ムカゴニンジン 零余子人参、珠芽人参
Flora of Mikawa
セリ科 Apiaceae ムカゴニンジン属
学 名 | Sium ninsi L. Sium sisarum auct. non L. |
花 期 | 8~11月 |
高 さ | 30~100㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 湿地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、ロシア |
撮 影 | 田之士里湿原 01.9.22 |
和名の由来は葉腋に珠芽(むかご)が付き、根が朝鮮人参に似ていることから。
全体に無毛。葉は奇数羽状複葉。下部の葉は側小葉が1~2(稀に3)対つき、上部の葉は3出複葉、長い柄がある。小葉は小さいものは卵形、大きいものは長さ2~8㎝、幅5~10㎜の線形。鋭い鋸歯がある。総苞片、小総苞片は披針形。花は散形花序につき、白色、5個の花弁の先が内側に曲がる。雄しべ5個。果実は直径約2㎜の卵円形、隆条は低い。珠芽は花期と同じ頃につく。2n=18
ヌマゼリ Sium suave はよく似ている。中国名は泽芹(ze qin) 、普通、珠芽がつかず、上部の茎葉が無柄。果実が大きい。
多年草、水生、または水辺に生え、全体が無毛。根は束生、紡錘形または繊維状。茎は単生し、条線があり、分枝し、下部の節から発根する。 根生葉は葉柄があり、鞘をもつ。葉身は1回羽状複葉。羽片は無柄、離れる。複散形花序、頂生および側生。 苞と小苞があり、普通、反曲する。大散形花序の柄は開出斜上する。萼歯は明瞭または小さく、しばしば不等長。 花弁は白色、倒卵形またはほぼ円形、基部はくさび形、先にはノッチがあり、小さな裂片が内曲する。小散形花序の外側の花弁はときに大きくなる(放射状)。柱下体(stylopodium)は短い円錐形。花柱は散開または下屈する。果実は卵形または楕円形、側部がわずかに扁平、無毛。隆条は明瞭でコルク質で厚いかまたは不明瞭。油管は各溝に1~3個、合成面に2~6個。種子は表面が平坦、分果柄(carpophore)は基部まで2分岐する。
世界に約10種があり、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。
synonym Sium sisarum auct. non L.
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、ロシア原産。湿地に生える。和名の由来は葉腋に珠芽(むかご)が付き、根が朝鮮人参に似ていることから。
多年草。高さ30~100㎝。全体に無毛。葉は奇数羽状複葉。下部の葉は側小葉が1~2(稀に3)対つき、上部の葉は3出複葉、長い柄がある。小葉は小さいものは卵形、大きいものは長さ2~8㎝、幅5~10㎜の線形。鋭い鋸歯がある。総苞片、小総苞片は披針形。花は散形花序につき、白色、5個の花弁の先が内側に曲がる。雄しべ5個。果実は直径約2㎜の卵円形、隆条は低い。珠芽は花期と同じ頃につく。2n=18。花期は8~11月。
2 Sium serra (Franch. et Sav.) Kitag. タニミツバ 谷三葉
synonym Sium ternifolium B.Y.Lee et S.C.Ko カラタニミツバ(朝鮮産)
日本(北海道、本州の中部地方・関東地方・東北地方の太平洋側)、朝鮮に分布。山地の谷間の木陰の水辺に生える。
多年草、高さ60~80㎝。根は数本が束生し、やや肥厚する。全体に毛が無い。茎は直立し、上部で分枝し、細く、中空。葉は互生し、茎の下部の葉は3出複葉または奇数羽状複葉。小葉は3~5個つき、質が薄く、卵形~卵状楕円形、長さ3~10㎝×幅1~4㎝、基部は広くさび形~円形、まれに浅い心形、縁は細鋸歯縁、先は尾状尖鋭形、小葉柄は無い。茎の上部の葉は小型になり、小葉は狭披針形~線形。葉腋に珠芽はつかない。複散形花序はまばらな3-5個の小花序からなり、まばらに小さい白色の花をつける。花は径2mmほどで、花弁は5個で先端は内側に曲がる。複散形花序の大散形花序の柄は2~4本、長さ1~2㎝、細い。総苞片はないかまたは1~2個つき、糸状。小散形花序の花柄は5~10本、長さ7~10mm、ごく細い。小総苞片(小苞)は数個つき、糸状。雄しべは5本。花柱は2個。果実は広卵形、長さ約2mm。分果は隆条が糸状で低い。油管は約15個。花期は7~8月。
3 Sium suave Walter ヌマゼリ 広義
synonym Sium suave Walter var. ovatum (Yatabe) H.Hara f. nipponicum (Maxim.) Hiyama
synonym Sium suave Sium suave Walter var. suave トウヌマゼリ
synonym Sium nipponicum Maxim. ヌマゼリ
synonym Sium nipponicum var. ovatum (Yatabe) Y.Yabe ヒロハヌマゼリ
synonym Sium suave Walter subsp. nipponicum (Maxim.) Sugim.
日本、中国、台湾、ロシア、北アメリカ原産。中国名は泽芹 ze qin。湿地や水辺に生える。
高さ60~120㎝。丈夫。根はひげ根または束生、紡錘形。葉身は長円形または卵形、長さ6~25㎝×幅7~10㎝。羽片は3~9対。小葉は披針形または線形長さ10~40㎜×幅3~15㎜、縁は鋸歯縁。上部の葉は小さく、3裂または全縁、広がった鞘に無柄でつく。散形花序は直径4~8㎝、茎や枝に頂生する。苞は6~10個、披針形または線状披針形、長さ3~15㎜、全縁又は欠刻状。大散形花序の柄は (8~)10~20本、長さ1.5~3㎝、不等長。小苞は5~10個、線状披針形、長さ1~3㎜、全縁。小散形花序は花が10~20個つく。花柄は長さ3~5㎜。萼歯は三角状披針形または小さな三角形、長さ0.5~2㎜。果実は卵形、約・長さ3㎜×幅2㎜。隆条は明瞭、コルク質、厚く、狭い翼がある。油管は各溝に1~3個、合成面に2~6個。花期は7~8月。果期は9~10月。
※トウヌマゼリ(var. suave)とヌマゼリ(var. nipponicum)を変種で分けていたが、分けなくなった。
(1) Sium suave Walter var. suave トウヌマゼリ 唐沼芹
synonym Sium suave Walter var. tenuissimum Kitag.
synonym Sium suave Walter f. angustissimum (Kom.) Kitag.
北海道、本州に分布する。
高さ60~100cm。茎は多数分枝し、中空、6~7本の肋がある。葉は羽状複葉。小葉が多く7~17個あり、線状披針形、長さ5~10㎝。側小葉は無柄で、縁は鋭鋸歯縁。複散形花序の総苞片と小総苞片があり、線形。花は白色、直径約3㎜。萼歯は不明瞭。果実は楕円形、長さ約3mm。花期は8~9月。
(2) Sium suave Walter var. nipponicum (Maxim.) H.Hara ヌマゼリ
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(東北部)原産。別名はサワゼリ。湿地、溜池畔、休耕田などに生える。
多年草。高さ60~100cm。根は白色のひげ根。茎は中空、多数、分枝する。葉は葉柄があり、奇数羽状複葉または3出複葉、葉鞘は茎を抱く。根生葉には長柄がある。小葉は普通、楕円形~狭卵形、鋸歯縁、側小葉は3~4対、無柄、長さ3~10cm×幅1~2㎝。上部の葉は小型で、羽片が減る。花序はやや小さい。大散形花序の柄は7~12本。総苞片は5~10個、線形。小総苞片は線形。花は白色。萼歯は3角形。果実は倒卵形または楕円形、長さ約3mm。分果の隆条は全て太い。油管は約10個。花期は7~9月。 (3) Sium suave Walter var. ovatum (Yatabe) H.Hara ヒロハヌマゼリ
synonym Sium suave Walter var. nipponicum (Maxim.) H.Hara f. ovatum (Yatabe) Kitag.
小葉が広卵形になる。
4 Sium tenue (Kom.) Kom. ウスリームカゴニンジン
synonym Sium heterophyllum Y.N.Lee
朝鮮、ロシア原産。
5 Sium ternifolium B.Y.Lee et S.C.Ko カラタニミツバ(朝鮮産)
朝鮮固有種として報告された。Kew ScienceなどではSium serraに含めている。
高さ20~50㎝、茎はまれに分枝する。葉は茎下部では3出複葉、茎上部でも3出複葉。小葉の先は長い尖鋭形。総苞片は無い。大散形花序の柄は2~6本、細い。小苞は数個、下屈しない。
Sium
Sium
Sium
山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅰ
Sium ternifolium (Apiaceae), a new species from Korea
全体に無毛。葉は奇数羽状複葉。下部の葉は側小葉が1~2(稀に3)対つき、上部の葉は3出複葉、長い柄がある。小葉は小さいものは卵形、大きいものは長さ2~8㎝、幅5~10㎜の線形。鋭い鋸歯がある。総苞片、小総苞片は披針形。花は散形花序につき、白色、5個の花弁の先が内側に曲がる。雄しべ5個。果実は直径約2㎜の卵円形、隆条は低い。珠芽は花期と同じ頃につく。2n=18
ヌマゼリ Sium suave はよく似ている。中国名は泽芹(ze qin) 、普通、珠芽がつかず、上部の茎葉が無柄。果実が大きい。
ムカゴニンジン属
family Apiaceae - genus Sium多年草、水生、または水辺に生え、全体が無毛。根は束生、紡錘形または繊維状。茎は単生し、条線があり、分枝し、下部の節から発根する。 根生葉は葉柄があり、鞘をもつ。葉身は1回羽状複葉。羽片は無柄、離れる。複散形花序、頂生および側生。 苞と小苞があり、普通、反曲する。大散形花序の柄は開出斜上する。萼歯は明瞭または小さく、しばしば不等長。 花弁は白色、倒卵形またはほぼ円形、基部はくさび形、先にはノッチがあり、小さな裂片が内曲する。小散形花序の外側の花弁はときに大きくなる(放射状)。柱下体(stylopodium)は短い円錐形。花柱は散開または下屈する。果実は卵形または楕円形、側部がわずかに扁平、無毛。隆条は明瞭でコルク質で厚いかまたは不明瞭。油管は各溝に1~3個、合成面に2~6個。種子は表面が平坦、分果柄(carpophore)は基部まで2分岐する。
世界に約10種があり、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。
ムカゴニンジン属の主な種と園芸品種
1 Sium ninsi L. ムカゴニンジンsynonym Sium sisarum auct. non L.
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、ロシア原産。湿地に生える。和名の由来は葉腋に珠芽(むかご)が付き、根が朝鮮人参に似ていることから。
多年草。高さ30~100㎝。全体に無毛。葉は奇数羽状複葉。下部の葉は側小葉が1~2(稀に3)対つき、上部の葉は3出複葉、長い柄がある。小葉は小さいものは卵形、大きいものは長さ2~8㎝、幅5~10㎜の線形。鋭い鋸歯がある。総苞片、小総苞片は披針形。花は散形花序につき、白色、5個の花弁の先が内側に曲がる。雄しべ5個。果実は直径約2㎜の卵円形、隆条は低い。珠芽は花期と同じ頃につく。2n=18。花期は8~11月。
2 Sium serra (Franch. et Sav.) Kitag. タニミツバ 谷三葉
synonym Sium ternifolium B.Y.Lee et S.C.Ko カラタニミツバ(朝鮮産)
日本(北海道、本州の中部地方・関東地方・東北地方の太平洋側)、朝鮮に分布。山地の谷間の木陰の水辺に生える。
多年草、高さ60~80㎝。根は数本が束生し、やや肥厚する。全体に毛が無い。茎は直立し、上部で分枝し、細く、中空。葉は互生し、茎の下部の葉は3出複葉または奇数羽状複葉。小葉は3~5個つき、質が薄く、卵形~卵状楕円形、長さ3~10㎝×幅1~4㎝、基部は広くさび形~円形、まれに浅い心形、縁は細鋸歯縁、先は尾状尖鋭形、小葉柄は無い。茎の上部の葉は小型になり、小葉は狭披針形~線形。葉腋に珠芽はつかない。複散形花序はまばらな3-5個の小花序からなり、まばらに小さい白色の花をつける。花は径2mmほどで、花弁は5個で先端は内側に曲がる。複散形花序の大散形花序の柄は2~4本、長さ1~2㎝、細い。総苞片はないかまたは1~2個つき、糸状。小散形花序の花柄は5~10本、長さ7~10mm、ごく細い。小総苞片(小苞)は数個つき、糸状。雄しべは5本。花柱は2個。果実は広卵形、長さ約2mm。分果は隆条が糸状で低い。油管は約15個。花期は7~8月。
3 Sium suave Walter ヌマゼリ 広義
synonym Sium suave Walter var. ovatum (Yatabe) H.Hara f. nipponicum (Maxim.) Hiyama
synonym Sium suave Sium suave Walter var. suave トウヌマゼリ
synonym Sium nipponicum Maxim. ヌマゼリ
synonym Sium nipponicum var. ovatum (Yatabe) Y.Yabe ヒロハヌマゼリ
synonym Sium suave Walter subsp. nipponicum (Maxim.) Sugim.
日本、中国、台湾、ロシア、北アメリカ原産。中国名は泽芹 ze qin。湿地や水辺に生える。
高さ60~120㎝。丈夫。根はひげ根または束生、紡錘形。葉身は長円形または卵形、長さ6~25㎝×幅7~10㎝。羽片は3~9対。小葉は披針形または線形長さ10~40㎜×幅3~15㎜、縁は鋸歯縁。上部の葉は小さく、3裂または全縁、広がった鞘に無柄でつく。散形花序は直径4~8㎝、茎や枝に頂生する。苞は6~10個、披針形または線状披針形、長さ3~15㎜、全縁又は欠刻状。大散形花序の柄は (8~)10~20本、長さ1.5~3㎝、不等長。小苞は5~10個、線状披針形、長さ1~3㎜、全縁。小散形花序は花が10~20個つく。花柄は長さ3~5㎜。萼歯は三角状披針形または小さな三角形、長さ0.5~2㎜。果実は卵形、約・長さ3㎜×幅2㎜。隆条は明瞭、コルク質、厚く、狭い翼がある。油管は各溝に1~3個、合成面に2~6個。花期は7~8月。果期は9~10月。
※トウヌマゼリ(var. suave)とヌマゼリ(var. nipponicum)を変種で分けていたが、分けなくなった。
(1) Sium suave Walter var. suave トウヌマゼリ 唐沼芹
synonym Sium suave Walter var. tenuissimum Kitag.
synonym Sium suave Walter f. angustissimum (Kom.) Kitag.
北海道、本州に分布する。
高さ60~100cm。茎は多数分枝し、中空、6~7本の肋がある。葉は羽状複葉。小葉が多く7~17個あり、線状披針形、長さ5~10㎝。側小葉は無柄で、縁は鋭鋸歯縁。複散形花序の総苞片と小総苞片があり、線形。花は白色、直径約3㎜。萼歯は不明瞭。果実は楕円形、長さ約3mm。花期は8~9月。
(2) Sium suave Walter var. nipponicum (Maxim.) H.Hara ヌマゼリ
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(東北部)原産。別名はサワゼリ。湿地、溜池畔、休耕田などに生える。
多年草。高さ60~100cm。根は白色のひげ根。茎は中空、多数、分枝する。葉は葉柄があり、奇数羽状複葉または3出複葉、葉鞘は茎を抱く。根生葉には長柄がある。小葉は普通、楕円形~狭卵形、鋸歯縁、側小葉は3~4対、無柄、長さ3~10cm×幅1~2㎝。上部の葉は小型で、羽片が減る。花序はやや小さい。大散形花序の柄は7~12本。総苞片は5~10個、線形。小総苞片は線形。花は白色。萼歯は3角形。果実は倒卵形または楕円形、長さ約3mm。分果の隆条は全て太い。油管は約10個。花期は7~9月。 (3) Sium suave Walter var. ovatum (Yatabe) H.Hara ヒロハヌマゼリ
synonym Sium suave Walter var. nipponicum (Maxim.) H.Hara f. ovatum (Yatabe) Kitag.
小葉が広卵形になる。
4 Sium tenue (Kom.) Kom. ウスリームカゴニンジン
synonym Sium heterophyllum Y.N.Lee
朝鮮、ロシア原産。
5 Sium ternifolium B.Y.Lee et S.C.Ko カラタニミツバ(朝鮮産)
朝鮮固有種として報告された。Kew ScienceなどではSium serraに含めている。
高さ20~50㎝、茎はまれに分枝する。葉は茎下部では3出複葉、茎上部でも3出複葉。小葉の先は長い尖鋭形。総苞片は無い。大散形花序の柄は2~6本、細い。小苞は数個、下屈しない。
参考
1) Flora of ChinaSium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108587
2) Plants of the World Online | Kew ScienceSium
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331526-2
3) World Flora OnlineSium
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000035568;jsessionid=72F1449AE3C13439921AAE635421CA21
4) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76: 137-150(2001) 山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅰ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_137_150.pdf
5) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76: 137-150(2001) Sium ternifolium (Apiaceae), a new species from Korea
https://www.researchgate.net/publication/323802192_Sium_ternifolium_Apiaceae_a_new_species_from_Korea