ノヂシャ 野萵苣
Flora of Mikawa
スイカズラ科 Caprifoliaceae カノコソウ属
別 名 | ノジシャ |
英 名 | corn salad, common valeriana, common cornsalad, Lewiston cornsalad, lamb's lettuce。 |
学 名 | Valeriana locusta L. synonym Valerianella locusta (L.) Laterr. synonym Valerianella olitoria (L.) Poll. |
花 期 | 4~6月 |
高 さ | 10~30㎝ |
生活型 | 越年草 |
生育場所 | 道端、草地 |
分 布 | 帰化種 ヨーロッパ、北アフリカ、アジア(コーカサス、西部)原産 |
撮 影 | 岡崎市 13.4.25 |
ノヂシャはスイカズラ科ノヂシャ属の草本。世界の多くの国でサラダ野菜として栽培され、日本でも明治時代に栽培されたものが各地で帰化している。オミナエシ科はスイカズラ科に含められた。
茎は二股に分枝し、4稜形で白い毛がある。葉は対生し、柔らかく、長さ1.5~9.5㎝、幅0.5~3㎝のへら形~卵形。葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。茎の上部の葉は基部が茎を抱き、無柄、鋸歯がある。花柄は二股分枝を繰り返して球形の花序になり、花が10~20個、固まってつく。花柄の基部には鋸歯のある苞葉が2個ずつつく。花は直径1.5~2.5㎜の淡青色の筒形花、先が5裂する。裂片は長さ約1㎜、先が円い。花筒は長さ約2㎜、中に長毛があり、中間に雄しべ3個がつく。葯は白色。子房は下位、長さ約1.5㎜、緑色、3室。果実は長さ1.8~3㎜。2n=16。
多年草。雌雄両全性(hermaphroditic:同一株に両性花のみ)、雌性異株(gynodioecious:両性花の株と雌花の株がある)、不完全異株(polygamo-dioecious:両性花を含む異株)、または雌雄異株(単性雌雄異株dioecious:雌花と雄花が別株で、混在しないもの)であり、無毛または各種の軟毛、絨毛または粗毛があり、毛は1~数細胞、白色または半透明。根茎は長く、ひげ根を持つか、または根茎は縮小し、束生し、しばしば棍棒形の根を持つ。直根はない(中国産種)。匍匐茎(stolons)は有または無。根生葉はロゼットになり、葉柄がありまたはへら形、分裂せず、羽状複葉または羽状中裂し、宿存性または脱落性。茎葉は対生し、葉柄は有~無。葉柄の長さは茎の上部では普通、短くなる。葉身は羽状複葉、羽状中裂、羽状全裂、または分裂しない。花序は、花時に円錐花序または散房花序状となる。花は離れた頂生の房状(clusters)または密集した頭状花序(head)につく。枝は果時に伸長する。最下部の苞(bract)はしばしば分裂し、それ以外は単純で全縁。小苞(bracteole)は単純で苞に似ている。花は両性花、雄花(中国ではない?)または雌花。花時に萼はリング状で、熟した果時では5~15個の裂片が広がり、裂片は長さ4~8㎜、白色の羽毛状になる。花冠は漏斗形(funnelform)、車形(rotate)、または高坏(たかつき)形=高盆形(salverform)、花冠筒部は通常基部近くで凸形(gibbous)になり、拡大部は5裂する。雄しべは3本(Valeriana kawakamiiでは4本)、花冠筒部に挿入される。痩果は背側が扁平、腹側に3脈、背側に1脈があり、不稔の小室は縮小する。宿存する羽毛状の萼片が冠状になり、羽毛は長さ2~7㎜。
世界に約437種があり、温帯、亜熱帯、熱帯の山地に広く分布する。
synonym Valeriana alliariifolia Adams
synonym Valeriana macrophylla M.Bieb.
ギリシャ、北コーカサス(ロシア)、トランスコーカサス(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)、トルコ、イラン、イラク原産。標高1900~2300mの小川沿いの日陰、森林の牧草地、空き地に生える。
多年草、高さ85~110(150)㎝、大きく広り、無毛。根茎は太くしわのある円筒形で分岐する。茎は中空で、ほぼ溝がある。根生葉は長い葉柄があり、葉柄は長さ5~50㎝、溝がある。葉身は単葉、心形または卵状心形、先は鋭形、縁は不揃いの歯がありまたは時に反り返り、長さ15~50㎝×幅5~25㎝。茎上部の茎葉は小さく、三角形~卵形、ときに披針形で、通常はほ無柄~無柄である。散形花序は密集し、花が多数咲き、2分枝および/または3分枝に分枝する。苞は卵形~披針形、通常は軟毛があるが無毛のこともある。花は小さく白色~淡ピンク色。痩果は無毛。花期は6~8月。果期は8~9月。
品種) 'Sirene'
2 Valeriana amurensis Smirn. ex Kom. ケカノコソウ 毛鹿の子草
朝鮮、ロシア原産。黑水缬草 hei shui xie cao。牧草地、カラマツまたはダケカンバの森に生える。Flora of Chinaでは黒竜江省、吉林省にも分布するとしている。茎、花序の茎、苞の上部に腺毛があることのみが V. officinalis と異なる。
高さ80~150 cm。根茎は縮小し、根は束生し、直径1~2㎜。茎は単生、直立し、単純、微細剛毛があり、上部に腺毛がある。葉は茎葉、5~11対つき、最下部の葉の葉柄は長さ4㎝まで。葉身は長さ9~12㎝×幅4~10㎝、羽状全裂し、裂片は7~10個、卵形~卵状披針形、微軟毛があり、縁には粗い鋸歯がある。上部の葉は類似しているがより小さくなる。花序は花時に頭状、果実に広がる。花序柄と小花柄には腺毛がある。苞は披針形または線形で、腺毛があり、先は鋭形または尖鋭形。花冠はバラ色、漏斗形、長さ3~5㎜。痩果は三角状卵形で、長さ約3㎜、粗毛がある。花期は6~7月。果期は7~8月。
3 Valeriana coronata (L.) Mill. モモイロノヂシャ 桃色野萵苣
synonym Valerianella coronata (L.) DC.
地中海沿岸地域、南西アジア原産。別名はモモイロノジシャ。
高さ6~18㎝。葉は線形~披針形、長さ20~30㎜x幅2~4㎜、上部の葉はしばしば、羽状中裂し、縁にまばらに毛がある。苞は長さ3~4㎜、縁は白色、縁毛がある。花は球形に密に束生する。萼は6裂し、裂片は三角形、鉤がある。痩果は長さ3~5mm、こま形、ワイン色。不稔の室の対は稔性の室より小さい。
4 Valeriana fauriei Briq. カノコソウ 鹿の子草
synonym Valeriana fauriei Briq. f. coreana (Briq.) H.Hara
synonym Valeriana sambucifolia Mikan var. fauriei (Briq.) H.Hara
synonym Valeriana officinalis L var. latifolia Miq.
synonym Valeriana fauriei Briq. var. sachalinensis H.Hara
synonym Valeriana fauriei Briq. f. yezoensis (Kudô) H.Hara
根茎は短く、匍匐茎は細い。茎は直立し、やや丈夫、長さ40~80㎝、節に密に疣状の長い白色毛がある。根生葉はやや小さく、花時には通常はない。茎葉は対生し、羽状複葉、裂片は5~7個、長円状披針形~倒披針形、長さ2~5(~7)㎝×幅7~15(~25)㎜、粗く鈍い鋸歯があり、無柄、縁に斜上する微小なパピラがある。花序は頂生、花が密に多数つく。苞は線形。花冠は直径約3㎜、長さ5~7㎜、バラ色(淡紅色を帯びた白色)で、花冠筒部は細長く、凸形(gibbous)、花冠裂片は5個、全長の約1/5の長さ。雄しべは4本、長く突き出す。痩果は披針形、長さ約4㎜。花期は5~7月。
5 Valeriana flaccidissima Maxim. ツルカノコソウ 蔓鹿の子草
日本(本州、四国、九州)、中国(安徽省、重慶、甘粛省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、四川省、台湾原産。中国名は柔垂缬草 rou chui xie cao。標高400~3600mの森林の縁、草地、小川沿いに生える。
高さは20~80㎝、匍匐茎を持つ。根茎は長さ2~8㎝、根はひげ根、直径0.5㎜未満。匍匐茎は葉の多いロゼット状で終わる。茎は直立し、単純で無毛。根生葉は単葉または3裂し、縁は小円鋸歯状または全縁、先は鈍形。茎葉は卵形、羽状全裂し、無毛、または葉脈に沿って下面に微軟毛がある。裂片は3~7個、離れている。頂裂片は卵形または披針形、長さ2~4㎝×幅1~2㎝、下面は無毛または軟毛があり、縁は粗い鋸歯状、先は鈍形または尖鋭形。側裂片は似ているがより小さい。花序は円錐花序形。総苞片と小苞は線形~線状披針形。小苞は痩果と同長程度かやや短い。花冠は赤紫色または白色、漏斗形、長さ2.5~3.5㎜。花冠裂片は長円形~卵状長円形、花冠筒部より短い。雄しべと花柱は通常花冠から突出する。痩果は狭卵形、長さ約3㎜、無毛または微細剛毛がある。花期は(3~)4~6月。果期は5~8月。
6 Valeriana kawakamii Hayata ミヤマカノコソウ 深山鹿の子草
synonym Valeriana nokozanensis Yamam.
台湾原産。中国名は高山缬草 gao shan xie cao。別名はノウコウカノコソウ。高地の森林に生える。
植物は高さ10~20cmで、匍匐茎を持つ。根茎は短く細い。茎は単純で無毛。下部の茎葉は長い葉柄がある。葉柄は葉身とほぼ同じ長さで、半抱茎である。葉身は倒卵形~へら形で、長さ2~3㎝×幅0.8~1㎝、羽状全裂、頂裂片(小葉)は卵形、長さ約10㎜×幅7~10㎜、微軟毛があり、やがて無毛になり、基部は楔形、縁は全縁または離れた歯があり、縁毛があり、先は鈍形~鋭形、側裂片は類似しているがより小さく、約・長さ4㎜×幅2㎜、上部では次第に縮小する。上部の葉は離れており、より小さい。小葉は3~5枚。花序は散房花序、直径1~2㎝。苞は線形、約・長さ4㎜×幅0.5㎜、基部は広がり、抱茎、耳があり、縁毛があり、縁は全縁、先は鈍形。花は無柄。花冠は筒状鐘形、約・長さ2.7㎜×幅1.5㎜。花冠裂片は長円状三角形、約・長さ0.7㎜×幅0.7㎜、無毛、先は鈍形。花糸は花冠筒部の中央部に挿入され、長さ約1㎜、花冠中に含まれ、無毛。雄しべは4本、花冠筒部の先端に挿入される。花柱は突出し、長さ1~1.5㎜。柱頭は棍棒形。痩果は長円形状卵形、長さ約3㎜。花期は4~7月。果期は7月。
7 Valeriana officinalis L. セイヨウカノコソウ 西洋鹿の子草
synonym Valeriana alternifolia Bunge コウアンカノコソウ
アルバニア、オーストリア、バルト諸国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、チェコスロバキア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、サルデーニャ島、クリミア半島、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)、ウクライナ、ユーゴスラビア、ロシア、トルコ、イラン、インド原産。別名はヨウシュカノコソウ。中国でも見られ、中国名は缬草 xie cao。標高2500m以下または青海省、四川省、西蔵省では標高4000mまでの草地の斜面、森林、小川沿いに生える。
高さ150cmまでになり、まれに匍匐茎を持つ。根茎は縮小し、根は束生し、棍棒形、直径1.5~2.5㎜。茎は粗毛または微細剛毛があり、特に節に多く、まれに無毛である。根生葉と最下部の茎葉は通常花時にしおれる。茎葉は葉柄が有~無、葉柄は長さ0~8㎝。葉身は卵形~広卵形、長さ5~15㎝×幅3~8㎝、羽状全裂する。裂片は7~15個、披針形または線形、無毛または±微細剛毛があり、基部は沿下し、縁は全縁または粗い鋸歯がある。頂裂片と側裂片は形と大きさが類似している。花序は散房花序、大きく、果時でもコンパクトであるか、または2個の明瞭な2次側花序を持つ。苞は下部では葉状で、それ以外は小さく線状披針形。小苞は楕円状長円形、倒披針形、または線状披針形、縁は薄膜状で縁毛があり、先には芒がある。花冠は紫赤色、ピンク色、または白色、漏斗形、長さ4~6㎜。花冠裂片は楕円形。雄しべと花柱は強く突き出る。痩果は狭卵形、長さ4~5㎜、両面は無毛または軟毛がある。花期は5~7月。果期は6~10月。2n=14, 28, 42, 56。
品種) 'Arterner Zuchtung' , 'Chiri Fu' (v) , 'Variegata' (v)
8 Valeriana locusta L. ノヂシャ 野萵苣
synonym Valerianella locusta (L.) Laterr.
synonym Valerianella olitoria (L.) Pollich
ヨーロッパ、北アフリカ、アジア(コーカサス、西部)原産。英名はcorn salad, common valeriana, common cornsalad, Lewiston cornsalad, lamb's lettuce。別名はノジシャ。道端、草地に野生化している。
2年草、高さ10~30㎝。茎は二股に分枝し、4稜形で白い毛がある。葉は対生し、柔らかく、長さ1.5~9.5㎝、幅0..5~3㎝のへら形~卵形。葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。茎の上部の葉は基部が茎を抱き、無柄、鋸歯がある。花柄は二股分岐を繰り返して球形の花序になり、花が10~20個、固まってつく。花柄の基部には鋸歯のある苞葉が2個ずつつく。花は直径1.5~2.5㎜の淡青色の筒形花、先が5裂する。裂片は長さ約1㎜、先が円い。花筒は長さ約2㎜、中に長毛があり、中間に雄しべ3個がつく。葯は白色。子房は下位、長さ約1.5㎜、緑色、3室。果実は長さ1.8~3㎜。2n=16。花期は4~6月。
品種) 'Accent'PBR , 'Amely'PBR , 'Arpege'PBR , 'Attraction'PBR , 'Baron'PBR , 'Baval' , 'Big Seeded' , 'Bonvita'PBR , 'Calarasi'PBR , 'Canyon'PBR , 'Cavallo' , 'Cirilla'PBR , 'Cupra'PBR , 'Dutch' , 'Elixir'PBR , 'English Broad-leaved' , 'Envaly'PBR , 'Etap'PBR , 'Evolution'PBR , 'Favor'PBR , 'Fesitval'PBR , 'French' , 'Frost'PBR , 'Grote Noordhollandse' , 'Jade' , 'Jovis' , 'Juvert'PBR , 'Mache-Verte d'Etampes' , 'Macholong' , 'Masse' , 'Medaillon' , 'Mirta'PBR , 'Moriau' , 'Nazarro'PBR , 'Nomura' , 'Parade'PBR , 'Paudium'PBR , 'Princess'PBR , 'Pulsar'PBR , 'Revelle'PBR , 'Rodion'PBR , 'Saleen'PBR , 'Selexion'PBR , 'Sensation'PBR , 'Slobolt' , 'Sonett'PBR , 'Stylus'PBR , 'Tauro'PBR , 'Valbon' , 'Veron' , 'Verte a Coeur Plein 2' , 'Verte a Coeur Plein 3' , 'Verte de Cambrai' , 'Veyron'PBR , 'Victor'PBR , 'Violet' (purple) , 'Vision'PBR , 'Vit' , 'Vitabel'PBR
synonym Centranthus cadevallii Sennen
10 Valeriana phu L. バレリアナ・プフ
synonym Valeriana laeta Salisb.
トルコ原産。 golden spikenard, Cretan spikenard イギリスに帰化。野生の植物が採取され、地元で食料、薬、材料源として使用されているが、毒性の可能性もあり注意が必要とされる。
多年草、無毛、高さ40~150cm。根茎は太く、木質。雌雄同株。茎は直立し、細く、節間が長い。葉は根生葉と茎葉、根生葉は長い葉柄があり、葉身は頭大羽状複葉~全裂、小葉は楕円形、先は鋭形、上部の小葉の基部はときに沿下する。茎葉は対生し、小さい。散形花序は頂生と腋生、小さく、花を密につける。花は小さな白色またはピンク色。花に芳香がある。花期は8月。品種のAureaは花序が大きく、広く栽培されている。
品種) golden spikenard 'Aurea' , 'Purpurea'
1年草、高さ10~40㎝。秋には低いロゼットを形成し、春には芽を伸ばす。中央の茎は4稜形、丈夫で、ときに、うねに沿って細い毛がある。茎は上半分で二又分枝する。葉は対生し、長さ7.5㎝×幅2.5㎝・以下、長円形または倒披針形、基部は普通、茎を抱く。各葉には突出した中央脈があり、縁は平滑又は基部に少数の粗い歯があり、ときに、葉縁に細かい毛がある。枝先に小さな白色の花を束生し、頭が平らな花序を頂生する。花序の幅は約1.3~2.5㎝、花が4~12個つき、三角形の緑色の苞に囲まれる。花は直径約3mm。花冠は短く、5裂し、裂片は先にノッチは無い。雄しべは3本、白色。花柱は3深裂する。花期は春中旬~春下旬。花は香りがほとんど~全く無い。果実はうねがあり、3室があり、楕円形、長さが幅よりも長い。果実の1室だけが稔性で、種子は1個だけ含む。根系は、白色の細い枝分かれのある直根からなる。
12 その他ハイブリッド
品種) 'Alba' , 'Coccinea' , 'Dominik' , 'Eurion'PBR , 'Juhawit'PBR , 'Juwabel'PBR , 'Trophy'PBR
1年草生(または2年草)、2出の枝分かれがあり、二又分枝のように見えるが、下部の枝では頂芽が不稔で、無毛または有毛。葉は根生葉と茎葉。根生葉はときにロゼットを形成し、普通、単葉、有柄~ほぼ無柄、不分裂または歯がある。茎葉はしばしば歯があり、ときに全縁、合着し、まれに欠刻状羽状中裂。花序は頂生し、普通、2出集散花序、基部に披針形~長円形の合着する苞が総苞状の輪につく。花は無柄、単生、両性(または単性)で、披針形~長円形の合着する小苞の腋につく。萼片は花時にしばしば短いか又は無く、果時に硬くなるかまたは様々に肥大し、直立し、広がりまたは球状に膨らみ、規則的または斜めになり、全縁または3~6歯があり、3角(つの)があるか、または反曲~鈎状の堅い芒に分かれ、決して羽毛~剛毛に覆われない。花冠は漏斗形、狭い鐘形、または筒状、基部は漸尖し、規則的またはときにギボス(凸月)形になり、決して距は無い。拡大部は5裂し、広がる。雄しべは3本、花冠筒部の上部につき、突き出す。葯は4裂。花柱は先で短くまたは細かく3裂する。柱頭は単純または短く3裂する。果実は痩果、倒披針形~へら形、無毛~有毛、3室あるが外側の2室は空で、通常はそれらの間に明瞭な溝があり、1室だけが稔性で1種子だけをもつ。英名はcorn-salad。
世界に約80(他属に移動する説では30)種があり、地中海沿岸地域、南西アジア、北アフリカに分布する。
synonym Valeriana coronata (L.) Mill. カノコソウ属
2 Valerianella locusta (L.) Laterr. ノヂシャ 野萵苣
synonym Valeriana locusta L.
synonym Valerianella olitoria (L.) Pollich
3 Valerianella radiata (L.) Dufr. シロノヂシャ 白野萵苣
品種) 'Dominik' , 'Eurion'PBR , 'Juhawit'PBR , 'Juwabel'PBR , 'Trophy'PBR
Valerianella
Valerianella
Valerianella
Valerianella
5. C. macrosiphon Boiss.
茎は二股に分枝し、4稜形で白い毛がある。葉は対生し、柔らかく、長さ1.5~9.5㎝、幅0.5~3㎝のへら形~卵形。葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。茎の上部の葉は基部が茎を抱き、無柄、鋸歯がある。花柄は二股分枝を繰り返して球形の花序になり、花が10~20個、固まってつく。花柄の基部には鋸歯のある苞葉が2個ずつつく。花は直径1.5~2.5㎜の淡青色の筒形花、先が5裂する。裂片は長さ約1㎜、先が円い。花筒は長さ約2㎜、中に長毛があり、中間に雄しべ3個がつく。葯は白色。子房は下位、長さ約1.5㎜、緑色、3室。果実は長さ1.8~3㎜。2n=16。
カノコソウ属
family Caprifoliaceae - genus Valeriana多年草。雌雄両全性(hermaphroditic:同一株に両性花のみ)、雌性異株(gynodioecious:両性花の株と雌花の株がある)、不完全異株(polygamo-dioecious:両性花を含む異株)、または雌雄異株(単性雌雄異株dioecious:雌花と雄花が別株で、混在しないもの)であり、無毛または各種の軟毛、絨毛または粗毛があり、毛は1~数細胞、白色または半透明。根茎は長く、ひげ根を持つか、または根茎は縮小し、束生し、しばしば棍棒形の根を持つ。直根はない(中国産種)。匍匐茎(stolons)は有または無。根生葉はロゼットになり、葉柄がありまたはへら形、分裂せず、羽状複葉または羽状中裂し、宿存性または脱落性。茎葉は対生し、葉柄は有~無。葉柄の長さは茎の上部では普通、短くなる。葉身は羽状複葉、羽状中裂、羽状全裂、または分裂しない。花序は、花時に円錐花序または散房花序状となる。花は離れた頂生の房状(clusters)または密集した頭状花序(head)につく。枝は果時に伸長する。最下部の苞(bract)はしばしば分裂し、それ以外は単純で全縁。小苞(bracteole)は単純で苞に似ている。花は両性花、雄花(中国ではない?)または雌花。花時に萼はリング状で、熟した果時では5~15個の裂片が広がり、裂片は長さ4~8㎜、白色の羽毛状になる。花冠は漏斗形(funnelform)、車形(rotate)、または高坏(たかつき)形=高盆形(salverform)、花冠筒部は通常基部近くで凸形(gibbous)になり、拡大部は5裂する。雄しべは3本(Valeriana kawakamiiでは4本)、花冠筒部に挿入される。痩果は背側が扁平、腹側に3脈、背側に1脈があり、不稔の小室は縮小する。宿存する羽毛状の萼片が冠状になり、羽毛は長さ2~7㎜。
世界に約437種があり、温帯、亜熱帯、熱帯の山地に広く分布する。
カノコソウ属の主な種と園芸品種
1 Valeriana alliariifolia Vahl バレリアナ・アリアリーフォリアsynonym Valeriana alliariifolia Adams
synonym Valeriana macrophylla M.Bieb.
ギリシャ、北コーカサス(ロシア)、トランスコーカサス(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)、トルコ、イラン、イラク原産。標高1900~2300mの小川沿いの日陰、森林の牧草地、空き地に生える。
多年草、高さ85~110(150)㎝、大きく広り、無毛。根茎は太くしわのある円筒形で分岐する。茎は中空で、ほぼ溝がある。根生葉は長い葉柄があり、葉柄は長さ5~50㎝、溝がある。葉身は単葉、心形または卵状心形、先は鋭形、縁は不揃いの歯がありまたは時に反り返り、長さ15~50㎝×幅5~25㎝。茎上部の茎葉は小さく、三角形~卵形、ときに披針形で、通常はほ無柄~無柄である。散形花序は密集し、花が多数咲き、2分枝および/または3分枝に分枝する。苞は卵形~披針形、通常は軟毛があるが無毛のこともある。花は小さく白色~淡ピンク色。痩果は無毛。花期は6~8月。果期は8~9月。
品種) 'Sirene'
2 Valeriana amurensis Smirn. ex Kom. ケカノコソウ 毛鹿の子草
朝鮮、ロシア原産。黑水缬草 hei shui xie cao。牧草地、カラマツまたはダケカンバの森に生える。Flora of Chinaでは黒竜江省、吉林省にも分布するとしている。茎、花序の茎、苞の上部に腺毛があることのみが V. officinalis と異なる。
高さ80~150 cm。根茎は縮小し、根は束生し、直径1~2㎜。茎は単生、直立し、単純、微細剛毛があり、上部に腺毛がある。葉は茎葉、5~11対つき、最下部の葉の葉柄は長さ4㎝まで。葉身は長さ9~12㎝×幅4~10㎝、羽状全裂し、裂片は7~10個、卵形~卵状披針形、微軟毛があり、縁には粗い鋸歯がある。上部の葉は類似しているがより小さくなる。花序は花時に頭状、果実に広がる。花序柄と小花柄には腺毛がある。苞は披針形または線形で、腺毛があり、先は鋭形または尖鋭形。花冠はバラ色、漏斗形、長さ3~5㎜。痩果は三角状卵形で、長さ約3㎜、粗毛がある。花期は6~7月。果期は7~8月。
3 Valeriana coronata (L.) Mill. モモイロノヂシャ 桃色野萵苣
synonym Valerianella coronata (L.) DC.
地中海沿岸地域、南西アジア原産。別名はモモイロノジシャ。
高さ6~18㎝。葉は線形~披針形、長さ20~30㎜x幅2~4㎜、上部の葉はしばしば、羽状中裂し、縁にまばらに毛がある。苞は長さ3~4㎜、縁は白色、縁毛がある。花は球形に密に束生する。萼は6裂し、裂片は三角形、鉤がある。痩果は長さ3~5mm、こま形、ワイン色。不稔の室の対は稔性の室より小さい。
4 Valeriana fauriei Briq. カノコソウ 鹿の子草
synonym Valeriana fauriei Briq. f. coreana (Briq.) H.Hara
synonym Valeriana sambucifolia Mikan var. fauriei (Briq.) H.Hara
synonym Valeriana officinalis L var. latifolia Miq.
synonym Valeriana fauriei Briq. var. sachalinensis H.Hara
synonym Valeriana fauriei Briq. f. yezoensis (Kudô) H.Hara
synonym Valeriana fauriei Briq. f. albiflora Akasawa シロバナカノコソウ
synonym Valeriana fauriei Briq. var. dasycarpa H.Hara マンセンカノコソウ
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、台湾、ロシア原産。別名はハルオミナエシ。山地に生える。根と根茎に強い独特の香りがあり、生薬の吉草根として使われる。根茎は短く、匍匐茎は細い。茎は直立し、やや丈夫、長さ40~80㎝、節に密に疣状の長い白色毛がある。根生葉はやや小さく、花時には通常はない。茎葉は対生し、羽状複葉、裂片は5~7個、長円状披針形~倒披針形、長さ2~5(~7)㎝×幅7~15(~25)㎜、粗く鈍い鋸歯があり、無柄、縁に斜上する微小なパピラがある。花序は頂生、花が密に多数つく。苞は線形。花冠は直径約3㎜、長さ5~7㎜、バラ色(淡紅色を帯びた白色)で、花冠筒部は細長く、凸形(gibbous)、花冠裂片は5個、全長の約1/5の長さ。雄しべは4本、長く突き出す。痩果は披針形、長さ約4㎜。花期は5~7月。
5 Valeriana flaccidissima Maxim. ツルカノコソウ 蔓鹿の子草
日本(本州、四国、九州)、中国(安徽省、重慶、甘粛省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、四川省、台湾原産。中国名は柔垂缬草 rou chui xie cao。標高400~3600mの森林の縁、草地、小川沿いに生える。
高さは20~80㎝、匍匐茎を持つ。根茎は長さ2~8㎝、根はひげ根、直径0.5㎜未満。匍匐茎は葉の多いロゼット状で終わる。茎は直立し、単純で無毛。根生葉は単葉または3裂し、縁は小円鋸歯状または全縁、先は鈍形。茎葉は卵形、羽状全裂し、無毛、または葉脈に沿って下面に微軟毛がある。裂片は3~7個、離れている。頂裂片は卵形または披針形、長さ2~4㎝×幅1~2㎝、下面は無毛または軟毛があり、縁は粗い鋸歯状、先は鈍形または尖鋭形。側裂片は似ているがより小さい。花序は円錐花序形。総苞片と小苞は線形~線状披針形。小苞は痩果と同長程度かやや短い。花冠は赤紫色または白色、漏斗形、長さ2.5~3.5㎜。花冠裂片は長円形~卵状長円形、花冠筒部より短い。雄しべと花柱は通常花冠から突出する。痩果は狭卵形、長さ約3㎜、無毛または微細剛毛がある。花期は(3~)4~6月。果期は5~8月。
6 Valeriana kawakamii Hayata ミヤマカノコソウ 深山鹿の子草
synonym Valeriana nokozanensis Yamam.
台湾原産。中国名は高山缬草 gao shan xie cao。別名はノウコウカノコソウ。高地の森林に生える。
植物は高さ10~20cmで、匍匐茎を持つ。根茎は短く細い。茎は単純で無毛。下部の茎葉は長い葉柄がある。葉柄は葉身とほぼ同じ長さで、半抱茎である。葉身は倒卵形~へら形で、長さ2~3㎝×幅0.8~1㎝、羽状全裂、頂裂片(小葉)は卵形、長さ約10㎜×幅7~10㎜、微軟毛があり、やがて無毛になり、基部は楔形、縁は全縁または離れた歯があり、縁毛があり、先は鈍形~鋭形、側裂片は類似しているがより小さく、約・長さ4㎜×幅2㎜、上部では次第に縮小する。上部の葉は離れており、より小さい。小葉は3~5枚。花序は散房花序、直径1~2㎝。苞は線形、約・長さ4㎜×幅0.5㎜、基部は広がり、抱茎、耳があり、縁毛があり、縁は全縁、先は鈍形。花は無柄。花冠は筒状鐘形、約・長さ2.7㎜×幅1.5㎜。花冠裂片は長円状三角形、約・長さ0.7㎜×幅0.7㎜、無毛、先は鈍形。花糸は花冠筒部の中央部に挿入され、長さ約1㎜、花冠中に含まれ、無毛。雄しべは4本、花冠筒部の先端に挿入される。花柱は突出し、長さ1~1.5㎜。柱頭は棍棒形。痩果は長円形状卵形、長さ約3㎜。花期は4~7月。果期は7月。
7 Valeriana officinalis L. セイヨウカノコソウ 西洋鹿の子草
synonym Valeriana alternifolia Bunge コウアンカノコソウ
アルバニア、オーストリア、バルト諸国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、チェコスロバキア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、サルデーニャ島、クリミア半島、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)、ウクライナ、ユーゴスラビア、ロシア、トルコ、イラン、インド原産。別名はヨウシュカノコソウ。中国でも見られ、中国名は缬草 xie cao。標高2500m以下または青海省、四川省、西蔵省では標高4000mまでの草地の斜面、森林、小川沿いに生える。
高さ150cmまでになり、まれに匍匐茎を持つ。根茎は縮小し、根は束生し、棍棒形、直径1.5~2.5㎜。茎は粗毛または微細剛毛があり、特に節に多く、まれに無毛である。根生葉と最下部の茎葉は通常花時にしおれる。茎葉は葉柄が有~無、葉柄は長さ0~8㎝。葉身は卵形~広卵形、長さ5~15㎝×幅3~8㎝、羽状全裂する。裂片は7~15個、披針形または線形、無毛または±微細剛毛があり、基部は沿下し、縁は全縁または粗い鋸歯がある。頂裂片と側裂片は形と大きさが類似している。花序は散房花序、大きく、果時でもコンパクトであるか、または2個の明瞭な2次側花序を持つ。苞は下部では葉状で、それ以外は小さく線状披針形。小苞は楕円状長円形、倒披針形、または線状披針形、縁は薄膜状で縁毛があり、先には芒がある。花冠は紫赤色、ピンク色、または白色、漏斗形、長さ4~6㎜。花冠裂片は楕円形。雄しべと花柱は強く突き出る。痩果は狭卵形、長さ4~5㎜、両面は無毛または軟毛がある。花期は5~7月。果期は6~10月。2n=14, 28, 42, 56。
品種) 'Arterner Zuchtung' , 'Chiri Fu' (v) , 'Variegata' (v)
8 Valeriana locusta L. ノヂシャ 野萵苣
synonym Valerianella locusta (L.) Laterr.
synonym Valerianella olitoria (L.) Pollich
ヨーロッパ、北アフリカ、アジア(コーカサス、西部)原産。英名はcorn salad, common valeriana, common cornsalad, Lewiston cornsalad, lamb's lettuce。別名はノジシャ。道端、草地に野生化している。
2年草、高さ10~30㎝。茎は二股に分枝し、4稜形で白い毛がある。葉は対生し、柔らかく、長さ1.5~9.5㎝、幅0..5~3㎝のへら形~卵形。葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。茎の上部の葉は基部が茎を抱き、無柄、鋸歯がある。花柄は二股分岐を繰り返して球形の花序になり、花が10~20個、固まってつく。花柄の基部には鋸歯のある苞葉が2個ずつつく。花は直径1.5~2.5㎜の淡青色の筒形花、先が5裂する。裂片は長さ約1㎜、先が円い。花筒は長さ約2㎜、中に長毛があり、中間に雄しべ3個がつく。葯は白色。子房は下位、長さ約1.5㎜、緑色、3室。果実は長さ1.8~3㎜。2n=16。花期は4~6月。
品種) 'Accent'PBR , 'Amely'PBR , 'Arpege'PBR , 'Attraction'PBR , 'Baron'PBR , 'Baval' , 'Big Seeded' , 'Bonvita'PBR , 'Calarasi'PBR , 'Canyon'PBR , 'Cavallo' , 'Cirilla'PBR , 'Cupra'PBR , 'Dutch' , 'Elixir'PBR , 'English Broad-leaved' , 'Envaly'PBR , 'Etap'PBR , 'Evolution'PBR , 'Favor'PBR , 'Fesitval'PBR , 'French' , 'Frost'PBR , 'Grote Noordhollandse' , 'Jade' , 'Jovis' , 'Juvert'PBR , 'Mache-Verte d'Etampes' , 'Macholong' , 'Masse' , 'Medaillon' , 'Mirta'PBR , 'Moriau' , 'Nazarro'PBR , 'Nomura' , 'Parade'PBR , 'Paudium'PBR , 'Princess'PBR , 'Pulsar'PBR , 'Revelle'PBR , 'Rodion'PBR , 'Saleen'PBR , 'Selexion'PBR , 'Sensation'PBR , 'Slobolt' , 'Sonett'PBR , 'Stylus'PBR , 'Tauro'PBR , 'Valbon' , 'Veron' , 'Verte a Coeur Plein 2' , 'Verte a Coeur Plein 3' , 'Verte de Cambrai' , 'Veyron'PBR , 'Victor'PBR , 'Violet' (purple) , 'Vision'PBR , 'Vit' , 'Vitabel'PBR
9 Valeriana macrosiphon (Boiss.) E.Vilm. ウスベニカノコソウ 薄紅鹿の子草
synonym Centranthus calcitrapae var. macrosiphon (Boiss.) Pau
synonym Centranthus macrosiphon Boiss.synonym Centranthus cadevallii Sennen
synonym Valeriana cadevallii (Sennen) Christenh. & Byng
スペイン、アルジェリア、モロッコ原産。地は南ヨーロッパで越年生草本。別名はナガバカノコソウ。英名はlong-spurred valerian。標高10~1720mの荒地、道端、樫木類の林の林縁、林内に生える。山口県東和町で1988年に初めて野生化が確認された。現在は多数野生化している。 1年草または越年草。高さ70㎝まで、直立し、単純または基部で分枝し、節間は長さ13.5㎝まで、葉の多い腋生の枝はつかない。葉の基部に3本の平行な葉脈があり、上部で分岐する。根生葉は葉柄が長さ10~45(53)㎜、葉身は長さ8~40(75)㎜×幅5~35(40)㎜、卵形、倒卵形またはほぼ円形、縁は全縁または歯があり、まれに頭大羽状中裂、裂片は歯状または円鋸歯。茎葉は長さ(7)11~95㎜×幅(3)5~40㎜、茎の上部ではサイズが小さくなる。中型の葉は葉柄が長さ(6)13~40(62)㎜、葉身は卵形、倒卵形、またはほぼ円形、頭大羽状中裂または頭大羽状全裂し、頂裂片は楕円形または倒卵形で、側裂片は長円形、縁は全縁または歯状。上部の葉は無柄、羽状深裂し、裂片は全縁または歯状。花序は1次の苞が長さ(3.2)3.6~7.6(11)㎜×幅0.5~1.6㎜、2次の苞は長さ(2.6)3.4~6.8(7,5)㎜×幅0.5~1(1.2)㎜。小苞は長さ(2.2)2.4~5.2(5.9)㎜×幅0.5~0.8(1)㎜。花冠はピンク色。花冠筒部は長さ(4)5~9.6(10.4)㎜、長さ0.5~1.3(1.6)㎜の距があり、線形、花冠筒部の基部を越える。花冠筒部は隔壁によって2個の別々の区画に分かれ、1個は距の中に伸び、内側には毛がある。拡大部は裂片が長さ(1)1.2~2.4(2.7)㎜×幅0.5~1.4(1.6)㎜。雄しべは花糸が長さ3.4㎜まで、無毛。葯は長さ(0.7)1~1.6㎜、帯黄色。花柱は長さ12.8㎜以下、柱頭は3個の斑紋のある枝を持つ。痩果は長さ(2)2.4~3.4(3.8)㎜×幅(0.8)1.1~1.8(2.4)㎜、無毛または長さ0.1~0.2(0.3)㎜の帯白色の毛が全体にあり、栗色または麦わら色。冠毛は長さ0.4~1㎜の筒と長さ3.1~4.4㎜の12~17(18)本の羽状剛毛を持つ。種子は長さ(2)2.2~3㎜×幅1.1~1.4㎜、帯黄色または褐色。2n=32。花期は3~6(7)月。10 Valeriana phu L. バレリアナ・プフ
synonym Valeriana laeta Salisb.
synonym Valeriana hortensis Lam. in Fl. Franç. 3: 359 (1779)
synonym Valeriana laevicaulis Stokesトルコ原産。 golden spikenard, Cretan spikenard イギリスに帰化。野生の植物が採取され、地元で食料、薬、材料源として使用されているが、毒性の可能性もあり注意が必要とされる。
多年草、無毛、高さ40~150cm。根茎は太く、木質。雌雄同株。茎は直立し、細く、節間が長い。葉は根生葉と茎葉、根生葉は長い葉柄があり、葉身は頭大羽状複葉~全裂、小葉は楕円形、先は鋭形、上部の小葉の基部はときに沿下する。茎葉は対生し、小さい。散形花序は頂生と腋生、小さく、花を密につける。花は小さな白色またはピンク色。花に芳香がある。花期は8月。品種のAureaは花序が大きく、広く栽培されている。
品種) golden spikenard 'Aurea' , 'Purpurea'
11 Valeriana woodsiana (Torr. & A.Gray) Christenh. & Byn シロノヂシャ 白野萵苣
synonym Valerianella radiata (L.) Dufr.g
synonym Valerianella radiata f. parviflora (Dyal) Egg.Ware
USA東部原産。英名はbeaked corn-salad , woods corn-salad。別名はシロノジシャ。1年草、高さ10~40㎝。秋には低いロゼットを形成し、春には芽を伸ばす。中央の茎は4稜形、丈夫で、ときに、うねに沿って細い毛がある。茎は上半分で二又分枝する。葉は対生し、長さ7.5㎝×幅2.5㎝・以下、長円形または倒披針形、基部は普通、茎を抱く。各葉には突出した中央脈があり、縁は平滑又は基部に少数の粗い歯があり、ときに、葉縁に細かい毛がある。枝先に小さな白色の花を束生し、頭が平らな花序を頂生する。花序の幅は約1.3~2.5㎝、花が4~12個つき、三角形の緑色の苞に囲まれる。花は直径約3mm。花冠は短く、5裂し、裂片は先にノッチは無い。雄しべは3本、白色。花柱は3深裂する。花期は春中旬~春下旬。花は香りがほとんど~全く無い。果実はうねがあり、3室があり、楕円形、長さが幅よりも長い。果実の1室だけが稔性で、種子は1個だけ含む。根系は、白色の細い枝分かれのある直根からなる。
12 その他ハイブリッド
品種) 'Alba' , 'Coccinea' , 'Dominik' , 'Eurion'PBR , 'Juhawit'PBR , 'Juwabel'PBR , 'Trophy'PBR
ノヂシャ属
family Caprifoliaceae - genus Valerianella1年草生(または2年草)、2出の枝分かれがあり、二又分枝のように見えるが、下部の枝では頂芽が不稔で、無毛または有毛。葉は根生葉と茎葉。根生葉はときにロゼットを形成し、普通、単葉、有柄~ほぼ無柄、不分裂または歯がある。茎葉はしばしば歯があり、ときに全縁、合着し、まれに欠刻状羽状中裂。花序は頂生し、普通、2出集散花序、基部に披針形~長円形の合着する苞が総苞状の輪につく。花は無柄、単生、両性(または単性)で、披針形~長円形の合着する小苞の腋につく。萼片は花時にしばしば短いか又は無く、果時に硬くなるかまたは様々に肥大し、直立し、広がりまたは球状に膨らみ、規則的または斜めになり、全縁または3~6歯があり、3角(つの)があるか、または反曲~鈎状の堅い芒に分かれ、決して羽毛~剛毛に覆われない。花冠は漏斗形、狭い鐘形、または筒状、基部は漸尖し、規則的またはときにギボス(凸月)形になり、決して距は無い。拡大部は5裂し、広がる。雄しべは3本、花冠筒部の上部につき、突き出す。葯は4裂。花柱は先で短くまたは細かく3裂する。柱頭は単純または短く3裂する。果実は痩果、倒披針形~へら形、無毛~有毛、3室あるが外側の2室は空で、通常はそれらの間に明瞭な溝があり、1室だけが稔性で1種子だけをもつ。英名はcorn-salad。
世界に約80(他属に移動する説では30)種があり、地中海沿岸地域、南西アジア、北アフリカに分布する。
ノヂシャ属の主な種
1 Valerianella coronata (L.) DC. モモイロノヂシャ 桃色野萵苣synonym Valeriana coronata (L.) Mill. カノコソウ属
2 Valerianella locusta (L.) Laterr. ノヂシャ 野萵苣
synonym Valeriana locusta L.
synonym Valerianella olitoria (L.) Pollich
3 Valerianella radiata (L.) Dufr. シロノヂシャ 白野萵苣
synonym Valeriana woodsiana (Torr. & A.Gray) Christenh. & Byng
4 その他ハイブリッド品種) 'Dominik' , 'Eurion'PBR , 'Juhawit'PBR , 'Juwabel'PBR , 'Trophy'PBR
参考
1) Flora of PakistanValerianella
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110810
2) Plants of the World Online| KewscienceValerianella
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30019025-2
3) World Flora OnlineValerianella
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000039960
4) Jepson eFlora: Taxon pageValerianella
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=10573
5) Flora Iberica5. C. macrosiphon Boiss.
http://www.floraiberica.es/floraiberica/texto/pdfs/15_157_02_Centranthus.pdf