ミヤマホタルカズラ 

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Flora of Mikawa

ムラサキ科  Boraginaceae  グランドラ属

別 名 リソドラ、リトドラ
中国名

匐卧木紫草 fu wo mu zi cao

英 名 purple gromwell , scrambling-gromwell , shrubby-gromwell , gentian gromwell
学 名 Glandora diffusa (Lag.) D. C. Thomas
Lithodora diffusa (Lag.) I. M. Johnst.
Lithospermum diffusum Lag.
ミヤマホタルカズラ花
ミヤマホタルカズラ花横
ミヤマホタルカズラ咢
ミヤマホタルカズラ茎
ミヤマホタルカズラ
ミヤマホタルカズラ葉
花 期 4~5月
高 さ 20~35 (40) ㎝
生活型 常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 外来種 ヨーロッパ(フランス、ポルトガル、スペイン)、西アジア(モロッコ)原産
撮 影 西尾市  18.2.27
ミヤマホタルカズラはムラサキ科グランドラ属の観賞用の園芸種。グランドラ属Glandoraはリソドラ属Lithodoraから分割され、旧属名のリソドラ又はリトドラとも呼ばれる。低木とも亜低木(多年草)ともされる矮性の植物。日本では花期は4~5月頃。
 亜低木、高さ20~35 (40) ㎝、匐枝は出さない。茎は傾伏~斜上、基部から分枝し、若いときは剛毛があり、長さ1.3㎜以下の長さの異なる毛をもち、成長すると皮が剥がれ、帯褐色。葉は長さ3.5 (~4) ㎝×幅 0.6㎝以下、無柄、平ら又は±外巻き、長さは幅の3倍以上、狭楕円形~±長楕円形、先は鋭形又は鈍形、±剛毛又は絹毛があり、縁に長さ1.7 (2.5)㎜以下の長さの異なる毛をもち、古い葉の基部がやや損なわれ、下面は±絹毛状で、細かい毛があり、中脈に密。花序は果時に長さ4 (5)㎝以下。花は葉状の苞をもち、狭卵形~線形、咢より長く、異なった長さの毛もち、中脈に密。杯状咢(chalice)は花時に長さ4~7 (8)㎜、果時に長さ9㎜以下になる。 裂片は花時に幅0.4~0.7㎜、狭卵形~狭三角形~線形、鋭形、外側に剛毛があり、毛は長さが異なり、縁で長さ1.4㎜以下。内側はほとんど絹毛状、毛は細く、小さく、基部ではより多くなる。花冠は直径(6) 8~13 (16)㎜、筒部は長さ 8~12 (14)㎜、外側の上半分に絹毛があり、基部に向かって無毛、内側の上半分に5本の絹毛の帯があり、まれに無毛、青色。のど部は小腺のある毛に覆われる。花冠裂片は長さ (1.5) 2.5~4㎜×幅 (2) 2.5~4.5㎜、類円形~長楕円形、有毛でときに外面の縁は無毛、無毛又は有毛で内側の先は無毛。雄しべは同じ高さにつき、まれに最小の差で、花冠筒部の上部、のど部の近く、又は筒部の中間につく。花糸は長さ(0.2) 0.3~0.5 ( 0.6)㎜、葯より短く(長花柱花 longistilla flowers)、又は長さ 1.2~2 (2.5)㎜、葯より長く(短花柱花 brevistilas flowers)。葯は長さ1~1.5 (2)㎜、短花柱花ではほぼ花冠裂片の高さに位置し、又は長花柱花では花冠筒部の中間の上、ときにのど部近くに位置する。葯は突き出る又は突き出ない。花柱は類分岐し、短花柱花では長さ(4) 5~7 (9)㎜。柱頭は球形、花冠筒部の中間に位置する。長花柱花では花柱は長さ(11) 12~14㎜ 、柱頭は球形、花冠裂片の基部に位置する。分果=小堅果 (mericarpids)=心皮(carpels=numbers 種子) は長さ 2.5~3㎜ ×幅1.5~2.5㎜、類卵形 、類鈍形、平滑(細かいいぼ状)、白色又は白灰色、光沢がある。2n = 16, 24, 32、x = 8, 16.。花期と果期は(12)1~4月。

グランドラ属

 family: Boraginaceae - genus Glandora

 矮性の亜低木、低木、茎は傾伏、斜上又はまれに直立、高さ5~60㎝。地下に匐枝がときにある、葉は互生、無柄、狭長楕円形~狭楕円形~狭倒卵形、基部はわずかに狭くなり、長さ0.5~6.5㎝×幅1~20㎜、全縁、ときに反曲、密な剛毛~剛毛~綿毛がある。花序は頂生、花が 2~10(~14)個つく集散花序状(cymoids)[さそり形花序 cincinni]。葉状の苞がある。花は無柄、類無柄、又はまれに短い花柄がある(Glandora oleifolia)、放射相称、5数性、二形花柱(distylous)。咢はほとんど基部まで5裂し、裂片は線形又は狭三角形、成熟すると拡大する。花冠は青色、紫色、まれに白色、狭漏斗形、外側に毛があり、内側ののど部には腺毛がある。その他は無毛又は、のど部に毛状突起の5パッチ又は輪がある。まれに、花冠裂片の脈に毛状突起の5パッチがあり(G. oleifolia)、花冠のど部の基部から花冠筒部の中間の下まで伸びる毛状突起の5本の垂直の帯があるものもある(G. diffusa)。花冠は5裂し、裂片は卵形又は類円形、直立~斜上~水平に広がり、咽頭の鱗片(faucal scales)は無く、環(annulus)も無い。雄しべは5個、突き出ず(長花柱形)、わずかに突き出る(短花柱形)。花糸は普通、同じ高さにつき、まれに2~3のはっきり異なった高さにつく(G. prostrata)。花糸が花冠筒部の上部につき(短花柱形)、花冠筒部の中間につく(長花柱形)。葯は長楕円形又は類楕円形、先端及び基部は丸く又は凹形。雌しべ群は上位、子房は4個に分かれ、その下部に広がった蜜腺をもち、雌しべが生まれる肥大した花托(gynobase)は平ら。花柱は長くて突き出る(長花柱形)か、又は短くて突き出ない(短花柱形)。柱頭は2個、先が小さく2裂又は先に切れ込み(ノッチ)が入る。分果mericarpids=nutletsは未熟により、各花に1~3(~4)個、真っすぐ又は上部がわずかに曲がり、腹側に竜骨があり、背側は凸面、表面は平滑又は微細ないぼがあり(G. prostrata)、又はわずかに山があり(tumulose) (G. nitida)、帯白色、帯灰色、又は帯褐色、基部に傷跡(cicatrix)があり、1個の釘状の付属体をもち、厚壁の管状の導管に統合し、又はまれに、腹部に小さく突き出る厚壁の管状の導管の他は平らになる (G. nitida)。花托の中に杯形のくぼみの小区画が形成され、又は斜めの小区画は腹部に弱く表れるくぼみだけをもつ (G. nitida).。

 世界に6種あり、地中海西部地域に分布する。

【GlandoraとLithodoraの比較】
 Glandor属はLithodora属から分割された。
(1)Glandora
 花托の小区画は杯形又はまれに斜めで、腹側にくぼみがある。分果は目立つ釘状の付属体又はごく小さい付属体しかない。環と花冠の陥入(invaginations)は無い。
(2)Lithodora
 低木又は矮性低木、多数分枝、根茎は無い。分果は1個の目立つピラミッド形~非対称の傷跡状の付属体をもつ。花托の小区画は杯形。

【グランドラ属の種】
Glandora diffusa (Lag.) D.C.Thomas 
Glandora moroccana (I.M.Johnst.) D.C.Thomas
Glandora nitida (Ern) D.C.Thomas 
Glandora oleifolia (Lapeyr.) D.C.Thomas 
Glandora prostrata (Loisel.) D.C.Thomas
Glandora rosmarinifolia (Ten.) D.C.Thomas

【リソドラ属の種】
Lithodora cyrenaica (Pamp.) Chrtek & B.Slavik
Lithodora fruticosa (L.) Griseb.
Lithodora hispidula (Sm.) Griseb.
Lithodora versicolor (Meikle) Chrtek & B.Slavik
Lithodora zahnii (Heldr. ex Halacsy) I.M.Johnst

グランドラ属の主な種

1 Glandora diffusa (Lag.) D. C. Thomas  ミヤマホタルカズラ
  synonym Lithodora diffusa (Lag.) I. M. Johnst.
  synonym Lithospermum diffusum Lag.
 ヨーロッパ(フランス、ポルトガル、スペイン)、西アジア(モロッコ)原産。英名はpurple gromwell , scrambling-gromwell , shrubby-gromwell , gentian gromwell。
 亜低木、高さ20~35 (40) ㎝、匐枝は出さない。茎は傾伏~斜上、基部から分枝し、若いときは剛毛があり、長さ1.3㎜以下の長さの異なる毛をもち、成長すると皮が剥がれ、帯褐色。葉は長さ3.5 (~4) ㎝×幅 0.6㎝以下、無柄、平ら又は±外巻き、長さは幅の3倍以上、狭楕円形~±長楕円形、先は鋭形又は鈍形、±剛毛又は絹毛があり、縁に長さ1.7 (2.5)㎜以下の長さの異なる毛をもち、古い葉の基部がやや損なわれ、下面は±絹毛状で、細かい毛があり、中脈に密。花序は果時に長さ4 (5)㎝以下。花は葉状の苞をもち、狭卵形~線形、咢より長く、異なった長さの毛もち、中脈に密。杯状咢(chalice)は花時に長さ4~7 (8)㎜、果時に長さ9㎜以下になる。 裂片は花時に幅0.4~0.7㎜、狭卵形~狭三角形~線形、鋭形、外側に剛毛があり、毛は長さが異なり、縁で長さ1.4㎜以下。内側はほとんど絹毛状、毛は細く、小さく、基部ではより多くなる。花冠は直径(6) 8~13 (16)㎜、筒部は長さ 8~12 (14)㎜、外側の上半分に絹毛があり、基部に向かって無毛、内側の上半分に5本の絹毛の帯があり、まれに無毛、青色。のど部は小腺のある毛に覆われる。花冠裂片は長さ (1.5) 2.5~4㎜×幅 (2) 2.5~4.5㎜、類円形~長楕円形、有毛でときに外面の縁は無毛、無毛又は有毛で内側の先は無毛。雄しべは同じ高さにつき、まれに最小の差で、花冠筒部の上部、のど部の近く、又は筒部の中間につく。花糸は長さ(0.2) 0.3~0.5 ( 0.6)㎜、葯より短く(長花柱花 longistilla flowers)、又は長さ 1.2~2 (2.5)㎜、葯より長く(短花柱花 brevistilas flowers)。葯は長さ1~1.5 (2)㎜、短花柱花ではほぼ花冠裂片の高さに位置し、又は長花柱花では花冠筒部の中間の上、ときにのど部近くに位置する。葯は突き出る又は突き出ない。花柱は類分岐し、短花柱花では長さ(4) 5~7 (9)㎜。柱頭は球形、花冠筒部の中間に位置する。長花柱花では花柱は長さ(11) 12~14㎜ 、柱頭は球形、花冠裂片の基部に位置する。分果=小堅果 (mericarpids)=心皮(carpels=numbers 種子) は長さ 2.5~3㎜ ×幅1.5~2.5㎜、類卵形 、類鈍形、平滑(細かいいぼ状)、白色又は白灰色、光沢がある。2n = 16, 24, 32、x = 8, 16.。花期と果期は(12)1~4月。
品種) 'Alba' , 'Baby Barbara' , 'Cambridge Blue' , 'Compacta' , 'Grulisel' (PBR) , 'Grace Farwell' , 'Grace Ward' , 'Heavenly Blue' , 'Inverleith' , 'Minima' , 'Pete's Favourite' , 'Picos' , 'Star' (PBR) , 'Takcal' (PBR) , 'Tnlicb' (PBR) , 'White Star'

2 Glandora oleifolia (Lapeyr.) D.C.Thomas
  synonym Lithodora oleifolia Griseb.
  synonym Lithospermum oleifolium Lapeyr.
 スペイン原産。英名は olive-leaved gromwell 。
 常緑亜低木、疎で平伏、低く、高さ20㎝以下、幅30㎝又は以上。葉は絹毛状、暗緑色、長楕円形~楕円状長楕円形、長さ約1.3㎝、下面は絹状白色、オリーブの葉に形が似ている。花は頂生の総状花序に3~7個つき、トランペット形、スカイブルー色、幅約10㎜、5裂片。蕾はピンク色。
品種)  'Barker's Form'

3 Glandora prostrata (Loisel.) D.C. Thomas
  synonym Lithodora prostrata (Loisel.) Griseb.;
  synonym Lithodora diffusa ssp. lusitanica (Samp.) Pinto da Silva & Rozeira
 ヨーロッパ(フランス、ポルトガル、スペイン)、西アジア(モロッコ)原産。
 亜低木、高さ (10) 15~40 (50) ㎝、匐枝は出さない。茎は傾伏~斜上~直立し、基部から分枝し、若いときは剛毛があり、長さ1.2㎜以下の長さの異なる毛をもち、成長すると皮がほとんど剥がれ、褐色の内層が現れる。葉は長さ1~3 (3.5)㎝×幅(1.5)2~7 (10)㎜、無柄、平ら又は±外巻き、長さは幅の3倍以上、狭楕円形~線形~倒卵形、ときに長楕円形、類鋭形又は類鈍形、剛毛があり、長さ2(2.5)㎜以下の長さの異なる毛をもち、縁近くが最も長く、基部が±損なわれ、下面は±絹毛状 で細かい毛があり、中脈に密。花序は果時に長さ 4~6 (7) ㎝。花は葉状の苞をもち、狭卵状楕円形~線形、咢より長く、異なった長さの毛もち、下面がより密であり、特に中脈に多い。咢は花時に長さ(4.5) 5.5~7.5 (8)㎜、果時には9.5㎜以下。咢片は花時に長さ5~6㎜×幅 (0.3) 0.4~0.9 (1)㎜、果時に6~7.5㎜、狭三角形~線形、鋭形、外面には剛毛があり、 毛は長さが異なり、縁で1.4㎜以下。内側はほとんど絹毛状、毛は細く、小さい。花冠は直径 7~16 (20)㎜、筒部は長さ (7) 8~13 (14)㎜[花冠は長さ13~15㎜×幅8~9㎜]、外側の上半分に絹毛があり、基部は無毛、内側の上半分は無毛又は有毛、青色。のど部は無毛又は密に毛がある。花冠裂片は長さ3~5 (6.5)㎜×幅(1.5) 2~5 (6) ㎜、類円形~長楕円形、毛があり、外側は無毛又は縁が無毛、内側は無毛。雄しべは花冠筒部の上半部の異なった高さにつき、いくつかはのど部に達し、花糸は長さ (0.2) 0.4~1.5㎜、葯よりやや短い。葯は長さ 0.5~1.5 (1.8) ㎜。花柱は1個、長さ4~7㎜、柱頭は葯より下に位置する(短花柱花 brevistilas flowers)。又は花柱は長さ(9) 10~14 (15)㎜ 、柱頭は2裂し、葯の上に位置する(長花柱花 longistilla flowers)。果実は小堅果が1~3個。分果(小堅果)は長さ(2) 2.5~3.5㎜×幅(1.3) 1.5~2.5㎜、類卵形、類鈍形、細かいいぼがあり、褐色~淡褐色~白灰色。2n = 32 。花期と果期は(12)1~4月。
品種) 'Alba' , 'Cambridge Blue' , 'Grace Ward' , 'Heavenly Blue' , 'Star'

参考

1) Flora of iberica
 Glandora  
http://www.floraiberica.es/eng/PHP/cientificos_.php?gen=Glandora
2) GRIN
 Glandora  
http://germoplasma.iniaf.gob.bo/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=29110
3) Glandora prostrata - Flora Vascular
 Glandora  
https://www.floravascular.com/index.php?genero=Glandora
 Glandora prostrata (Loisel.) D.C. Thomas  
https://www.floravascular.com/index.php?spp=Glandora%20prostrata
4) International Society for Horticultural Science
 STUDIES ON IN VITRO PROPAGATION OF LITHODORA ZAHNII  
https://www.ishs.org/ishs-article/813_61
5) (PDF) Phylogeny and systematics of Lithodora (Boraginaceae ...
 Phylogeny and systematics of Lithodora (Boraginaceae—Lithospermeae)  
https://www.researchgate.net/publication/233578540_Phylogeny_and_systematics_of_Lithodora_Boraginaceae-Lithospermeae_and_its_affinities_to_the_monotypic_genera_Mairetis_Halacsya_and_Paramoltkia_based_on_ITS1_and_trnLUAA-sequence_data_and_morphology