ネコノヒゲ 猫の髭

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae オルトシフォン属

別 名 クミスクチン、キャッツウイスカー
中国名 肾茶 shen cha , 猫须草 mao xu cao , 化石草 hua shi cao
英 名 cat's-whiskers ,Java-tea , whiskerplant
学 名 Orthosiphon aristatus (Blume) Miq.

 synonym Clerodendranthus spicatus (Thunb.) C.Y.Wu

ネコノヒゲの花序
ネコノヒゲの花
ネコノヒゲの咢
ネコノヒゲ茎
ネコノヒゲ
ネコノヒゲ花2
ネコノヒゲ葉
花 期 5~11月
高 さ (40)100~150㎝
生活型 多年草
生育場所 栽培種
分 布 外来種  中国、台湾、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア原産
撮 影 西尾市 17.9.11
アジア南東部、オーストラリア原産のシソ科の多年草。耐寒性が弱く、1年草として扱われていることも多い。雄しべが長くネコノヒゲと呼ばれる。猫の髭をマレー語でクミクスチン(Kumis Kuching)といい、インドネシアやマレーシアでは薬用とされ、アジアやヨーロッパでも古くから健康茶として愛飲され、クミスクチン茶とかJava-teaと呼ばれる。腎炎や尿結石、排尿障害に効果が高いことが報告されている。
 多年草、高さ(0.4)1~1.5m、茎に下向きの短毛がある。葉柄は長さ (3~)5~15㎜。葉身は菱形~長楕円形~卵形、長さ(1.2~)2~5.5㎝×幅(0.8~)1.3~3.5㎝、紙質、短毛があり、まばらに伏した腺があり、基部は広楔形~切形状楔形、縁は粗い微突形~歯状~間隔の開いた微突状の円鋸歯、先は鋭形、側脈は4又は5対。輪散花序は花が6個、密穂花序になり、密穂花序は長さ8~12㎝、花序柄があり、花序軸には密に毛がある。苞は長さ約3.5㎜、幅約3㎜、縦に平行な脈がある。小花柄は長さ5㎜以下、短毛が密生する。萼は長さ5~6㎜×幅約2.5㎜、銹色、外側に腺がある。上唇は長さ約2.5㎜×幅約2.5㎜。下唇の歯は三角形、芒があり、縁毛があり、前側の歯は側歯の長さの約2倍。果時の萼は長さ1.1㎝×幅5㎜以下。上唇ははっきり反り返り、下唇は突き出す。花冠は帯紫色又は白色(淡ピンク色もある)、まばらに銹色の腺が上唇にあり、筒部は長さ0.9~1.9㎝×幅1㎜、基部の内側にまばらに微軟毛がある。下唇は長楕円形、長さ約5㎜。花糸は歯状ではない。小堅果は暗褐色、卵形、長さ約2㎜×幅1.6㎜以下、波状のしわがある。花期と果期は5~11月。

オルトシフォン属

 family Lamiaceae -genus Orthosiphon
 
 多年草又は亜低木。根はしばしば、太くなり、木質。葉は歯状。輪散花序には花が (4~)6個つき、離れ、密穂花序となる。苞は花柄より短く、円形~卵形、全縁。萼は筒形~広筒形、鮮やかな色を帯び、2唇形、上唇は卵形~長楕円形、薄膜状、筒部に沿着し、縁は反り返る。下唇は4歯、歯は芒状又は針状、前側の歯は後側の歯より長く、果時に大きくなり、10脈が目立つ。花冠は白色又は帯赤色~紫色、2唇形。花冠筒部は突き出る。真っすぐ又は内曲し、倒円錐形。上唇は3又は4裂する。下唇は全縁、凹面。雄しべは4個、前側の2個は長く、突き出ないか又はわずかに突き出る。花糸は分離し、歯は無い。葯は1室。花柱は球形、先は全縁又は2裂。花盤ができ、前に指状。小堅果は卵形又は類球形、微細な疣状、無毛。
 世界に45種(39)があり、アフリカ、アジア、オーストラリアに分布する。

【オルトシフォン属の種】
 Orthosiphon adenocaulis , Orthosiphon allenii , Orthosiphon argenteus , Orthosiphon aristatus , Orthosiphon bullosus , Orthosiphon cladotrichos , Orthosiphon cuanzae , Orthosiphon discolor , Orthosiphon ellipticus , Orthosiphon exilis , Orthosiphon ferrugineus , Orthosiphon fruticosus , Orthosiphon glandulosus , Orthosiphon hanningtonii , Orthosiphon humbertii , Orthosiphon incurvus , Orthosiphon lanatus , Orthosiphon miserabilis , Orthosiphon newtonii , Orthosiphon nigripunctatus , Orthosiphon pallidus , Orthosiphon parishii , Orthosiphon parvifolius , Orthosiphon pseudoaristatus , Orthosiphon robustus , Orthosiphon rotundifolius , Orthosiphon ruber , Orthosiphon rubicundus , Orthosiphon sarmentosus , Orthosiphon scapiger , Orthosiphon scedastophyllus , Orthosiphon schimperi , Orthosiphon thymiflorus , Orthosiphon truncatus , Orthosiphon vernalis , Orthosiphon violaceus , Orthosiphon wattii , Orthosiphon wulfenioides

※ オルトシフォン属から長い葯だけが異なることにより属を分ける見解があるが、普通、オルトシフォン属に含める。Flora of Chinaではクレロデンドランツス属を分けている。

クレロデンドランツス属Clerodendranthus 中国名は肾茶属

 多年草、ときに亜低木状、分枝する。葉は葉柄があり、歯状。輪散花序には花が6~10個つき、密穂花序は頂生する。苞は円形~卵形、全縁、先鋭形。花柄は別個。萼は卵形、外側が有毛、腺があり、内側は無毛、2唇形、花後に大きくなり、10脈がある。上唇は円形、縁は筒部に沿下する。下唇は4歯があり、前側の歯は長い。花冠は帯紫色又は白色、2唇形、外側は有毛、内側に輪上の毛は無い。筒部は狭い円筒形、はるかに突き出し、真っすぐ、のど部は斜めにならない。上唇は反り返り、3裂し、中裂片は長く、先は凹形。下唇は直立し、狭く、わずかに凹面。雄しべは4個、はるかに突き出る。葯は2個が長い。花柱はわずかに雄しべより長く、先は棍棒形、2裂。小堅果は卵形~長楕円形、しわ状。
 世界に約5種があり、アジア南東部、オーストラリアに分布する。

オルトシフォン属の主な種と園芸品種

1 Orthosiphon aristatus (Blume) Miq. ネコノヒゲ 猫の髭
  synonym Clerodendranthus spicatus (Thunb.) C.Y.Wu
  中国(福建省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア原産。英名はcat's-whiskers ,Java-tea , whiskerplant。中国名は肾茶 shen cha。別名はクミスクチン。標高0~1500mの湿った森林や平原に生え、主に栽培される。
 多年草、高さ(0.4)1~1.5m、茎に下向きの短毛がある。葉柄は長さ (3~)5~15㎜。葉身は菱形~長楕円形~卵形、長さ(1.2~)2~5.5㎝×幅(0.8~)1.3~3.5㎝、紙質、短毛があり、まばらに伏した腺があり、基部は広楔形~切形状楔形、縁は粗い微突形~歯状~間隔の開いた微突状の円鋸歯、先は鋭形、側脈は4又は5対。輪散花序は花が6個、密穂花序になり、密穂花序は長さ8~12㎝、花序柄があり、花序軸には密に毛がある。苞は長さ約3.5㎜、幅約3㎜、縦に平行な脈がある。小花柄は長さ5㎜以下、短毛が密生する。萼は長さ5~6㎜×幅約2.5㎜、銹色、外側に腺がある。上唇は長さ約2.5㎜×幅約2.5㎜。下唇の歯は三角形、芒があり、縁毛があり、前側の歯は側歯の長さの約2倍。果時の萼は長さ1.1㎝×幅5㎜以下。上唇ははっきり反り返り、下唇は突き出す。花冠は帯紫色又は白色(淡ピンク色もある)、まばらに銹色の腺が上唇にあり、筒部は長さ0.9~1.9㎝×幅1㎜、基部の内側にまばらに微軟毛がある。下唇は長楕円形、長さ約5㎜。花糸は歯状ではない。小堅果は暗褐色、卵形、長さ約2㎜×幅1.6㎜以下、波状のしわがある。花期と果期は5~11月。

2 Orthosiphon labiatus N.E.Br. オルトシフォン・ラビアツス⇒Ocimum labiatum (N.E.Br.) A.J.Paton オキムム・ラビアツス

 南アフリカ、スワジランド原産。英名はpink sage, pink sage bush, shell bush, pink cat's whiskers。岩の多い丘陵の斜面、川沿いや常緑樹林の林縁に生える。Kewscienceではオキムム属に分類されている。
 半常緑、低木状の丈夫な多年草、高さ0.6~1.5(~2.5)m、芳香はなく、ときに芳香があるとされる。枝は四角形で、基部近くで木質化し、多少、開出する短毛で覆われる。葉は対生し、葉柄は長さ1~2(~5)㎝。葉身は卵形、長さ1~3(~5)㎝、ときに毛があり小さな無柄の腺があり、縁には円鋸歯がある。花序は緩く、輪散花序に2~6個の花がつく。苞は卵形、長さ5㎜、フード状に若い芽を隠す。萼は長さ約4㎜、上側の歯は円く、下側の歯は長く尖る。萼と歯は果時に大きくなり、長さ8~11㎜。 花冠は淡ピンク色がかった紫色、長さ7~10㎜。下唇は舟形、長さ5~8㎜、両唇は花冠筒部と直角になる。花期は初夏~晩秋。

3 Orthosiphon rubicundus (D.Don) Benth.
3-1 Orthosiphon rubicundus var. rubicundus
 中国、インド、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。湿った落葉樹林に生える。アフリカで根茎から澱粉を得るために栽培されている。
 多年草、木質または塊根状の根茎から発生し、長さ25~60㎝の1~数本の茎を持つ。茎は単純または分枝が少なく、無毛~直軟毛がある。葉は無柄~短柄がある。葉身は卵形~卵状披針形、長さ35~80㎜×幅18~40㎜、無毛~わずかに毛があり、下面には帯黄色の腺点が散在し、先は鋭形~鈍形、基部は楔形~鈍形、縁は主に上部の2/3に粗い円鋸歯状歯がある。葉柄は長さ0~3㎜。花序は通常単純で、長さ50~200㎜、輪散花序は花が4~6個つき、間隔は5~15㎜離れる。苞は広卵形、先は尖鋭形、長さ2.5~3㎜。萼は果時に長さ8~9㎜、毛がある。花冠は白色~藤色、花冠筒部は長さ6㎜、真っ直ぐ。上唇は直立し、長さ3.5㎜。下唇は凹み、長さ4㎜。雄しべは喉から2㎜突き出る。上側の2本の花糸は喉から1~1.5㎜の位置につき、無毛。 柱頭は肥厚し、微細に2分岐する。花期は9月。果期は9~11月。

3-2 Orthosiphon rubicundis (D.Don) Benth. var. hainanensis Sun ex C.Y.Wu スイバタムラソウ 酸葉田村草

  synonym Orthosiphon lanceolatus Sun ex C. H. Hu.
 中国(海南省)原産。中国名は海南深红鸡脚参 hai nan shen hong ji jiao shen。海南島西部に生える。
 多年草、根はときに紡錘形になる。茎は直立し、高さ50㎝以下、基部は木質、先は半木質、分枝し、伏した小さな剛毛があり、節間は葉より長い。葉柄は短いか又は無くなる。葉身は長楕円状披針形、長さ2~8.5㎝、幅0.5~2.3㎝、紙質、ざらつき、伏した小さな剛毛があり、基部は漸尖状楔形、縁は基部を除いて粗い鋸歯状、先は鈍形~尖鋭形、側脈は5~7対。密穂花序は頂生、疎。花序軸は小さな剛毛がある。苞は類円形、幅約2㎜、縁毛があり、先は微突形。花柄は長さ3~5㎜、小さな剛毛がある。萼は筒形、長さ約5.5㎜、幅約2㎜、細かい軟毛があり、紫赤色。上唇は円形、幅約2㎜、先は微突形。下唇の歯は錐形、針状、前側の歯は長い。花冠は白色、長さ約1.1㎝、まばらに短毛がある。花冠筒部は長さ約8㎜、基部で直径約1.8㎜、わずかにのど部で広くなり、内側はまばらに短毛がある。上唇は長さ約4㎜、幅約4㎜。下唇は長楕円形、長さ約3.5㎜、幅約3㎜。雄しべはのど部からわずかに突き出る。小堅果は褐色、類球形、直径約1.7㎜、小さな点がある。花期は8月。

参考

1) Flora of China
 Orthosiphon
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=123284
 Clerodendranthus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107331
2) Flora of Zimbabwe
 Ocimum labiatum (N.E. Br.) A.J. Paton
https://www.zimbabweflora.co.zw/speciesdata/species.php?species_id=150410