オプンチア・ステノペタラはサボテン科ウチワサボテン属の栽培種である。写真はOpuntia grandis 'Major' 大丸盆とされていたものであるが、Opuntia grandisは現在ではオプンチア・ステノペタラ(Opuntia stenopetala Engelm.)のsynonymとされている。大丸盆は Opuntia phaeacantha var. major Engelm.やOpuntia robusta H.L.Wendl. ex Pfeiff.の和名ともされる。
　写真のものは元気がなく、花が見られないため、オプンチア・ステノペタラとはっきり確認することができない。下部の茎節は倒れて這い、直立する茎節はほぼ円形～倒卵形、粉白を帯び、灰緑色、刺座は円形～楕円形、やや不明瞭、下部の刺座に刺は無く、刺のほとんどないものや刺の多い茎節もある。刺は0～5本、白色～やや黄色を帯び、下部は黄色が強く、真っすぐ、芒刺はほとんど見られない。

大丸盆と呼ばれる類似種

【オプンチア・ステノペタラの解説】
　Opuntia stenopetala Engelm.
　synonym　Opuntia grandis Hort.Angl. ex Pfeiff.
　このウチワサボテンは他の多くのウチワサボテンによく似るが、花は美しく多数つき、花弁は非常に細く直立し、観賞用に栽培される。花は独特で、機能的に雌雄異株であり、雌花と雄花はどちらも雌雄同体として始まり、その後、形成段階で器官の失速が起こり、雄花と雌花に分かれる。雄花では、雌しべが未発達で、雄しべが発達する。雌花では葯の発達が止まり、雌しべが発達する。
　低木、しばしば茂みやマット状になり、高さ30～60(150)㎝。主枝は這い、茎節(joints)の端に寄りかかる。茎節(joints)は倒卵形～円形、長さ10～20㎝、灰緑色、多少紫味がかり、刺が多い。刺座(しざ)[areoles；短枝(short shoot)の種]はしばしば1～3㎝の間隔で離れてつき、茎節の下部には刺がなく、若いときは白色の羊毛状の毛がある。葉は若い茎節のみにつき、暗赤色、長さ約2mm。刺は普通、赤褐色～黒色、時には青白色になり、普通、各刺座に2～4本つく。最長の刺は長さ5cm、大きいものはやや平らになる。若い茎節は芒刺(glochids)が多く、目立ち、褐色。花は雌雄異株で単性、小さく、花托筒を含んで長さ3(～5)cm、幅3.2㎝以下。花弁(内花被片)は橙赤色、非常に細く、長さ1～12mm、先は長い尖鋭形。花托筒(子房)は葉が多く、上側の葉は萼片状。雌花は中央にごく太い花柱があり、柱頭の裂片は8～9個あり、黄色。雄花は花柱が未熟なこん棒形、上部が鈍いピンク色と帯黄色、柱頭の裂片は萎縮し、鋭く硬い先端に終わる。花糸は短い。果実は球形、直径約3㎝、酸っぱく、刺は有又は無。種子は小さく、平滑、直径約3㎜、広く縁は丸い。n=11。花期は4～6月。
品種)　'Major'大丸盆 , パンダ団扇(表面の紫班模様)

【オプンチア・ファエアカンタ Opuntia phaeacanthの解説】
　Opuntia phaeacanth Engelm.
　Opuntia phaeacanth var. major Engelm.　が大丸盆と呼ばれるが、KewscienceやFlora of North Americaは現在では変種を認めていない。var. major は不規則に広がり～直立する低木で、倒卵形の茎節をもち、普通、茎節の上半分のアレオールに少数(普通1～3本)の暗色の刺をもち、又はほとんど無い。
　低木、傾伏～一般的に匍匐し、高さ0.3～1m。茎節(stem segments)は関節で離れず、緑色～暗緑色、ときに赤色を帯び、扁平、倒卵形～円形、長さ10～25㎝×幅7～20㎝、低いいぼがあり、無毛。刺座は中央の茎節の対角線の列に5～7個、倒卵形～楕円形、長さ3～6mm×幅2～4mm、羊毛状の毛はタン色～褐色、古くなると帯灰色。刺は各刺座に(0～)2～8本、ほとんどの刺座につくか、茎節の上部1/4だけにつくか、、又は本質的に欠き、褐色～白色、真っすぐ～曲がり～螺旋状に捻じれる。主な中央の刺は下曲又は開出し、褐色～赤褐色(～帯黒色)、又は部分的～全体に灰色～タン色になり、錐形、普通、基部近くが扁平になり、長さ30～80mm。外側の刺は普通1～3本、下曲し、白色、扁平、短く長さ20mm以下。芒刺(glochids)は刺座の内側の縁に三日月形に密に房状につき、タン色～赤褐色、長さ5mm以下。内花被片は黄色で基部が赤色(まれに、全体がピンク色～赤色)、長さ30～40mm。花糸は基部が帯緑色、上部が淡黄色～白色。葯は黄色。花柱は白色。柱頭は裂片が緑色～黄緑色。果実はワインレッド色～紫色、果肉は帯緑色(ときに帯赤色で±ジューシー)、長い柄は無く、倒卵形～樽形、長さ30～50mm×幅20～30mm、肉質、無毛、刺は無く、刺座は18～24個。種子はタン色、ほぼ円形、直径4～5㎜、明瞭にノッチがあり、歪み、珠柄のガードル(funicular girdle)は1mm突き出す。2n=(22 , 44) 66。花期は4～7月。

【オプンチア・ロブスタ Opuntia robustaの解説】
　Opuntia J.C.Wendl. ex Pfeiff.
　低木、マウンド形。茎は高さ普通2m以下、下部で分枝し、±傾伏し、上部は広がり～斜上する。茎節(segments)は大きく、長さ30～44㎝、円形、銀青色、無毛。刺は普通、±全ての刺座に1～2(5)本。最も長い刺は長さ2.5(～5)㎝、±真っすぐ、刺座から開出し、チョーク白色で、芯と基部は黄色。内花被片は長さ4～5㎝、黄色。花糸は白色。花柱は白色。柱頭は白色(又は緑色)。果実は長さ7～8㎝、ジューシー、濃紫栗色、刺座は20～30個。種子は長さ4～6㎜。花期は4月。

ウチワサボテン属

　 family　Cactaceae － genus Opuntia

　亜低木状～樹木状、高さ10m以下、まれにそれ以上になり、幹がよく発達する種もある。茎節[けいせつ](stem-segments , joints)=葉状枝、葉状茎(cladodes)は扁平、円形、卵形、楕円形、円筒形(まれ)、又は菱形。葉は未発達、若い茎切片につき早落性、柔らかい円柱形で多少錐形(角つの状)。アレオール=刺座[しざ、とげざ](areoles=乳輪：刺の束が出る小さな隆起で短枝の一種であり、極端に短縮し脇芽と殆ど同化した枝)は葉腋に生じ、芒刺[ぼうし](glochids=barbed bristle：毛状の短い刺)、刺(spines)及び毛を備える。刺は1本～多数、まれに欠き、剛毛状～針状～錐状、毛があり又は平滑、刺鞘(spine sheath)は無い。花は普通、単生、花柄は無く、葉状枝の縁に側生又は類頂生し、両性(まれに単性)、放射相称。花被は早落性。花被片は多数、開出又は直立、実質的に離生、花托筒(子房)の先につき、脱落性。外花被片(sepaloids)はほとんど緑色、汚白色になり、又は色のついた花弁状になる。雄しべは多数、ときに接触感応(touch-sensitive)がある。花柱は太く、柱頭は5～10個。子房は下位、花托筒[pericarpel=hypanthium:サボテンの子房と花托を含む栄養組織、側芽(areoles)が存在する点で花托筒(hypanthium)と異なり、花シュート(flower shoot)とも呼ばれる]に埋め込まれる。果実は乾き又はジューシー、非裂開、芒刺のある刺座があり、ときに刺がある。果時の花托筒はしばしば増殖し、果実の鎖を生じる。種子は各果実に少数～多数、白色～褐色、明瞭に側面が扁平、通常、円形～腎形、珠柄の外皮は無毛又は有毛、珠柄のガードル(funicular girdle)=帯状部は突き出して明瞭。
　世界に約150種があり、カナダ南部～パタゴニアまでのアメリカ、カリブ海諸島、ガラパゴスに分布する。オーストラリア、アフリカ、アジアなどに帰化している。英名はcactus(pl. cacti) , prickly pear。食用のウチワサボテン(ノパルサボテン)は若い茎がノパル(nopal)、果実はトゥナ(tuna)呼ばれ、高い栄養価があり、食用とされる。

ウチワサボテン属の主な種と園芸品種

1 Opuntia arenaria Engelm.　オプンチア・アレナリア
　　synonym　Opuntia polyacantha Haworth var. arenaria (Engelmann) B. D. Parfitt
　メキシコ原産。英名はSand pricklypear。標高1000～1300mの砂地の不毛地帯、小さな砂丘に生える。保護が懸念される。
　根茎は長く、長さ1.5m。茎節は狭倒卵形、長さ4～7cm×幅2～3(～5)cm。茎の中央節を横切る対角列に4～6個の刺座があり、間隔は8～11mm。刺は大半の刺座には2種類の刺がある。刺は刺座あたり1～3本で、上部の3～9個の刺座のみに、後屈～直立した、褐色で最長20～40mmがあり、小刺は刺座あたり5～7本で、強く反曲し、白色で長さ4～7mm、中間の刺は長さ14mmまで。果実は細く、長さ約2.5㎝、刺座が10～14個あり、刺を3～6本もち、刺の長さは8mmまで。2n=22。花期は晩春。

2 Opuntia aurea E.M.Baxter　オプンチア・アウレア
　USA(アリゾナ州、ユイタ州)原産。英名はprickly pear cactus , prickly-pear , golden prickly-pear , creeping beavertail。標高1500～1800mのピニオンジュニパー(pinyon-juniper)の森林、赤い砂地に生える。
　低木で、低い群落を形成するか、枝を垂れ下げ、高さ10～30cm。茎節は分離せず、緑色～青緑色で、平らで、楕円形～倒卵形、長さ6～15cm×幅5～12cm、低い疣状突起があり、パピラがある。刺座は7～11個、中間茎節を横切る対角列につき ほぼ円形～楕円形、長さ3～5mm×幅2～4mm、羊毛状毛は黄褐色(tan)。刺は無いかまたは1～少数の上部の刺座に1個だけつき、後屈し、黄色～灰色、真っ直ぐ、円柱形、長さ10mmまで。芒刺(glochids)は刺座とほぼ先の密な房の上面の縁に密な三日月形につき、黄色、長さ6mmまで。花：内側の花被片は全体が黄色(移入植物ではマゼンタ色)、長さ25～30mm。花糸は白色～黄色、葯は黄色。花柱は白色。柱頭裂片は緑色。果実は黄褐色～灰色、長さ25～30mm×幅15～20mm、乾き、刺はなく、刺座は12～18個。種子は黄褐色、ほぼ球形～不規則な形、扁平、非常に大きく、直径9～12mm、帯状部(girdle)は厚く、突出部は長さ2.5～3.5mm。2n=66。花期は晩春(5～6月)。
品種)　'Blush' , 'Coombe's Delight' , 'Coombe's Winter Glow' , 'Golden Carpet' , 'Kanab Blue' , 'Morning Glow' , 'Peach King' , 'Pink Passion' , 'Prairie Fire' , 'Red Canyon' , 'Rose Glow' , 'Salmon King' , 'Virgin River Rainbow' , 'White Cloud' , 'Zion'

3 Opuntia basilaris Engelm. & J.M.Bigelow 　オプンチア・バシラリス

　　synonym　Opuntia basilaris Engelmann & J. M. Bigelow var. basilaris [Short-Joint Beaver Tail Pricklypear]2n=22

　　synonym　Opuntia basilaris var. treleasei (J.M.Coult.) J.M.Coult. ex Toumey　[Kern beavertail pricklypear, Trelease’s beavertail pricklypear]2n=33

　　synonym　Opuntia basilaris var. longiareolata (Clover & Jotter) L.D.Benson　[Grand Canyon beavertail pricklypear] 2n=22

　　synonym　Opuntia basilaris var. brachyclada (Griffiths) Munz　[Little beavertail pricklypear]2n=22

　USA原産。英名はbeavertail pricklypear。流通名は円紅扇、月下団扇、叢生団扇。
　低木で、群落を作り、高さは1～2(～3)茎節があり、7～40cm。茎節は分離せず、青から黄緑色で、ときに栗紫色がかり、平らで、へら形～広倒卵形またはほぼ円形、太く、長さ5～22(～35)cm×幅2～13.5(～16)cm、ほぼ平滑、パピラ～微軟毛あり(まれに無毛)、中央の茎節を横切る対角列ごとに4～16(～19)個の刺座があり、円形～楕円形、長さ3～5mm×幅約3mm、毛は白色～黄褐色で、老化すると灰色になる。刺は刺座当たり0(～8)本で、ある場合、通常は上部の刺座にあり、開出し、黄色、真っ直ぐ、針状(acicular)、長さ5～25mm。花: 内側の花被片は全体的にピンク色～マゼンタ色(まれに白色)、長さ25～40mm。花糸は赤マゼンタ色(まれに淡色)。葯は帯黄色。花柱は白色～ピンク色。柱頭の裂片は白色～クリーム色。果実は成熟すると黄褐色になり、長さ20～40mm×幅15～23mm、成熟すると乾き、微軟毛があり、刺がない (var. treleaseiを除く)、臍(umbilicus)は深さ5～12mm。刺座は24～76個。種子は帯黄色～黄褐色、±ほぼ球形だが角張っていて、厚く、長さ6.5～9mm×幅6.5～7mm、側面は平滑または1～3個のくぼみがあり、帯状部(girdle)は1mmまで突き出ている。花期は2～6月または3～4月。2n=22, 33。
品種)　'Art Combe' , 'Baby Blue' , 'Berlin' , 'Caudata' , 'Goldy' , 'Isabella Blue' , 'Moab' , 'Mojave Blue' , 'Mojave Giant' , 'Mormon Rock' , 'Nana' , 'Peachy' , 'Sara's Compact'

4 Opuntia chlorotica Engelm. & J.M.Bigelow 　オプンチア・クロロチカ

　USA(アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州、ニューメキシコ州、ユタ州)、メキシコ原産。英名はpancake pricklypear, beavertail cactus , beavertail pricklypear。標高600～2400mの砂漠の草原、森林、低木林、砂漠の平地、岩棚、丘陵、峡谷に生える。
　小高木または低木、直立、高さ2～2.5m、直径30cm までの刺のあるはっきりした幹を持つ。茎節は分離せず(disarticulating)、青緑色で扁平、倒卵形～円形、長さ13～21cm×幅11.5～19cm、ほぼ平滑、無毛。中央の茎節に対角列(diagonal row)ごとに 7～10 個の刺座があり、ほぼ円形～楕円形、基部に隆起があり、長さ3～6mm×幅2.5～4mm、毛色は黄褐色で、老化すると灰白色になる。刺はないか、通常は上部の刺座にあるか、または茎節全体に均等に分布し、黄色、老化すると赤褐色～帯黒色になり、真っ直ぐまたは弱く湾曲し、±針状で、曲がっているか、または縁の刺座にいくつか直立する。大きな刺は刺座あたり0～7本、円錐形または基部が扁平、長さ25～45mm、通常、数本の真っすぐ～波状の剛毛刺を伴う。芒刺(ぼうし：glochids)は表側の縁に沿って狭い三日月形に密集し、刺座縁の基部に向かって長くなり、ほぼ頂点の房はないか発達が不十分で、黄色で、老化すると赤褐色になり、長さ14mmまで。花は：内側の花被片は黄色(ときに基部近くが赤みがかる)、裏側の中脈に沿って赤みがかった条線があり、幅広のへら状の小突起形、長さ18～30mm、花糸は白色、葯は黄色。花柱と柱頭裂片は白色、帯黄色、または淡緑色。果実は赤色、樽形、長さ30～60mm×幅18～40mm、肉質(しばしばミイラ状になり)、無毛、刺はない。へそ(umbilicus)は深さ6～9mm、刺座(areoles)は40～68個。種子は帯黄色、長さ3.5～4mm×幅3～3.5mm×厚さ1.5～1.8mm、腎形～ほぼ円形で平らで、しばしば反り返り、帯状部(girdle)は0.1～0.5mm突き出る。2n=22。花期は春～夏(4～7月)。
品種)　'Kurt'

5 Opuntia cochenillifera (L.) Mill.　コチニールウチワ
　メキシコ原産。中国名は胭脂掌 yan zhi zhang。英名はcochineal plant。
　低木又は小高木、高さ2～4m。幹は(あれば)円柱形。大きな茎節(joints)は緑色、楕円形～狭倒卵形、長さ8～40(～50)㎝×幅5～7.5(～15)㎝、厚く、縁は全縁、基部と先は円形。刺座(areoles)は直径約2mm。刺は普通、無く、ある場合は刺座に1～3本、開出し、灰タン色、針状(acicular)、長さ3～9mm。芒刺(glochids)は早落性。葉は円錐形、長さ3～4㎜、早落性。花は直径1.2～1.5㎝、直立する。外花被片(sepaloids)は鮮やかな赤色又は中肋が緑色、最も大きい外花被片は卵状デルタ形、長さ5～12㎜×幅6～9mm、全縁、先は鋭形。内花被片(petaloids)は明るい赤色、卵形～倒卵形、長さ1.3～1.5㎝×幅0.6～1㎝、縁は全縁又は波打ち、先は円形又は鋭形。花糸はピンク色、長さ3～4㎝。葯はピンク色、長さ約1.5mm。花柱はピンク色、長さ4～4.5㎝。柱頭は6～8個、帯緑色、長さ約3mm。果実は赤色、楕円形、長さ3～5㎝×幅2.5～3㎝、へそ(umbilicus)は発達するが、目立たない。種子は灰色又は帯タン色(黄褐色)、厚い円盤形、直径約3mm。花期は7～2月。

6 Opuntia decumbens Salm-Dyck　オプンチア・デカンベンス
　　synonym　Opuntia irrorata Mart.
　　synonym　Opuntia repens Karw.
　メキシコ、中央アメリカ(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ)原産。スペイン語名は Nopal de Culebra。別名は倒伏団扇、細毛団扇、智利団扇、銀扇。
　低木、サボテン、不規則に広がり、高さ50(～100)㎝以下。茎は普通、平伏し、たまに斜上し、基部から分枝する。茎節(joints)は倒卵形～ほぼ円形、長さ18㎝×幅10㎝・以下、アレオールの周りに紫色～帯赤色の斑紋があり、若い葉状枝は強い緑色で古くなると黄緑色になる。刺は各アレオールに0～3本、硬く、針状、帯黄色、古くなると白色。若いときに黄色の芒刺(glochids)があり、非常に細く、皮膚にささりやすい。花は黄色、しぼむと赤色を帯び、長さ5～6㎝×幅7～8㎝。花被片は倒卵形。雄しべは多数。柱頭は分裂する。果実は洋ナシ形(prickly pear)、帯紫色～帯赤色、刺がある。

7 Opuntia dillenii (Ker Gawl.) Haw.　センニンサボテン　仙人サボテン

　　synonym　Opuntia stricta auct. non (Haw.) Haw.
　メキシコ、ジャマイカ原産。中国名は仙人掌 xian ren zhang。英名はAraluen pear, erect prickly pear。要注意外来生物。
　低木、不規則に広がり又は直立、高さ1～3m。頂部の茎節(joints)は大きく、緑色～灰緑色、倒卵形又は楕円状倒卵形～ほぼ円形、長さ10～35(～40)㎝×幅7.5～20(～25)㎝。刺座(areoles)は直径2～9mm。刺は各刺座に1～12(～20)本、開出し、黄色、±褐色の縞模様又はまだらになり、錐状、真っすぐ又は曲がり、長さ1.2～4(～6)㎝、基部は平らになる。芒刺(glochids)は黄色。葉は錐形、長さ4.5～6㎜、早落性。花は直径5～9㎝。外花被片(sepaloids)は帯緑色、縁が黄色、広デルタ状倒卵形～倒卵形、長さ10～25mm×幅6～12mm、縁は全縁又はわずかに縮れ、先は微突形。内花被片(petaloids)は平開し、明るい黄色、倒卵形～くさび状倒卵形、長さ25～30㎜×幅12～20㎜、縁は全縁又はわずかに波打ち、先は円形、切形、又は凹形。花糸は黄色、長さ約12㎜。葯は黄色、長さ約1.5mm。花柱は黄色又は帯黄色、長さ12～20mm。花柱は5個、淡緑色、長さ約4.5㎜。果実は紫色、こま形～倒卵形、長さ4～6㎝×幅2.5～3(-4)㎝、熟すと肉質、へそ(umbilicus)は深い。種子は薄タン色、不規則な円形、長さ4～5mm×幅4～4.5㎜。花期は6～10(～12)月。

8 Opuntia elata Link & Otto ex Salm-Dyck　タカウチワ　高団扇
　南アメリカ(アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)原産。英名はRiverina Pear, Prickly pear, Orange tuna。別名は艶肌団扇。
　低木、直立し、高さ3(～4)m、直径5mまでになり、まれに短い幹が直径25cmまでになる。茎節はしっかりと付着し、狭倒卵形、倒卵形から楕円形、長さ9～32cm、幅4～14cm、厚さ20～28(～40)mm、扁平、疣状突起はなく、緑色、しばしば茎節の縁と刺座の周囲に赤紫色の斑点がある。刺座は茎節ごとに12～32個あり、間隔は18～55mm、円形またはほぼ円形～楕円形、長さ3～5.5mm、幅2.5～5.5mm、隆起せず、羊毛状毛はオフホワイトで、老化すると灰色になる。葉は多肉質、円柱形、円錐形または細長い円錐形、長さ3.5～6mm、早落性、刺は無く、または刺座に1(2)本あり、茎節の上半分に限られるか不規則に散在し、前屈または様々な広がり方をし、長さ7～48mm、基部の幅0.7～1.2mm、円柱形で真っ直ぐまたは先端近くでわずかに湾曲し、通常丈夫で、髭はなく、暗赤褐色または赤紫色で先端は黄色がかり、老化すると灰褐色または淡灰色になる。花序は少数で密集し、目立たず、長さ0.7～1.2mm、赤褐色。花は直径(35～)50～95mm、外側の花被片は明瞭で、深紅色を帯び、多肉質、倒卵形、先は鋭形。内側の花被片は黄色またはオレンジ色、しばしば、先端が赤みがかり、開出するかほぼ直立し、広倒卵形～倒卵形、長さ25～40mm、幅15～23mm、先は鈍形、全縁。雄しべは非常に淡い黄色、葯は淡黄色。花柱は非常に淡い黄色、柱頭の裂片は緑色。花托筒(pericarpel)は（開花時）疣状突起がなく、刺がない。果実は単生で、狭倒卵形、倒卵形、倒円錐形または卵形、長さ(45～)60～90mm、直径18～30mm、臍は浅く、疣状突起がなく、刺がなく、成熟すると紅色になり、ジューシーで、食用になる。種子は稔性、±扁平、長さ3～5mm、ベージュ色。花期は晩春～夏。2n=44
品種)　'Elongata'

9 Opuntia engelmannii Salm-Dyck ex Engelmann　オプンチア・エンゲルマニー

　USA(カリフォルニア州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はdesert prickly pear , discus prickly pear , Engelmann's prickly pear , Texas Prickly Pear Cactus , Cactus Apple。別名は天人団扇。
　低木又は小高木、幹は短く、広がり、ときに傾伏し、高さ1～3m。茎節(stem segments)は関節で離れず(not disarticulating)、黄緑色～青緑色、扁平、円形～倒卵形～菱形、又は先細に長くなり、長さ15～40(～120)㎝×幅10～40㎝、±いぼがあり、無毛、しばしば粉白色になる。アレオール(areoles)は中央の葉状枝を横切る各対角線に5～8個、 茎節に均等に配置するか又は欠き、円形～倒卵形、長さ4～7㎜×幅4～6㎜、羊毛状の毛は黄褐色(tawny)、古くなると帯黒色になる。刺は各アレオールに(0～)1～6(～12)本、白色～帯黄色、普通、基部の根元が赤色～暗褐色、古くなると灰色～±黒色になり、錐形、真っすぐ又は曲がり、少なくとも基部近くは平ら～角(かど)がある。最も長い刺は開出～強く 後屈し、長さ10～30(～50)㎜。芒刺(glochids)は広く間隔が開き、内側の縁に三日月形にまばらにつき、アレオールを取り囲むかほぼ取り囲み、ほぼ先に房状に散在し、黄色～赤褐色、古くなると灰色～帯黒色、長さは不規則で、10mm以下。花は内花被片が均一に黄色～バフ色(buff)、ときにオレンジ色～ピンク色～赤色(まれに帯白色)、長さ30～40㎜。花糸、葯及び花柱は帯白色～クリーム色。柱頭は裂片が黄緑色～緑色。果実は全体が暗赤色～紫色、ときに柄があり、細長い卵状～樽形、長さ35～90mm×幅20～40mm、ジューシー(滲み出し、染まる)、無毛、刺は無く、アレオール(areoles)は20～30個、普通、先ににある。種子はタン色～帯灰色、ほぼ円形～デルタ形、扁平、長さ2.5～6mm×幅2～5㎜、 珠柄のガードル(funicular girdle)は0.3～0.5㎜、突き出す。5変種がある。

9-1 Opuntia engelmannii Salm-Dyck ex Engelmann var. engelmannii

　USA(カリフォルニア州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はEngelmann’s pricklypear。
　葉状枝(stem segments)は円形～倒卵形～菱形、長さ20～40㎝×幅17～30㎝、長さは幅の1.5倍まで。刺は各アレオールに(0～)1～5(～12)本又は無く、又はほとんどのアレオールに無く、チョーク白色、湿ると黄色、古くなると灰色～黒色になり、基部の根元が赤滑翔、最も長い刺は20～50(～75)mm。2n=66。花期は4～7月。2n=33。
品種)　'Limes' , 'Natural Bridge'

9-2 Opuntia engelmannii var. lindheimeri (Engelm.) B.D.Parfitt & Pinkava　オプンチア・リンドハイメリ

　USA(ルイジアナ州、ニューメキシコ州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はTexas Pricklypear。
　葉状枝(stem segments)は広倒卵形～ほぼ円形、長さ15～30㎝×幅12.5～25㎝、ときに幅広になり、長さは幅の1.5倍まで。刺は各アレオールに(0～)1～6本、葉状枝に均等に配置されるか又は無く、全体に黄色、ときに基部の根元が赤色～赤褐色、古くなると帯黒色、最も長い刺は長さ12～75mm。2n=66。花期は3～6月。
品種)　'Ellisiana' , 'Oreja de Elefante' , 'Sequin'

10 Opuntia erinacea Engelm. & J.M.Bigelow　オプンチア・エリナケア

　　synonym　Opuntia polyacantha subsp. erinacea (Engelm. & J.M.Bigelow) Guiggi

　　synonym　Opuntia polyacantha var. erinacea (Engelm. & J.M.Bigelow) B.D.Parfitt

　アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、メキシコ原産。英名はGrizzlybear pricklypear, Mojave prickly pear, Old man cactus, Old man prickly pear。
10-1 Opuntia erinacea var. erinacea

　　synonym　Opuntia polyacantha Haw. var. erinacea (Engelm. & J.M. Bigelow) B.D. Parfitt

　　synonym　Opuntia erinacea var. ursina (F.A.C.Weber) Parish ex Jeps

　アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、メキシコ原産。英名はMojave Pricklypear。標高1000～1400mの砂漠、砂漠の草原、ジュニパー林、沖積土、砂質または砂利質の土壌に生える。
　常緑低木、多肉植物。成長速度が遅く、密集して主に基部で枝分かれし、匍匐性で広がり、高さ60～90cm。茎節は楕円形～倒卵形、長さ(7～)10～20cm×幅5～10cm。中央茎節の対角列に8～14個の刺座があり、間隔は12～17mm。刺は基本的にすべての刺節に1～18本あり、大きさと向きが段階的に変化し、黄色～暗褐色、灰色、ピンク灰色、または灰褐色に変化し、最も長い刺は特に下部の茎節で全方向に広がりカールし、通常は斜上し、茎節の先近くでは±真っすぐ、基部近くでは反曲～後屈し、長さ(35～)40～90(～185) mm で、古い茎節の刺はより多く、直線性が低く、後屈する。花は茎節の上部の縁につき、幅5～7.5㎝、マゼンタ色。果実は淡緑色の楕円形、刺座は20～33個、刺は刺座ごとに7～13本、刺の長さは8～20mm、熟すと黄緑色～帯赤色になり、食べられる。2n=44(四倍体)。花期は晩春、(4～)5～6月。果期は晩夏～秋。
品種)　'Albispina' , 'Aureiflora' , 'Browse Cherry' , 'Candelaria Flame' , 'Dawning Light' , 'Exquisite' , 'Mike Hammitt' , 'Rubia' , 'Snow' , 'Violaciflora', 'White Lightning'

10-2 Opuntia erinacea var. hystricina (Engelm. & J.M.Bigelow) L.D.Benson

　　synonym　Opuntia polyacantha Haworth var. hystricina (Engelmann & J. M. Bigelow) B. D. Parfitt

　アリゾナ原産。英名はPorcupine pricklypear。標高1500～2600mの砂漠の草原、ピニオン/ジュニパーの森林に生える。
　低木。茎節は倒卵形で、長さ8～10cm×幅5～8cm。茎の中央節を横切る対角線列ごとに(6～)8～10個の刺座があり、間隔は10～17mm。刺座の大部分には刺があり、大きさと向きが段階的。刺は刺座あたり(1～)2～10本あり、わずかに真っすぐ下降し、先近くでは斜上し、(黄灰色～)褐色～黒色で長さ(4～)5～8cm。小刺は刺座あたり4～6本あり、反り返り、灰白色。果実は太く、刺座は11～21個あり、刺は4～18本あり、長さ4～18mm。2n=44, 66。花期は5～6月。
品種)　'Bernalillo' , 'Cactusmania' , 'Cactusmannia' , 'Chinle' , 'Drama Queen' , 'Franz Schenk' , 'Hagen' , 'Hagen Miniatur' , 'Hagen Miniature' , 'Halblech' , 'Halle' , 'Hamburg' , 'Hamm' , 'Hanau' , 'Hannover' , 'Harburg' , 'Heather' , 'Heide' , 'Heidelberg' , 'Heilbronn' , 'Helgoland' , 'Manu' , 'Memmingen' , 'Munchen' , 'Pink n' White' , 'Thornless Judge'

11 Opuntia ficus-indica (L.) Mill.　ウチワサボテン　団扇仙人掌
　　synonym　Opuntia undulata Griffiths　巨人団扇

　　synonym　Opuntia ficus-indica (L.) Mill. var. saboten Makino　[Kewscience]

　メキシコ原産。中国名は梨果仙人掌 li guo xian ren zhang。英名はsweet prickly pear , edible prickly pear , indian fig 。別名はサボテン、大型宝剣。
　低木又は小高木、高さ1.5～5m。幹は(あれば) 円柱形。茎節(joints)は鈍い緑色又は灰緑色、広倒卵形～狭倒卵形～楕円形～長円形、長さ(20～)25～60㎝×幅7～20㎝、厚い。刺座(areoles)は狭い楕円形、長さ2～4.5㎜。刺は普通、無く、ときに各刺座に1～6本、開出又は下曲し、剛毛状又は針状、長さ0.3～3.2㎝、基部は平ら。芒刺(glochids)は黄色、早落性。葉は円錐形、長さ3～4㎜、早落性。花は直径5～8㎝。外花被片は黄色で中央が帯赤色又は緑色、広卵形～倒卵形、長さ2㎝以下、縁は全縁又は小歯状、先は切形又は鋭形、微突形。内花被片は開出し、黄色～橙色、倒卵形～長円状倒卵形、長さ2.5～3.5㎝×幅1.5～2㎝、縁は全縁又は微細不整歯、先は円形、切形、又は凹形。花糸は帯黄色、長さ約6㎜。葯は黄色、長さ1.2～1.5mm。花柱は帯緑色、長さ約15mm。柱頭は(6～)7～10個、クリーム色、長さ3～4mm。果実は黄色、橙色、又は帯紫色、長さ5～10㎝×幅4～9㎝、へそ(umbilicus)はは低く、凹形。種子は灰色又はタン色、楕円状円形、長さ4～5㎜×幅3.5～4㎜。花期は5～6月。
品種)　'Abancay Orange' , 'Abundant' , 'Achefri' , 'Actual' , 'Algerian' , 'Amarilla China' , 'Amarilla Diamante' , 'Amarilla Mansa' , 'Amarilla Milpa Alta' , 'Amarilla Monteza' , 'Amarilla Naranjona' , 'Amarilla Platano' , 'Amarilla Ralena' , 'Amarillo Huevo' , 'American Giant' , 'Amersfoort' , 'Amouslem' , 'Anacantha' , 'Apastillada Anaranjada' , 'Arbiter' , 'Astikaja' , 'Avalon' , 'Banana' , 'Bianca' , 'Blanco' , 'Blue Motto' , 'Bola de Masa' , 'Bolanera' , 'Burbank Spineless' , 'Burbank Standard' , 'Buster' , 'California' , 'Castillo' , 'Catania' , 'Ceniza Roja' , 'Cero Espinas' , 'Chamacuero Monteza' , 'Chicomostoc' , 'Chilena' , 'Chirriona' , 'Colorado' , 'Columbia' , 'Competent' , 'COPENA F-1' , 'COPENA Torreoja' , 'COPENA V-1' , 'Corfu' , 'Cristal' , 'Cross X' , 'Cuervo Tuna' , 'Dar 1-12-19 Red' (F) , 'Dar 1-27-24 Orange' (F) , 'Desert Delight' , 'Desert Dream' , 'Desert Glow' , 'Desert Romance' , 'Desert Sunrise' , 'Desert Sunset' , 'Diabetes Zacatecas' , 'Direkteur' , 'Doctor Mora' , 'Dreamsicle' , 'El Dorado' , 'Etna' , 'Farawla' , 'Feeder' , 'Florida White' , 'Fresa' , 'Fresno' , 'Fusicaulis' , 'Gialla Sarda' , 'Gialla Sicilana' , 'Grande de Wari' , 'Gravity' , 'Gray Form' , 'Green Burst' , 'Grifa' , 'Guayaquil' , 'Gymnocarpa' , 'Hayne' , 'Huesuda' , 'Huevo de Gato' , 'Irapuato' , 'Italiano Mejorado' , 'Italiano Morado' , 'Jade' , 'Jagueno' , 'Jalpa' , 'Jarrilla Grande' , 'Jarrilla' , 'Juanita Kaja' , 'Liria' , 'Liso Blanco' , 'Liso Forrajero' , 'Liso' , 'Lynnwood' , 'Manso Apastillada' , 'Marin' , 'Market' , 'Messina' , 'Mieluda' , 'Milpa Alta' , 'Mission' , 'Model' , 'Monelova' , 'Morada de San Martin' , 'Morada' , 'Muscaredda' , 'Muscatel' , 'Myers' , 'Nalle' , 'Naranjona Dulce' , 'Naranjona Helia' , 'Naranjona' , 'Negrito Atlixco' , 'Negrito' , 'Nepgen' , 'Niagara' , 'Nudosa' , 'Ofer' , 'Opaline' , 'Oreja de Elefante' , 'Orejon' , 'Pabellon Amarillo' , 'Padre Santo' , 'Papiki' , 'Pico Chulo' , 'Postmasburg' , 'Prolific' , 'Promotora' , 'Quillota' , 'Reventon' , 'Robusta' , 'Roedtan' , 'Roja Lisa' , 'Roja Saeta' , 'Roja San Martin' , 'Rojo 10' , 'Rojo Insurgentes' , 'Rojo Lirio' , 'Rojo Pelon' , 'Rojo Vigor' , 'Roly Poly' , 'Rosalito' , 'Rosamel' , 'Rossa' , 'Royal' , 'Rubi Reyna' , 'Saffir Select' , 'Saffrano' , 'Salinas Gold' , 'Sangre de Cristo' , 'Sangre de Toro' , 'Sangre' , 'Sangrita' , 'Sanguigna' , 'Sanguino' , 'Santa Maria' , 'Santa Rosa' , 'Santa Ynez' , 'Schagen' , 'Seleccion Pabellon' , 'Sgt-INIFAP' , 'Shamia' , 'Sharsheret' , 'Sicilian Port Wine' , 'Signal' , 'Skelley' , 'Skinners Court' , 'Smith' , 'Solano' , 'Solferino' , 'Sonoma' , 'Special' , 'Sugar' , 'Sunburst' , 'Superb' , 'Surfarina' , 'Taormina' , 'Telokaja Rojo' , 'Telokaja' , 'Tenikaja' , 'Texas Feeder' , 'Tezontepec' , 'Til-Til' , 'Titania' , 'Tovarito' , 'Trailing' , 'Turpin' , 'Tzebekaja' , 'Ushikaja' , 'Van As' , 'Verdal' , 'Verde Villanueva' , 'Vertex' , 'Villanueva' , 'Vryheid' , 'Whitefruit') , 'Woolly' , 'Xoconostle Agrio' , 'Xoconostle Blanco' , 'Xoconostle Colorado' , 'Xoconostle de las Piramides' , 'Zalisco' , 'Zastron' , 'Zukini'

12 Opuntia fragilis (Nutt.) Haw.　オプンチア・フラギリス

　USA、カナダ原産。英名はbrittle pricklypear , little pricklypear。標高0～2400mの草地、森林、砂質または砂利質土壌、花崗岩、石灰岩、または珪岩の露頭の不毛地帯に生える。
　低木、高さ2～10cm、低いマット状に生える。茎節は先端で簡単に分離し、濃い緑色、亜球形から亜円筒形、扁平で楕円形の倒卵形、長さ(1.5～)2～5.5cm×幅(1～)1.5～3cm、低い疣状突起があり(乾燥すると顕著)、無毛。中央の茎節を横切る対角列に3～5個の刺座があり、楕円形、長さ3mm×幅2.5mm、羊毛状毛は白色。刺は刺座当たり3～8本の刺があり、ほとんどの刺座で開出し、灰色で先端が褐色、真っ直ぐ、±針状、円錐形、長さ8～24mm以下。刺座の基部のくぼんだ刺は0～3本、長さ1～3mm。芒刺(glochids)は刺座の上面の縁に三日月形につき、黄褐色～褐色で目立たず、長さ3mmまで。花: 内側の花被片は黄色、ときに基部が赤色になり、長さ20～26mm。花糸は白色または赤色。葯は黄色。花柱は白色。柱頭の裂片は緑色。果実は黄褐色、長さ10～30mm×幅8～15mm、乾き、無毛、刺座(areoles)は12～22 個、上部の刺座には1～6本の短い刺がある。種子は黄褐色～灰色、平ら、歪み(warped)、長円形～ほぼ円形、直径5～6mm、帯状部(girdle)は長さ1～1.5mm 突き出る。2n=66。花期は夏(6月下旬～7月上旬)。
品種)　'Alberta Sunset' , 'Black Cat' , 'Bronze Beauty' , 'Compact Form' , 'Coral Rose' , 'Dungeness Delight' , 'Feldburg' , 'Flora Rosea' , 'Fohr' (aka Föhr) , 'Frankfurt' , 'Freiburg' , 'Freising' , 'Friedrichshafen' , 'Fussen' , 'La Sal' , 'Lake of the Woods' , 'Little Grey Mound' , 'Neon Gold' , 'Nevada Cushion' , 'Okanagan Valley' , 'Pont' , 'Pony' , 'Potato' , 'Prag' , 'Red Butte' , 'Red Hill' , 'Red N Black' , 'Sansum Narrows' , 'Smorblomst') (aka Smørblomst , 'Tiny Spiny' , 'Wenatchee' , 'Wizzard' , 'Yellow Spineless'

13 Opuntia gosseliniana F.A.C.Weber　オプンチア・ゴッセリニアナ

　　synonym　Opuntia santa-rita (Griffiths & Hare) Rose　[Flora of North America]

　　synonym　Opuntia shreveana C.Z.Nelson
　USA(アリゾナ州)、メキシコ原産。英名はpurple pricklypear, violet pricklypear , Santa Rita Pricklypear。別名は御帝団扇。標高700～1600mの砂漠、草原、オーク林、平地、斜面、砂質から岩質の土壌に生える。
　低木または高木、幹は短く、直立し、高さ2mに達する。茎節は容易には分離せず、緑色または、ストレスがあると、少なくとも刺座の周囲はラベンダー色から赤紫色になり、平らで、ほぼ円形、ときに卵形または倒卵形になり、長さより幅が広く、長さ10～20cm×幅9.5～20cm、薄く、ほぼ平滑、無毛。刺座は、茎の中央の茎節に対角列ごとに6～8(～9)本あり、倒卵形または楕円形～ほぼ円形、ときに腎形、長さ3～3.5mm×幅2～2.5mm。毛は黄褐色～褐色。刺は刺座ごとに0～1(～2)本で、通常、茎節の縁に沿って少数あり、屈曲～直立し、淡黄色～角(つの)色（老化すると赤褐色）、真っ直ぐからわずかに曲がり、針状、円柱形、長さ40 mm以下、通常より短い。芒刺(glochids)は刺座の背側縁に三日月形に密集し、刺座をほぼ取り囲み、頂端付近に房状に均一な高さでつき、黄色～黄褐色、老化すると褐色になり、長さ5mmまでになる。花：内側の花被片は全体的に黄色、帯橙色に変色し、長さ25～45mm。花糸は全体が淡黄色または下部が淡黄色、先は白色。葯は淡黄色。花柱は白色。柱頭の裂片は薄緑色。果実は帯紫色、内側は緑色で、倒卵形～樽形、長さ25～45mm×幅20～30mm、肉質、無毛、刺はなく、刺座は34～44(～54)個。種子は黄褐色、長さ3.5～5mm×幅3～4mm、側面は凸面形、しばしば突起があり、帯状部(girdle)は0.5mm突き出る。2n=22。花期は春(4～6月上旬)。
品種)　'Pinta Rita' , Tubac™

14 Opuntia humifusa (Raf.) Raf.　ハイウチワ　這団扇
　　synonym　Opuntia vulgaris Mill.
　USA(アラバマ州、コネチカット州、デラウェア州、コロンビア特別区、ケンタッキー州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシシッピ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、バージニア州、ウェストバージニア州)、メキシコ原産。英名はEastern Pricklypear。別名は円武扇(エンブセン)、円武団扇。
　低木、直立又は不規則に広がり、高さ3～4m。ときに明瞭な円筒形の幹をもつ。茎節(stem segments)は普通、狭い倒卵形、扁平、長さ10～30㎝×幅5～12㎝、明るい緑色。刺座(areoles)は密に短い羊毛状の毛があり、芒刺(glochids)は帯褐色。刺は刺座に1～2本(幹では12本以下)、丈夫な針状、長さ7 (～10)㎝以下、直径1.5㎜、あれば1本は普通、他より明瞭に長く、帯灰色、先端が暗色。葉は錐形、長さ2～3mm、早落性。花は直径5～7.5㎝。外花被片は黄色、赤色の縞又は赤色を帯びる。内花被片は黄金色、広く広がる。果実は倒卵形、長さ5～7.5㎝×直径2～4㎝、剛毛があり、刺は無く、赤紫色、果肉は食べられる。
品種)　'Bijou' , 'Claude Barr' , 'Elegant' , 'Grandiflora' , 'Inermis' , 'Jersey' , 'Kleinheppacher Kopf' , 'Lemon Spreader' , 'Louisiana' , 'Major' , 'Millevaches' , 'Mulberry Creek' , 'Orange Form' , 'Rosa Neutrieb' , 'Sunshine' , 'Variegata'

15 Opuntia hyptiacantha F.A.C. Weber 　オプンチア・ヒプチアカンサ
　メキシコ原産。英名はNopal Cascaron。
　大型のサボテンで高さ5m以下。茎節(stem segments)は淡緑色。花は赤色～橙色。果実は可食、赤色。
これは高さ1.5～5mの樹木で、枝が開き、時には樹冠の直径がほぼ2mになる。はっきりした幹は長さ200cmx幅20cm、帯灰色～帯黒色、刺があり、樹皮には波状の縦縞状の鱗片がある。枝は広倒卵形、長さ22～35cmx幅15～25cmx厚さ1～3cm、明るい緑黄色～暗緑青色、白色のワックスで覆われ、白粉で覆われる。表皮は無毛、不透明。刺座は10～16列に並び、互いに2～3cm離れ、葉状茎(cladode)の基部は円形の梨形、先端は倒卵形～梨形、全てを含んで長さ4～6mmx幅2mm、中央は褐色のフェルト状、刺座の周囲は黒っぽい。刺は長さ3～8cmで、古くなるにつれて長くなり、錐形でわずかに角(かど)があり、散開し、陥没せず、扁平だが捻じれず、長さ0.2～2cm、白色、先は黄色で半透明。花は開花時に長さ9.5cm、直径9cm、黄色。花糸と葯は黄色。花柱はピンク色、柱頭の裂片は6個、外側の裂片はへら形、先端は粉砕され(mucronized)、薄黄色、幅広で赤みがかった中程度の帯がある。内側の裂片はへら形で先端は粉砕され、黄色。果皮は長さ4～4.5cm。果実は倒卵形～ほぼ球形、淡赤色～濃赤色、果皮は厚く、幅1～3cm、酸性で、ほぼ円形～倒卵形の刺座があり、黄色のフェルト、黄色の腺があり、長さ約1.2cmの刺があり、脱落性で黄色。赤い果肉の花痕(floral scar)は直径2.2cm、ほぼ平らで、深さ0.7cm、果実はショコノストレ(xoconostle)と呼ばれる。腎形の種子は角(かど)があり、狭い白色の種沈と側糸がある。
品種)　'Amarilla 24' , 'Blanca de la Victoria' , 'Cardon Blanco' , 'Cardon de las Papas' , 'Chiquihuitillo' , 'Cimarron' , 'Forrajera' , 'Harton' , 'Jaquena' , 'Jokja' , 'Ladrillo' , 'Negrito' , 'Nistokaja' , 'Pachon' , 'Roja Rubi'

16 Opuntia lasiacantha Pfeiff.　オプンチア・ラシアカンサ
　メキシコ原産。英名はNopal de Cerro , red prickly pear。
　多少明確な幹を持ち、高さ3～4mまで成長し、枝分かれが多く、背が高い。茎節は倒卵形または長方形、長さ20～30cm、扁平。葉は錐形。刺座は2～3㎝離れており、芒刺(glochids)は小さく、少数つき、褐色～帯黄色。若い茎節には1本の刺といくつかの鋭い毛があり、刺は長さ1～2cm、古い茎節には4～6本の刺があり、平らで、長さ3～4cmになる。花は赤色。子房には長い褐色の脱落する芒刺(glochids)がある。果実は球形、帯黄色、刺座に芒刺をもつ。
品種)　'Amarilla Miquihuana' , 'Blanca Cristalina' , 'Madokaja' , 'Nopal del Real' , 'Sanjuanera' , 'Tuna Iris'

17 Opuntia leucotricha DC.ギンセカイ　銀世界
　メキシコ原産。英名はNopal Duraznillo , Aaron's Beard Prickly-pear。中国名は棉花掌 mian hua zhang。別名はオプンチア・レウコトリカ。
　低木、直立し、高さ1～3(～4.5)m、明瞭な幹をもち、幹は長さ90㎝以下、直径15～30㎝。茎節(cladodes)は扁平、広倒卵形～ほぼ円形、長さ10～30㎝×幅7.5～20㎝、灰緑色～黄緑色、普通、灰緑色の微細な(ビロード状の)白色の毛がある(毛は長さ0.3～0.5mmm)。刺座(areoles)は茎節の表面に30～80個つき、 0.9～2㎝離れ、褐色の羊毛状の毛と芒刺(glochids)で満たされる。刺は開出～下曲し、各刺座に(1)2～6本(古い葉状枝では8～10(20)本、不規則に曲がる)、白色、糸状、しなやかな、長さ1.5～4㎝×基部の幅約0.2mm。花は直径約5㎝。内花被片(petaloids)は広がり、黄色、倒卵状くさび形、微突形、小歯がある。雄しべは黄色、花糸は白色。花柱はピンク色～赤色。柱頭は緑色。花托筒はこま形。果実は樽形、長さと幅は2.5～3.5(～6)㎝、肉質、刺座が約35～47個あり、微細な毛があり、刺が各刺座に0～小数本あり、帯薄黄色～帯赤色(紫色)。種子は長さ3～4mm。花期は4～5月。2n=44。
品種)　'Iskaja' , 'Xoconostle Moro'

18 Opuntia littoralis (Engelm.) Cockerell　オプンチア・リットラリス

　カリフォルニア州、メキシコ原産。英名はcoastal prickly-pea, prawling prickly pear。標高10～400mの沿岸の沿岸のセージの藪(coastal sage scrub)、チャパラル(chaparral:低木の密生した草木の茂み)に生える。
　低木で、広がり、大きな群落を形成し、高さ1m×幅1～9m・まで。茎節は分離せず、緑色で、扁平、楕円形～倒卵形～菱形、長さ15～25(～40)cm×幅6.5～14cm、±疣状突起があり、無毛、通常は粉白色。中央の茎節を横切る対角列ごとに5～7(8)個の刺座があり、突出し、ほぼ円形(～楕円形)、長さ4～6mm×幅4～5mm、老化とともに大きくなり、羊毛状毛は灰色。刺は刺座ごとに4～11本あり、ほとんどの刺座は黄色で、チョーク白色を帯び、基部は黄色～赤褐色になり、老化すると赤みがかった灰色になる。直立した刺は円柱形、頑丈で真っすぐ。腹側の刺は後屈し、より短く、長さ12mmまで。背側の刺は広がり、最長の刺は20～40mm。芒刺(glochids)は、刺座の背側に中程度に密集し、有る場合はほぼ先端の房と融合し、黄色～赤褐色、長さ5mmまで。花：内側の花被片は全体的に黄色～鈍い赤色で、長さ35～45mm。花糸は黄色～橙黄色。葯は黄色。花柱はピンク色～赤色。柱頭の裂片は黄緑色～緑色。果実は全体的に暗赤紫色、倒卵形、長さ35～50mm×幅30～35mm、ジューシー、無毛、刺はなく、刺座は22～36個、食べられる。種子は灰色、ほぼ円形、歪み、直径3～4.5mm、帯状部は0.5mm突き出る。2n=66。花期は春(4～5月)。
18-1 Opuntia littoralis var. littoralis
　　synonym　Opuntia semispinosa Griffiths
　カリフォルニア州、メキシコ原産。

18-2 Opuntia littoralis var. piercei (Fosberg) L.D.Benson & Walk.

　　synonym　Opuntia littoralis subsp. piercei (Fosberg) M.H.J.van der Meer

　　synonym　Opuntia phaeacantha var. piercei Fosberg
　カリフォルニア州原産。南カリフォルニアのサンバーナーディーノ山脈(San Bernardino Mts.)の固有種。英名はPierce's Prickly Pea。山地林、ジュニパー・ピニオン林、砂漠の低木林に生える。
　大きく広がった群落をつくり、高さは最大約90cm。花被は黄色で基部が赤色を帯びる。柱頭は緑色。花柱はクリーム白色。花糸は黄色～黄緑色。果実は赤紫色。花期は4～7月。

19 Opuntia macrocentra Engelm. 　オプンチア・マクロケントラ
　　synonym　Opuntia violacea Engelmann ex B. D. Jackson
　USA(アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はBlack-spined pricklypear, purple pricklypear, long-spined Prickly Pear , purple prickly pear。別名は天鼓。標高900～1600mの砂漠の高地、草原、オーク林、砂地の砂漠の平地、岩だらけの丘陵と谷に生える。
低木で、直立または横臥し、高さ1mまで。茎節は簡単には外れず、紫色(特にストレスがあると)～緑色、茎節の縁と刺座付近は紫色、平らで広倒卵形～ほぼ円形、やや厚く、長さ7～20cm×幅6～18cm。刺座は茎の中央節に対角列ごとに6～8(～10)個あり、楕円形～円形、長さ3～7mm×幅2.5～5mm、毛は黄褐色～帯白色、老化すると黒色になる。刺は刺座ごとに0または1～15本以上あり、刺座の上部には少数、刺座の大半には多数あり、通常は直立または開出し、手に負えない(unruly)外見で、ときに後屈し、真っ直ぐまたは曲がり、針状で、しばしばしなやかで、ほぼ円柱形～基部は平らになり、長いものは赤褐色～±黒色(テキサス州西部ではまれに黄色から赤色)、または部分的～完全に白色、長さ30～120(～170)mm。まれに後屈した刺があり、一部の刺座に1本あり、短く、帯白色。芒刺(glochids)は刺座の背側の縁に半月形に密集し、よく発達したほぼ先端に房があり、赤黄色で、老化すると褐色になり、長さ2～3(～6)mm。花：内側の花被片は黄色で基部は赤色、倒卵形小突起形、長さ25～40mm。花糸と葯は帯黄色。花柱はクリーム色。柱頭の裂片は緑色。果実は赤色～帯紫色、倒卵形～樽形、長さ25～40mm×幅20～23mm、肉質または±ジューシー、無毛、刺はなく、臍は深さ8～10mm、刺座は22～44個。種子は帯黄色、ほぼ球形～腎形、角(かど)があり、長さ5～7mm×幅3.5～5mm、側面は平らで、帯(girdle)の突起は0.8～1.2mm。2n=22, 44。花期は春(3～6月)。
品種)　 'Alba' , 'Edison' , 'Kunzleri' , 'Santa-Rita Curls' , 'Silver City' , 'Viola' , 'Violacea'

20 Opuntia macrorhiza Engelm. 　オプンチア・マクロリザ
　USA(アリゾナ州、アーカンソー州、コロラド州、イリノイ州、カンザス州、ミズーリ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、テキサス州、ユタ州)、メキシコ原産。英名は plains prickly pear , twistspine pricklypear , Western pricklypear , bigroot prickly pear。別名は大根団扇。標高100～2300mの平野、低木林、草地、針葉樹林、砂質からローム質の土壌に生える。
　低木、群落を形成し、高さ7.5～16cm、塊茎状の根茎から生えることもある。茎節は容易には分離せず、暗く鈍い緑色、ストレスがあるとしばしば交差しわが寄り、平らで、倒卵形～円形、長さ5～11cm×幅3.5～7.5cm、肉質(ストレスがるとたるんで交差ししわが寄り）、疣状突起があり、粉白色。刺座は茎の中央茎節を横切る対角列につき5～6(～8)個、楕円形～ほぼ円形、直径2～4mm、羊毛状毛は黄褐色。刺は刺座あたり(0～)1～4本、通常上部の刺座にあり、直立または開出し、白色～赤褐色、針状、真っ直ぐ、円柱形または1本が平ら、±丈夫(基部で直径0.5mm)、長さ60mmまで。芒刺(glochids)は密集し房状で、淡黄色、黄褐色～赤褐色、老化すると褐色になり、長さ5mm まで。花: 内側の花被片は黄色で基部は赤色、長さ25～40mm。花糸は淡黄色、葯は黄色、花柱は白色。柱頭の裂片はクリーム色～帯黄色。果実は緑色～帯黄色、または鈍い赤色で、柄があり、長円形、長さ25～40mm×幅15～28mm、肉質、無毛、刺座は16～28個。種子は黄褐色、ほぼ円形、長さ4～5mm、やや厚く、反り返り、帯状部()は広く、0.5mmまで突き出る。2n=44。花期は晩春(5～6月)。
品種)　'Apricot' , 'Ellsworth' , 'Fayette' , 'Grandiflora' , 'Ohio' , 'Susanne' , 'Viola'

21 Opuntia maxima Mill.　オオガタホウケン　大型宝剣
　メキシコ原産。英名はprickly pear。別名はリュウカホウケン。
　低木、よく発達した幹を持つ多肉質の粉白色を帯びた緑色で、高さ5～6mまで。茎節は長さ30～40(50)cm、長楕円形または楕円形、平らで厚く、濃い灰緑色。葉は未発達で長さ4mm以下。刺座は散在し、小さく、1～2本の短い剛毛と壊れやすい褐色の芒刺(glochids)をもち、1～4本の長い刺がある。刺はほぼ垂直に直立し、帯白色で目立ち、細く真っすぐで通常長さ3cm未満。花は明るい黄色または橙色、直径5～10cm。果実は樽形の擬似ベリーで、長さ6～10cm、緑色、橙色、赤色、ときに刺があり、先端は深くへそ状になる。オレンジ色の果肉が食べられる。花期は5～6月。

22 Opuntia microdasys (Lehm.) Pfeiff.　キンエボシ　金烏帽子
　メキシコ原産。英名はangel's-wings , bunny ears cactus , bunny cactus , polka-dot cactus , bunny ears。
　低木、直立または広がり、高さ1mまで、多数の小さな茎節がある。茎節は分離せず、明るい緑色、平らで、円形～楕円状倒卵形、長さ(5～)7～10(～15)mm×幅(3～)4～8(～10)cm、低い疣状突起があり、微軟毛がある。茎の中央の節を横切る対角列に(9～)11～16個の刺座があり、ほぼ円形、直径2～5mm、羊毛上毛は白色～黄褐色で、老化すると灰色になり、刺はない。芒刺(glochids)は多数あり、刺座をほぼ満たし、通常は黄色または帯白色、ときに赤褐色、長さ3mm。花：内側の花被片は全体が明るい黄色で、老化すると桃色になり、長さ25芒刺(glochids)30 mm。花糸と花柱は白色。葯は帯黄色。柱頭の裂片は暗緑色。果実は赤色、球形～卵形、長さ20～25mm×幅12～16mm、肉質で、軟毛があり、刺がなく、刺座は35～50個。種子は黄褐色、ほぼ球形(わずかに扁平)、長さ1～1.2mm(おそらく不稔)、帯状部は0.5mm突出している。2n=22。[Flora of North America]
品種)　'Albata'=Angel's Wings , 'Albispina' , 'Albuquerque' , 'Caress' , 'Dwarf' , 'La Vila' , 'Lutea' ,'Monstrose'

23 Opuntia monacantha Haw. 　タンシウチワ　単刺団扇

　ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ原産。英名はdrooping prickly pear , cochineal prickly pear , Barbary fig , common prickly pear。別名はオプンチア・モナカンサ。
　高さ2～5m。しばしば明確な幹をもち、先で多数、分枝し、上部に垂れ下がる枝(茎節：cladodes)をもつ。茎節は狭い倒卵形(外形は卵形で基部は狭くなる)～長円状披針形、基部はやや狭くなり(くさび形)、長さ10～35㎝×幅7.5～12.5㎝、厚さ4～6mm、緑色～暗緑色、若い時は明るい緑色、平滑で光沢がある。アレオール=刺座(areoles)は硬い刺が1～2本、ときに3本、灰色又は帯黄色～赤褐色で先が暗色。芒刺(ぼうし：glochids)は微細な剛毛状、帯褐色。花は長さ7.5～10㎝、直径5～7.5㎝、外花被片は黄色で中央に帯赤色の縞があり、長さ18～25㎜×幅12～15mm。内花被片は黄色～橙色、長さ25～40mm×幅12～40㎜。果実は多産、円錐形～倒卵形、長さ5～7.5㎝、赤紫色、剛毛があり、刺は無い。花期は4～10月(アフリカ南部で10～4月)。
品種)　'Hatsuhinode'初日の出 , 'Maverick' , 'Monstruosa' , 'Variegata'

類似種

　タンシウチワ(Opuntia monacantha)はオプンチア・ストリクタ (Opuntia stricta) とウチワサボテン(ficus-indica)によく似ている。相違点は次のとおり。
　タンシウチワは相対的に高い低木又は樹木状で高さは普通2～5m。茎節(cladodes)は平らで長く(長円形～倒卵形)、緑色～暗緑色、質が薄く、厚さ4～6mm、無毛、刺座(areoles)のほとんどは1又は2本の大きな刺をもつ。花は黄色～黄橙色、果実は赤紫色で、果時に茎節のいくつかは地面に向かって垂れ下がる。
　オプンチア・ストリクタは低く、普通、高さ50～100㎝。茎節(cladodes)は相対的に大きく、長く(楕円形～倒卵形)、厚く、淡緑色～灰緑色、無毛、普通、各刺座に刺が無く、又はときに1～11本の刺がある。花は明るい黄色、果実は赤紫色。
　ウチワサボテンは相対的に高い低木又は樹木状で高さは普通1～5.5m。茎節(cladodes)は非常に大きく、倒卵形～広倒卵形、厚さは2～3㎝。無毛、緑色。アレオールに普通、刺は無い。花は黄色、直径7～10㎝。果実は帯赤色。

24 Opuntia nicholii L.D.Benson　オプンチア・ニコリー

　　synonym　Opuntia polyacantha var. nicholii (L.D.Benson) B.D.Parfitt

　アリゾナ州、ネバダ州、ユタ州原産。英名はNavajo Bridge pricklypear, air-spine prickly pear, panhandle prickly pear, plains prickly pear, starvation prickly-pear。標高1200～1300mのソルトブッシュとマオウが生える不毛地帯、石灰岩または赤色の砂質土壌に生える。
　低い低木、高さ10～25㎝、枝は平伏する。茎節は狭～広倒卵形、長さ10～27cm×幅7～18cm、茎の中央節を横切る対角列に8～11個の刺座があり、間隔は12～30mm。刺座の大半には2種類の刺がある。主な刺は刺座あたり1～5本で、下向きに湾曲し、茎節の先近くでは斜上し、ピンクがかった灰色または基部の2/3が褐色～黒色で、最長は45～150mm。小刺は刺座あたり3～8本、反曲し、白色～灰色(刺の房は標本を準備する際に簡単に分離できる)、長さ4～16mm。花は通常ピンク色またはマゼンタ色、幅5～8cm、華やか。果実は太く、長さ2～5㎝、刺座は18～24個あり、ほとんどが3～12本の刺(長さ8～17mm)を持ち、成熟すると乾く。種子は大きい。2n=66。花期は春。
品種)　'Michael Kiesling'

25 Opuntia phaeacanth Engelm.　オプンチア・ファエアカンタ
　　synonym　Opuntia camanchica Engelm. & J.M.Bigelow

　　synonym　Opuntia phaeacantha subsp. camanchica (Engelm. & J.M.Bigelow) Borg

Opuntia phaeacantha var. wootonii (Griffiths) L.D.Benson Opuntia wootonii Griffiths i 　USA(アリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、カンザス州、ネバダ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、テキサス州、ユタ州)、メキシコ原産。英名はMojave prickly-pear , tulip prickly pear , desert prickly pea , brown-spined pricklypear。POWOでは変種を認めていない。
　低木、傾伏～一般的に匍匐し、高さ0.3～1m。茎節(stem segments)は関節で離れず、緑色～暗緑色、ときに赤色を帯び、扁平、倒卵形～円形、長さ10～25㎝×幅7～20㎝、低いいぼがあり、無毛。刺座は中央の茎節の対角線の列に5～7個、倒卵形～楕円形、長さ3～6mm×幅2～4mm、羊毛状の毛はタン色～褐色、古くなると帯灰色。刺は各刺座に(0～)2～8本、ほとんどの刺座につくか、茎節の上部1/4だけにつくか、、又は本質的に欠き、褐色～白色、真っすぐ～曲がり～螺旋状に捻じれる。主な中央の刺は下曲又は開出し、褐色～赤褐色(～帯黒色)、又は部分的～全体に灰色～タン色になり、錐形、普通、基部近くが扁平になり、長さ30～80mm。外側の刺は普通1～3本、下曲し、白色、扁平、短く長さ20mm以下。芒刺(glochids)は刺座の内側の縁に三日月形に密に房状につき、タン色～赤褐色、長さ5mm以下。内花被片は黄色で基部が赤色(まれに、全体がピンク色～赤色)、長さ30～40mm。花糸は基部が帯緑色、上部が淡黄色～白色。葯は黄色。花柱は白色。柱頭は裂片が緑色～黄緑色。果実はワインレッド色～紫色、果肉は帯緑色(ときに帯赤色で±ジューシー)、長い柄は無く、倒卵形～樽形、長さ30～50mm×幅20～30mm、肉質、無毛、刺は無く、刺座は18～24個。種子はタン色、ほぼ円形、直径4～5㎜、明瞭にノッチがあり、歪み、珠柄のガードル(funicular girdle)は1mm突き出す。2n=(22 , 44) 66。花期は4～7月。
　以前にOpuntia phaeacanthaの変種とされた多くが、O. engelmanniiに分離された。オーバーラップする特性の様々な組み合わせが、実用的でない var. phaeacanthaとO. phaeacantha var. major を分離した。多分、var. major は不規則に広がり～直立する低木で、倒卵形の茎節をもち、普通、茎節の上半分の刺座に少数(普通1～3本)の暗色の刺をもち、又はほとんど無い。一方、var. phaeacanthaは匍匐性の低木で、茎節が狭い倒卵形、刺座に刺が多く(普通3～10本)、茎節のほとんど～全体にある。最近、ある研究者はごく暗色の刺をもつこれらの植物に O. camanchica Engelmann & Bigelow を適用し(現在ではO. phaeacanthaに含められる)、var. major とvar. phaeacanthaは消滅した。分類群の区別は交雑によりさらに不鮮明となっている。O. phaeacantha と O. engelmanniiのハイブリッドは数個の名前があり、刺がないハイブリッドはO. wootonii Griffithsを含む。
品種)　'Conica Rubra' , 'Dark Night' , 'Judge' , 'Kaibab Pink' , 'Kaibab Red' , 'Kaiserstuhl' , 'Kirschrot' , 'Larimer' , 'Mesa Sky' , 'Minor' , 'Nectarine Sorbet' , 'Orange Form' , 'Orangeade' , 'Orang-i-tang' , 'Paradox' , 'Persimmon' , 'Pintadera de Daboxtha' , 'Pintadera' , 'Plum' , 'Pueblitos' , 'Richter' , 'Salmonea' , 'Santa Fe' , 'Sunrise' , 'Tahiti Sunrise' , 'White Canyon' , 'Winter Rainbow'

(1) Opuntia phaeacantha var. camanchica (Engelm. & J.M.Bigelow) L.D.Benson　

　英名はNew Mexico Pricklypear。
品種)　'Rubra' , 'Salmonea' , 'Salmonea Richter'
(2) Opuntia phaeacantha var. major Engelm.
　英名はSprawling Pricklypear。別名は大丸盆、巨人団扇、大王団扇。
品種)　'Jerome' , 'Oklahoma Pancake' , 'Veyo'
(3) Opuntia x wootonii Griffiths
　　synonym　Opuntia phaeacantha var. wootonii (Griffiths) L.D.Benson
　USA(ニューメキシコ州)原産。 O. engelmanniiとO. phaeacanthaの自然交雑種。英名はWooton's Pricklypear , Wooton's Black-spined Prickly-Pear。POWOではOpuntia phaeacanthaに含める。
品種)　'Sandstone Sunrise' , 'Wildfire'

26 Opuntia pinkavae B.D.Parfitt　オプンチア・ピンカバエ
　　synonym　Opuntia basilaris var. woodburyi W. Earle
　USA(ユタ州、アリゾナ州)原産。英名はPinkava's Pricklypear , Bulrush Canyon prickly-pear。標高1400～1600mの草地、ピニオン・ジュニパー林の縁、赤色、砂質または石灰岩のローム土壌に生える。
　低木で、枝は低く、枝は斜上～匍匐し、長さ10～25cm。茎節は分離せず、緑色で扁平、狭卵形～広倒卵形、長さ6.5～15cm×幅3～11cm、低い疣状突起があり、無毛～パピラがある。刺座は茎節の中央節の対角列に(4～)7～8個があり、ほぼ円形、直径3～3.5mm、羊毛状毛は白色、刺は刺座あたり(0～)1～3(～4)本、刺座の上部20～50(～70)%にあり、真っすぐ突き出し(porrect)～後屈し、黄灰色～白灰色、ときに基部の1/2がに褐色になり、真っ直ぐでときに曲がり、通常扁平、細く、長いものは長さ(35～)50～70mm。芒刺(glochids)は目立ち、刺座の背側の縁に幅広の三日月形に密集し、赤褐色、長さ4mmまで、側面ではときに柱状に収束することもある。花：内側の花被片は全体的にマゼンタ色で、長さ25～35mm。花糸は黄色～赤橙色～マゼンタ色。葯は黄色。花柱は白色。柱頭の裂片は緑色。果実は黄褐色、長さ20～30mm×幅18～20mm、成熟すると乾き、無毛～パピラがあり、刺座は(16～)24～34個あり、上部の刺座には1～4本の短い刺がある。種子は黄褐色、楕円形～ほぼ円形、長さ6.5～8mm、歪み(warped)、帯状部(girdle)は1.5～2mm突き出る。2n=88。花期は晩春(5～6月)。
　Opuntia pinkavae は O. aurea と交雑する。O. pinkavae という名前は、正式に公表されなかった Opuntia basilaris var. woodburyi W. Earle に代わるものである。
品種)　'Vivid'

27 Opuntia polyacantha Haw.　オプンチア・ポリアカンサ
　USA(アルバータ、アリゾナ、コロラド、アイダホ、カンザス、モンタナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューメキシコ、ノースダコタ、オクラホマ、サスカチュワン、サウスダコタ、テキサス、ユタ、ワイオミング)原産。英名はPlains pricklypear , Pricklypear。別名は修羅団扇。
　低木で、高さは低く、高さ10～25 cm、±平伏の枝を持つ。茎節は容易に分離せず、緑色で、楕円形～狭広倒卵形～円形、長さ4～27cm×幅2～18 cm、低い瘤状、刺座が 中間茎節を横切る対角列に、4～14個つき、ほぼ円形、厚さ3～6mm、毛は黄褐色～褐色。茎節の刺座の全てまたは上部のみに刺があり、円柱形～扁平、頑丈～針状～剛毛状、真っ直ぐ～巻き毛、1または2種類あり、1種類の場合、刺座あたり0～18本、様々な方向に広がったり巻き、ときに真っ直ぐ、直立～斜上～後屈し、黄色～暗褐色～黒色。±2種類の場合：主な刺は(0～)1～5本、後屈～直立し、黄褐色～褐色～灰色、最長20～150mm。小さい刺は(0～)5～11本、反曲し、白色～白灰色、最長4～16mm。芒刺(glochids)は目立たず、刺座の背側の縁に細く整った三日月形、または幅広くブラシ状の三日月形で房状になり、黄色～帯赤色、老化すると褐色になり、長さ10mmまでになる。花：内側の花被片は全体が黄色～マゼンタ色、長さ25～40mm。花糸は白色、黄色、または赤色～マゼンタ色(花は表面上は2色に見えることがある)。葯は黄色、花柱は白色～淡ピンク色。柱頭の裂片は緑色。果実は黄褐色～褐色、±円筒形、長さ15～45mm×幅12～25mm、成熟すると乾き、無毛、ときにイガ状になり、刺座は10～33個で、各刺座または上部の刺座のみに3～16本の刺があり、長さは4～20mm。種子は黄褐色～灰色、平らで歪み、長円形～ほぼ円形、長さ3～7mm×幅2～4mm、帯状部は1～2mm 突き出る。
品種)　'Bronze' , 'Browse Pink' , 'Bulbispina' , 'Buttercream' , 'Campbell' , 'Candy Cane' , 'Carmin' , 'Chartreuse' , 'Chiffon Pink' , 'Colorado Red' , 'Crystal Tide' , 'Delta Pink' , 'Double Pink' , 'Essbar' , 'Forever' , 'Giant' , 'Gold Mine' , 'Golden Glitter' , 'Grand Mesa Peach' , 'Linz' , 'Louise' , 'Nigra' , 'Oettingen'(var. juniperina) , 'Orange Glory' , 'Petite Coral' , 'Pforzheim' , 'Pink Champagne' , 'Pink Delight' , 'Pink Glory' , 'Pink Parfait' , 'Polar Bear' , 'Purple Desert' , 'Purple Knight' , 'R.C. White' , 'Red Glory' , 'Red Head' , 'Robust' , 'Rom' , 'Snowball' , 'Sparkling Delight' , 'Tequila Sunrise' , 'Uhlig' , 'Utah Sunrise' , 'Utah Sunset' , 'Vernon Pink' , 'Wibke' , 'Woolly Mammoth' , 'X200 Baby'
　変種は2種ある。Flora of North Ameicaでは5変種とされていたが、4変種は他の種に変更された。

27-1 Opuntia polyacantha var. juniperina (Britton & Rose) L.D.Benson

　　synonym　Opuntia juniperina Britton & Rose in Cact. 1: 187 (1919)
　アリゾナ州、コロラド州、ニューメキシコ州、ユタ州、ワイオミング州原産。Juniper pricklypear
品種)　'DJF1631 Oettingen lachsrosa Klon' , 'Ruby'
27-2 Opuntia polyacantha var. polyacantha
　アリゾナ州、コロラド州、アイダホ州、カンザス州、モンタナ州、ネブラスカ州、ネバダ州、ニューメキシコ州、ノースダコタ州、オクラホマ州、サウスダコタ州、テキサス州、ユタ州、ワイオミング州、カナダ(アルバータ州、サスカチュワン州)原産。英名はCentral Pricklypear。標高500～2000(～2800)mの草原、ピニオン・ジュニパー林、粘土質、砂質または砂利質土壌に生える。
　茎節は広倒卵形～円形で、長さ(4～)8.5～12cm×幅(4～)5.5～11cm。茎節の中央に6～11個の刺座が斜めに並び、間隔は6～13mm。刺の大半には2種類の刺がある。刺は刺座あたり(0～)1～3(～5)本、茎節の先で±反曲～後屈～直立、黄褐色から灰色、長さ20～35(～40)mm。小刺は刺座あたり0～5本、反曲し、白色、長さ5～10(～16)mm、基部および基部付近の刺は長く、柔軟で、カールしていることもある。果実は頑丈で、刺座は12～28個、ほとんどが刺を(4～)6～15本もち、刺は長さ5～10mm。2n=22, 44。花期は晩春。
品種)　'Big Red' , 'Butter Rose' , 'Carmin' , 'Cassia Rainbow' , 'Citrus Punch' , 'Crystal Tide' , 'Dark Horse' , 'Golden Fire' , 'Golden Teddy' , 'Idaho' , 'Idaho Falls Pink' , 'Imnaha Blue' , 'Imnaha Sunset' , 'Januskowetz' , 'M. Kiesling' , 'Mercur Rose' , 'Midnight Aurora' , 'Namao Rose' , 'Nebraska Orange' , 'New Dawn' , 'Nigra' , 'Nord Dakota' , 'Orange Tango' , 'Oranges and Lemons' , 'Peter Pan' , 'Pink Giant' , 'Pink Sugar' , 'Pink Supernova' , 'Red Prince' , 'Red Teddy' , 'Redcliff' , 'Rosenheim' , 'Ruby Hearts' , 'Snake River Orange' , 'Snake River Rose' , 'Taylor's Red' , 'The Embassy' , 'Triple Crown' , 'Wallace' , 'Wasatch Pink' , 'Wasatch Red' , 'Wavy Gravy'

28 Opuntia pottsii Salm-Dyck　オプンチア・ポットシー
　USA(アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はPotts' Pricklypear。標高900～1900mの平野、丘陵、砂質またはローム質土壌に生える。
　低木で、塊茎状の根茎からなり、高さ0.4mまで、群生する。茎節は容易には分離せず、暗緑色で、楔状倒卵形～普通は菱形、長さ5～20×幅4～8cm、肉質だが硬い。刺座は茎の中央節に対角列ごとに4～6(～8)個あり、楕円形～ほぼ円形、直径2～4mm、羊毛状毛は黄褐色。刺は刺座ごとに(0～)1～6本、通常、茎節の上部40%にあり、灰白色～赤褐色、直立または後屈し、円柱形または下部の刺は扁平で、ときに螺旋状にねじれ、最長は60mmまで、非常に細く、直径0.2mm。花: 内側の花被片は全体が赤色、または基部が赤色、長さ25～35mm。花糸は淡黄色。葯は黄色。花柱は帯白色。柱頭の裂片はクリーム色～黄色。果実は緑色～帯黄色、または鈍い赤色で、長い柄があり、長円形、長さ25～40mm×幅15～40mm、肉質、基部は狭くなく、無毛、刺はないか、ほとんどなく、臍は深く、刺座は14～26個。種子は黄褐色～灰色、ほぼ円形、長さ4～5mm、やや厚く、歪み、帯状部は0.5mm突き出る。2n=44。花期は晩春～初夏(5～7月)。
　アリゾナ州では、形態学的に O. macrorhiza の中間の Opuntia pottsii の植物が知られている。
品種)　'Bochum'

29 Opuntia quitensis F.A.C.Weber 　オプンチア・クイテンシス
　コロンビア、エクアドル、ペルー原産。英名はred buttons pricklypear , red buttons。別名はインカの乙女。コロンビアでは標高1900m付近の亜乾燥地域に生息する野生の残存個体群がある。種小名はエクアドルの首都のキトに由来する。
　直立またはわずかに匍匐する多肉質の低木、通常高さ(0.4)1～1.5(2)m、しっかりと根を張る。密生すると高さ3mになる。葉状茎(cladodes)=茎節はオリーブグリーン色、長さ(6)12～22(40)cm、幅5～9(13)cm、扁平、狭倒卵形(コロンビアで観察される植物)、無毛、刺座は暗色、間隔は約2cm離れる。刺は帯灰色、刺座ごとに2～4(7)本、長さ0.5～8cm。1本は長く(約3cm程度)、他は短い(約1cm程度)、まれに刺がない。若い葉状茎は非常に目立つ球状の突起に挿入された小さな円錐形の鋭い葉を持つ。花は単性、花托筒(pericarpel：子房と雄しべが発生する花托の部分を囲むシュート由来の栄養組織。側芽(areoles)が存在する点で花托筒(hypanthium)と異なり、花シュート(flower shoot)とも呼ばれる。サボテン科用語)は長さ2cmx幅1.1cm。花托筒の刺座には棘がなく、花冠は黄橙色～赤色または橙色、直径3～4.5cm。これはオプンティア属の中で機能的に雌雄異株の花を持つ数少ない種の1つであり、雄花と雌花が別々の植物に咲く。花被片は直立し、鈍形。葯は白色。花柱は白色、短くて太い。柱頭の裂片は13個、白色、花柱とほぼ同じ長さ。雄花には胚珠がいくつかあるが、柱頭はない。果実は倒卵形～樽形、深い臍状、褐緑色～赤色、ほぼ刺はなく、長さ約2～4cm、直径2～4cm、刺または剛毛があることもある。果肉は帯緑色。種子は幅約3cm。2n=22。
品種)　'Johnson's Hybrid'

30 Opuntia robusta H.L.Wendl. ex Pfeiff.　オプンチア・ロブスタ　
　メキシコ原産。英名はwheel cactus , nopal tapon , camuesa,。別名は大丸盆(オオマルボン)、大王団扇、御鏡
　低木、マウンド形。茎は高さ普通2m以下、下部で分枝し、±傾伏し、上部は広がり～斜上する。茎節(segments)は大きく、長さ30～44㎝、円形、銀青色、無毛。刺は普通、±全ての刺座に1～2(5)本。最も長い刺は長さ2.5(～5)㎝、±真っすぐ、刺座から開出し、チョーク白色で、芯と基部は黄色。内花被片は長さ4～5㎝、黄色。花糸は白色。花柱は白色。柱頭は白色(又は緑色)。果実は長さ7～8㎝、ジューシー、濃紫栗色、刺座は20～30個。種子は長さ4～6㎜。花期は4月。
品種)　'Bonda' , 'Burra la Cruz' , 'Cactusville' , 'Chico' , 'Dellahia' , 'L'Horta Nova' , 'Monstrosa' , 'Monterey' , 'Roja Pelota' , 'Roja Toluca' , 'Tapon Aguanoso' , 'Tapon Macho' , 'Tapon Pelon' , 'Watson'

31 Opuntia rufida Engelm.　オプンチア・ルフィダ
　　synonym　Opuntia microdasys subsp. rufida (Engelm.) U.Guzmán & Mandujano
　　synonym　Opuntia microdasys var. rufida (Engelm.) K.Schum.
　USA(テキサス州)、メキシコ原産。英名はblind pricklypear。標高600～1300mの石灰質から火山性の平地、丘陵、砂質から砂利質の砂漠土壌に生える。この俗称は草を食む牛がこの植物にぶつかると、牛の目に花粉が入りやすいことに由来する。
　低木または高木で、幹は短く、枝が多く、高さ0.5～1.5m。茎節は分離せず、灰緑色、平らで、腎形、円形、楕円形または倒卵形、長さ(7.5～)10～18(～25)cm×幅5～25cm、疣状突起があり、軟毛がある。茎の中央の節を横切る対角列に8～13個の刺座があり、円形で、直径3～3.2mm、羊毛状毛は白色～黄褐色で、老化すると灰色になり、刺はない。芒刺(glochids)は多数あり、刺座をほぼ満たし、赤褐色～白色、長さ1～2.5mm。花：内側の花被片は全体が黄色で、老化するとアプリコット色～橙色になり、倒卵形で小突起形、長さ25～38mm。花糸は帯白色。葯は黄色。花柱は緑色。柱頭の裂片は暗緑色。果実は赤色で果肉は緑色、倒卵形、長さ20～35mm×幅15～23mm、肉質、短い軟毛があり、刺はなく、臍は深さ5～7mm、刺座は(30～)36～52個。種子は帯黄色、楕円形～ほぼ円形、角張り、長さ3～3.5mm×幅2.5～2.8mm、厚く、側面は平滑または1～2個のくぼみがあり、帯状部は約0.3mm 突き出る。2n=22。花期は春(3～4月)。
　Opuntia rufida はメキシコで O. microdasys と交雑する。
品種)　'Desert Gem' , 'Minor'

32 Opuntia stenopetala Engelm.　オプンチア・ステノペタラ
　　synonym　Opuntia grandis Hort.Angl. ex Pfeiff.
　　synonym　Opuntia riviereana Backeb.
　　synonym　Opuntia glaucescens hort.
　　synonym　Opuntia glaucescens Salm-Dyck
　メキシコ原産。英名はerrano prickly pear , bluish prickly pear , fire-flowered prickly pear。スペイン語名はarrastradillo , nopal serrano。
　このウチワサボテンは他の多くのウチワサボテンによく似るが、花は美しく多数つき、花弁は非常に細く直立し、観賞用に栽培される。花は独特で、機能的に雌雄異株であり、雌花と雄花はどちらも雌雄同体として始まり、その後、形成段階で器官の失速が起こり、雄花と雌花に分かれる。雄花では、雌しべが未発達で、雄しべが発達する。雌花では葯の発達が止まり、雌しべが発達する。
　低木、しばしば茂みやマット状になり、高さ30～60(150)㎝。主枝は這い、茎節(joints)の端に寄りかかる。茎節(joints)は倒卵形～円形、長さ10～20㎝、灰緑色、多少紫味がかり、刺が多い。刺座(areoles)はしばしば1～3㎝の間隔で離れてつき、下の方は刺がなく、若いときは白色の羊毛状の毛がある。葉は若い茎節のみつき、暗赤色、長さ約2mm。刺は普通、赤褐色～黒色、時には青白色になり、普通、各刺座に2～4本つく。最長の刺は長さ5cm、大きいものはやや平らになる。若い茎節は芒刺(glochids)が多く、目立ち、褐色。花は雌雄異株で単性、小さく、花托筒を含んで長さ3(～5)cm、幅3.2㎝以下。花弁(内花被片)は橙赤色、非常に細く、長さ1～12mm、先は長い尖鋭形。花托筒(子房)は葉が多く、上側の葉は萼片状。雌花は中央にごく太い花柱があり、柱頭の裂片は8～9個あり、黄色。雄花は花柱が未熟なこん棒形、上部が鈍いピンク色と帯黄色、柱頭の裂片は萎縮し、鋭く硬い先端に終わる。花糸は短い。果実は球形、直径約3㎝、酸っぱく、刺は有又は無。種子は小さく、平滑、直径約3㎜、広く縁は丸い。花期は4～6月。n=11。
品種)　'Major'大丸盆 , パンダ団扇(表面の紫班模様)

33 Opuntia strigil Engelm.　オプンチア・ストリギル
　USA(テキサス州)、メキシコ原産。英名はmarblefruit pricklypear。標高900～1400mの砂漠の低木林、石灰岩の丘陵および平原に生える。
　低木で、直立または広がって伸び、高さ1mに達する。茎節は容易に分離せず、緑色で扁平、倒卵形～円形、長さ10～17 × 幅8.5～14.5 cm、ほぼ平滑、無毛。茎の中央節を横切る対角列ごとに7～10個の刺があり、長楕円形から楕円形、長さ3～5 × 幅2.5～3.5 mm。毛は黄褐色～褐色で、老化すると灰色になる。刺は刺座ごとに5～8(～10)本あり、上部の刺座で最もよく発達し、通常は後屈し、縁の刺座では開出するか一部が直立し、赤褐色(しばしばより暗い環状の輪がある)で先端が黄色くなり、老化すると帯黒色になり、真っ直ぐまたは弱く湾曲し、基部近くは扁平化しないかまたはわずかに扁平化する。中央の刺は1(～2)本で、はるかに長く太く、±針状で、長さ10～40 mm。芒刺(glochids)は、刺座の背の縁とほぼ頂端の房に三日月形に密集し、放射状に伸び、古い茎節でよく発達し、黄色で、長さ3mm まで。花は、内側の花被片はクリーム色～レモン色で、中脈領域の裏面はオレンジがかっており、広へら形で小突起形、長さ20～30mm。花糸はクリーム色がかった黄色。葯は淡黄色、花柱は淡クリーム色。柱頭の裂片は淡緑黄色。果実は赤色、ほぼ球形、長さ15～28mm×幅12～23mm、肉質、無毛、刺はなく、臍は深さ4～5mm、刺座は24～36個。種子は黄褐色、ほぼ円形～腎形、扁平、歪み、長さ3～4mm×幅2.7～3.5mm×厚さ2mm、帯状の突出部は0.5～0.8mm。 2n=22, 44。花期は春(4～5月)。
品種)　'Kurt'

34 Opuntia streptacantha Lem. オプンチア・ストレプタカンタ
　メキシコ、グアテマラ原産。英名はcardona-pear , Gracemere-pear , Westwood-pear , white-spine prickly-pear , white-spine-pear , Nopal Cardon。オーストラリア(クイーンズランド州)に帰化している。
　樹木のような低木で、しばしば高さ4mに達し、枝分かれが多く、幹は比較的太い。茎節は倒卵形で扁平、長さ25～30cm、暗緑色。花冠は赤褐色、非常に短い。刺はほとんどの刺座に通常3～9本で、主に長さ0.5～6cm、帯白色、最長の2～3本は±平らで、刺座の下端に1または2本の後屈する剛毛がある。花は直径7～9cm、内側の花被は黄色～橙色、外側の花被片は帯赤色。葯、花糸は黄色。果実は球形、直径約5cm、鈍い赤色またはときに黄色になる。(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)
品種)　'Amarilla Cardona' , 'Burra' , 'Cardon Potosino' , 'Cardoncillo' , 'Demshikaja' , 'Doja' , 'Isbini') , 'Jocoquillo' , 'Sandia' , 'Santo Tomas' , 'Trompa de Cochino'

35 Opuntia stricta (Haw.) Haw.　オプンチア・ストリクタ
　USA(アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、サウスカロライナ州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はcommon prickly pear , erect prickly-pear。別名は刺無団扇。
　低木、不規則に広がり又は直立し、高さ2m以下。茎節(stem segments)は関節で離れず、緑色、扁平、狭楕円形～倒卵形、長さ10～25(～40)㎝×幅7.5～15(～25)㎝、いぼがあり、隆起した刺座の間の縁がスカラップ(scalloped：ホタテ貝の縁のような円鋸歯)になり、無毛。茎節を横切る対角線の列に刺座は3～5個、楕円形、長さ3～6.5㎜×幅3.5mm、羊毛状の毛が密にあり、タン色。刺は刺座に0～11本、全ての刺座～いくつかの縁の刺座にだけあり、又は無く、放射状に広がり、黄色、古くなると褐色、真っすぐ又は曲がり、最も長い刺は丈夫、断面は楕円形、長さ12～40(～60)㎜、著しい毛はない。芒刺(glochids)は不明瞭、少数～多数、刺座の内側の縁に三日月形につき、黄色、古くなると褐色、しばしば内向きに曲がり、ほぼ等長～刺座の内側の縁で長くなり、長さ4mm以下。内花被片は全体に薄黄色、長さ25～30mm。花糸は黄色。葯は黄色。花柱と柱頭の裂片は帯黄色。果実は全体に紫色、柄があり、楕円形～樽形、長さ40～60mm×幅25～30(～40)mm、ジューシー、刺は無く、刺座は6～10個。種子はタン色、ほぼ円形、長さ4～5mm×幅4～4.5㎜、表面がわずかに不規則、珠柄のガードルは1mm以下突き出す。2n=44 (栽培種), 66。花期は2～7月。
品種)　'Old Mexico'

36 Opuntia sulphurea G.Don ex Salm-Dyck 　イオウイロウチワ　硫黄色団扇
　南アメリカ(アルゼンチン、ボリビア、ウルグアイ)原産。英名はQuiscalora(South America), Prickly Pear, Sulphur-flowered Pricklypear。別名は強刺団扇。
　低木、広がって直立し、高さ40cm、直径3mになる。茎節は簡単に分離し、長円形～倒卵形、長さ8～35cm、幅3～7.5cm、扁平、わずかに疣状突起があり、灰緑色、しばしば紫色を帯び、光沢がなく、無毛。刺座は疣状突起の上にあり、茎節の面ごとに15～30個つき、間隔は15～35mm、円形またはほぼ円形、幅3～4.5mm、白色の綿毛があり、老化すると帯灰色になる。葉は多肉質で円柱形、長さ2.5～3.5mm、脱落性。刺は刺座ごとに1～8本あり、広がり、長い刺は長さ40mmまで、基部で幅0.7～1mm、横断面は±扁平、真っ直ぐまたはわずかに湾曲しているが、ときに捻じれ、硬く、白色またはピンク色、老化すると灰色～白色になる。芒刺(glochids)は密集し房状になり、長さ1～2mm、黄赤色～褐色。花は直径40mmまで。外側の花被片は黄緑色、しばしば赤色を帯び、多肉質、先は鋭形。内側の花被片は黄色で広がり、倒卵形、長さ40mmまで、幅約15～20mm、先は鈍形で全縁。雄しべの花糸はオフホワイト色、葯は淡黄色。花柱は淡黄白色。柱頭の裂片は緑色。果実は卵形、成熟するとピンク紫色になり、刺がある。種子は見られない。花期は晩春～夏。2n=66。(Flora of Australia)
品種)　'A-Clone'

37 Opuntia tomentosa Salm-Dyck　オプンチア・トメントーサ
　グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ原産。英名はVelvet Tree Pear, Velvety Tree Pear, Velvet Opuntia, Woollyjoint Prickly Pear, Tree Pear. Nopal de San Gabriel。別名は蜘蛛の巣団扇、ビロード団扇、鹿角団扇。オーストラリアに広く帰化している。
　低木または高木、直立し、高さ8mまでになり、主茎は幹を形成する。茎節はしっかりと付着し、狭倒卵形、倒卵形～長円形、扁平、若いときはいくらか疣状突起があり、長さ15～30cm、幅7～12cm、緑色～灰緑色で、光沢がなく、微細な綿毛があり、毛は長さ0.5～0.8mm。刺座は茎節ごとに約30～40個あり、通常(18～)20～30mm離れ、円形またはほぼ円形、幅2～2.5mm、灰白色の綿毛がある。葉は多肉質、円柱形、円錐形または細長い円錐形で、長さ3～5mm、微細な綿毛があり、脱落性。刺は普通なく、まれに刺座に1～2本(通常若い茎節に)あり、たまに刺座の上にあり、広がり、長さ3～25mm、基部の幅0.5～0.7mm、円柱形で真っ直ぐ、髭はなく、帯白色～汚い黄色。芒刺(glochids)は長さ0.5～2.5mm（花托筒 pericarpelの方が長い傾向がある）、淡黄色～黄褐色。花は直径40～50mm、外側の花被片は緑色で最外列は帯赤色、内側の列はほとんどが赤色、外面に微細な綿毛があり、多肉質で三角形(最外列)～狭楕円形(内側列)、先は鋭形。内側の花被片は橙色、中央はしばしば赤みがかっており、広がり、倒卵形、長さ18～50mm、幅12～20mm、先は鈍形で短い微突があるかまたは尖鋭形、全縁または凹形。雄しべの花糸はピンク色、葯は黄色。花柱は赤色。柱頭の裂片は淡黄色～黄色。開花時の花托筒(pericarpel)は疣状突起があり、刺がなく、またはときに細く弱い刺のある刺座がある。果実は単生、倒卵形、楕円形～球形、長さ30～50mm、直径25～50mm、疣状突起があり、臍は浅く刺がなく、微細な綿毛があり、成熟するとピンク色～紅色になり、多肉質でジューシー、食用になる。種子は長さ3～5mm、白色～淡褐色、稔性。花期は春～夏。n=44 (Flora of Australia)。
品種)　'Chamacuero'

38 Opuntia tortispina Engelm. & J.M.Bigelow　オプンチア・トルティスピナ
　USA中部(コロラド州、カンザス州、ネブラスカ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、テキサス州、ワイオミング州)原産。英名はplains pricklypear, velvet opuntia , velvet tree-pear , grassland pricklypear。標高1400～1800mの草原、ピニオン・ジュニパー・オークの林、砂地または頁岩の平地、岩だらけの丘陵に生える。
　低木、高さ0.4m以下、群落から這い出るが、時には太った根茎から出る。茎節は容易には分離せず、淡緑色～濃緑色で、老化すると灰色になり、ストレスがかかるとしわが寄り、平らになり、広倒卵形～卵形、長さ6.5～15cm×幅4～10cm、疣状突起があり、光沢があり、無毛。刺座は茎の中央節の対角列ごとに6～9個あり、楕円形、倒卵形、またはほぼ円形、長さ2.5～5mm×幅1.5～4mm、羊毛状毛は黄褐色(tan)で、老化すると褐色になる。刺はほとんどの刺座に6～9本あり、または茎節の上部の1/2のみに1～9本あり、白色～灰色で、先端と基部は淡褐色、ときに全体が褐色になる。刺座の中央の長い刺は1～3本で、全て反曲しているか、1～2本が直立または斜上し、円柱形または平らで、ときに螺旋状に捻じれ、長さ25～70mm。小刺は(2～)3～6(～8)本あり、 強く曲がり、通常は細く、剛毛状でさえあり、長さ5～15mm。芒刺(glochids)は背側でよく発達した房状になり、黄色～褐白色、長さ6mmまで。花は、内側の花被片は黄色～金色で、基部近くでは一般に暗色～赤色になり、広へら形、長さ30～40mm、先端は小突起形。花糸は通常淡黄色、葯は黄色。花柱は帯白色～淡緑色、柱頭の裂片は緑色。果実は赤紫色、楕円形～広卵形、ほぼ球形または短い卵形、基部は狭まらず、長さ30mm×幅20～25mm、肉質、基部は狭まらず、無毛、刺はないかまたはほとんどなく、臍は深く、刺座は18～30個。種子は帯白色～黄褐色、形は不規則、扁平、長さ4～6mm×幅3～4mm、帯状部は1～2mm突き出る。2n=44, 66。花期は春～初夏(4～7月)
品種)　'Malpais Glory'

39 Opuntia velutina F.A.C.Weber　オプンティア・ベルティナ
　メキシコ原産。英名はvelvet opuntia , Huehuenche。標高1100～1900mの熱帯落葉樹林および乾生低木林に生える。野生から収穫され、茎節が地元の食用として利用され、栽培されることもある。
　低木、樹木状のサボテン、枝が上向きに伸び、高さ1～4mになる。主幹は高さ20～80cm。茎節は緑色～黄緑色、密に毛があり、狭い卵形～広い卵形、ときに多少、円形になり、長さ15～26cm、幅14～20cm、刺座は白色、多数の短い黄赤色の芒刺(glochids)と2～6本の長い刺(spines)がつき、刺は長さ1～4cm、弱く、真っすぐでわずかに曲がり、白黄色。花は黄色、長さ3～5cm。果実は赤色、球形、長さと直径は3～3.2cm、柔らかい果肉をもつ。
品種)　'Blanco Espinoso' , 'Ukaja'

40 Opuntia x columbiana Griffiths　オプンティア・コロンビアナ
　　synonym　Opuntia erinacea Engelmann & J. M. Bigelow var. columbiana (Griffiths) L. D. Benson
　USA(アイダホ州、オレゴン州、ワシントン州)、カナダ(ブリティッシュコロンビア州)原産。英名はgrizzlybear prickly pear , Columbia River Pricklypear。標高100～800mの暗い玄武岩質の崖とそこから派生した砂地に生える。O. fragilisとO. polyacanthaの自然交雑種。
　低木、高さ10～30cm、マット状に生える。茎節は容易に離れることも、しっかりと付着することもある。緑色で扁平、狭卵形から広倒卵形、長さ3.5～9cm×幅2.5～5cm、低い疣状突起があり、無毛。中間茎節の対角列に刺座が4～6(～7)個あり、楕円形、長さ3.5mm×幅2.5mm、羊毛状毛は白色。刺座のほとんどの刺は真っ直ぐで針状、円柱形。主刺は刺座あたり0～1本、後屈～直立(まれに斜上し)、灰白色～褐色、長さ(15～)25～40(～60)mm。中間の長さの刺は0～3本、後屈し、長さ12～20mm。小刺は2～4本、後屈し、黄灰色、長さ3～6mm。芒刺(glochids)は緩く密集し、刺座の背側の縁に小さな房状または三日月形につき、帯黄色で目立たず、長さ4mmまで。花: 内側の花被片は全体的に黄色で、長さ30～45mm。花糸は白色～赤色。葯は黄色。花柱は白色。柱頭の裂片は緑色。果実はまれにしか実らず、こま形(top-shaped)～樽形、長さ15～20mm×幅15mm、無毛、刺座10～15個で、ほとんどが3～12本の刺を持つか、または上部の刺座に1～3本の刺を持つ。種子は黄褐色で大きく、長さ5～7mm、帯状部は1～1.5mm 突き出る。2n=66。花期は夏(6月下旬～7月上旬)。
品種)　'Achy Breaky' , 'Apricot Dreams' , 'Clarno' , 'Claude Arno' , 'Golden Globe' , 'Lemon Gem' , 'Little Stars' , 'Metolius' , 'Mr. Chunky' , 'Nathan's Fav' , 'Rose Bud' , 'San Juan Grey' , 'Smithwick' , 'Spiny Quarters'

41 Opuntia x vaseyi (J.M.Coult.) Britton & Rose　オプンティア・バセイー
　USA(カリフォルニア州)原産。英名はVasey's Pricklypear。標高30～600mの沿岸のセージの藪(coastal sage scrub)、チャパラル(chaparral:低木の密生した草木の茂み)、草の茂った丘陵、乱れた場所に生える。O. littoralis と O. phaeacantha の自然交雑種。
　低木、広く広がり、高さ1.2mまで。茎節は分離せず、緑色で扁平、倒卵形～楕円形、長さ7～22cm×幅5～12cm、±疣状突起があり、無毛、粉白色。刺座は茎​​の中央節を横切る対角列ごとに5～7(～8)個あり、ほぼ円形～楕円形、長さ3～6mm×幅2.5～3.5mm、毛は灰色。刺は刺座ごとに1～6個、茎節の上部0～70%に存在し、開出～後屈し、黄色でチョーク白色を帯び、基部が褐色～黄色になり、老化すると暗赤色になり、真っ直ぐ、錐形、角張って扁平、最長20～48mm。芒刺(glochids)は、刺座の背側の縁に三日月形で中程度に密生し、またはほぼ先端でまばら～未発達の房状になり、黄色で、老化すると赤褐色になり、長さが不均等で、長さ4mm以下。花: 内側の花被片は全体的に黄色、橙色、または鈍い赤色で、長さ25～35mm。花糸は橙黄色、ときに基部近くではより暗色になる。葯は黄色。花柱はピンク色～赤色(まれに白色)。柱頭の裂片は緑色～黄緑色。果実は全体的に赤紫色、倒卵形～ほぼ円筒形、長さ30～55mm×幅20～40mm、ジューシ、無毛、刺はなく、刺座は20～36個。種子は黄褐色～灰色、直径4.5～6mm、帯状部は0.5mmまで突出する。2n=66。花期は春(4～5月)。
品種)　'Carl Wolf'

42 その他ハイブリッド
　Hybrid Pricklypear , Sweet Pricklypear
品種)　'Alma Mater' , 'Amarilla Olorosa' , 'Amarillo Pera' , 'Amethyst Wave' , 'Anaranjado' , 'Andreas Sokolov' , 'Apache' , 'Apozol' , 'Baby Rita' , 'Bern' , 'Blanca' , 'Blanca Chapeada' , 'Blanca de La Gavia' , 'Blanca de San Jose' , 'Blushing Maiden' , 'Bola de Masa' , 'Brilliant Orange' , 'Budapest' , 'Burro' , 'Burrona' , 'Cacalote' , 'Cenizo' , 'Chapeada' , 'Chihuahua' , 'Claude Arno' , 'Copa de Oro' , 'COPENA T-12' , 'Coral Carpet' , 'Cristalina' , 'Cyclops' , 'Dadokaja' , 'Dark Knight' , 'Dazzler' , 'Desert Ace' , 'Desert Green' , 'Desert Skies' , 'Desert Splendor' , 'Desert Sunrise' , 'Dixie's Delight' , 'Duchesne Red' , 'East Meets West' , 'Eastern Star' , 'Emerald Wave' , 'Esmeralda' , 'Fafayuca' , 'Fat Fingers' , 'Fiesta' , 'Forrajero Aguascalientes' , 'Fruit Punch' , 'Gavia' , 'Georg Sydow' , 'Gigi' , 'Golden Spine' , 'Goldie Rita') , 'Haestrup' , 'Hanksville Rose' , 'Hemet' , 'Juanita' , 'Kelly's Choice' , 'La Quemada' , 'Little Monk' , 'Loveliness' , 'Malta' , 'Mango' , 'Melrose' , 'Mesa Melon' , 'Mon Cherry' , 'Mona Lisa' , 'Nambe Sunrise' , 'Naranjon Legitimo' , 'Nel Pastel' , 'Nikolaj' , 'Numu' , 'Octubrena' , 'Opopeo' , 'Orange Chiffon' , 'Orange Tang' , 'Papanton' , 'Party Favor' , 'Pawnee's Deep Pink' , 'Pawnee's Green Rose' , 'Peach Chiffon' , 'Peach Pie' , 'Pepino' , 'Piefke' , 'Pina Colada' , 'Pont' , 'Purple Chalice' , 'Pyramid' , 'Red Gem' , 'Reinita' , 'Reyna' , 'Roja Rosalito' , 'Rojo Ojuelos' , 'Rom' , 'Sapphire Wave' , 'Saucey' , 'Semi Inermis' , 'Sparkles' , 'Stockton' , 'Sunset' , 'Super Rutila' , 'Super Rutila 2' , 'Thornton's Blue' , 'Titania' , 'Tommy Boy' , 'Tricolor' , 'Trinidad' , 'Upright Oblong' , 'Verdura 1' , 'Verdura San Martin' , 'Virreyna' , Walk in Beauty™ Al Parker , Walk in Beauty™ Apricot Glory , Walk in Beauty™ Chocolate Princess , Walk in Beauty™ Colorado Sunset , Walk in Beauty™ Emeralds and Rubies , Walk in Beauty™ Garnet Glow , Walk in Beauty™ Hawaiian Punch , Walk in Beauty™ Mandarin Sunrise , Walk in Beauty™ Prairie Fire) , Walk in Beauty™ Ruffled Papaya , Walk in Beauty™ Solar Flair , Walk in Beauty™ Watermelon Man

参考

1) Flora of China
　Opuntia 2) Flora of North America @ efloras.org
　Opuntia 3) The Jepson Herbarium
　Opuntia leucotricha 4) Flora of Victoria
　Opuntia leucotricha DC 5) Plants of the World Online | Kew Science
　Opuntia 6) Bio-net Factsheet
　Opuntia monacantha (Drooping Prickly Pear) 7) Pl@ntnet
　Plantinvasivekruger - Cactaceae - Opuntia monacantha Haw. 8) ぱんさのサボテンランド　その他つれづれ雑記集
　ウチワサボテン「大丸盆」について 9) LLIFLE
　Opuntia glaucescens Salm-Dyck 10) BHL Las Cactáceas de MÉXICO p190
　Opuntia lasiacantha Pfeiff. 11) Boletín Informativo de la SLCCS Volumen 2 No3 (2005)
　Opuntia quitensis F. A. C. Weber