オオルリソウ 大瑠璃草
Flora of Mikawa
ムラサキ科 Boraginaceae オオルリソウ属
中国名 | 琉璃草 liu li cao |
学 名 | Cynoglossum furcatum Wall. var. villosulum (Nakai) Riedl Cynoglossum villosulum Nakai Cynoglossum zeylanicum (Vahl) Brand 広義 |
花 期 | 7(~8)月 |
高 さ | 60~90㎝ |
生活型 | 越年草 |
生育場所 | 草地、道端 |
分 布 | 在来種 本州(栃木県以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア |
撮 影 | 本宮山 14.7.8 |
基準変種 var. furcatum はウスバルリソウと呼ばれる。ウスバルリソウを含めて広義にオオルリソウとし、変種に分けない見解もある。最近ではCynoglossum
furcatum var. villosulumも含めてCynoglossum furcatumをCynoglossum zeylanicumとする見解になっている。
日本のvar. villosulumは葉や花がやや小さく、茎は高さ60~90㎝、長さ1㎜以下の伏毛があるといわれる。葉は互生し、長さ10~15㎝。花冠は直径約4㎜、青色。小花柄は長さ約1㎜、果時に約3㎜。
実際に観察した結果は次のとおり。
最大の葉は長さ25㎝、幅6㎝、長さ20㎝の葉は幅が5㎝。花はやや大きく直径5~8㎜、7月末には花はほとんど終わり、葉も枯れかかる。終期の花は小さく、直径約4㎜。小花柄は長さ約2㎜で、上向きの毛が密生し、果時には長さ2~3㎜。花序枝は初期には短く、最頂部は3つ又が多い。茎の毛は下向きで短い。果実の分果は長さ3~4㎜(剛毛を含め)の卵形、表面に基部が幅広の長さ約0.5㎜の剛毛があり、剛毛の先に短い返し刺(イカ釣りのツノのような刺)が丸くつく。11月終わり頃は新しい芽が出て、根生葉をつける。稀に、11月末に花をつけている株が見られた。
Cynoglossum furcatumは茎が直立し、単生又は数本~叢生し、黄褐色の剛毛が密生する。葉は互生し、下部の葉は長い葉柄がある。葉身は長さ15~20㎝、幅3~5㎝の楕円形~楕円状披針形、基部は狭まり、鈍頭、伏毛が密にある。 上部の茎葉は小形、無柄。花序は頂部又は葉腋につき、ほぼ2又に分枝し、花序枝は鈍角に広がる。小花柄は長さ1~2㎜、果時に萼より短く、剛毛が密生する。萼は長さ1.5~2㎜、果時には約3㎜以下にやや大きくなる。萼裂片は卵形~卵状惰円形、外面に密に剛毛がある。花冠は青色、漏斗形、基部は幅3.5~4.5㎜。喉部の付属体は長さ約1㎜の不等辺四辺形、縁に白色の毛があり、先は小凹形。花冠の先は5裂して開出し、幅5~7㎜。花冠裂片は楕円形、先は円い。果実は4分果、卵形~球形、長さ2~3㎜、幅1.5~2.5㎜、鋭い刺がある。2n=24。
オニルリソウCynoglossum asperrimum は日本、朝鮮に分布する。湿った林縁、道端に生える。茎の下部に長さ2㎜以上の開出毛がある。花序の枝数がやや少なく、花序の先が2又分岐して斜上す8る。小花柄は長く、長さ2~3㎜、果時には約5㎜になる。萼裂片は細長く、長三角状惰円形。花は直径4~5㎜とやや小さい。
多年草又は2年草、まれに1年草。葉は普通、根生葉と茎葉、全縁。根生葉と下部の茎葉は普通、長い葉柄がある。集散花序は頂生又は腋生、密、又は2又分枝する広がった円錐花序、苞と小苞がある。花は花柄がある。咢は基部まで5深裂し、果時に大きくなる。咢片は後屈又は広がる。花冠は普通、青色、まれに白色、暗紫赤色、黒紫色、又は黄緑色、鐘形、筒形、又は漏斗形、5深裂する。筒部は咢より±短い。のど部の付属体は5個、ほぼ四角形、台形、又は三日月形、先が窪む。花冠裂片は卵形~円形。雄しべは突き出ず、花冠筒部の中間又は上につく。葯は卵形又は長円形。花柱は糸状、円柱形又はやや4稜がある。柱頭は頭状、突き出さない。子房は4深裂。胚珠は倒生。花托(gynobase)は先が尖った形(fastigiate)~円錐形。小堅果は4個、卵形~類球形、刺(glochids)をもち、付着痕はほぼ頂部につく。
世界に約75種があり、全世界に分布し、主にアフリカ、アジア、ヨーロッパに分布する。
台湾原産。中国名は高山倒提壶 gao shan dao ti hu
2 Cynoglossum amabile Stapf et Drumm. ホソバルリソウ 細葉瑠璃草
中国、ブータン原産。中国名は倒提壶 dao ti hu。英名はChinese hound's tongue , Chinese forget-me-not。別名はシナワスレナグサ(支那勿忘草)、単に、シノグロッサムとも呼ばれる。
多年草、高さ15~60㎝。茎は1本~数本、叢生し、密に広がり、軟毛がある。根生葉は長い葉柄があり、、灰緑色、長円状披針形~披針形、長さ5~20㎝、密に軟毛がある。茎葉は無柄、灰緑色、長円形~披針形、長さ2~7㎝、側脈が目立つ。花序は円錐花序、苞は無い。花柄は長さ2~3㎜、果時にわずかに長くなる。咢は長さ2.5~3.5㎜、外側に密に長軟毛がある。咢片は卵形~長円形、先は鋭形。花冠は普通、青色、幅は基部で5~6㎜。のど部の付属体は台形、長さ約1㎜。拡大部は幅8~10㎜。花冠裂片は円形、長さ約2.5㎜、脈は明瞭な網状。葯は長円形、長さ約1㎜。花柱は線状円柱形。小堅果は卵形、長さ3~4㎜、内側はわずかに凹面、密に刺(glochids)があり、縁の刺の基部は合流し、翼を±作る。付着痕は内側の中間の上につき、三角形。花期と果期は5~9月。2n = 24。
品種) 'Azul' , 'Blue Showers' , 'Firmament' , 'Jeans' , 'Mystery Rose' , 'Mystic Pink' , 'Pink' , 'Pink Shower' , 'Snowbird'
2-1 Cynoglossum amabile var. amabile
中国、ブータン原産。中国名は倒提壶 dao ti hu。
小堅果は外側がわずかに凹面、密に刺(glochids)がある。
2-2 Cynoglossum amabile var. pauciglochidiatum Y. L. Liu
中国原産。中国名は滇西倒提壶 dian xi dao ti hu
小堅果は中央の線に沿って外側に竜骨があり、普通、竜骨の上だけに刺(glochids)がある。
3 Cynoglossum asperrimum Nakai オニルリソウ 鬼璃草
synonyms Cynoglossum asperrimum Nakai var. yesoense Nakai
synonyms Cynoglossum asperrimum Nakai var. tosaense (Nakai) H.Hara
synonyms Paracynoglossum asperrimum (Nakai) M.Popov
北海道、本州、四国、九州、朝鮮原産。湿った林縁や道端に生える。
2年草。高さ40~120㎝。全体に毛が多く、茎の下部には長さ2㎜以上の開出毛がある。根生葉は花時にはなく、長い葉柄がある。茎葉は互生し、短柄~無柄、長さ5~20㎝、幅1~6㎝の長楕円状披針形~広披針形、基部は楔形、先は鋭形、疎に、細かい伏毛がある。茎上部で枝を出し、まばらな総状花序をつけ、花序枝の先はしばしば2又分岐し、初め巻いているが、後に長く伸びて斜上する。花数がオオルリソウに比べて少なく、小花柄は長く、長さ2~3㎜、果時には約5㎜になる。萼は、5深裂し、裂片は長三角状惰円形、先が尖り、毛が多い。花冠は淡青紫色~青色、直径4~5㎜とやや小さく、5裂する。花冠の裂片は卵円形、喉部に付属体がある。雄しべ5個。雌しべ1個。果実は4分果、分果は長さ3~4㎜のほぼ球形、表面に鉤状の刺のある剛毛が密生する。花期は(6)7~8(~9)月。
4 Cynoglossum divaricatum Stephan ex Lehm. エダウチルリソウ
中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。中国名は大果琉璃草 da guo liu li cao
5 Cynoglossum furcatum Wall. ウスバルリソウ [広義]
日本、朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は琉璃草 liu li cao 。
高さ40~60㎝。茎が直立し、単生又は数本~叢生し、黄褐色の剛毛が密生する。葉は互生し、下部の葉は長い葉柄がある。葉身は長さ15~20㎝、幅3~5㎝の楕円形~楕円状披針形、基部は狭まり、鈍頭、伏毛が密にある。 上部の茎葉は小形、無柄。花序は頂部又は葉腋につき、ほぼ2又に分枝し、花序枝は鈍角に広がる。小花柄は長さ1~2㎜、果時に萼より短く、剛毛が密生する。萼は長さ1.5~2㎜、果時には約3㎜以下にやや大きくなる。萼裂片は卵形~卵状惰円形、外面に密に剛毛がある。花冠は青色、漏斗形、基部は幅3.5~4.5㎜。喉部の付属体は長さ約1㎜の不等辺四辺形、縁に白色の毛があり、先は小凹形。花冠の先は5裂して開出し、幅5~7㎜。花冠裂片は楕円形、先は円い。果実は4分果、卵形~球形、長さ2~3㎜、幅1.5~2.5㎜、鋭い刺がある。2n=24。花期と果期は5~10月。
5-1 Cynoglossum furcatum Wall. var. furcatum ウスバルリソウ 薄葉瑠璃草
朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は琉璃草 liu li cao 。
5-2 Cynoglossum furcatum var. villosulum (Nakai) Riedl オオルリソウ 大瑠璃草
2年草。葉や花がやや小さく、茎は高さ60~90㎝、長さ1㎜以下の伏毛があるといわれる。葉は互生し、長さ10~15㎝。花冠は直径約4㎜、青色。小花柄は長さ約1㎜、果時に約3㎜。花期は7(~8)月。
5-2-1 Cynoglossum furcatum Wall. var. villosulum (Nakai) Riedl f. albiflorum (H.Hara) Yonek. シロバナオオルリソウ
synonyms Cynoglossum zeylanicum (Vahl ex Hornem.) Thunb. ex Lehm. f. albiflorum H.Hara
白花品種。
6 Cynoglossum lanceolatum Forssk
中国、台湾、インド、カシミール、ネパールスリランカ、パキスタン、ラオス、ミャンマー、カンボジア、タイ、マレーシア、フィリピン、南西アジア、西アジア、アフリカ原産。中国名は小花琉璃草 xiao hua liu li cao。
6-1 Cynoglossum lanceolatum Forssk. var. formosanum (Nakai) H.Hara タイワンルリソウ
synonyms Cynoglossum lanceolatum auct. non Forssk.
synonyms Cynoglossum formosanum Nakai
6-1-1 Cynoglossum lanceolatum Forssk. var. formosanum (Nakai) H.Hara f. albiflorum (Masam.) Yonek. シロバナシマルリソウ
synonyms Cynoglossum formosanum Nakai f. albiflorum Masam.
※Cynoglossum furcatumはThe Plant ListやKewscienceではCynoglossum zeylanicumのsynonymとされている。
7 Cynoglossum zeylanicum (Vahl) Brand
non Cynoglossum zeylanicum auct. (= C. furcatum Wall.)
synonyms Cynoglossum furcatum var. villosulum (Nakai) Riedl
synonyms Cynoglossum villosulum Nakai
synonyms Cynoglossum zeylanicum (Vahl ex Hornem.) Thunb. ex Lehm. var. villosulum (Nakai) Ohwi
インド、スリランカ原産。英名はCeylon hound's tongue , Ceylon forget me not 。
広義には日本、朝鮮、中国、台湾、インド、アッサム、ネパール、ヒマラヤ西部、ヒマラヤ東部、スリランカ、パキスタン、ミャンマー、アフガニスタン、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は琉璃草。オオルリソウ(大瑠璃草).
広範囲に分布し、様々な解説があり、統合されたものが見つからなかった。ほぼCynoglossum furcatumと等しい中国の解説の一例。
2年草。高さ40~80㎝。全体に軟毛がある。主根は丈夫、黒褐色、類円錐形。茎は直立し、上部で多分枝する。根生葉と下部の茎葉は葉柄がある。葉身は長円形~狭い楕円形、長さ25㎝以下、5㎝以下、先は尖鋭形、縁は全縁、両面に密に短軟毛又は短粗毛がある。茎中部以上の葉は無柄又は短柄があり、葉身は楕円状披針形又は披針形、長さ3~9㎝×幅0.8~3㎝、先は尖鋭形、基部は漸尖し、抱茎、全縁、両面に軟毛がある。花序はサソリ状状集散花序、頂生する。苞は無い。咢は5深裂し、咢片は卵形、密に短毛がある。花冠は青色、5裂し、裂片は広卵形、のど部に5個の台形の付属体がある。花冠は漏斗形又は高杯形。雄しべ5本、花冠筒部の基部につく。子房は上位、4室。花柱は短い。小堅果は4個、卵円形、長さ3~4㎜、短い鈎刺が密生する。花期は6~7月。果期は7~8月。
品種) 'Chill Out'
【狭義の Cynoglossum zeylanicum】
Cynoglossum zeylanicum Thumb. ex Lehm.
インド、マラヤに分布。道端、荒地に生える。
草本、針金状で亜低木性、高さ2m以下、ザラつく。葉は互生、披針形~楕円形、長さ14㎝×幅5㎝以下、全縁、鋭頭、基部は鈍形~漸尖形、上面はザラつき、鍾乳体状の基部をもつ毛状突起があり、下面は大部分が剛毛、ほぼ無柄から長さ15㎜の葉柄がある。花序はほとんどが頂生、偏側性のサソリ形総状花序、果時に長さ26㎝以下。苞は基部が鈍形又は漸尖形、まれに抱茎。花は花柄が長さ2~5㎜、蕾では密集し、離れるようになる。咢は5咢片、咢片は披針形又はへら形、長さ3~4㎜、外面はザラつき、基部は密にザラつく。花冠は鐘形、白色で中央が青色、筒部は短く、約長さ1~1.3㎜、のど部は各列片の基部に2裂の付属体がついてくびれる。裂片は卵形、幅約1~1.2㎜。雄しべは5本、付属体の下につき、ほぼ無柄。葯は長さ約0.6㎜、子房は4裂。花柱は丈夫。柱頭は弱く頭状。果実は4個の小堅果、長さ3.2~3.8㎜、刺(glochidiate spines)をもち、花托に接する区域にとさか(crest)が並ぶ。花期は6~11月。
Kye to The Spesies
1 丈夫で粗く、少なくとも茎葉や苞が脱落性。小堅果はときに、縁の刺がわずかに基部で統合し、へり(rim)を形成するが、とさか(crest)は無い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Cynoglossum furcatum
2 細い草本、茎葉は葉柄が有又は無、脱落性ではない。小堅果は刺(glochidiate spines)をもち、果柄に最も近い刺が基部で統合し、とさか(crest)になる。・・・・・・・・・・・・・・・・Cynoglossum zeylanicum
【狭義のCynoglossum furcatum】
Cynoglossum furcatum Wall.
synonym Cynoglossum micranthum Desf. var. decurrens Trimen
セイロン島(スリランカ)、ビルマ(ミャンマー)に分布。
草本、直立、粗く、丈夫、高さ1.5m以下、茎は帯部分に剛毛がある。茎葉は互生、披針形、ときに倒披針形、長さ15㎝×幅5㎝以下、鋭頭、全縁、基部は沿下し、ときに抱茎、まれに葉柄がある。根生はロゼットを作り、披針形、長さ8~10㎝、葉柄は」長さ5㎝以下。花序は腋生又は頂生、片側に花がつき、総状花序状、果時に長さ40㎝以下。苞は基部が沿下する。花は密集し、後に離れ、無柄又は長さ4~5㎜の花柄がある。咢は咢片が5個、咢片は卵形、長さ約2.5㎜、基部がわずかに合着し、果時に宿存し、わずかに大きくなる。花冠は鐘形、青色、筒部は短く、長さ1.5~2㎜、のど部は各裂片の基部につく2裂する付属体がついてくびれる。裂片は円形、蕾では覆瓦状。雄しべは付属体の下につき、ほぼ無柄。葯は長さ0.7~0.8㎜。子房は花時に強く4裂。花柱は丈夫、長さ約0.5㎜。柱頭はかすかに分化する。果実は4個の小堅果、長さ3.5~5㎜、中央の花托(gynobase)につき、刺(glochidiate spines)に覆われる。縁の刺はときに基部が統合し、へり(ridge)をつくる。
Cynoglossum
Cynoglossum zeylanicum (Sw. ex Lehm.) Thunb. ex Brand
Cynoglossum
Cynoglossum zeylanicum (Vahl) Thunb. ex Lehm.
Cynoglossum zeylanicum
Cynoglossum zeylanicum
Delphinium consolida
日本のvar. villosulumは葉や花がやや小さく、茎は高さ60~90㎝、長さ1㎜以下の伏毛があるといわれる。葉は互生し、長さ10~15㎝。花冠は直径約4㎜、青色。小花柄は長さ約1㎜、果時に約3㎜。
実際に観察した結果は次のとおり。
最大の葉は長さ25㎝、幅6㎝、長さ20㎝の葉は幅が5㎝。花はやや大きく直径5~8㎜、7月末には花はほとんど終わり、葉も枯れかかる。終期の花は小さく、直径約4㎜。小花柄は長さ約2㎜で、上向きの毛が密生し、果時には長さ2~3㎜。花序枝は初期には短く、最頂部は3つ又が多い。茎の毛は下向きで短い。果実の分果は長さ3~4㎜(剛毛を含め)の卵形、表面に基部が幅広の長さ約0.5㎜の剛毛があり、剛毛の先に短い返し刺(イカ釣りのツノのような刺)が丸くつく。11月終わり頃は新しい芽が出て、根生葉をつける。稀に、11月末に花をつけている株が見られた。
Cynoglossum furcatumは茎が直立し、単生又は数本~叢生し、黄褐色の剛毛が密生する。葉は互生し、下部の葉は長い葉柄がある。葉身は長さ15~20㎝、幅3~5㎝の楕円形~楕円状披針形、基部は狭まり、鈍頭、伏毛が密にある。 上部の茎葉は小形、無柄。花序は頂部又は葉腋につき、ほぼ2又に分枝し、花序枝は鈍角に広がる。小花柄は長さ1~2㎜、果時に萼より短く、剛毛が密生する。萼は長さ1.5~2㎜、果時には約3㎜以下にやや大きくなる。萼裂片は卵形~卵状惰円形、外面に密に剛毛がある。花冠は青色、漏斗形、基部は幅3.5~4.5㎜。喉部の付属体は長さ約1㎜の不等辺四辺形、縁に白色の毛があり、先は小凹形。花冠の先は5裂して開出し、幅5~7㎜。花冠裂片は楕円形、先は円い。果実は4分果、卵形~球形、長さ2~3㎜、幅1.5~2.5㎜、鋭い刺がある。2n=24。
オニルリソウCynoglossum asperrimum は日本、朝鮮に分布する。湿った林縁、道端に生える。茎の下部に長さ2㎜以上の開出毛がある。花序の枝数がやや少なく、花序の先が2又分岐して斜上す8る。小花柄は長く、長さ2~3㎜、果時には約5㎜になる。萼裂片は細長く、長三角状惰円形。花は直径4~5㎜とやや小さい。
オオルリソウ属
family Boraginaceae - genus Cynoglossum多年草又は2年草、まれに1年草。葉は普通、根生葉と茎葉、全縁。根生葉と下部の茎葉は普通、長い葉柄がある。集散花序は頂生又は腋生、密、又は2又分枝する広がった円錐花序、苞と小苞がある。花は花柄がある。咢は基部まで5深裂し、果時に大きくなる。咢片は後屈又は広がる。花冠は普通、青色、まれに白色、暗紫赤色、黒紫色、又は黄緑色、鐘形、筒形、又は漏斗形、5深裂する。筒部は咢より±短い。のど部の付属体は5個、ほぼ四角形、台形、又は三日月形、先が窪む。花冠裂片は卵形~円形。雄しべは突き出ず、花冠筒部の中間又は上につく。葯は卵形又は長円形。花柱は糸状、円柱形又はやや4稜がある。柱頭は頭状、突き出さない。子房は4深裂。胚珠は倒生。花托(gynobase)は先が尖った形(fastigiate)~円錐形。小堅果は4個、卵形~類球形、刺(glochids)をもち、付着痕はほぼ頂部につく。
世界に約75種があり、全世界に分布し、主にアフリカ、アジア、ヨーロッパに分布する。
オオルリソウ属の主な種と園芸品種
1 Cynoglossum alpestre Ohwi タカネルリソウ台湾原産。中国名は高山倒提壶 gao shan dao ti hu
2 Cynoglossum amabile Stapf et Drumm. ホソバルリソウ 細葉瑠璃草
中国、ブータン原産。中国名は倒提壶 dao ti hu。英名はChinese hound's tongue , Chinese forget-me-not。別名はシナワスレナグサ(支那勿忘草)、単に、シノグロッサムとも呼ばれる。
多年草、高さ15~60㎝。茎は1本~数本、叢生し、密に広がり、軟毛がある。根生葉は長い葉柄があり、、灰緑色、長円状披針形~披針形、長さ5~20㎝、密に軟毛がある。茎葉は無柄、灰緑色、長円形~披針形、長さ2~7㎝、側脈が目立つ。花序は円錐花序、苞は無い。花柄は長さ2~3㎜、果時にわずかに長くなる。咢は長さ2.5~3.5㎜、外側に密に長軟毛がある。咢片は卵形~長円形、先は鋭形。花冠は普通、青色、幅は基部で5~6㎜。のど部の付属体は台形、長さ約1㎜。拡大部は幅8~10㎜。花冠裂片は円形、長さ約2.5㎜、脈は明瞭な網状。葯は長円形、長さ約1㎜。花柱は線状円柱形。小堅果は卵形、長さ3~4㎜、内側はわずかに凹面、密に刺(glochids)があり、縁の刺の基部は合流し、翼を±作る。付着痕は内側の中間の上につき、三角形。花期と果期は5~9月。2n = 24。
品種) 'Azul' , 'Blue Showers' , 'Firmament' , 'Jeans' , 'Mystery Rose' , 'Mystic Pink' , 'Pink' , 'Pink Shower' , 'Snowbird'
2-1 Cynoglossum amabile var. amabile
中国、ブータン原産。中国名は倒提壶 dao ti hu。
小堅果は外側がわずかに凹面、密に刺(glochids)がある。
2-2 Cynoglossum amabile var. pauciglochidiatum Y. L. Liu
中国原産。中国名は滇西倒提壶 dian xi dao ti hu
小堅果は中央の線に沿って外側に竜骨があり、普通、竜骨の上だけに刺(glochids)がある。
3 Cynoglossum asperrimum Nakai オニルリソウ 鬼璃草
synonyms Cynoglossum asperrimum Nakai var. yesoense Nakai
synonyms Cynoglossum asperrimum Nakai var. tosaense (Nakai) H.Hara
synonyms Paracynoglossum asperrimum (Nakai) M.Popov
北海道、本州、四国、九州、朝鮮原産。湿った林縁や道端に生える。
2年草。高さ40~120㎝。全体に毛が多く、茎の下部には長さ2㎜以上の開出毛がある。根生葉は花時にはなく、長い葉柄がある。茎葉は互生し、短柄~無柄、長さ5~20㎝、幅1~6㎝の長楕円状披針形~広披針形、基部は楔形、先は鋭形、疎に、細かい伏毛がある。茎上部で枝を出し、まばらな総状花序をつけ、花序枝の先はしばしば2又分岐し、初め巻いているが、後に長く伸びて斜上する。花数がオオルリソウに比べて少なく、小花柄は長く、長さ2~3㎜、果時には約5㎜になる。萼は、5深裂し、裂片は長三角状惰円形、先が尖り、毛が多い。花冠は淡青紫色~青色、直径4~5㎜とやや小さく、5裂する。花冠の裂片は卵円形、喉部に付属体がある。雄しべ5個。雌しべ1個。果実は4分果、分果は長さ3~4㎜のほぼ球形、表面に鉤状の刺のある剛毛が密生する。花期は(6)7~8(~9)月。
4 Cynoglossum divaricatum Stephan ex Lehm. エダウチルリソウ
中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。中国名は大果琉璃草 da guo liu li cao
5 Cynoglossum furcatum Wall. ウスバルリソウ [広義]
日本、朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は琉璃草 liu li cao 。
高さ40~60㎝。茎が直立し、単生又は数本~叢生し、黄褐色の剛毛が密生する。葉は互生し、下部の葉は長い葉柄がある。葉身は長さ15~20㎝、幅3~5㎝の楕円形~楕円状披針形、基部は狭まり、鈍頭、伏毛が密にある。 上部の茎葉は小形、無柄。花序は頂部又は葉腋につき、ほぼ2又に分枝し、花序枝は鈍角に広がる。小花柄は長さ1~2㎜、果時に萼より短く、剛毛が密生する。萼は長さ1.5~2㎜、果時には約3㎜以下にやや大きくなる。萼裂片は卵形~卵状惰円形、外面に密に剛毛がある。花冠は青色、漏斗形、基部は幅3.5~4.5㎜。喉部の付属体は長さ約1㎜の不等辺四辺形、縁に白色の毛があり、先は小凹形。花冠の先は5裂して開出し、幅5~7㎜。花冠裂片は楕円形、先は円い。果実は4分果、卵形~球形、長さ2~3㎜、幅1.5~2.5㎜、鋭い刺がある。2n=24。花期と果期は5~10月。
5-1 Cynoglossum furcatum Wall. var. furcatum ウスバルリソウ 薄葉瑠璃草
朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は琉璃草 liu li cao 。
5-2 Cynoglossum furcatum var. villosulum (Nakai) Riedl オオルリソウ 大瑠璃草
2年草。葉や花がやや小さく、茎は高さ60~90㎝、長さ1㎜以下の伏毛があるといわれる。葉は互生し、長さ10~15㎝。花冠は直径約4㎜、青色。小花柄は長さ約1㎜、果時に約3㎜。花期は7(~8)月。
5-2-1 Cynoglossum furcatum Wall. var. villosulum (Nakai) Riedl f. albiflorum (H.Hara) Yonek. シロバナオオルリソウ
synonyms Cynoglossum zeylanicum (Vahl ex Hornem.) Thunb. ex Lehm. f. albiflorum H.Hara
白花品種。
6 Cynoglossum lanceolatum Forssk
中国、台湾、インド、カシミール、ネパールスリランカ、パキスタン、ラオス、ミャンマー、カンボジア、タイ、マレーシア、フィリピン、南西アジア、西アジア、アフリカ原産。中国名は小花琉璃草 xiao hua liu li cao。
6-1 Cynoglossum lanceolatum Forssk. var. formosanum (Nakai) H.Hara タイワンルリソウ
synonyms Cynoglossum lanceolatum auct. non Forssk.
synonyms Cynoglossum formosanum Nakai
6-1-1 Cynoglossum lanceolatum Forssk. var. formosanum (Nakai) H.Hara f. albiflorum (Masam.) Yonek. シロバナシマルリソウ
synonyms Cynoglossum formosanum Nakai f. albiflorum Masam.
※Cynoglossum furcatumはThe Plant ListやKewscienceではCynoglossum zeylanicumのsynonymとされている。
7 Cynoglossum zeylanicum (Vahl) Brand
non Cynoglossum zeylanicum auct. (= C. furcatum Wall.)
synonyms Cynoglossum furcatum var. villosulum (Nakai) Riedl
synonyms Cynoglossum villosulum Nakai
synonyms Cynoglossum zeylanicum (Vahl ex Hornem.) Thunb. ex Lehm. var. villosulum (Nakai) Ohwi
インド、スリランカ原産。英名はCeylon hound's tongue , Ceylon forget me not 。
広義には日本、朝鮮、中国、台湾、インド、アッサム、ネパール、ヒマラヤ西部、ヒマラヤ東部、スリランカ、パキスタン、ミャンマー、アフガニスタン、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は琉璃草。オオルリソウ(大瑠璃草).
広範囲に分布し、様々な解説があり、統合されたものが見つからなかった。ほぼCynoglossum furcatumと等しい中国の解説の一例。
2年草。高さ40~80㎝。全体に軟毛がある。主根は丈夫、黒褐色、類円錐形。茎は直立し、上部で多分枝する。根生葉と下部の茎葉は葉柄がある。葉身は長円形~狭い楕円形、長さ25㎝以下、5㎝以下、先は尖鋭形、縁は全縁、両面に密に短軟毛又は短粗毛がある。茎中部以上の葉は無柄又は短柄があり、葉身は楕円状披針形又は披針形、長さ3~9㎝×幅0.8~3㎝、先は尖鋭形、基部は漸尖し、抱茎、全縁、両面に軟毛がある。花序はサソリ状状集散花序、頂生する。苞は無い。咢は5深裂し、咢片は卵形、密に短毛がある。花冠は青色、5裂し、裂片は広卵形、のど部に5個の台形の付属体がある。花冠は漏斗形又は高杯形。雄しべ5本、花冠筒部の基部につく。子房は上位、4室。花柱は短い。小堅果は4個、卵円形、長さ3~4㎜、短い鈎刺が密生する。花期は6~7月。果期は7~8月。
品種) 'Chill Out'
【狭義の Cynoglossum zeylanicum】
Cynoglossum zeylanicum Thumb. ex Lehm.
インド、マラヤに分布。道端、荒地に生える。
草本、針金状で亜低木性、高さ2m以下、ザラつく。葉は互生、披針形~楕円形、長さ14㎝×幅5㎝以下、全縁、鋭頭、基部は鈍形~漸尖形、上面はザラつき、鍾乳体状の基部をもつ毛状突起があり、下面は大部分が剛毛、ほぼ無柄から長さ15㎜の葉柄がある。花序はほとんどが頂生、偏側性のサソリ形総状花序、果時に長さ26㎝以下。苞は基部が鈍形又は漸尖形、まれに抱茎。花は花柄が長さ2~5㎜、蕾では密集し、離れるようになる。咢は5咢片、咢片は披針形又はへら形、長さ3~4㎜、外面はザラつき、基部は密にザラつく。花冠は鐘形、白色で中央が青色、筒部は短く、約長さ1~1.3㎜、のど部は各列片の基部に2裂の付属体がついてくびれる。裂片は卵形、幅約1~1.2㎜。雄しべは5本、付属体の下につき、ほぼ無柄。葯は長さ約0.6㎜、子房は4裂。花柱は丈夫。柱頭は弱く頭状。果実は4個の小堅果、長さ3.2~3.8㎜、刺(glochidiate spines)をもち、花托に接する区域にとさか(crest)が並ぶ。花期は6~11月。
Kye to The Spesies
1 丈夫で粗く、少なくとも茎葉や苞が脱落性。小堅果はときに、縁の刺がわずかに基部で統合し、へり(rim)を形成するが、とさか(crest)は無い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Cynoglossum furcatum
2 細い草本、茎葉は葉柄が有又は無、脱落性ではない。小堅果は刺(glochidiate spines)をもち、果柄に最も近い刺が基部で統合し、とさか(crest)になる。・・・・・・・・・・・・・・・・Cynoglossum zeylanicum
【狭義のCynoglossum furcatum】
Cynoglossum furcatum Wall.
synonym Cynoglossum micranthum Desf. var. decurrens Trimen
セイロン島(スリランカ)、ビルマ(ミャンマー)に分布。
草本、直立、粗く、丈夫、高さ1.5m以下、茎は帯部分に剛毛がある。茎葉は互生、披針形、ときに倒披針形、長さ15㎝×幅5㎝以下、鋭頭、全縁、基部は沿下し、ときに抱茎、まれに葉柄がある。根生はロゼットを作り、披針形、長さ8~10㎝、葉柄は」長さ5㎝以下。花序は腋生又は頂生、片側に花がつき、総状花序状、果時に長さ40㎝以下。苞は基部が沿下する。花は密集し、後に離れ、無柄又は長さ4~5㎜の花柄がある。咢は咢片が5個、咢片は卵形、長さ約2.5㎜、基部がわずかに合着し、果時に宿存し、わずかに大きくなる。花冠は鐘形、青色、筒部は短く、長さ1.5~2㎜、のど部は各裂片の基部につく2裂する付属体がついてくびれる。裂片は円形、蕾では覆瓦状。雄しべは付属体の下につき、ほぼ無柄。葯は長さ0.7~0.8㎜。子房は花時に強く4裂。花柱は丈夫、長さ約0.5㎜。柱頭はかすかに分化する。果実は4個の小堅果、長さ3.5~5㎜、中央の花托(gynobase)につき、刺(glochidiate spines)に覆われる。縁の刺はときに基部が統合し、へり(ridge)をつくる。
参考
1) Flora of ChinaCynoglossum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108983
2) Plants of the World Online | Kew ScienceCynoglossum zeylanicum (Sw. ex Lehm.) Thunb. ex Brand
http://plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:60468539-2
3) GRINCynoglossum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=3284
4)India Biodiversity PortalCynoglossum zeylanicum (Vahl) Thunb. ex Lehm.
https://indiabiodiversity.org/species/show/229411
5)Cynoglossum zeylanicum - Ceylon Forget-Me-Not Cynoglossum zeylanicum
https://www.flowersofindia.net/catalog/slides/Ceylon%20Forget-Me-Not.html
6) A Revised Handbook of the Flora of Ceylon - Volume 7, 第7巻Cynoglossum zeylanicum
https://books.google.co.jp/books?id=kLs6DwAAQBAJ&pg=PT35&lpg=PT35&dq=Cynoglossum+zeylanicum&source=bl&ots=Xpw-08kwMf&sig=ACfU3U3344ciN7P_yKU7giDtVPOYZJiVGw&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjO5q3X1OHoAhXQ3mEKHWJNCvw4HhDoATAEegQICxAq#v=onepage&q=Cynoglossum%20zeylanicum&f=false
7) Delphinium consolida in Global Plants on JSTORDelphinium consolida
https://plants.jstor.org/compilation/Delphinium.consolida