ナギ 梛

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Flora of Mikawa

マキ科 Podocarpaceae ナギ属

別 名 コゾウナカセ、チカラシバ
中国名 竹柏 zhu bai
英 名 Asian bayberry, kaphal
学 名 Nageia nagi (Thunb.) Kuntze
 synonym Podocarpus nagi (Thunb.) Zoll. et Moritzi ex Makino
ナギの枝先
ナギ枝葉></div>
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ナギ雄花拡大
ナギの種子
ナギの幹
ナギ
ナギ葉表
ナギ葉裏
ナギ葉裏の細脈
ナギ雄花
ナギの種子
花 期 5~6月
高 さ 10~20m
生活型 常緑高木
生育場所 山地
分 布 在来種 本州(紀伊半島、山口県)、四国、九州、式根島、沖縄、中国、台湾
撮 影 蒲郡市  13.11.24
       14.6.9(花)
神社や寺院に植えられることが多く、各地に天然記念物や名木がある。豊川市の熊野神社の牛久保のナギは国指定の天然記念物(昭和13年12月14日国指定 雄株、幹周3.5m、樹高20m)である。雌株も近くにあり見ることができる。蒲郡市大塚町の光明寺裏の旧長興寺跡地には市指定の天然記念物のナギがある(昭和32年1月10日蒲郡市指定 雄株2本、幹周 2.96m)。蒲郡市一色町の宗徳寺には雌株があり、果実が見られる。
 樹幹は直立する。幹は赤褐色、樹皮が大きく剥がれ落ちる。葉は対生し、長さ4~6㎝、幅1~3㎝の楕円形、先は鈍く尖り、基部は楔形、全縁、革質で厚い。枝先の葉は幅がやや狭い。葉表は濃緑色、光沢があり。葉裏は粉白色、主脈が見えず、細い平行脈が多数ある。雌雄異株。花は葉腋につき、雄花は数個ずつ束生し、円柱形。雌花は単生し、鱗片が数個あり、胚種が1~2個つく。種子は肥大した鱗片に包まれ、直径1~1.5㎝になり、緑色で粉白色を帯びる。10~11月頃、褐色に熟す。2n=26, 29。

ナギ属

  family Podocarpaceae - genus Nageia

 常緑高木。雌雄異株またはまれに雌雄同株。樹冠は柱状形。葉は螺旋状につき、または十字対生、対生する対は主要なシュート(leading shoots)の上、側シュートの上に対生またはほぼ対生し、±単形、成葉は幼葉に似ているが、しばしばより大きくまたはより広く(ただし、Nageiawallichianaでは幼葉が大きい)、長さ5mm以上。葉柄は90°捻じれる。葉身は広卵状楕円形~長円状披針形、明らかな中脈はないが、多くの細長い平行な縦脈があり、基部と頂点に向かって収束し、気孔の線は下面またはまれに両面にある。花粉錐は、腋生、単生、または3~6個が小さな穂状花序状に集り、裸の花序柄につき、卵状円筒形、基部に不稔の鱗片をもつ。花粉は2嚢。種子錘(seed-bearing structures)は、短い鱗のある腋生の小枝につき、1個またはたまに2個対につく。苞は普通、廃れ、花序柄よりもほとんど厚くなく、まれに多肉質で花序柄よりも厚くなる。胚珠は反転する。套衣(epimatium)は完全に種子を包み込み、革質、熟すと青黒色になる。種子は核果状、球形。
 世界に5~7種あり、日本、中国、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムに分布する。

ナギ属の主な種と園芸品種

1 Nageia fleuryi (Hickel) de Laub. オオバナギ 大葉梛
 中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾、カンボジア、ラオス、ベトナム原産。中国名は长叶竹柏 chang ye zhu bai。別名はナガバナギ。標高800~900mの山地熱帯雨林、常緑広葉樹林、日陰または半日陰の中性または弱酸性のラテライト質または黄土質土壌に生える。中国では絶滅危惧種。
 高さ30mに達する。幹の直径は70cmまで。樹皮は褐紫色で平滑、薄く剥がれる。葉は十字対生し、常に裏面を上にしてつく。葉柄は長さ2~5(~10)mm、通常かなり不明瞭、回転は節間に沿って続かない。葉身は暗緑色、裏面は光沢があり、楕円形または広披針形、長さ8~1cm×幅2.2~5cm、革質で、気孔線は裏面にのみあり、基部は楔形、先は急な尖鋭形。苞は脱落性。花粉錘は腋生で3~6個が束生し、無柄で細長い円筒形、長さ1.5~6.5cm×幅約4mm。小胞子葉(microsporophylls)は三角形。種子錘(seed-bearing structures)は腋生、花序柄は鱗片があり、肥大せず、種子成熟時に長さ2~2.8cm。胚珠は1個または2個(あるいは3個)、ほぼ頂生の苞腋につき、成熟するのは1個のみ。花托はない。套衣(epimatium)は緑色、成熟すると青紫色になる。種子は球形、直径1.5~1.8cm。受粉は3~4月、種子成熟は10~11月。2n=26。

2 Nageia nagi (Thunb.) Kuntze ナギ 梛

  synonym Nageia formosensis (Dummer) C.N.Page コウシュンナギ

  synonym Nageia nankoensis (Hayata) R.R.Mill
 本州(紀伊半島、山口県)、四国、九州、式根島、沖縄、中国、台湾原産。中国名は竹柏 zhu bai。英名はAsian bayberry, kaphal。別名はコゾウナカセ、チカラシバ。山地に生える。神社や寺院に植えられることが多く、各地に天然記念物や名木がある。
 常緑高木。高さ10~20m。樹幹は直立する。幹は赤褐色、樹皮が大きく剥がれ落ちる。葉は対生し、長さ4~6㎝、幅1~3㎝の楕円形、先は鈍く尖り、基部は楔形、全縁、革質で厚い。枝先の葉は幅がやや狭い。葉表は濃緑色、光沢があり。葉裏は粉白色、主脈が見えず、細い平行脈が多数ある。雌雄異株。花は葉腋につき、雄花は数個ずつ束生し、円柱形。雌花は単生し、鱗片が数個あり、胚種が1~2個つく。種子は肥大した鱗片に包まれ、直径1~1.5㎝になり、緑色で粉白色を帯びる。10~11月頃、褐色に熟す。2n=26, 29。受粉は5~6月。
品種) 'Variegata'

参考

1) Flora of China
 Nageia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=121590
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Nageia
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:328878-2
3) World Flora Online
 Nageia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000025266