オオアマナ 大甘菜

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Flora of Mikawa

キジカクシ科 Asparagaceae オオアマナ属

英 名 sleepydick ,star-of-bethlehem ,nap-at-noon
学 名 Ornithogalum umbellatum L.
オオアマナの花2
オオアマナの花
オオアマナの子房の上部
オオアマナの蕾
オオアマナ
花 期 4~5月
高 さ (10~)20~30(~40)㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、草地
分 布 帰化種   ヨーロッパ原産
撮 影 幸田町   06.4.30
明治に観賞用に輸入され、栽培品が逸出し、野生化している。 多年草。高さ(10~)20~30(~40)㎝。鱗茎は長さ10~20㎜、幅10~25(35)㎜、小球根が多数。葉は4~6(~9)個つき、上面に白色の縞をもち、長さ20~30㎝×幅(2)3~5[8]㎜、普通、花茎より長い。花茎は長さ10~30㎝。花序は散房花序(散房花序状の総状花序)長さ12㎝×幅20㎝・以下、花は(4~)8~20個、花序の頭部は平ら。苞は膜質、長さ4(5)㎝以下、線状披針形。花柄は開出し、最下の花柄は長さ6(9)㎝以下、花後にほぼ水平になる。花は直立。花被は平らに開くか、椀形、太陽の下で開き、夜閉じ、曇りには閉じたまま。花被片は白色、外面には緑色の幅広の帯(縞)があり、披針形~長円状披針形、長さ15~22(~30)㎜×幅(4)7~8㎜、果時に宿存し、膜質。雄しべは根元が幅広くなり、王冠(副花冠)のように見える。外側の雄しべは長さ5~7㎜×幅2~3㎜、内側の雄しべは長さ6~8㎜×幅2~3㎜。花糸は単純、平らになる。葯は長さ2~4㎜。子房は緑色~黄色、卵形~倒卵形、強く、6角(かど)があり、長さ5~6㎜。花柱は長さ3~4㎜。下部の花の花柄は長さ2~6㎝。蒴果は長円状(倒)卵形~倒卵形、ほぼ等距離(equidistant)の6角(かど)[3室、6うね]がある。2n = 18, 20, 27, 28, 35, 36, 42, 44, 45, 54, 72, 90, 108.。花期は4~5月。
 ホソバオオアマナ Ornithogalum orthophyllum は鱗茎に小球はほとんどつかない。花序の花数が少ないことが多い。花糸は幅が広く、全縁。子房と蒴果は普通、6稜あり、対の2個が隣接する。5亜種がある。

オオアマナ属

  family Asparagaceae - genus  Ornithogalum

 多年草、花茎があり、毒性、球根は卵形、薄皮をもつ(tunicate)。球根の薄皮は白色~淡褐色、紙質。葉は少数~数枚、根生する。葉身は線形~披針形、縁は平滑又は毛がある。花序は総状花序又は散房花序、花が2個~多数つき、苞がある。苞は白色、膜質。花は花被片が6個、広く、平開し、分離、等長~わずかに不等長。雄しべは6個、分離、2形性。花糸は単純又は3歯があり、平らになる。葯は背着、内向き。子房は上位、緑色、3室、円筒形~球形、6稜(角かど)がある。中隔蜜腺(septal nectary:子房の内側の空洞の隔壁に蜜腺がつくもの)がある。花柱は1個。柱頭は縁が全縁又は不明瞭に3裂する。果実は蒴果、角(かど)があり、紙質、 胞背裂開。種子は多数、球形~卵形。 x = 3, 5, 6, 7, 8, 9, 11。
 世界に100~150種あり、ヨ-ロッパ、アフリカ、西アジアに分布する。
 

オオアマナ属の主な種と園芸品種

1 Ornithogalum arabicum L. クロホシオオアマナ  黒星大甘菜
 ヨーロッパ(イタリア、ギリシャ、ユーゴスラビア、コルシカ、ポルトガル、スペイン)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ、マダガスカル、カナリー諸島)原産。中国名は阿拉伯虎眼万年青 a ra bai hu yan wan nian qing 。英名はArabian starflower , lesser Cape-lily , Arab's eye , star of Bethlehem。
 多年草。高さ40~60(100)㎝。地下に球形の鱗茎があり、葉が鱗茎から5~10個出る。葉は大きいものは長さ60~90㎝、幅3~3.5㎝になり、短いものは長さ30~60㎝、幅1~2.5㎝程度。花茎は高さ40~60(100)㎝、散房花序(総状花序ともいわれる)を頂部につける。花序には花が6~25個つく。苞は長さ約3.5㎝、幅7~10㎜、長い三角状、先が長く尖り、緑色、基部は白色、茎を抱く。花柄は下部のものほど長く、長さ4~8㎝。花は直径3~4㎝。花被片は乳白色、6個、長さ17~25㎜、幅10~15㎜、内側にカップ状に湾曲し、細い縦縞がある。雄しべ6個、花糸は長さ約12㎜。葯は淡黄色、長さ約7㎜、葯室は2個、縦に裂開し、花粉は黄色。雌しべ1個。花柱は長さ4~5㎜、細い棒状。子房は紫黒色~黒色、幅6~8㎜でよく目立つ。蒴果は卵形、6翼があり、熟すと3つに裂開する。種子は黒色、長さ約2㎜、表面が粗い。花期は4~6月。

2 Ornithogalum bourgaeanum Jord. & Fourr.
  synonym Ornithogalum alpestre Jord. & Fourr
  synonym Ornithogalum monticola Jord. & Fourr.
 イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル
 多年草。球根は長さ(1.3)1.4~3.7(4.1)㎝×幅1~3(4)㎝、卵形~球形、薄皮は帯白色又は淡褐色、単生又は主な球根を分割することにより生成される多数の無柄の 同様のサイズのパーツ(鱗片)が小さなグループ になり、それらすべてが基礎プレートと外側の薄皮を共有する。二次的な小球根はない。例外的に1~7個あり、卵形、2㎜以下の柄がある。茎は長さ(1.7) 3~18 (27)㎝×幅0.3~0.4㎝、緑色。葉は茎に (3) 4~10 (12)個、長さ (6) 8~35 (48)㎝×幅(0.2) 0.3~1 (1.5)㎝、線形先細、 直立し、わずかにうねがあり、明るい緑色、白色の縦の帯があり、帯は幅 (0.2) 0.5~1.5 (2)㎜、先は早く枯れる。花序は長さ(1.5) 2~10 (14)㎝×幅 (1.7) 2.2~9 (10)㎝、散房花序の総状花序、花が (3) 4~25 (36)個つく。苞は長さ(15) 17~55 (70)㎜×幅 (3) 4~10 (13)㎜、下部の苞は花柄よりわずかに短いか長く、卵状披針形又は狭三角形、先が尖り、膜質、数本の帯緑色の脈がある。下部の花の花柄は長さ(10)17~65(80)㎜。中間の花の花柄は長さ(10) 14~50 (60)㎜。上部の花の花柄は長さ(1) 2~20 (30)㎜。果時の下部の花柄は長さ (15) 20~70 (80)㎜、直立又は直立状開出し、先がわずかに内向きに曲がる。花は直径30~35㎜、芳香はほとんどない。花被は星形、花被片は内面が白色、外面は中央に緑色の帯があり、先は鋭形又は鈍形。外花被片は長さ(9) 12~24 (27)㎜× (3) 4~8 (10)㎜、披針状倒卵形、緑色の帯は幅2~5 (7)㎜。内花被片は長さ (8) 11~22 (26)㎜×幅 (3) 3.5~6.5 (8) ㎜、披針形、緑色の帯は幅(1) 1.2~ 3.5 (4)㎜。雄しべは花被片の長さの1/2~ 3/5倍。花糸は披針形先細で、下半部の幅が最も広く、先に向かって徐々に狭くなる。外側の花糸は長さ(4.5) 5~9 (10)㎜×幅1~2㎜、内側の花糸は長さ(5) 6~10 (12)㎜×幅1.2~2.5 (3.5)㎜。葯は裂開前に長さ3~4.5㎜×幅0.8~1.4㎜、裂開後に長さ(l, 5) 2~2.5 (3)㎜×幅0.5~0.8 (1)㎜、帯白色又は淡黄色。子房は長さ(2) 2.5~5 (7)㎜×幅(1.5) 2~3.5 (4)㎜、淡緑色、卵形又は倒卵形、先は切形、断面で6うねが明瞭、対がグループになる。花柱は長さ(2) 2.5~3.5 (3.7)㎜、灰白色(off-white)。蒴果は長さ(6) 8~15 (18)㎜×幅 (5) 6~15 (19)㎜、卵形~倒卵形、先は切形、断面では3裂、明瞭な6うねをもち、対がグループになり、深くて広く、鈍い溝が心皮の縫合線にあり、かなり狭く鋭い溝が心皮の中脈の上にある。種子は蒴果に(8)10~30(35)あり、長さ(1.3)1.6~2.2(2.4)㎜×幅(1.2)1.3~1.9(2.1)㎜、光沢の無い黒色、球形、わずかに微突頭、網目状、種皮にとさかがあるが明瞭ではなく、ほとんどわからない細胞壁をもつ。 2n=18, 27, 36。.

3 Ornithogalum candicans (Baker) J. C. Manning & Goldblatt
 南アフリカ、レソト原産。英名はsummer-hyacinth , Berg Lily
品種) 'Moonbeam'

4 Ornithogalum dubium Houtt.  オーニソガラム・ダビウム
 南アフリカ原産。英名はStar of Bethlehem
 高さ10~50㎝、球根は卵形、直径約3㎝、薄皮は丈夫な褐色、ときに小球形をもつ。葉は線形~狭卵形、長さ5~20㎝、幅5~30㎜、平滑、縁毛を除いて無毛。総状花序は花が10~20個つき、初めは普通、散房花序状、後に長くなり高さ50㎝以下になる。苞は卵状尖鋭形、花柄の基部を包み、緑色又は紙状に変わる。花柄は長さ20~50㎜。花は浅い杯形~後に星形。黄色、濃橙色、薄茶色(buff )、又は白色、緑色や褐色の目=芯(heart)をもつ。花被片は卵形、長さ10~20㎜。雄しべは花被片の長さの半分以下。花糸は肉質、翼のある膜質の内巻の拡大部があり、しばしば、上部が花の芯(目)より暗い褐色になる。子房は長円状卵形、緑色又は帯褐色、胚珠は多列。花柱は無いか又はごく短い。柱頭は頭状、3溝があり、3個の沿下するパピラがあるうねがある。蒴果は長円形、長さ約15㎜。種子はやや梨形~勾玉形(comma-shaped)、長さ0.5㎜、小さな棘がある( echinulate.)。2n=12。
品種) 'Coconut Cream' , 'Lemon Custard' , 'Little Sunshine' , 'Lourdes' , 'Namib Sunrise' , 'Orange Cream' , 'Orange Star' , 'Oranjezicht , 'Royal Crown' , 'Sunny Day' (PBR) , 'Yellow Asa'

5 Ornithogalum fimbriatum Willd.
 ギリシャ、ルーマニア、ウクライナ、ブルガリア、トルコ、東エーゲ海諸島原産。
品種) 'Ai-petri' , 'Oreanda'

6 Ornithogalum oligophyllum E. D. Clarke
 ヨーロッパ(ギリシャ、アルバニア、ブルガリア、ユーゴスラビア)、コーカサス(ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア)、西アジア(イラン、トルコ)原産。
品種)  'White Trophy'

7 Ornithogalum orthophyllum Ten.  ホソバオオアマナ 細葉大甘菜
  synonym Ornithogalum tenuifolium auct. non Guss. 
  synonym Ornithogalum undulatum Zahar.
  synonym Ornithogalum etruscum Parl.
  synonym Ornithogalum umbellatum subsp. orthophyllum (Ten.) Maire & Weiller
 地中海沿岸地域(ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ)、イラン原産。日本で観賞用に栽培されていたものが逸出帰化している。オオアマナによく似ているが、鱗茎や花序が異なり、ホソバオオアマナと和名がつけられた。学名は Ornithogalum tenuifolium Guess.(Albuca virens (Lindl.) J.C.Manning & Goldblatt)、Ornithogalum gussoneiとされたこともある。ホソバオオアマナの学名はOrnithogalum orthophyllumとされている。オオアマナより葉幅が狭いとされているが、オオアマナOrnithogalum umbellatumの幅は文献では(2)3~5[8]㎜であり、日本で野生化しているものは2~16㎜である。Ornithogalum orthophyllumは5亜種(以前は6亜種)あり、イタリア固有種のsubsp. orthophyllumは葉幅が5~15㎜であり、分布域の最も広い subsp. kochiiの幅は (3~)4~8(~11)㎜とされているが、トルコのOrnithogalum orthophyllumの葉幅は1~5㎜である。日本のホソバオオアマナは、Ornithogalum orthophyllum subsp. kochiiに近いものと考えられる。しかし、日本のものは多数の小鱗茎をつけるといわれ、Ornithogalum orthophyllum は側球根(offsets)が無いか又は少数(普通1~3個)でありPlantNETでは全く無いとし、、疑問が残る。Ornithogalum umbellatumとOrnithogalum orthophyllumは両種とも子房の上部の色は緑色~黄色に変化するようであり、解説ごとに異なり、子房の色では判別はできない。葉幅が3~12㎜で、果実のうねが等間隔になるものにOrnithogalum baeticumがあるが、小球形はほとんど無く、苞が長く、花柄と同長以上になる。小球形を多数つけるものにはOrnithogalum divergensやOrnithogalum vulgareなどがある。

【神奈川県植物誌(2018)の解説】
 多年草、高さ15~30㎝。地下に多数の小鱗茎をつけ、増える。葉は線形、幅2~6㎜。花序は散房花序、花が6~10個つく。花は白色、直径約4㎝。花被片は6個、長さ12~22㎜。蒴果は6稜があり、長さ約2㎝。花期は4~5月。神奈川県植物誌88ではOrnithogalum umbellatumとしていた。

【PlantNETオーストラリア)】
 直立する。球根は普通、どんな側球根(offsets)ももたない。葉は15個以下、白色の縞がある。花序は30㎝以下、散房花序状の総状花序。花は20個以下、平らな杯形、直立、幅2.5㎝以下。苞は短い。花被片は白色で緑色の縞があり、果時にも反曲しない。子房は緑色。

【Kocaeli Bitkileri(トルコ)の解説】
高さ10~30㎝。葉は数本、花茎より長く、線形~糸状、幅1~5㎜、上面に白色の縞があり、縁は普通、全縁、まれにやや小歯があり、無毛。花茎は高さ (5~)10~30㎝。 散房花序状の総状花序は花が(4~)10~20個つく。花被片は長さ12~18㎜、内面は白色、外側は白色に緑色の帯がある。花柄は果時に広がり、わずかにアーチ状に直立し、まれに垂れ下がり、長さ20~35㎜。花糸には翼や歯はない。子房は緑色又は帯黄色。蒴果は翼が無い。 2n=16。花期は4~6月。

【Flora Europaeaの解説.】
 亜属Ornithogalum
 球根は癒合する(concrescent)肉質の鱗片の1列により毎年、完全に更新される。葉は白色の縞が有又は無、樋状(細い溝状 canaliculate)になるか又は平ら。花序は多少、散房花序状、果時に長くなる。花柄は花時に斜上し、果時に斜上~反曲する。花被片は開出し、花後に蒴果に圧着する。花糸は普通、全縁。子房と蒴果は6個の多少鈍い稜(角かど)をもつ。発芽は地上性。
 Ornithogalum orthophyllum
 O. umbellatumに似るが、側球根(offsets)は無いか又は少数(普通1~3個)。葉はときに15本以下つく。ときに幅がたった1㎜になることもある。花柄は斜上、開出、まれに果時にやや反曲する。苞は花柄より短く、又はときに長い。花はときに、25個以下つく。花被片は長さ11~20(~25)㎜、卵形、倒卵形、又は披針形。子房は倒円錐形~円筒形。蒴果は倒卵形~ほぼ円筒形、稜=角(かど)は対が隣接し、丸くてかすかに厚くなり、 ときに目立ち、又は翼がある。花期は3~6月。2n=14 + 0-3B, 18,19, 20, 27-29, 36.[16 :トルコ]
1 子房と蒴果は稜が厚くも、竜骨にもならず、稜の間の溝は浅いか又は無い
  ................................................................................................................................(a) subsp. psammophilum
1 子房と蒴果は稜が厚くなって竜骨があり、又は±翼がある。稜の間の溝は目立つ
 2 子房と蒴果は稜に±翼があり、子房柄(gynophore)は蒴果と同長
  ................................................................................................................................(b) subsp. orbelicum
 2 子房と蒴果は稜に竜骨があり、子房柄は(もし、あれば)蒴果より短い
  3 苞は花柄より短~長 ....................................................................................(c) subsp. baeticum
  3 苞は花柄の長さの1/2以下
   4 葉は幅5~15㎜、平ら、花序の長さと同長又はわずかに長い.............(d) subsp. orthophyllum
   4 葉は幅 (3~)4~8(~11)㎜、普通、樋状(細い溝状canaliculate)、花序より長い
    5 花被片の背の緑色の縞は花柄に沿下し、距は緑色、葉はスポンジ状
     ......................................................................................................................(e) subsp. acuminatum
    5 花被片の背の緑色の縞は花柄に沿下しない。距は帯白色。葉は硬い。
     ......................................................................................................................(f) subsp. kochii

7-1 (e) Ornithogalum orthophyllum subsp. acuminatum (Schur) Zahar., Bot. Jour. Linn. Soc.76: 357 (1978)
  synonym Ornithogalum acuminatum Schur
 ルーマニア(カルパチア山脈南部)原産。
 葉は普通、樋状(canaliculate)、普通、花序より長い。苞は直立又は開出する花柄より普通、短い。花被片の背の緑色の縞は葉柄に沿下する。蒴果は6稜が深い溝で離れる。

7-2 (f) Ornithogalum orthophyllum subsp. kochii (Pari.) Zahar., loc. cit. (1978)
  synonym Ornithogalum kochii Parl.
 オーストリア、ブルガリア、チェコスロバキア、東エーゲ海島、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スイス、ウクライナ ユーゴスラビア、北コーカサス、トランスコーカサス、西アジア(トルコ、イラン)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。
 葉は普通、樋状(canaliculate)、花序より長い。花被片の背の緑色の縞は沿下しない。蒴果は6個の鈍い稜をもち、深い溝で分かれる。
 球根は側小球根をもたない(まれに1~3個もつ)。地下に浅くあり、ほぼ球形。子房の上部は黄緑色~緑色。最下の花の花柄は長さ5㎝以上にならず、花序は直立し、花が密。花被片は幅3~4㎜。葉は幅1~3㎜。

7-3 (b) Ornithogalum orthophyllum subsp. orbelicum (Velen.) Zahar., loc. cit. (1978)
  synonym Ornithogalum orbelicum Velen.
 ブルガリア原産。
 葉は線形、樋状(canaliculate)、花序と同長又は長い。苞は開出する花柄と同長。花被片の背の緑色の縞は沿下しない。蒴果は稜に翼があり、深い溝で分かれる。
 球根は側小球根をもたない(まれに1~3個もつ)。地下に浅くあり、ほぼ球形。子房の上部は灰黄色、最下の花の花柄はしばしば長さ5㎝以上になり、花序の花はO. kochii よりやや疎。
7-4 (d) Ornithogalum orthophyllum subsp. orthophyllum
 イタリア中部、南部原産。
 葉は平ら、花序と同長又は長い。苞は直立又は開出する花柄の長さの1/2以下。花被片の背の緑色の縞は沿下しない。蒴果は深い溝で分かれる6稜がある

7-5 (a) Ornithogalum orthophyllum subsp. psammophilum (Zahar.) Zahar., Bot. Jour. Linn. Soc. 76: 356 (1978)
  synonym Ornithogalum psammophilum Zahar
 ルーマニア東部原産。
 葉は線形、樋状(canaliculate)、花序より長い。苞は斜上する花柄より普通、短い。花被片の背の緑色の縞は沿下しない。蒴果は3稜の間が平らになる。

7-6 類似種 (c) Ornithogalum baeticum Boiss.
  synonym Ornithogalum orthophyllum Ten. subsp. baeticum (Boiss.) Zahar
  synonym Ornithogalum umbellatum var. baeticum (Boiss.) Batt. & Trab.
  synonym Ornithogalum umbellatum var. longebracteatum Willk.:
 ポルトガル、スペイン、アルジェリア、チュニジア、リビア、モロッコ原産。
 葉は平ら又はわずかに竜骨があり、花序より長い。苞は直立又は開出する花柄より短又は長。花被片の背の緑色の縞は沿下しない。蒴果は6個の鈍い稜をもち、ほぼ等間隔で深い溝で分かれる。

 多年草。球根は長さ(1.5)2~3(3.6)㎝×幅(0.8)1.4~2.5(2.8)cm、卵形~円形、 外側は帯白色又は帯褐色の薄皮で、単生又は主な球根を分割することにより生成される多数の無柄の 同様のサイズのパーツ(鱗片)が小さなグループ になり、それらすべてが基礎プレートと外側の薄皮を共有する。二次的な球根はない。茎は幅 0.3~0.4 cm、粉白を帯びた緑色。葉は茎あたり(3)4~8(10)枚、長さ(8)10~30(38)㎝×幅(0.3)0.4~1(1.2)㎝、線状先細、直立、わずかにうね(竜骨)があり、緑色、若いとき粉白を帯び、縦の幅1~3㎜の白色の帯があり、先はすぐに枯れる。花序は長さ(3)4~11㎝×(2)3~8㎝、散房花序状の総状花序、花が(3)4~18(21)個つき、苞は長さ(20)30~70㎜×幅(4)5~10(12)㎜、下部の苞は花柄より少し短いか又は長く、卵状披針形 または三角形、先は尖り、膜質、数本の脈があり、緑色。下部の花の花柄は長さ(21)25~45(55)㎜mm。中間の花の花柄は長さ(17)20~40(48)㎜。上部の花の花柄は長さ(3)6~25(35)㎜。果時の下部の花柄は長さ(15)20~55(60)㎜、直立または直立状開出し、先でわずかに曲がる。花は直径30~40㎜、芳香はあまり無い。星形の花被は花被片の内側が白色、外側は白色に緑色の帯が中央にあり、先は鋭形~鈍形。外花被片は長さ(16)17~25(27)㎜×幅5~9(10)㎜、披針状倒卵形、緑色の帯は幅(2)2.5~4.5(5)㎜。内花被片は長さ(15)16~24(27)㎜×幅(4)4.5~8(9.5)㎜、披針形、緑色の帯は幅 (0.7)1~3㎜。雄しべは長さが花被片の長さの1/2~2/5、花糸は披針形状の先細、中間の基部で幅が最大になり、先端に向かって徐々に狭くなる。外側の花糸は長さ7~10(12)㎜×幅1.5~2.2㎜。内側の花糸は長さ(7.5)8~11(12)㎜×幅(1.8)2~2.5(3)㎜。;葯は裂開前に長さ4~5㎜×幅1.2~1.5㎜、裂開後は長さ(2)2.3~ 3(3.5)㎜×幅0.7~1(1.2)㎜、帯白色または淡黄色。子房は長さ4~6(7)㎜×幅(2)3~4(5)㎜、淡緑色、倒卵形~円筒形、先は切形、 断面で6肋が明瞭で、+等間隔。花柱は長さ(3.8)4~6(6.5)㎜、帯白色。蒴果は長さ(10)12~20(22)㎜×(6)8~13㎜、長円形~倒卵形、先は切形、断面は多角形状六角形、6肋が 明瞭、+等間隔、広く離れ、鈍いまたは平らな溝があり、心皮の縫合線と中脈に似ている。 種子は蒴果に15~30(35)個、長さ(2)2.3~2.6(2.8)㎜×幅(1.4)1.5~1.8(1.9)㎜、黒色または 薄褐色、光沢があり、球形、著しく尖頭形、頭部は網状、 細胞壁のうねが非常に目立つ。 2n= 50、52、54。(Flora Iberica)2n=18 , 27(Flora Europaea.)

8 Ornithogalum ponticum Zahar.
 ウクライナ(クリミア半島)、ノースコーカサス、トランスコーカサス原産。2n=16
品種) 'Sochi'

9 Ornithogalum pyrenaicum L.
 ヨーロッパ、コーカサス、西アジア(トルコ)、北アフリカ(モロッコ)原産。英名はspiked star-of-Bethlehem 。2n=16
品種) Flavescens Group

10 Ornithogalum umbellatum L.  オオアマナ 大甘菜
 ヨーロッパ原産。英名はsleepydick ,star-of-bethlehem ,nap-at-noon。明治に観賞用に輸入され、栽培品が逸出し、野生化している。
 多年草。高さ(10~)20~30(~40)㎝。鱗茎は長さ10~20㎜、幅10~25(35)㎜、小球根が多数。葉は4~6(~9)個つき、上面に白色の縞をもち、長さ20~30㎝×幅(2)3~5[8]㎜、普通、花茎より長い。花茎は長さ10~30㎝。花序は散房花序(散房花序状の総状花序)長さ12㎝×幅20㎝・以下、花は(4~)8~20個、花序の頭部は平ら。苞は膜質、長さ4(5)㎝以下、線状披針形。花柄は開出し、最下の花柄は長さ6(9)㎝以下、花後にほぼ水平になる。花は直立。花被は平らに開くか、椀形、太陽の下で開き、夜閉じ、曇りには閉じたまま。花被片は白色、外面には緑色の幅広の帯(縞)があり、披針形~長円状披針形、長さ15~22(~30)㎜×幅(4)7~8㎜、果時に宿存し、膜質。雄しべは根元が幅広くなり、王冠(副花冠)のように見える。外側の雄しべは長さ5~7㎜×幅2~3㎜、内側の雄しべは長さ6~8㎜×幅2~3㎜。花糸は単純、平らになる。葯は長さ2~4㎜。子房は緑色~黄色、卵形~倒卵形、強く、6角(かど)があり、長さ5~6㎜。花柱は長さ3~4㎜。下部の花の花柄は長さ2~6㎝。蒴果は長円状(倒)卵形~倒卵形、多少等距離(equidistant)の6角(かど)[3室、6うね]がある。2n = 18, 20, 27, 28, 35, 36, 42, 44, 45, 54, 72, 90, 108.。花期は4~5月。(Flora of North America)[]

11 Ornithogalum thyrsoides Jacq.
 南アフリカ原産。英名はCape-lily , chincherinchee , chinkerinchee , Christmas-lily , Port Lincoln-lily , rock-lily , star-of-Bethlehem , wonder-flower
品種) 'Chesapeake Snowflake' , 'Chesapeake Starlight' , 'Cintho White' , 'Damascus' , 'Giant' , 'Meysnofla' (PBR) , 'Namib Star' , 'Namib Sun' , 'Star of Good Hope' , 'Tipper'

12 その他ハイブリッド
品種) 'Chesapeake Blaze' , 'Chesapeake Daybreak' , 'Chesapeake Shine' , 'Chesapeake Snowflake' , 'Chesapeake Starlight' , 'Chesapeake Sunburst' , 'Chesapeake Sunset' , 'Chesapeake Sunshine' , 'Mount Everest' , 'Mount Fuji' , 'Namib Gold' , 'Namib Sun' , 'Oranjezicht' (PBR) , 'Prince Star' , 'Queen Star' , 'Super Star' , 'White More' , 'White Star' , 'White Trophy' , 'Yellow Star'

Key to species(参考9)

<Subgenus Ornithogalum >

1 散形花序~塊状の総状(schopfig-traubige Blutenstande )、花が2~15(~25)個つく。葉は線形、多少融合する。古い根はイオウ黄色または帯白色。茎は長さ5~30㎝。果柄は多少突出し、花序軸に接しない。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
1' 細長い総状花序、鱗片状、根生葉は分離、線形。古い根は帯白色。すべての小花柄はほぼ同長。子房には縦のうねがない。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2 花は3~12個束生する。花柄は苞の長さの約半長、果実が熟すと垂れ下がる。鐘形、雄しべは葉状に幅が広く、内側の雄しべは少なくとも両側に歯がある。果肉は肉質。隔壁の上と背側の中脈の上に割れ目がある。種子は球形~楕円形。葉は帯白色、中央の縞は濃緑色。花茎は長さ5~30㎝。果実は球形~楕円形、長さ1~2.5㎝、縦のうねは無い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2' 総状花序は花が20~80個。花柄は苞より長く、直立又は花序軸が熟すと上向きに曲がる。花は星形。雄しべは全て常に歯がない。果皮は薄く、上部だけに割れ目がある。種子は不規則に角(かど)がある。葉は中央の縞がなく、灰緑色。花茎は長さ20~50㎝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

3 球根は側小球根をもたない(まれに1~3個もつ)。地下に浅くあり、ほぼ球形。・・・・・・・・・・・・・・・4
3' 球根は普通、側小球根をもち、花期にしばしば離れる。花茎は長さ5㎝以上あり、花序に花は疎。・5

4 子房の上部は黄緑色~緑色。最下の花の花柄は長さ5㎝以上にならず、花序は直立し、花が密。花被片は幅3~4㎜。葉は幅1~3㎜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ornithogalum kochii Parl.
4' 子房の上部は灰黄色、最下の花の花柄はしばしば長さ5㎝以上になり、花序の花はO. kochii よりやや疎。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ornithogalum orbelicum Velen.

5 4~5個の大きな球根だけに最初の年に葉がつく。葉先は明瞭に尖る。子房の先は黄色、うねは明瞭でない。花被片は幅4~8㎜。葉は幅2~6㎜・・・・・・・・・・・オオアマナ Ornithogalum umbellatum L.
5' 小球根は20個以上つき、最初の年に葉は無く、ほとんど球形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

6 子房のうねは丸い。球根は地中深くにある。下部の花の花柄は水平
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Ornithogalum divergens Boreau
6'子房のうねは明瞭、縁が鋭い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Ornithogalum vulgare Sailer

<Subgenus Myogalum (= Honorius)>

7 花序は長くなる。雄しべは副花冠のような形になり、葯に続き、少なくとも内側の花糸に2歯をもち、葯のすぐ下の端にうねをもち、上側に3番目の歯、あるいは横に、先が伸びた小さな三角形になる。苞は花柄より長く、果柄の下に垂れ下がる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
7' 花糸の内側に歯は無い。花序は疎。子房は倒卵形、わずかに花柱より短い。花被片の下側に銀緑色の中央の帯(縞)がある。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ornithogalum nutans L.

8 少なくとも、内側の花糸は内側に3番目の歯に向かって上側に葯のすぐ下に終わるうねをもつ。花序は密。子房は円錐状卵形、花柱の長さとほぼ同長。花被片の下面は中央に広い、暗緑色の帯(縞)がある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Ornithogalum boucheanum (Kunth) Ascherson
8' 少なくとも、内側の花糸は横に尖った先がある棒があり、葯のすぐ下に小さな三角形をつくる
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Ornithogalum × vigeneri Ciferri & Giacomini
<Subgenus Beryllis (= Loncomelos) >

9 花は夜、閉じる。花柱は長さ(1.2~) 2 (~2.3)㎜。花被片は白色、外側の中央に緑色の帯があり、花時に平開し、花後に子房の周りにしっかり閉じ、花被片は長く認められない。子房は多少、卵形、花期中は緑色。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Ornithogalum brevistylum Wolfner
9' 花は夜開く。花柱は長さ3㎜。花被片は緑黄色、中央の帯(縞)は無く、花期の間、縦の溝を作り、枯れるが果時に残る。子房は多少う、卵形、花期中は緑色。・・・・・・・・・ Ornithogalum pyrenaicum L.


参考

1)Flora Italiana
 Ornithogalum orthophyllum Ten. subsp. orthophyllum
 http://luirig.altervista.org/flora/taxa/index1.php?scientific-name
  =ornithogalum+orthophyllum+subsp.+orthophyllum
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Ornithogalum
 http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000299-2
3)GRIN
 Ornithogalum
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxon/taxonomysimple
4)Flora of North America
 Ornithogalum
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=123199
5)Ornithogalum undulatum in Global Plants on JSTOR
 Ornithogalum undulatum synonym Ornithogalum orthophyllum
 https://plants.jstor.org/compilation/ornithogalum.undulatum
6)Ornithogalum orthophyllum / Liliaceae / Monocotiledoneas ...
 Ornithogalum orthophyllum Ten. subsp. baeticum (Boiss.) Zahar
 http://www.mitra-nature.uevora.pt/Especies-e-habitats/Plantas/Herbaceas/Com-flor
  /Monocotiledoneas/Liliaceae/Ornithogalum-orthophyllum
7)NSW FloraOnline - PlantNET
 Ornithogalum orthophyllum Ten.
 https://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name
  =Ornithogalum~orthophyllum
8)Flora Iberica. Vascular plants of the Iberian Peninsula and ...
 Ornithogalum
 http://www.floraiberica.es/floraiberica/texto/pdfs/20_183_25_Ornithogalum.pdf
9)Die Gattung Ornithogalum in Deutschland(Gregor Stolley)
 https://offene-naturfuehrer.de/web/Die_Gattung_Ornithogalum_in_Deutschland_(Gregor_Stolley)
10)Flora Vascular
 Ornithogalum umbellatum L.
 https://www.floravascular.com/index.php?spp=Ornithogalum%20umbellatum
11)Kocaeli Bitkileri(トルコ)
 Ornithogalum orthophyllum
 https://kocaelibitkileri.com/ornithogalum-orthophyllum/
12)Bothalia 12,3: 323-376 (1978)
Ornithogalum: a revision of the southern African species
A. A. OBERMEYER
1793-3958-1-SM.pdf
13)Flora Europaea. Vol. 5 - Zenodo
 VOLUME 5 ALISMATACEAE TO ORCHIDACEAE(MONOCOTYLEDONES)
 EDITED BY T. G. TUTIN V. H. HEYWOOD etc. 24. O. umbellatum L.
14)神奈川県植物誌調査会ウェブサイト
 神奈川県植物誌 2018電子版
 http://nh.kanagawa-museum.jp/whatsnew/news/wn338.html