ミツバ 三葉

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae ミツバ属

別 名 ミツバゼリ
中国名 鸭儿芹 ya er qin
英 名 Japanese parsley,Japanese hornwort
学 名 Cryptotaenia japonica Hassk.

 synonym Cryptotaenia canadensis (L.) DC. subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz.

ミツバの花序
ミツバの花
ミツバの萼と小総苞
ミツバの葉柄
ミツバの果実1
ミツバ
ミツバ葉
ミツバ果実
花 期 6~7月
高 さ 30~80㎝
生活型 多年草
生育場所 林内、林縁
分 布 在来種  在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾
撮 影 三ヶ根山 07.11.26
野菜として売られ、最近は水耕栽培のものが多い。三河の山にはごく普通に生える。和名は葉の小葉が3個であることによる。
 茎は直立してよく分枝し、無毛。葉は互生し、3出複葉、葉柄が長く、30㎝以上になることも多い。葉柄の基部は縁が膜状になり茎を抱く。小葉は長さ3~10㎝の卵形、無柄、重鋸歯縁、葉表にしわがあり、葉裏は光沢があり、柔らかくよい香りがする。花序は大散形花序、小花柄は数が少なく不同長、花がまばらにつく。総苞、小総苞、萼はともに発達しない。花は白色~まれに淡紅紫色、直径約2㎜。花弁は5個。雄しべ5個。雌しべ1個。果実は長さ4~6㎜の線状楕円形、淡色の縦線があり、隆条はほとんど隆起しない。果実は2分果、それぞれ1種子が入る。2n=16。

ミツバ属

  family Apiaceae - genus Cryptotaenia

 多年草、本質的に無毛(葉脈に沿って細かくザラつく)。根茎は小さく、塊茎があり、枝分かれする。茎は円柱形、分枝し、帯紫色、基部に鞘の残骸はない。葉は葉柄がある。鞘は長円形、膜質、膨れる。葉身は3出複葉。小葉は菱状卵形または類心形、基部は広くさび形またはくさび形、縁は鋭い重鋸歯。複散形花序、全体で円錐花序になり、頂生する。花序の枝と大散形花序の柄(ray)は花時に曲がり、果時に硬くなる。苞および小苞は有または無。大散形花序の柄は数本、非常に不等長。小散形花序(umbellules)は花が少ない。花柄(pedicels)は非常に不等長。萼歯は小さく、三角形。花弁は白色、倒卵形、先が内曲する。柱下体(stylopodium)は長い円錐形、先細になり、短く、直立した花柱に分かれる。果実は長く、長円形、わずかに背側が扁平、先は急に細くなり、基部は丸く、無毛。隆条は5本、明瞭、淡色。油管(vittae)は各溝に1~3個、合成面(commissure)に4個。種子は表面が平坦、分果柄(carpophore)は基部まで2分岐。
 世界に6種があり、アフリカ、東アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。
【ミツバ属の種】
1 Cryptotaenia africana (Hook.f.) Drude - アフリカ
2 Cryptotaenia calycina C.C.Towns. - タンンザニア
3 Cryptotaenia canadensis (L.) DC. - 北アメリカ
4 Cryptotaenia flahaultii (Woronow) Koso-Pol. - トランスコーカサス
5 Cryptotaenia japonica Hassk. - 東アジア
6 Cryptotaenia polygama C.C.Towns. - タンンザニア

ミツバ属の主な種と園芸品種

1 Cryptotaenia canadensis (L.) DC. クリプトタエニア・カナデンシス
  synonym Sison canadense L.
 カナダ、USA原産。英名はCanadian honewort , honewort, wild chervil。
 多年草、高さ30~90㎝。根は直根をもつ。茎は上部で分枝し、薄緑色、無毛、たまに粉白色を帯び、葉柄の基部でわずかに広くなり、角張る。葉は3出複葉、小葉は3個。下部の複葉は長い葉柄を持つが、上部の複葉は無柄またはほぼ無茎柄、長い膜質の鞘は葉柄の基部に見られる。小葉は長さ10㎝×幅5㎝・以下、茎の上部ほど小さくなり、卵形、楕円形、または披針形、縁に重鋸歯があり、無毛、下部の小葉のいくつかは、縁が浅~深裂し、1~2個の裂片をもち、基部は円形またはくさび形、翼のある小葉柄があり、上面は緑色~暗緑色。複散形花序は上部の茎に頂生し、小さな白色の花をつける。散形花序はやや不規則で、幅は約3.8~7.5㎝。各散形花序は約3~10の小散形花序に分かれる。各小散形花序は花が3~10個つく。散形花序も小散形花序も苞をもたない。花は直径3mm以下、花弁は5個、白色。雄しべは5本、白色。雌しべは円錐形。萼は短い筒状、緑色、萼歯は無い。花弁は普通、先が内側に曲がる。花期は初夏から夏中旬にかけて約1ヶ月続く。顕著な芳香は無い。果実(分離果)は両端が先細になり、長く、隆条があり、初めは緑色、後で暗色になる。各果実は2つの種子からなる。この植物は再播種することによって広がり、ときにコロニーを形成する。
※ 北米産のCryptotaenia canadensis(L.)DC。は、C.japonicaに非常に似ているが、C。japonicaとは異なり、明確な小葉柄があり、小葉が頻繁に2裂又は2深裂する。果実は長円状円筒形で長さ約1mmの花柱が宿存する。

2 Cryptotaenia japonica Hassk. ミツバ 三葉

  synonym Cryptotaenia canadensis (L.) DC. subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz.

  synonym Cryptotaenia canadensis auct. non (L.) DC.

  synonym Cryptotaenia canadensis (L.) DC. var. japonica (Hassk.) Makino

  synonym Cryptotaenia canadensis f. dissecta (Y.Yabe) Makino ウシミツバ

  synonym Cryptotaenia canadensis f. warabiana (Makino) Yonek. ハニヤミツバ

  synonym Cryptotaenia japonica var. atropurpurea Makino ムラサキミツバ

 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は鸭儿芹 ya er qin 。英名はJapanese parsley , Japanese hornwort。別名はミツバゼリ。
 多年草。高さ30~80㎝。茎は直立してよく分枝し、無毛。葉は互生し、3出複葉、葉柄が長く、30㎝以上になることも多い。葉柄の基部は縁が膜状になり茎を抱く。小葉は長さ3~10㎝の卵形、無柄、重鋸歯縁、葉表にしわがあり、葉裏は光沢があり、柔らかくよい香りがする。花序は大散形花序、小花柄は数が少なく不同長、花がまばらにつく。総苞、小総苞、萼はともに発達しない。花は白色~まれに淡紅紫色、直径約2㎜。花弁は5個。雄しべ5個。雌しべ1個。果実は長さ4~6㎜の線状楕円形、淡色の縦線があり、隆条はほとんど隆起しない。果実は2分果、それぞれ1種子が入る。2n=16。花期は6~7月。
品種) 'Atropurpurea'
 下位分類は認められていない。

(1) Cryptotaenia japonica Hassk. f. dissecta (Y.Yabe) H.Hara ウシミツバ 牛三葉

  synonym Cryptotaenia canadensis (L.) DC. subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz. f. dissecta (Y.Yabe) Makino

 小葉に深い切れ込みのあるもの。

(2) Cryptotaenia japonica Hassk. f. warabiana (Makino) H.Hara ハニヤミツバ

  synonym Cryptotaenia canadensis (L.) DC. subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz. f. warabiana (Makino) Yonek.

 葉の中小葉が3裂する。

(3) Cryptotaenia japonica Hassk. f. atropurpurea (Makino) Ohwi ex H.Hara ムラサキミツバ 紫三葉

  synonym Cryptotaenia canadensis DC. subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz. f. atropurpurea (Makino) Yonek.

 全体に暗紫色になる品種。

参考

1) Flora of China
 Cryptotaenia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108587
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Cryptotaenia
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331526-2
3) World Flora Online
 Cryptotaenia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012844
4) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76: 137-150(2001)
 山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅰ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_137_150.pdf