。各散形花序に多数の花があり、2~4個が 雌雄両全性花序(hermaphrodites:同一花序に両性花のみ)、残りは雄花。萼には歯があり、歯は長さ0.3~1.3㎜、三角状錐形。花弁はクリーム白色。外側の花の外側の花弁は長さ9~14(18)㎜で、その長さは他の花より8~10倍大きく、深く2裂する。花柱は長さ2.5~4㎜。果実は長さ6~8㎜×幅4~6㎜、2次隆条を備えた分果は、基部に非輻合性の刺が2列あり、長さは果実の幅より短い。n=10。
【Flora of Greeceの解説】
 Orlaya daucorlaya に非常に似ているが、以下の特徴が異なる。 下部の葉は毛があるかまたは無毛。上部の茎葉は全縁、または長さ1~3㎝の細長い線形の裂片が少数あり、非常にまれに 2回羽状全裂する。果実(最終)の柄(fruiting rays:小花柄)は3~7本、苞は枝とほぼ同じ長さ。周辺花の外側の花弁は内側の花弁10倍の長さ。分果は長さ6.5~8.5mm、卵形。二次隆条の刺は通常黄色で鉤状ではなく、背隆条の刺はほとんど圧縮されていないが、基部で融合していないかわずかに融合しており、果実の幅より短く、側隆条の刺は基部で±融合する。2n=20。

参考

1) Flora of Greece Volume 1 Apiaceae: Orlaya (ed. 1)
 Orlaya Hoffm.
https://www.researchgate.net/publication/381034915_Flora_of_Greece_Volume_1_Apiaceae_Orlaya_ed_1
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Orlaya
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:40315-1
3) World Flora Online
 Orlaya grandiflora (L.) Hoffm.
https://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000384789
4) Flora Iberica
 Orlaya
http://www.floraiberica.es/floraiberica/texto/pdfs/10_129_16%20Orlaya.pdf