オニノヤガラ 鬼の矢柄

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Flora of Mikawa

ラン科 Orchidaceae オニノヤガラ属

別 名 テンマ 天麻
中国名 天麻 tian ma
学 名 Gastrodia elata Blume
オニノヤガラの花
オニノヤガラの葉
オニノヤガラ
花 期 6~7月
高 さ 30~100cm
生活型 多年草
生育場所 低地~山地の陰地
分 布 在来種  日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール
撮 影 稲武町 05.7.16
地上生、葉が無く、炭素源を根状組織に内生する共生菌に依存する全菌栄養性(holomycotrophic)植物。夏には地上部は無くなり、地中の塊茎で休眠する。共生菌はナラタケ。
 多年草、高さ30~100cm、まれに高さ200cmまでになる。根茎は塊茎、普通、楕円形、長さ8~12cm、丈夫、直径3~5(~7)cm、ときに大きくなり、肉質、密に節があり、節に三角形または広卵形の鱗片がある。花序柄は橙色、黄色、灰褐色、または帯緑色、長さ25~80(~150)cm、基部に数個の膜質の鞘がある。花序軸は長さ5~30(~50)cm、ほぼ密から密に花が20~50個つく。花の苞は長楕円形、長さ10~16mm、しばしば子房を超え、膜質、先は尖鋭形。花は直立し、逆向きになり、弱く開き、橙色、淡黄色、青緑色、または黄白色。小花柄と子房は合わせて長さ7~12mm。花被筒はつぼ形、長さ8~10mm×幅5~7mm、側萼片との間に深い切れ込みがあり、基部が膨らみ、外面は平滑。萼片の自由な部分は卵状三角形、長さ3~5mm、先は鈍形。花弁の自由な部分はほぼ長円形で、萼片よりも小さく、先は鋭形。唇弁は不明瞭に3裂し、長楕円形、長さ6~7mm×幅3~4mm、無毛、基部に爪部があり、先の縁は不規則な房状へりになる。爪部は対の凸状の折れ(gibbous foldings)をもつ。ディスク(diskdisk:唇弁の下半部の側裂片との間の範囲)はパピラ(乳頭状突起)があり、対の肉質の腎形のカルス(reniform calli:硬くなったたこのような突起)をもつ。ずい柱は長さ5~7mm、ずい柱の足は短い。蒴果は倒卵状楕円形、長さ14~18mm×幅8~9mm。花期および果期は5~7月。2n=24, 30, 36。

オニノヤガラ属

  family Orchidaceae - genus Gastrodia

 地上生、葉が無く、炭素源を根状組織に内生する共生菌に依存する全菌栄養性(holomycotrophic)の草本。根茎は水平の塊茎、円柱形、ときにわずか珊瑚状で、わずかに肉質で、普通、密に節がある。夏季には地中の塊茎で休眠する。花序は直立し、頂生、節は中間より下に節があり、節に筒状または鱗片状の鞘があり、無毛、黄褐色または鈍い褐色で、通常は少数~多数の花がつき、まれに花が1個つき、ときに、果時に長くなる。花は開出または下を向き、鐘形、つぼ形、または円筒形、逆向きまたは逆向きにならず、クリーム褐色、黄褐色、または鈍い褐色、たまに、緑褐色、唇弁はしばしば明るい褐色、ときに、橙色の斑紋がある。小花柄は普通、果時に長くなる。萼片と側花弁が統合し、花被筒(perianth tube)を形成し、先端部分だけが分離する。花被筒はときに、広がり、基部で袋状になり、ときに側萼片との間に深い切れ込みがあり、外面にはしばしば疣がある。側花弁は萼片よりはるかに小さい。唇弁(lip)は花被筒の中に包み込まれ、ずい柱の足(column foot)の先につき、普通、小さく、普通は基部に爪部があり、単純または3裂する。ディスク(disk:通常、ラン科植物では唇弁の下半部にある側裂片の間の領域、カルスが通常形成される場所、または場合によっては、嘴状突起の除去可能な部分)は基部に球形のカルス(calli:たこ)の対をもつ。ずい柱は長く、基部に短いが明瞭なずい柱の足があり、先に翼があり、ときに、先に1対の歯状の突起(stellidia)がある。葯は花糸の上につき、大きく、ほぼ頂生、稔性がある。花粉塊(pollinia)は2個、顆粒状~粉状(granular-farinaceous)、普通、もろい花粉小塊(massulae)からなり、花粉塊柄(caudicles)は無い。柱頭は高くなり、盾形。蒴果は直立する。
 世界に約90種あり、インド北東部~東ヒマラヤ、中国南部~日本、東シベリア、東南アジア~オーストラリア東部、南西太平洋の島々、熱帯アフリカ、マダガスカル、マスカリン諸島に分布する。中国には15種(9種が固有種)ある。

オニノヤガラ属の主な種と園芸品種

1 Gastrodia albida T.C.Hsu et C.M.Kuo ヤクシマヤツシロラン 屋久島八代蘭

 日本(屋久島)、台湾に分布。常緑樹林下に生える。
 多年草、地上性、無葉。根茎は塊茎、長さ2㎝×幅5mm。花のつくシュートは直立し、高さ2~2.5㎝で、先に単生の花をつける。花序柄(根茎から小花柄まで)は長さ1~1.5㎝。鱗片は2または3個つき、長さ5mm、膜質、披針形、淡白褐色。小花柄は長さ5~7㎜、淡帯褐色。子房は長さ5㎜×幅2.5mm、淡帯褐色、暗褐色の縞模様がある。花被筒は鐘形、曲がり、両面がわずかに褐白色、外面に疣があり、長さ13㎜×幅12㎜。萼片と花弁は統合し、5裂片の花被筒を形成する。側萼片は花被筒の基部とだけ合着し、幅10mmの広く開いた隙間ができる。萼片の自由部分は円形、外面は褐白色で内面は白色、長さ3mm。花弁の自由部分は長円形で、両面は薄褐白色、長さは3㎜。唇弁は花被筒の背側の隙間から見え、三角形、先は尖鋭形で1個(fexed:single)、裂片は無く、わずかに褐白色、縁に沿って赤みがかる。唇弁基部(hypochile:唇弁の基部の裂片)は2個の白色の球形の蜜腺の無いカルスをもち、カルスは直径0.8㎜。唇弁頂端(epichile;唇弁の頂裂片)は細長い三角形、下半分はディスク(disk)までが厚く、やや脂肪で覆われるが、縁に沿ってわずかに2うねがあり、無毛、パピラがあり、上半分はやや狭く、はっきりと2うねがあり、若いときは縁に沿って細かい毛があり、成熟すると無毛になる。ずい柱は白色、真っすぐで、円柱形、長さ4.5㎜×幅1.8㎜、上部に1対の狭い側翼があり、側翼の縁はずい柱に平行、先に1対の歯状の突起(stellidia)があり、基部がわずかに狭くなり、ずい柱の足は短い。嘴状突起(rostellum:蘭の花の柱頭の中央の裂片部分)は無い。柱頭は基部の近くに位置する。葯は半球形、長さ0.8mm。花粉塊は2個。蒴果は楕円形、長さ1.5㎝。小花柄は果時に長さ10㎝までに伸びる。

2 Gastrodia amamiana Suetsugu アマミヤツシロラン 奄美八代蘭
 日本固有種。琉球諸島、奄美大島、徳之島に分布。
 タブガワヤツシロランに似るものの、花は咲かせることなく蕾のまま自家受粉を行い、唇弁の形状やずい柱の構造が異なる。
 多年草、地上性、菌従属栄養(mycoheterotrophic)、高さ2~4cm。根茎は塊茎、紡錘形または円筒形、長さ3~8㎝、直径4~9㎜、黄褐色、多数の鱗片に覆われる。茎は葉が無く、直立し、淡褐色、長さ2~4㎝×直径2~3mm。苞は長さ約4mm。小花柄と子房の長さは6~10㎜。花は1~5個つき、筒状、わずかに上向きの角度でつき、逆向きになり、長さ10~13㎜、直径約7㎜。萼片と花弁が統合し、5裂片の花被筒を形成する。花被筒は完全に閉じている。萼片は等形、長さ10~13㎜、花弁の長さの約2/3と合着し、側萼片は互いにその長さの約3/5が合着し、外面は暗褐色、密に疣があり、縁は全縁。背萼片の自由部分は真っすぐで、卵状三角形、小凹形、約・長さ4.5㎜×幅4.5㎜。側萼片の自由部分は広がり、先は鈍形。花弁の自由部分は卵形または楕円形、約・長さ3㎜×幅2㎜。唇弁はずい柱の足につき、長さは6~7㎜。唇弁基部(hypochile)は 2個の退化したカルスをもつ。唇弁頂端(epichile)は赤褐色、卵状三角形、基部がくびれ、上部に2(~4)本の不明瞭なうねの隆起があり、2本のうねが舌部の先まで伸びる。ずい柱は真っ直ぐ、こん棒形、長さ5.5~6.5㎜、白色で基部が灰褐色を帯び、1対の側翼をもち、ずい柱の足が有る。側翼は赤色、内曲し、縁はずい柱に平行。嘴状突起(rostellum)は無い。柱頭は中間よりわずかに上に位置する。葯は半球形、直径約1㎜、花粉塊は2個。花期は3月。果期は4月。

3 Gastrodia appendiculata C.S.Leou et N.J.Chung ガストロディア・アペンディクラタ

 台湾原産。中国名は无喙天麻 wu hui tian ma。標高800~1200mの森林、竹林に生える。
 高さ3~6㎝。根茎は黄褐色で紡錘形、長さ2~4㎝、直径0.5~1.2㎝、節に鱗片があり、軟毛がある。花序柄は褐色で長さ約4㎝まで、肉質、節が密集している。花序軸は長さ1cm未満で、2~10個の花が密につく。花の苞は披針形、小花柄より短く、先は鋭形。花はほぼ直立または広がり、弱く開き、淡緑褐色、しばしば暗褐色に変わる。小花柄と子房は長さ11~16㎜、果時には小花柄は長さ25~50㎝に伸びる。花被筒は鐘形、長さ8~11㎜、外面は疣状で側萼片の間に深い切れ込みがある。萼片の自由部分は広卵形、先は鈍形。花弁の自由部分は卵形~ほぼ円形、萼片よりはるかに小さく、先は円形。唇弁は単純で、卵形、約・長さ7㎜×幅5㎜、無毛、基部には短い爪部があり、縁は通常わずかに不規則なギザギザがあり、先は鋭形。爪部には球形または楕円形のカルスの対がある。ずい柱は棍棒形で、長さ4~5㎜、腹面に細長い分岐した付属体がある。ずい柱の翼はほぼ方形、ずい柱の足は短い。柱頭はほぼ頂生。蒴果は円筒形、長さ30~40㎜。花期は9~10月。

4 Gastrodia boninensis Tuyama ムニンヤツシロラン 無人八代蘭
 日本固有種。小笠原諸島(父島、母島)に分布。
 多年草、高さ8~10㎝(果時に高さ25~30㎝)、葉状体が欠如し、全体に無毛。根茎は塊茎、長さ約2.5~7.0cm、直径0.5~1.2㎝、ほぼ密な帯白色の絨毛があり、少数の鱗片が散在し、その下に厚い肉質の組織がある。花茎は花時に直立し、高さ約10cm、帯白色または淡褐色、平滑、節が3~4個あり、節に褐色の膜質の鱗片または鞘をつける 総状花序は頂生、ほぼ密に花が4~8個つく。花は鐘形、上向きまたは横向き、長さ12㎜×幅9㎜、全体が(初め)紫褐色(後に淡褐色)。小花柄と子房は長さ9~10㎜。苞は長さ6㎜、広卵形で、先は鋭形。萼片はその長さの 3/4まで合着し、花被筒を形成する。中間の萼片(背萼片)はわずかに反り、倒卵形、明瞭に凹形、幅7.5㎜。側萼片は斜めの倒卵形、狭く尖り、先はわずかに鈍形、幅6.5㎜。花弁は筒部の先の萼片の間に合着し、卵形、先は鈍形、長さ3㎜×幅2.5㎜、1脈がある。萼片と花弁は背側の縁で、大きな楕円形または円形の細胞が隆起し、ほぼ密に散在する(いぼがある)。唇弁は 長さ7㎜×幅5㎜の長円状倒卵形の範囲をもつ。唇弁頂端(epichile)は両側が広四角状卵形で縁はわずかに内曲し、肉厚で暗色の7脈があり、縁は漸尖し、先は急に尖り長く、縁は全縁だが上部が小さくアーチ状になり、先近くの中央全体に微細なパピラがあり、カルスは2個、小さい。唇弁基部(hypochile)は横長の長円形、幅約3.5㎜、幅広、肉厚で、両側が円形になる。ずい柱は長円形、長さ6.5㎜×幅4㎜、凹んだ三角形、先に2歯があり、歯は短く、長さ約1㎜。長く、腹側の出た部分が先まで走る。葯は先が背側で円形に凹み、腹側はほぼ平ら、中間の柱頭は三角形、先が掘削され、薄板(lamella)は小さく後屈する。花粉塊は2個、腺がなく、基部に合着する。子房は鈍形、三角形、長さ4mm。蒴果は長さ3cm、濃紫褐色、熟すと裂開する。小花柄は果時に27cmまでになり、無毛または淡くなる。花期は12月末~1月。果期は2~3月。

4-1 Gastrodia boninensis Tuyama f. botrytis Tuyama フサザキムニンヤツシロラン 房咲無人八代蘭

 花茎は丈夫で長さ約20㎝、基部の太さ8mm、多数花が房状につく。

5 Gastrodia callosa J.J.Sm. ガストロディア・カローサ
  synonym Demorchis callosa (J.J.Sm.) M.A.Clem. & D.L.Jones
 台湾、インドネシア(ジャワ島)原産。中国名は绯赤箭 fei chi jian。熱帯雨林の林下に生える。
 根は少数で細く、しばしば根茎の先端から伸びる。根茎は塊茎で紡錘形、長さ2~8㎝、直径3~10㎜、黄褐色で、多数の鱗片と単細胞の毛で覆われている。鱗片は輪生し、披針形で淡黄褐色、長さ1~2㎜。花序は直立し、長さ1~5㎝、直径2~3㎜、淡褐色で、花序柄は3~4節があり、筒状の膜質の鞘を持つ。花序軸はしばしば長さ5㎜未満である。苞は膜質で、卵形~卵状長円形で淡褐色で、長さ2~4㎜×幅1~3㎜。小花柄と子房は長さ6~8㎜、子房は直径2~3㎜。花は1~3(~5)個つき、鐘形で、背面から見ると楕円形で、大きくは開かず、約・直径7~9㎜。萼片と花弁は合着して5裂する花被筒を形成する。萼片は肉質で、形はほぼ相似し、長さ9~13㎜、長さの約3/5で花弁と合着し、側萼片は互いに3/4以上合着し、外面は肉色で疣状(verruculose)、先はわずかに内側に湾曲する。自由部分は卵形、長さ4~5㎜×幅4~4.5㎜。背萼片は外面が帯白色、側萼片は外面が帯赤色。花弁の自由部分は外側が肉色で内側が淡オレンジ色、卵形で、長さ約1.5mm×幅1.5㎜、先は鋭形。唇弁は花筒から分離し、橙褐色で、上部は淡緑青色で先端は帯赤色、長さ4.5~5.5㎜×幅3.5~4.5㎜、唇弁基部(hypochile)には直径約1㎜の褐色で球形の蜜のあるカルスが2個あり、カルスは直径約1㎜。唇弁頂端(epichile)は卵状三角形で、中央に2本の明瞭なうねがあり、うねは先に向かって高くなる。ずい柱は白色で縁は暗赤色を帯び、真っすぐ、長さ4~4.5㎜×幅約1.8㎜、一対の側翼(stelidia;ずい柱の両側、頂点、中央、または基部近くにある独立した腕または突起、細長く伸びることが多い。例: マメヅタラン属およびデンドロキラム属では通常は雄葯 (不稔性の葯) と解釈される。)がある。側翼は帯赤色、縁はずい柱と平行で、長く狭い先端が葯より上にある。ずい柱の足があり、嘴状突起はよく発達する。柱頭は基部近くに位置する。葯は半球形で、直径0.8~1㎜。花粉塊は2個。蒴果は楕円形、長さ1.5~2㎝。果時には小花柄が長さ10~30㎝に伸びる。花期は6~7月。果期は7~8月。

6 Gastrodia clausa T.C.Hsu, S.W.Chung et C.M.Kuo ツボミヤツシロラン 蕾八代蘭

 日本(琉球諸島、小笠原諸島)、台湾に分布。
 ハルザキヤツシロランの類似種。2013年に日本にも自生することが報告された。
 多年草、地上性、菌従属栄養(mycoheterotrophic)。根茎は塊茎をつくり、紡錘状円筒形。 長さ2~7㎝×直径3~9㎜、褐色、多数の鱗片と根の毛のような単細胞の毛で覆われている。茎は直立し、細く、薄褐色、高さ3~5㎝×直径2~3mm。花の苞は広卵形~卵形、褐色、長さ5~6mmx幅3~5mm。子房と小花柄は長さ5~10㎜。花は1~5個つき、筒状、濃褐色。花被片は合着し、6花被片の花被筒を形成する。花被筒は完全に閉じ、直径5~6mm、萼片も同様。長さ10~l2mm、花弁と唇弁はその長さの3/5~2/3、外面は密に疣があり、内面は平滑、縁は全縁、先はわずかに凹状。背萼片の自由な部分は広卵形、長さ3.5~4mm×幅4.5~6mm。側萼片の自由な部分は三角形、長さ4~5mmx幅4~5mm。花弁は褐色、卵状三角形、自由な部分は約・長さ3mmx幅3mm、基部はくびれ、縁は全縁。唇弁は花被筒につき、褐色、卵状三角形、長さ3mm×幅3mm、基部はくびれ、縁は全縁。ずい柱は真っ直ぐ、こん棒形、長さ6mmx幅2.8mm、白色で基部が灰褐色を帯び、側面に1対の翼があり、腹面に明瞭な付属体がある。ずい柱の足は不明瞭。側面の翼は赤色、内側に曲がり、縁はずい柱に平行。嘴は無い。柱頭はずい柱の中間よりわずかに下になる。腹面の付属体は赤色、柱頭のすぐ下に生じ、先はずい柱に平行、菱状卵形、長さ3mmx幅2.5mm、先が2裂する。葯は半球形、長さ1mm×直径0.8mm。花粉塊(pollinia)は2個、顆粒状~粉状、多くの分離可能な花粉小塊(massulae)からなり、花粉塊柄(caudicles)と粘着体(viscidium)は無い。蒴果は円筒形、長さ2~3㎝。小花柄は果時に長さ15~40cm。花期は2~3月。果期は3~4月。

7 Gastrodia confusa Honda et Tuyama アキザキヤツシロラン 秋咲八代蘭

  synonym Gastrodia verrucosa auct. non Blume
  synonym Gastrodia confusa f. viridis Suetsugu ミドリヤツシロラン 
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄、小笠原)、朝鮮、中国原産。中国名は八代天麻 ba dai tian ma , 八代赤箭 ba dai chi jian。この種はクヌギタケ属とホウライタケ属の特定の菌種とのみ共生する。そのため、通常の生育地はモウソウチクやマダケなどの竹林に限られるが、まれにスダジイやスギ林にも生える。愛知県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
 多年草、高さ6~15cm。根茎は褐色、倒円錐形または紡錘形、長さ2~4.5㎝[2.5~5㎝×直径4~10㎜]、5~8節があり、各節に8~10個の鱗片がつき、直軟毛がある。花序柄は淡褐色、長さ約13cm以下、数個の鞘[膜質の鱗片]があり、花序軸は短く、密に花が3~10個[2~6個]つく。花の苞は卵形、長さ6~8mm、先は鋭形。花はほぼ直立またはうなずき、逆向きになり、薄褐色または帯黒色[黒褐色]。 小花柄[長さ1㎝以下]と子房は合わせて長さ15~20mm、果時に小花柄は長さ約30[30~45]cmまで伸びる。花被筒は鐘形、長さ11~12mm、外面に疣がある。萼片の自由な部分は内側に曲がり、卵形、長さ3~5.5mm、先は鈍形。花弁の自由な部分はほぼ楕円形、萼片よりもはるかに小さく、基部が厚くなる。唇弁は黄色、単純、卵形、長さ7~8mm×幅約4mm、無毛、基部に爪部があり、縁は不規則な歯状になる。爪部が広く、基部にとさかのようなカルス(crestlike calli)がある。 ずい柱はこん棒形、長さ約4.5mm、ずい柱の翼は 三角形またはほぼ四角形。ずい柱の足(column foot)が明瞭。蒴果は紡錘形、長さ32~35mm[細長い楕円形、長さ2~3.5㎝、直径7~8㎜、暗黄褐色m]。花期は9~11月。[花期は9月下旬~10月、果期は晩秋]。2n=22。(Flora of China, []はレッドデータブックあいち2020)

7-1 Gastrodia confusa Honda et Tuyama f. viridis Suetsugu ミドリヤツシロラン 緑八代蘭

 花被が帯緑色のもの。POWOでは基本種のsynonym。

8 Gastrodia confusoides T.C.Hsu, S.W.Chung et C.M.Kuo ガストロディア・コンフソイデス

  synonym  Gastrodia confusoides var. taitungensis T.C.Hsu & C.M.Kuo
  synonym Gastrodia taitungensis T.C. Hsu, S.W. Chung & C.M. Kuo
 台湾原産。新北市、台北市、台中市に分布する。中国名は擬八代赤箭 ni ba dai chi jian。モウソウチクの植林地および標高600~1200mの広葉樹林に生える。
 完全菌従属栄養性の多年草。一般に9月に開花し、高さ2~5㎝の短い花茎を形成する。受粉が成功すると、花茎は急速に伸び、高さ20~50㎝に達する。受粉後 1か月で蒴果は急速に熟し、10月に裂開して種子が散布される。この完全菌従属栄養性のランの花または蒴果の付いた細長い茎のみが、9~10月にかけて地上で見られる。種子が散布された後、地下の塊茎と根がうまく発達するかどうかは、落葉腐朽菌との菌類の共生に依存する。
 G. confusoidesはG. taitungensisによく似ているが、Hsu et al. (2012) は、G. confusoides と G. taitungensis のいくつかの小さな違いを記載している。現在ではsynonymとされている。この分類群は G. confusa と酷似しており、柱頭の形態のみが異なるとされる。G. confusoides には嘴状突起(rostellum)がなく、柱頭はずい柱の中間より上にある。一方、G. confuse では、よく発達した嘴状突起が見られ、柱頭はずい柱の中間より下にある。
 根は少数で細く、花後に根茎と花序の接合部から発芽することが多い。根茎は塊茎で、紡錘形または円筒形、長さ2~6㎝×幅8~14㎜、黄褐色で、多数の鱗片と根毛のような単細胞の毛および輪生の鱗片で覆われる。鱗片は披針形、淡黄褐色、長さ2~4㎜。花序は直立し、長さ2~5㎝×幅2~4㎜、地下部は淡褐色、地上部は暗褐色で、3~5節があり、筒状の膜質の鞘を持つ。花序軸はしばしば長さ2㎝未満になる。花の苞は広卵形~卵形、帯褐色、長さ5~10㎜×幅4~6㎜。小花柄および子房は長さ10~15mm。花は2~10個つき、鐘形、ほぼ直立し、反転し(resupinate)、幅約12~14㎜。萼片と花弁は合着し、5裂した花被筒を形成する。花被筒は内側でやや不規則に太くなる。萼片は相似で肉質、長さ10~15㎜、長さの約1/2が花弁と合着し、萼片は長さの約1/2が互いに合着する。外面は黄褐色~暗褐色で疣状、内面は緑黄褐色、縁は全縁。背萼片の自由裂片は広卵形、先は微凹形(retuse)、長さ4~5㎜× 8~10㎜。側萼片の自由裂片は半円形、長さ4~5㎜×幅8~10㎜、先は鈍形。花弁の自由裂片は黄褐色で、卵状円形、長さ4.5~5㎜×幅3.5~4.5㎜、基部は狭くなって厚くなり、縁は全縁またはわずかにザラつく。唇弁はずい柱の足につき、黄白色または橙黄色、3深裂し、長さ6~7㎜×幅4~5㎜。唇弁基部(hypochile)には2個のとさか状のカルスがある。唇弁中裂片(mesochile:唇弁の中裂片)は卵形、基部は狭くなり、縁はわずかにザラつきまたは波打つ、ディスク(disc)はわずかに厚くなり、2本の縦の竜骨が唇弁頂端(epichile)の方向に伸びる。上唇は舌状、約・長さ1.5㎜×幅1㎜、わずかに反り返る。ずい柱は真っ直ぐな棍棒形、長さ4~5㎜×幅2.5~3㎜、白色で黄褐色を帯びる。柱頭の足はよく発達する。側翼(stelidia)は黄褐色で、縁はずい柱に対して斜め、先端は葯より下位。嘴状突起は無い。柱頭はずい柱の中間の上に位置する。葯は半球形で、直径約1㎜、花粉塊は2個。蒴果は円筒形で、長さ2~3.5㎝、果時には小花柄は16~40㎝に伸びる。種子は紡錘形、長さ1.7~2.6㎜。花期は9月。果期は9月中旬~10月。

9 Gastrodia elata Blume オニノヤガラ 鬼の矢柄
 日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国、台湾、ブータン、インド、ネパール、ロシア(極東)原産。中国名は天麻 tian ma。英名はTien Ma。別名はテンマ(天麻)。疎な森林、森林の空き地、森林の縁、雑木林の縁に生える。ナラタケ菌と共生する。
 多年草、高さ30~100cm、まれに高さ200㎝までになる。根茎は普通、楕円形、長さ8~12㎝、丈夫、直径3~5(~7)㎝、ときに大きくなり、肉質、密に節があり、節に三角形または広卵形の鱗片がある。花序柄は橙色、黄色、灰褐色、または帯緑色、長さ25~80(~150)㎝、基部に数個の膜質の鞘がある。花序軸は長さ5~30(~50)cm、ほぼ密から密に花が20~50個つく。花の苞は長楕円形、長さ10~16㎜、しばしば子房を超え、膜質、先は尖鋭形。花は直立し、逆向きになり、弱く開き、橙色、淡黄色、青緑色、または黄白色。小花柄と子房は合わせて長さ7~12㎜。花被筒はつぼ形、長さ8~10㎜×幅5~7㎜、側萼片との間に深い切れ込みがあり、基部が膨らみ、外面は平滑。萼片の自由な部分は卵状三角形、長さ3~5㎜、先は鈍形。花弁の自由な部分はほぼ長円形で、萼片よりも小さく、先は鋭形。唇弁は不明瞭に3裂し、長楕円形、長さ6~7㎜×幅3~4㎜、無毛、基部に爪部があり、先の縁は不規則な房状へりになる。爪部は対の凸状の折れ(gibbous foldings)をもつ。ディスク(disk)はパピラがあり、対の肉質の腎形のカルス(reniform calli)をもつ。ずい柱は長さ5~7㎜、ずい柱の足は短い。蒴果は倒卵状楕円形、長さ14~18㎜×幅8~9㎜。花期および果期は5~7月。2n=24, 30, 36。

9-1 Gastrodia elata Blume f. viridis (Makino) Makino ex Tuyama アオテンマ 青天麻

 花だけでなく、全体が緑色の品種。

9-2 Gastrodia elata Blume var. pallens Kitag. シロテンマ 白天麻

  synonym Gastrodia elata Blume f. pallens (Kitag.) Tuyama
 オニノヤガラと同様にナラタケ菌と共生するといわれる。高さ40~80㎝。塊茎は楕円形、長さ約10㎝。茎は円柱状で直立し、花序は長さ10~30㎝。花はほとんど純白色。花期は7~8月。

10 Gastrodia flavilabella S.S.Ying ガストロディア・フラビラベラ
 台湾原産。中国名は夏天麻 xia tian ma。標高1100~1300mの中央山岳地帯の森林に生える。
 根茎は塊茎で水平または稀に直立し、長さ4~10㎝、太さ6~16㎜、珊瑚のような根を多数持つ。茎はしばしば長さ40~70 (30~108)㎝で、離れたところに節があり鞘がある。総状花序は長さ7~25㎝、10~28個の花が緩く付く。苞は小さく、三角状披針形で落葉する。花は筒状で、稀にやや便腹形、半開き、淡黄緑色、幅約0.6㎝。小花柄と子房は長さ約0.6㎝。萼片は基部で合着し、先は3裂し、長さ10~11㎜、外側は平滑、萼片は内側に湾曲し、背萼片は長さの3/4で側萼片と合着し、切れ込みに微細な三角形の歯があり、側萼片は長さの1/2で基部で結合し、先は鈍形。花弁は萼筒につき、広卵形またはほぼ円形、長さ2~3㎜、基部は多少、心形になる。唇弁は倒卵形~倒卵状長円形で、帯黄色、3裂し、長さ6~7㎜×幅5~6㎜、側面は内巻きし、先は円形、基部に向かって鈍い楔形になり、基部は短い爪部があり、爪部には1対の楕円形のカルスがある。ディスク(disc)は基部から中央部にかけてわずかに溝があり、先端近くに2個の大きなピラミッド状の突起がある。ずい柱は半球形、長さ6~7㎜、狭い翼がある。葯は円形で、幅1㎜。柱頭はずい柱の基部近くにある。嘴状突起は外巻きする。蒴果は楕円形で、長さ2.3㎝まで、小花柄ははっきりとは伸びない。2n=26。

11 Gastrodia flexistyla T.C.Hsu et C.M.Kuo ガストロディア・フレキスチラ
 台湾原産。中国名は摺柱赤箭 zhe zhu chi jian。二次林と竹林に生える。種小名はGastrodia属では非常に特異な、強く内向きに曲がった花柱に由来する。
 根は少数で細く、ほとんどが根茎の先端から伸びる。根茎は塊茎になり、紡錘形または円筒形、長さ2~5㎝、直径4~11㎜、黄褐色で、多数の鱗片と根毛のような単細胞毛で覆われる。鱗片は披針形、淡黄褐色、長さ1~3㎜。花序は直立し、長さ3~6㎝、直径2~4㎜、地下部は淡褐色、地上部は暗褐色で、3~5節があり、筒状の膜質の鞘を持つ。花序軸はしばしば長さ2㎝未満である。苞は広卵形~卵形で、帯褐色、長さ4~8㎜×幅3~5㎜。小花柄と子房は長さ10~15㎜。花は1~3(~4)個つき、鐘形、わずかにうなだれ、反転し(resupinate)、約・長さ18~23㎜×直径11~13㎜。萼片と花弁は統合して5裂した花被筒を形成する。萼片はほぼ同形、肉質、長さ19~24㎜、長さの約3/4で花弁と合着し、側萼片は互いに約2/3で合着し、外面は淡褐色で不明瞭な疣があり、縁は全縁。背萼片の自由部分は卵状長方形、先は微凹形、長さ6~7㎜×幅6~7㎜。側萼片の自由部分は卵形、長さ6~7㎜×幅7~8㎜、先は鈍形。花弁の自由部分は淡褐色、卵形、長さ約4㎜×幅2.5㎜、基部は狭くなり厚くなり、縁は全縁またはわずかにザラつく。唇弁はずい柱の足につき、緑白色で先端は帯褐色、長さ6~7㎜×幅4~5㎜。唇弁基部(hypochile)は2個の帯緑色の球形のカルスを持つ。唇弁頂端(epichile)は菱状卵形、基部が狭まり、縁はわずかにザラつきまたは波状になり、厚く、ディスク(disc)の上に 6本のうねが明瞭に現れ、中央の2本のうねは舌状先端に向かって伸びる。ずい柱は3裂し、側裂片は直立し、長さ6~7㎜、中央裂片は強く湾曲している。柱脚はよく発達し、嘴状突起は無い。葯は半球形で直径約1㎜、花粉塊は 2 個、粘着体(viscidium)は小さい。蒴果は円筒形で長さ2~3.5㎝、小花柄は果時に長さ20~40㎝に伸長する。種子は紡錘形で長さ1.5~2㎜。花期は3月下旬~4月上旬。果期は4~5月上旬。

12 Gastrodia flexistyloides Suetsugu ヌカヅキヤツシロラン 額突八代蘭
 日本固有種。鹿児島県竹島で発見された(Phytotaxa 2014)。竹林に生える。
 タケシマヤツシロランによく似ているが、被片の色が本種では淡褐色(淡褐色)であり(タケシマヤツシロランでは黒褐色)、花期がタケシマヤツシロランよりも1~2週間早い。また、ずい柱や唇弁の形態が異なり、ずい柱の中心部分が折れ曲がり、葯帽(花粉塊)と共に柱頭に接着して自動自家受粉するという特徴がある。通常ラン科における自動自家受粉は、花粉塊のみの移動によって起こり、ずい柱ごと柱頭に接着することはなく、このような受粉様式は、これまでには台湾に産する同属の Gastrodia flexistyla でのみ報告され、世界で2例目の発見となる。(参考11)  多年草、地上性、菌従属栄養(mycoheterotrophic)。根はほとんどなく、細く、ときに太く、ほとんどが根茎の頂点から伸びる。根茎は塊茎、紡錘形または円筒形、長さ2~8cm、直径4~12 mm、淡褐色、多数の鱗屑および単細胞の毛で覆われる。花序は直立し、淡褐色、長さ9~18cm×直径3~5 mm、3~4節があり、筒状の膜質の鞘をがある。苞は長さ8mm×幅5mm以下。小花柄と子房は長さ15mm以下。花は1~6個つき、筒状、わずかに上向きまたは下向き、逆さまになり、長さ15~18mm×直径5~6mm。萼片と花弁は統合し、5裂片の花被筒を形成する。花被筒は密閉されているか、または決して開かない。萼片はほぼ似ていて、肉質、長さ15~18㎜、その長さの約3/4が花弁と合着し、側萼片は互いに約2/3が合着し、外面は淡褐色、疣がある。背萼片の自由な部分は卵状四角形、先は小凹形、約・長さ4.5mm×幅4mm。側萼片の自由な部分は卵形、約・長さ4.5mm×幅4.5mm、先は鈍形。花弁の自由な部分は淡橙色、卵形、約・長さ4mm×幅3mm、基部はくびれ、厚くなり、縁はわずかにザラつく。唇弁はずい柱の足につき、淡緑色、約・長さ8~9㎜×幅4~5mm。唇弁基部(hypochile)は2個の帯緑色の球形のカルス(calli)がつく。唇弁頂端(epichile)は菱状卵形、基部がくびれ、ディスク(disc)の上に4~6個のうねがあり、2個の中央のうねが先に向かって伸び、縁はわずかに波打ち、先部分は舌形、赤色、幅約1.5mm。ずい柱は3裂し、側裂片は直立し、長さ約6mm、中裂片は強く内曲する。ずい柱の足はよく発達する。嘴状突起は無い。葯は半球形、直径約1mm、花粉塊(pollinia)は2個。蒴果は円筒形、長さ3~3.5cm。小花柄は果時に長さ30cmまで伸びる。種子は紡錘形、長さ約2mm。花期は3月中旬~4月初旬。果期は4月初旬~5月初旬。

13 Gastrodia fontinalis T.P.Lin トカラヤツシロラン 

  synonym Gastrodia tokaraensis Yokota et Umata was reported from Japan (Yokota & Umata 2001)

 日本(鹿児島県の竹島・黒島)、台湾原産。中国名は春天麻 chun tian ma。竹林に生える。
 竹島で2014年、黒島で2018年に発見された。
 根茎は塊茎になり、屈曲し、虫形、長さ2~4.5cm、太さ0.4~0.7cm、まれに細く円柱形、太さ0.2~0.3cm、環状。茎は高さ6~12cm、直径0.2~0.35cm、離れたところに節があり鞘がある。総状花序には2~5個の花が密集し、苞は長さ3.5cmまで。花は鐘形(やや漏斗形)で、黄褐色、幅1.5~1.8cm、小花柄と子房は長さ1.5cmまで、萼片は長さの3/5が基部で合着し、先は3裂し、長さ15~17㎜、外側は疣状、自由裂片は広がり、凹む。背側の萼片は鈍形で、先は微凹形。花弁は萼筒に付着し、卵形または楕円形で、先は鈍形または鋭形、長さ4㎜以下。唇弁は卵形~菱形、分裂せず、肉質、長さ7~8㎜、幅5~6㎜、先は尾状で、基部には爪部があり、縁は全縁またはわずかに分裂する。ディスク(disc)は浅く凹み、隆起した6~8本のうねがあり、うねは先端近くで高く、爪部には2個のカルスがある。ずい柱はほぼ円筒形で、長さ約8㎜、側面には先端に向かって狭い翼がある。ずい柱の足は目立つ。葯はやや円形で、幅約1㎜。柱頭はずい柱の基部近くにある、嘴状突起は反り返る。蒴果は円筒形で、いぼ状で、暗褐色、小花柄は長くなり、長さ17㎝まで。
13-1 Gastrodia fontinalis T.P.Lin f. albiflora Suetsugu シロバナトカラヤツシロラン 
 白花品種。

14 Gastrodia gracilis Blume ナヨテンマ 弱天麻
  synonym Gastrodia dioscoreirhiza Hayata

  synonym Gastrodia taiwaniana Fukuy. イモネヤガラ(タイワンアケヤガラ)

 日本(本州の千葉県・神奈川県・伊豆諸島・愛知県・静岡県・広島県、四国、九州)、台湾原産。中国名は细天麻 xi tian ma、山赤箭 shan chi jian。常緑広葉樹林やスギやヒノキ植林の林床などに生える。愛知県の絶滅危惧ⅠA類に指定されている。
 多年草、高さ10~60㎝。根茎は褐色、円筒形または円錐形、長さ3~10㎝×直径0.3~2㎝、肉質、直軟毛がある。花序柄は淡黄色、長さ50cm以下、基部に数個[4~5個]の鱗片が散在する。花序軸は長さ3~10㎝、密に花が3~20[5~15]個つく。花の苞は卵形または楕円形、長さ2~4[2.5~3]㎜。花はうなずき、逆さに向き、黄褐色、唇弁は先が橙赤色に染まる。小花柄[4~7mm]と子房は長さ8~15㎜、小花柄は果時に15㎝[5㎝]までに伸びる。花被筒はつぼ形、長さ8~11[6~7]㎜×幅5~7㎜、側萼片との間に深い切れ込みがあり、基部が膨らみ、外面は平滑。萼片の自由な部分は卵形、長さ約2㎜、先は円形で普通3裂する。側花弁2個の自由部分は卵形、萼片よりはるかに短い。唇弁は赤橙色、単純、卵状三角形[三角形]、長さ5~6㎜、基部に爪部があり、縁は波打ち、先は鈍形。爪部は楕円形または亜球形のカルスの対をもつ。唇弁のディスク(disk)には2個の縦の薄膜(lamellae)をもち、わずかにパピラがある。ずい柱は長さ5~6㎜、先に対の半月形の翼をもつ。ずい柱の足は明瞭。葯は円形、長さ約1mm。蒴果は倒卵形または楕円形、長さ20~23mm×幅7~8mm。花期は5~6月[花期は6~7月]。2n=22。(Flora of China, [ ]はレッドデータブックあいち2020))
【津山尚:日本産オニノヤガラ属雑記 (2)の解説】
 腐生性。根茎は毛状または稀に無毛で、普通は退化した鱗片を持ち、長さ3.0~11.0 cm以上。長さ0.3~0.9 cm。茎は直立して細く、長さ10.5~61 cm、4~9個の膜状の基部鞘が緩く並ぶ。総状花序はやや短く、長さ0.5~3.7 cmで、やや密集して3~11個あり、稀に20個を超える花がつく。花は水平にうなだれるか、またはやや垂れ下がり、鐘形、淡褐色、子房を除いて長さ約10 mm、苞は小花柄よりかなり短く、卵形または楕円状卵形、鈍形、長さ2.0~4.0 mm。小花柄は子房より長く、細く3,0~5.5mm、糸状で長さ5~15mm、直径0.3~0.5mm、最下端が最も長く太く、花後に急速に伸長して太くなり、成熟した果実では長さ1.1~2.3cm、直径0.5~1.0mmに達する。萼片筒部は下側の基部がわずかに膨らみ、口部で3裂し、下側の窪みは最も深く、筒部全長の1/4~1/3に達する。萼片はほぼ等形で、非常に鈍形、縁が不規則にわずかに波打ち、先端は尖端化し、3脈がある。脈は上方へほとんど分岐せず、萼片の先端から背側の中脈に沿って短い距離にやや疣がある(verruculose)。(側)花弁は非常に小さく、萼片筒(花被筒)の頂部下方に付く。萼片だけで筒状になる場合もあれば、花弁の基部がはさまって筒状になる場合もある。花弁は小卵形でわずかに不均等で下方に湾曲し、縁は波打つ。唇弁は唇弁基部(hypochile)を除いて長さ約6mm、広卵形で先は尖頭形で鈍形、唇弁頂端(epichile)は縁全体が上下に強く微細に波打ち、特に中間部が強く、先端から下方に2枚の顕著な薄膜(lamellae)があり下方に走って小さくなり、5脈がある。唇弁基部(hypochile)は線形、わずかに内側に曲がり、中央部両側に直径0.8mmの球形の疣のあるカルスがある。ずい柱は真っ直ぐで前方両側に狭く翼があり、基部近くにU字形の窪み(柱頭)がある。子房は長さ3mmのこま形、基部は漸尖する。蒴果は広楕円形、長さ約1.5㎝、押したときの厚さ約0.5㎝。杉野の観察によれば、花茎は非常にもろく、軽く触れただけでも簡単に折れてしまう。この傾向は蕾のときにはさらに強い。この植物は、自然環境では、通常、3~5 株の群れで、または単独で生育している。6月27日から29日にかけて満開となり、7月10日には蒴果が完全に成熟し、細かい種子を放出しているのが観察される。花の後、母塊茎の上部近くから糸状の匍匐茎が数本出てくる。この事実は、H. Burgeff が1932年に著した「Saprophytismus und Symbiose」でこの属の他の種について述べたこととよく一致する。

15 Gastrodia javanica (Blume) Lindl. コンジキヤガラ 金色矢柄
  synonym Gastrodia stapfii Hayata
 日本(琉球諸島・西表島)、中国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ原産。中国名は南天麻 nan tian ma。林内に生える。
 多年草、高さ20~80㎝。根茎は円筒形、ほぼ円柱形、長さ3~15㎝×直径約1㎝、肉質、密に節がある。花序柄は鈍褐色で、長さ60㎝以下、基部に鱗片が散在する。花序軸は長さ5~20㎝、緩く、花が4~18個つく。花の苞は三角形、長さ3~4㎜。花は広がり、逆さ向きににならず、淡黄色を帯びたベージュ色から黄緑色、唇弁は基部が黄緑色、先が黄色に染まる。小花柄と子房は長さ5~6㎜。小花柄は果時に伸びない。花被筒はつぼ形、約・長さ10㎜×幅13㎜、側萼片との間の切れ込みはほぼ基部まで伸び、基部が膨らみ、外面は平滑。萼片の自由部分は広卵状円状、長さ2.5~3㎜、先は鈍形。花弁の自由部分は卵形、萼片よりわずかに小さく、先は鈍形。唇弁は花被筒の深い切れ込みにより露出し、単純、菱状卵形、長さ5~7㎜×幅5~6㎜、無毛、基部に爪部があり、縁は内巻き、先は鋭形。爪部は長さ3~4mm、1対のカルスがつく。ディスク(disk)はしわがあり、厚くなる。ずい柱は長さ6~8㎜、狭い翼が1対つき、黄白色。ずい柱の足は明瞭、長さ約3㎜。葯は卵形。蒴果は円筒形、長さ約20㎜。 花期は6~7月。2n=36。

15-1 Gastrodia javanica (Blume) Lindl. f. thalassina Yokota ヒスイヤガラ 

 藍緑色を強く帯びた花をつける。

16 Gastrodia kuroshimensis Suetsugu クロシマヤツシロラン 黒島八代蘭
 日本固有種。黒島山、悪石島、屋久島に分布する。鹿児島県三島村黒島で発見された。(2016年)
 多年草、地上性、高さ8~17cm、菌従属栄養(mycoheterotrophic)。根は少なく、細く、開花期後の根茎と花序の接合部から発芽することが多い。根茎は塊茎、紡錘形または円筒形、長さ3~11cm×直径4~14mm、黄褐色、多数の鱗片および根の毛に似た単細胞の毛で覆われる。花序は直立し、淡褐色、長さ8~17cm×直径2.5~5mm、3~4節があり、筒状の膜質の鞘がある。苞は卵形で、長さ6㎜×幅4mm以下。小花柄と子房は長さ15mm以下。花は1~4個つき、筒状、わずかに上向き、逆さになり、長さ11~13mm×直径約7mm。萼片と花弁は統合し、5裂片の花被筒を形成する。花被筒は閉じているかまたはほとんど開いていない。萼片はほぼ等形、長さ11~13mm、その長さの約2/3が花弁と合着し、側萼片はその長さの約3/5が互いに合着し、外面は暗緑褐色、密に疣があり、内面は淡緑褐色、平滑、縁は全縁。背萼片の自由部分は卵状三角形、小凹形、約・長さ5mm×幅5mm。側萼片の自由部分は広がり、先は鈍形。花弁の自由部分は、卵形または楕円形、長さ4~5mm、幅約2mm。唇弁は花被筒と結合し、長さ約10mm、唇弁基部(hypochile)は赤褐色、2個の白色の退化した平滑なカルスがある。唇弁頂端(epichile)は赤褐色、卵状楕円形、基部はくびれ、ディスク(disk)は2~4うねがあり、縦の竜骨が先に向かって伸び、縁はわずかに波打つ。ずい柱は真っすぐ、半円筒形、長さ約7mm×幅2~2.5mm、白色で基部が灰褐色を帯び、側翼(stelidia)は褐色で狭く、縁はずい柱に平行、基部は内曲し、先は鋭形。嘴状突起(rostellum)は退化する。柱頭は中間よりわずかに上に位置する。葯帽(anther cap)はずい柱につながり、半球形、直径約1mm、花粉塊(pollinia)は2個。蒴果は円筒形、長さ約3㎝。小花柄は果時に約30㎝に伸びる。種子は紡錘形、長さ約2mm。花期は4月中旬~5月中旬。果期は5月中旬~5月下旬。

17 Gastrodia nantoensis T.C.Hsu et C.M.Kuo ex T.P.Lin ガストロディア・ナントエンス

 台湾原産。中国名は南投赤箭 nan tou chi jian。台湾の南投県の中北部の山岳地帯に生える。
 Gastrodia nantoensisとGastrodia appendiculataは同じ地域に分布し、よく似ており、開花期(9~10月)も重なっている。以下の特徴により区別できる。
特徴 G. appendiculata G. nantoensis
ずい柱の付属肢
唇弁 極短いずい柱の足につく 花被につく
唇弁爪部のカルスCallus かなり小さくなる 爪部とカルスは無い
花被 側萼片はほぼ分離 側萼片は長さの1/2が合着
花被の腹側 膨れる 平ら

 台湾の柳氏赤箭(Gastrodia leoui)、擬八代赤箭(G. confusoides)、臺東赤箭(G. taitungensis)、無蕊喙赤箭(G. appendiculata)、及び南投赤箭(G. nantouensis)はいずれも日本産のアキザキヤツシロラン=八代赤箭(G. confusa)に形態が非常に近いため、これらを総称して「八代赤箭種群」と呼ばれる。これらの種は、およそ9月から10月に開花する。花被筒は長さ10~15㎜の釣鐘形で、雄しべは幅広で短い棒状。近縁種間では唇弁と雄しべの構造が異なる。 柳氏赤箭(Gastrodia leoui)、擬八代赤箭(G. confusoides)、臺東赤箭(G. taitungensis)の唇弁はいずれも三角状卵形で、先は舌状で、先端近くに一対の短い隆起がある。柳氏赤箭(Gastrodia leoui)の花冠筒の内側には不規則な突起が多数あり、側萼片は上萼片より幅が広く、唇弁は橙色、ずい柱の先端には嘴がよく発達しており、柱頭は中間にある。擬八代赤箭(G. confusoides)の側萼片と上萼片の幅はほぼ同じ、唇弁は淡黄色、ずい柱の嘴は退化、柱頭はずい柱の先端の近くにある。臺東赤箭(G. taitungensis)は擬八代赤箭(G. confusoides)とよく似ているが、花被筒が若干狭く、唇弁基部の肉質の突起が小さく、表面に蜜腺がなく、ずい柱も若干狭くて長い。無蕊喙赤箭(G. appendiculata)と南投赤箭(G. nantouensis)は両方とも唇弁が小さく、基部は花被筒と合着し、先端は丸く鈍く、表面は隆起がなく平滑。このうち、無蕊喙赤箭(G. appendiculata)の唇弁基部の肉質突起は退化し、微細な突起があり、ずい柱の腹側には大きな舌状の付属体がある。 一方、南投赤箭(G. nantouensis)は唇弁の基部の肉質の突起は完全に退化して消失し、ずい柱には腹側に付属体がない。現存する観察記録によると、擬八代赤箭(G. confusoides)と南投赤箭(G. nantouensis)は中北部の山岳地帯に点在し、擬八代赤箭(G. confusoides)は南投県~嘉義市にかけての地域に集中しており、無蕊喙赤箭(G. appendiculata)と臺東赤箭(G. taitungensis)はそれぞれ南投と台東でのみわずかに見られ、非常に少数である。

18 Gastrodia nipponica (Honda) Tuyama ハルザキヤツシロラン 春咲八代蘭

  synonym Gastrodia foetida Koidz.
  synonym Didymoplexis nipponica Honda 八代蘭
本州(東海地方以西)、四国、九州、琉球列島、伊豆諸島本州(和歌山県)、台湾に分布。常緑広葉樹林下の生える。
 多年草、高さ3~7㎝、寄生植物、葉状体が欠如し、全体的に褐紫褐色、無毛、塊茎の根茎をもち、塊茎は紡錘形、長さ10~30㎜×幅10~13㎜、2~3個の連続した数珠形。花茎は直立し、長さ3~7㎝(果期には長さ30~40㎝に伸びる)、円柱形、2~3節があり、節に1個の鱗片を備え、鱗片は丸みのある三角形、長さ6㎜、膜質。総状花序は頂生、花が1~2個、まれに3個、各花に1個の苞がつく。苞は広卵形または倒卵形、長さ5~7㎜。花は開出し、鐘形、中心が褐紫色、長さ15(15~17)㎜×幅7~8㎜、子房と小花柄は長さ7~8㎜。背萼片は細長い長円形、長さ12~15㎜×幅7~8㎜、先は円形、下部は花弁と合着する。側萼片は後側に1つずつあり、それぞれが基部から中間まで内側が合着し、上側の自由部分は先が丸みを帯びた鈍形。花弁は側萼片に似ているが、短い(花弁は微細な卵形)。唇弁は卵状楕円形、先は丸みを帯びた鈍形、長さ6~7㎜×幅4㎜、縁は波打ち、中央に3列の薄板がある(唇弁は先が卵形、基部は狭くなり、左右にこぶ状突起(カルス)があり、中間で狭くなり、2本の隆起線が縦方向の先で収束する)。ずい柱は長さ7㎜。蒴果は長円形、長さ2~3㎝×幅5~9㎜、6個のバルブに裂開する。種子は小さい。花期は4~5月。2n=24。(参考5)

19 Gastrodia nipponicoides Suetsugu ヤンバルヤツシロラン 山原八代蘭
 日本固有種。沖縄本島、奄美大島に分布。常緑広葉樹林下に生える。
 ハルザキヤツシロラン(G. nipponica)に似るが、花は筒状で白色の疣が目立つ。嘴が無く、唇弁の隆起が少ない。
 多年草、高さ3~6㎝、地上生の菌従属栄養植物。塊茎は紡錘形~円柱形、斜上し、長さ2~5㎝×直径3~9mm、黄褐色、表面に単細胞の毛が密にある。花茎は直立し、円柱形、高さ3~6㎝×直径約3mm、花が1~4個つく。花は筒状、やや上向きか下向きにつき、長さ15~17㎜×直径8~9㎜、黒褐色、表面に多数の白色の疣がある。萼片と花弁は統合し、5裂片の花被筒を作る。萼片と花弁はその長さの3/4まで合着し、背萼片と側萼片の自由部分は卵状三角形、約・長さ4㎜×幅4mm、背萼片の先は鈍形、側萼片の先は鋭形。萼片の間につく花弁の自由部分は卵形、長さ2.5~3mm×幅2~2.5㎜。唇弁は長さ約10mm。ずい柱は円柱形、長さ7~8㎜、白色。葯は直径1~1.5㎜。小花柄は果時に20~30㎝に伸びる。蒴果は円柱形、長さ約3㎝。花期は3~4月。

20 Gastrodia okinawensis Suetsugu Gastrodia okinawensis ツツザキヤツシロラン 筒咲八代蘭

 日本固有種。南西諸島(沖縄本島)に分布。別名はオキナワヤツシロラン。 山地のやや湿り気のある常緑樹林下に生える。
 ツツザキヤツシロランはタケシマヤツシロラン(G.takeshimensis)に似ているが、花に裂け目があり中が見え、花被筒が淡色、ずい柱が長さ10㎜と長い(タケシマヤツシロランは7~8㎜)。
 高さ10~17㎝。地上生の菌従属栄養植物。根はわずかで、細く、根茎との接合部や開花期後の花序から発生する。根茎は塊茎、紡錘形~円柱形、長さ20~60㎜×幅3~10㎜、黄褐色、多数の鱗片や根の毛状の単細胞の毛で覆われる。花序は直立し、青白い淡褐色、長さ10~17cm×直径2.5~4.0cm、3~4節あり、筒状で膜質の鞘がある。苞は卵形、約・長さ6×幅4㎜。小花柄と子房は長さ約10㎜。花は1~4個つき、淡褐色、筒状で上向き~下向きになり、長さ18~21㎜×直径6~8㎜。萼片と花弁は統合し、5裂片の花被筒を形成する。萼片はほほ等形、長さ18~21㎜、背萼片はその長さの約4/5の部分が花弁と合着し、側萼片は互いにその長さの約4/5が合着し、青白い淡褐色で外面に多数の白色の疣があり、縁は全縁またはわずかに波打つ。背萼片の自由部分は卵状~三角形、鈍頭、約・長さ5㎜×幅5㎜、側萼片の自由部分は、三角形、鋭頭、約・長さ5㎜×幅5㎜。花弁の自由部分は卵形~楕円形、約・長さ3.0㎜×幅2.5㎜。唇弁は花被筒と結合し、長さ約10mm、唇弁基部(hypochile)は青緑色、付属体やカルスは何も無い。唇弁頂端(epichile)は青緑黄色~白赤橙色、長円形、基部で狭くなる。ディスク(disk)は中央の2本のうねが先に向かって伸び、縁はわずかに波打ち、頂部は舌状、赤橙色、幅約1.5㎜。ずい柱は直立し、半円筒形、長さ約10㎜×幅2.0~2.5㎜、白色。側翼(steridia)は明瞭で、縁は花柱と平行、基部でわずかに曲がり、先端は鋭形。嘴状突起は無い。葯は半球形、直径1.0~1.5㎜。花粉塊は2個。蒴果は円柱形、長さ約3cm、小花柄は果時に約20~30cmに伸びる。種子は紡錘形、長さ約2㎜。花期は4月中旬~5月。

21 Gastrodia peichatieniana S.S.Ying ガストロディア・ペイチャティエニアナ

  synonym Gastrodia autumnalis T.P.Lin
 台湾中部および北部原産。中国名は北插天天麻 bei cha tian tian ma。標高900~1500mの森林に生える。この種は花弁状の唇弁を持ち、Gastrodia menghaiensis などの種のペロリック形(peloric form)である可能性が高い。
 高さ10~40㎝。根茎は長さ1.8~2.6㎝、直径0.5~0.8㎝、肉質で絨毛がある。花柄は淡白褐色、長さ20~32㎝、3~4節があり、基部に数個の鞘がある。鞘は持続しない。花序軸は長さ1~6㎝、ほぼ密に2~8個の花がつく。花の苞は淡褐色、狭長円状卵形、長さ2.5~4㎜、先は鋭形。花は直立し、反転せず、大きく開かず、白色、ときに褐色を帯びる。小花柄と子房は白色で、淡褐色を帯び、長さ7~9㎜。小花柄は果時になると長くなる。花被筒は円筒形で長さ5~8㎜、細く、側萼片の間に深い湾入がなく、外面は平滑。萼片の自由部分は三角形、長さ0.8~1.5㎜、縁はカリカリに縮れる。花弁の自由部分は楕円形またはほぼ円形で、萼片より小さく、縁はカリカリに縮れる。唇弁はその長さの大部分で花被筒と合着し、先端部分のみが自由である。唇弁の自由部分は側萼片間の湾入に突出し、単純で卵形で、わずかに凹み、小さく、無毛で、ときに無い。柱頭は長さ4~6㎜、基部に向かって腹面に腺点がある。ずい柱の翼は幅1~1.5㎜。ずい柱の足は短い。蒴果は楕円形、長さ20㎜以下。花期は10月。

22 Gastrodia pubilabiata Y.Sawa クロヤツシロラン 黒八代蘭
  synonym Gastrodia hiemalis T.P.Lin
 日本(本州の関東以西、四国、九州)、台湾原産。中国名は冬天麻 dong tian ma。スギ林や竹林に生える。
。  多年草、高さ2~5cm。 根茎はほぼ円筒形から紡錘形、長さ3~5(~10)cm。花序柄は暗褐色、密に多数の節がある。花序軸は非常に短く、花が1~3個つく。花の苞は広卵形、長さ3~4mm。花は直立し、逆さになり、大きく開き、褐色。小花柄と子房は暗褐色、長さ10~12㎜、パピラがある。小花柄は果時に50cmまでに伸びる。花被筒は鐘形、長さ約15㎜、外面は平滑。萼片の自由部分は広がり、長さ約5㎜、先は鈍形~円形。花弁の自由部分は、卵形~ほぼ円形、萼片よりはるかに小さい。唇弁は単純~不明瞭に3裂し、広卵状菱形、約・長さ5㎜×幅6.5㎜、基部に短い爪部があり、先は鋭く尖る。爪部は約・長さ1.5㎜×幅3.3㎜、柄のある球形のカルスの対をもつ。ディスク(disk)は白色の毛があり、唇弁の先近くに2個の小さな薄板(lamellae)がある。ずい柱は長さ約6㎜、幅の狭い翼があり、ずい柱の足が明瞭、ほぼ球形のカルスの対をもつ。蒴果は長さ20~35㎜。花期は12月

22-1 Gastrodia pubilabiata Y.Sawa f. castanea Fukunaga et S.Sawa ベンガラヤツシロラン 

 花や果実がベンガラ色(赤褐色)になる。

23 Gastrodia shimizuana Tuyama ナンゴクヤツシロラン 南国八代蘭
 日本(奄美大島、沖縄島、西表島)、台湾原産。中国名は叉脊天麻 cha ji tian ma。常緑樹林に生える。
 特徴は1)花色が黄褐色である。2)唇弁の毛が疎である。3)唇弁の色がオレンジ色~クリーム色である。4)ずい柱の長さが唇弁よりも短い。
 多年草、高さ2~5cm。根茎は円筒形、長さ5~9㎝×直径0.5~0.8㎝、節に三角形の鞘があり、まばらに毛がある。花序柄は暗褐色、長さ約4㎝、基部に数個の短い筒状鞘がある。花序軸は長さ1~1.5㎝、密に花が1~4個つく。花の苞は広長円状卵形、長さ5~7㎜、子房より短く、先は尖鋭形。花はほぼ直立または広がり、逆さになり、黄褐色、直径15~18㎜。小花柄と子房は長さ8~10㎜、短いパピラがある。小花柄は果時に伸びる。花被筒は鐘形、外面に疣がある。萼片の自由部分は広がり、広卵形、長さ4.5~6㎜×幅5~6.3㎜、縁は全縁または縮れ、先は鈍形。花弁の自由部分が広がり、円形~広卵形、長さ3~3.5㎜×幅3~3.5㎜、縁は全縁または縮れ、先は鈍形。唇弁は3裂し、基部は橙褐色、先に向かって淡いクリーム褐色を帯び、三角状卵形、長さ5~6㎜×幅5.5~6.5㎜、基部に爪部がある。側裂片はほぼ円形~三角形、長さ3.2~3.5㎜×幅4.8~5㎜、先は鋭形~鈍形。中裂片は長円形、長さ2~2.1㎜×幅約1㎜、先は鈍形~切形。爪部は四角形または広倒卵形、長さ2.5~2.8㎜、対の球形のパピラのあるカルスがつく。ディスク(disk)は側裂片にパピラがあり、中裂片の下に2つの浅い薄片に分岐する中央の肉質の竜骨がある。ずい柱は長さ4~5㎜、ずい柱の翼は切形、内曲する。葯は卵形、長さ1.3~1.5㎜。ずい柱の足は明瞭、唇弁の基部の付け根に丸い1対のカルスがある。蒴果は円筒形。花期は2~3月。

24 Gastrodia sui C.S.Leou, T.C.Hsu et C.L.Yeh ガストロディア・スイ

 台湾原産。中国名は屏东天麻 píng dong tian ma, 蘇氏赤箭 su shi chi jian。標高500~700mの恒春半島の山岳地帯に生える。
 草丈が低く、小花柄が果時に著しく伸び、花序よりも著しく長い。花は白色から淡赤褐色系。
 緋赤箭(Gastrodia callosa)と蘇氏赤箭(Gastrodia sui)は似た形状を持つ。花被筒は楕円形で非常に肥厚し、開口部が非常に小さく、内側に大きな明るい赤色の斑点がある。 2 種の主な区別点は、緋赤箭(Gastrodia callosa)には側萼片の内側に赤い斑点が2個だけあるのに対し、蘇氏赤箭(Gastrodia sui)には上萼片、側萼片、萼片の内側に赤い斑点が5個ある。花被筒や唇弁の形態も微妙に異なる。緋赤箭(Gastrodia callosa)は台湾の蘭島にのみ生息し、生息数は多いが、ほとんどが落ち葉に隠れて見つけにくい。蘇氏赤箭(Gastrodia sui)は恒春半島の山岳地帯に分布するが、生息数は極わずかであり、絶滅する可能性がある。どちらの種も開花期は6~7月。
25 Gastrodia takeshimensis Suetsugu タケシマヤツシロラン 竹島八代蘭
 鹿児島県鹿児島郡三島村竹島で発見された種。竹林に生える。
 (1) 花筒が開かない (2) 唇弁の基部が花筒に合着し、さらに通常、唇弁の基部に見られる瘤状の付属器官を持たない (3) 花筒が細長い (4) 開花時期の背が高い、などの特徴から容易にハルザキヤツシロランとの違いを識別できる。
 多年草、地上性、高さ8~17㎝、菌従属栄養(mycoheterotrophic)。根は少なく、細く、たまに太く、ほとんどが根茎の先から伸びる。根茎は塊茎、紡錘状または円筒形、長さ2~9㎝、直径3~14mm、淡褐色、多数の鱗片および単細胞の毛で覆われる。花序は直立し、淡褐色、長さ7~16㎝×直径2~3.5mm、3~4節があり、筒状膜質の鞘がある。苞は長さ3.5mm×幅3㎜以下。小花柄と子房は長さ15mm以下。花は1~4個つき、筒状、わずかに上向きまたは下向き、逆さまになり、長さ16~20㎜×直径6~7㎜。萼片と花弁は統合して、5裂片の花被筒を形成する。萼片はほぼ等形、肉質、長さ16~20㎜、その長さの3/4が花弁と合着し、側萼片は互いに約2/3が合着し、外面は暗褐色、いぼがあり、縁は全縁。背萼片の自由な部分は、真っすぐ、卵状三角形、小凹形、約・長さ5㎜×幅5mm。側萼片の自由な部分は三角形、小凹形、先は鋭形。花弁の自由な部分は卵形または楕円形、長さ3.5㎜×幅2mm以下。唇弁は花被筒と結合し、長さ約10mm、唇弁基部(hypochile)は淡緑色、付属体やカルスは何も無い。唇弁頂端(epichile)は赤橙色、卵状楕円形、基部が狭まり、ディスク(disk)は2~4うねがあり、中央の2本のうねが先に向かって伸び、縁がわずかに波打ち、先部は舌状、赤色、幅約1.5mm。ずい柱は真っすぐ、半円筒形、長さ7~8mm×幅約2㎜、白色。側部の歯状の突起(stelidia)は明瞭、狭く、縁はずい柱に平行、基部はわずかに角(かど)があり、先は鋭形。嘴状突起は小さく、ずい柱の中間にある。柱頭は基部に位置する。葯は半球形、直径1~1.5mm。花粉塊は2個。蒴果は円筒形、長さ3~3.5cm。小花柄は果時に約30㎝までに伸びる。種子は紡錘形、長さ約2mm。花期は4月中旬~5月中旬。果期は5月中旬~5月下旬。

26 Gastrodia theana Aver. ガストロディア・テアナ
 台湾、タイ、ベトナム原産。中国名は短柱赤箭 duan zhu chi jian。標高約1000mの広葉樹林の腐植土や道路脇の斜面に生える。
 陸生の塊茎を持つ無葉の多年草。塊茎は肉質で紡錘状円筒形~筒形、長さ2~4cm、直径0.5~0.8cm、毛があり、披針形の鱗片で覆われ、先で根を張る。花序柄は真っ直ぐまたはわずかに湾曲し、白色~黄褐色になり、高さ2~8㎝、直径2~3㎜、2~3個の鞘のある苞を持ち、苞は卵状長円形、長さ5~6㎜、先は鈍形または鋭形。花序は頂生の総状花序であり、総状花序は長さ5~10㎜、2~8個の花をつける。花の苞は白色~黄褐色になり、卵状長円形、長さ4~6㎜×幅2~3㎜、先は鋭形。子房は長さ3~3.5㎜、小花柄は長さ3~4.5㎜。花は白色から黄褐色に変わり、ほとんど開かず、弓形で、腹側からわずかに平らになる。萼片は長さ16~20㎜、外側には疣があり、背側に8本の縦溝があり、腹側に1~2本の溝があり、先は非常に肉質で基部に向かって細くなり、背側の萼片は基部から長さの9/10で側萼片と合着し、側萼片は基部から長さの1/4~1/3で互いに合着する。萼片の自由部分は先端が内側に湾曲する。花弁は背側と側萼片の間の切れ込み近くにあり、長円形、約・長さ2.7㎜×幅1.4㎜、上面は質が薄く、肉質で便腹形またはまれに平らになり、両面とも無毛。唇弁は形や長さが変化する。弁部は楕円状卵形または披針形で、基部は心形または切形、先は鋭形または尖鋭形で、長さ3~7㎜×幅2~2.5㎜、縁に沿って細かい小歯がある。ディスク(disk)は中央部が縦方向にわずかに隆起し、唇弁の先端の半分まで中肋に沿って 2個の隆起した突起があり、弁部の縁の半分まで外側の縦隆起が2本ある。爪部は細長く、膝状関節があり(geniculate)、長さ0.6~1.2㎜、基部に球形または楕円形のカルスが2個ある。ずい柱は短く、隠れていてほとんど見えず、白色、長さ約4㎜×幅約2㎜、側面に長い歯状の突起=側翼(stelidia:ずい柱の両側につく別個の腕または突起)が2個ある。歯状の突起=側翼(stelidia)はずい柱の先端で突出し、葯の下で内側に曲がる。嘴状突起(rostellum)と葯鞘(clinandrium;雄しべを収納している部位)はない。葯は半球形で、直径1㎜。花粉塊は薄黄色、長さ約0.6㎜、柱頭は円形で、ずい柱の基部近くに位置する。蒴果は線状楕円形、長さ1.5~3㎝、果時には小花柄が長さ20~30㎝に伸長する。

27 Gastrodia uraiensis T.C.Hsu et C.M.Kuo タブガワヤツシロラン 椨川八代蘭

 日本(屋久島)、中国、台湾原産。中国名は乌来天麻 wu lai tian ma。常緑広葉樹林に生える。
 多年草、地上性、高さ2~6㎝、菌従属栄養(mycoheterotrophic)。根茎は塊茎、紡錘形または円筒形、長さ3~9㎝×直径5~9㎜、黄褐色、多数の鱗片で覆われる。葉は無い。花序は直立し、淡褐色、長さ2~6㎝×直径2~3㎜。苞は長さ約4㎜。小花柄と子房は長さ6~10mm。花は1~5個つき、鐘形、わずかにうなずき、またはわずかに上向きに傾き、逆さになり、長さ約13㎜×直径約8㎜。萼片と花弁は統合し、5裂片の花被筒を形成する。萼片はほぼ等形、肉質、長さ11~13㎜、花弁の長さの約2/3が合着し、側萼片は互いにその長さ約3/5が合着し、外面は暗褐色、わずかに疣があり、縁は全縁。背萼片の自由な部分は真っすぐで、卵状三角形、小凹形、約・長さ5㎜×幅5㎜。側萼片の自由部分は広がり、先は鈍形。花弁の自由部分は卵形または楕円形、長さ約3㎜×幅1.5~2㎜。唇弁はずい柱の足につき、長さ6~7㎜×幅2~2.5㎜。唇弁基部(hypochile)には2個の橙色の球形のカルスがつく。唇弁頂端(epichile)は基部が橙色、中間が緑白色、先が暗赤色、卵状三角形、基部が狭まり、部分ごとに4本の隆起したうねがあり、2本のうねが舌状の先まで伸びる。ずい柱は真っすぐで、円柱形、長さ6~7㎜×幅2㎜、白色で基部は赤褐色を帯びる。ずい柱の足はよく発達する。側翼(steridia)は狭く、赤色、縁はずい柱に平行で、先は鋭形。嘴状突起は長さ約0.7㎜。柱頭は基部に位置する。葯は半球形、直径約1㎜。花粉塊は2個。

28 ハイブリッド

(1) Gastrodia x nippouraiensis Suetsugu et T.C.Hsu  ヒメハルザキヤツシロラン 

 ハルザキヤツシロラン×タブガワヤツシロラン

参考

1) Flora of China
 Gastrodia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113305
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Gastrodia
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:29530-1
3) World Flora Online
 Gastrodia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000015373;jsessionid=33D19AD7486879E5122E5663CEE79599
4) Bot. Mag. (Tokyo) 1939年 53 巻 625 号 1-7(1939)
 Gastrodia boninensis TUYAM
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/53/625/53_625_1/_pdf/-char/ja
5) Bot. Ma.g. Tokyo 46巻:544号 p168 (1932)
 On a New Species of Didymoplexis - Didymoplexis nipponica HONDA
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/46/544/46_544_168/_pdf/-char/ja
6) 植物研究雑誌 Journ. Jap. Bot. 31巻3号 p.77-83(1956)
 津山尚:日本産オニノヤガラ属雑記 (2)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/41/11/41_41_11_5455/_pdf/-char/ja
7) 植物研究雑誌第 41巻 第 11号Journ. Jap. Bot. Vol.41 No.11 (1966)
 津山 尚・杉野孝雄:日本産オニノヤガラ属雑記 (3)
 4) Gastrodia gracilis Bl.の生植物の発見について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/41/11/41_41_11_5455/_pdf/-char/ja
8) World Checklist of Vascular Plants
 Gastrodia
https://wcvp.science.kew.org/
9) Acta Phytotax.Geebot.64 (3):155-158(2013)
 FirstRecord of the Mycoheterotrophic Plant Gastrodia clausa
 (Orchidaceae) from Okinawa Island,Ryukyu Islands,Japan
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/64/3/64_KJ00008918925/_pdf/-char/ja
10) Ann.Bot. Fennici 50: 375-378 2013
 Gastrodia takeshimensis (Orchidaceae) a new mycoheterotorophic species from Japan
 鹿児島県三島村で発見されたタケシマヤツシロラン
https://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/131107_1.htm
http://www.sekj.org/PDF/anb50-free/anb50-375.pdf
11) Taiwania, 59(4): 383‒ 386, (2014)
 First record of the mycoheterotrophic orchid Gastrodia fontinalis
 (Orchidaceae) from Takeshima Island, the Ryukyu Islands, Japan
https://www.researchgate.net/publication/286811662_First_record_of_the_mycoheterotrophic_orchid_Gastrodia_fontinalis_Orchidaceae_from_Takeshima_Island_the_Ryukyu_Islands_Japan
12) Acta Phytotax. Geobot. 66 (3): 193–196 (2015)
 First Record of the Mycoheterotrophic Orchid Gastrodia uraiensis
 (Orchidaceae) from Yakushima Island, Japan
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/66/3/66_KJ00010115704/_pdf/-char/ja
13) Phytotaxa 278 (3): 265–272 (2016) 
 Gastrodia kuroshimensis (Orchidaceae: Epidendroideae: Gastrodieae),
 a new mycoheterotrophic and complete cleistogamous plant from Japan
 咲かない花をつける新種のラン科植物 「クロシマヤツシロラン」を発見
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2016_10_13_01.html
14) Acta Phytotax. Geobot. 69 (3): 203–208 (2018)
 A New Record of Gastrodia albida T. C. Hsu & C. M. Kuo
 (Orchidaceae) from Yaku Island, Japan
 鹿児島県三島村竹島で発見されたヌカヅキヤツシロラン
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/69/3/69_201804/_pdf
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchresearch_results2015documents150505_201.pdf
15) J. Jpn. Bot. 91(6): 358–361 (2016)
Kenji Suetsugu: New Locality of the Mycoheterotrophic Orchid Gastrodia fontinalis from Kuroshima Island, Kagoshima Prefecture, Japan
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_091_358_361.pdf
16) Phytotaxa 413 (3): 225–230 (2019) 
 Gastrodia amamiana (Orchidaceae; Epidendroideae; Gastrodieae),
 a new completely cleistogamous species from Japan
 咲かないラン「アマミヤツシロラン」を発見
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2019_08_02_01.html
17) 植物地理・分類研究 68(1): 43-45 (2020)
 ナンゴクヤツシロラン(ラン科)を奄美大島に記録する
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chiribunrui/68/1/68_0681-05/_pdf
18) Flora of China Volume 25.doc
 Glossary of botanical terms used in the Orchidaceae
http://flora.huh.harvard.edu/FloraData/002/Vol25/FOC_25_Glossary.pdf
19) Taiwania, 55(3): 243-248, 2010
Supplements to the Orchid Flora of Taiwan (IV): Four Additions to the Genus Gastrodia: Gastrodia flexistyla , Gastrodia uraiensis , Gastrodia callosa , Gastrodia nipponica
https://www.researchgate.net/publication/266440757_Supplements_to_the_Orchid_Flora_of_Taiwan_IV_Four_Additions_to_the_Genus_Gastrodia#pf4(1).pdf
20) Taiwania, 57(3): 271-277, 2012
 Supplements to the Orchid Flora of Taiwan (VI)- Gastrodia confusoides
https://taiwania.ntu.edu.tw/pdf/tai.2012.57.271.pdf
21) 臺灣博物季刊 128 34卷.64-69 (2015)
 小隱於林-臺灣的赤箭屬植物 The Genus Gastrodia in Taiwan
https://mocfile.moc.gov.tw/ntmhistory/aa360d31-4fb0-40bd-b73c-9100824e8f93.pdf
22) Taiwania 61(2): 78‒126, 2016
Complete list of the native orchids of Taiwan and their type information
https://taiwania.ntu.edu.tw/pdf/tai.2016.61.78.pdf
23) 植物地理・分類研究(J. Phytogeogr. Taxon.)70(2)191-195 (2022)
 早川ほか:本州新産のヒスイアキザキヤツシロラン(ラン科)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chiribunrui/70/2/70_0702-12/_pdf/-char/ja