ニオイバンマツリ 匂蕃茉莉

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Flora of Mikawa

ナス科  Solanaceae バンマツリ属

中国名

番茉莉 fan mo li

英 名 Brazil rain tree , Paraguayan jasmin , yesterday-today-and-tomorrow , kiss-me-quick
学 名 Brunfelsia australis Benth.
Brunfelsia latifolia Benth.
ニオイバンマツリの紫色花
ニオイバンマツリの薄紫色花
ニオイバンマツリの白色花
ニオイバンマツリの花冠ののど
ニオイバンマツリの萼
ニオイバンマツリの若葉
ニオイバンマツリの幹
ニオイバンマツリ
ニオイバンマツリ萼2
ニオイバンマツリの葉表
ニオイバンマツリの葉裏
花 期 4~7(10)月
高 さ 0.9~2.4m
生活型 常緑~半常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 帰化種 南アメリカ(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ)原産
撮 影 蒲郡市  16.5.13
バンマツリ属の栽培種はいくつかあり、Brunfelsia latifolia、Brunfelsia uniflora、Brunfelsia pauciflora、Brunfelsia australisなどは花が紫色から白色に変わり、これらがの数種がyesterday-today-and-tomorrowと呼ばれている。ニオイバンマツリは明治時代末期に渡来し、学名はBrunfelsia latifoliaとされていたが、近年の研究により、Brunfelsia latifoliaは芳香の無いものであり、学名はBrunfelsia australisに変更された。しかし、Brunfelsia latifoliaはBrunfelsia bonodora の同義語とされ、芳香があるとする見解もあるようである。バンマツリ属の植物は根、葉や果実などにアルカロイドを含み有毒である。
 暖地では常緑低木、寒地では半常緑低木。幹は直立してよく分枝し、高さ0.6~2(2.4)m。葉は互生し、長さ6~8㎝、幅2~3㎝の楕円形、先は鈍形、全縁~波状縁、革質で光沢がある。葉表は暗緑色、葉裏は淡緑色。花は1~3個つき、強い芳香があり、高杯形、先は5裂し、平開し、直径3~4㎝、のど部分が白色。花色は紫色~薄紫色(ラベンダー色)~白色に変化する。果実はほぼ球形~やや楕円形の液果、直径1~2㎝、緑色~褐色に熟す。種子は約5個入り、褐色。

バンマツリ属(ブルンフェルシア属)

  family: Solanaceae - genus Brunfelsia
 
 低木又は高木、高さ10m以下、刺は無く、無毛又は新枝が有毛。樹皮は褐色、縦の割れ目がある。葉は単葉、しばしば革質、互生、しばしば枝先に束生し、短い葉柄がある。花は単生又は集散花序につき、頂生又は葉の節につく。ときに、夜、芳香を出す。苞は普通、1~3個つき、線形~披針形、早落性。咢は筒形~鐘形、無毛又は単純毛又は腺毛があり、咢歯は5個、しばしば、開出し、果時に割れる。花冠は花冠は高杯形(hypocrateriform )、長~短円筒形で、急に広がった拡大部になり、白色、黄色~鈍い赤色~青紫色~紫色を帯び、退色し、次第に白色~淡青色に退色し、2唇形の対称形。紫色の花をもつ栽培種の筒部は口部でくびれ、厚くなった輪を作る。拡大部は5裂し、縁が波打つか、縮れる。雄しべは4個、2対につき、突き出ず、花冠筒部の先につく。下側の2個の雄しべは短く、上側の2個は長く、花柱を超える。ときに、1個の仮雄しべがある。葯は長円形又は楕円形、1室、縦に裂開する。子房は2室、基部に蜜腺の盤をもつ。花柱は細く、後ろ側に曲がり、先が広がる。柱頭は葯の2対の間に位置し、頭状、2裂する。果実は球形~卵形、ほとんどが肉質の非裂開の液果、又は革質の蒴果。種子は大きく、角柱形、数個~多数、赤褐色、胚は真っすぐ又はわずかに曲がり、胚乳は肉質。
 世界に約50種あり、南アメリカの熱帯に分布する。

バンマツリ属の主な種と園芸品種

1 Brunfelsia americana L.  アメリカバンマツリ 亜米利加蕃茉莉
 西インド諸島(ドミニカ、グアドループ、マルティニーク、プエルトリコ、セントキッツ・ネイビス、セントルシア、ヴァージン諸島)原産。英名はlady-of-the-night , Lady of the night , American brunfelsia。
 高さ3~4m、成長が早い。葉は楕円形~倒卵形、緑色~黄緑色、全縁。開花時は白色、その後黄色に変色。芳香は夜間に強くなる。細長い花冠の筒部がある。果実は球形、橙色。全草が有毒、特に、根と果実は毒性が強い。花期は晩春~秋。
 2 Brunfelsia australis Benth. ニオイバンマツリ 匂蕃茉莉
  synonym Brunfelsia paraguayensis Chodat
  synonym Brunfelsia uniflora f. intermedia Hassl.
  synonym Brunfelsia uniflora f. obovatifolia Hassl.
 南アメリカ(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ)原産。英名はBrazil rain tree , Paraguayan jasmin , yesterday-today-and-tomorrow , kiss-me-quick。中国名は番茉莉 fan mo li。
 暖地では常緑低木、寒地では半常緑低木。幹は直立してよく分枝し、高さ0.6~2(2.4)m。葉は互生し、長さ6~8㎝、幅2~3㎝の楕円形、先は鈍形、全縁~波状縁、革質で光沢がある。葉表は暗緑色、葉裏は淡緑色。花は1~3個つき、強い芳香があり、高杯形、先は5裂し、平開し、直径3~4㎝、のど部分が白色。花色は紫色~薄紫色(ラベンダー色)~白色に変化する。果実はほぼ球形~やや楕円形の液果、直径1~2㎝、緑色~褐色に熟す。種子は約5個入り、褐色。花期は4~7(10)月

3 Brunfelsia latifolia (Pohl) Benth.  ブルンフェルシア・ ラティフォリア(ニオイバンマツリ) 
  synonym Brunfelsia bonodora (Vell.) J.F.Macbr.
  synonym Brunfelsia maritima Benth.
 ブラジル原産。日本のニオイバンマツリとされていたが、近年の研究により、ニオイバンマツリはBrunfelsia australisとされるようになった。芳香がないとされるが、芳香があるともされ、Brunfelsia bonodoraと同一ともされる(分ける見解もある)。中国名は鴛鴦茉莉 yuan yang mo li。英名はyesterday-today-and-tomorrow , morning-noon-and-night , kiss me quick , Brazil raintree。
 高さ1~2mの低木。樹皮は薄く、淡褐色。枝は無毛又は短毛があり、灰褐色。葉は互生し、葉柄は長さ2~6㎜、無毛。葉身は長さ5~14.5㎝、幅2~5㎝、楕円状披針形、基部は楔形、先は鈍形。側脈は5~8対。花序は頂生し、花は3~15個、まれに1~2個つき、直径3~4㎝、芳香がある。花色は紫色、その後、退色し、ラベンダー青色~白色になる。果実は長さ約8㎜、幅6~8㎜の球形~楕円形の液果、果皮は薄く、中に約5個の種子が入る。果時にも萼は残存する。

4 Brunfelsia pauciflora (Cham. & Schltdl.) Benth.   オオバンマツリ 大蕃茉莉
  synonym Brunfelsia calycina Benth.
 ブラジル原産。英名はyesterday today and tomorrow , morning noon and night , kiss me quick。中国名は大花鸳鸯茉莉 da hua yuan yang mo li。
 常緑低木。Brunfelsia latifoliaに似るがより頑健で、高く、高さ0.6~2.4(3)mになる。葉は長楕円状披針形、長さ6~10(16)㎝。花は多数つき、10個以下、束生し、直径4~5㎝。芳香があり、開花時は紫色、後に薄紫色(ラベンダー色)~白色に変わる。花冠ののど部は白色。細長い萼がある。いくつかの園芸品種がある。最も多く栽培されているのは 'Eximia'であり、yesterday-today-and-tomorrowと呼ばれている。'Floribunda' は小形で花つきが良い。 'Macrantha'は花が直径5~7㎝と大きく、花冠のど部が初め白色にならず、後に白色になる。
品種) 'Eximia' , 'Floribunda' , 'Floribunda Compacta' , 'Lindeniana' , 'Macrantha''(var. macrantha) , 'Magnifica 

5 Brunfelsia uniflora (Pohl) D.Don  バンマツリ 蕃茉莉
  synonym Brunfelsia hopeana (Hook.) Benth.
 南アメリカ(ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ベネズエラ、ガイアナ、トリニダード・トバゴ)原産。英名はmanaca。中国名は番茉莉 fan mo li 又は變色茉莉 bian se mo li 。
開花時は紫色、後に徐々に白くなる。高さは45~60㎝、よく分枝する。花は強い芳香があり、多数つく多花性であり、直径2~3㎝。花色は初め淡紫青色、のちに白色に変わる。植物全体にアルカロイド(manacine)が含まれ、有毒。薬用の原料となる。

参考

1) Flora de Nicaragua
 Brunfelsia  
http://www.tropicos.org/Name/40036434?projectid=7
2) The European Garden Flora: A Manual for the Identification of
 第6巻、第 4 部 31 Brunfelsia  
https://books.google.co.jp/books?id=1KmYnof5JYQC&pg=PA264&lpg=PA264&dq=Brunfelsia%E3%80%80Flora+de+Panama&source=bl&ots=mpbA6Y3f_L&sig=ACfU3U0TIvZ5lU-oICvDQriYBUEOdu7RkA&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwiMmPPY-tPjAhXYA4gKHangCOwQ6AEwE3oECAcQAQ#v=onepage&q=Brunfelsia%E3%80%80Flora%20de%20Panama&f=false
3) Brunfelsia L. - World Flora Online
 Brunfelsia  
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000005536;jsessionid=7167B4929FF2FF15AAA6415697BB8B0A
4) GRIN
 Brunfelsia  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=1748
5)Brunfelsia - University of Missouri-St. Louis
 Brunfelsia (Solanaceae): A genus evenly divided between
South America and radiations
 on Cuba and other Antillean islands  
http://www.umsl.edu/~renners/Filipowicz_Brunfelsia_MPE2012.pd
6) Cuphea ramosissima - Flora brasiliensis, CRIA
 Cuphea ramosissima  
http://florabrasiliensis.cria.org.br/fviewer