ミカワシンジュガヤ 三河真珠茅(萱)

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae シンジュガヤ属

学 名 Scleria mikawana Makino
ミカワシンジュガヤの果実
ミカワシンジュガヤの果実2
ミカワシンジュガヤの痩果
ミカワシンジュガヤの熟した果実
ミカワシンジュガヤの熟した果実2
ミカワシンジュガヤの葉鞘
ミカワシンジュガヤ
ミカワシンジュガヤ熟した痩果
ミカワシンジュガヤ葉表
ミカワシンジュガヤ葉表2
ミカワシンジュガヤ葉裏
花 期 7~10月
高 さ 30~100㎝
生活型 1年草
生育場所 日当たりのよい湿地
分 布 在来種 日本(本州の千葉県以西、九州)、インド、スリランカ、バングラデシュ、タイ、ニューギニア、アフリカ(アンゴラ、ブルキナ、ブルンジ、中央アフリカ、チャド、コンゴ、ガボン、ギニアビサウ、コートジボワール、セネガル、シエラレオネ、ウガンダ、ザンビア、ザイール)
撮 影 葦毛湿原  04.9.25
愛知県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。三河の名がつけられているが、三河地方には少なく、愛知県では尾張地方の方が多い。世界の分布域は広い。
  1年草。高さ30~100[~120]㎝。根茎はなく、根は赤紫色。茎は数本、束生し、3稜形。葉は茎に互生し、長さ10~40㎝、幅2~5[3~7]㎜の線形、先は次第に細くなり、鈍端。葉鞘は長さ2~7㎝、固く茎を包み、稜は鋭いが翼はない。上部の葉腋、又は茎頂に長さ2.5~4㎝の花序を2~4個つける。花序の枝は斜上し、葉腋の柄は葉鞘内にほぼ隠れる[側花序は単生、直立]。苞は花序より長い。小穂は長さ約5㎜、花は単生、花被片はない。真珠のような果実(痩果)は直径2~2.5㎜、網目状の紋があり、緑白色、熟すと黒灰色に変わり、光沢は無い。基盤が痩果の下部につき、3裂し、裂片は長円形で、先は短く尖る。 柱頭は3岐。花期は7~10月。2n=20。
 コシンジュガヤの葉鞘には翼がある。2n=30。

シンジュガヤ属

 family Cyperaceae - genus Scleria

 多年草又は1年草、根茎が有又は無。匍匐茎はときに有る。稈は直立、3稜形、まれに円柱形。葉は茎葉又は根生葉及び茎葉。葉鞘は稈の中間部分につき、翼が有又は無、先はときに葉身に対生する対生葉舌(contraligule)をもつ。葉身は線形、ザラつき、鞘があり、普通、3脈が目立つ。苞葉(総苞片)は葉状、鞘があり、剛毛状(setaceous)又は苞穎状(glumelike)。小苞は普通、剛毛状、まれに苞穎状。花序は頂生、円錐花序、普通、丈夫で長く、ときに短くなり、不連続の穂状花序になる。単性の小穂が花序に普通、優勢、まれに、両性の小穂が優勢になる。小穂の基部の2~4個の苞穎は空。雄小穂は数個の花をもつ。雌小穂は花が1個。両性の小穂は基部の雌花と数個の雄花をもつ。花は単性。雄花は雄しべが1~3本、葯は線形~線状長円形、葯隔は先がしばしば、突き出し、錐形。雌花は花柱の基部が膨らまず、柱頭は3岐。花被(刺針状花被片)は無い。小堅果(痩果)はレンガ赤色、白色、又は黄紫色、球形~卵形、しばしば鈍い3面をもち(3稜形)、平滑又は様々な凹凸模様になり、ほとんどに光沢があり、無毛又は有毛(単純毛又は星状毛)、普通、子房柄(gynophore)の先が広がった±3裂する基盤(disk)の上につく。
 世界に約200種があり、汎熱帯性でアフリカ南部、アジア東部、南北アメリカの温帯地域まで分布する。

シンジュガヤ属の主な種

1 Scleria annularis Nees ex Steud. スクレリア・アニュラリス
  synonym Hypoporum annulare Nees
  synonym Scleria annularis Steud.
 インド、バングラデシュ、マレーシア、インドネシア、ニューギニア、オーストラリア原産。
 1年生。葉は次第に狭くなり、先端が鈍く、無毛又はまばらに軟毛があり、縁は前向きにザラつき、主脈は上部で目立ち、幅3~6㎜。花序は狭く、長く、頂部の円錐花序と2~3個の離れた側花序からなる。頂部の円錐花序は長さ3~4㎝×幅1~1.5㎝、側花序よりやや長く、側花序は節に1個ずつつき、まれに対につく。花序柄は鞘から多少、突き出し、平滑又はザラつき、広がった先端で2翼になる。
  S. novae-hollandiaeに酷似するが、より丈夫で、ザラつきがあり、果実が卵形で微突頭でなく、扁平で、光沢が強く、明瞭に区別できる。

2 Scleria biflora Roxb. ホソバシンジュガヤ 細葉真珠茅
  synonym Scleria biflora Roxb. subsp. ferruginea J.Kern
  synonym Scleria biflora Roxb. var. ferruginea T.Koyama
  synonym Scleria tessellata auct. non Willd.
  synonym Scleria ferruginea Ohwi
 日本(沖縄)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、江蘇省、雲南省)、台湾、インド、ネパール、カシミール、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン原産。中国名は二花珍珠茅 er hua zhen zhu mao。標高600~1800mの草原、荒地、畑の縁に生える。
 1年草。根はひげ根。根茎は無い。稈はほぼ束生し、高さ30~40cm、細く、3角(かど)があり、無毛。葉は茎葉、鞘は筒状、3角(かど)があり、かろうじて翼があり、無毛、基部の鞘の先に三角形の歯がある。対生葉舌(contraligule)は半円形、毛がある。葉身は線形、幅2.5~5.5㎜ですが、先は漸尖し、紙質、平滑、無毛で、縁はザラつき、先はわずかに鈍形。苞葉(総苞片)は葉状、基部の苞葉は長さ1~15cm、鞘があり、鞘の開口部には褐色の毛がある。小苞(bractlets)は剛毛があり、鞘がなく、小穂よりもはるかに長い。 花序は円錐花序で、2~3本の枝がある。枝は長さ1.5~2.5cmで、小穂が多数つく。側枝は離れる。小穂は1~2個、束生し、狭卵形、長さ3.5~4㎜、ほとんどが単性。雌小穂は 4~5 個の苞穎(鱗片)と1個の雌花を持つ。雄小穂には7~9個以上の苞頴がある。苞頴は卵形~披針形、先が漸尖し、竜骨は緑色~苞頴と同色、先は鋭形で短突起がある。雄花:雄しべは2~3本。雌花:子房は倒卵形、細かい網目があり、密に毛がある。基盤は小堅果の高さの約1/2、3裂し、裂片は卵状三角形、わずかに光沢がある。小堅果は白色または帯黄色、ほぼ球形、直径約2㎜、網目があり、先は紫色。花期および果期は8~9月。

3 Scleria ciliaris Nees  ホソボシンジュガヤ 細穂真珠茅
  synonym Scleria bancana Miq. 
  synonym Scleria chinensis Kunth.
 中国(広東省、海南省)、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マーレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は华珍珠茅 hua zhen zhu mao。標高(100~)300~900mの谷、森林、草原に生える。
 多年草。 根茎は木質で、紫色~紫褐色の鱗片で覆われる。稈は束生し、高さ70~120㎝、幅約5㎜、3角(かど)があり、わずかにザラつき、無毛。 葉鞘は長さ1~10cm、紙質、無毛。稈の基部の鞘は褐色~紫褐色で、翼はなく、開口部にさまざまなサイズの狭い卵形の歯が3個ある。稈の中間部の鞘は緑色、翼は幅1~3㎜。対生葉舌(contraligule)は褐色~赤褐色、披針形~長円状披針形、長さ4~12㎜(壊れやすい先端が時々壊れる)、無毛、縁はときに先端が紫色になる。葉身は線形、長さ15~35㎝×幅6~9㎜、紙質、わずかにザラつき、無毛。苞葉(総苞片)は葉状で、最も基部の苞葉は長さ20㎝まで、鞘がある。小苞は剛毛状(setaceous)、基部に耳があり、剛毛がある。花序は円錐花序、わずかに離れた側枝が1~3本ある。枝は長さ6~10㎝×幅2~6㎝、わずかに凝縮する。小穂は褐色~紫色で、(1~)2~4個が束生し、長さ約4㎜、ほとんどが単性。雄小穂は長円状卵形。苞頴は長さ3~4㎜、膜質、縁にときに縁毛がある。基部の苞頴は竜骨があり、先には芒~短突起がある。雌小穂は通常、枝の基部に成長し、狭卵形。苞頴は広卵形~卵状披針形、竜骨があり、先には芒~短突起がある。雄花: 雄しべは3本。雌花: 子房に毛がある。柱頭は3個。基盤は黄色、直径1.6~2㎜、密にさび色の線があり、3裂し、裂片はほぼ半円形で、縁は後屈し、先は丸い。小堅果は白色、ほぼ球形、直径約2.5 mm、わずかに3面があり、わずかに網状の窪みがあり、わずかに星状毛がある。花期および果期は12~4月。

4 Scleria levis Retz. シンジュガヤ 真珠茅
  synonym Scleria hebecarpa Nees
 日本(本州の三重県、兵庫県、和歌山県、山口県、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、オーストラリア北東部原産。中国名は毛果珍珠茅 mao guo zhen zhu mao。 斜面の草原、林の藪、低木の藪などに生える。
 多年草、匍匐茎がある。根茎は木質、紫色の鱗片で覆われる。稈は緩く、叢生又は散生し、高さ70~90㎝、幅3~5㎜、3稜形、ザラつき、軟毛がある。鞘は長さ1~8㎝、紙質、稈の基部の葉鞘は褐色、翼が無く、稈の上半部の鞘は緑色、翼は幅1~3㎜、対生葉舌(contraligule)はほぼ半円形、短く、ひげがある。葉身は線形、長さ約30㎝×幅7~10㎜。苞葉(総苞片)は葉状、最も基部の苞葉は長さ13㎝以下。小苞は剛毛状、基部に耳があり、耳にはひげがある。花序は円錐花序、1~2本の側枝があり、枝は長さ3~8㎝×幅1.5~3㎝。小苞は1個又は2個束生し、褐色、単性、無柄、長さ約3㎜。雄小穂は狭卵形~長円状卵形、苞穎は長さ1.5~3㎜、竜骨があり、厚い膜質。雌小穂は普通、枝の基部につき、狭卵形、苞穎は長円状卵形~広卵形~卵状披針形、竜骨があり、さび色の短い線をもつ。雄花は雄しべが3本、葯は線形、長さ約1.3㎜。雌花は柱頭が3個、基盤は淡黄色、わずかに小堅果より狭く、深く3裂し、裂片は披針状三角形、縁は後屈する。小堅果は白色、球形~卵形、直径約2㎜、鈍い3面があり、、±平滑~小しわがあり、先は尖る。花期および果期は6~9月。

5 Scleria lithosperma (L.) Sw. タカオシンジュガヤ
 中国(広東省、海南省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、オーストラリア、熱帯アフリカ、アメリカ、インド諸島原産。中国名は石果珍珠茅 shi guo zhen zhu mao 。英名はFlorida Keys nut-rush。標高100~1000mの森林、森の中の茂みに生える。
 多年草。 根茎は短く、太く、木質で、匍匐性です。 稈は房状で、高さ30~50cm、幅1.4~2mm、3角(かど)があり、無毛。葉は根生葉と茎葉。根生葉は鞘状で、葉身は無い。茎葉は鞘があり、鞘は3角(かど)があり、閉じ、直軟毛がある。対生葉舌(contraligule)は凹んだ円形または凹んだ三角形、縁毛がある。葉身は狭線形、幅1.5~2㎜、縁には細かい鋸歯があり、先は漸尖し、先端は尾状。苞葉(総苞片)は葉状、基部の1枚は長さ10㎝以下、鞘がある。花序は円錐花序でよく発達した花序は長さは30㎝以上になり、側枝が1~3本あり、または基部に枝はない。基部はしばしば、長さ3.5~7㎝の穂状花序状に小さくなる。小穂は1~3個束生し、長さ3~4.5mm、4~5個の苞頴があり、1~2個の雄花をもち、雄花の下に1個の雌花がつく。苞頴は卵状披針形、竜骨があり、中脈の両側は膜質で短い褐色の線があり、先は微突形。基盤は十分に発達していない。小堅果は白色、広倒卵形~ほぼ楕円形、長さ約2.5㎜、3面があるかまたは無く、平滑または横しわがあり、または不規則な±波状の隆起がある網目があり、光沢があり、基部は狭く、三角形。花期および果期は6~10月。

6 Scleria mikawana Makino ミカワシンジュガヤ 三河真珠茅
  synonym Scleria glabroreticulata De Wild.
 日本(本州の千葉県以西、九州)、インド、スリランカ、バングラデシュ、タイ、ニューギニア、アフリカ(アンゴラ、ブルキナ、ブルンジ、中央アフリカ、チャド、コンゴ、ガボン、ギニアビサウ、コートジボワール、セネガル、シエラレオネ、ウガンダ、ザンビア、ザイール)原産(参考5)
 1年草。高さ30~100[~120]㎝。根茎はなく、根は赤紫色。茎は数本、束生し、3稜形。葉は茎に互生し、長さ10~40㎝、幅2~5[3~7]㎜の線形、先は次第に細くなり、鈍端。葉鞘は長さ2~7㎝、固く茎を包み、稜は鋭いが翼はない。上部の葉腋、又は茎頂に長さ2.5~4㎝の花序を2~4個つける。花序の枝は斜上し、葉腋の柄は葉鞘内にほぼ隠れる[側花序は単生、直立]。苞は花序より長い。小穂は長さ約5㎜、花は単生、花被片はない。真珠のような果実(痩果)は直径2~2.5㎜、網目状の紋があり、緑白色、熟すと黒灰色に変わり、光沢は無い。基盤が痩果の下部につき、3裂し、裂片は長円形で、先は短く尖る。 柱頭は3岐。花期は7~10月。2n=20。[ ]内は参考5。

7 Scleria mutoensis Nakai ムトウサンシンジュガヤ
 朝鮮固有種
 1年草、根はひげ根。茎はほぼ単生、三角形、幅1~2㎜、帯白色、基部は赤色。根生葉は線形、長さ8~14cm×幅2~2.7mm、縁は無毛、平行脈はモザイク状ではない。茎葉は基部で放射状に広がり、鞘は基部で長さ15~23㎜、まばらに赤みを帯びた節がある。葉身は長さ45~104㎜×幅2~3㎜で、縁は無毛でザラつく鋸歯があり、上面の中肋は前向きにザラつく。 苞葉は非常に鋭い。 穂状花序は頂生、花序柄がある。苞頴(鱗片)は覆瓦状、背面に緑色の竜骨があり、長さ2~4mm、縁は帯褐色の透明、先は芒状の尖鋭形。花は先の雄花を除いて雌花。花柱は3分岐。雄しべは3本。 小堅果は白色、光沢があり、ほぼ球状卵形、先はわずかに3うねがあり、長さ2~2.5 mm×幅1.7~2mm、表面に格子紋は無い。

8 Scleria novae-hollandiae Boeck. オオマネキシンジュガヤ
  synonym Scleria merrillii Palla
 中国(福建省、広東省、江蘇省)、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は角架珍珠茅 jiao jia zhen zhu mao。海面に近い斜面、沼地に生える。
 1年草。根茎は短く、ほぼ木質。稈は高さ30~60㎝、細く、3角(かど)があり、無毛。葉は茎葉。鞘は3角(かど)があり、翼はなく、無毛。対生葉舌(contraligule)は半円形。葉身は狭線形、幅2.5~3.5(~5.5)㎜、紙質、わずかに光沢があり、無毛、縁はザラつき、先は鋭形。苞葉(総苞)は葉状、鞘がある。小苞は小さく、狭く、鞘がない。花序は円錐花序。枝は1本または双生(binate)、長さ(0.5~)1~2㎝、離れる。小穂はほとんど単性で、狭卵形、長さ約5㎜、緩く、花が約9個つき、苞頴は11~12個ある。両性小穂は1~2個の空の苞頴を基部にもち、中間の苞頴は雌花をもち、最頂部の苞頴は空または小さくなった花を持つ。苞頴は淡褐色、卵形~卵状披針形だが、先端の苞頴は披針形、膜質、竜骨は外側が緑色、先は鋭形。 花被片は先端が丸い。雄花: 雄しべは2~3本。雌花:花柱は細い。柱頭は2個、花柱とほぼ同長。基盤は十分に発達しない。小堅果は白色、ほぼ卵状球形、長さ2~2.5㎜(柄を除く)、不明瞭な網目があり、無毛、基部は切形、先はほぼ丸く、先端は無い。花期および果期は7~10月。

9 Scleria parvula Steud. コシンジュガヤ 小真珠茅
  synonym Scleria biflora auct. non Roxb.
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯アフリカ原産。中国名は小型珍珠茅 xiao xing zhen zhu mao 。斜面、渓谷、荒地、水田などに生える。
 1年草。根はひげ根。根茎は短く又はよく発達せず、太い。稈は叢生し、高さ40~60㎝、細く、3稜形、平滑、無毛。葉は茎葉、稈の基部の鞘は無毛、翼があり、葉身が無く又は短い葉身がある。稈の中間と上部の鞘は狭い翼があり、絨毛があり、対生葉舌の付近には密にあり、対生葉舌は半円形、先は鈍形。葉身は線形、幅3.5~5.5㎜、先は漸尖し、紙質、両面には毛があり又は下面の2本の側脈上だけに毛があり、縁はザラつき、先はわずかに鈍形~鋭形。苞葉(総苞)はは葉状、最も基部の苞葉は長さ20㎝以下、鞘があり、鞘を開くと密に褐色の軟毛がある。小苞は剛毛状、小苞の長さと同長又はわずかに長い。花序は円錐花序、2~4本の枝があり、枝は長さ1.2~3㎝、離れ、少数の小穂をもつ。小穂は狭卵形、長さ4~5㎜、ほとんどが単性。雌小穂は4~5個の苞穎と1個の雌花をもつ。雄小穂は7~9小又はそれ以上の苞穎をもつ。苞穎は濃いわら色~褐紫色、卵形~披針形、竜骨があり、先は鋭形で微突頭。花被片は先が鋭形。雄花は雄しべが2~3本。雌花は子房が類球形、無毛。基盤は黄白色、小堅果の高さの1/4~1/3の高さ、3裂し、裂片は卵状三角形~類球形、縁は後屈し、先は鋭形。小堅果は類球形~倒卵状球形、長さ2.8~3㎜×幅1.8~2㎜、穴あり、規則的な縦に長いくぼみがあり、無毛、先に黄白色の尖りがある。花期および果期は7~10月。2n=30。.
 
10 Scleria pergracilis (Nees) Kunth スクレリア・ペルグラキリス
 朝鮮、中国(広東省、広西チワン族自治区、江蘇省、西蔵省、雲南省)、インド、カシミール、ネパールスリランカ、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、オーストラリア北東部原産。中国名は纤秆珍珠茅 xian gan zhen zhu mao。標高1200~4000mの高山の草原、谷の牧草地に生える。
 1年草。 根茎は無い。稈は束生し、直立、高さ11~30cm、幅約0.5mm、3角(かど)があり、溝があり、無毛。葉は根生葉と茎葉、鞘がある。対生葉舌(contraligule)は円形~鈍形。葉身は毛細管状、幅約1mm。苞葉(総苞)は剛毛状、基部の苞葉は長さ0.6cmまで、束生する小穂より短い。小苞片は苞頴状。花序は穂状花序、長さ2.5~8.5cm、2~3個の小穂の集合で形成され、それぞれ2~17mm離れる。小穂は大部分が両性、卵形、長さ3~4 mm、まれに基部の小穂は単性で1個の雄花をもつ。苞頴は卵形、竜骨があり、中脈の両側が膜質で赤褐色の線が入り、先は微突形。基部の2苞頴は空である。中間の苞頴は雌花を持つ。先に1~2個の雄花がつく。雄花:雄しべは3本、葯隔の先が突き出し、薄い先端になる。雌花:柱頭は3個。基盤は不明瞭。小堅果は白色、ほぼ球形、直径約1mm、わずかに3面があり、横しわがあり、基部に褐色の柄があり、先は尖る。花期および果期は8~10月。2n=10。

11 Scleria purpurascens Steud. オニシンジュガヤ 鬼真珠茅
  synonym Scleria multifoliata Boeck.
 中国(広東省、海南省)、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、インド諸島原産。中国名は紫花珍珠茅 zi hua zhen zhu mao。標高1000m以下の斜面、谷、開けた森に生える。
 多年草。 根茎が硬くなる。稈は高さ1~2m、太さ3~7 mm、三角状、頂角は鱗状または滑らかで、無毛または思春期です。 葉は稈の中央に2~5輪生し(そうでない場合は散在する)。 鞘は長さ3~6 cm、紙質、無毛、翼は無い。 対生葉舌(contraligule)は凹んだ円形、縁は粗毛の縁毛がある。葉身は線形、長さ30~60㎝×幅0.3~1.5㎝、厚い紙質、わずかに斑点があり、頂端は長く尖形。苞葉(総苞)は葉状で、根元から15㎝まで、鞘に覆われる。小苞は剛毛。花序は円錐花序で、長さ20~50㎝、枝は1~4本ある。側枝はしばしば2~3本が束生し、広がり、長さ4~10㎝×幅約10㎝、軸に角(かど)がある。小穂は2~3個束生し、褐色、長さ3~4㎜、単性(まれに両性)。 雄小穂は長円状卵形、小花柄があり、先は切形。苞頴(鱗片)はさび色~褐色、長さ3~4㎜、膜質、基部の苞頴は竜骨があり先は急に尖る(cuspidate)。雌小穂は倒卵形、先は尖鋭形。苞頴は広卵形~卵形、竜骨がある。 雄花: 雄しべは3本。 葯は線形、長さ約1㎜、葯隔は先が葯の長さの約1/4突き出る。雌花:柱頭は3個。基盤は褐色~紫色、3裂し、裂片は平滑で狭く、先は鋭形。小堅果は白色だが成熟すると紫褐色、卵形~楕円形または倒卵形、長さ2~2.5㎜×幅1.7~2㎜、わずかに3面があり、六角形の網目があり、顕著に多孔質(cancellate)、うねと先端にまばらに毛があり、先は急に尖る(cuspidate)。花期および果期は夏。

12 Scleria radula Hance シンジュガヤモドキ 真珠茅擬
  synonym Scleria laeviformis Tang et F.T.Wang
 中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾原産。中国名は光果珍珠茅 guang guo zhen zhu mao 。標高100~800mの谷、川辺、密林、丘陵地帯の湿った場所に生える。
 多年草。 稈は高さ約1m、幅1㎝、3角(かど)がある。葉鞘は稈を緩く包み込み、長さ15㎝まで、ときに毛があり、稈の中間部分に翼があり、翼の幅は1~4㎜。 対生葉舌(contraligule)は紫色、三角形。 葉身は線形、長さ15~50㎝×幅1.5~2.5㎝、紙質、わずかにザラつき、無毛。苞葉(総苞片)は葉状で、細も基部の苞葉は長さ25cmまで、鞘がある。小苞は剛毛、軟毛がある。花序は円錐花序。 側枝は4~5本、長さ6~5㎝×幅5~10㎝、コンパクトで、小穂を多数もつ。 小穂の約2/3が雄性。 雄の小穂は褐色、長円状卵形。 苞頴は膜質。 雌小穂は通常基部につきで、狭卵形~卵形。苞頴は褐色、厚い膜質、剛毛があり、先は短突起がある。 雄花: 雄しべは3本. 雌花: 柱頭が3個。基盤は黄色、直径約1.5㎜、3裂し、裂片は半円形、縁は厚く、後屈する。小堅果は白色、卵形、約・長さ2.5㎜×幅2 mm、鈍い三面があり、平滑、無毛、先は尖る。花期および果期は4月~8月。

13 Scleria rugosa R.Br.
 日本、朝鮮、中国、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、オーストラリア北部、太平洋諸島、インド諸島原産。中国名は垂序珍珠茅 chui xu zhen zhu mao 。湿った草地に生える。
 1年草。根はひげ根。根茎は無い。稈は叢生、直立、高さ10~25㎝、3稜形、無毛又は絨毛がある。葉は茎葉、鞘はかろうじて翼があり、(軟)毛~絨毛があり、対生葉舌(contraligule)は半円形、縁毛がある。葉身は線形、幅2~4㎜、先は漸尖し、紙質、両面に毛があり、縁はザラつき、先は鈍形。苞葉は葉状、長さ14㎝以下、鞘があり、鞘を開くと密に褐色の毛があり、小苞葉は小さく鞘が無い。花序は円錐花序、枝は3~5本つき、枝は長さ0.7~1.5㎝、離れ、少数の小穂をもつ。枝の花序柄は長さ0.4~4㎝、普通、翼がある。小穂は1個又は2個束生し、狭卵形、長さ2~4㎜、ほとんどが単性。雌性の小穂は苞穎を3~5個と1個の雌花をもつ。雌花は子房が倒卵形、平滑、無毛。基盤(disk)は小堅果の高さの1/4~1/3、3裂し、裂片は半円形、縁は後屈し、先は円形。小堅果は白色又は灰白色、球形~類球形、直径約1.5㎜、平滑、光沢があり、先は類円形でわずかに尖る。

13-1 Scleria rugosa R.Br. var. rugosa ケシンジュガヤ 毛真珠茅

  synonym Scleria onoei Franch. et Sav. var. pubigera (Makino) Ohwi

  synonym Scleria pubigera Makino

13-2 Scleria rugosa R.Br. var. onoei (Franch. et Sav.) Yonek. マネキシンジュガヤ  招き真珠茅

  synonym Scleria rugosa R.Br. var. glabrescens (Koidz. ex Ohwi) Ohwi et T.Koyama

  synonym Scleria rugosa R.Br. f. glabrescens (Koidz. ex Ohwi) T.Koyama

  synonym Scleria onoei Franch. et Sav.
 全体にほとんど毛が無い。

14 Scleria scrobiculata Nees et Meyen マシンジュガヤ
  synonym Scleria margaritifera auct. non Gaertn.
 中国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア北部、太平洋諸島、インド諸島原産。中国名は轮叶珍珠茅 lun ye zhen zhu mao。標高100~300m以下の常緑広葉樹林に生える。
 多年草。 根茎は硬くなる。稈は高さ1~2.5m、太さ4~10mm、3稜形、先の角(かど)がザラつく。葉は稈の中間に±2~5輪生する(それ以外は散在する)。鞘は長さ4~6cm、紙質、無毛、翼は有または無。対生葉舌(contraligule)は凹んだ円形、縁には縁毛がある。葉身は線形、長さ約40㎝×幅1~1.3㎝、厚い紙質、わずかにザラつき、先は漸尖する。苞葉(総苞片)は葉状で、最も基部の苞葉は長さ15㎝まで、鞘がある。小苞片は剛毛がある。花序は円錐花序で、数本の枝がある。側枝は広がり、しばしば2~3本が束生し、長さ6~7㎝×幅約10㎝、軸に角(かど)がある。小穂は2~3個、束生し、褐色、長さ3~4㎜、単性。 雄小穂は長円状卵形、小花柄があり、先は切形。苞頴(鱗片)はさび色~褐色、長さ3~4㎜、膜質、基部の苞頴は竜骨があり、先端が鋭く尖る。雌小穂は狭卵形で、先は尖鋭形。苞頴は広卵形~卵形で、竜骨がある。雄花:雄しべは3本。葯は線形、長さ約1㎜、葯隔の先が葯の長さの約1/4突き出る、雌花:柱頭が3個。基盤は褐色~紫色、3裂し、裂片は平滑で狭く、先は鋭形。小堅果は帯白色、球形、長さ2.5~3㎜×幅2.2~2.7㎜、わずかに三面があり、六角形の網目があり、あばた状(scrobiculate:多数の浅いくぼみ、溝、または穴が特徴)、無毛だがうねにまばらに毛があり、先は急に尖る(cuspidate)。花期および果期は4~8月。

15 Scleria sumatrensis Retz. クロミノシンジュガヤ 黒実真珠茅
  synonym Scleria fauriei Ohwi 
 中国、台湾、インド、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア北部、太平洋諸島、インド洋諸島原産。中国名は印尼珍珠茅 yin ni zhen zhu mao。英名はSumatran scleria。標高200~300m以下の川辺に生える。
 多年草。 稈は高さ2~4m、幅6~7㎜、3角(かど)があり、無毛。 葉は±3輪生する。鞘は長さ約4cm、紙質、無毛の、基部の葉には翼がある。対生葉舌(contraligule)はほぼ半円形、非常に短い、縁に縁毛がある。葉身は線形、長さ約40㎝×幅1~1.3㎝、厚い紙質、わずかにザラつき、先は漸尖する。苞葉(総苞片)は葉状で、最も基部の苞葉は長さ25㎝まで、鞘がある。小苞は剛毛(setaceous)で、側部に毛があり、基部は広がる。花序は複合の円錐花序で、数本の枝がある。側枝はしばしば2~3本が束生し、長さ6~7㎝×幅約10㎝、広がり、軸に角(かど)がある。小穂は1個または2個が束生し、褐色、長さ約5 mm、単性、基部の苞頴は2列生。 雄の小穂は長円状卵形、先は切形。苞頴はさび色~褐色、長さ2~3.5㎜、膜質、基部の苞頴は竜骨があり、先は急に尖る(cuspidate)。 雌小穂は狭卵形、先は尖鋭形。苞頴は広卵状披針形~卵形または長円状卵形、竜骨がある。 雄花:雄しべは3本。 葯は線形、長さ約1.2㎜、葯隔の先が葯の長さの1/4突き出る、雌花:柱頭は3個。基盤は褐色~紫色~帯黄色または明るい光沢のある赤色、杯形、小堅果の高さの1/2~4/5で、小堅果を囲み、3裂し、裂片は平滑、光沢があり、先に歯がある。小堅果は平らな球形、長さ約1.5㎜×幅2~2.5㎜、六角形の網目があり、まばらに毛があり、先は急に尖る。花期および果期は4月。

16 Scleria terrestris (L.) Fassett オオシンジュガヤ 大真珠茅
  synonym Scleria doederleiniana Boeck.
  synonym Scleria elata Thwaites
 日本(鹿児島県・屋久島~沖縄)、中国、台湾、インド、ブータン、カシミール、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア北部原産。中国名は高秆珍珠茅 gao gan zhen zhu mao 。斜面の乾いた場所又は湿った場所、渓谷、川岸、低木の下、開けた林、農場の近く、道端などに生える。
 多年草、匍匐茎がある。根茎は木質、暗紫色の鱗片がある。稈は疎、高さ0.6~3m×幅4~7㎜、3稜形、しばしば、ザラつき、無毛。葉鞘は長さ1~8㎝、紙質、稈の基部の2~3個の鞘は紫赤色、翼は無い。稈中間の鞘は幅1~3㎜の翼がある。対生葉舌(contraligule)は半円形、短く、普通、紫色のひげがある。葉身は線形、長さ30~40㎝×幅6~10㎜、紙質、わずかにザラつき、無毛。苞葉は葉状、最も基部の苞葉は長さ40㎝以下、鞘がある。小苞は剛毛状、基部に耳があり、耳にはわずかに剛毛がある。花序は円錐花序、1~3本の離れた枝をもち、枝は長さ3~8㎝×幅1.5~6㎝。1(~2)個、束生する小穂は全体が単性、長円状卵形~狭卵形、先は切形~尖鋭形。雄小穂の苞穎は長さ2~3㎜、厚い膜質、基部の苞穎は竜骨があり、さび色の短い線をもち、先の苞穎は淡色で薄膜質。雌小穂は普通、枝の基部で育ち、苞穎は広卵形~卵状披針形、幅2~4㎜、ときに錆色の短い線をもち、竜骨があり、先は微突頭。雄小穂は花が3個。雄花は葯が線形。雌花は柱頭が3個。基盤は黄色、直径約1.8㎜、わずかに3裂~かろうじて分裂し、裂片は半円形、平ら、縁は後屈する。小堅果は白色又は淡褐色、球形~卵形、直径約2.5㎜、ときに±3面があり、網目があり、わずかに剛毛があり、先は尖る。花期と果期は5~10月。

参考

1) Flora of China
 Scleria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129760
2) GRIN
  Scleria 
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10955
3)Flora of North America
  Scleria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=129760
4)Flora Malesiana
 Scleria annularis
https://portal.cybertaxonomy.org/flora-malesiana/cdm_dataportal/taxon/ae1e48d5-d46a-43a7-848c-cfb95f048a16
5)Plants of the World Online | Kewscience
 Scleria mikawana Makino
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:314880-1
6)植物研究雑誌 第18巻 第8号: 421 1942
 Scleria mutoensis Nakai(Scleria mutoensis Nakai)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/18/8/18_18_8_2673/_pdf/-char/ja