ミヤマゼンゴ 深山前胡
Flora of Mikawa
セリ科 Apiaceae エゾシシウド属
別 名 | ミヤマゼンゴ |
学 名 | Coelopleurum multisectum (Maxim.) Kitag. |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 15~60㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 亜高山、高山の草地、礫地 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州(中部地方) |
撮 影 | 乗鞍岳 06.8.20 |
茎はやや太く、中空、赤色を帯びる。葉は長さ10~15㎝、2~4回3出羽状複葉の三角状、質が厚い。小葉は先が尖り、長卵形~卵形、鋸歯も鋭い。葉柄は大きな袋状の鞘があり、赤みを帯びる。大散花序に小さな白花を多数つける。総苞片はなく、小総苞片は線形~披針状長楕円形。花は直径約2.5㎜。花弁は5個、先が内側に巻く。雄しべ5個、葯は紫褐色。果実の分果は長さ4~6㎜、無毛、翼は肋より狭い。
ミヤマセンキュウは開花時期がやや遅い。葉が整った三角形、葉の切れ込みが細かく、先が尾状に尖る。小総苞片が線形で長い。
多年草。茎は中空。 葉は2~3回羽状複葉または2~3回3出羽状複葉、葉鞘は膨れる。複散形花序化合物、頂生または側生。 萼歯は廃れる。 花弁は白色、長い楕円形、先が内曲する。柱下体(stylopodium)は短い円錐形、縁はしばしば曲がりくねる。果実(双懸果の分果)は楕円形または卵状楕円形、背側がわずかに平らになり、無毛、隆条(肋)はすべて幅が広く、翼が厚く、側隆条は背隆条よりわずかに幅が広いか、又はほぼ同幅。 油管(vittae)は各溝に1~3個、合成面(commissure)で2~4個。 種子は表面が平かまたは凹面。 分果柄(carpophore)は基部で2分岐する。
世界に約4種があり、東アジア、北アメリカに分布する。
多年草、高さ60~150㎝。茎は直立し、中空、上部で分枝し、節の下に短毛がある。葉は1~2回羽状複葉。葉柄の基部は袋状になって膨れる。小葉は質が厚く、光沢があり、卵形~広卵形~円形、、長さ3~10㎝、基部は普通くさび形、縁は重鋸歯、先は鋭形または尖鋭形、ときに頂小葉は3中~深裂する。葉の下面の脈上に毛があり、ザラつく。複散形花序は頂生、幅約7㎝。大散形花序の柄(ray)は30~50本、長さ1.5~3㎝。苞は少数または無い。小苞は常にあり、広線形。小散形花序は花が約30個つく。花柄は長さ約6㎜、小苞とほぼ同長。双懸果(cremocarp )の分果は長楕円形、長さ6~8㎜、背面に肋が5本あり、コルク質で太い。油管(vittae)は細く、多数ある。花期は6~8月。2n=22(x=11)。
多年草。高さ15~60㎝。茎はやや太く、中空、赤色を帯びる。葉は長さ10~15㎝、2~4回3出羽状複葉の三角状、質が厚い。小葉は先が尖り、長卵形~卵形、鋸歯も鋭い。葉柄は大きな袋状の鞘があり、赤みを帯びる。大散花序に小さな白花を多数つける。総苞片はなく、小総苞片は線形~披針状長楕円形。花は直径約2.5㎜。花弁は5個、先が内側に巻く。雄しべ5個、葯は紫褐色。果実の分果は長さ4~6㎜、無毛、翼は肋より狭い。花期は7~8月。
3 Coelopleurum nakaianum (Kitag.) Kitag. クモイノダケ
朝鮮、中国(吉林省)原産。中国名は长白高山芹 chang bai gao shan qin。標高2000m以上の高山草原に生える。
高さ20~40cm。根は褐色、円筒形、太さ約1㎝。茎は緑色または紫緑色、分枝し、節は微細剛毛を持つ。根生葉および下部の茎葉の葉柄は長さ4~6㎝、鞘は膜質で膨らむ。葉身は広卵形、長さ3~5㎝×幅3~7㎝、2~3回羽状複葉。小葉は無柄、長円形~広卵形、長さ2㎝×幅1.2㎝・以下、基部は楔形、縁は鋭く堅い先端の歯があり、先は尖鋭形、上面は白色の毛があり、下面には無毛またはまばらに毛がある。下部の小葉はしばしば3裂する。散形花序は直径3~7㎝、果時には10㎝までに大きくなる。苞はないかまたは1枚で、線状披針形、落葉性。大散形花序の柄(ray)は12~15本、ザラつく。小苞は6~10個、線形、長さ約1cm、小花柄よりかなり長く、まばらに毛がある。花弁は広倒卵形。葯は暗紫色。果実は卵形、長さ3.5~5㎝×幅2.5~4㎝。各溝に油管(vittae)は1~3個、合成面(commissure)に3~4個。花期は7~8月。果期は8~9月。
4 Coelopleurum rupestre (Koidz.) T.Yamaz. エゾヤマゼンゴ 蝦夷山前葫
synonym Coelopleurum trichocarpum (H.Hara) Kitag.
北海道に分布する。別名はウスゲミヤマゼンゴ、 エゾヨロイグサ 。 高山帯の草原などに生える。POWOではシシウド属のAngelica anomalaとしている。
多年草。茎は枝分かれし,赤味をおびることがある。高さ60~100㎝。葉は2回3出羽状複葉。葉の脈に毛がない。大きな散形花序をつくり、花柄は多数。花は直径1㎜ほどで、白色。ミヤマゼンコの変種。形態はエゾノシシウドに似る。花期は7~8月。
5 Coelopleurum saxatile (Turcz. ex Ledeb.) Drude タカネシシウド 高嶺猪独活
synonym Coelopleurum alpinum Kitag.
朝鮮、中国(吉林省)、ロシア原産。中国名高山芹 gao shan qin。標高1900m以上の湿った森林、渓谷、急な斜面、草原に生える。
高さ60~80㎝。根は褐色、円筒形、太さ約2㎝。茎は紫緑色で、まばらに毛があり、上部で少数分枝し、細いうねがある。根生葉と下部の葉は長い葉柄があり、落葉する。中間の葉は短い葉柄があり、鞘は広い膜質。葉身は2~3回3出複葉~羽状複葉。小葉はほぼ無柄、菱形卵形または斜めの卵形、長さ7㎝×幅4㎝・まで、基部は楔形またはほぼ円形、縁は粗い鋸歯状、先は尖鋭形、無毛。散形花序は直径5~9㎝、苞はない。大散形花序の柄(ray)は20~27本、長さ3~4.5㎝、密に毛がある。小苞は7~8個、線形、縁毛があり、小花柄よりかなり長い。小花柄は20~30本、微細剛毛がある。果実は楕円形、長さ4~5㎜×幅2~3㎜。油管(vittae)は各溝に1個合成面(commissure)に2個。花期は7~8月。果期は8~9月。n=14。
Coelopleurum
Coelopleurum
Coelopleurum
Coelopleurum
クモイノダケの所属について 北川政夫
ミヤマセンキュウは開花時期がやや遅い。葉が整った三角形、葉の切れ込みが細かく、先が尾状に尖る。小総苞片が線形で長い。
エゾシシウド属
family Apiaceae - genus Coelopleurum多年草。茎は中空。 葉は2~3回羽状複葉または2~3回3出羽状複葉、葉鞘は膨れる。複散形花序化合物、頂生または側生。 萼歯は廃れる。 花弁は白色、長い楕円形、先が内曲する。柱下体(stylopodium)は短い円錐形、縁はしばしば曲がりくねる。果実(双懸果の分果)は楕円形または卵状楕円形、背側がわずかに平らになり、無毛、隆条(肋)はすべて幅が広く、翼が厚く、側隆条は背隆条よりわずかに幅が広いか、又はほぼ同幅。 油管(vittae)は各溝に1~3個、合成面(commissure)で2~4個。 種子は表面が平かまたは凹面。 分果柄(carpophore)は基部で2分岐する。
世界に約4種があり、東アジア、北アメリカに分布する。
エゾシシウド属の主な種と園芸品種
1 Coelopleurum gmelinii (DC.) Ledeb. エゾノシシウド 蝦夷の猪独活synonym Coelopleurum lucidum auct. non (L.) Fernald
synonym Coelopleurum lucidum (L.) Fernald var. gmelinii (DC.) H.Hara
日本(北海道、本州の東北地方)、ロシア原産。海岸や山地の草地に生える。別名はエゾノハマウド。多年草、高さ60~150㎝。茎は直立し、中空、上部で分枝し、節の下に短毛がある。葉は1~2回羽状複葉。葉柄の基部は袋状になって膨れる。小葉は質が厚く、光沢があり、卵形~広卵形~円形、、長さ3~10㎝、基部は普通くさび形、縁は重鋸歯、先は鋭形または尖鋭形、ときに頂小葉は3中~深裂する。葉の下面の脈上に毛があり、ザラつく。複散形花序は頂生、幅約7㎝。大散形花序の柄(ray)は30~50本、長さ1.5~3㎝。苞は少数または無い。小苞は常にあり、広線形。小散形花序は花が約30個つく。花柄は長さ約6㎜、小苞とほぼ同長。双懸果(cremocarp )の分果は長楕円形、長さ6~8㎜、背面に肋が5本あり、コルク質で太い。油管(vittae)は細く、多数ある。花期は6~8月。2n=22(x=11)。
2 Coelopleurum multisectum (Maxim.) Kitag. ミヤマゼンゴ 深山前胡
日本固有種(本州の中部地方)。別名は。亜高山、高山の草地、礫地に生える。多年草。高さ15~60㎝。茎はやや太く、中空、赤色を帯びる。葉は長さ10~15㎝、2~4回3出羽状複葉の三角状、質が厚い。小葉は先が尖り、長卵形~卵形、鋸歯も鋭い。葉柄は大きな袋状の鞘があり、赤みを帯びる。大散花序に小さな白花を多数つける。総苞片はなく、小総苞片は線形~披針状長楕円形。花は直径約2.5㎜。花弁は5個、先が内側に巻く。雄しべ5個、葯は紫褐色。果実の分果は長さ4~6㎜、無毛、翼は肋より狭い。花期は7~8月。
3 Coelopleurum nakaianum (Kitag.) Kitag. クモイノダケ
朝鮮、中国(吉林省)原産。中国名は长白高山芹 chang bai gao shan qin。標高2000m以上の高山草原に生える。
高さ20~40cm。根は褐色、円筒形、太さ約1㎝。茎は緑色または紫緑色、分枝し、節は微細剛毛を持つ。根生葉および下部の茎葉の葉柄は長さ4~6㎝、鞘は膜質で膨らむ。葉身は広卵形、長さ3~5㎝×幅3~7㎝、2~3回羽状複葉。小葉は無柄、長円形~広卵形、長さ2㎝×幅1.2㎝・以下、基部は楔形、縁は鋭く堅い先端の歯があり、先は尖鋭形、上面は白色の毛があり、下面には無毛またはまばらに毛がある。下部の小葉はしばしば3裂する。散形花序は直径3~7㎝、果時には10㎝までに大きくなる。苞はないかまたは1枚で、線状披針形、落葉性。大散形花序の柄(ray)は12~15本、ザラつく。小苞は6~10個、線形、長さ約1cm、小花柄よりかなり長く、まばらに毛がある。花弁は広倒卵形。葯は暗紫色。果実は卵形、長さ3.5~5㎝×幅2.5~4㎝。各溝に油管(vittae)は1~3個、合成面(commissure)に3~4個。花期は7~8月。果期は8~9月。
4 Coelopleurum rupestre (Koidz.) T.Yamaz. エゾヤマゼンゴ 蝦夷山前葫
synonym Coelopleurum trichocarpum (H.Hara) Kitag.
synonym Coelopleurum multisectum (Maxim.) Kitag. var. trichocarpum (H.Hara) H.Ohba
synonym Coelopleurum multisectum (Maxim.) Kitag. f. trichocarpum (H.Hara) Kitag.
synonym Coelopleurum multisectum (Maxim.) Kitag. f. epichnoum Kitag.
synonym Coelopleurum lucidum (L.) Fernald var. trichocarpum (H.Hara) H.Hara
synonym Angelica anomala Avé-Lall. [POWO] シシウド属北海道に分布する。別名はウスゲミヤマゼンゴ、 エゾヨロイグサ 。 高山帯の草原などに生える。POWOではシシウド属のAngelica anomalaとしている。
多年草。茎は枝分かれし,赤味をおびることがある。高さ60~100㎝。葉は2回3出羽状複葉。葉の脈に毛がない。大きな散形花序をつくり、花柄は多数。花は直径1㎜ほどで、白色。ミヤマゼンコの変種。形態はエゾノシシウドに似る。花期は7~8月。
5 Coelopleurum saxatile (Turcz. ex Ledeb.) Drude タカネシシウド 高嶺猪独活
synonym Coelopleurum alpinum Kitag.
朝鮮、中国(吉林省)、ロシア原産。中国名高山芹 gao shan qin。標高1900m以上の湿った森林、渓谷、急な斜面、草原に生える。
高さ60~80㎝。根は褐色、円筒形、太さ約2㎝。茎は紫緑色で、まばらに毛があり、上部で少数分枝し、細いうねがある。根生葉と下部の葉は長い葉柄があり、落葉する。中間の葉は短い葉柄があり、鞘は広い膜質。葉身は2~3回3出複葉~羽状複葉。小葉はほぼ無柄、菱形卵形または斜めの卵形、長さ7㎝×幅4㎝・まで、基部は楔形またはほぼ円形、縁は粗い鋸歯状、先は尖鋭形、無毛。散形花序は直径5~9㎝、苞はない。大散形花序の柄(ray)は20~27本、長さ3~4.5㎝、密に毛がある。小苞は7~8個、線形、縁毛があり、小花柄よりかなり長い。小花柄は20~30本、微細剛毛がある。果実は楕円形、長さ4~5㎜×幅2~3㎜。油管(vittae)は各溝に1個合成面(commissure)に2個。花期は7~8月。果期は8~9月。n=14。
参考
1) Flora of ChinaCoelopleurum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110810
2) Plants of the World Online| KewscienceCoelopleurum
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:60452048-2
3) World Flora OnlineCoelopleurum
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012430;jsessionid=3725A4F3D661F11D7231B8D756E5CC1F
4) Jepson eFlora: Taxon pageCoelopleurum
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=23256
5) 植物研究雑誌 43(10-11)朝比奈記念号:427-428. 1968クモイノダケの所属について 北川政夫
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/43/10-11/43_43_10-11_5718/_pdf/-char/ja