ムクロジ 無患子

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Flora of Mikawa

ムクロジ科 Sapindaceae ムクロジ属

別 名 ムク、シマムクロジ、ムニンムクロジ
中国名 无患子 wu huan zi
英 名 Chinese soapberry, North Indian soapnut, washing-nuts, reetha
学 名 Sapindus mukorossi Gaertn.
 synonym Sapindus saponaria auct. non L.
ムクロジの花
ムクロジの秋の果実
ムクロジの果実
ムクロジ種子
ムクロジの落ちた種子
ムクロジの幹
ムクロジ
ムクロジの花序
ムクロジの葉
ムクロジ落ちた果実
花 期 6月
高 さ 10~20m
生活型 落葉高木
生育場所 丘陵地、低山、神社
分 布 在来種 本州(中部地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム
撮 影 蒲郡市  13.11.25(果実)
       15. 6.19(花)
日本では神社に植えられていることが多い。蒲郡市五井町の八幡神社には蒲郡市の名木に選ばれたムクロジがある。
 樹幹は直立する。幹は淡黄褐色、平滑、古くなると樹皮が薄く大きく剥がれる。葉は互生し、長さ30~50㎝の偶数羽状複葉、小葉が互生状にずれて4~8対つき、長さ約5㎜の小葉柄がある。小葉は左右不揃い、長さ7~15㎝、幅2~5㎝の狭頂楕円形、全縁、紙質、側脈は15~17対。雌雄同株。枝先の長さ20~30㎝の円錐花序に雌花と雄花が混じって多数つく。花は雌花、雄花ともに直径4~5㎜、花弁5(ときに4)個、萼片は花弁と同数、雄しべ8~10個。雄しべは花糸の下半部に毛があり、雄花では長さ約3.5㎜、雌花では短い。雌花の雌しべは長さ約3㎜、心皮は3個あり、普通、うちの1個だけに果実ができる。果実は直径2~2.5㎝の球形の核果、橙黄色に熟し、乾くと果皮に皺が出て、硬くなり、透け、その後、次第に褐色になる。種子(核)は直径約1(1.4)㎝のほぼ球形、黒色、光沢はない。種子は羽根つきの玉に使われることで知られている。また、油脂を多く含み、食用油が得られる。外果皮はサポニンが多く、泡立つため昔は石鹸がわりに使われた。
 Sapindus saponaria は果実がよく似ている。南北アメリカ、ハワイに分布し、常緑である。Sapindus drummondii(western soapberry)はUSAに分布する。ムクロジはアジアに分布する。Flora of ChinaではSapindus saponariaとしているが、Sapindus mukorossi であり、ムクロジの中国名を无患子とした。
 モクゲンジ Koelreuteria paniculata は本州~九州の日本海側の海岸に分布する。小葉に鋸歯があり、花は黄色。果実は袋果、硬い1~2個の種子が入る。種子は直径6~8㎜の球形、黒色。

ムクロジ属

  family Sapindaceae - genus Sapindus

 高木まれに低木、雌雄同株。葉は偶数羽状複葉、まれに単葉、互生し、托葉は無い。小葉は全縁、対生または互生。密錐花序(thyrsus)は大きく、多数、分枝し、頂生、または小枝の先に束生する。苞と小苞は錐形、小さい。花は単性、放射相称または左右相称。萼片は5個またはときに、4個、覆瓦状、外側の2個が小さい。花弁は5個、爪部があり、基部に2個の耳のような鱗片があるか、または内側の縁が厚くなる。または花弁が4個(S. sect. Dittelasma)で、爪部が無く、基部の内側に1個の大きな鱗片がある。花盤は皿形(acetabuliform)または半月形(semilunar)、肉質、ときに分裂する。雄しべ(雄花)は8本、まれに多少し、突き出る。花糸は中間より下または基部に毛がある。子房(雌花)は卵形またはこま形、普通、3裂、3室がある。胚珠は各室に1個、斜上する。花柱は頂生。果実は3個の分離果に分かれ、普通、1個または2個が発達し、成長した分離果はほぼ球形または倒卵形、外側がわずかに平らで、内側に1個または2個の半月形の不稔の分離果をもつ。熟すと分離果は分離し、広楕円形またはほぼ球形になる。果皮は肉質、豊富なサポニンを含み、内側の種子がつくところに長い絹毛がある。種子は黒色または淡褐色、楕円形またはほぼ球形。種皮は骨質(osseous)、偽種皮(pseudotesta)はなく、へそは線形、胚はアーチ形、子葉は厚い。2n=22,30。  世界に約13種あり、アジア、オーストラリア、南北アメリカの温暖な地域に分布する。

ムクロジ属の主な種と園芸品種

1 Sapindus drummondii Hook. & Arn. ウエスタンソープベリー
  synonym Sapindus saponaria var. drummondii (Hook. & Arn.) L.D.Benson
 USA(アリゾナ州、アーカンソー州、コロラド州、カンザス州、ルイジアナ州、ミズーリ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、テキサス州)原産。英名はWestern soapberry , soapberry , Chinaberry , wild chinaberry , soap berry 。
 落葉高木、高さ6(~15)m以下。樹冠は広く、密。樹皮は暗灰色。雌雄同株、またはときに両性花がある。樹皮は粗く、裂け目があり、灰色から灰褐色。芽、若葉、および若い小枝には密に毛がある。葉はほとんどが偶数羽状複葉、長さ10~28㎝。小葉は(4~)6~19個、披針状倒卵形、 かま形、長さ4~12㎝×幅0.5~2㎝、尖鋭形~鈍形、上面はほとんどがほぼ無毛、脈、縁と下面に薄く毛があり、下面の中脈と長さ1~2㎜の小葉柄に密に毛がある。花序は長さ15~26㎝、総状花序~円錐花序、絨毛があり、多数の花がつく。小花柄は長さ0.5~2㎜。苞は長さ1㎜、黄緑色~赤褐色、錐形。花は長さ2~6㎜×幅5~8㎜。萼片は5個、鈍形~短突起があり、長さ1~3㎜、縁は普通、縁毛があり、しばしば外面に毛がある。花弁は5個、長さ3~4㎜、白色、鈍形~短突起があり、ほとんど、爪部の上に2個の普通、線形の鱗片があり、鱗片は無毛~有毛、爪部はほとんど初め長い毛があり、縁に縁毛がある(少なくとも基部)。雄しべは8本、花糸は長さ1~3(~5)㎜(雌花では短い)、下部の1/2~3/4に長い毛があり、葯は長さ約0.5㎜。雌しべは無毛または少数の毛がある。子房は長さ約1㎜。花柱は長さ約1mm。柱頭は3裂する。果実は直径1~1.5㎝、基部に2個の未発達の不稔の分離果(まれに1個以上の分離果が成熟する)。果肉は黄琥珀色、半透明、乾燥すると赤褐色~黒色に変わる。種子は球形、長さ8~10㎜、平滑、赤黒色。花期は5~6月。

2 Sapindus mukorossi Gaertn. ムクロジ 無患子
  synonym Sapindus saponaria auct. non L.
  synonym Sapindus boninensis Tuyama
 日本(本州の中部地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は无患子 wu huan zi。英名はChinese soapberry, North Indian soapnut, washing-nuts, reetha。別名はムク、シマムクロジ、ムニンムクロジ。丘陵地、低山、神社に生える。
 落葉高木、高さ10~20m。樹幹は直立する。幹は淡黄褐色、平滑、古くなると樹皮が薄く大きく剥がれる。葉は互生し、長さ30~50㎝の偶数羽状複葉、小葉が互生状にずれて4~8対つき、長さ約5㎜の小葉柄がある。小葉は左右不揃い、長さ7~15㎝、幅2~5㎝の狭頂楕円形、全縁、紙質、側脈は15~17対。雌雄同株。枝先の長さ20~30㎝の円錐花序に雌花と雄花が混じって多数つく。花は雌花、雄花ともに直径4~5㎜、花弁5(ときに4)個、萼片は花弁と同数、雄しべ8~10個。雄しべは花糸の下半部に毛があり、雄花では長さ約3.5㎜、雌花では短い。雌花の雌しべは長さ約3㎜、心皮は3個あり、普通、うちの1個だけに果実ができる。果実は直径2~2.5㎝の球形の核果、橙黄色に熟し、乾くと果皮に皺が出て、硬くなり、透け、その後、次第に褐色になる。種子(核)は直径約1(1.4)㎝のほぼ球形、黒色、光沢はない。種子は羽根つきの玉に使われることで知られている。また、油脂を多く含み、食用油が得られる。外果皮はサポニンが多く、泡立つため昔は石鹸がわりに使われた。花期は6月。

3 Sapindus saponaria L. サピンドゥス・サポナリア
 USA(ミシシッピ州、ジョージア州、フロリダ州),メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、西インド諸島、ハワイ原産。英名はwingleaf soapberry , jaboncillo , sulluku , manele and a'e。
 常緑高木、高さ3~17(~23)m、幹は直径18cm d.b.h.以下。茎は溝があり、無毛から微軟毛がある。葉は偶数羽状複用、長さ10~30(~57)㎝。小葉は5~10個、狭披針形~長円形、不等長、先は鈍形~長い尖鋭形、基部は鋭形~鈍形~漸尖形、縁は全縁、膜質~やや革質、長さ5~13(~20)㎝×幅3~5(~7.3)㎝、無毛またはほぼ無毛、葉軸には溝があり、縁に肋または翼がある。葉柄は翼が有または無。円錐花序は頂生、長さ15~25㎝、枝と小花柄には密に微軟毛~綿毛がある。小花柄は長さ0.5~1.5㎜、中間より上に関節がある。花は白色、萼片は円形または楕円形、微軟毛があり、繊毛があり、長さ約3mm。花弁は長さ1.5㎜、繊毛があり、無毛ではなく、基部に絨毛がある。花盤は肉質、広がり、無毛。雄しべは突き出し、長さ約3㎜、花糸は糸状、ほぼ中間まで絨毛がある。子房は卵形、3裂し、無毛。 果実は1~3小乾果(cocci)。小乾果は褐色~黄色、球形、無毛、直径約1.5㎝、光沢があり、成熟するとしばしば皮目があり、表面は平滑。種子は球形、直径1.2㎝、毛綿のマットの中で心皮の基部につく。花期は5~6月。

参考

1) Flora of China
 Sapindus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129159
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Sapindus
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331930-2
3) World Flora Online
 Sapindus
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000033983;jsessionid=F68EDE02892F8A0A4C036DAD4DB8EA10
4) World Checklist of Vascular Plants
 Sapindus
https://wcvp.science.kew.org/