ニワゼキショウ 庭石菖

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Flora of Mikawa

アヤメ科  Iridaceae  ニワゼキショウ属

英 名 annual blue-eyed grass
学 名 Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell
Sisyrinchium atlanticum auct. non
ニワゼキショウの花
ニワゼキショウ花裏
ニワゼキショウ白花
ニワゼキショウ白花裏
オオニワゼキショウ花裏
ニワゼキショウ果実
ニワゼキショウ果実
ニワゼキショウ種子
ニワゼキショウ
ニワゼキショウ白花まじり
ニワゼキショウ葉
ニワゼキショウ葉先
花 期 5~6月
高 さ 10~20㎝
生活型 多年草(1年草又は短命な多年草)
生育場所 日当たりのよい道端
分 布 帰化種 北アメリカ原産
撮 影 蒲郡市 11.6.9
明治の中頃渡来し、帰化したものである。
 茎は基部で枝分かれして直立し、両側に目立たない翼(ひれ)があり扁平、幅約2㎜(実測1.1~1.3㎜)。葉は剣状葉、長さ4~8㎝、幅2~4㎜(実測1.5~2.0㎜)、縁に微細な鋸歯があり、二つ折りになり茎を抱き、茎に沿って直立する。花は直径約15㎜。花被片は淡紅紫色で、紫色の筋があり、基部は合着して黄色。内花被片3個、外花被片3個からなり、内花被片の方がやや幅が狭い。白花のものがあり、混生することも多い(白花とオオニワゼキショウとの比較)。白花が優性遺伝である。花被片の表面は紫色の筋が目立たないものが多く、特に白花の表面にはほとんど筋がない。裏面の筋ははっきりしたものが多いが、場所によって色が薄いものもある。花被片の先はやや丸くなって急に小さく尖る。子房下位。雌しべ1個、花柱の先は糸状に3裂する。雄しべ3個、花糸は下半部が合着し、花柱を抱いてやや丸くなり、腺毛を密生する(花の詳細参照)。雌しべと雄しべはほぼ同長。花粉は大きさが不揃いといわれている。蒴果は直径 2.1~4.2(約3)㎜の球形、紫色を帯びた黄褐色。種子は長さ0.5~1㎜、黒褐色。2n=32。
 オオニワゼキショウ は花が淡青色で、花の中心部の濃色部分が小さく、筋が薄い。果実も直径約5㎜と大きく、茎の幅も明らかに広い。花糸の下半部が合着するなど似たところも多い。オオニワゼキショウとニワゼキショウが混生する場所では交雑種も見られるといわれている。2n=32。
 ルリニワゼキショウ(別名 アイイロニワゼキショウ) Sisyrinchium angustifolium P.Mill.= Sisyrinchium graminoides E. P. Bicknell(Narrow-leaved Blue-eyed Grass)がニワゼキショウではないかとされたことがある。オオニワゼキショウより大きくなる。1年草とされていることがあるが多年草。花被片の先は芒状になるものがあるが、円形又は凹むものもある。花糸はほぼ完全に合着して管柱状になる。蒴果が暗褐色~黒色、直径4~7㎜。2n=96。
 Sisyrinchium atlanticum E.P. Bicknell (eastern blue-eyed grass)がニワゼキショウとされたこともある。多年草。 花糸はほぼ完全に合着。子房が黒色を帯びる。雌しべが雄しべより長い。蒴果が暗褐色~黒色、直径2~4.1㎜。2n=16,32。

ニワゼキショウ属

 family  Iridaceae - genus Sisyrinchium

 1年草又は多年草、叢生し、根茎が有(ときに、叢生するとき不明瞭)又は無く、ときに太くなり、肉質の根をもつ。茎は花茎状又は分枝し、扁平、2翼がある。葉は2~6個、根生葉、又は根生葉と茎葉、互生基部は跨状(equitant)。葉身は平坦、剣形、普通、無毛。花序は扇状花序(rhipidiate)、普通、頂生(たまに基部につく花もある)、花が1~11(~15)個つき、仏炎苞は2個、対生し、緑色又は紫色を帯び、跨状、等長又は不等長、平滑又はザラつき、縁は透明、先は一様、鋭形~鈍形又は2裂。外側の仏炎苞の縁は普通、基部で合着する。花は芳香が無く、放射相称。花被片は広く、平開~後屈(S. minus と S. rosulatumは基部が鐘形 )、ほぼ分離し、青紫色~薄青色~白色~ラベンダー色~ピンク色~マゼンタ色~紫色~黄色、爪部は無く、ほぼ等長。雄しべは対称的につく。花糸は分離、基部が合着又は筒状「になり、先まで均等に先細になる(S. rosulatumでは基部が膨れる)。葯は平行、取り囲むが、花柱の枝に伏せない。花柱は3本、直立し、少なくとも基部で合着し、糸状、広く花弁状にならず、雄しべの間から突き出し、普通、葯を超える。果実は蒴果、ほぼ球形、平滑~下に横たわる種子により粗くなり、先は普通、丸い。種子は多数、球形~倒円錐形~半球形、種皮は黒色、顆粒状~しわ状。x = 8.。
 世界に約80種あり、アメリカ、ハワイに分布する。

ニワゼキショウ属の主な種と園芸品種

1 Sisyrinchium angustifolium Mill.  ルリニワゼキショウ 瑠璃庭石菖
  synonym Sisyrinchium graminoides E.P.Bicknell
 USA、カナダ原産。英名はnarrow-leaf blue-eyed-grass
 多年草、叢生し、暗オリーブ緑色~青銅色、又は乾くと帯黒色、高さ45㎝以下、粉白にならない。茎は分枝し、1~2節をもち、幅2.3~5㎜、無毛、縁はしばしば微細な歯があり、特に基部に多く、色や手触りは茎と等しく、初め、節間は長さ10~30㎝、普通、葉より長い。最上部の節は1~3枝をもつ。葉身は無毛、基部に繊維状の房は宿存しない。花序は1個つく。仏炎苞は普通、緑色、支持する枝より明瞭に幅が広く、無毛、竜骨は歯状~全縁。外仏炎苞は長さ18~38㎜×幅2~9.5㎜、内仏炎苞より長く、普通、先に向かって均等に先細になり、縁は基部が4~6㎜合着する。無い仏炎苞は竜骨は均等に曲がり又は真っすぐで、縁は幅0.1~0.3㎜が透明になり、先は尖鋭形~鋭形、上部は0.2~0.7㎜、緑色の先で終わる。花被片は淡青色~紫色、たまに白色、基部は黄色。外花被片は長さ7.7~12.5㎜、先は円形又は凹形、芒状になる。花糸はほぼ全体に合着し、基部に有柄の腺がある。子房は色が葉に似る。蒴果は褐色又は黒色、ときに紫色を帯び、ほぼ球形、長さ4~7㎜。花柄は広がるか又は斜上する。種子は球形~倒円錐形、明白な凹みは無く、長さ0.5~1.2㎜、しわがある。2n = 96。花期は春~初夏。
品種)  'Album' , 'Blue Note' , 'Holly' (v) , 'Lucerne'

2 Sisyrinchium atlanticum E.P.Bicknell  
  synonym Sisyrinchium mucronatum Michx. var. atlanticum (Bickn.) H. Ahles
 カナダ、USA原産。英名はeastern blue-eyed grass。ニワゼキショウの学名とされていtことがある。
 多年草、叢生し、乾くと、帯黄色~薄オリーブ色、高さ57㎝以下、粉白にならない。茎は分枝し、1~2節をもち、幅0.8~1.9㎜、普通、無毛、縁は全縁、色や質感は茎に似ていて、初め、節間は11~36㎜、葉より長く、最も上部の節は2~3枝をもつ。葉は普通、無毛、基部はたまに繊維状なるが、房は宿存しない。花序は1個、仏炎苞は緑色たまに縁が紫色を帯び、支持する枝より明らかに幅が広く、無毛又はわずかにザラつき、竜骨は全縁。外仏炎苞は長さ12~16.1㎜、内仏炎苞より1.4㎜短い~1.5㎜長く、先に向かって均等に先細になり、縁は基部で3~5.2㎜合着する。内仏炎苞は竜骨が均等に曲がり又は真っすぐで、縁が幅0.2~0.6㎜、透明になり、先は広円形~切形、普通、微細不整歯があり、緑の先端から下部0~0.5㎜で終わり、たまに0.5㎜を超える。花被は薄青色又は青紫色、たまに白色、基部は黄色。外花被片は長さ6.3~11㎜、先は凹形~切形、芒がある。花糸はほぼ全体に合着し、基部に有柄の腺がある。子房はかなり薄色の葉に対して帯黒色。蒴果は暗褐色~黒色~紫黒色、ほぼ球形~倒卵形、長さ2~4.1㎜。花柄は斜上又は直立する。種子は球形~倒円錐形、明白なくぼみは無く、長さ0.5~1.2㎜、小しわ又はたまに顆粒がある。2n = 16, 32。花期は春~初夏。
品種) 'Sunsisibu' (PBR) , 'Sunsisicre' (PBR) , 'Sunsisiki' (PBR)

3 Sisyrinchium bellum S.Watson シシリンキウム・ベルム
 USA、メキシコ原産。英名はwestern blue-eyed grass , blue-eyed grass
 多年草、叢生し、乾くと緑色~灰オリーブ色、高さ38㎝以下、粉白色になならない。茎は分枝し、1~2節をもち、幅1.5~5.3㎜、無毛、縁は全縁~先が小歯状、色や質感は茎に似て、最初の節間は11~33㎝、普通、葉と同長又は葉より長い。最上部の節に枝が2~3本つく。葉身は無毛、基部に繊維状の房は宿存しない。花序は1個。仏炎苞は緑色、支持する枝より明白に幅が広く、無毛、竜骨は全縁~小歯状。外仏炎苞は長さ14~30㎜、普通、内仏炎苞より2~7㎜長く、先に向かって均等に先細になり、縁は基部が4~7.6㎜合着し、竜骨は均等に曲がるか又は真っすぐ、縁は幅0.1~0.7㎜、透明、先は急に広くなり、緑色の先端まで下が0.2~1.3㎜で終わる。花被は薄青色~暗青紫色、まれに帯紫色又は白色、基部は帯黄色。外花被片はしばしば、広楔形、長さ10~17㎜、先は円形、切形、又は、たまに凹形、芒がある。花糸はほぼ全体が合着、普通、無毛。子房は色が葉に似る。蒴果はタン色~暗褐色、球形~倒卵形、長さ3~5㎜。花柄は直立~斜上。種子は球形~倒円錐形、明瞭な凹みは無く、長さ1.5~2.2㎜、小しわがある。2n = 32。花期は初春~晩夏。
品種) 'Album' , 'Californian Skies'カリフォルニア・スカイ dwarf 15-20 cm(California blue-eyed grass) , 'E. K. Balls' , 'Figeroa' , 'Greyhound Rock' , 'Nanum' , 'Occidental' , 'Rocky Point' , 'Wayne's Dwarf'

4 Sisyrinchium bermudiana L.
 バミューダ諸島原産。英名はblue-eyed-grass
品種) 'Album'

5 Sisyrinchium californicum (Ker Gawl.) Dryand.
 USA原産。英名はgolden blue-eyed grass , yellow-eyed-grass , golden-eyed-grass
 多年草、叢生し、乾くと、暗褐色~黒色、高さ62㎝以下、粉白にならない。茎は1本、幅2~6.8㎜、無毛、縁は全縁、色や質感は茎に似ている。葉身は無毛、基部に繊維状の房は宿存しない。花序は1個、仏炎苞はほとんどが、帯緑色、無毛、竜骨は全縁。外仏炎苞は長さ13~53㎜、内仏炎苞より2.2~9㎜長く、先に向かって均等に先細になり、縁は基部で3~8㎜合着する。内仏炎苞は竜骨が真っすぐから均等に曲がり、縁が幅0.5~1㎜透明になり、先は普通、円形、たまに微細不整歯があり、緑色の先端の下部0.2~1㎜で終わる。花被片は黄色~明るい黄色で、帯褐色の脈がある。外花被片は長さ12~18㎜、先は円形~鋭形、芒がある。花糸はほぼ分離。子房は色が葉と同じ。蒴果は暗褐色~黒色、広紡錘形又はわずかにこま形、長さ6~13㎜。花柄は直立~斜上。種子は半球形、平らな側がわずかに凹み、長さ0.7~1.5㎜、小しわがある。 2n = 32, 34, 36。花期は春~晩夏。
品種) Brachypus Group , 'Variegatum' (v) , 'Yellow Stone' , 'Yellowstone'

6 Sisyrinchium idahoense E.P.Bicknell
 USA原産。英名は Idaho blue-eyed grass
 多年草、叢生し、乾くと、緑色~灰オリーブ色、高さ45㎝以下、粉白にならない。根茎はほとんど見られない。茎は1本、明瞭な翼があり、幅1~2.5㎜、無毛、縁は全縁~先に小歯があり、色や質感は茎に似ている。葉身は無毛、基部に繊維状の房は宿存しない。花序は1個、仏炎苞は普通、緑色、無毛、竜骨は全縁~小歯状。外仏炎苞は長さ14~55(~65)㎜、内仏炎苞より13~16㎜長く、基部で2.6~7㎜合着し、先に向かって均等に先細になる。内仏炎苞は竜骨が均等に曲がるか真っすぐになり、縁が幅0.1~0.5㎜透明になり、先は尖鋭形~鋭形、緑色の先端の下部0.5~2.1㎜で終わる。花被片は薄青紫色~濃青紫色、たまに紫色、基部は黄色。外花被片は長さ8~20㎜、先は円形、切形、又は凹形、芒がある。花糸はほぼ全部、合着し、基部に有柄の腺がある。子房は色が葉と同じ。蒴果はベージュ色~薄褐色~暗褐色、たまに先に紫色のしみがあり、ほぼ球形~梨形、長さ3~6㎜。花柄は直立~斜上。種子は球形~倒円錐形、明瞭な凹みは無く、長さ0.8~1.8㎜、普通、顆粒状。2n = 32。花期は春~初夏。4変種がある。
品種) 'Album'
6-1 Sisyrinchium idahoense var. macounii (E. P. Bicknell) Douglass M. Henderson
品種) 'Album'

7 Sisyrinchium micranthum Cav.  オオニワゼキショウ 大庭石菖
  synonym Sisyrinchium sp. aff. iridifolium Kunth 
 メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はblue pigroot , striped rush-leaf , Bermuda pigroot , lily-rush , scourweed , striped rushleaf。
 花が淡青色で、花の中心部の濃色部分が小さく、筋が薄い。果実も直径約5㎜と大きく、茎の幅も明らかに広い。花糸の下半部が合着するなど似たところも多い。オオニワゼキショウとニワゼキショウが混生する場所では交雑種も見られるといわれている。2n=32。

 1年草又は多年草。茎は普通、分枝し、結合し、平らになり翼があり、高さ10~60㎝、幅1~3㎜。根茎は短い。葉は線形、剣形、長さ5~20㎝×幅1.5~5㎜。仏炎苞は狭披針形、ほぼ等長、長さ1.5~5㎝、尖鋭形。花柄は長さ2.5~4㎝。花被は長さ10~15㎜×直径10~20㎜、基部近くでわずかに凸面、白色~クリーム色、紫褐色又は青色ののど部をもち、外側に紫色の縞模様がある。花被片は長円形、鋭形~尖鋭形、普通、外側にまばらに腺毛があり、広く広がり又は先が後屈する。雄しべの花糸は長さ2~3㎜、ほとんど完全に統合する。葯は長さ約1.5㎜。子房は直径1~2㎜、無毛又は腺毛がある。蒴果は直径(3~)4~6(8)㎜、褐色、無毛。種子は角(かど)があり、直径約1㎜、暗褐色。花期は5~6月、オーストラリアで10~2(~4)月。2n = 16 , 32 , 48。(参考2、3)

※ オオニワゼキショウは学名がSisyrinchium micranthum Cav.とされるまでは不明とされ、Sisyrinchium iridifolium Kuntではないかとされていた。
 Sisyrinchium iridifolium Kunt=S. laxum Otto ex Simsは南アメリカ、メキシコ原産であり、オーストラリア、ニュージーランド、U.S.A.などへ帰化し、blue pigrootと呼ばれている。この変種という説がある。 Flora of Australia Volume (1986)の解説では次のとおりであり、同じものとは考えにくい。
 1年草又は多年草。根茎は短い。茎は扁平、翼があり、高さ10~60㎝、幅1~2.5㎜。葉は剣状、長さ5~20㎝、幅1.5~5㎜。苞は先が尖り、長さ1.5~5㎝、花が2~5個つく。花被は下部が壺形、上は直径1~2㎝、白色~クリーム色、中心は紫色~青色。萼片と花弁は惰円形、先が尖り、外側に柔毛がある。雄しべは花柱の分岐より高い。花糸は長さ2~3㎜、ほぼ完全に合着し、基部は膨らんで乳頭状突起(腺毛)がある。葯は長さ約1.5㎜。子房は直径1~2㎜、柔毛がある。蒴果は直径3~6㎜、無毛、褐色。種子は直径約1㎜、暗褐色、角張る。

8 Sisyrinchium montanum Greene
 北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はstrict blue-eyed grass , blue-eyed-grass , American blue-eyed-grass
 多年草、叢生し、乾くと、淡緑色~オリーブ緑色~暗褐色~ブロンズ色、高さ50㎝以下、粉白にならない。根茎はほとんど見られない。茎は1本、明瞭な翼があり、幅(1.5~)2~3.7 ㎜、無毛、縁は全縁(東部では)~先に小歯があり(西部では)、色や質感は茎に似ている。葉身は無毛、基部に繊維状の房は宿存しない。花序は1個、仏炎苞は普通、緑色~ブロンズ色、まれに縁が紫色を帯び、無毛、竜骨は普通、小歯状。外仏炎苞は長さ36~76㎜、内仏炎苞より12~46㎜長く、下部から先までわずかにくびれ、縁は基部で2~5.7㎜合着する。内仏炎苞は竜骨が基部でほぼギボウス状になり、均等に曲がり、たまに基部がギボス状になり、下部が曲がりくねり、縁が幅0.1~0.3㎜透明になり、先は尖鋭形~鋭形、反曲する緑色の先端の下部0.9~4.3㎜で終わる。花被片は暗青紫色、基部は黄色。外花被片は長さ9~14.5㎜、先は凹形~微凹形、芒がある。花糸はほぼ全部、合着し、基部に有柄の腺がある。子房は色が葉と同じ。蒴果はタン色~暗褐色、ときに先が紫色を帯び、ほぼ球形~倒卵形、長さ4~6.8㎜。花柄は直立~広がる。種子は球形~倒円錐形、明瞭な凹みは無く、長さ0.9~1.5㎜、小しわがある。花期は晩春~初夏。北アメリカに2変種ある。
品種) 'Album'

4 Sisyrinchium mucronatum Michx.  ヒトフサニワゼキショウ 一房庭石菖
 北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はneedletip blue-eyed grass
 多年草、叢生し、乾くと、鈍い緑色~オリーブ色、高さ42㎝以下、粉白にならない。根茎はほとんど見られない。茎は1本、しばしば帯紫色、ほとんど針金状、ごく狭い又はかすかに判る翼があり、幅0.9~2㎜、普通、無毛、縁は普通、全縁~先に小歯があり、色や質感は茎に似ている。葉身は普通、無毛、基部に繊維状の房は宿存しない。花序は1個、仏炎苞はほとんどが、帯紫色、無毛からわずかにザラつき(南部地域で)、竜骨は全縁。外仏炎苞は長さ14~31㎜、内仏炎苞より長く、先に向かって均等に先細になり、縁は基部で(0.7~)1~2.7㎜合着する。内仏炎苞は竜骨が均等に曲がり、たまに基部がギボス状になり、縁が幅0.1~0.3㎜透明になり、先は尖鋭形~鋭形、緑色の先端の下部0.5~3.2㎜で終わる。花被片は暗青色又は青紫色、たまに白色、基部は黄色。外花被片は長さ9~12.5㎜、先は凹形~円形、芒がある。花糸はほぼ全部、合着し、基部に有柄の腺がある。子房は色が葉と同じ。蒴果はタン色~薄褐色、先が紫色を帯び、ほぼ球形、長さ3.2~5.5㎜。花柄は広がるか又は直立。種子は球形~倒円錐形、明瞭な凹みは無く、長さ0.8~1.5㎜、普通、顆粒状。2n = 32。花期は春~初夏。

5 Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell  ニワゼキショウ 庭石菖
  synonym Sisyrinchium atlanticum auct. non E.P.Bicknell 
  synonym Sisyrinchium angustifolium auct. non Mill. 
  synonym Sisyrinchium brownii Small
  synonym Sisyrinchium exile E.P.Bicknell  キバナニワゼキショウ
  synonym Sisyrinchium iridifolium auct. non Kunth
 北アメリカ(USA)原産.英名はannual blue-eyed grass。
 1年草又は短命の多年草、叢生し、黄緑色~緑色、乾くと暗オリーブ緑色、高さ36㎝以下、粉白とならない。茎は分枝、まれに1本、1~2(~3)節があり、幅0.7~2㎜、無毛、縁は普通、全縁、色や質は均一。はじめ節間は2~10㎝、普通、葉より短い。最上部の節には1~2枝がつく。葉身は無毛、基部のはは宿存せず、繊維状の房になる。花序は1個つき、仏炎苞は緑色、支える枝より明瞭に幅が広く、無毛、竜骨は普通、全縁、外側の仏炎苞は長さ13~32.2㎜、内側の仏炎苞より、2~8.2㎜長く、先に向かって均等に先細になり、又はたまに下部~先までくびれ、基部の縁は2.3~6.7㎜合着する。内側の総苞片は竜骨が均等に曲がるか、真っすぐで、縁は幅0.2~0.3㎜が透明、先は鋭形、たまに微細不整歯があり、緑の先端の下部0.3~4.6㎜で終わる。花被は上部が目立ち、下部は鐘形。花被片は栗色又はピンク色~ラベンダーローズ色で、紫色の縞模様をもち、又は黄色で基部がローズ紫色になる。外花被片は長さ5~11㎜、先は鋭形、まれに芒状になる。花糸は基部が合着し、たまに長さの1/2まで合着し、基部は膨れ、長さ0.5~0.8㎜の有柄の腺がある。子房は葉の色に似る。蒴果はタン色、縫合線がときに先まで帯紫色になり、ほぼ無毛、長さ2.1~4.2㎜。花柄は広がるか又は反曲する。種子はほぼ球形、ときにわずかにつぶれ、長さ0.5~1㎜、小しわがある。2n = 32、花期は春~夏(Flora of North America)。

6 Sisyrinchium striatum Sm.
 アルゼンチン、チリ原産。英名はpale yellow-eyed-grass , satin flower
品種) 'Aunt May' (v) , 'Rushfields' , 'Variegatum'

7 Sisyrinchium tinctorium Kunth
 メキシコ、コロンビア、ベネズエラ原産。
 高さ15~30㎝。根は繊維状、またはやや太くなる。葉は全て根生 花茎の長さとほぼ同長、幅(2~)3~14㎜。花茎は普通、広い翼があり、分枝せず、節がある。仏炎苞は長さ(20~)25~50㎜、外仏炎苞は内側の仏炎苞より長く(ときに2倍以上)。花は星形、黄色。 花被片は長さ7~10㎜。 花糸は長さ約3㎜、少なくとも上部は分離。葯は長さ約3㎜。花柱は花糸の筒の先で離れ、細い枝は長さ約3 ㎜、葯の間を伸びる。梨形の蒴果は長さ10~15㎜×幅6~7㎜、下垂する。種子は球形、直径約1.5㎜、 片側がわずかに平らになり、浅い窪みがあり、多少、半球形で、これは種子の直径の約1/2であり、帯黒色。
品種) 'Puerto Yellow'

8 Sisyrinchium sp セッカニワゼキショウ  雪花庭石菖 
 和名は花が白いため雪花とつけられ、小さいためコニワゼキショウとも呼ばれる。北アメリカ原産とされているが、学名は確定していない。日当たりのよい草地、芝生の中に生える。
 多年草(1年草又は短命な多年草)。ニワゼキショウより草丈が低く、花被片は白色、先が次第に細くなって尖り、筋は中央に1本だけある。花被片の基部は合着して黄色。雄しべは3個、花冠筒部から突き出ない。果実は直径3.5~4㎜のほぼ球形。種子は黒色、長さ0.7~0.9㎜。花期は5~7月。

9 ハイブリッド
品種)  'Aunt May' , 'Biscutella' , 'Blue France' , 'Blue Ice' , 'Blue Skies' , 'Brenda Anderson' , 'Chelsea' , 'Deep Seas' , 'Devon Blue' , 'Devon Skies' , 'Doctor Bailey' , 'Dragon Eyes' , 'Dragon's Eye' , 'E.K. Balls' , 'Emmeline' , 'Hemswell Sky' , 'Iceberg' , 'Janet Denman' (v) , 'Lacun' , 'Marchants Seedling' , 'Marie' , 'Marion' , 'May Snow' , 'Miami' , 'Mrs. Spivey' , 'North Star' , 'Pole Star' , 'Quaint and Queer' , 'Raspberry' , 'Sapphire' , 'Sisland Blue' , 'Stars and Stripes' , 'Stormy Seas' , 'Stripey' (PBR) (v) , 'Wisley Blue'

参考

1) Flora of North America
 Sisyrinchium  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=130515
2) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
 Sisyrinchium micranthum Cav.  
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Sisyrinchium~micranthum
35) Flora of Victoria
 Sisyrinchium micranthum Cav  
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/f175f9a3-67ad-4be4-8b2e-ccffe872feb1
4) GRIN
 Sisyrinchium  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=11226
5)Plants of the World Online | Kew Science
 Sisyrinchium  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329986-2
6)Flora de Nicaragua
 Sisyrinchium tinctorium Kunth  
http://legacy.tropicos.org/name/16600606?projectid=7
7) Wild Lilies, Irises, and Grasses: Gardening with California
 sisyrinchium californian  
https://books.google.co.jp/books?id=RN7uHRg_TU4C&pg=PA110&lpg=PA110&dq=sisyrinchium+californian+skies+parents&source=bl&ots=gstwf-C4zw&sig=ACfU3U3vWl1Fk8N-00gsiyo-FMtvnwAfwA&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjfx9zvyM7pAhUcyIsBHVleBUgQ6AEwDHoECAoQAQ#v=onepage&q=sisyrinchium%20californian%20skies%20parents&f=false
8)雑草研究 Weed Research, Japan Vol. 32 (1) 38. 45 (1987)
 ニワゼキショウの自然雑種と花色の遺伝  
https://www.jstage.jst.go.jp/article/weed1962/32/1/32_1_38/_pdf/-char/ja