ヌマダイコン 沼大根
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae ヌマダイコン属
中国名 | 下田菊 xia tian ju |
英 名 | sticky daisy , club-wort , kamanamana |
学 名 | Adenostemma lavenia (L.) Kuntze var. lavenia synonym Adenostemma lavenia (L.) Kuntze synonym Adenostemma viscosum J. R. Forst. et G. Forst. |
花 期 | 9~11月 |
高 さ | 30~100㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 湿地、水路の縁、湿った休耕田など |
分 布 | 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、フィリピン、オーストラリア |
撮 影 | 新城市 15.9.22(沼地) 15.9.28(水路) |
The Plant Listでは種内taxaをvar. latifolium、var. madurense、var. parviflorum、var. reticulatum 、var. rugosum、f. angustifoliumの6種としている。
日本のヌマダイコンはAdenostemma lavenia1種とされていたが、痩果が平滑のオカダイコンと疣状のヌマダイコンが別変種として分けられるようになった(Koyama, 2001; 小林, 2004)。当初は分布が関西以西とされていたが、それ以外でも確認され、関東以西とされている。現在、オカダイコンは独立種とされAdenostemma madurenseとされている。しかし、YListでは現在もAdenostemma latifolium D.Donをオカダイコンとしている。(2012)
ヌマダイコンはAdenostemma lavenia (L.) Kuntze(=var. lavenia )に分類されている。しかし、Flora of China はvar. lavenia、 var. latifolium 、var. parviflorum の3変種に分類し、1年草としている。他の解説でも1年草とされることが多いが、日本では多年草と解説され、場所によるものと思われる。
写真のものはどろどろの沼状の休耕田(沼地)と、素掘りの水路(水中)に生えていたもの。茎は沼地のものは基部が曲がらず直立し、下部でも分枝し、細い枝がつく。水中のものは基部が曲がり、上部は直立する。茎は円柱形、中実、下部は無毛、上部は有毛、花柄には上向きに曲がった毛が密にある。葉の質は生えているときは厚く感じ、切り取るとすぐに萎れ、薄く感じる。葉身は中間のもので長さ12㎝、幅4.5㎝程度、鋸歯が粗く、9対程度であり、オカダイコンより鋸歯の数が明らかに少なく、鋭鋸歯~鈍鋸歯。葉柄はほとんど無いか又は長さ1~2㎝。頭花は小さく、総苞が長さ4~5㎜×幅5~6㎜。まれに総苞が開く直前のもので幅7~8㎜程度のものがあった。頭花の小花は26~35個(n=10,平均30)。花冠は先が5裂し、白色三角形の5歯があり、筒部の上部は白色で毛が密生し、中間は赤紫色、下部は緑色で腺毛がある。蕾は白色(オカダイコンの花はピンク色を帯び、蕾がピンク色)。痩果は小さく、長さ3~3.5㎜、総苞が開いてすぐまでは黒褐色、全体が粘液に覆われ、日が経つと退色してタン色~バフ色(黄土色)、疣状になる。
ヌマダイコン(var. lavenia)の痩果は日本産は長さ約4㎜とされているのが普通であるが、オーストラリア産は長さ2~4㎜、2.7~3㎜と解説とされ、小さい痩果も見られるようである。
日本のヌマダイコンは茎が直立又は基部で曲がって直立し、高さ30~100㎝、上部で分枝する。葉は対生し、長さ1~6㎝の葉柄がある。葉身は披針形~卵形~卵状長楕円形、長さ4~20㎝×幅3~12㎝、鈍鋸歯があり、両面にまばらに短毛があり、基部は急に狭く翼状になる。 頭花は小さく、散房状にまばらにつく。総苞は半球形、長さ4~5㎜×幅5~6㎜、後に幅7~8㎜。 総苞片は2列でほぼ同長、鈍頭、果時に反り返る。 すべて両性の筒状花、長さ2.5㎜。花冠は白色、先が5裂し、白色三角形の5歯があり、筒部の上部は白色で毛が密生し、下部は腺毛がある。雄しべは短く、花冠内にあり、見えない。花柱は先が2裂し、白色、花冠から長く突き出る。 痩果は黒褐色、棍棒状、長さ2~4㎜、密に腺点があり、褐黄色の粘液を出して全体に粘り、低い疣があり(tuberculate)、成熟して乾くと表面が淡褐色の痂状になる。 冠毛は3~5個、長さ約1㎜、棍棒状。
ヌマダイコン属
family Asteraceae - genus Adenostemma多年草。葉身は狭楕円形~広卵形~矛形、円鋸歯~強く鋸歯縁、先は鋭形~わずかに尖鋭形。合成花序はごく緩い集散花序。総苞片は10~30個、2列につき、±重なり、やや基部が融着し、等長~ほぼ等長。花托は分離した楕円形の深い凹面の鱗片で覆われる。小花は10~60個、花冠は普通、白色、狭漏斗形又は基部が細い筒で拡大部が広鐘形、外側に普通、毛又は腺があり、毛はしばしば数珠形になる。花冠裂片は5個、長さは幅の約1.5倍、パピラは無い。葯台(antheropodium)は普通、下部が強く広がり、葯の付属体ははっきり幅より短い。花柱の軸は長い毛が有又は無。花柱の枝はわずか~強くこん棒形、しばしば柱頭の目立つ部分を作り、肉質、先は丸く、下部にわずかにマミラがある。痩果はわずかに曲がり、普通、3角(かど)があり、目立つうねや5角(かど)は無く、しばしば疣があり(tuberculate)、果柄(carpopodium)は目立つ非対称の取っ手(knob)を作る。冠毛は普通、3又は5個の円柱状のこん棒形の取っ手(knob)であり、取っ手(knob)は粘る腺の長い塊で外面を覆われる。x=5 ,10。
世界に約26種あり、汎世界的に分布する。
ヌマダイコン属の主な種
1 Adenostemma lavenia (L.) Kuntze ヌマダイコン 広義synonym Adenostemma lavenia var. typicum J.Kost.
synonym Adenostemma lavenia var.lavenia
日本、朝鮮、中国、インド、ネパール、フィリピン、南西アジア(おそらく)、オーストラリア原産。[Flora of China]。中国名は下田菊 xia tian ju。英名はcommon medicineplant , sticky daisy。Adenostemma lavenia はKewscienceではスリランカ、バングラデシュ原産とし、Adenostemma viscosum が汎世界的としている。一般的にはAdenostemma lavenia を広義に扱う。
1年草、高さ30~100㎝、茎は直立、単一、基部の直径0.5~1㎝、硬く、通常は上部で分枝し、白色の微軟毛で覆われ、下部又は中部以下は平滑、無毛。葉は離れてつく。根生葉は花時に宿存又は枯れる。中間の葉は大きく、葉柄は狭い翼があり、長さ0.5~4㎝。葉身は楕円状披針形~惰円形~菱状惰円形~広卵形~心形、長さ4~12㎝、幅2~5㎝、両面にわずかに微軟毛があるか無毛になり、普通、脈上に密に毛があり、基部は広楔形~狭楔形、縁は円鋸歯又は欠刻(けっこく)状、鋸歯、又は重鋸歯、先は鋭形~鈍形。茎上部と下部の葉は小さく、柄も短い。頭花は少数、稀に多数、まばらに又は密に散房花序や円錐花序につく。花序柄は長さ0.8~3㎝、灰白色又は鉄さび色の微軟毛がある。総苞は半球形、長さ4~5㎜、幅6~8㎜、果時には直径10㎜以下になる。総苞片は2列、緑色、ほぼ同長、狭楕円形、薄いほぼ膜質。外総苞片はほとんど合着し、まばらに白色の絨毛があり、先は鈍形。花冠は長さ2.5㎜、粘る腺があり、軟毛がある。痩果は熟すと黒褐色、倒披針形、長さ約4㎜×幅約1㎜、腺があり、ときに密に疣状突起があり(tuberculate)、基部は収縮し、先は鈍形。冠毛の要素はこん棒形、長さ約4.1㎜、基部は合着して輪になり、黄褐色の粘る腺がある。花期および果期は8~10月。2n=20【Flora of Chinaの解説】。
1年草、半平伏又は直立、高さ0.3~1m。茎は先にまばらに毛がある。葉は茎の上部では小さく、狭卵形~卵形~三角形、長さ2~20㎝×幅1~13㎝、先は鋭形~鈍形、表面はほぼ無毛又は脈にまばらに毛がある。葉柄は長さ1~6㎝。円錐花序は細い花序柄の上につく。頭花はほぼ球形、直径5~8㎜。総苞片は2列につき、狭長円形、長さ3~4㎜、先は円く、後屈し、ほぼ無毛。小花は白色、5歯があり、腺毛がある。(参考11 オーストラリア)
多年草、高さ0.5 m又はそれ以上。茎はかろうじて微軟毛があるか無毛。 葉は対生し、三角状卵形、長さ4~5㎝×幅3.5~4.5㎝、縁は不規則な鋸歯状、わずかに軟毛があるか無毛、基部から3脈がある。葉柄は長さ2~3.5㎜。頭花をつける花序は開いた円錐花序状の散房花序、頭花は20~50個つき、頭花のつく花序柄は長さ6~20㎜。中心小花頭花。総苞は半球形、長さ約4㎜×幅5~10㎜、総苞片は24~30個、2~3列につき、線状披針形、非覆瓦状、わずかに微軟毛があり、縁毛がある。花托は裸。小花は多数、両性。花冠は長さ3~3.5㎜、白色、筒部は拡大部とほぼ同長、拡大部は密に軟毛があり、5裂。花柱は無毛。痩果はこん棒形、長さ約3㎜、微細突起があり、冠毛は3個の長さ0.8~1㎜の先に腺のある付属体(こん棒)をもつ。(Flora de Nicaragua)
1-1 Adenostemma lavenia var.lavenia ヌマダイコン 沼大根
synonym Adenostemma viscosum J.R.Forst. & G.Forst [別種とする説もある]
synonym Adenostemma latifolium auct. non D.Don日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、フィリピン、オーストラリア原産。中国名は下田菊(xia tian ju)。英名はSticky Daisy。Adenostemma viscosum を別種とする説ではスリランカ、バングラデシュ原産[Kewscience]。湿地、水路の縁、湿った休耕田などに生える。
葉は楕円状披針形、縁は円鋸歯。痩果は腺がある。[Flora of China]
日本のヌマダイコンは茎が直立又は基部で曲がって直立し、高さ30~100㎝、上部で分枝する。葉は対生し、長さ1~6㎝の葉柄がある。葉身は披針形~卵形~卵状長楕円形、長さ4~20㎝×幅3~12㎝、鈍鋸歯があり、両面にまばらに短毛があり、基部は急に狭く翼状になる。頭花は小さく、散房状にまばらにつく。総苞は半球形、長さ4~5㎜×幅5~6㎜、後に幅7~8㎜。 総苞片は2列でほぼ同長、鈍頭、果時に反り返る。すべて両性の筒状花、長さ2.5㎜。花冠は白色、先が5裂し、白色三角形の5歯があり、筒部の上部は白色で毛が密生し、下部は腺毛がある。雄しべは短く、花冠内にあり、見えない。花柱は先が2裂し、白色、花冠から長く突き出る。痩果は黒褐色、棍棒状、長さ2~4㎜、密に腺点があり、褐黄色の粘液を出して全体に粘り、低い疣があり(tuberculate)、成熟して乾くと表面が淡褐色の痂状になる。冠毛は3~5個、長さ約1㎜、棍棒状。
1年草又はおそらく多年草、高さ60㎝以下、茎は中空、基部だけから根が出る。葉は卵形~狭卵形、、普通、長さ5~7㎝×幅3~3.5㎝、基部は鋭形、葉柄に均等に漸尖する。葉の上面は光沢が無くて鈍く、まばら~密に小さな白色の多細胞の嚢胞のようなもの(cyst-like processes)がまばらに散在する(おそらく毛の基部)。頭花は直径約8㎜。痩果は褐色、長さ2.7~3㎜、密に厚く、円錐形の疣をもち、無毛又は短柄のある腺毛がこぶの間に散在する(痩果の発達の間の腺毛から疣への変換はKoyama (2001)により論じられている)(参考7 オーストラリア)。
1年草。半平伏又は直立、高さ30~100㎝、先にまばらに毛がある。葉は上部で小さくなり、狭卵形~卵形~三角形、長さ2~20㎝×幅1~13㎝、先は鋭形~鈍形、面はほぼ無毛又は麻薬上にまばらに毛がある。葉柄は長さ1~6㎝。細花序柄に円錐花序がつく。頭花はほぼ球形、直径5~8㎜。総状片は2列につき、狭長円形、長さ3~4㎜、先は円く、後屈しほぼ無毛。小花は白色、5歯があり、腺毛がある。痩果は長さ2~4㎜、3角(かど)があり、疣状。冠毛は3~5個の長さ約1身rの剛毛。(参考11 オーストラリア)。
インドの文献(参考6)では痩果の疣は控えめであり、日本のヌマダイコンとは異なる。
1-2 Adenostemma lavenia var. angustifolium (Arn.) Uniyal
synonym Adenostemma lavenia f. angustifolium (C.B.Clarke) Kosterm [The Plant List]
synonym Adenostemma angustifolium Arn.東ヒマラヤ(ブータン、チベット)、インド、アッサム、アンダマン諸島、ラオス、ミャンマー、スリランカ、タイ原産。
多年草、無毛、基部は木質。葉は対生、最上部は互生、単葉、無柄、下面で主脈が目立ち、両面とも無毛、楕円形~披針形、長さ3.5~13㎝×幅0.8~2㎝、基部は漸尖し、先は鈍形。頭花は単生又は頂生の散房花序に少数つき、長さ6㎜、白色、乾くと黄色、同型配偶=同種小花(homogamous)、周辺小花は無い。花序柄は長さ0.6㎜、微軟毛と腺がある。総苞片は18個、2列につき、わずかに不等長、基部は分離、長さ4~4.5㎜、長円形~狭長円状楕円形、3脈があり、背側に軟毛があり、外側は暗緑色、内側は薄緑色、縁は狭く薄膜質、普通、下半分部に多細胞の毛の縁毛があり、先は鈍形又は鈍い微突形。花托は蜂の巣状、幅約㎜、無毛。小花は34個。花冠筒部は長さ約1.2㎜、腺があり、拡大部は長さ約1.8㎜、5裂する。花冠裂片は卵形、先は鈍形、無毛、背側にまばらに毛がある。雄しべは5本。葯は突き出さず、長円形、長さ約1㎜、フードは卵形、先は鈍形。花柱は長さ5.5㎜、突き出し、花柱の枝は長さ3~3.5㎜、へら形、先は鈍形。冠毛は3~5個のこん棒形の鱗片、長さ0.4㎜、基部は統合し、輪状になる。痩果は倒披針形、長さ1.6~2㎜、3うねがあり、密に微細突起(muricate)がある。(参考5)
1-3 Adenostemma lavenia var. elatum (D.Don) Hochr.
synonym Adenostemma elatum D.Don東ヒマラヤ(ブータン、チベット)、アッサム、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー、西ヒマラヤ(カシミール)原産。
The Plant Listでは Adenostemma lavenia (L.) Kuntzeに含める。
1-4 Adenostemma lavenia var. lanceolatum (Miq.) Koster
ネパール、タイ、インドネシア、ニューギニア、オーストラリア原産。普通、熱帯雨林の黒色の泥炭土、玄武岩、石灰岩に生える。多年草、半多肉質、高さ120㎝以下半水生又は湿原植物、傾伏する茎の下部の節から根を出す。小川や沼地の深さ20㎝以下の水中で育つのがしばしば見られる。茎は中空、節から根を出す。葉は大きい披針形、普通、長さ13~16㎝×幅3.5~6㎝、基部は鋭形、葉柄まで均等に漸尖する。上面は鈍く~ほとんど光沢があり、毛の基部に小さな白色の多細胞の嚢胞のようなもの(cyst-like processes)があり、まばらに散在する。痩果は var. lavenia に似るが、わずかに大きく、普通、長さ3.3~3.5㎜(2.7~3.0㎜に対して)。頭花もまた、大きく、直径9~10㎜(8㎜に対して)。(参考7)
1-5 Adenostemma lavenia var. latifolium (D.Don) Panigrahi
synonym Adenostemma latifolium D.Donsynonym Adenostemma lavenia (L.) Kuntze var. latifolium (D.Don) Hand.-Mazz.[Flora of China]
synonym Adenostemma madurense DC. オカダイコン [YList]日本、[朝鮮]、中国、台湾、[インド]、ネパール、チベット、バングラデシュ原産。中国名は宽叶下田菊( kuan ye xia tian ju )。林下、林縁、川沿いの湿った陰地、茂みに生える。
葉幅が広く、広卵形~心形、縁は欠刻(けっこく)状~鋸歯状~重鋸歯状。痩果は密に疣状(tuberculate)。[Flora of China]
YListではオカダイコンの学名をAdenostemma latifolium D.Donとしているが、Flora of Chinaの解説では痩果が密な疣状であり、痩果が平滑なオカダイコンとは異なる。しかし、以下の解説(参考16)では密に疣状の記載がく、オカダイコンに近いとも考えられる。
1年草、高さ30~100㎝、茎は直立し、単生、基部の直径0.5~1㎝、硬く、普通、上部で分枝し、白色の短軟毛があり、下部~中部は平滑で無毛。全体にまばらに葉がつき。根生葉は花期に宿存するか又は枯れる。葉は卵形~広卵形、基部は心形~円形、縁は欠刻状~鋸歯状~重鋸歯状、歯は鋭形又は鈍形。葉は両面にまばらに軟毛があるか又は無毛、普通、脈に密に毛がある。茎の上部と下部の葉は小さく、葉柄は短い。頭花は小さく、仮軸分枝の枝先の緩い散房花序又は散房花序に少数つく。花序の枝は太く、花序柄は長さ0.8~3㎝、灰白色又はさび色の軟毛がある。蕾は半球形、長さ4~5㎜×幅6~8㎜、果時には幅が広くなり、幅10㎜以下になる。総苞片は2列、ほぼ等長、幅が狭く、楕円形、質は薄く、少数が膜質になり、緑色、先は鈍形、外側の総苞片のほとんどが合着し、外側には白色のまばらな絨毛があり、基部の毛は密。花冠は長さ約2.5㎜、下部に粘液性の腺毛をもち、上部は拡大し、5個の歯と長軟毛がある。痩果は倒披針形、長さ約4㎜×幅約1㎜、先は鈍形、基部は狭くなり、腺点があり、熟すと黒褐色になる。冠毛は約4個、長さ約1㎜、棒状、基部は輪状に結合し、頂端に褐黄色の粘液がある。花期は8~10月。
1-6 Adenostemma lavenia var. microcephalum (DC.) J.Kost.
synonym Adenostemma microcephalum DC.インド、バングラデシュ、アッサム原産。
葉は楕円形。痩果は疣が密。
The Plant Listでは Adenostemma lavenia (L.) Kuntzeに含める。
1-7 Adenostemma lavenia var. reticulatum (DC.) Panigrahi
synonym Adenostemma reticulatum DC.インド、ラカディーブ諸島、ニコバル諸島、スリランカ、ミャンマー原産。
1-8 Adenostemma lavenia var. rugosum (DC.) Ram Lal
synonym Adenostemma rugosum DC.synonym Lavenia rugosa Wight
インド原産。
2 Adenostemma macrophyllum (Blume) DC.
西ヒマラヤ(カシミール)、バングラデシュ、マレーシア、ニューギニア、オーストラリア(クイーンズランド州)原産。
茎は直立し、腺毛がある。葉は対生、単葉、葉柄は長さ7㎝以下。葉身は基部から3脈があり、紙質、まばらに微軟毛があり、広卵形、長さ2~17㎝×幅1~11㎝、鋸歯があり、歯先に腺があり、先は鋭形。頭花は少数、散開する枝の頂部につき、白色、長さ7㎜、同型配偶=同種小花(homogamous)、周辺小花は無い。総苞片は13個、ほぼ2列、小花から突き出ない。花托は蜂の巣状、幅1~2㎜、無毛。小花は20個、花冠筒部は長さ1.5㎜、密に腺があり、拡大部は鐘形、長さ1.5㎜、5裂する。花冠裂片は卵形、長さ0.5㎜、背側に密に毛があり、先は鋭形。雄しべは5本、黒色。葯は線状長円形、長さ1㎜、突き出ず、フードは先が小凹形。花柱は長さ約5㎜、基部は膨れ、枝は長さ3.5㎜、広へら形、先は鈍形。冠毛は3個のこん棒形の鱗片、短い輪の上につき、長さ約1㎜。痩果は扁平、倒披針形、長さ約5㎜、3うねがあり、わずかに曲がり、若い痩果は黄色、熟すと、黒色になり、ごく小さな腺がまばらにある。(参考5 インド)
多年草又な亜低木、 半多肉質、粘り、高さ1m以下。葉は広卵形、普通、長さ10~14㎝×幅7~8.5㎝、基部は急に切形~類心形、2次的に短く、鋭く先細になる。痩果は熟すと黒色、かなり粘り、平滑、ときに短い柄の腺毛がまばらにあるが、けっして円錐形の疣にはならない。若い又は発育不全の株では葉身の基部の切形はあまり明瞭でなく、痩果の黒色、平滑が特徴である。また、葉の光沢のある上面に、毛の基部が嚢胞状になる毛が無いのが特徴である。 A. lavenia var. lanceolatum(A. parviflorum)は似ているが、光沢がほとんどなく、嚢胞状の過程(cyst-like processes)をもつ。(参考7 オーストラリア)
3 Adenostemma madurense DC. オカダイコン 丘大根
synonym Adenostemma lavenia (L.) Kuntze var. madurense (DC.) Panigrahi [The Plant List]
synonym Adenostemma roylei DC.日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、韓国(済州島)、中国、インド、アッサム、スリランカ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン原産。山地や低地のやや湿った林縁、林道端に生える。
葉はやや丸く、痩果の表面はほぼ平滑
オカダイコンは高さ30~150㎝(実測28~96㎝)。根茎は肥厚する。茎が直立又は基部は短く這い、根を出し、直立し、下部では分枝せず、上部で分枝して花をつける。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~10(実測:1.5~6)㎝。葉身は長さ4~21(~30)㎝×幅3~12(~22)㎝[実測:長さ4.5~17㎝×幅2.5~10㎝]の広卵形~卵形~卵状楕円形、先は鋭形、基部は広楔形で急に狭くなり、翼状に葉柄へと続く。茎の上部や下部の葉は小さく、中部の葉が最も大きい。葉縁には不規則な鋭鋸歯~鈍鋸歯がある。鋸歯は細かく、長さ4.5㎝の葉で10対程度、大きい葉は鋸歯が30対ほどある。頭花は散房状にまばらにつき、花序の大きいものは円錐状になる。花柄は細く、長さ0.8~4㎝、灰白色又は鉄さび色の微軟毛がある。総苞は球形(蕾)~半球形、長さ4~5㎜×幅6~7.5㎜[実測:長さ4~5㎜×幅(5.5)6~7.5㎜(実測)]、個体が小さい日陰の群落では花がやや小さく、総苞の幅が狭い。総苞片は同長の2列で、基部が合着し、先は鈍形。小花はすべて両性の筒状花、総苞が幅6㎜以上のもので33~45個、総苞が小さいものは25~30個と小花も少ない。花冠は長さ約2㎜、先が5裂し、5歯があり、上部は歯も含めて淡ピンク色で毛が密生し、小花が蕾のときはピンク色に見える。花冠の中間は紅紫色、下部は緑色、腺毛が多い。花柱の先が2裂し、白色、花冠の外へ長く突き出る。痩果は熟すと黒褐色~黒色、長さ3~4.1(平均3.5)㎜×幅1~1.3㎜(平均1.1)、微細突起(muricate)腺点がまばらにあり、特に上部にあり、日数が経過して乾いてくると褐色になり、ほぼ平滑になり、疣状(tuberculate)や痂状にならない。冠毛は長さ約0.7~1㎜、こん棒形、3~5個つき、開出し、粘液を多量に出し、触ると手に付着する。粘液は最初、無色であるが、褐色になってくる。花期は9~11月。
1年草、高さ30~150㎝。茎は直立又は茎の下部で根を出し、1本、硬く、分枝せず又は上部で分枝し、白色の微軟毛がある。葉は8~12個つき、茎葉は離れる。根生葉は花期前に枯れる。中間の葉は大きく、葉柄は狭い翼があって長さ5~10㎝。葉身は広卵形~卵状長円形、長さ15~21㎝×幅7~12㎝、両面にまばらに微軟毛があり又は無毛になるか、脈上は無毛又はまれに直軟毛があり、先は鋭形又は鈍形、基部は広楔形~狭楔形、縁は不明瞭な歯がある。上部の葉は卵状長楕円形、卵形、又は頂円形、下部の葉より小さく、葉柄が短い。頭花は少数、小さく、緩く又は密に散房花序又は円錐花序につく。花柄は細く、長さ0.8~4㎝、灰白色又は鉄さび色の微軟毛がある。総苞は半球形、長さ4~5㎜×幅6~7.5㎜、果時に直径は7㎜以下。総苞片は2列、緑色、等長、狭楕円形、薄いほぼ膜質。外総苞片はほとんどが合着し、白色の絨毛があり、先は鈍形。花冠は長さ1.5㎜、密に毛がある。痩果は熟すと黒褐色、倒披針形、不規則な類三角形、長さ3~3.5㎜、平滑、上部にわずかに腺の微細突起(muricate)があり、ときに基部で狭まり、先は鈍形。冠毛は3~4個、太く、広がる長さ約0.7㎜の剛毛がつく。花期は8~1月。果期は9~11月。(参考6 済州島)
4 Adenostemma parviflorum (Blume) DC. コバナヌマダイコン
synonym Adenostemma lavenia (L.) Kuntze var. parviflorum (Blume) Hochr. [Flora of China]
synonym Lavenia parviflora Blumesynonym Adenostemma lavenia var. lanceolatum (Miq.) Koster
中国、台湾、西ヒマラヤ(カシミール)、ネパール、東ヒマラヤ(ブータン、チベット)、インド、スリランカ、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ニューギニア、カロリン諸島、ギルバート諸島、マリアナ諸島、マルキーズ諸島、マーシャル諸島、トケラウ諸島-マニヒキ島、サモア、トンガ、ツバル、ハワイ原産[Kewscienceによる]。中国名は小花下田菊 xiao hua xia tian ju
葉は質が厚く、楕円状披針形~菱状惰円形~惰円形。頭花が小さく、総苞が直径5~7㎜。痩果が小さく、長さ2.5~3.5㎜、密に疣状。(Flora of China)
5 Adenostemma viscosum J.R.Forst. & G.Forst.
synonym Adenostemma lavenia var. viscosum (J.R.Forst. & G.Forst.) M.R.Almeida
synonym Spilanthes tinctorius Lour.synonym Adenostemma tinctorium (Lour.) Cass. [The Plant Listでは独立種]
synonym Adenostemma perrottetii DC.日本、朝鮮、中国、インド、パキスタン、ネパール、スリランカ、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、南西アジア、オーストラリア、太平洋諸島、熱帯アフリカに分布。マレーシア、インドネシア、パプアニューギニア、中国南部で薬用植物として広く使われている。英名はdungweed。普通、Adenostemma laveniaとして扱われるが、GRIN、The Plant Listでは別種として扱っている。Adenostemma laveniaは厳密にはスリランカ(、バングラデシュ)原産とされている。
直立~半平伏、高さ1.3m以下。茎は肉質、無毛又はまばらに軟毛があり、ときに下部の節から根を出す。葉は卵形~菱形、長さ2~20㎝、基部から3脈があり、無毛又はほとんど無毛、基部は葉柄に沿って狭い翼になり、縁は円鋸歯~鋸歯。葉柄は長さ0.7~4㎝。苞は長さ0.6~5㎝、花序の枝の節につく。頭花は少数~多数、成熟すると長さ約3~5㎜×直径4~5㎜。個々の頭花の柄は長さ1.2~2.5㎝、腺軟毛がある。総苞片は長さ2~3㎜、平ら、縁は全縁又は縁毛があり、基部近くに軟毛がある。小花は約30~42個、白色、長さ1~1.5㎜。痩果は長さ2.2~3㎜、熟すと褐色になり、疣と腺がある。冠毛は3個の釘(pegs,)、長さ1㎜以下。(Flora of Zimbabwe)
1年草又はときに多年草、高さ30~100㎝、しばしば下部の節から根を出し、まばらに分枝し、ほぼ無毛~腺軟毛がある。下部の葉は対生、上部では互生し、単葉、披針状楕円形~長円形~広卵形、長さ4~20㎝×幅3~12㎝、基部は円形~くさび形、先は鋭形~鈍形、縁は歯状~鋸歯状。下部の葉の葉柄は長さ9㎝以下。上部の葉は無柄。托葉は無い。花序は緩い頂生の円錐花序状の散房花序、頭花がつく。花序柄は長さ1~4㎝。総苞は鐘形又は杯形、総苞片は2列、ほぼ等長、草質、多少、基部が合着し、しばしば腺がある。頭花は長さ3~7㎜×幅6~10㎜、小花は約30個。小花は全て筒状。花冠は長さ1.5~2㎜、4(~5)裂し、外側に腺毛があり、白色又は紫色。雄しべは5本。子房は下位。花柱は2分岐し、枝は細く、先が長く太くなる。果実は痩果、倒卵状長円形、不規則な3角形、長さ2.5~4㎜×幅1㎜、若いときに腺があり、その後無毛又はいぼ状になり、冠毛は少数のこん棒形の剛毛であり、普通、先が太くなり、腺がある。地上性発芽(参考13)。
Key to the varieties
【参考9】1a. 痩果は疣が少ない
【参考7】
1. 葉は卵形~狭卵形(葉身は長さ5~7(~12)㎝×幅(1.5~) 3~3.5(~5)㎝) ~披針形 (葉身は長さ (7.5~) 13~16 (~20)㎝×幅3.5~6㎝)、基部は鋭形、基部は鋭形、次第に漸尖し、上面は鈍く又は乾くとわずかに光沢があり、毛の基部に小さな白色の多細胞の嚢胞のようなもの(cyst-like processes)があり、まばらに散在する。痩果は長さ2.7~3.5㎜、熟すと褐色、密に、微細突起(muricate)があり、また、まばらに腺がある。
頭花は直径約8㎜。痩果は長さ2.7~3㎜
頭花は直径約9~10㎜。痩果は長さ(3.0~) 3.3~3.5㎜
【参考6】
1. 茎は枝が散開する。葉身は楕円状披針~楕円形S、長さ4~7㎝×幅3~5㎝、両面にまばらに微軟毛がある。痩果は疣と微細突起がある
【Flora of China】
1 葉は広卵形~心形、縁欠刻(けっこく)状~鋸歯状~重鋸歯状。
痩果は密に疣がある
参考
1) GRINAdenostemma
Adenostemma
Adenostemma
Adenostemma
Adenostemma angustifolium Arn.
A New Record of Adenostemma madurense DC. (Asteraceae) in Korea
Telopea 13(1-2) 341-348
オカダイコン
Int. J. Adv. Res. Biol. Sci. (2020). 7(4): 1-20
Adenostemma viscosum J.R. Forst. & G. Forst.
Adenostemma lavenia (L.) Kuntze
Adenostemma lavenia
Adenostemma viscosum
Adenostemma lavenia
宽叶下田菊