和名はハゼノキのように蝋を取ることから。街路樹としてよく植えられており、紅葉が美しい。植えられるような場所ではない堤防脇に野生化したナンキンハゼが2本あり、花をつけていた。
　幹は灰褐色、不規則に縦に裂ける。葉は互生し、長さ3.5～8㎝の菱形状卵形、先は尖り、基部は広い楔形～切形、全縁。葉表の基部に腺が2個ある。葉柄は長さ2～8㎝。枝先の若い葉は橙色を帯び、美しい。雌雄同株。長さ6～18㎝の総状花序に小さな黄色花を多数つける。花序の先部は雄花が多数つき、雌花は基部に少数つき、雌花のつかない花序も多い。雄花も雌花も花弁が無く、雌雄異熟であり、雄花と雌花の開花の順序が木によって異なり、雄性先熟の木と雌性先熟の木がある。雄花は苞ごとに数個集まってつき、雄しべ2～3個、萼が3浅裂し、受皿状。雌花は苞ごとに1個つき、雄花より長く、子房の長さ約3㎜、花柱3個。長さ2～3㎜の花柄がある。苞の左右の基部に耳のような大きな腺体がある。果実は直径約1.5㎝の扁球形、3稜があり、熟すと褐色～黒色になり、裂開して3個の種子が見えるようになる。種子は長さ約7㎜の広卵形、白色の蝋質の仮種皮に包まれており、紅葉の頃には果皮が落ち、冬には白い種子が枝に残って目立つ。種子は野鳥の餌になる。

ナンキンハゼ属

　familiy Euphorbiaceae － genus Triadica

　高木又は低木、雌雄同株又はときに、雌雄異株、密毛はない。乳液は白色。葉は互生又は対生に近い。葉柄は先に1～2個の腺をもつ。葉身は縁が全縁又は鋸歯縁、歯脈は羽状、最下の対の脈は葉のごく基部から生じ、基部の縁を作る。花序は頂生又は腋生、穂状花序状又は総状花序状の密錘花序(thyrses)、ときに分枝する。苞は外側の基部に2個の大きな腺をもつ。雄花は小さく、黄色、苞腋に束生する。萼は膜質、杯形、2～3浅裂又は歯がある。花弁は無い。花盤は無い。雄しべは2～3本。花糸は離生。葯は2室、縦に裂開する。未発達の雌しべは無い。雌花は雄花より大きく、苞に1個ずつつく。萼は杯形で3深裂、又は円筒形で3歯、まれに2～3咢片がある。花弁は無い。花盤は無い。子房は2～3室、胚珠は各室に1個。花柱は普通、3本、分離又は基部で合着する。柱頭は後ろ巻き、全縁。蒴果は球形、ナシ形、又は3バルブ、まれに浆果状、普通、3室、胞背裂開、ときに不規則に裂開する。種子はほぼ球形、普通、ワックス状の仮種皮で覆われる。外果皮は硬い。胚乳は肉質。子葉は広く、平ら。
　世界に3種あり、東アジア、南アジアに分布する。中国に3種ある。

ナンキンハゼ属の主な種と園芸品種

1 Triadica cochinchinensis Lour.　ナガバナンキンハゼ　長葉南京櫨

　中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、アッサム州、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア(ボルネオ、スラウェシ島、スマトラ島)、フィリピン原産。中国名は山乌桕 shan wu jiu。標高100～1100mの湿潤な常緑広葉樹林、亜熱帯林、山地林または灌木林び生える。
高木、高さ12～20m、無毛。小枝は灰褐色、皮目がある。葉は互生。托葉は小さくほぼ卵形、長さ約1mm。葉柄は長さ2～7.5cm、先端に2個の腺がある。葉身は楕円形または長円状卵形、長さ4～10cm×幅2.5～5cm、紙質、若いときは赤みがかり、基部は楔形、先は鈍形または短い尖鋭形、縁または縁近くに数個の丸い腺があり、中脈は両面で隆起し、側脈は8～12対つき、互生またはほぼ対生。花は雌雄同株、頂生の総状花序につく。花序は長さ4～9cm、下部に雌花、上部または全体に雄花がある。雄花：小花柄は長さ1～3mm。苞葉は卵形、約・長さ1.5mm×幅1mm、腺は長円形または腎形、両側の基部につき、約・長さ2mm×幅1mm、各苞葉には5～7個の花がつく。小苞は長さ1～1.2mm、萼は杯形で不規則な小鋸歯がある。雄しべは2または3本、花糸は短く、葯は球形。雌花：小花柄は丈夫、円柱形、長さ約5mm。苞葉は雄花とほぼ同長、各苞葉には1個の花しかつかない。萼は基部まで3深裂し、裂片は三角形、長さ1.8～2mm×幅約1.2mm、縁はまばらに小鋸歯がある。子房は卵形、3室。花柱は3本、外巻きする。蒴果は黒色、球形、直径7～9 mm。花柱は宿存する。種子はほぼ球形、長さ4～5mm×直形3～4mm、薄く蝋質の仮種皮を持つ。花期は4～6月。果期は7～10月。

2 Triadica rotundifolia (Hemsley) Esser　トゥリアディカ・ロトゥンディフォリア

　中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、雲南省)、ベトナム原産。中国名は圆叶乌桕 yuan ye wu jiu。標高100～500mの石灰岩の山地林に生える。
　高木、高さ12mまで成長し、無毛。小枝は丈夫。葉は互生。托葉は小さく、腺があり、脱落性。葉柄は長さ3～7cm、先端に腺が1個ある。葉身はほぼ円形、長さ5～11cm×幅6～12cm、基部は円形～浅い心形、縁は全縁、先は円形、まれに鋭形または切れ込みがあり、側脈は10～15対。花は単性、雌雄同株、頂生の総状花序に密集し、下部に雌花、上部に雄花があり、ときに全体に雄花のこともある。雄花：小花柄は円筒形、長さ1～3mm。苞は卵形、約・長さ2mm×幅2mm、縁は房状へり、基部の両側にあり、それぞれに腺が1個つく。小苞は狭卵形、長さ1mm未満。萼は杯形、浅く3裂する。雄しべは1または2本(または3本)。 花糸は短い。葯はほぼ球形。雌花: 小花柄は頑丈で、長さ約2mm。萼は3裂し、裂片は広卵形、長さ約1mm、縁は小鋸歯状。子房は卵形、3裂する。花柱は3本、基部で合着する。柱頭は外巻きする。蒴果はほぼ球形、直径8～10mm。種子は扁平、直径約5mm、蝋質の仮種皮を持つ。花期は4～6月。果期は7～10月。

3 Triadica sebifera (L.) Small　ナンキンハゼ　南京櫨
　　synonym　Aleurites fordii Hemsl.
　中国原産。中国名は乌桕 wu jiu。英名はChinese tallow , candleberry-tree , Chinese tallowtree , popcorntree , tallowtree。別名トウハゼ、カンテラギ。
　落葉高木。高さ15～15m。幹は灰褐色、不規則に縦に裂ける。葉は互生し、長さ3.5～8㎝の菱形状卵形、先は尖り、基部は広い楔形～切形、全縁。葉表の基部に腺が2個ある。葉柄は長さ2～8㎝。枝先の若い葉は橙色を帯び、美しい。雌雄同株。長さ6～18㎝の総状花序に小さな黄色花を多数つける。花序の先部は雄花が多数つき、雌花は基部に少数つき、雌花のつかない花序も多い。雄花も雌花も花弁が無く、雌雄異熟であり、雄花と雌花の開花の順序が木によって異なり、雄性先熟の木と雌性先熟の木がある。雄花は苞ごとに数個集まってつき、雄しべ2～3個、萼が3浅裂し、受皿状。雌花は苞ごとに1個つき、雄花より長く、子房の長さ約3㎜、花柱3個。長さ2～3㎜の花柄がある。苞の左右の基部に耳のような大きな腺体がある。果実は直径約1.5㎝の扁球形、3稜があり、熟すと褐色～黒色になり、裂開して3個の種子が見えるようになる。種子は長さ約7㎜の広卵形、白色の蝋質の仮種皮に包まれており、紅葉の頃には果皮が落ち、冬には白い種子が枝に残って目立つ。種子は野鳥の餌になる。花期は6～7月
品種)　'Green Hornet'

参考

1) GRIN
　Triadica 2) Plants of the World Online | Kew Science
　Triadica 3) Flora of China
　Triadica