マツグミ 松茱萸
Flora of Mikawa
オオバヤドリギ科 Loranthaceae オオバヤドリギ属
中国名 | 小叶钝果寄生 xiao ye dun guo ji sheng |
学 名 | Taxillus kaempferi (DC.) Danser |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 0.5~1m |
生活型 | 寄生性低木 |
生育場所 | アカマツなどのマツ科の木に寄生 |
分 布 | 在来種 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、中国、ブータン原産 |
撮 影 | 豊橋市 22.5.18(果実) 22.7.7.13(花) |
アカマツ、バビショウ(Pinus massoniana)、ニイタカアカマツ(Pinus taiwanensis)、Tsuga chinensisなどマツ科に寄生する。以前は他のヤドリギ類を含めてヤドリギ科(Loranthaceae)としていたが、現在ではヤドリギはビャクダン科(Santalaceae)とされ、Loranthaceaeはオオバヤドリギ科と呼ばれている。
樹木に寄生する低木、高さ0.5~1m、小枝は円柱形、密に鉄さび色の星状毛があり、無毛になる。枝は灰褐色、疣状、皮目が散在する。葉は互生または短いシュート上に2~4個、束生する。葉柄は長さ1~2㎜。葉身は線形またはほぼへら形、長さ1.5~3㎝×幅0.3~0.7㎝、革質、未熟な葉は初め密に鉄さび色の星状毛があり、両面とも急速に無毛になり、中央脈が目立ち、基部はくさび形、先は鈍形。散形花序は1個、または2個が一緒につき、花は2個または3個つく。花序の節は膨れ、関節状になる。花序柄は2~3㎜。小花柄は長さ2~3㎜。苞は小花柄の先に萼に接してつき、長さ約1㎜、先はしばしば(2)3裂する。萼はほぼ球形、直径1.5㎜、無毛、拡大部は環状、小さく4裂し、先は切形、縁が褐色になる。成熟した蕾は長さ1.5~1.6㎝、先端は楕円形。花冠(花被)は無毛、筒形、帯赤色(濃桃色)、先の約半長まで1箇所で切れ込み、花冠内面の暗紫褐色が目立ち、切れ込みより先は次第に緑色になり、4裂する。花冠裂片4個は切れ込みの反対側に並び、披針形、長さ約5㎜、強く後屈して反転し、緑色~黄褐色。雄しべは4個、花冠裂片の屈曲部の下につく。花糸は花冠内部の暗紫褐色と同色、長さ約1㎜。葯は長さ約2㎜、花冠から突き出る。子房は下位、ほぼ緑色、ほぼ球形。花柱は長く、帯赤色、下部は4角(かど)があり、上部は円柱形、雄しべから突き出る。柱頭は頭状、赤色。液果は赤褐色、卵形、直径4~5㎜、表面が顆粒状、種子は白色、1個。花期は7~8月。果期は4~5月。
寄生性の低木で、ほとんどの若い部分は普通、密な星状毛および/または輪生の毛を持ち、まれに無毛になる(T.delavayi)。葉は対生または互生し、葉脈は羽状。花序は腋生し、散形花序またはまれに短く不規則な総状花序になり、花は2~5個つき、苞は各花の基部に1個つき、普通、鱗片状。花は両性、4[または5]数性、左右相称。萼は楕円形または卵形、まれにほぼ球形、基部は漸尖せず、拡大部(舷部)は環状、全縁または小歯状、宿存性。成熟した花芽(蕾)は筒状、先端は楕円形または卵形。花冠は合弁花で、わずかに曲がり、基部は±膨らみ、花時に片側に沿って裂け、裂片はすべて裂け目から離れた側に向かって反り返る。雄しべは花冠裂片の基部につく。花糸は短いかほとんどない。葯は4室、ときに多室。花粉粒は3裂または 極観で半裂。子房は1室、基底胎座。花柱は糸状、4または5角(かど)がある。柱頭は普通、頭状。液果は楕円形または卵形、まれに球形、外果皮は革質、疣状または顆粒状、まれに平滑、有毛または無毛、基部は丸い。
世界に約35種あり、東アジアと東南アジア、ケニアに分布し、中国には18種(9種が固有種)ある。
synonym Taxillus matsudae (Hayata) Danser
中国、台湾、ブータン原産。中国名は松柏钝果寄生 song bai dun guo ji sheng。林内、山地の斜面のマツ科の木に寄生する。
低木、寄生性、高さ0.3~1mの低木。小枝は円柱形、密に褐色の星状の毛があり、無毛になる。 枝は黒褐色、疣状。葉は短いシュートの上で互生または少数、束生する。葉柄は長さ1~2.5㎜。葉身は乾燥すると帯褐色色になり、ほぼへら形~線形、長さ2~3.5㎝×幅0.3~1.2㎝、革質、すぐに両面が無毛になり、基部はくさび形、先は鈍形。 散形花序は1個または2個が一緒につき、花は2個または3個つく。小花柄は長さ0~3㎜。苞は広三角形または卵形、凹面状、長さ約1㎜、先は鋭形、まれに3裂する。小花柄は長さ1~2mm。萼は卵形、長さ約1.5㎜、褐色の綿毛がある。成熟した蕾は先端が楕円形。花冠は赤色、わずかに曲がり、無毛、基部はわずかに膨らむ。花冠裂片は披針形、長さ7~8㎜、後屈する。花糸は長さ約2㎜。葯は長さ約4㎜。柱頭は頭状。液果は紫色、ほぼ球形、長さ4~5㎜×幅3~5㎜、顆粒状。花期は7~8月。
1-1 Taxillus caloreas var. caloreas
中国、台湾、ブータン原産。中国名は松柏钝果寄生 song bai dun guo ji sheng。針葉樹林または混交林、山地の斜面に生える。
葉身は線形またはほぼへら形、長さ2~3㎝×幅0.3~0.7㎝、側脈は目立たない。 散形花序は花が2または3個つく。小花柄は長さ1~2㎜。萼は卵形、褐色の綿毛がある。成熟した蕾は長さ2~2.7㎝。花冠裂片は披針形、長さ7~8㎜。花期は7~8月。果期は翌年の4~5月。
1-2 Taxillus caloreas var. fargesii (Lecomte) H. S. Kiu
中国原産。中国名は显脉钝果寄生 xian mai dun guo ji sheng。林内、山地の斜面に生える。
小花柄は長さ2~3㎜。萼は卵形、帯褐色の毛がある。成熟した芽は長さ1.5~2㎝。花冠裂片は披針形、長さ約6㎜。花期は7~8月。果期は10~翌年の5月。
2 Taxillus chinensis (Candolle) Danser
synonym Loranthus chinensis Candolle
synonym Loranthus estipitatus Danser
synonym Scurrula chinensis (Candolle) G. Don
synonym Taxillus estipitatus (Stapf) Danser.
中国、台湾、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は广寄生 guang ji sheng。英名はmulberry mistletoe。林内、平野、山の斜面、果樹園、庭園、ゴム農園などに生える。桑寄生 sang ji sheng とも呼ばれ、薬用、桑寄生茶とされる。
低木、高さ0.5~1m。若い茎と葉には綿毛があり、毛はほとんどが強く圧着し、赤褐色、星状毛、ときに短い輪状毛もある。枝は灰褐色、皮目がある。葉は対生または亜対生。葉柄は長さ8~10㎜。葉身は卵形~卵状長円形、長さ2.5~6㎝×幅1.5~4㎝、紙状、両面とも無毛になり、側脈は3~4対、基部はくさび形~広くさび形、先は鈍形。散形花序は1個または2個が束生し、ときに葉のない節につき、花は(1~)2(~4)個つく。花序柄は長さ2~4㎜、星状毛がある。苞は三角形、長さ約0.5㎜。小花柄は長さ6~7㎜。萼は楕円形または卵形、長さ約2㎜、拡大部は環状。成熟した蕾は長さ2.5~2.7㎝、先端が拡大し、卵形。花冠は帯褐色、わずかに曲がり、星状毛が伏し、基部が膨らむ。花冠裂片はへら形、長さ約6㎜、後屈する。花糸は長さ約1㎜。葯は長さ約3㎜、多亜室(multilocellate:葯の長さに沿い、数か所でくびれる亜室が多数ある)。花柱は赤色。柱頭は頭状。液果は帯黄色、楕円形~ほぼ球形、長さ8~10㎜×幅5~6㎜、疣状、熟すと平滑になる。花期はおよび果期は2~12月。
3 Taxillus kaempferi (DC.) Danser マツグミ 松茱萸
日本、中国、ブータン原産。中国名は小叶钝果寄生 xiao ye dun guo ji sheng。林内、山地の斜面に生える。マツ科の樹木に寄生する。日本ではアカマツ、モミ、ツガなどに見られる。
樹木に寄生する低木、高さ0.5~1m、小枝は円柱形、密に鉄さび色の星状毛があり、無毛になる。枝は灰褐色、疣状、皮目が散在する。葉は互生または短いシュート上に2~4個、束生する。葉柄は長さ1~2㎜。葉身は線形またはほぼへら形、長さ1.5~3㎝×幅0.3~0.7㎝、革質、未熟な葉は初め密に鉄さび色の星状毛があり、両面とも急速に無毛になり、中央脈が目立ち、基部はくさび形、先は鈍形。散形花序は1個、または2個が一緒につき、花は2個または3個つく。花序の節は膨れ、関節状になる。花序柄は2~3㎜。小花柄は長さ2~3㎜。苞は小花柄の先に萼に接してつき、長さ約1㎜、先はしばしば(2)3裂する。萼はほぼ球形、直径1.5㎜、無毛、拡大部は環状、小さく4裂し、先は切形、縁が褐色になる。成熟した蕾は長さ1.5~1.6㎝、先端は楕円形。花冠(花被)は無毛、筒形、帯赤色(濃桃色)、先の約半長まで1箇所で切れ込み、花冠内面の暗紫褐色が目立ち、切れ込みより先は次第に緑色になり、4裂する。花冠裂片4個は切れ込みの反対側に並び、披針形、長さ約5㎜、強く後屈して反転し、緑色~黄褐色。雄しべは4個、花冠裂片の屈曲部の下につく。花糸は花冠内部の暗紫褐色と同色、長さ約1㎜。葯は長さ約2㎜、花冠から突き出る。子房は下位、ほぼ緑色、ほぼ球形。花柱は長く、帯赤色、下部は4角(かど)があり、上部は円柱形、雄しべから突き出る。柱頭は頭状、赤色。液果は赤褐色、卵形、直径4~5㎜、表面が顆粒状、種子は白色、1個。花期は7~8月。果期は4~5月。
3-1 Taxillus kaempferi (DC.) Danser var. kaempferi マツグミ 狭義
日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、中国、ブータン原産。中国名は小叶钝果寄生 xiao ye dun guo ji sheng。バビショウ(Pinus massoniana)、ニイタカアカマツ(Pinus taiwanensis)、Tsuga chinensisなどマツ科に寄生する。
葉柄は長さ1~2㎜。葉身は線形またはほぼへら形、長さ1.5~3㎝×0.3~0.7㎝。 散形花序は単独または2個一緒につく。花序柄は長さ2~3㎜。小花柄は長さ2~3㎜。萼はほぼ球形、長さ約1.5㎜、無毛。成熟した蕾は長さ1.5~1.6㎝。葯は長さ約2㎜。花期は7~8月。果期は4~5月。
3-2 Taxillus kaempferi var. grandiflora H.S.Kiu
中国原産。中国名は黄杉钝果寄生 huang shan dun guo ji sheng。針葉樹林、山の斜面に生える。
葉柄は長さ0~1㎜。葉身は線形、長さ3~3.5㎝×幅0.4~0.6㎝。散形花序は2または3個が一緒につく。花序柄は長さ1.5~2㎜。小花柄は長さ1.5~2㎜。萼は楕円形、長さ約2㎜。成熟した蕾は長さ約3㎝。葯は長さ約4㎜。花期は7~8月。果期は5~6月。
3-3 Taxillus kaempferi (DC.) Danser var. obovata Hatus. マルバマツグミ
屋久島固有変種。花は赤色。花期は9月。
4 Taxillus levinei (Merr.) H.S.Kiu オオバナニンドウバノヤドリギ
synonym Taxillus lonicerifolius (Hayata) S.T.Chiu var. longiflorus S.T.Chiu
中国原産。中国名は锈毛钝果寄生 xiu mao dun guo ji sheng。
5 Taxillus limprichtii (Grüning) H.S.Kiu リトウザンヤドリギ
synonym Taxillus ritozanensis (Hayata) S.T.Chiu
中国、台湾、タイ、ベトナム原産。中国名は木兰寄生 mu lan ji sheng。
6 Taxillus liquidambaricola (Hayata) Hosok. フウジョヤドリギ
中国、台湾原産。中国名は阆阚果寄生 lang kan guo ji sheng。
7 Taxillus nigrans (Hance) Danser ニンドウバノヤドリギ 忍冬葉の寄生木
synonym Taxillus lonicerifolius (Hayata) S.T.Chiu
synonym Scurrula lonicerifolia (Hayata) Danser
日本(沖縄県の石垣島及び西表島)、中国、台湾原産。中国名は毛叶钝果寄生 mao ye dun guo ji sheng。林内、山の斜面、谷に生える。桑寄生 sang ji sheng とも呼ばれ、薬用、桑寄生茶にされる。葉の下面に綿毛があり灰褐色~赤褐色に見えること、萼(花被)がやや短い
低木、高さ0.5~1m。若い茎、葉、花序、および花冠に綿毛があり、灰黄色、黄褐色または褐色の輪生毛(verticillate)と星状毛の両方が混じる。枝は灰褐色または帯黒色、無毛、皮目が散在する。葉は対生または交生。葉柄は長さ5~8㎜、綿毛がある。葉身は乾燥すると帯黒色または黄褐色、狭楕円形、長円形、または卵形、長さ6~11㎝×幅3~5㎝、革質、下面には宿存する綿毛があり、上面はすぐに無毛になり、側脈は4~5対あり、下面でわずかに隆起し、葉身の基部は円形、先は鋭形または鈍形。亜散形花序は1個または2~3(~5)個、束生し、花序軸は短く、ときに葉のない節につき、花は2~5個。花序柄は長さ2~4㎜。苞は三角形、長さ約1㎜。小花柄は長さ1~1.5㎜。萼は卵形、長さ約2㎜、拡大部は環状、全縁。成熟した蕾は長さ1.2~1.8(~2.3)㎝、先端は卵形、ときに鋭形。花冠(内花被)は赤黄色、わずかに曲がるから±直線状になり、花冠筒部は膨らむ。花冠裂片はへら形、長さ4~6㎜、わずかに開出または後屈する。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長さ約1.5㎜。柱頭は頭状。果時の小花柄は長さ2~3㎜。液果は帯黄色、楕円形、約・長さ7㎜×幅4㎜、ザラつき、直軟毛がある。花期は8~11月。果期は4~5月。
8 Taxillus pseudochinensis (Yamam.) Danser コウシュンヤドリギ
台湾原産。中国名は高雄钝果寄生 gao xiong dun guo ji sheng別名はシナヤドリギモドキ。
9 Taxillus sutchuenensis (Lecomte) Danser シャクナゲヤドリギ
synonym Taxillus rhododendricola (Hayata) S.T.Chiu
中国、台湾原産。中国名は桑寄生 sang ji sheng。林内。山の斜面、谷に生え樹木に寄生する。宿主はカエデ科(Aceraceae)、ウルシ科(Anacardiaceae)、トウダイグサ科Euphorbiaceae)、マメ科(Fabaceae)、ブナ科(Fagaceae)、クルミ科(Juglandaceae)、クワ科(Moraceae), バラ科(Rosaceae), ミカン科(Rutaceae), ヤナギ科(Salicaceae)、ハイノキ科(Symplocaceae)、ツバキ科(Theaceae)、まれに、スギ科(Taxodiaceae)。中国で伝統的な薬用に使われ、Guang Ji Sheng (廣)桑寄生と呼ばれる。
低木、高さ0.5~1m、若い茎は綿毛があり、無毛になり、毛は褐色または赤褐色または灰色になり、星状になり、ときに、散在する垂直の毛もある。枝は黒色、皮目がある。葉はほぼ対生または互生。葉柄は長さ6~12㎜、無毛。葉身は卵形、卵状長円形、または楕円形、長さ5~8㎝×幅3~4.5㎝、下面は宿存する綿毛があり、上面は急速に無毛になり、側脈は4~5対、基部は円形、先は鈍形。ほぼ散形花序状の総状花序は、1個または、2~3個が束生し、軸は短いが明瞭にあり、ときに節に葉がなく、花が2~5個つく。花序柄は長さ1~3㎜、綿毛がある。苞は長さ約1㎜、先は鋭形。小花柄は長さ2~3㎜。萼は楕円形、長さ2~3㎜、拡大部は環状、微細な4歯がある。成熟した蕾は長さ2.2~2.8㎝、先端は楕円形。花冠は赤色、わずかに曲がり、伏した星状毛をもち、基部が膨らみ、花冠裂片は披針形、長さ6~9mm、後屈する。花糸は長さ約2㎜。葯は長さ3~4㎜、多室。花柱は赤色。柱頭は円錐形。液果は緑黄色、楕円形、長さ6~7㎜×幅3~4㎜、顆粒状、直軟毛がある。花期は6~9月。
9-1 Taxillus sutchuenensis (Lecomte) Danser var. sutchuenensis シャクナゲヤドリギ
synonym Loranthus sutchuenensis Lecomte
中国、台湾原産。中国名は桑寄生 sang ji sheng。
若い茎と葉の毛は褐色または赤褐色。葉身は卵形、卵状長円形、または楕円形、下面は褐色または赤褐色の綿毛があり、側脈は4~5対。総状花序は花が(2~)3~4(~5)個つき、密に赤褐色の星状毛がある。花期は6~9月。果期は8~10月。
9-2 Taxillus sutchuenensis var. duclouxii (Lecomte) H.S.Kiu
synonym Scurrula yadoriki (Siebold ex Maxim.) Danser
synonym Loranthus yadoriki Siebold & Zuccarini ex Maximowicz
synonym Loranthus yadoriki var. hupehanus Lecomte
朝鮮、中国に分布。中国名は灰毛桑寄生 hui mao sang ji sheng。
若い茎と葉の毛は帯灰色。葉身は卵形~楕円形、下面は帯灰色の綿毛がある。側脈は6~7対。総状花序は花が3~5個つき、密に帯灰色の星状毛がある。花期は4~7月。果期は5~10月。
10 Taxillus theifer (Hayata) H.S.Kiu チャヤドリギ
台湾原産。中国名は台湾钝果寄生 tai wan dun guo ji sheng。
11 Taxillus tsaii S.T.Chiu レンゲチヤドリギ
台湾原産。中国名は莲华池寄生 lian hua chi ji sheng。
12 Taxillus yadoriki (Siebold ex Maxim.) Danser オオバヤドリギ 大葉宿木
synonym Loranthus yadoriki Sieb.
synonym Scurrula yadoriki (Siebold) Danser
日本(本州の関東以西、九州、沖縄、南西諸島)、朝鮮、中国に分布する。別名はコガノヤドリギ。ツバキ、モチノキ、シイノキ、マサキ、ヤブニッケイ、カシの類など常緑広葉樹に寄生する。まれにスギなどにも寄生する。
オオバヤドリギ(Taxillus yadoriki)はYListでは別種としているが、KewscienceやFlora of ChinaではTaxillus sutchuenensis var. duclouxiiとして扱っている。オオバヤドリギは果実が赤色に熟し、花期は晩秋であるが、Taxillus sutchuenensis var. duclouxiiは花期が4~7月。
常緑低木、高さ0.5~1m。樹皮は灰白色、茶褐色の縦縞と赤褐色の横長の皮目がある。枝に褐色~赤褐色の星状毛を密生する。葉はやや対生状につき、葉柄は8~16㎜。葉身は長さ3~6㎝、広楕円形~卵形~倒卵形、革質、基部は円形、縁は全縁、下面に赤褐色を帯びた綿毛状の星状毛を密生し、先は鈍形。集散花序は腋生、花が2~7個つく。花柄があり、蕾のときに弓形に曲がる。萼は楕円形、長さ2~3㎜、拡大部は環状、歯は不明瞭。花冠(花被)は外面が萼とほぼ同色、狭卵状筒形、長さ約3㎝、外面は赤褐色を帯びた星状毛を密につける。花冠の内面は無毛、緑色~後に黒紫色を帯び、光沢があり、先は4裂し、花冠裂片は反曲する。雄しべは4本、ほぼ直立する。葯は広線形(狭へら形)、赤色、花糸は暗赤紫色、花冠裂片の内側につき、開花時に突き出る。花粉は黄色。雌しべは1本。花柱は糸状で雄しべより突き出る。柱頭は頭状、赤紫色。子房は下位で球形。果実は液果、広楕円形、長さ7~8mm、緑黄色、赤褐色を帯びた短毛を密生し、果肉は緑色、粘着性は強く、種子が1個入る。花期は9~12月。
Taxillus
Taxillus
Taxillus
Taxillus
樹木に寄生する低木、高さ0.5~1m、小枝は円柱形、密に鉄さび色の星状毛があり、無毛になる。枝は灰褐色、疣状、皮目が散在する。葉は互生または短いシュート上に2~4個、束生する。葉柄は長さ1~2㎜。葉身は線形またはほぼへら形、長さ1.5~3㎝×幅0.3~0.7㎝、革質、未熟な葉は初め密に鉄さび色の星状毛があり、両面とも急速に無毛になり、中央脈が目立ち、基部はくさび形、先は鈍形。散形花序は1個、または2個が一緒につき、花は2個または3個つく。花序の節は膨れ、関節状になる。花序柄は2~3㎜。小花柄は長さ2~3㎜。苞は小花柄の先に萼に接してつき、長さ約1㎜、先はしばしば(2)3裂する。萼はほぼ球形、直径1.5㎜、無毛、拡大部は環状、小さく4裂し、先は切形、縁が褐色になる。成熟した蕾は長さ1.5~1.6㎝、先端は楕円形。花冠(花被)は無毛、筒形、帯赤色(濃桃色)、先の約半長まで1箇所で切れ込み、花冠内面の暗紫褐色が目立ち、切れ込みより先は次第に緑色になり、4裂する。花冠裂片4個は切れ込みの反対側に並び、披針形、長さ約5㎜、強く後屈して反転し、緑色~黄褐色。雄しべは4個、花冠裂片の屈曲部の下につく。花糸は花冠内部の暗紫褐色と同色、長さ約1㎜。葯は長さ約2㎜、花冠から突き出る。子房は下位、ほぼ緑色、ほぼ球形。花柱は長く、帯赤色、下部は4角(かど)があり、上部は円柱形、雄しべから突き出る。柱頭は頭状、赤色。液果は赤褐色、卵形、直径4~5㎜、表面が顆粒状、種子は白色、1個。花期は7~8月。果期は4~5月。
オオバヤドリギ属
family Loranthaceae - genus Taxillus寄生性の低木で、ほとんどの若い部分は普通、密な星状毛および/または輪生の毛を持ち、まれに無毛になる(T.delavayi)。葉は対生または互生し、葉脈は羽状。花序は腋生し、散形花序またはまれに短く不規則な総状花序になり、花は2~5個つき、苞は各花の基部に1個つき、普通、鱗片状。花は両性、4[または5]数性、左右相称。萼は楕円形または卵形、まれにほぼ球形、基部は漸尖せず、拡大部(舷部)は環状、全縁または小歯状、宿存性。成熟した花芽(蕾)は筒状、先端は楕円形または卵形。花冠は合弁花で、わずかに曲がり、基部は±膨らみ、花時に片側に沿って裂け、裂片はすべて裂け目から離れた側に向かって反り返る。雄しべは花冠裂片の基部につく。花糸は短いかほとんどない。葯は4室、ときに多室。花粉粒は3裂または 極観で半裂。子房は1室、基底胎座。花柱は糸状、4または5角(かど)がある。柱頭は普通、頭状。液果は楕円形または卵形、まれに球形、外果皮は革質、疣状または顆粒状、まれに平滑、有毛または無毛、基部は丸い。
世界に約35種あり、東アジアと東南アジア、ケニアに分布し、中国には18種(9種が固有種)ある。
オオバヤドリギ属の主な種と園芸品種
1 Taxillus caloreas (Diels) Danser タイワンマツグミ 台湾松茱萸synonym Taxillus matsudae (Hayata) Danser
中国、台湾、ブータン原産。中国名は松柏钝果寄生 song bai dun guo ji sheng。林内、山地の斜面のマツ科の木に寄生する。
低木、寄生性、高さ0.3~1mの低木。小枝は円柱形、密に褐色の星状の毛があり、無毛になる。 枝は黒褐色、疣状。葉は短いシュートの上で互生または少数、束生する。葉柄は長さ1~2.5㎜。葉身は乾燥すると帯褐色色になり、ほぼへら形~線形、長さ2~3.5㎝×幅0.3~1.2㎝、革質、すぐに両面が無毛になり、基部はくさび形、先は鈍形。 散形花序は1個または2個が一緒につき、花は2個または3個つく。小花柄は長さ0~3㎜。苞は広三角形または卵形、凹面状、長さ約1㎜、先は鋭形、まれに3裂する。小花柄は長さ1~2mm。萼は卵形、長さ約1.5㎜、褐色の綿毛がある。成熟した蕾は先端が楕円形。花冠は赤色、わずかに曲がり、無毛、基部はわずかに膨らむ。花冠裂片は披針形、長さ7~8㎜、後屈する。花糸は長さ約2㎜。葯は長さ約4㎜。柱頭は頭状。液果は紫色、ほぼ球形、長さ4~5㎜×幅3~5㎜、顆粒状。花期は7~8月。
1-1 Taxillus caloreas var. caloreas
中国、台湾、ブータン原産。中国名は松柏钝果寄生 song bai dun guo ji sheng。針葉樹林または混交林、山地の斜面に生える。
葉身は線形またはほぼへら形、長さ2~3㎝×幅0.3~0.7㎝、側脈は目立たない。 散形花序は花が2または3個つく。小花柄は長さ1~2㎜。萼は卵形、褐色の綿毛がある。成熟した蕾は長さ2~2.7㎝。花冠裂片は披針形、長さ7~8㎜。花期は7~8月。果期は翌年の4~5月。
1-2 Taxillus caloreas var. fargesii (Lecomte) H. S. Kiu
中国原産。中国名は显脉钝果寄生 xian mai dun guo ji sheng。林内、山地の斜面に生える。
小花柄は長さ2~3㎜。萼は卵形、帯褐色の毛がある。成熟した芽は長さ1.5~2㎝。花冠裂片は披針形、長さ約6㎜。花期は7~8月。果期は10~翌年の5月。
2 Taxillus chinensis (Candolle) Danser
synonym Loranthus chinensis Candolle
synonym Loranthus estipitatus Danser
synonym Scurrula chinensis (Candolle) G. Don
synonym Taxillus estipitatus (Stapf) Danser.
中国、台湾、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は广寄生 guang ji sheng。英名はmulberry mistletoe。林内、平野、山の斜面、果樹園、庭園、ゴム農園などに生える。桑寄生 sang ji sheng とも呼ばれ、薬用、桑寄生茶とされる。
低木、高さ0.5~1m。若い茎と葉には綿毛があり、毛はほとんどが強く圧着し、赤褐色、星状毛、ときに短い輪状毛もある。枝は灰褐色、皮目がある。葉は対生または亜対生。葉柄は長さ8~10㎜。葉身は卵形~卵状長円形、長さ2.5~6㎝×幅1.5~4㎝、紙状、両面とも無毛になり、側脈は3~4対、基部はくさび形~広くさび形、先は鈍形。散形花序は1個または2個が束生し、ときに葉のない節につき、花は(1~)2(~4)個つく。花序柄は長さ2~4㎜、星状毛がある。苞は三角形、長さ約0.5㎜。小花柄は長さ6~7㎜。萼は楕円形または卵形、長さ約2㎜、拡大部は環状。成熟した蕾は長さ2.5~2.7㎝、先端が拡大し、卵形。花冠は帯褐色、わずかに曲がり、星状毛が伏し、基部が膨らむ。花冠裂片はへら形、長さ約6㎜、後屈する。花糸は長さ約1㎜。葯は長さ約3㎜、多亜室(multilocellate:葯の長さに沿い、数か所でくびれる亜室が多数ある)。花柱は赤色。柱頭は頭状。液果は帯黄色、楕円形~ほぼ球形、長さ8~10㎜×幅5~6㎜、疣状、熟すと平滑になる。花期はおよび果期は2~12月。
3 Taxillus kaempferi (DC.) Danser マツグミ 松茱萸
日本、中国、ブータン原産。中国名は小叶钝果寄生 xiao ye dun guo ji sheng。林内、山地の斜面に生える。マツ科の樹木に寄生する。日本ではアカマツ、モミ、ツガなどに見られる。
樹木に寄生する低木、高さ0.5~1m、小枝は円柱形、密に鉄さび色の星状毛があり、無毛になる。枝は灰褐色、疣状、皮目が散在する。葉は互生または短いシュート上に2~4個、束生する。葉柄は長さ1~2㎜。葉身は線形またはほぼへら形、長さ1.5~3㎝×幅0.3~0.7㎝、革質、未熟な葉は初め密に鉄さび色の星状毛があり、両面とも急速に無毛になり、中央脈が目立ち、基部はくさび形、先は鈍形。散形花序は1個、または2個が一緒につき、花は2個または3個つく。花序の節は膨れ、関節状になる。花序柄は2~3㎜。小花柄は長さ2~3㎜。苞は小花柄の先に萼に接してつき、長さ約1㎜、先はしばしば(2)3裂する。萼はほぼ球形、直径1.5㎜、無毛、拡大部は環状、小さく4裂し、先は切形、縁が褐色になる。成熟した蕾は長さ1.5~1.6㎝、先端は楕円形。花冠(花被)は無毛、筒形、帯赤色(濃桃色)、先の約半長まで1箇所で切れ込み、花冠内面の暗紫褐色が目立ち、切れ込みより先は次第に緑色になり、4裂する。花冠裂片4個は切れ込みの反対側に並び、披針形、長さ約5㎜、強く後屈して反転し、緑色~黄褐色。雄しべは4個、花冠裂片の屈曲部の下につく。花糸は花冠内部の暗紫褐色と同色、長さ約1㎜。葯は長さ約2㎜、花冠から突き出る。子房は下位、ほぼ緑色、ほぼ球形。花柱は長く、帯赤色、下部は4角(かど)があり、上部は円柱形、雄しべから突き出る。柱頭は頭状、赤色。液果は赤褐色、卵形、直径4~5㎜、表面が顆粒状、種子は白色、1個。花期は7~8月。果期は4~5月。
3-1 Taxillus kaempferi (DC.) Danser var. kaempferi マツグミ 狭義
日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、中国、ブータン原産。中国名は小叶钝果寄生 xiao ye dun guo ji sheng。バビショウ(Pinus massoniana)、ニイタカアカマツ(Pinus taiwanensis)、Tsuga chinensisなどマツ科に寄生する。
葉柄は長さ1~2㎜。葉身は線形またはほぼへら形、長さ1.5~3㎝×0.3~0.7㎝。 散形花序は単独または2個一緒につく。花序柄は長さ2~3㎜。小花柄は長さ2~3㎜。萼はほぼ球形、長さ約1.5㎜、無毛。成熟した蕾は長さ1.5~1.6㎝。葯は長さ約2㎜。花期は7~8月。果期は4~5月。
3-2 Taxillus kaempferi var. grandiflora H.S.Kiu
中国原産。中国名は黄杉钝果寄生 huang shan dun guo ji sheng。針葉樹林、山の斜面に生える。
葉柄は長さ0~1㎜。葉身は線形、長さ3~3.5㎝×幅0.4~0.6㎝。散形花序は2または3個が一緒につく。花序柄は長さ1.5~2㎜。小花柄は長さ1.5~2㎜。萼は楕円形、長さ約2㎜。成熟した蕾は長さ約3㎝。葯は長さ約4㎜。花期は7~8月。果期は5~6月。
3-3 Taxillus kaempferi (DC.) Danser var. obovata Hatus. マルバマツグミ
屋久島固有変種。花は赤色。花期は9月。
4 Taxillus levinei (Merr.) H.S.Kiu オオバナニンドウバノヤドリギ
synonym Taxillus lonicerifolius (Hayata) S.T.Chiu var. longiflorus S.T.Chiu
中国原産。中国名は锈毛钝果寄生 xiu mao dun guo ji sheng。
5 Taxillus limprichtii (Grüning) H.S.Kiu リトウザンヤドリギ
synonym Taxillus ritozanensis (Hayata) S.T.Chiu
中国、台湾、タイ、ベトナム原産。中国名は木兰寄生 mu lan ji sheng。
6 Taxillus liquidambaricola (Hayata) Hosok. フウジョヤドリギ
中国、台湾原産。中国名は阆阚果寄生 lang kan guo ji sheng。
7 Taxillus nigrans (Hance) Danser ニンドウバノヤドリギ 忍冬葉の寄生木
synonym Taxillus lonicerifolius (Hayata) S.T.Chiu
synonym Scurrula lonicerifolia (Hayata) Danser
日本(沖縄県の石垣島及び西表島)、中国、台湾原産。中国名は毛叶钝果寄生 mao ye dun guo ji sheng。林内、山の斜面、谷に生える。桑寄生 sang ji sheng とも呼ばれ、薬用、桑寄生茶にされる。葉の下面に綿毛があり灰褐色~赤褐色に見えること、萼(花被)がやや短い
低木、高さ0.5~1m。若い茎、葉、花序、および花冠に綿毛があり、灰黄色、黄褐色または褐色の輪生毛(verticillate)と星状毛の両方が混じる。枝は灰褐色または帯黒色、無毛、皮目が散在する。葉は対生または交生。葉柄は長さ5~8㎜、綿毛がある。葉身は乾燥すると帯黒色または黄褐色、狭楕円形、長円形、または卵形、長さ6~11㎝×幅3~5㎝、革質、下面には宿存する綿毛があり、上面はすぐに無毛になり、側脈は4~5対あり、下面でわずかに隆起し、葉身の基部は円形、先は鋭形または鈍形。亜散形花序は1個または2~3(~5)個、束生し、花序軸は短く、ときに葉のない節につき、花は2~5個。花序柄は長さ2~4㎜。苞は三角形、長さ約1㎜。小花柄は長さ1~1.5㎜。萼は卵形、長さ約2㎜、拡大部は環状、全縁。成熟した蕾は長さ1.2~1.8(~2.3)㎝、先端は卵形、ときに鋭形。花冠(内花被)は赤黄色、わずかに曲がるから±直線状になり、花冠筒部は膨らむ。花冠裂片はへら形、長さ4~6㎜、わずかに開出または後屈する。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長さ約1.5㎜。柱頭は頭状。果時の小花柄は長さ2~3㎜。液果は帯黄色、楕円形、約・長さ7㎜×幅4㎜、ザラつき、直軟毛がある。花期は8~11月。果期は4~5月。
8 Taxillus pseudochinensis (Yamam.) Danser コウシュンヤドリギ
台湾原産。中国名は高雄钝果寄生 gao xiong dun guo ji sheng別名はシナヤドリギモドキ。
9 Taxillus sutchuenensis (Lecomte) Danser シャクナゲヤドリギ
synonym Taxillus rhododendricola (Hayata) S.T.Chiu
中国、台湾原産。中国名は桑寄生 sang ji sheng。林内。山の斜面、谷に生え樹木に寄生する。宿主はカエデ科(Aceraceae)、ウルシ科(Anacardiaceae)、トウダイグサ科Euphorbiaceae)、マメ科(Fabaceae)、ブナ科(Fagaceae)、クルミ科(Juglandaceae)、クワ科(Moraceae), バラ科(Rosaceae), ミカン科(Rutaceae), ヤナギ科(Salicaceae)、ハイノキ科(Symplocaceae)、ツバキ科(Theaceae)、まれに、スギ科(Taxodiaceae)。中国で伝統的な薬用に使われ、Guang Ji Sheng (廣)桑寄生と呼ばれる。
低木、高さ0.5~1m、若い茎は綿毛があり、無毛になり、毛は褐色または赤褐色または灰色になり、星状になり、ときに、散在する垂直の毛もある。枝は黒色、皮目がある。葉はほぼ対生または互生。葉柄は長さ6~12㎜、無毛。葉身は卵形、卵状長円形、または楕円形、長さ5~8㎝×幅3~4.5㎝、下面は宿存する綿毛があり、上面は急速に無毛になり、側脈は4~5対、基部は円形、先は鈍形。ほぼ散形花序状の総状花序は、1個または、2~3個が束生し、軸は短いが明瞭にあり、ときに節に葉がなく、花が2~5個つく。花序柄は長さ1~3㎜、綿毛がある。苞は長さ約1㎜、先は鋭形。小花柄は長さ2~3㎜。萼は楕円形、長さ2~3㎜、拡大部は環状、微細な4歯がある。成熟した蕾は長さ2.2~2.8㎝、先端は楕円形。花冠は赤色、わずかに曲がり、伏した星状毛をもち、基部が膨らみ、花冠裂片は披針形、長さ6~9mm、後屈する。花糸は長さ約2㎜。葯は長さ3~4㎜、多室。花柱は赤色。柱頭は円錐形。液果は緑黄色、楕円形、長さ6~7㎜×幅3~4㎜、顆粒状、直軟毛がある。花期は6~9月。
9-1 Taxillus sutchuenensis (Lecomte) Danser var. sutchuenensis シャクナゲヤドリギ
synonym Loranthus sutchuenensis Lecomte
中国、台湾原産。中国名は桑寄生 sang ji sheng。
若い茎と葉の毛は褐色または赤褐色。葉身は卵形、卵状長円形、または楕円形、下面は褐色または赤褐色の綿毛があり、側脈は4~5対。総状花序は花が(2~)3~4(~5)個つき、密に赤褐色の星状毛がある。花期は6~9月。果期は8~10月。
9-2 Taxillus sutchuenensis var. duclouxii (Lecomte) H.S.Kiu
synonym Scurrula yadoriki (Siebold ex Maxim.) Danser
synonym Loranthus yadoriki Siebold & Zuccarini ex Maximowicz
synonym Loranthus yadoriki var. hupehanus Lecomte
朝鮮、中国に分布。中国名は灰毛桑寄生 hui mao sang ji sheng。
若い茎と葉の毛は帯灰色。葉身は卵形~楕円形、下面は帯灰色の綿毛がある。側脈は6~7対。総状花序は花が3~5個つき、密に帯灰色の星状毛がある。花期は4~7月。果期は5~10月。
10 Taxillus theifer (Hayata) H.S.Kiu チャヤドリギ
台湾原産。中国名は台湾钝果寄生 tai wan dun guo ji sheng。
11 Taxillus tsaii S.T.Chiu レンゲチヤドリギ
台湾原産。中国名は莲华池寄生 lian hua chi ji sheng。
12 Taxillus yadoriki (Siebold ex Maxim.) Danser オオバヤドリギ 大葉宿木
synonym Loranthus yadoriki Sieb.
synonym Scurrula yadoriki (Siebold) Danser
日本(本州の関東以西、九州、沖縄、南西諸島)、朝鮮、中国に分布する。別名はコガノヤドリギ。ツバキ、モチノキ、シイノキ、マサキ、ヤブニッケイ、カシの類など常緑広葉樹に寄生する。まれにスギなどにも寄生する。
オオバヤドリギ(Taxillus yadoriki)はYListでは別種としているが、KewscienceやFlora of ChinaではTaxillus sutchuenensis var. duclouxiiとして扱っている。オオバヤドリギは果実が赤色に熟し、花期は晩秋であるが、Taxillus sutchuenensis var. duclouxiiは花期が4~7月。
常緑低木、高さ0.5~1m。樹皮は灰白色、茶褐色の縦縞と赤褐色の横長の皮目がある。枝に褐色~赤褐色の星状毛を密生する。葉はやや対生状につき、葉柄は8~16㎜。葉身は長さ3~6㎝、広楕円形~卵形~倒卵形、革質、基部は円形、縁は全縁、下面に赤褐色を帯びた綿毛状の星状毛を密生し、先は鈍形。集散花序は腋生、花が2~7個つく。花柄があり、蕾のときに弓形に曲がる。萼は楕円形、長さ2~3㎜、拡大部は環状、歯は不明瞭。花冠(花被)は外面が萼とほぼ同色、狭卵状筒形、長さ約3㎝、外面は赤褐色を帯びた星状毛を密につける。花冠の内面は無毛、緑色~後に黒紫色を帯び、光沢があり、先は4裂し、花冠裂片は反曲する。雄しべは4本、ほぼ直立する。葯は広線形(狭へら形)、赤色、花糸は暗赤紫色、花冠裂片の内側につき、開花時に突き出る。花粉は黄色。雌しべは1本。花柱は糸状で雄しべより突き出る。柱頭は頭状、赤紫色。子房は下位で球形。果実は液果、広楕円形、長さ7~8mm、緑黄色、赤褐色を帯びた短毛を密生し、果肉は緑色、粘着性は強く、種子が1個入る。花期は9~12月。
参考
1) Flora of ChinaTaxillus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=132349
2) Plants of the World Online| KewscienceTaxillus
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:25353-1
3) World Flora OnlineTaxillus
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000037632;jsessionid=6021EFC3B30FB97006EE001E58A96302
4) World Checklist of Vascular PlantsTaxillus
https://wcvp.science.kew.org/