ミヤマウズラ 深山鶉

Flora of Mikawa
ラン科 Orchidaceae シュスラン属
中国名 | 斑叶兰 ban ye lan |
学 名 | Goodyera schlechtendaliana Reichb. fil. |





花 期 | 8~9月 |
高 さ | 6~25㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 谷沿いの広葉樹林内 |
分 布 | 在来種 北海道(中部)、本州、四国、九州 |
撮 影 | 猿投山 03.8.21 |
多年草、地上生、高さ6~25㎝。根茎は細くて丈夫で、多数の節がある。茎は直立し、長さ1~6㎝、葉が4~6枚つく。葉はほぼロゼット状につくか、または、茎にほぼ輪生または間隔を開けて互生し、下面は淡緑色、上面は緑色で不規則な白色の斑紋があり、卵形~卵状披針形、長さ2.5~5㎝×幅0.8~2.2㎝、基部はほぼ円形または広くさび形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ0.4~1.8㎝。花序柄は淡緑色、長さ5~12㎝、毛があり、2~4個の不稔の苞がつく。花序軸は3~10㎝、花が5~20個またはそれ以上つき、偏側生。花の苞は披針形、長さ7~12㎜、毛があり、先は尖鋭形。花は弱く開き、白色、ピンク色を帯び、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ8~10㎜、毛がある。萼片は外面に毛があり、1脈がある。背萼片は狭楕円状披針形、舟形、長さ7~10㎜×幅3~3.5㎜、先は鋭形。側萼片は卵状披針形、長さ7~9㎜×幅3.5~4㎜、先は鋭形。花弁は菱状倒披針形、長さ7~10㎜×幅2.5~3㎜、1脈があり、先は鈍形またはほぼ鋭形。唇弁は卵形、長さ6~8.5㎜×幅3~4㎜。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内側にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、長さ3~3.5㎜、わずかに反曲する。ずい柱は長さ約3㎜。葯は卵形、尖鋭形。花粉塊は長さ約3㎜。嘴状体は長さ2~3㎜、残りは深く2裂する。花期は8~10月。2n=30+0-2B, 60。
葉に白班がないものをフナシミヤマウズラという。
シュスランは葉の表面がビロード状で光沢があり、主脈に沿う1本の白線の帯が目立つ。
シュスラン属
family Orchidaceae - genus Goodyera多年草、地上生(terrestrial)またはまれに着生(epiphytic)または岩生(lithophytic)。根茎は細長く、這い、節は数個~多数あり、節にひげ根がある。茎は直立または斜上し、短くまたは長く、葉が数個~多数つく。葉は茎に間隔を広く開けて、密集してつき、またはロゼットになり、淡緑色~暗緑色または帯黒色、、上面にときに、中脈が白色またはピンク色、または網状脈が白色またはピンク色になり、披針形~卵状楕円形、普通、斜めになり、わずかに肉質、基部は鞘のある葉柄のような柄に狭くなる。花序は頂生、総状花序、無毛または有毛。花序柄は少数の鞘のある苞をもつ。花序軸は緩くまたは密に花が1個~多数、偏側生(secund)につき、または円筒形。花の苞は無毛または有毛。花は逆さになる。萼片は離生、不等長、外面が無毛または有毛。背萼片は凹面状で、花弁と輻合し、ずい柱の上にフード状になる。側萼片は唇弁と合着し、広く広がっているか、または後屈する。花弁は膜質で、無毛。唇弁は基部でずい柱と合着し、舟形、凹状で袋状の下唇(hypochile)と、無柄またはまれに短い爪部のある上唇(epichile)からなる。下唇(hypochile)は普通、内部にパピラ(乳頭状突起)があるか、またはまれに無毛になり、ときに低い対の竜骨がある。上唇(epichile)は横向きの楕円形~披針形。ずい柱は短く、先で広がり、付属体は無い。葯は直立する。花粉塊は2個、それぞれ縦に2深裂し、顆粒状粉状、小塊があり(sectile)、小さな卵形の粘着体(viscidium)に直接付着するか、または漸尖して柄になって、長円形の粘着体に付着する。嘴状体(rostellum)は直立し、三角形、残りは浅くまたは深く2裂する。柱頭の裂片は合着し、嘴状体の下に位置する。蒴果は直立し、卵形~楕円形。
世界に約100種あり、南アフリカ、マダガスカル、アジア、オーストラリア北東部、南西太平洋の諸島、ヨーロッパ、メキシコを含む北アメリカに分布する。
シュスラン属の主な種と園芸品種
1 Goodyera biflora (Lindl.) Hook.f. ベニシュスラン 紅繻子蘭
synonym Goodyera macrantha Maxim.synonym Goodyera biflora (Lindl.) Hook.f. var. macrantha (Maxim.) T.Hashim.
日本(本州の関東以西、四国、九州)、韓国、中国、台湾、インド、ネパール、ベトナム原産。中国名は大花斑叶兰 da hua ban ye lan。林内の湿った場所に生える。多年草、地上生、高さ5~15㎝。根茎は細く、節はほとんどない。茎は斜上し、長さ3~12㎝、葉が4~5枚つく。葉は茎に広く間隔を開け、または茎の先に束生してつき、下面は淡緑色~淡紫赤色、上面は緑色で白色の網状脈があり、卵形~楕円形、長さ2~4㎝×幅1~2.5㎝、基部は円形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ1~2.5㎝。花序柄は赤褐色、長さ約1㎝、毛があり、普通、葉の基部で包まれ、1個または2個の無稔の苞がある。花序軸は長さ約0.5㎝、普通、花が2個、まれに3個つき、偏側生(secund)。花の苞は披針形、長さ15~25㎜×幅6~7㎜、毛があり、先は尖鋭形。花は弱く開き、筒状、大きい。小花柄と子房は円筒柱状紡錘形、長さ5~8㎜、毛がある。萼片は赤みがかったピンク色、等長、外面に毛があり、1脈がある。背萼片は線状披針形、長さ20~25㎜×幅3~4㎜、先は鋭形。側萼片は線状披針形、長さ20~25㎜×幅3~4㎜、先は鈍形。花弁は乳白色、線状倒披針形、わずかに斜め、長さ20~25㎜×幅約3㎜、先は鋭形。唇弁は乳白色、線状披針形、長さ18~22㎜×幅3~4㎜。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内面にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、長さ10~15㎜、先は鋭形~尖鋭形、反曲する。ずい柱は長さ約3㎜。葯は狭三角状披針形、長さ10~12㎜。花粉塊は倒披針形、長さ12~16㎜。嘴状体は長さ10~12㎜、細く、残りは深く2裂する。花期は2~7月。2n=28, 29, 30, 31, 32+0-4B, 33。
2 Goodyera bomiensis K.Y.Lang グッディエラ・ボミエンシス
中国(湖北省、西蔵、雲南省)、台湾原産。中国名は波密斑叶兰 bo mi ban ye lan。標高900~3700mの常緑広葉樹の混合林、モミ林の湿地に生える。
地生植物で、高さ19~30cm。根茎は短い。茎は直立し、長さ約1cm未満、3~6枚の葉がある。葉は茎の基部でロゼット状になり、下面は淡緑色、上面は緑色、白色の脈と不規則な斑紋があり、卵形~卵状円形、長さ1.8~3.2cm×幅1.3~2.5cm、基部は心形、円形、または広楔形、先は鈍形または鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は非常に短く、長さ約0.5cm。花序柄は緑色、長さ14~18cm、毛があり、3~5枚の不稔の苞を持つ。花序軸は長さ3~10cm、花は緩く、8~20個つき、偏側生。花の苞は卵状披針形、長さ5~6mm、先は尖鋭形。花は弱く開き、白色または淡黄白色で小さい。小花柄と子房は紡錘形、長さ4~7mm、有毛。萼片は白色、基部はときに淡褐色を帯び、1本の脈がある。背萼片は狭卵形、長さ3~3.5mm×幅1.5~2mm、外面の基部にはまばらに毛があり、先は鈍形。側萼片は狭楕円形、長さ3.5~4mm×幅1.5~2mm、無毛、先は鈍形。花弁は白色、菱状倒披針形、斜め、長さ3~3.8mm×幅1~1.2mm、1本の脈があり、先は鈍形。唇弁は卵状楕円形、長さ3.5~4mm×幅2~2.5mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、基部に向かって1本の縦のうねがあり、中脈の内側にはまばらにパピラがある。上唇(epichile)は舌形、舟形、長さ約1.5mm、先は鈍形で反り返る。ずい柱は長さ1.8~2mm。嘴状体は長さ約1.3mm、残存部は深く2裂する。花期は5~9月。果期は7~8月。2n=30。
3 Goodyera daibuzanensis Yamam. オオナガバウズラ 大長葉鶉
台湾原産。中国名は大武斑叶兰 da wu ban ye lan。標高700~1600mの森林内の日陰に生える。植物は地上性で、高さ25~45cm。根茎は細く、多数の節がある。茎は斜上し、長さ8~15cm、太く、5~7 枚の葉がある。葉は広い間隔でまたは茎の先端に束生し、下面は灰白色、上面は緑色で白色または淡緑色の中脈と不規則な白色斑があり、楕円形~長円形、長さ4.5~9cm×幅2~4cm、基部は円形~広楔形、先は鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ2~3cm。花序柄は淡灰緑色、長さ12~20 cm、有毛で、2~3枚の不稔の苞がある。花序軸は長さ6~11cm、花はほぼ密に多数つき偏側生~円筒形。花の苞は披針形、約・長さ17mm×幅5mm、軟毛があり、先は尖鋭形。花はかろうじて開き、淡緑白色または白色、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、約・長さ10mm、軟毛がある。萼片は外側に軟毛があり、1脈がある。背萼片は楕円形、約・長さ14mm×幅4.5mm、凹面、先は鋭形。側萼片は卵形、斜め、長さ11~13mm×幅約5mm、先は鋭形。花弁は菱形、斜め、約・長さ13mm×幅4.5mm、1脈があり、先は鈍形。唇弁は卵形、約・長さ9mm×幅4mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内側にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、舟形、長さ3~4.5mm、先は鋭形で反り返らない。ずい柱は長さ約3mm。葯は狭卵形、長さ約4mm、先は尖鋭形。花粉塊は長さ約1.5mm。嘴状体は直立し、長さ約5mm、残存部は深く2裂する。花期は9~10月。
4 Goodyera foliosa (Lindl.) Benth. ex C.B.Clarke ツユクサシュスラン 露草繻子蘭 広義
日本(四国、九州、琉球諸島、伊豆諸島、小笠原諸島)、韓国、中国、台湾、ブータン、インド、ミャンマー、ネパール、ベトナム原産。中国名は多叶斑叶兰 duo ye ban ye lan。林内、谷に沿った湿った場所に生える。多年草、地上生、高さ15~25cm。根茎は細く、節はほとんどない。茎は直立または斜上、長さ9~17㎝、葉は4~6枚つく。葉は茎に広く間隔を開けてつき、緑色、白斑紋は無く、卵形~楕円形、斜め、長さ2.5~7.5㎝×幅1.6~3㎝、基部は切形または円形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ1~2㎝。花序柄は緑色、長さ2.5~5㎝、毛があり、1~2個の無稔の苞がある。花序軸は長さ3~6㎝、ほぼ密~密に花が3~15個つき、偏側生(secund)。花の苞は披針形、長さ10~15mm×幅2~2.5mm、花を超え、毛がある。花は弱く開き、ピンク色がかった白色、緑白色、または白色、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ8~10mm、毛がある。萼片は等長、外面に毛があり、1脈がある。背萼片は狭卵形、長さ5~8mm×幅3.5~4mm、凹面状、先は鈍形。側萼片は卵形、長さ5~8×幅3.5~4 mm、先は鈍形。花弁は菱形、斜め、長さ5~8mm×幅3.5~4mm、1脈があり、基部で狭くなり、先は鈍形。唇弁は卵形、長さ6~8mm×幅3.5~4.5mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内面にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、長さ2~3mm、先はわずかに反曲する。ずい柱は長さ約3mm。葯は卵形、長さ約4㎜。花粉塊は長さ約3mm。嘴状体は長さ約2.5mm、残りは深く2裂する。花期は7~9月。2n=28、56。
4-1 Goodyera foliosa (Lindl.) Benth. ex C.B.Clarke var. foliosa ツユクサシュスラン 露草繻子蘭
synonym Goodyera augustini Tuyamasynonym Goodyera sonoharae Fukuy.
synonym Goodyera pachyglossa Hayata
synonym Goodyera maximowicziana Makino var. commelinoides (Fukuy.) Masam.
synonym Goodyera foliosa (Lindl.) Benth. ex C.B.Clarke var. commelinoides (Fukuy.) F.Maek.
synonym Goodyera commelinoides Fukuy.synonym Goodyera chilanensis S.S.Ying
別名はナンカイシュスラン、トカラシュスラン。
花の数が多く、苞や萼片に毛が多く、葉の先は長く尖る。
4-2 Goodyera foliosa (Lindl.) Benth. ex C.B.Clarke var. laevis Finet アケボノシュスラン 曙繻子蘭
synonym Goodyera henryi Rolfesynonym Goodyera foliosa (Lindl.) Benth. ex C.B.Clarke var. maximowicziana (Makino) S.S.Ying
synonym Goodyera maximowicziana Makino花茎を除き、全体に無毛。ツユクサシュスランは花序・子房・萼片・苞葉などに腺毛がある。
4-2-1 Goodyera foliosa (Lindl.) Benth. ex C.B.Clarke var. laevis Finet f. albiflora N.Yonez. シロバナアケボノシュスラン
白花品種。5 Goodyera fumata Thwaites ヤブミョウガラン 藪茗荷蘭
synonym Goodyera cyrtoglossa Hayata
synonym Goodyera caudatilabella Hayata
日本(琉球諸島)、中国、台湾、インド(デカン高原、シッキム)、インドネシア(ジャワ)、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム原産。中国名は烟色斑叶兰 yan se ban ye lan。別名はタカサゴキンギンソウ、 セイタカキンギンソウ。林内に生える。
多年草、地上生、高さ40~90㎝。根茎は非常に長く、丈夫で、多くの節がある。茎は直立し、長さ20~50㎝、葉は5~7枚つく。葉は茎に広く間隔を開けてつき、下面は淡緑色、上面は緑色、白色の斑紋は無く、楕円形、強く斜めになり、長さ15~20㎝×幅5~8㎝、基部は徐々に狭まり、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ5~10cm。花序柄は暗緑褐茶色、長さ約30㎝、毛があり、数個の無稔の苞をつける。花序軸は長さ10~30㎝、緩く~ほぼ密に花が25~50個つき、偏側生ではない。花の苞は狭披針形、長さ9~12mm、毛があり、先は尖鋭形。花は芳香があり、大きく開き、黄褐色、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ8~12mm、毛がある。萼片は外面に毛があり、1~3脈がある。背萼片は狭卵状長円形、長さ6~8mm×幅約2mm、先は鈍形。側萼片は広がり、卵状披針形、斜めで、長さ6~8mm×幅約3mm、先は鈍形。花弁は線状倒披針形、斜め、長さ7~9mm×幅1~1.5mm、1脈があり、先は鈍形。唇弁は淡褐色、先は白色がかり、菱状円形、長さ6~7mm×幅3~4mm。下唇(hypochile)はずい柱を抱き、凹面状、内側に密にパピラ(乳頭状突起)がある。上唇(epichile)は線状舌形、長さ約3mm、先は鋭形、反曲する。ずい柱は淡褐色、長さ5~6mm。葯は卵形、長さ約2mm、先はほぼ鋭形。 嘴状体は細長く、残りは浅く2裂する。花期は3月。
6 Goodyera hachijoensis Yatabe ハチジョウシュスラン 広義
synonym Epipactis matsumurana (Schltr.) A.A.Eaton
synonym Goodyera matsumurana
synonym Goodyera yangmeshanensis T.P.Lin
日本、台湾原産。中国名は白网脉斑叶兰 bai wang mai ban ye lan。林内の湿った場所に生える。
多年草、地上生、高さ8~30㎝。根茎は細く、節は多数つく。茎は斜上し、長さ2~10㎝、葉は3~5枚つく。葉は茎に広く間隔を開けてつき、下面は灰白色、上面は緑色、細かい白色の網状脈があり(、中央の脈は密で太く白色の帯状になり)、卵形~卵状長円形、長さ3~8㎝×幅2~4㎝、基部は円形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は赤褐色、長さ1.5~2.5㎝。花序柄は淡赤褐色、長さ3~10㎝、毛があり、4~7個の無稔の苞がある。花序軸は長さ3~10㎝、非常に多くの花がつき、偏側生(secund)。花の苞は緑色、基部は赤褐色、披針形~卵状披針形、約・長さ8mm×幅3.5mm、縁は切り裂かれた房状へり、先は尖鋭形。花は弱く開き、淡緑色~白色、ほぼ球形、小さい。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ5~5.5mm、無毛。萼片、1脈がある。背萼片は卵形~卵状長円形、長さ3~4mm×幅1.5~3mm、凹面状、先は鈍形~鋭形。側萼片は卵形~広卵状長円形、斜め、長さ3~4mm×幅2~3mm、先は鋭形。花弁は菱形、斜め、長さ3.2~3.5mm×幅1.4~2mm、1脈があり、先は鈍形。唇弁は卵形、長さ3~3.5mm×幅約3.5mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内面にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、舟形(cymbiform)、長さ約1mm、先は鈍形、反曲しない。ずい柱は黄白色、長さ約1.5mm。葯は卵形。嘴状体は短く、残りは浅く2裂する。花期は5~6月。2n=28, 40。
6-1 Goodyera hachijoensis Yatabe var. hachijoensis ハチジョウシュスラン 八丈繻子蘭
本州の岩手県、関東南部以西、四国、九州、沖縄、伊豆諸島(伊豆七島)に分布。花期は9~11月。6-1-1 Goodyera hachijoensis Yatabe var. hachijoensis f. izuohshimensis Satomi オオシマシュスラン 大島繻子蘭
本州の関東地方南部、伊豆諸島に分布。花期は9~11月。葉の上面の白班(網状脈紋)がない。
6-2 Goodyera hachijoensis Yatabe var. boninensis (Nakai) T.Hashim. ムニンシュスラン 無人繻子蘭
synonym Goodyera boninensis Nakai小笠原諸島に分布する。別名はオガサワラシュスラン
葉が大きく長楕円状披針形、長さ4~10㎝×幅2~4㎝、葉の上面の白班がない。花期は10~1月頃。
6-3 Goodyera hachijoensis Yatabe var. leuconeura (F.Maek.) Ohwi シライトシュスラン 白糸繻子蘭
synonym Goodyera hachijoensis Yatabe var. yakushimensis (Nakai) Ohwi subvar. leuconeura (F.Maek.) Masam.
屋久島に分布する。葉の白斑は中脈の細い1本だけ。唇弁が細長く、距が細長い
6-4 Goodyera hachijoensis Yatabe var. matsumurana (Schltr.) Ohwi カゴメラン 籠目蘭
synonym Goodyera matsumurana Schltr.日本(九州南部、伊豆諸島、壱岐の島、ト沖縄)、台湾、中国に分布。林内に生える。
葉の上面の白班は太い帯状にならず、白色の格子状脈がある。花期は秋
常緑多年草。高さ10~25㎝。茎は匍匐し、先が直立し、はが4~8枚つく。葉は茎に広く間隔を開けて互生し、斜めの卵状長円形~狭卵形、長さ3~4㎝×幅2~2.5㎝、上面は緑色、白色の格子状の網状脈がほぼ均等につく。総状花序は頂生し、密に多数の花をつける。花は白色で淡紅色を帯びる。花弁は長さ3~4㎜。花期は10~11月(栽培では2~3月)。
6-5 Goodyera hachijoensis Yatabe var. yakushimensis (Nakai) Ohwi ヤクシマシュスラン 屋久島繻子蘭
九州南部、屋久島に分布。葉の上面の白班はハチジョウシュスランに似るが、よりやや長め。花は紅赤色、唇弁の袋状部分が白色。花期は10月。
7 Goodyera kwangtungensis C.L.Tso カントンウズラ 広東鶉
synonym Goodyera rontabunensis T. Chow. 台湾(広東省)原産。中国名は花格斑叶兰 hua ge ban ye lan。標高1500~2200mの森林内の日陰に生える。POWOには掲載されていない。
地生植物、高さ18~30cm。根茎は細く、茎は斜上し、長さ4~8cm、3~5枚の葉がある。葉は茎の先に束生し、下面は淡緑色、上面は濃緑色、白色または淡緑色の葉脈と斑紋があり、卵状楕円形、長さ4.5~6cm×幅1.5~3cm、基部は楔形、先は鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ1~2cm。花序柄は淡灰緑色、長さ7~10cm、毛があり、2~3枚の不稔の苞を持つ。花序軸は長さ8~10cm、花は緩く~ほぼ密に7~12個つく、ほぼ偏側生。花の苞は卵状披針形、約・長さ13mm×幅4mm、先は尖鋭形。花はかろうじて開き、白色で、ときに帯緑色、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ12~14mm、軟毛がある。萼片は外側に軟毛があり、1本の脈がある。背萼片は長円状披針形、長さ11~14mm×幅3~4.3mm、凹面、先は鋭形。側萼片は長円状披針形、斜め、長さ11~14mm×幅3~4.3mm、先は鋭形。花弁は白色、先に緑色のブロッチがあり、狭菱状へら形、約・長さ11mm×幅3.5mm、1脈があり、先はほぼ鋭形。唇弁は卵状披針形、約・長さ10mm×幅3.8mm。下唇は凹面状袋形、内側にパピラがある。上唇は披針形、約・長さ10mm×幅3.8mm。ずい柱は長さ約6mm、2枚のギザギザの薄板を持ち、外側に竜骨があり、先はほぼ鋭形でわずかに反曲する。ずい柱は長さ約4mm。葯は長さ約4mmの狭卵形。嘴状体は長さ約3mm、残存物は深く2裂する。花期は5~6月。
8 Goodyera nankoensis Fukuy. ウスユキシュスラン 薄雪繻子蘭
ネパール、台湾原産。中国名は南湖斑叶兰 nan hu ban ye lan。標高2000~3000mの高山林の苔むした湿地に生える。植物は地生、高さ約9cm。根茎は太く、節は少ない。茎は斜上し、長さ2~3cm、4または5枚の葉がある。葉は茎に沿って間隔をあけてつき、下面は薄緑色、上面は緑色、中脈に沿って白色の帯があり、約・長さ2cm×幅1.3cmの卵形、基部は円形、先は鈍形。葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ約1cm。花序柄は薄緑色、長さ約4cm、まばらに毛があり、2枚の不稔の苞がある。花序軸は長さ約3cm、10~15個の花が密につき、ほぼ偏側生。花の苞は卵形~披針形、長さ7~10mm。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ7~8mm、まばらに毛がある。萼片は凹面で無毛、1脈がある。背萼片は長円形、約・長さ6mm×幅2.2mm、先は鋭形。側萼片は卵状披針形、斜め、約・長さ7mm×幅3mm、先は鋭形。花弁は約・長さ6mm×幅2.2mm、1脈があり、先は鈍形。唇弁は卵形、長さ5~6mm×幅約2.6mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、長さ3~3.5mm、無毛。上唇(epichile)は舌形、舟形、長さ2~2.5mm、先は鋭形で、わずかに反曲する。ずい柱は長さ約1.5mm。葯は卵状心形、先は鋭形。花粉塊は長さ約1.3mm。嘴状体は長さ1mm未満で、残存部は深く2裂する。花期は7~8月。
9 Goodyera nantoensis Hayata アリサンウズラ 阿里山鶉
synonym Goodyera arisanensis Hayata [Flora of China]
台湾、ベトナム原産。中国名は阿里山斑叶兰 a li shan ban ye lan。標高約2500mの森林に生える。
植物はおそらく着生、高さ約25cm になる。根茎は太く、節が密にある。茎は斜上し、長さ約4cm、5~7 枚の葉がある。葉は茎の基部でほぼロゼット状、卵形または長円形で、長さ1~4cm×幅0.6~1.5cm、白色の網状脈があり、基部は楔形、先は鋭形。 葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ1~2 cm。花序柄は長さ約11cm、まばらに毛があり、8または9枚の不稔の苞がある。花序軸は長さ約10cm、12~25個の花が密につき、偏側生。花の苞は卵形~披針形、長さ3.5~4mm、無毛。花は小さく、小花柄と子房は卵状紡錘形、長さ約1.5cm。萼片は長さ約3mm、無毛またはまばらに毛がある。萼片は無毛、1脈がある。背萼片は卵形披針形、長さ3~3.8×幅1~1.2mm、先は鈍形。側萼片は長円状披針形、斜め、長さ3.5~4mm×幅約1.2mm、先は鈍形。花弁は線状披針形、鎌形、約・長さ3.5mm×幅0.7mm、先は鈍形。唇弁は卵状披針形、長さ3.5~4mm×幅約1.5mm、3脈がある。下唇(hypochile)は袋形、側萼片の基部を超えて突出し、無毛で、基部に向かって2枚の平行な薄板がある。上唇(epichile)は線状舌形、先は鈍形、わずかに反曲する。ずい柱は長さ約1.5mm。葯は卵形、長さ約0.8mm。残存する嘴状体は深く2裂する。花期は8月。
10 Goodyera pendula Maxim. ツリシュスラン 釣繻子蘭
synonym Goodyera pendula var. brachyphylla F.Maek. ヒロハツリシュスラン
synonym Goodyera pendula Maxim. f. brachyphylla (F.Maek.) Masam. et Satomi
日本(北海道、本州、四国、九州)、台湾原産。中国名は垂叶斑叶兰 chui ye ban ye lan。林縁に生える。多年草、着生または岩生、高さ13~15㎝。根茎は細く、節は多数つく。茎は垂れ下がり、長さ5~6㎝、葉が多数つく。葉は茎に間隔を置いて配置され、両面は緑色、白班は無く、披針形~狭卵形、長さ2~3.5㎝×幅0.5~0.7㎝、3~5脈があり、基部はくさび形、先は尖鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ約1cm以下。花序柄は中間で強く反曲し、緑色、長さ3~5㎝、まばらに毛があり、数個の葉状の不稔の苞がある。花序軸は長さ4~6㎝、密に花が多数つき、偏側生(secund)。花の苞は披針形、長さ4~10㎜、膜質、毛があり、先は尖鋭形。花は弱く開き、唇弁は白色、唇弁の中央が赤橙色を帯び、小さい。小花柄と子房は紡錘形、長さ3~5㎜、毛がある。萼片は等長、狭卵形、長さ3~4㎜×幅1~1.2㎜、外面は毛があり、1脈があり、先は鈍形。花弁は狭倒披針形、長さ3~4㎜×幅0.2~0.4㎜、先は鈍形。唇弁は卵形、舟形、長さ2.8~3.5㎜、萼片より短い。下唇(hypochile)は袋形、内側は無毛、装飾は無い。上唇(epichile)は舌形、先が内曲する。ずい柱は長さ1.5~2㎜。花期は6~7月。2n=28, 30。
11 Goodyera procera (Ker Gawl.) Hook. キンギンソウ 金銀草
日本(屋久島、琉球列島、小笠原諸島)、中国、台湾、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム原産。中国名は高斑叶兰 gao ban ye lan。林内に生える。多年草、地上生、高さ25~80㎝。根茎は頑丈で、節はほとんど無い。茎は直立し、長さ8~35㎝、葉が5~11枚つく。葉は茎に間隔を開けてつき、またはときに、先に密集してつき、下面は淡緑色、上面は緑色、白色の斑紋は無く、楕円形~狭卵状楕円形、長さ5.5~15㎝×1.8~5.5㎝、基部は漸尖し、先は鋭形または尖鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ3~7cm。花序柄は緑色、長さ8~38㎝、無毛からまばらな毛があり、4~10個の無稔の苞がある。花序軸は長さ4~18㎝、密集して多数の花がつき、普通は偏側生(secund)では無い。花の苞は卵状披針形、長さ5~7㎜、無毛、先は尖鋭形。花は香りがよく、開きが弱く、白色、淡緑色を帯び、小さい。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ3~5㎜、無毛。萼片は無毛、1脈がある。背萼片は卵形または楕円形、長さ3~3.5㎜×幅1.7~2.5㎜、凹面状、先は鋭形。側萼片は卵形、斜めで、長さ2.5~3.2㎜×幅1.5~2.2㎜、先は鋭形。花弁は白色、へら形、長さ3~3.5㎜×幅1~1.2㎜、1脈があり、先は鈍形。唇弁はは広卵形、長さ2.2~2.5㎜×幅1.5~1.7㎜。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内側にパピラがある。上唇(epichile)は三角形、非常に小さく、先は鈍形または鋭形、反曲し、2個の小さなカルスをもつ。ずい柱は長さ約2㎜。葯は卵形。花粉塊は長さ約1.3㎜。嘴状体の残りは浅く2裂する。花期は4~5月。2n=38, 42。
12 Goodyera pusilla Blume グッディエラ・プシラ
synonym Goodyera shixingensis K.Y.Lang
synonym Goodyera yangmeishanensis T.P.Lin [Flora of China]
synonym Orchiodes pusillum (Blume) Kuntze中国(広東省)、台湾、マレーシア、インドネシア、タイ原産。英名はJewel Orchids。標高300~1000mの森林内の湿った日陰に生える。
地生植物、高さ8~11cm。根茎は細く、節は少ない。茎は斜上し、長さ3~4cm、3~5枚の葉がある。葉は茎に沿って間隔をあけて生え、下面は緑色、上面は緑色で白色の網状脈があり、たまに中脈に沿って白色の帯が入る。葉は卵形~長円状披針形、長さ1.5~5cm、幅0.9~2cm、基部は円形、先は鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ0.5~1cm。花序柄は赤色または赤褐色、長さ2~4cm、まばらに毛があり、2または3枚の不稔の苞がある。花序軸は長さ2~4cm、花がほぼ密に多数つき、偏側生。花の苞は卵状披針形、長さ6~7.5mm、幅約3.2mm、基部の縁は小歯状、先は尖鋭形。花はかろうじて開き、白色で小さい。小花柄と子房は赤褐色、円筒状紡錘形、長さ5.5~7mm、無毛。萼片は無毛、1脈がある。背萼片は白色、先は赤褐色を帯び、楕円形、長さ3~3.8mm×幅2.2~2.5mm、凹面、先は鈍形。側萼片は淡赤褐色、先は白色を帯び、卵形、斜め、長さ4~4.5mm×幅2~2.8mm、先は鈍形。花弁は白色、菱状倒披針形、斜め、約・長さ3mm×幅1mm、無毛、1脈がある。唇弁は卵形、長さ4~5mm、肉質。下唇(hypochile)は深く凹んだ袋状、長さ約3mm、内側に密にパピラがある。上唇(epichile)はほぼ正方形、長さ約1.5mm、縁は不規則な小歯があり、反り返らず、先端はしばしば内巻きする。ずい柱は長さ約1.5mm。葯は三角状倒卵形。残存する嘴状体は深く2裂する。花期は7~9月。
13 Goodyera repens (L.) R.Br. ヒメミヤマウズラ 姫深山鶉
日本(北海道、本州の中部以北)、韓国、中国、台湾、ブータン、インド、カシミール、ミャンマー、ネパール、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は小斑叶兰 xiao ban ye lan。英名はcreeping goodyera , creeping ladies' tresses。谷沿いの林内に生える。
多年草、地上生、高さ8~20㎝。根茎は細く、節は多数ある。茎は斜上し、長さ1~4㎝、葉が4~6枚つく。葉は茎の基部で亜ロゼットになり、下面は淡緑色、上面は濃緑色で、白色の脈があり、卵形~卵状楕円形、長さ1~3㎝×幅0.5~1.5㎝、基部は鈍形または広くさび形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ1~1.5㎝。花序柄は淡灰色緑色、長さ5~12㎝、毛があり、2~5個の無稔の苞がある。花序軸は長さ1~5.5㎝、ほぼ密に花が5~20個つき、偏側生。花の苞は披針形、長さ3~5㎜、毛があり、先は尖鋭形。花は弱く開き、白色、緑色を帯び、小さい。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ3~5㎜、まばらに毛がある。萼片は外面にまばらに毛があり、1脈がある。背萼片は卵形~卵状長円形、長さ3~4㎜×幅1.2~1.5㎜、先は鈍形。側萼片は卵形~卵状楕円形、斜め、長さ3~4㎜×幅1.5~2.5㎜、先は鈍形。花弁はへら形、斜め、長さ3~4㎜×幅1~1.5㎜、1脈があり、先は鈍形。唇弁は卵形、長さ3~3.5㎜×幅2~2.5㎜。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内側にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、長さ約1.5㎜、わずかに反曲する。ずい柱は長さ1~1.5㎜。花期は7~8月。2n=30, 32, 40。
14 Goodyera robusta Hook.f. ナガバウズラ 長葉鶉
synonym Goodyera bilamellata Hayata
中国(貴州省、西蔵省、雲南省)、台湾、インド原産。中国名は滇藏斑叶兰 dian zang ban ye lan。標高1000~2500mの森林内の湿地に生える。
地生またはまれに着生し、高さ11~22cm。根茎は太く、節は少ない。茎は直立し、長さ3~8cm、4~7枚の葉がある。葉は茎に沿って広く間隔をあけて、または先端ではやや束生し、緑色、白い斑紋はなく、卵形~狭卵状楕円形、長さ3.5~8cm×幅1.5~3cm、基部は鈍円形または広楔形、縁は波状、先は鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ1.5~4cm。花序柄は灰緑色、長さ3~6.5cm、毛があり、3~4枚の不稔の苞を持つ。花序軸は長さ5~10cm、花はほぼ密~密に多数つき、偏側生。花の苞は披針形、長さ8~12mm、毛があり、先は尖鋭形。花は弱く開き、白色または緑白色、ときにピンク色を帯び、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ6~9mm、軟毛がある。萼片は白色またはピンク色、中脈は緑色、外面に軟毛があり、1本の脈がある。背萼片は長円形、長さ7~11mm×幅2.8~4.5mm、凹面で、先は鋭形。側萼片は広がり、卵形、斜め、長さ7~11mm×幅3~4.5mm、基部がわずかに厚くなり、先は鋭形。花弁は白色、菱形、斜め、長さ7~10mm×幅3~4mm、1脈があり、基部は漸尖し、先は鋭形。唇弁は白色、広長円形、長さ6~9mm×幅約4 mm。下唇は凹面状袋形で、長さ約3mm、内側にパピラがある。上唇は卵状披針形、長さ3~4mm、2枚の縦の薄板を持ち、先は鋭形、わずか~強く反曲する。ずい柱は長さ2~3mm。葯は狭卵形、長さ約2.5mm。嘴状体は長さ約2.5mm、残存物は深く2裂する。花期は8~12月。
15 Goodyera rosulacea Y.N.Lee グッディエラ・ロスラケア
韓国原産。山地の石灰岩地帯の落葉広葉樹林またはまれに針葉樹が混じった落葉広葉樹林下に生える。
根は1~6本、褐色の綿毛がある。根茎は節があり、短く、長さ1~2cm、直径約2mm。葉は根生し、4~8枚がロゼット状になり、葉身は上面が緑色、下面が灰緑色、両端が尖り、卵形、長さ2~3cm、幅1~2cm、網状脈が白色で目立つ。穂状花序は長さ10~20cm、偏側生の花が約20個つく。花は白色または褐色を帯びた白色。苞は緑色、披針形、長さ5~10mm、幅約1.2mm、白色の毛がある。背萼片は2個の側花弁とともにカバーになり、卵状楕円形である。側萼片は狭楕円形、背萼片と一緒に背面の下面に粗い毛がある。側花弁は倒披針形、長さ3.1mm×幅1.1mm。唇弁は、基部に袋があり、内側、外側と下側に肉質の突起があり、長さ4mm。子房は緑色、長円形、突起と毛で密に覆われる。朔果は楕円形、わずかに捻じれ、長さ6mm×幅2.5mm。花期は6~7月。
16 Goodyera rubicunda (Blume) Lindl. ナンバンキンギンソウ 南蛮金銀草
synonym Goodyera rubicunda (Rchb.f.) J.J.Sm.synonym Goodyera longibracteata Hayata ヒゲナガキンギンソウ
synonym Goodyera longicolumna Hayata ナンバンキンギンソウ日本(徳之島,沖縄島,石垣島・西表島)、中国、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア北東部、太平洋諸島原産。中国名は红花斑叶兰 hong hua ban ye lan。別名はヤエヤマキンギンソウ。林内の湿った場所に生える。
多年草、地上生、高さ30~60㎝。根茎は丈夫、節が数個ある。茎は斜上または直立し、長さ10~24㎝、葉が6~10枚つく。葉は茎に広く間隔を置いて配置され、緑色、白班は無く、長円形、楕円形、または卵状長円形、長さ9~15㎝×幅4~6㎝、紙質、3本の目立つ脈があり、基部はくさび形、頂点は尖鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ2~5.5cm。花序柄は赤褐色、長さ10~18㎝、まばらに毛があり、3~4個の不稔の苞がある。花序軸は長さ4~15㎝、密集して多数、花がつく。花の苞は赤褐色、披針形、長さ7~15㎜×3.5~4.5㎜、毛があり、先は尖鋭形。花は大きく開き、淡黄褐色、中型。小花柄と子房は赤褐色、円筒状紡錘形、長さ6~8㎜、毛がある。萼は赤褐色、外面は毛があり、1脈がある。側萼片は線状長円形、長さ7~8.5㎜×幅2.3~2.5㎜、先は鈍形。側萼片が広がり、長円形、斜めで、長さ7~8.5㎜×幅2.5~3㎜、先は鈍形。花弁は黄白色、へら形、長さ7~8㎜×幅1.8~2㎜、基部は漸尖し、先は鈍形。唇弁は黄白色、舟形、長さ6~6.5㎜。下唇(hypochile)は袋形、内側にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、長さ約1.5㎜、先は鈍形、強く反曲する。ずい柱長さ4~4.5mm、柱頭の下にこん棒形のカルスがある。葯は披針形、長さ約3㎜。嘴状体は長さ約1.5㎜、残りは深く2裂。花期は7~8月。2n=22, 44。
17 Goodyera schlechtendaliana Rchb.f. ミヤマウズラ 深山鶉
synonym Goodyera similis Blume
synonym Goodyera velutina Maxim. var. albonervosa T.P.Lin et Y.N.Chang
日本(北海道、本州、四国、九州、琉球諸島)、中国、台湾、韓国、ブータン、インド、インドネシア(スマトラ)、ネパール、タイ、ベトナム原産。斑叶兰 ban ye lan。谷沿いの広葉樹林内に生える。多年草、地上生、高さ6~25㎝。根茎は細くて丈夫で、多数の節がある。茎は直立し、長さ1~6㎝、葉が4~6枚つく。葉はほぼロゼット状につくか、または、茎にほぼ輪生または間隔を開けて互生し、下面は淡緑色、上面は緑色で不規則な白色の斑紋があり、卵形~卵状披針形、長さ2.5~5㎝×幅0.8~2.2㎝、基部はほぼ円形または広くさび形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ0.4~1.8㎝。花序柄は淡緑色、長さ5~12㎝、毛があり、2~4個の不稔の苞がつく。花序軸は3~10㎝、花が5~20個またはそれ以上つき、偏側生。花の苞は披針形、長さ7~12㎜、毛があり、先は尖鋭形。花は弱く開き、白色、ピンク色を帯び、中型。小花柄と子房は円筒状紡錘形、長さ8~10㎜、毛がある。萼片は外面に毛があり、1脈がある。背萼片は狭楕円状披針形、舟形、長さ7~10㎜×幅3~3.5㎜、先は鋭形。側萼片は卵状披針形、長さ7~9㎜×幅3.5~4㎜、先は鋭形。花弁は菱状倒披針形、長さ7~10㎜×幅2.5~3㎜、1脈があり、先は鈍形またはほぼ鋭形。唇弁は卵形、長さ6~8.5㎜×幅3~4㎜。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内側にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、長さ3~3.5㎜、わずかに反曲する。ずい柱は長さ約3㎜。葯は卵形、尖鋭形。花粉塊は長さ約3㎜。嘴状体は長さ2~3㎜、残りは深く2裂する。花期は8~10月。2n=30+0-2B, 60。
17-1 Goodyera schlechtendaliana Rchb.f. f. similis (Blume) Makino フナシミヤマウズラ 斑無深山鶉
別名はサトウズラ。葉に白班がない品種。17-2 Goodyera schlechtendaliana Rchb.f. var. yakushimensis Suetsugu et Hiros.Hayak. ヤクシマミヤマウズラ 屋久島深山鶉。
屋久島、沖縄本島に分布する。葉は細長い。側萼片と唇弁があまり湾曲しない。唇弁内部の毛が少ない。
18 Goodyera seikoomontana Yamam. ワタゲウズラ 綿毛鶉
synonym Goodyera viridiflora (Bume) Lindl. ex A.Dietr. var. seikoomontana (Yamam.) S.S.Ying
香港、台湾原産。中国名は歌绿斑叶兰 ge lü ban ye lan。標高700~1300mの森林、渓流沿いの湿地に生える。植物は地生、高さ14~25cm。根茎は太く、数節がある。茎は斜上し、長さ3~10cm、3~5枚の葉がある。葉は茎に沿って等間隔につき、わずかに肉質で、両面が緑色で白い斑紋はなく、楕円形または長円形、長さ3~7.5cm×幅1.5~3.5cm、3本の明瞭な葉脈があり、基部はほぼ円形、先は鋭形または尖鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は長さ1~3.5cm。花序柄は淡緑色、長さ8~13cm、有毛、2枚または3枚の不稔の葉がある。花序軸は長さ2~5cm、花は緩く1~3個つく。花の苞は淡緑色、披針形、長さ18~25mm×幅3~5mm、無毛、先は尖鋭形。花は広く開き、淡緑色~緑色、大きい。小花柄と子房は淡緑色、円筒状紡錘形、長さ10~15mm、まばらに軟毛がある。萼片は帯白色~淡緑色で、脈に暗緑色の条線があり、先は時にピンク色を帯び、無毛、3本の脈がある。背萼片は卵形、長さ15~16mm×幅5~7mm、凹面形、先は鋭形。側萼片は広く広がるか後屈し、卵状楕円形、長さ14~16mm×幅5~6.5mm、先は鋭形。花弁は白色~淡緑色、菱形、斜め、長さ15~16mm×幅5~5.5mm、1脈があり、基部は漸尖し、先は鈍形。唇弁は白色~淡緑色、脈に暗緑色の条線があり、卵形、舟形、長さ12~13mm×幅約7mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、内側には密にパピラがあり、7~9本の平行脈がある。上唇(epichile)は強く反曲し、三角状卵形、長さ約4.5mm、先は鋭形。ずい柱は長さ3~4mm。葯は披針形、長さ約7mm。花粉塊は長さ6~9mm。粘着体は線形、長さ3~4mm。嘴状体は長さ5~7mm、残存部は深く2裂する。花期は2~3月。2n=22。
19 Goodyera velutina Maxim. シュスラン 繻子蘭
synonym Goodyera similis auct. non Blume
日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、韓国、中国、台湾原産。中国名は绒叶斑叶兰 rong ye ban ye lan。別名はビロードラン。林下の湿った場所に生える。
多年草、地上生、高さ8~17㎝。根茎は細く、節はほとんど無い。茎は斜上し、長さ2.5~6㎝、葉が3~5枚つく。葉は茎に間隔を開けてつき、下面は紫赤色、上面は濃緑色、またはたまに暗紫緑色、ビロード状で、中脈に沿って白色の帯があり、卵形~楕円形、長さ2~5㎝×幅0.8~2.5㎝、基部は円形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は基部が赤褐色、長さ0.8~1.5㎝。花序柄は濃赤褐色、3~6㎝、毛があり、2~3個の不稔の苞がつく。花序軸は 長さ2.5~5㎝、緩く、花が6~15個がつき、偏側生。花の苞は赤褐色、披針形、長さ10~12㎜×幅3~3.5㎜、先は尖鋭形。花は弱く開き、白色、ピンク色を帯び、中型。小花柄と子房は緑褐茶色、円筒状紡錘形、長さ8~11㎜、毛がある。萼片は外面に毛がある。背萼片は長円形、長さ7~12㎜×幅2.2~4㎜、1脈があり、先は鈍形。側萼片は卵状楕円形~狭楕円形、斜め、長さ8~12㎜×幅3.5~5㎜、1~3脈があり、先は鈍形。花弁は長円状菱形、斜め、長さ7~12㎜×幅3.5~4.5㎜、1脈があり、基部は漸尖し、先は鈍形。唇弁は卵形、長さ6.5~9㎜。下唇(hypochile)は凹面状袋形(concave-saccate)、内側にパピラがある。上唇(epichile)は舌形、舟形、長さ2~3.5㎜、反曲する。ずい柱は長さ2~3㎜。葯は卵形、先は尖鋭形。花粉塊は長さ2.2~3㎜。嘴状体は長さ約2.5㎜、残存部は深く2裂する。花期は9~10月。2n=28, 30, 56。
20 Goodyera viridiflora (Blume) Lindl. ex A.Dietr. シマシュスラン 島繻子蘭
synonym Goodyera viridiflora (Blume) Lindl. ex A.Dietr. var. ogatae (Yamam.) T.S.Liu et H.J.Su
synonym Goodyera ogatae Yamam.synonym Goodyera longirostrata Hayata
日本(九州南部~琉球)、中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、ニューギニア、フィリピン、タイ、ベトナム、オーストラリア原産。中国名は绿花斑叶兰 lü hua ban ye lan。別名はイチゲシュスラン、オオシュスラン。林内、小川沿いの湿った場所、岩上の薄い落葉・落枝に生える。
多年草、地上生、高さ13~20cm。根茎は細く、節は多数。茎は斜上し、長さ6㎝、葉が2~3(~5)枚つく。葉は茎に広く間隔を開けてつくか、または茎の先に密集してつき、質が薄く、両面が緑色、白色の斑紋は無く、卵形~卵状披針形、長さ1.5~6㎝×1~3㎝、基部は円形、先は鋭形。葉柄のような基部と筒状の鞘は長さ1~3㎝。花序柄は淡赤褐色、長さ5~9㎝、毛があり、2個の不稔の苞がつく。花序軸は 長さ2~5㎝、緩く、花が(2~)3~5個つき、偏側生。花の苞は淡赤褐色、卵状披針形、約・長さ20㎜×幅6~7㎜、縁毛があり、先は鋭形。花は大きく開き、淡緑色、淡赤褐色を帯び、大きい。小花柄と子房は淡赤褐色、円筒状紡錘形、長さ14~15㎜、先に向かって毛がある。萼片は緑色、先が赤褐色、無毛、1脈がある。背萼片は楕円形、長さ12~15㎜×幅5~6㎜、凹面状、先は鋭形。側萼片は広く広がっているかまたは後屈し、楕円形、長さ12~15㎜×幅5~6㎜、先は鋭形。花弁は緑白色、先は褐色を帯び、菱形、斜め、長さ12~15㎜×幅4.5~6.5㎜、1脈があり、基部は漸尖し、先は鋭形。唇弁は緑褐色、先が白色を帯びており、ときに脈上に暗緑色の条線があり、卵形、舟形、長さ12~14㎜×幅8~11㎜、膜質。下唇(hypochile)は凹面状袋形(concave-saccate)、内側に密にパピラがある。上唇(epichile)は反曲または前方に広がり、舌形、長さ3~4㎜、先は鋭形。ずい柱は長さ約4㎜。葯は披針形。花粉塊は長さ10~12mm。粘着体は線形。嘴状体は長さ7~8㎜、残存部は深く2裂する。花期は8~9月。2n=22。
21 Goodyera yamiana Fukuy. コウトウカゴメラン
台湾原産。中国名は兰屿斑叶兰 lan yu ban ye lan。別名はコウトウカゴノメラン。台湾南部(陸島)の標高200~400mの森林に生える。
地上性、高さ25~28cm。根茎は細く、数節がある。茎は斜上し、長さ6~8cm、4~5枚の葉がある。葉は茎に沿って広く間隔をあけてつき、下面は灰白色、上面は緑色、まれに不規則な灰白色の斑紋があり、楕円形~長円形、強く斜めになり、長さ5~8cm×幅1.5~2.5cm、基部はほぼ円形、先は尖鋭形。葉柄状の基部と筒状の鞘は、長さ1~1.5cm。花序柄は緑色、長さ約12cmまで、無毛~まばらに毛があり、3枚の不稔の苞を持つ。花序軸は長さ6~8cm、花は密に多数つくが、偏側生ではない。花の苞は卵形~披針形、約・長さ11mm×幅4mm、無毛、先は尖鋭形。花は弱々しく開き、白緑色で小さい。小花柄と子房は緑色、円筒状紡錘形、長さ7~8mm、無毛。萼片は白緑色、無毛、1脈がある。背萼片は卵形、約・長さ3.5mm×幅2.5mm、凹面形になり、先は鈍形。側萼片は卵形、斜め、約・長さ4.5mm×幅2.8mm、先は鈍形。花弁は白色、線状披針形、強く鎌形、約・長さ3.8mm×幅1mm、1脈があり、先は鋭形。唇弁は卵形、長さ約・4.2mm。下唇(hypochile)は凹面状袋形、長さ約0.8mm、内側に密にパピラがある。上唇(epichile)は白色、卵形、約・長さ3.3mm×幅2.7mm、基部から長さの中間までパピラがあり、先はほぼ鋭形で反曲しない。ずい柱は長さ約1.8mm、葯は広卵形。嘴状体は短く、残存し、浅く2裂する。花期は10~11月。
22 ハイブリッド
(1) Goodyera x maximovelutina N.S.Lee et J.H.So サイシュウシュスラン
アケボノシュスラン×シュスラン(2) Goodyera x tamnaensis N.S.Lee, K.S.Lee, S.H.Yeau et C.S.Lee オオミヤマウズラ
ミヤマウズラ×シュスラン参考
1) Flora of ChinaGoodyera
Goodyera
Goodyera
Goodyera
Goodyera