世界中で栽培され、帰化している。寒さに弱いため、1年草として栽培されることも多い。沖縄では野生化している。日本には江戸末期の天保年間頃、オランダから持ち込まれた。当時は中国名の指侫草(しねいそう)、屈佚草(くついつそう)、又はオランダ名のコロイヂイル・ルメイニイトと呼ばれた。和名は葉に触れたり、風が吹いたりすると、傾震性(seismonasty)により、葉が傾性運動を行うこと(sensitivity to touch)による。
　多年草。横に広がり低木状。普通高さ15～50㎝(1m以下)。オジギソウ属であり接触に敏感(sensitivity to touch)。茎は円柱形、分枝し、後屈した剛毛があり、長さ2～2.5㎜の曲がった刺が散在する。托葉は披針形、長さ5～10㎜、剛毛がある。葉は互生し、2回羽状複葉、刺は無く、接触感応が強い。葉軸は長さ1.5～5.5㎝。羽片は普通、2対あり、掌状、長さ3～8㎝。小葉は10～20対、線状披針形、長さ6～15㎝、幅1.5～3㎜、葉裏面はわずかに剛毛があり、背面は無毛、縁毛があり、先は鋭形。頭状花序は1又は2個（1～5個の束）、腋生し、球形、直径約1㎝(長さ1～1.3㎝、幅0.6～1㎝)。花序柄は長く、苞は線形。花は多数つき、リリアック色～ピンク色、小さい。萼は小さく、長さ約0.2㎜。花冠は鐘形、長さ2～2.3㎜、裂片の外側に軟毛がある。雄しべは4個、突き出る。子房は短い柄があり、無毛。胚珠は3～4個。花柱は糸状。柱頭は小さい。豆果は星形に並び、わずかに反曲し、平ら、長楕円形、長さ1～2㎝、幅3～5㎜、3～5個の1種子入りの分節からなり、密に宿存性の剛毛と縁に沿って小刺があり、縫合から切り離れて落ちる。種子は淡褐色、卵形、長さ約3.5㎜。2n=52

オジギソウ属

　 family　Fabaceae － genus Mimosa

　低木または多年草、まれに高木または蔓性木、普通、刺がある。托葉は刺状突起ではなく、普通、羽片ごとに2個、小さく、早落性、しばしば繊細である。花序は頭状花序で球形、または穂状花序状で円柱形、単生または束生、腋生、花序柄がある。花は小さく、両性または雌雄混株、無柄で、普通、4数性。 萼は合着し、敷石状、鐘形、萼歯がある。花弁は基部で合着する。雄しべ4または8本、離生、突き出る。葯は腺がない。胚珠は多数。花糸は糸状。豆果は長円形または線形、普通、平らに扁平、膜質または革質で、1種子の複数の区画からなりで、宿存する縁で分離される。種子は扁平、楕円形または円形。
　世界に約500種あり、主に熱帯アメリカに分布する。

オジギソウ属の主な種と園芸品種

1 Mimosa bimucronata (DC.) Kuntze　キダチミモザ　
　　synonym　Mimosa sepiaria Benth.
　アルゼンチン、ブラジル原産。中国名は光荚含羞草 guang jia han xiu cao。英名はmarica。
　落葉低木、高さ3～6m。 小枝は上部に刺がなく、下部に長さ1㎝以下の後ろに反った刺があり、密に黄色の綿毛がある。羽片は4～9対、長さ1.5～8㎝、刺はなく、葉軸は刺がなく、毛がある。 小葉は12～16対、線形、長さ5～7㎜×幅1～1.5㎜、革質、毛～微軟毛があり、縁毛があり、中脈は上面にほぼあり、先は微突形。頭状花序は球形、広がった複合の円錐花序になり、下部の枝を広げる。花は白色、芳香がある。萼は杯形、小さい。花弁は長円形、長さ2.5～4㎜、基部で合着する。雄しべは8本。花糸は長さ4～5㎜。子房は初め無毛。豆果は褐色、真っすぐな、ひも形、長さ3.5～4.5㎝×幅約0.6㎝、刺はなく、細かい網目状の脈があり、普通4～8区画。種子はオリーブ色、卵形、扁平、長さ約4.5㎜。2n=26。

2 Mimosa diplotricha C.Wright　オオトゲミモザ　
　　synonym　Mimosa invisa Mart.
　熱帯アメリカ原産。中国名は巴西含羞草 ba xi han xiu cao。英名はgiant sensitive plant。
　亜低木または多年草。 茎は這い上がり又は平伏し、長さ5m以下、4角(かど)があり、粗毛があり、角(かど)に刺は有または無。葉は長さ10～15cm。葉柄と葉軸に後ろ向きの刺が4列ある。羽片は(3～)7または10対、長さ2～4.5㎝、小葉は羽片あたり(11～)20～30対、線状長円形、長さ3～5×幅1～2 mm、両面に白色の絨毛がある。頭状花序は1または2個が腋生し、直径約1㎝(花糸を含む)。花序柄は長さ5～10mm。花は両性。萼は目立たず、長さ約0.4mm。花冠は狭い漏斗形、長さ約2.5㎜、4裂し、外側にわずかに毛がある。雄しべは8本。花糸は淡紫ピンク色。子房は長さ約1mm。豆果は束生し、わずかに曲がり、長円形、長さ1.5～3.5㎝×幅0.4～0.5㎝、刺状の剛毛は有または無。種子は黄褐色、長さ約3.5mm。2n=26。

3 Mimosa polycarpa Kunth
　アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コロンビア、パラグアイ、ペルー原産。
　茎は有毛、毛は開出、単純毛、剛毛は糸状、分岐せず、腺毛は無く、刺は後ろ向きと下向き。短枝は無い。托葉は宿存性。花外蜜腺は無い。羽片の対の間に突起がある。花序は球形。苞は開花前～開花期の花より大きい。花被片は4個。萼は膜質、萼片は無い。花冠裂片は脈が1～3本、毛がある。雄しべは花弁と同数(isostemonous)。花糸はピンク色。(Flora do Brasil 2020)
3-1 Mimosa polycarpa var. spegazzinii (Pirotta) Burkart　コダチオジギソウ　木立お辞儀草
　　synonym　Mimosa spegazzinii Pirotta ex Hook.f.
　　synonym　Mimosa pachecensis S. Moore
　　synonym　Mimosa polychaeta Malme
　アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ原産。
　亜低木～低木。枝は刺があり、微軟毛がある。葉は1回羽状複葉。托葉は披針形、宿存性。小葉は16～25対、線形～線状披針形。

4 Mimosa pudica L.　オジギソウ　お辞儀草
　南アメリカ、中央アメリカ原産。中国名は含羞草 han xiu cao。英名はcommon sensitive-plant , sensitive-plant , sensitive-weed , shameplant , touch-me-not。別名はネムリグサ。
　多年草。横に広がり低木状。普通高さ15～50㎝(1m以下)。オジギソウ属であり接触に敏感(sensitivity to touch)。茎は円柱形、分枝し、後屈した剛毛があり、長さ2～2.5㎜の曲がった刺が散在する。托葉は披針形、長さ5～10㎜、剛毛がある。葉は互生し、2回羽状複葉、刺は無く、接触感応が強い。葉軸は長さ1.5～5.5㎝。羽片は普通、2対あり、掌状、長さ3～8㎝。小葉は10～20対、線状披針形、長さ6～15㎝、幅1.5～3㎜、葉裏面はわずかに剛毛があり、背面は無毛、縁毛があり、先は鋭形。頭状花序は1又は2個（1～5個の束）、腋生し、球形、直径約1㎝(長さ1～1.3㎝、幅0.6～1㎝)。花序柄は長く、苞は線形。花は多数つき、リリアック色～ピンク色、小さい。萼は小さく、長さ約0.2㎜。花冠は鐘形、長さ2～2.3㎜、裂片の外側に軟毛がある。雄しべは4個、突き出る。子房は短い柄があり、無毛。胚珠は3～4個。花柱は糸状。柱頭は小さい。豆果は星形に並び、わずかに反曲し、平ら、長楕円形、長さ1～2㎝、幅3～5㎜、3～5個の1種子入りの分節からなり、密に宿存性の剛毛と縁に沿って小刺があり、縫合から切り離れて落ちる。種子は淡褐色、卵形、長さ約3.5㎜。2n=52。花期は7～10月。
品種)　'Touchy Tina'

参考

1) Flora of China
　Mimosa 2) Plants of the World Online| Kewscience
　Mimosa 3) World Flora Online
　Mimosa 4) Flora do Brasil 2020 - Reflora
　Mimosa