オオフサモ 大房藻
Flora of Mikawa
アリノトウグサ科 Haloragaceae フサモ属
英 名 | parrotfeather, Brazilian water-milfoil |
学 名 | Myriophyllum aquaticum (Vell.) Verdc. synonym Myriophyllum brasiliense Cambess. |
花 期 | 5~7月 |
高 さ | 長さ2m以下 |
生活型 | 多年草、水生植物 |
生育場所 | 湖沼水生、河川、水田 |
分 布 | 帰化種 南アメリカ原産 |
撮 影 | 幸田町 11.10.17 |
大正時代に野生化し、日本に帰化しているものは雌株だけである。南アメリカ以外のものは雌株だけといわれ、果実はできない。
水生植物。根茎は赤紫色。茎は円柱状、水中で分枝し、匍匐して広がる。節から水上へ茎を直立する。水上に出た葉は糸状に細裂し、羽根状になる。葉は粉白色、3~7個輪生する。雌雄異株。雌花は小さく、幅約1.5㎜、上部の葉腋に1個ずつつく。苞は長さ約1.5㎜。萼片は4個、白色、半透明、長さ0.5~1.5㎜。花弁はない。雌しべに白色の短毛が密生する。雄花は雄しべ8個。分離果は長さ2~3㎜。
多年草、まれに1年草、水生植物、浮遊又は基部の根茎から根を出し、葉は花序から離れて水中にある(珍しい陸生型以外は)。葉は3~6個、輪生し、気中葉(aerial leaves)=抽水葉(emergent leaves)は輪生、対生、又は互生し、托葉は無く、又は1(~3)個の糸状~錐形の落葉性の托葉状の派生物をもつ。水中葉(under-water leaves)=沈水葉(submerged leaves)は羽状分裂し、裂片は不分裂の細管状。気中葉はときに単葉、縁は歯状又は全縁。花序は葉又は苞があり、頂生の穂状花序、又は花が下部にだけ腋生し、花柄はほぼ無く、雌雄混株(polygamous)又は雌雄同株(monoecious)、まれに雌雄異株(dioecious)。上部の花は普通、雄性、下部の花は雌性。小苞は2個、しばしば目立たない。萼片は雄花では4個で小さく、不明瞭、雌花では微細。雄花の花弁は舟形、2~4個、脱落性、雌花の花弁は微細か又は欠く。雄しべは普通、8本又はときに、1, 2, 4, 6本、又は欠く。子房は2~4室、4胚珠、4溝があり、雄花では小さくなるか又は欠く。花柱はごく短いか又は欠く。柱頭は2又は4個、ほぼ無柄、長円形、反曲し、宿存する。果実は1種子の小堅果に分離し、普通、4個又は又はときに未熟で少数になる。果皮はしばしばいぼ状になる(tuberculate)。種子は垂れ下がり、長円状円筒形、膜質の種皮をもち、胚乳は豊富。
世界に約70種があり、全世界に分布する。
synonym Myriophyllum brasiliense Camb.
南アメリカ原産。英名はparrotfeather, Brazilian water-milfoil。別名はスマフサモ。大正時代に野生化し、日本に帰化しているものは雌株だけである。南アメリカ以外のものは雌株だけといわれている。主に抽水葉。特定外来種に指定されている。
多年草。水生植物。根茎は赤紫色。茎は無毛、長さ2m、直径4~5㎜以下、円柱状、下部の節から根を出し、水中で分枝し、匍匐して広がる。節から水上へ茎を直立する。葉は5~6個輪生し、くし状。水中葉(submerged leaves)は少なく、倒披針形、長さ4㎝以下、羽状細裂し、羽片は糸状、しばしば明るいピンク色になる。抽水上葉(emergent leaves)は羽状細裂し、粉白色、狭倒披針形、長さ3.5㎝×幅5~8㎜・以下、粉白色、羽片(pinnae)は18~36個。小苞は錐形又は3裂、長さ1.2~1.5㎜、白色。 雌雄異株。雌花は小さく、幅約1.5㎜、上部の葉腋に1個ずつつく。苞は長さ約1.5㎜。萼片は4個、白色、半透明、長さ0.5~1.5㎜。花弁はない。雌しべに白色の短毛が密生する。雄花は雄しべ8個。分離果は長さ2~3㎜。花期は5~7月。(南アフリカ以外では雄花が見られない)
品種) 'Red Stem'
2 Myriophyllum dicoccum F.Muell. ナンゴクタチモ
中国(福建省、広東省)、台湾、インド、ベトナム、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア(ノーザンテリトリー、クイーンズランド、西オーストラリア)原産。中国名は二分果狐尾藻 er fen guo hu wei zao。
雌雄同株で両性花をつける。茎はまばらに分枝し、長さ30~50(~80)㎝、節間は2~12㎜。沈水葉は散生または2~5輪生、櫛形、外形は広卵形、長さ2~3㎝×幅1~2㎝。節は4~12対、糸状、長さ5~10㎜、先は微細な微突形。葉は互生し、線形~狭倒披針形、長さ0.7~1.7㎝×幅0.5~1.5㎝、縁は全縁または上部に短い歯がある。花序は腋生で、1~5個の不規則な二出集散花序、雌花は成長の間ずっと沈水したまま、雄花と両性花は茎の出水部につく。苞は葉状。小苞は三角状で目立たない。雄花は無柄で4数性。萼片は三角形で長さ約 0.2㎜。花弁は赤色、長さ約1.8㎜、遅い脱落性。雄しべは4 本。雌花は無柄または小花柄があり、2数性。萼片は三角形で長さ約0.1㎜。花弁はないか退化している。子房は2室。花柱は棍棒形。柱頭は赤色で頭状、房状へりではない。両性花は無柄、4数性。柱頭は花粉放出後に発達し、房状へりになる。果実は無柄または短い小花柄があり、オリーブ褐色で2室(雌花)または4室(両性花)、長さ約1㎜。分果は円筒形で平滑またはまばらにいぼ状突起があり、先は切形。花期は5~9月。
3 Myriophyllum oguraense Miki オグラノフサモ 巨椋の房藻
日本(本州、四国、九州)、中国原産。中国名は东方狐尾藻 dong fang hu wei zao 。溜池、水路など低流速の水中に生える。干上がった溜池などでは陸生形もつくる。
雌雄同株。茎は主に基部で分枝する。 秋に茎頂や側枝の先に殖芽(turions)をつけ、越冬する。殖芽は葉が多数集合して茎に接着し、長さ(2.5)6~8㎝の細い棒状になる。沈水葉は4~5輪生し、羽状に細裂し、櫛形、外形は卵形~ほぼ円形、長さ2.4~5.7㎝×幅2.3~5.5㎝、裂片は9~13対つき、糸状、長さ1~3㎝。抽水葉(気中葉 Floral leaves)は小さく、裂片の幅はやや広く、粉白色を帯びる(薄青緑色)。花序は水面上に出て、単純又はときに、2~10本の枝のある穂状花序、花が4個輪生し(各葉腋に花がつく)、主及び側花序は長さ2.5~9.5㎝。苞は葉状。小苞は白色、3裂~櫛状。雄花の萼片は緑色、三角形、長さ0.5~0.8㎜。花弁は白色~淡緑色、フード(小突起)があり、基部に弱い竜骨があり、早落性。雄しべは8本。雌花は萼片が緑色、三角形、長さ0.4~0.6㎜。花弁は白色、わずかに、フードがあり、早落性。柱頭は花時の後に帯ピンク色になり、縁に短い房状の毛がある。果実はオリーブ褐色、4室(4分果)、短い円筒形、分果は平滑、外側に2本の縦のうねをもつ。種子は長さ約2㎜。花期と果期は4~9月。
4 Myriophyllum sibiricum Kom. シベリアホザキノフサモ
synonym Myriophyllum spicatum L. subsp. exalbescens (Fernald) Hulten
中国(黒竜江省、江蘇省、吉林省、内モンゴル自治区、青海省、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、雲南省)、ロシア、北アメリカ原産。中国名は西伯利亚狐尾藻 xi bo li ya hu wei zao。英名はNorthern water-milfoil , short-spike water-milfoil。
雌雄同株。茎は水中で緩く直立し、しばしば白っぽく、上部ではほとんど分岐せず、若い植物の基部は特徴的に湾曲しているかU字形である。節間は明瞭で、約1cm。水中葉は4または5輪生し、櫛形、外形は卵形~長楕円形。節は5~12対、糸状、長さ1~5㎝。花序は頂生の穂状花序、花が2~4輪生し、ほとんどが長さ4~10㎝。苞は果実より短いか、まれに果実と同長。雄花:小苞は長円状へら形または卵状長円形、縁は全縁。花弁は帯ピンク色。雄しべは8本。雌花:小苞は大部分が鋸歯状または縁にやや櫛状の歯がある。花被片はないか、萼片は退化している。果実は4室で球形、長さ約2㎜。分果は外側に疣状突起があるかまたは小刺がある。花期と果期は4~9月。
5 Myriophyllum spicatum L. ホザキノフサモ 穂咲房藻
synonym Myriophyllum spicatum L. f. muricatum (Maxim.) Newm.
synonym Myriophyllum spicatum L. var. muricatum Maxim
日本全土、アジア、ヨーロッパ原産。中国名は穗状狐尾藻 sui zhuang hu wei zao 。英名はspiked water milfoil。別名はキンギョモ。抽水葉は少なくとも上部で分裂しない。苞は長さが幅と同等以上。
ほとんどが雌雄同株(monoecious)、まれに両性花をもつ。茎は多数分枝し、長さ100~250㎝、上部は密に葉がつき、まばらに薄緑色のいぼ状になり、節間は長さ約3㎝。水中葉は4~5輪生し、櫛状、外形は広卵形、長さ3~3.5㎝×幅1~2.5㎝、裂片は13~16対、糸状、長さ10~15㎜。花序は頂生の穂状花序、水面上に出て、花が各節に4個輪生し、長さ6~10㎝。苞は腎形又はほぼ円形、花より短く、長さより幅が広い。雄花は花序の上部つき、小苞が菱形~長くなり、全縁。咢は広鐘形、長さ0.5~1㎜、中間近くまで4深裂する。花弁は4(又は5)個、淡ピンク色、楕円形、長さ1.5~2.5㎜。雄しべ8本、雄しべ柄(androphore)は無い。雌花は花序の下部につき、小苞は櫛状、外形は披針形。萼は管状(tubiform)、長さ0.7~1㎜、縁は短く分裂する。花弁は無いか又は小く、早落性。果実は4室、ほぼ円筒形、約・長さ2㎜×幅1.5㎜。分果は4個、外側は丸く、平滑又は縁にまばらにいぼ状(verrucose)。花期と果期は4~9月。
6 Myriophyllum ussuriense (Regel) Maxim. タチモ 立藻
synonym Myriophyllum propinquum auct. non A.Cunn.
日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア原産。中国名は乌苏里狐尾藻 wu su li hu wei zao 。湖沼、池、水田などの浅水域や水辺に生える。
雌雄異株、まれに雌雄同株又は両性花をもつ。茎は弱く、長さ5~20㎝。沈水葉は3~4輪生し、羽状に細裂し、外形は櫛状、広披針形、長さ5~10㎝×幅2.5~5㎝、裂片は10個以下、ごく繊細な糸状、短く、全縁。抽水葉は1~2個つき、線形~披針形、小さく、縁は鋸歯縁~全縁。花序は茎の抽水部分に花が腋生又は頂生の穂状花序。苞と小苞は楕円形、花より小さく、縁は全縁又は鋸歯状。花は4数性。雌花には明瞭な柄がある。萼は筒状、短く分裂する。花弁は淡赤色、倒卵状楕円形、長さ約2㎜。雄しべは8本。花柱は4本。柱頭は白色、縁は長い采状。果実はオリーブ褐色、4室、ほぼ球形、約・長さ0.75㎜×幅0.6㎜。分果は細かいいぼがある。花期は5~6月。果期は6~8月。
7 Myriophyllum verticillatum L. フサモ 房藻
アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ原産。中国名は狐尾藻 hu wei zao 。英名はwhorled water milfoil。別名はキツネノオ。溜池、湖沼、水路などに生え、陸生形もつくる。ホザキノフサモによく似るが、葉が大きく、開出する。抽水葉は櫛状、羽状中裂。
ほとんどが雌雄同株(monoecious)、まれに両性花をもつ。殖芽(turions)により越冬し、多年生。殖芽は葉が多数集合して茎に接着して太いこん棒形になり長さ1.5~3㎝。茎はしっかり分枝又は不分枝、長さ50~150㎝、節間はしばしば葉より短くなる。水中葉は4~5(6)輪生し、櫛状、外形は狭卵形、長さ3~5(6)㎝×幅1.5~2.5㎝、裂片は1~20対、糸状、長さ5~25㎜、湾曲せず、真っすぐ。気中葉は薄緑色~暗緑色、裂片の長さ5~15㎜、幅が水中葉よりやや広い。花序は頂生の穂状花序、水面上に出て、花が各節に4個輪生し、長さ7~20㎝。苞は櫛状又は無い。雄花は花序の上部4~9節につき、小苞が披針状に分裂し、咢は広鐘形、長さ約1㎜、基部の1/2近くまで4深裂する。花弁は白色又は帯緑色、倒卵形(長楕円形)、長さ2~2.5㎜、鈍頭。雄しべ8本、葯は黄色、線形。花糸は糸状。雌花は花序の下部2~9節につき、小苞が櫛状、長さは花の1~5倍、直径約2㎜。萼は筒状、萼片は短い。花弁は帯緑色又は白色、小さい、果実は4室、ほぼ球形、直径約3㎜。分果は4個、平滑又は縁にまばらにいぼ状(verrucose)。花期と果期は4~9月。
8 Myriophyllum × harimense Kadono et Sakiyama ハリマノノフサモ
フサモとオグラノフサモの交雑種
両種の中間的な形質をもつ。
Myriophyllum
Myriophyllum Ponted. ex L.
Myriophyllum
水生植物。根茎は赤紫色。茎は円柱状、水中で分枝し、匍匐して広がる。節から水上へ茎を直立する。水上に出た葉は糸状に細裂し、羽根状になる。葉は粉白色、3~7個輪生する。雌雄異株。雌花は小さく、幅約1.5㎜、上部の葉腋に1個ずつつく。苞は長さ約1.5㎜。萼片は4個、白色、半透明、長さ0.5~1.5㎜。花弁はない。雌しべに白色の短毛が密生する。雄花は雄しべ8個。分離果は長さ2~3㎜。
フサモ属
family Haloragaceae - genus Myriophyllum多年草、まれに1年草、水生植物、浮遊又は基部の根茎から根を出し、葉は花序から離れて水中にある(珍しい陸生型以外は)。葉は3~6個、輪生し、気中葉(aerial leaves)=抽水葉(emergent leaves)は輪生、対生、又は互生し、托葉は無く、又は1(~3)個の糸状~錐形の落葉性の托葉状の派生物をもつ。水中葉(under-water leaves)=沈水葉(submerged leaves)は羽状分裂し、裂片は不分裂の細管状。気中葉はときに単葉、縁は歯状又は全縁。花序は葉又は苞があり、頂生の穂状花序、又は花が下部にだけ腋生し、花柄はほぼ無く、雌雄混株(polygamous)又は雌雄同株(monoecious)、まれに雌雄異株(dioecious)。上部の花は普通、雄性、下部の花は雌性。小苞は2個、しばしば目立たない。萼片は雄花では4個で小さく、不明瞭、雌花では微細。雄花の花弁は舟形、2~4個、脱落性、雌花の花弁は微細か又は欠く。雄しべは普通、8本又はときに、1, 2, 4, 6本、又は欠く。子房は2~4室、4胚珠、4溝があり、雄花では小さくなるか又は欠く。花柱はごく短いか又は欠く。柱頭は2又は4個、ほぼ無柄、長円形、反曲し、宿存する。果実は1種子の小堅果に分離し、普通、4個又は又はときに未熟で少数になる。果皮はしばしばいぼ状になる(tuberculate)。種子は垂れ下がり、長円状円筒形、膜質の種皮をもち、胚乳は豊富。
世界に約70種があり、全世界に分布する。
フサモ属の主な種と園芸品種
1 Myriophyllum aquaticum (Vell.) Veldc. オオフサモ 大房藻synonym Myriophyllum brasiliense Camb.
南アメリカ原産。英名はparrotfeather, Brazilian water-milfoil。別名はスマフサモ。大正時代に野生化し、日本に帰化しているものは雌株だけである。南アメリカ以外のものは雌株だけといわれている。主に抽水葉。特定外来種に指定されている。
多年草。水生植物。根茎は赤紫色。茎は無毛、長さ2m、直径4~5㎜以下、円柱状、下部の節から根を出し、水中で分枝し、匍匐して広がる。節から水上へ茎を直立する。葉は5~6個輪生し、くし状。水中葉(submerged leaves)は少なく、倒披針形、長さ4㎝以下、羽状細裂し、羽片は糸状、しばしば明るいピンク色になる。抽水上葉(emergent leaves)は羽状細裂し、粉白色、狭倒披針形、長さ3.5㎝×幅5~8㎜・以下、粉白色、羽片(pinnae)は18~36個。小苞は錐形又は3裂、長さ1.2~1.5㎜、白色。 雌雄異株。雌花は小さく、幅約1.5㎜、上部の葉腋に1個ずつつく。苞は長さ約1.5㎜。萼片は4個、白色、半透明、長さ0.5~1.5㎜。花弁はない。雌しべに白色の短毛が密生する。雄花は雄しべ8個。分離果は長さ2~3㎜。花期は5~7月。(南アフリカ以外では雄花が見られない)
品種) 'Red Stem'
2 Myriophyllum dicoccum F.Muell. ナンゴクタチモ
中国(福建省、広東省)、台湾、インド、ベトナム、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア(ノーザンテリトリー、クイーンズランド、西オーストラリア)原産。中国名は二分果狐尾藻 er fen guo hu wei zao。
雌雄同株で両性花をつける。茎はまばらに分枝し、長さ30~50(~80)㎝、節間は2~12㎜。沈水葉は散生または2~5輪生、櫛形、外形は広卵形、長さ2~3㎝×幅1~2㎝。節は4~12対、糸状、長さ5~10㎜、先は微細な微突形。葉は互生し、線形~狭倒披針形、長さ0.7~1.7㎝×幅0.5~1.5㎝、縁は全縁または上部に短い歯がある。花序は腋生で、1~5個の不規則な二出集散花序、雌花は成長の間ずっと沈水したまま、雄花と両性花は茎の出水部につく。苞は葉状。小苞は三角状で目立たない。雄花は無柄で4数性。萼片は三角形で長さ約 0.2㎜。花弁は赤色、長さ約1.8㎜、遅い脱落性。雄しべは4 本。雌花は無柄または小花柄があり、2数性。萼片は三角形で長さ約0.1㎜。花弁はないか退化している。子房は2室。花柱は棍棒形。柱頭は赤色で頭状、房状へりではない。両性花は無柄、4数性。柱頭は花粉放出後に発達し、房状へりになる。果実は無柄または短い小花柄があり、オリーブ褐色で2室(雌花)または4室(両性花)、長さ約1㎜。分果は円筒形で平滑またはまばらにいぼ状突起があり、先は切形。花期は5~9月。
3 Myriophyllum oguraense Miki オグラノフサモ 巨椋の房藻
日本(本州、四国、九州)、中国原産。中国名は东方狐尾藻 dong fang hu wei zao 。溜池、水路など低流速の水中に生える。干上がった溜池などでは陸生形もつくる。
雌雄同株。茎は主に基部で分枝する。 秋に茎頂や側枝の先に殖芽(turions)をつけ、越冬する。殖芽は葉が多数集合して茎に接着し、長さ(2.5)6~8㎝の細い棒状になる。沈水葉は4~5輪生し、羽状に細裂し、櫛形、外形は卵形~ほぼ円形、長さ2.4~5.7㎝×幅2.3~5.5㎝、裂片は9~13対つき、糸状、長さ1~3㎝。抽水葉(気中葉 Floral leaves)は小さく、裂片の幅はやや広く、粉白色を帯びる(薄青緑色)。花序は水面上に出て、単純又はときに、2~10本の枝のある穂状花序、花が4個輪生し(各葉腋に花がつく)、主及び側花序は長さ2.5~9.5㎝。苞は葉状。小苞は白色、3裂~櫛状。雄花の萼片は緑色、三角形、長さ0.5~0.8㎜。花弁は白色~淡緑色、フード(小突起)があり、基部に弱い竜骨があり、早落性。雄しべは8本。雌花は萼片が緑色、三角形、長さ0.4~0.6㎜。花弁は白色、わずかに、フードがあり、早落性。柱頭は花時の後に帯ピンク色になり、縁に短い房状の毛がある。果実はオリーブ褐色、4室(4分果)、短い円筒形、分果は平滑、外側に2本の縦のうねをもつ。種子は長さ約2㎜。花期と果期は4~9月。
4 Myriophyllum sibiricum Kom. シベリアホザキノフサモ
synonym Myriophyllum spicatum L. subsp. exalbescens (Fernald) Hulten
中国(黒竜江省、江蘇省、吉林省、内モンゴル自治区、青海省、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、雲南省)、ロシア、北アメリカ原産。中国名は西伯利亚狐尾藻 xi bo li ya hu wei zao。英名はNorthern water-milfoil , short-spike water-milfoil。
雌雄同株。茎は水中で緩く直立し、しばしば白っぽく、上部ではほとんど分岐せず、若い植物の基部は特徴的に湾曲しているかU字形である。節間は明瞭で、約1cm。水中葉は4または5輪生し、櫛形、外形は卵形~長楕円形。節は5~12対、糸状、長さ1~5㎝。花序は頂生の穂状花序、花が2~4輪生し、ほとんどが長さ4~10㎝。苞は果実より短いか、まれに果実と同長。雄花:小苞は長円状へら形または卵状長円形、縁は全縁。花弁は帯ピンク色。雄しべは8本。雌花:小苞は大部分が鋸歯状または縁にやや櫛状の歯がある。花被片はないか、萼片は退化している。果実は4室で球形、長さ約2㎜。分果は外側に疣状突起があるかまたは小刺がある。花期と果期は4~9月。
5 Myriophyllum spicatum L. ホザキノフサモ 穂咲房藻
synonym Myriophyllum spicatum L. f. muricatum (Maxim.) Newm.
synonym Myriophyllum spicatum L. var. muricatum Maxim
日本全土、アジア、ヨーロッパ原産。中国名は穗状狐尾藻 sui zhuang hu wei zao 。英名はspiked water milfoil。別名はキンギョモ。抽水葉は少なくとも上部で分裂しない。苞は長さが幅と同等以上。
ほとんどが雌雄同株(monoecious)、まれに両性花をもつ。茎は多数分枝し、長さ100~250㎝、上部は密に葉がつき、まばらに薄緑色のいぼ状になり、節間は長さ約3㎝。水中葉は4~5輪生し、櫛状、外形は広卵形、長さ3~3.5㎝×幅1~2.5㎝、裂片は13~16対、糸状、長さ10~15㎜。花序は頂生の穂状花序、水面上に出て、花が各節に4個輪生し、長さ6~10㎝。苞は腎形又はほぼ円形、花より短く、長さより幅が広い。雄花は花序の上部つき、小苞が菱形~長くなり、全縁。咢は広鐘形、長さ0.5~1㎜、中間近くまで4深裂する。花弁は4(又は5)個、淡ピンク色、楕円形、長さ1.5~2.5㎜。雄しべ8本、雄しべ柄(androphore)は無い。雌花は花序の下部につき、小苞は櫛状、外形は披針形。萼は管状(tubiform)、長さ0.7~1㎜、縁は短く分裂する。花弁は無いか又は小く、早落性。果実は4室、ほぼ円筒形、約・長さ2㎜×幅1.5㎜。分果は4個、外側は丸く、平滑又は縁にまばらにいぼ状(verrucose)。花期と果期は4~9月。
6 Myriophyllum ussuriense (Regel) Maxim. タチモ 立藻
synonym Myriophyllum propinquum auct. non A.Cunn.
日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア原産。中国名は乌苏里狐尾藻 wu su li hu wei zao 。湖沼、池、水田などの浅水域や水辺に生える。
雌雄異株、まれに雌雄同株又は両性花をもつ。茎は弱く、長さ5~20㎝。沈水葉は3~4輪生し、羽状に細裂し、外形は櫛状、広披針形、長さ5~10㎝×幅2.5~5㎝、裂片は10個以下、ごく繊細な糸状、短く、全縁。抽水葉は1~2個つき、線形~披針形、小さく、縁は鋸歯縁~全縁。花序は茎の抽水部分に花が腋生又は頂生の穂状花序。苞と小苞は楕円形、花より小さく、縁は全縁又は鋸歯状。花は4数性。雌花には明瞭な柄がある。萼は筒状、短く分裂する。花弁は淡赤色、倒卵状楕円形、長さ約2㎜。雄しべは8本。花柱は4本。柱頭は白色、縁は長い采状。果実はオリーブ褐色、4室、ほぼ球形、約・長さ0.75㎜×幅0.6㎜。分果は細かいいぼがある。花期は5~6月。果期は6~8月。
7 Myriophyllum verticillatum L. フサモ 房藻
アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ原産。中国名は狐尾藻 hu wei zao 。英名はwhorled water milfoil。別名はキツネノオ。溜池、湖沼、水路などに生え、陸生形もつくる。ホザキノフサモによく似るが、葉が大きく、開出する。抽水葉は櫛状、羽状中裂。
ほとんどが雌雄同株(monoecious)、まれに両性花をもつ。殖芽(turions)により越冬し、多年生。殖芽は葉が多数集合して茎に接着して太いこん棒形になり長さ1.5~3㎝。茎はしっかり分枝又は不分枝、長さ50~150㎝、節間はしばしば葉より短くなる。水中葉は4~5(6)輪生し、櫛状、外形は狭卵形、長さ3~5(6)㎝×幅1.5~2.5㎝、裂片は1~20対、糸状、長さ5~25㎜、湾曲せず、真っすぐ。気中葉は薄緑色~暗緑色、裂片の長さ5~15㎜、幅が水中葉よりやや広い。花序は頂生の穂状花序、水面上に出て、花が各節に4個輪生し、長さ7~20㎝。苞は櫛状又は無い。雄花は花序の上部4~9節につき、小苞が披針状に分裂し、咢は広鐘形、長さ約1㎜、基部の1/2近くまで4深裂する。花弁は白色又は帯緑色、倒卵形(長楕円形)、長さ2~2.5㎜、鈍頭。雄しべ8本、葯は黄色、線形。花糸は糸状。雌花は花序の下部2~9節につき、小苞が櫛状、長さは花の1~5倍、直径約2㎜。萼は筒状、萼片は短い。花弁は帯緑色又は白色、小さい、果実は4室、ほぼ球形、直径約3㎜。分果は4個、平滑又は縁にまばらにいぼ状(verrucose)。花期と果期は4~9月。
8 Myriophyllum × harimense Kadono et Sakiyama ハリマノノフサモ
フサモとオグラノフサモの交雑種
両種の中間的な形質をもつ。
参考
1) Flora of ChinaMyriophyllum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=121478
2) Plants of the World Online | KewscienceMyriophyllum Ponted. ex L.
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30028764-2
3)Flora of VictoriaMyriophyllum
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/30fcb617-08b2-42b7-938f-0371458d556e