マルバヤナギ 丸葉柳

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Flora of Mikawa

ヤナギ科 Fagaceae ヤナギ属

別 名 アカメヤナギ 赤芽柳
中国名

腺柳 xian liu

英 名 Japanese pussy willow
学 名 Salix chaenomeloides Kimura
マルバヤナギの枝先
マルバヤナギの果実
マルバヤナギの托葉
マルバヤナギの葉柄
アカメヤナギの幹
マルバヤナギ
マルバヤナギ葉表
マルバヤナギ葉裏
マルバヤナギ葉の鋸歯
花 期 4~5月
高 さ 10~20m
生活型 落葉高木
生育場所 湿地、川沿い、水田の畔
分 布 在来種 本州(東北地方中部以南)、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 岡崎市  12.6.4
和名は新芽が赤いことから。また、葉が細くなく、円いことから、マルバヤナギともいわれる。
 幹は灰褐色、縦に割れ目が入る。葉は互生し、長さ5~15㎝の惰円形~長楕円形、縁には小さな鋸歯があり、先に腺がある。成葉は先が尖り、両面とも無毛、葉裏は粉白色。葉柄は長さ1~1.8㎝、表側に1~3対の腺があり、葉状になることもある。托葉は大型、円形、縁に鋸歯があり、遅くまで残る。芽鱗は袋状でなく、2枚が合わさって、内側で襟状に重なる。雌雄異株。雄花序は長さ約7㎝の円錐形。雄しべは3~6個。腺体は普通、2個あり、合着する。葯は黄色。雌花序は長さ2~4㎝、腺体は2個あ、り合着する。子房は無毛、長柄がある。花柱は短く、柱頭は4個。苞は淡黄緑色、円形、背側に毛がある。果実は蒴果、6月に熟して裂開する。

ヤナギ属

  family Fagaceae - genus Salix

 落葉性の高木または低木、まれに常緑(低木である場合は、直立、斜上、平伏 、上昇、這い回り、またはクッション形)。髄は円柱形。枝は円柱形。頂芽は普通、無い。芽は鱗片が1個。葉は互生、まれに亜対生、または対生。托葉は小さく、分離、脱落性または宿存性、活発な小枝に主に発達する。葉柄は短い。葉身は様々な形をしており、しばしば長くて狭い。開花は葉の展開より、早咲き(precocious)、同時(coetaneous)、または遅咲き(serotinous)。尾状花序は直立または広がり、まれに、垂れ下がる。苞は全縁、宿存性または早落性。花は虫媒花または風媒花で、それぞれ1個または2個の腺がある。1個は外側(背側)または無く、1個は内側(腹側)。例:外側の腺は苞と柄の間につき、内側の腺は柄と花序軸の間につく。雄花は雄しべが2個~多数。花糸は分離または部分的~完全に合着し、普通、苞を超える。葯は2室(まれに、花糸が合着する場合は4室)、縦に裂開する。雌花は子房が2室、無茎または柄がある。花柱は1本、短く、細い、または無、全縁または2分岐する。柱頭は1または2個、分裂または全縁。蒴果は2バルブ。種子は主に緑色または灰緑色で、小さく、微毛に囲まれる。
 世界に約520種あり、北半球の寒冷地域および温帯地域に分布し、、南半球に少数ある。中国には275種分布する(189種が固有種、少なくとも1種が導入)。

ヤナギ属の主な種と園芸品種

1 Salix abscondita Laksch. チョロナイヤナギ 
  synonym Salix tatewakii Kimura
  synonym Salix sugawarana Koidz. ex Kimura  ススヤヤナギ 
  synonym Salix raddeana Laksch. ex Nasarow [Flora of China]
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は大黄柳 da huang liu。

2 Salix acutifolia Willd. カスピエゾヤナギ 
 ヨーロッパ中部~東部、コーカサス、カザフスタン原産。英名はSiberian violet-willow , long-leaved violet willow , sharp-leaf willow。
品種) 'Blue Streak' (m) , 'Harry' , 'Lady Aldenham No 2' , 'Pendulifolia' (m)

3 Salix alba L.  セイヨウシロヤナギ 西洋白柳
  synonym Salix alba subsp. caerulea (Sm.) Rech.f.
  synonym Salix caerulea Sm.
 中国、アジア西部~中央、ヨーロッパ原産。中国名は白柳 bai liu。英名はwhite willow , silver willow。川沿いに生える。広く栽培されている。
 高木、高さ20(~25)m以下、幹は直径1m d.b.h以下。樹皮は鈍い灰色、裂ける。樹冠は広がる。小枝は、若いときは帯褐色、無毛、若い時は綿毛がある。芽は統合(coadnate)し、約・長さ6㎜×幅1.5㎜、先は鋭形。托葉は早落性。葉柄は長さ2~10㎜、絹毛がある。葉身は披針形、倒披針形、または倒卵状披針形、 長さ5~12(~1.5)cm×幅1~2(~3.5)cm、下面は綿毛があり、またはほぼ無毛、上面はしばしば無毛、若いときは両面に絹毛があり、基部はくさび形、縁は小鋸歯があり、先は尖鋭形または長い尖鋭形、;中脈の各側に側脈が12~15本。開花は同時。雄性の尾状花序は長さ3~5cm。花序柄は長さ5~8㎜。苞は帯黄色、卵状披針形または倒卵状長円形、縁毛があり、下面は無毛、上面はほぼ無毛または基部に直軟毛があり、縁は全縁。雄花は内側と外側に腺がある。雄しべは2本、分離。花糸は基部に直軟毛がある。葯は黄色。雌性の尾状花序は長さ3~4.5㎝、果時に長さ5.5cm以下。苞は帯黄色、披針形または卵状披針形、縁毛があり、早落性、、外側の基部が綿状、内側に絹毛がある。雌花は内側と外側に腺があり、内側の腺まはまれに小さくなる。子房は卵状円錐形、長さ4.5~5㎜、無毛、短い柄があるかまたはほぼ無柄。花柱は短く、2分岐する。柱頭は2深裂。花期は4~5月。果期は5月。2n=76。
品種) 'Annularis' , 'Aurea' , 'Belders' (m) , 'Britzensis' , 'Calva' , 'Cardinalis' (f) , 'Chermesina' , 'Chermesina Cardinalis' , 'Chermesina Flame' , 'Chermesina' hort. , 'Chermesina Yelverton' , 'Chrysostela' , 'Corvinus'PBR , 'Dart's Snake' , 'Drakonburg' , 'Flame' , 'Golden Ness' , 'Hutchinson's Yellow' , 'Hutchinson's Yellow Bark' , 'Liempde' (m) , 'Ness' , 'Orange Spire' , 'Pamiati Bazova' , 'Raesfeld' (m) , 'Regalis' , 'Richmond' , 'Rockanje' , 'Saint Oedendrode' , 'Sericea' , 'Splendens' , 'Strachowa' , subsp. vitellina 'Britzensis' , subsp. vitellina 'Yelverton' , 'Tristis' ambig. , 'Tristis' Gaudin , 'Vitellina' , 'Vitellina Pendula' , 'Vitellina Tristis' , 'Wantage Hall' (f) , 'Yelverton'
3-1 Salix alba subsp. vitellina
 英名はcoral bark willow
品種) 'Britzensis' (m) , 'Britzensis' nova , 'Concolor' , 'Nova' , 'Yelverton'

4 Salix amplexicaulis Bory & Chaub.
 アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、イタリア、トルコ、ユーゴスラビア原産。
品種) 'Pescara' (m)

5 Salix amygdaloides Andersson  アメリカマルバヤナギ 
 カナダ、USA原産。英名はpeachleaf willow。

6 Salix apennina A.K.Skvortsov
 イタリア原産。
品種)  'Cisa Pass'

7 Salix arbuscula L.
 ヨーロッパ、ロシア、7ザフスタン原産。
品種) 'Erecta' , 'Pumila'

8 Salix arbutifolia Pall. ケショウヤナギ 化粧柳
  synonym Salix arbutifolia Pall. f. adenantha (Kimura) Kimura
 日本(北海道、本州の長野県)、韓国、中国、ロシア原産。中国名は钻天柳 zuan tian liu。川沿いに生える。
 高木、高さ30m以下、幹は直径1m d.b.h.以下。樹皮は褐灰色。樹冠は柱状。小枝はわずかに赤黄色または紫赤色で、無毛、白粉を被る。芽は扁平な卵形、光沢がある。葉は葉柄がある。葉身は長円状披針形~披針形、長さ5~8㎝×幅1.5~2.3㎝、両面は無毛、灰緑色、下面はしばしば白粉で覆われ、基部はくさび形、縁は鋸歯縁またはほぼ全縁、先は尖鋭形。雄性のの尾状花序は垂れ下がり、長さ1(~3)cm。花序軸は無毛。苞は卵形、下面は無毛、縁に絨毛があり、宿存性。雄花は雄しべが5本。葯は黄色、球形。雌性の尾状花序は長さ1~2.5cm、花序軸は無毛。苞は楕円形、下面は無毛で、縁に絨毛があり、早落性。雌花は腺がなく、ときに1~2個の小さな腺がある。子房は亜卵状円筒形、短い柄がある。花柱は花後に次第に落ちる。花期は5月。果期は6月。2n=38。

9 Salix arctica Pall. チシマタカネヤナギ 広義
ヨーロッパ、アジア、北アメリカの極地に分布。英名はArctic willow。別名はホッキョクヤナギ。
品種) 'Yalta'PBR
9-1 Salix arctica Pall. subsp. crassijulis (Trautv.) A.K.Skvortsov チシマタカネヤナギ 
  synonym Salix sphenophylla auct. non A.K.Skvortsov
  synonym Salix crassijulis Trautv.
 ロシア(シベリア)に分布。

10 Salix aurita L. ユスラバヤナギ 
 ヨーロッパに広く分布。英名はeared willow。別名はミミヤナギ 耳柳。

11 Salix babylonica L. シダレヤナギ 枝垂柳
  synonym Salix dependens Nakai  イヌシダレヤナギ 犬枝垂柳
 中国、アジア、ヨーロッパ原産。中国名は垂柳 chui liu。英名はBabylon weeping willow , golden weeping willow。別名はイトヤナギ。
 高さ18m以下。樹皮は灰黒色、不規則なうねがあり、小枝は垂れ下がり、褐黄色、帯褐色、またはわずかに紫色、細く、無毛。芽は線形、先は鋭形。托葉は披針形または卵状円形、シュートの芽は斜めの披針形。葉柄は長さ(3~)5~10㎜。葉身は狭披針形または線状披針形、長さ9~16㎝×幅0.5~1.5㎝、下面は薄緑色、上面は緑色、両面は無毛またはわずかに直軟毛があり、基部はくさび形、縁は鋸歯縁、先は長い尖鋭形。雄性の尾状花序は長さ1.5~2(~3)cm。花序柄は短い。苞は披針形、下面は直軟毛がある。雄花は腺が2個。雄しべは2本、苞とほぼ同長~長く、基部に±長い毛がある。葯は赤黄色。雌性の尾状花序は長さ2~3(~6)㎝、花序柄に3~4枚の葉がある。苞は披針形、長さ1.8~2(~2.5)㎜、外面に直軟毛がある。雌花は内面に腺がある。子房は楕円形、無毛または下部に微細な毛があり、無毛またはほぼ無毛。花柱は短い。柱頭は2~4深裂する。蒴果はわずかに緑褐色、長さ3~4㎜。花期は3~4月。果期は4~5月。2n=63, 72, 76。
品種) 'Annularis' , 'Bijdorp' , 'Crispa' , 'Dart's Snake' , 'Lavalleei' (m) , 'Lavallei' , 'Oberli' , 'Pan Chih-kang' , 'Ramulis Aureis' , 'Tortuosa Aurea' , 'Yatsubusa'
11-1 Salix babylonica L. var. babylonica シダレヤナギ 枝垂柳
  synonym Salix ohsidare Kimura
  synonym Salix babylonica L. var. lavallei Dode
 枝が枝垂れる。雌花は蜜腺が1個だけ。
11-2 Salix babylonica L. 'Rokkaku' ロッカクヤナギ 六角柳
  synonym Salix × elegantissima K.Koch
  synonym Salix babylonica L. form. rokkaku Kimura
 枝が特に長く枝垂れる。
11-3 Salix babylonica L. 'Seiko' セイコヤナギ 西湖柳
  synonym Salix babylonica L. form. seiko Kimura
 枝が余り長くならず、葉がやや小さい。
11-4 Salix babylonica L. var. matsudana (Koidz.) H.Ohashi et Yonek. ペキンヤナギ 北京柳
  synonym Salix matsudana Koidz.
  synonym Salix babylonica var. pekinensis
 箒状樹形。枝は斜上するが、枝先は横に弧状に伸びてやや下垂する。葉はシダレヤナギの葉とよく似ていて区別がつけ難い。雌花に2個の蜜腺がある。立ち性の柳であることから流通名がタチヤナギとされていることも多い。ニュージーランドで改良されたペキンヤナギは枝の立性が強く、枝先まで斜上する傾向が強い。 品種)(var. matsudana) 'Annularis' , 'Bijdorp' , 'Caradoc'(var. pekinensis) , 'Crispa' , 'Dart's Snake' , 'Lavalleei' (m) , 'Lavallei' , 'Oberli' , 'Pan Chih-kang' , 'Pekinensis' , 'Pendula'(var. pekinensis) , 'Ramulis Aureis' , 'Sacramento' , 'Snake'(var. pekinensis), 'Tarkabarka' , 'Tortuosa Aurea' , 'Tortuosa Aureopendula'
11-5 Salix babylonica L. var. matsudana 'Tortuosa' ウンリュウヤナギ 雲竜柳
  synonym Salix matsudana Koidz. f. tortuosa (Vilm.) Rehder
  synonym Salix matsudana Koidz. 'Tortuosa'
  synonym Salix matsudana Koidz. var. tortuosa Vilm.
  synonym Salix babylonica var. pekinensis 'Tortuosa' (f)
 中国原産。英名はdragon's claw willow , Chinese Willow。公園や庭園に植えられている。枝や葉が捻じれて曲がって伸びる品種。
 低木~高木、高さ3~20m。樹皮は灰褐色、縦に割れる。幹は直径5~60㎝、1本立ちし、多数分枝し、枝は曲がりくねり、垂れ下がる。新枝は緑褐色で平滑。葉は互生し、葉身は線形、長さ5~10㎝×幅8~20mm、大きく波打つ。雌雄別株。日本に植えられているのはほとんど雄株。葉の展開と同時に開花する。雄の尾状花序は円柱形、長さ2~2.5㎝。雄しべは2本。腺体は2個。葯は黄色。苞は淡黄色、長楕円形、外側の下部に毛がある。花期は3月。
品種) 'Caradoc' , 'Snake'

12 Salix barclayi Andersson バークレイヤナギ
 カナダ、USA原産。英名は英名はBarclay's Willow
品種) 'Long'

13 Salix bebbiana Sarg. ハイイロヤナギ 灰色柳
  synonym Salix xerophila Flod.
  synonym Salix cinerascens Andersson
  synonym Salix hsianganica Y.L.Chang et Skvortsov
  synonym Salix floderusii Nakai [Flora of China]
  synonym Salix bebbiana auct. non Sarg.
  synonym Salix xerophila Flod. f. manshurica (Siuzev) Kitag.
  synonym Salix hsianganica Y.L.Chang et Skvortsov
  synonym Salix floderusii Nakai
  synonym Salix bebbiana auct. non Sarg.
  synonym Salix xerophila Flod. var. fuscescens (Nakai) W.T.Lee チャイロミネヤナギ 
 北アメリカ(USA、カナダ)、ヨーロッパ、アジア(朝鮮、カザフスタン、ロシア)原産。英名はBebb's Willow 。中国名は崖柳 ya liu[Salix floderusii]。アジア産のハイイロヤナギはアメリカ産のSalix bebbiana Sarg.に統合された。
 枝は散開し、ときに基部で±もろく、黄褐色~暗赤褐色、粉白色は無いか弱く、直軟毛があるか、無毛になり、皮がむけ、しばしば非常に密な条線があり、25mmまで。小枝は黄緑色または赤褐色、中程度~非常に密に絨毛があるか、無毛になる。托葉は初めは未発達または無く、先は鋭形、尖鋭形、または凸状。葉柄は上面が凸面状から平坦、長さ2~5.5~13mm、上面に毛がある。最大の中間の葉身は、狭長円形、狭楕円形、楕円形、倒披針形、または倒卵形、長さ20~44~87mm×幅10~16~45mm、基部はくさび形、凸状、または円形、縁は平坦、全縁、円鋸歯、または不規則な鋸歯があり、腺は縁近くにあり、先は鋭形、尖鋭形、または凸状、下面は中程度~密に毛または長い絹毛があるか、無毛になり、毛は白色または灰色、波打ち、下面に細かい凹んだ網目があり、、鈍いかまたはわずかに光沢があり、中程度に密な毛があり、まばらに短い絹毛があるかまたは無毛になり、毛は白色または灰色。下部の葉身は縁が全縁、腺点がある。若葉の葉身は黄緑色または帯赤色、直軟毛またはまばらから中程度の密に綿毛があり、または下面に長い絹毛があり、毛は白色。雄の尾状花序は葉の展開直前に開花し、雌の尾状花序は葉の展開と同時に開花すつ。雄の尾状花序はずんぐりから球形、長さ10~42mm×幅7~16mm、花のつく小枝は長さ0.5~11mm。雌の尾状花序は花が緩くつき、ずんぐり、細く、またはほぼ球形、長さ16.5~85mm×幅9~32mm、花のつく小枝は長さ1~26mm。花の苞は黄褐色、長さ1.2~3.2mm、先は円形、外側は毛があるか、無毛になり、毛は真っすぐまたは波打つ。雄花は内側の蜜腺が長円形または卵形、長さ0.3~0.8mm。花糸は分離またはその長さの1/2未満で合着し、無毛または下部の1/2に毛がある。葯は黄色または紫色が黄色に変わり、楕円形または短い円筒形、長さ0.5~0.8mm。雌花は内側の蜜腺が長円形または正方形、長さ0.3~0.8mm。子房は倒こん棒形、嘴は花柱の下がわずかに膨らむ(長い嘴)。胚珠は各子房に6~16個。花柱は長さ0.1~0.4mm。柱頭は細く、広円筒形。蒴果は長さ5~9mm。2n=38。花期は4月上旬~6月下旬。
品種) 'Wilson'

14 Salix berberifolia Pall.  メギヤナギ 
  synonym Salix berberifolia Pall. var. brayi (Ledeb.) Trautv. ex C.K.Schneid.
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は刺叶柳 ci ye liu。
14-1 Salix berberifolia subsp. kimurana (Miyabe & Tatew.) A.K.Skvortsov キムラヤナギ
  synonym Salix kimurana (Miyabe et Tatew.) Miyabe et Tatew.
 サハリン原産。

15 Salix blinii H.Lév. タンナミネヤナギ 
  synonym Salix hallaisanensis H.Lév.
 朝鮮原産。

16 Salix brachypoda (Trautv. et C.A.Mey.) Kom. ヌマキヌヤナギ 沼絹柳
  synonym Salix rosmarinifolia L. var. brachypoda (Trautv. et C.A.Mey.) Y.L.Chou [Flora of China]
 中国、ロシア原産。中国名は沼柳 zhao liu。
 若い小枝と葉には密に黄褐色の綿毛があり、乾いても黒くならない。托葉はある。葉身は基部と先が漸尖形。雌花は柱頭が全縁または分裂。

17 Salix candida Flüggé ex Willd. サリクス・キャンディーダ
 カナダ、USA原産。英名はSageleaf Willow , hoary willow。
品種) First Editions® Iceberg Alley®

18 Salix caprea L. バッコヤナギ
  synonym Salix hultenii Flod. var. angustifolia Kimura
  synonym Salix bakko Kimura
  synonym Salix hultenii Flod.
  synonym Salix caprea L. f. elongata (Nakai) Kitag.
  synonym Salix caprea L. subsp. hultenii (Froderus) Kom.
  synonym Salix hallaisanensis H.Lév. var. orbicularis (Andersson) Nakai
  synonym Salix hallaisanensis H.Lév. タンナヤナギ 
  synonym Salix abscondita Laksch.
  synonym Salix raddeana Laksch. ex Nasarow
  synonym Salix ishidoyana Nakai タケシマヤナギ 
 日本(北海道西南部、本州の近畿以北、四国)、中国、アジア北部、ヨーロッパ原産。中国名は黄花柳 huang hua liu。英名はKilmarnock willow , Goat Pussy Willow , Weeping Pussy Willow。ヤマネコヤナギ、サルヤナギ。山地や原野、山の斜面、森、林道沿いのやや乾いた所、崖地などに生える。
 低木または小高木、高さ5~15m。小枝は黄緑色~黄赤色、直軟毛があるかまたは無毛。托葉は半円形、先は鋭形。葉柄は長さ約1㎝。葉身は卵状長円形または、広卵形~倒卵状長円形、長さ5~7㎝×幅2.5~4㎝、わずかに厚く、下面は綿毛または柔らかい羽毛状の毛があり、上面は鈍い緑色、しわがあり、新鮮なときによりしわが目立ち、無毛、基部は円形、縁は不規則に切り欠きがあり、歯状またはほぼ全縁、普通、わずかに反曲し、先は鋭形または短突起があり、普通、よじれ(contorted)、網状脈が下面で明瞭。開花は葉の展開より早い(precocious)。雄性の尾状花序は楕円形または広楕円形、長さ1.5~2.5㎝×幅約1.5㎝、花序柄は無い。苞は2色、下部は明るく、上部は黒色、披針形、長さ約2㎜、長い毛がある。雄花は内側に腺がある。雄しべは2本、分離。花糸は長さ6~8㎜、細い。葯は黄色、長円形。雌性の尾状花序は短い円筒形、長さ約2㎝×幅0.8~1㎝、果時に約・長さ6㎝×幅1.8㎝、短い花序柄がある。苞は雄性の尾状花序と同じ。雌花は雄花と同じように腺がある。子房は狭円錐形、長さ2.5~3 mm、羽毛状の毛があり、柄は長さ2㎜。花柱は短い。柱頭は2~4裂。蒴果は長さ9㎜以下。花期は4月。果期は5~6月。2n=38。
品種) 'Black Stem' , 'Curly Locks' , 'French Pink' , 'Gold Leaf' , 'Kilmarnock' (m) , 'Mas' (m) , 'Pendula' , 'Smart Select' , 'Snowstar'PBR , 'Weeping Sally' , 'Weeping Sally' (f)

19 Salix cardiophylla Trautv. et C.A.Mey. トカチヤナギ 十勝柳 広義
19-1 Salix cardiophylla Trautv. et C.A.Mey. var. cardiophylla トカチヤナギ 十勝柳
  synonym Salix maximoviczii Kom.
 北海道、本州の中部以北、千島南部に分布する。別名:カラフトオオバヤナギ、 ヒロハタチヤナギ。
 落葉高木。高さ15~30m。冬芽の芽鱗は腹側で重なる。葉はほぼ無毛、楕円形~楕円状披針形、長さ10~20㎝、下面は粉白色を帯び、縁に細鋸歯がある。苞は倒卵形、縁毛がある。開花は葉の展開と同時。雌雄異株。尾状花序は下垂する。雄花は雄しべが5~10本、背腹の腺体は各1~3個つく。雌花は子房が無毛(変種オオバヤナギでは有毛)、柄があり、柄の左右に1対の腺体がある。柱頭は2深裂し、花後に花柱上部、包葉とともに脱落する。花期は夏。
19-2 Salix cardiophylla Trautv. et C.A.Mey. var. urbaniana (Seemen) Kudô  オオバヤナギ 大葉柳
  synonym Salix cardiophylla Trautv. et C.A.Mey. subsp. urbaniana (Seemen) A.K.Skvortsov
  synonym Salix urbaniana Seemen
 北海道、本州の中部以北、鳥取(大山)に分布する。山地の河畔の林、特に礫の多い河原によく生える。  高さ15~30。樹皮は灰褐色、縦に深く裂ける。葉は長楕円形、長さ10~20㎝、縁に細かい鋸歯があり、下面は粉白色、先は鋭形。托葉は扇形、長さ約1㎝。比較的に花は遅く、葉が展開後に開花する。尾状花序は垂れ下がる。雄花序は長さ5~10㎝、多数つく。花は黄色。雌花は子房が有毛。花期は5~6月。果期は8~9月。

20 Salix chaenomeloides Kimura マルバヤナギ 丸葉柳
  synonym Salix chaenomeloides Kimura var. pilosa Kimura
 本州(東北地方中部以南)、四国、九州、朝鮮、中国原産。中国名は腺柳 xian liu。英名はJapanese pussy willow。別名はアカメヤナギ(赤芽柳)。湿地、川沿い、水田の畔などに生える。
 落葉高木。高さ10~20m。幹は灰褐色、縦に割れ目が入る。葉は互生し、長さ5~15㎝の惰円形~長楕円形、縁には小さな鋸歯があり、先に腺がある。成葉は先が尖り、両面とも無毛、葉裏は粉白色。葉柄は長さ1~1.8㎝、表側に1~3対の腺があり、葉状になることもある。托葉は大型、円形、縁に鋸歯があり、遅くまで残る。芽鱗は袋状でなく、2枚が合わさって、内側で襟状に重なる。雌雄異株。雄花序は長さ約7㎝の円錐形。雄しべは3~6個。腺体は普通、2個あり、合着する。葯は黄色。雌花序は長さ2~4㎝、腺体は2個あり、合着する。子房は無毛、長柄がある。花柱は短く、柱頭は4個。苞は淡黄緑色、円形、背側に毛がある。果実は蒴果、6月に熟して裂開する。花期は4~5月。
品種) Black Cat® , 'Mount Aso' , 'Mt. Asama'

21 Salix chamissonis Andersson  チシマイワヤナギ 千島岩柳
。ロシア極東~北アメリカ北部に分布。英名はChamisso willow。
 高さ3~10㎝(矮性)。取り木(layering)よってクローンを形成する。茎は長く匍匐する。枝は赤褐色、無毛。小枝は黄緑色、無毛。托葉は葉状。葉柄は長さ5~13 mm、(ときに、上部に1~2対の球状の腺がある)。最大の中間の葉身は下面気孔(hypo-stomatous)、広楕円形、ほぼ円形、または倒卵形、長さ30~50㎜×幅17~30㎜、長さは幅の(1.1~)1.6~1.9(-2.1)倍、基部はくさび形、縁は平らで、密に目立つ小鋸歯または小刺のある細鋸歯があり(1cmあたり、歯が7~14個)、先は尖鋭形、凸面状、鋭形、または円形、下面は粉白色(灰白色)、無毛、上面はわずかに光沢があり、無毛。下部の葉身は縁が全縁、密に腺点があり、または細鋸歯がある。幼い葉身は、下面が無毛またはまばらに長い絹毛がある。雄の尾状花序は長さ30~64㎜×幅12~22㎜、花のつく小枝は長さ4~28㎜。雌の尾状花序は花が密~中程度に密につき、丈夫で、長さ32~73(果時には~105)㎜ ×幅10~17㎜、花のつく小枝は長さ4~28㎜。花の苞は褐色または黒色、長さ1.2~2.8㎜、先は凸面状または円形、全縁、下面は中程度に密に毛があり、毛は真っすぐ。雌花は外側に蜜腺がなく、内側の蜜腺は正方形または長円形、長さ0.5~0.9㎜。花糸は分離、無毛。葯は楕円形または短円筒形、長さ0.5~0.6㎜。雌花は外側に蜜腺がなく、内側の蜜腺は正方形または長円形、長さ0.3~1㎜、柄の長さと同長かそれより長い。柄は長さ0.2~0.4㎜。子房は倒こん棒形、直軟毛または絨毛があり、リボン状の毛があり(ときにパッチまたは条線につき、屈折し)、嘴は徐々に花柱に向かって先細になる。胚珠は子房あたり12~18個。花柱は長さ0.8~1.2mm。柱頭は平らで、先端が丸くまたは尖り、外側にパピラは無く、または細い円筒形、長さ0.4~0.7㎜。蒴果は長さ5~7㎜。2n=114。花期は6月中旬~下旬。

22 Salix cinerea L. サリクス・キネレア
 ヨーロッパ、西アジア原産。英名はcommon sallow , grey sallow , grey willow , grey-leaved sallow , large grey willow , pussy willow , rusty sallow。
品種) 'Bude' , 'Tricolor' (v) , 'Variegata' (v)

23 Salix daphnoides Vill. セイヨウエゾヤナギ 西洋蝦夷柳
 ヨーロッパ原産。英名はviolet willow , daphne willow。
 低木~小高木、高さ6~8(12)m。樹皮は灰色、平滑。枝は赤褐色で、強く粉白色になり(古くなると粉白は失われるが、節には残る)、無毛になる。小枝は黄褐色(古いものを除いて、粉白ではない)、普通、無毛になり、ときにはまばらにまたは中位に密な綿毛がある。托葉(しばしば葉柄につく)は、普通、初期には未発達で、後に披針形~卵形になり、先は尖鋭形または鋭形であり、しばしば葉柄につく。葉柄は浅い溝があり、または上面が凸面状~平らで、長さ5~18 mm、上面は綿毛がある~無毛になり、最大の中間の葉身は長円形、帯ひも状、狭楕円形、または楕円形、長さ50~96(~120)㎜×幅1~35(~40)㎜、基部はくさび形~凹面形、縁はわずか外巻きし、鋸歯状または円鋸歯状、先は尖鋭形、下面は粉白を帯び、無毛になるかまたは中肋にまばらに綿毛があり、毛は(白色、ときに鉄さび色)広がり、真っすぐ、長または短、上面はわずかに光沢がある(中肋にまばらに綿毛があるかまたは全体に綿毛がある)。下部の葉身の縁は全縁、密に腺点がある。幼葉は緑色、下面にまばらから中程度に密に長い絹毛があり、毛は白色、ときに鉄さび色。尾状花序(catkins)は葉の展開前または直前に開花する。雄花は丈夫で、長さ30~47㎜×幅9~20㎜。花のつく小枝は長さ0~1.2㎜。雌花は密につき、丈夫で、長さ20~50㎜、花のつく小枝は長さ約1.5㎜。花の苞は暗褐色または二色、長さ2.8~3㎜、先は鋭形~凸面状、全体に中程度に密に毛があり、毛は真っすぐ。雄花は内側の蜜腺が長円形~フラスコ形、長さ0.5~1㎜。花糸は分離または基部で合着する。葯は紫色、黄色に変わり、短~長円筒形または楕円形、長さ0.5~0.7㎜。雌花は内側の蜜腺が長円形~四角形、長さ0.4~0.9㎜。子房は洋ナシ形、嘴は徐々に花柱向かって先細になる。胚珠は各子房に4~6個。花柱は長さ0.6~1.5㎜。蒴果は長さ3.2~4.4㎜。2n=38。花期は3月下旬~5月上旬。
品種) 'Acutifolia' , 'Aglaia' (m) , 'Blue Streak' , 'Continental Purple' , 'Lady Aldenham' , 'Latifolia' , 'Meikle' (f) , 'Netta Statham' (m) , 'Ovaro Udine' (m) , 'Oxford Violet' (m) , 'Pendulifolia' , 'Purple Heart' , 'Ruberrima' , 'Sinker' , 'Stewartstown' , 'Wynter Bloom'

24 Salix discolor Muhl. サリクス・ディスカラー
 カナダ、USA原産。英名はPussy-willow , American pussy willow , glaucous willow。
品種) 'Rosea'

25 Salix divaricata Pall.
  synonym Salix bicarpa Nakai  タカネヤナギ 
  synonym Salix brevijulis Turcz.
 朝鮮、ロシア原産。
25-1 Salix divaricata Pall. var. metaformosa (Nakai) Kitag. チャボヤナギ 矮鶏柳
  synonym Salix divaricata Pall. var. orthostemma (Nakai) Kitag.
 朝鮮、中国原産。中国名は长圆叶柳 chang yuan ye liu。湿った場所、道端に生える。
 低木、高さ80㎝以下、斜上し、まれに這う。小枝は帯黄色、初めは直軟毛があり、無毛になる。托葉は披針形、早落性。葉柄は長さ2~5㎜。葉身は倒卵形、楕円形、長円状倒卵形、または倒披針形、長さ2~5㎝×幅0.6~2㎝、下面は灰緑色、無毛、上面は緑色、基部はくさび形、縁は鋸歯縁または全縁、先は短い尖鋭形、脈は帯褐色、目立ち、上面で凹む。開花は葉の展開と同時またはわずかに早い。雄の尾状花序は長さ2~2.5(~3)㎝×幅0.8~1㎝、花序柄は無または短い花序柄があり、2~3個の鱗片状の小葉をもつ。苞は紫赤黒色、下部は黄緑色、楕円状長円形または長い倒卵形、長さ約1.3㎜、絨毛があり、先は円形またはわずかに鋭形。雄花は下面の腺が黄色、卵形または短い円筒形。雄しべは2本。花糸は部分的に合着し、まれに分離し、無毛。葯は黄赤色または黄色、球形。雌性の尾状花序は花序柄がある。花序柄は綿毛があり、小葉をもつ。苞は褐色、卵形、絨毛があり、先は鈍形また鋭形。雌花は内側に腺がある。子房は帯赤色、綿毛があり、短い柄がある。花柱は明瞭、長さ約1㎜。柱頭は赤色、2裂する。蒴果はあずき色、直軟毛があるか、ほぼ無毛~無毛。花期は5月。果期は7月。

26 Salix dolichostyla Seemen
26-1 Salix dolichostyla Seemen subsp. dolichostyla シロヤナギ 白柳
  synonym Salix hondoensis Koidz.
  synonym  Salix jessoensis Seemen
 北海道、本州の東北・北陸地方~関東地方北部に分布。河原に生える。 、高さは15~20m。樹冠は丸い。樹皮は淡灰褐色、縦に裂ける。若葉には両面に白毛があるが、上面は無毛になり、光沢を持つようになる。葉は線形、長さ5~11㎝、縁に小さな鋭鋸歯があり、下面は粉白色で、絹毛が密生する。雌雄異株。葉の展開と同時に開花する。尾状花序は円柱形、花序柄に2~4枚の葉がつく。 雄花序は長さ2.5~4㎝、雄花の葯は黄色。 雌花序は長さ約3㎝、雌花は子房に白い軟毛が密生する。果実は蒴果、尖った小さな卵形で、成熟して裂開する。花期は3~4月。果期は6月。
26-2 Salix dolichostyla Seemen subsp. serissifolia (Kimura) H.Ohashi et H.Nakai コゴメヤナギ 小米柳
  synonym Salix jessoensis Seemen subsp. serissifolia (Kimura) H.Ohashi
  synonym Salix serissifolia Kimura
 日本固有種。本州(東北地方南部~近畿地方)に分布。別名はコメヤナギ。河原、湿地に生える。
落葉高木。高さ10~20m。幹は灰黒褐色、樹皮が縦に割れる。枝は灰緑褐色、細く、折れやすい。葉は互生し、葉は長さ3~7㎝、幅9~12㎜、線形、鋭頭、縁に浅い鋸歯がある。葉裏は無毛、粉白色。葉柄は長さ2~6㎜、軟毛がある。雌雄別株。開花は葉の展開と同時。雄花序は短く、長さ1~2㎝。雄しべ2個。葯は黄色。花糸は離生し、基部に黄色の腺体が2個つく。雌花序も雄花序と同長。子房がほとんど無毛であるのが特徴。腺体は1個。苞は淡緑色、子房を包むようにつき、基部に毛がある。蒴果は5月に熟して裂開し、柳絮(りゅうじょ=綿毛に包まれた柳の種子)を飛ばす。花期は4月。
26-2-1 Salix dolichostyla Seemen subsp. serissifolia (Kimura) H.Ohashi et H.Nakai f. pendula (Okuhara) H.Ohashi et H.Nakai シダレコゴメヤナギ 
  synonym Salix serissifolia Kimura f. pendula Okuhara

27 Salix elaeagnos Scop. サリクス・エラエアグノス
 ヨーロッパ中部~南部、南西アジア原産。英名はbitter willow , olive willow , hoary willow , rosemary willow , elaeagnus willow。
品種) 'Angustifolia'

28 Salix eriocarpa Franch. et Sav. ジャヤナギ 蛇柳
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は长柱柳 chang zhu liu。別名はオオシロヤナギ(大白柳)。川沿いに生える。雌雄異株であるが日本では雌株しか知られていない。
 落葉低木または高木、高さ20m以下、幹は直径60cm d.b.h以下。樹皮は灰黒色、溝がある。小枝は黄灰色または黄褐色、無毛、若いときは絨毛がある。芽は長円形、無毛、またはわずかに直軟毛がある。葉柄は長さ5~10㎜。葉身は倒披針形または長円状披針形、中間より上で最も幅が広く、長さ6.5~9×幅1~1.7 cm、下面は青緑色、中脈に沿って長い毛があり、上面は緑色、基部はくさび形、縁は鋭い鋸歯があり、先は長い尖鋭形。雄尾状花序は長さ2~4cm×幅約5㎜、花序柄は無い。苞は卵状楕円形、花糸の長さの1/3~1/2、帯黄色の毛があり、まれに、上部は無毛になり、先は鈍形または小凹形。雄花は腺が内側と外側にある。雄しべは2本、花糸は分離または下部で半合着し、基部に長い黄色の毛がある。葯は赤色。雌の尾状花序は長さ1.5~2cm×幅約5mm、花序柄に2~3個の倒披針形の小葉がある。苞は長円状卵形、基部に直軟毛があり、先は円形、鈍形、または小凹形。雌花は腺が2個、内側と外側にある。子房は卵形、直軟毛がある。花柱は子房の長さの2/3。柱頭は長く、2裂する。花期は5月。果期は6月。

29 Salix eriocephala Michx. サリクス・エリオケファラ
 カナダ、USA原産。英名はMissouri River Willow , heart-leaved willow , diamond willow。
 低木、高さ0.2~6m、(茎の断片化によってクローンを形成することもある)。枝は(ときに根元で非常に脆く)、赤褐色、粉白でなく、無毛または無毛になる。小枝は黄褐色~赤褐色、直軟毛があり、中程度から密にビロード状、毛または絨毛があり(内側の膜状の芽鱗の層は分離)。托葉は葉状(長さ4.5~13 mm)、先は円形または鋭形。葉柄は上面に浅い溝があり、長さ3~18㎜、上面に綿毛がある。最大の中間の葉身は、狭楕円形、非常に幅が狭い楕円形または倒卵形、長さ58~96~136㎜×幅9~21~36㎜、長さは幅の2.3~4.6~8倍、基部は心形、凸状、円形、ほぼ心形、または、ときにくさび形、縁は平らで、鋸歯または細鋸歯があり、、先は鋭形~尖鋭形。下面は厚く粉白色、無毛、微軟毛、まばらに有毛又は短い絹毛があり、上面は強い光沢があり、無毛またはまばらに絨毛があり(毛は白色、ときにまた、鉄さび色)。下部の葉身は縁が全縁又は浅い細鋸歯がある。若葉の葉身は赤緑色または黄緑色で、無毛、直軟毛、または下面に絨毛があり、毛は白色。雄の尾状花序は葉の展開直前に開花し、雌の尾状花序は葉の展開と同時に開花する。雄花序は細くてずんぐりし、長さ19~44㎜×幅7~14㎜、花のつく小枝は長さ0.5~5㎜。雌花序は密にまたは中程度に密に花がつき、細くまたはずんぐりし、長さ22~65㎜×幅7~14㎜、花もつく小枝は長さ2~10mm。花の苞は暗褐色または2色、長さ0.8~1.6㎜、先は円形、外側に毛があり、毛は波打つ。雄花は内側の蜜腺が、狭い長円形、長円形、または卵形、長さ0.2~1㎜。花糸は分離または花糸はその長さの1/2未満で合着し、無毛。葯は黄色または紫色、黄色に変わり(楕円形または短い円筒形)、長さ0.4~0.6㎜。雌花は内側の蜜腺が長円形またはフラスコ形、長さ0.3~0.8㎜、柄より短い。柄は長さ1.2~2.8㎜。子房は洋ナシ形、無毛、嘴は花柱の下でわずかに膨らむ。胚珠は各子房に12~16個。花柱は長さ0.3~0.6mm。柱頭は平らで、先端が丸い、外側にパピラは無く、先が丸く、または広い円筒形、または2個のふっくらとした裂片があり、長さ0.16~0.28㎜。蒴果は長さ3.5~7㎜。2n=38。花期は4月上旬~6月中旬。
品種) 'American Mackay' (m) , 'Americana' , 'Green USA' , 'Kerksii' (m) , 'Mawdesley' (m) , 'Russelliana' (f)

30 Salix fragilis L. ポッキリヤナギ 
 ヨーロッパ原産。中国名は爆竹柳 bao zhu liu。
品種) 'Bullata'

31 Salix fulvopubescens Hayata アリサンヤナギ 
 台湾原産。中国名は褐毛柳 he mao liu。
31-1 Salix fulvopubescens Hayata var. doii (Hayata) K.C.Yang et T.C.Huang ウスバヤナギ 
  synonym Salix doii Hayata
  synonym Salix morii Hayata
 台湾原産。中国名は台湾柳 tai wan liu。

32 Salix fuscescens Andersson ミヤマヤチヤナギ 深山谷地柳
 日本(北海道)、朝鮮、ロシア、北アメリカ原産。英名はAlaska bog willow。
 高さ0.15~0.55m。取り木(layering)よってクローンを形成する。茎は傾伏または地面を這う。枝は黄褐色、無毛。小枝は赤褐色、灰褐色、または黄褐色、無毛。托葉は無いかまたは未発達。葉柄は長さ2~5.6(~6.4)㎜。最大の中間の葉身は下面気孔(hypostomatous)、狭長円形、長円形、倒卵形、または広倒卵形、 長さ(14~)17~27(~45)㎜×幅7~21㎜、長さは幅の1.4~2.5倍、基部はくさび形または凸面状、縁はわずかに外巻きまたは平坦、全縁、または下部に細鋸歯~円鋸歯があり(縁に腺がある)、先は凸面状、尖鋭形、または円形、下面は粉白色、無毛、上面はわずかまたは非常に光沢があり、無毛。下部の葉身の縁は全縁、(ときに、下面に鉄さび色の毛がある)。若葉は無毛。雄の尾状花序は長さ8~58㎜×幅5~19㎜、花のつく小枝は長さ0.5~15㎜。雌の尾状花序は花が中程度に密~疎につき、細く、丈夫な、またはほぼ球形、長さ13.5~64(果時には~70)㎜×幅6.5~15㎜、花のつく小枝は長さ4~18㎜。花の苞は褐色または二色、長さ0.8~1.6 mm、先は円形、全縁、外側にまばらに毛があり、毛は(普通、白色、ときに鉄さび色)、波打ちまたは真っ直ぐ。雄花は外側に蜜腺がなく、内側の蜜腺は長円形、長さ0.5~0.8mm。花糸は分離またはその長さの1/2未満で合着し、無毛。葯は楕円形または短い円筒形、長さ0.3~0.4mm。雌花は外側の蜜腺がなく、内側の蜜腺が長円形、長さ0.4~0.9㎜、柄より短く、柄は長さ0.8~2.5㎜。子房は倒こん棒形、有毛または短い絹毛があるか、無毛になり、毛は(しばしば鉄さび色)、扁平またはリボン状、嘴は急に花柱に向かって先細になる。胚珠は子房あたり8~12個。花柱は合着または上部で分離し、長さ0.1~0.4(~0.65)㎜。柱頭は細くまたは広円筒形、長さ0.24~0.3~0.68㎜。蒴果は長さ5.5~8㎜。2n=38。花期は6~7月。
32-1 Salix fuscescens Andersson subsp. fuscescens ミヤマヤチヤナギ 
  synonym Salix paludicola Koidz.
32-2 Salix fuscescens Andersson subsp. poronaica (Kimura) A.K.Skvortsov オオヤチマメヤナギ 
  synonym Salix poronaica Kimura

33 Salix futura Seemen オオキツネヤナギ 大狐柳
  synonym Salix vulpinoides Koidz.
  synonym Salix futura Seemen var. psilocarpa Kimura
 日本固有種。本州中部地方以北の日本海側に生育する。別名はオオネコヤナギ、キンメヤナギ。湿地に生える。
 落葉低木、高さ1~2m。枝は太い。冬芽は大きく、長卵形、長さ約15㎜、濁黄色。葉は互生し、ヤナギ属中最大で、長さ8~18㎝、楕円形、下面主脈に軟毛が多い。雌雄異株。葉の展葉前に開花する。花序は長さ3~5㎝、黄金色でよく目立つ。雄しべは2個。花糸基部が合着して無毛。腺体は1個。花期は3~4月。
33-1 Salix futura Seemen f. rufa (Kimura) H.Ohashi アカゲオオキツネヤナギ
  synonym Salix futura Seemen var. rufa Kimura

34 Salix gilgiana Seemen カワヤナギ 川柳
  synonym Salix gymnolepis H.Lév. & Vaniot
  synonym Salix miyabeana Seemen subsp. gymnolepis (H.Lév. et Vaniot) H.Ohashi et Yonek.
  synonym Salix miyabeana Seemen subsp. gilgiana (Seemen) H.Ohashi
 日本(北海道南部~本州)、朝鮮に分布。別名はナガバカワヤナギ(長葉川柳)。河原に生える。和名は河川敷などの河川沿いに広くみられることに由来する。
 落葉小高木、高さ3~6m、直径3~30cm。樹皮は褐灰色で縦に裂ける。裸材に隆起条はない。新枝は淡灰褐色、灰色の軟毛が密生する。冬芽の花芽は大きく、褐色、卵形、長さ7~10㎜。托葉は小さい。葉は互生し、葉柄は長さ0.5~1㎝。葉身は線形、長さ7~16㎝×幅8~20㎜、先端近くで幅が最も広く、縁に浅い波状鋸歯があり、若葉の縁は先端部を除く外巻きし、下面は白緑色、無毛。雌雄別株。葉の展開前に開花する。雄の尾状花序は円柱形、長さ4~6cm、花序柄は無い。雄しべは2本。花糸は普通、合着するが、先端が分離することもある。腺体は1個。葯は黄色。雌花序は円柱形、長さ3.5~5.5㎝。子房は柄があり、白色の毛が密生する。花柱は短い。柱頭は2裂。腺体は1個。苞は倒卵状へら形、上部は黒色、中部はときに紅色、下部は淡黄緑色、両面に白色の長い軟毛がある。蒴果は成熟して裂開する。花期は3月。果期は4月。
34-1 Salix miyabeana Seemen subsp. gymnolepis (H.Lév. et Vaniot) H.Ohashi et Yonek. f. pendula (Kimura) H.Ohashi  シダレカワヤナギ 

35 Salix glabra Scop. セイヨウミヤマヤナギ 西洋深山柳
 ヨーロッパ原産。英名は smooth willow。

36 Salix glauca L. オオミネヤナギ 
  synonym Salix sericeocinerea Nakai オオミネヤナギ 
  synonym Salix sericeocinerea Nakai f. lanata (Nakai) W.T.Lee  オオミネケヤナギ (朝鮮に分布)
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。灰蓝柳 hui lan liu。英名はgray willow , grayleaf willow , white willow , glaucous willow。

37 Salix gracilistyla Miq. ネコヤナギ 猫柳
  synonym Salix gracilistyla Miq. f. adscendens (Kimura) H.Ohashi
  synonym Salix gracilistyla Miq. var. adscendens Kimura
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は细柱柳 xi zhu liu。英名はrose-gold pussy willow。別名はタチネコヤナギ。河岸の水際に生える。広く栽培されている。
 落葉低木。高さ1~3(5)m。樹皮は暗灰色、古くなると縦に割れ目が入る。小枝は黄褐色~小豆色、はじめ軟毛が密生し、後に無毛。蕾は黄褐色、楕円状卵形、うぶ毛で覆われ、先は尖る。托葉は半卵形で大きい。葉は互生し、葉柄は長さ7~12㎜。葉身は楕円形~倒卵状長楕円形、まれに長楕円形、長さ5~12㎝、幅1.5~2(3.5) ㎝、葉裏は灰色、絹綿毛で覆われ(春の若葉、初夏には無毛~ほぼ無毛、夏~初秋には密に絹毛がある)、葉表は濁った緑色、無毛、基部は楔形、基部を除いて細かい鋸歯縁、先は鋭形、葉脈は葉裏に盛り上がる。雌雄別株。花期は早く、葉の展開前に開花する。尾状花序(catkin)は無柄、長さ2.5~3.5㎝、幅1~1.5㎝、銀白色の毛が目立つ。苞は先が黒色、下部は淡緑色、楕円状披針形、白色の長毛があり、先が尖る。雄花は背面に腺があり、小豆色、細く、雄しべ2個。花糸は全体に合着し、長さ約6㎜、無毛。葯は赤色~小豆色。果時には尾状花序は長さ8㎝以下に長くなる。雌花は子房が楕円形、綿毛が密にあり、無柄。花柱は細く、長さ2.5~3㎜。柱頭は2裂。蒴果は密に毛があり、熟すと裂開し、種子を飛ばす。種子は綿毛に包まれ、ヤナギの種子の綿毛は柳絮(りゅうじょ)と呼ばれる。2n=38。花期は2~4月。
品種) 'Melanostachys' , 'Mount Aso'
37-1 Salix gracilistyla Miq. f. melanostachys (Makino) H.Ohashi クロヤナギ 黒柳
  synonym Salix gracilistyla Miq. subsp. melanostachys (Makino) Makino
  synonym Salix melanostachys (Makino) Goerz
  synonym Salix gracilistyla Miq. var. melanostachys (Makino) C.K.Schneid. 
 英名はblack willow。
 花の苞が黒色で、若枝が赤色のため、花材として使われる。
品種) 'Melanostachys' (m)
37-2 Salix gracilistyla Miq. f. pendula (Kimura) H.Ohashi シダレネコヤナギ 
  synonym Salix gracilistyla Miq. var. pendula Kimura
37-3 Salix gracilistyla Miq. f. variegata (Kimura) Kimura フイリネコヤナギ 
37-4 Salix gracilistyla Miq. var. graciliglans (Nakai) H.Ohashi チョウセンネコヤナギ 
  synonym Salix graciliglans Nakai
  synonym Salix nakaii Kimura

38 Salix gmelinii Pall. サリクス・グメリニイー
  synonym Salix dasyclados Wimmer
  synonym Salix burjatica Nasarow
 カザフスタン、ロシア原産。中国、ヨーロッパで広く栽培されている。中国名は毛枝柳 mao zhi liu。川沿い、川岸、湖岸に生える。  高さ8mまでの低木または高木。樹皮は褐色または黄褐色。小枝は褐色、灰白色の絨毛があるかまたはほぼ無毛。芽は褐色、卵形、柔らかい羽毛がある。托葉は卵状披針形、縁は鋸歯縁。葉柄は短い羽毛状の毛がある。葉身は広披針形、倒披針形、長円状披針形または倒卵状披針形、長さ5-20×幅2-3.5 cm、下面は灰色の絹毛があり、上面は汚緑色、ほぼ無毛、基部はくさび形、縁は全縁または腺のある鋸歯があり、外巻き、先は短い尖鋭形、中脈の各側に10~12本の側脈がある。葉の展開より早く開花する(precocious)。雄の尾状花序は長さ2.5-4㎝×幅約1.8㎝。苞は2色、長い毛があり、先は黒色。雄花は雄しべ2本、分離、無毛。葯は黄色。雌の尾状花序は円筒形、長さ4-5.5㎝×幅約1.2cm。苞は雄の尾状花序と同じ。雌花は腺が柄の長さの約3倍。子房は卵状円錐形、絨毛があり、短い柄がある。花柱は長い。柱頭は2深裂。わずかに外巻き。花期は4月。果期は5月。2n=76。
品種)  'Doris' , 'Germany' , 'Grandis' , 'Gudrun', 'Korso' , 'Visvaldis'PBR

39 Salix hastata L. サリクス・ハスタタ
 ユーラシア、北アメリカに分布。英名はhalberd willow。
品種) 'Wehrhahnii' (m)

40 Salix hookeriana L. サリクス・フーケリアナ
 ヨーロッパ、西アジア原産。英名はdune willow , coastal willow , Hooker's willow。
品種) 'Clatsop'

41 Salix hukaoana Kimura ユビソヤナギ 湯檜曽柳
 日本固有種。本州(群馬県以北)に分布する。不安定な氾濫原や河岸などに生える。オノエヤナギによく似ている。
樹高16m、胸高直径55cmになる夏緑広葉高木。枝の樹皮の裏側は鮮やかな黄色となる。葉は披針形で、先端は長い尖鋭形、縁にやや不規則な波状鋸歯があり、歯の先がわずかに尖り(オノエヤナギは鋸歯の歯が円い)、下面に縮れた毛があり、主脈に多い(オノエヤナギは上向きの伏した絹毛がある)。雌雄異株。葉の展開前に開花する。花は密につく。苞は倒卵形、上半部は黒色、中央部は帯紅色、両面とも長軟毛を密生する。雄花の2本の花糸は1本に合着する。雌花の子房は無毛、柱頭は淡黄色、先端は全縁。花期は4~5月。

42 Salix integra Thunb. イヌコリヤナギ 犬行李柳
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は杞柳 qi liu。英名はflamingo willow , dappled willow。別名はコブヤナギ、ヒロハコリヤナギ。山野や河岸などに普通に見られる。
 落葉低木。高さ1~3(6)m。樹皮は暗灰色で、滑らか。 枝は黄褐色で、上方に直立し、しだれない。葉は普通、対生し、長さ4~10㎝の長楕円形で縁に浅鋸歯がある。葉先は鈍円形又はわずかに尖り、基部は円形。葉の両面ともに無毛、葉裏は粉白色で、側脈が細い。葉柄はほとんど無く、托葉も無い。雌雄異株。葉の展開の前に開花。花序は円柱形で、雄花序は長さ2~3㎝。雄花は多数つき、雄しべが2個、合着した花糸が1個で、基部に黄緑色の腺体が1個ある。葯は紫紅色で、花粉を出し始めると黄色くなる。雌花序は長さ1.5~2.5㎝。雌花は多数つき、子房が淡緑色の卵形、柱頭が紅色、腺体は1個、苞の先は黒褐色である。蒴果は5月に熟し、裂開して綿毛に包まれた種子(柳絮=りゅうじょ)を飛ばす。花期は3~5月。
品種) 'Albomaculata' , 'Flamingo' , 'Hakuro-nishiki' (v) 白露錦, 'Nishiki Flamingo' , 'Pendula' (f) , 'Royal'PBR
42-1 Salix integra Thunb. f. albovariegata Kimura フイリイヌコリヤナギ 
42-2 Salix integra Thunb. f. pendula Kimura シダレイヌコリヤナギ 

43 Salix interior Rowlee.
 カナダ、USA、メキシコ原産。英名はSandbar Willow
品種) 'Greenbank', 'Silver Sands'

44 Salix japonica Thunb. シバヤナギ 柴柳
 日本固有種。愛知県東部から関東地方南部に分布する。山地、丘陵に生える。和名は山地に生える小雑木(柴:しば)の意から。
 落葉低木。高さ1~4m。樹皮は赤褐色~黄褐色、光沢がある。枝は横に広がって先はすこし下垂する。小枝は細く、若い時に長い軟毛があるが、すぐに無毛となる。若枝は赤褐色、黄褐色、帯褐緑色などで光沢がある。冬芽の側芽は伏生し、褐色の1枚の芽燐に包まれ、下の芽鱗は見えない。若葉はときに紅色になる。葉は左右両側に水平に互生し、葉身は披針形~卵状披針形、基部は円形または広くさび形、縁には細かい鋭鋸歯があり、先は尾状尖鋭形、上面が緑色、下面は粉白色、若いときは両面に細毛があるが、のちに無毛となる。雌雄異株。開花は葉の展開と同時。雄の尾状花序は線形、長さ約5㎝、短い花序柄があり、花序柄に数個の小葉がつく。雌の尾状花序は、先が細い線形、長さ4~8㎝、果時に長さ約10㎝になり、雌雄花ともに腹側に1個の腺体がある。雄花の雄しべは2本、葯は黄色、花糸の基部に毛がある。雌花の雌しべの子房は無毛で短柄があり、花柱も短い。花期は3~4月。果期は6月。

45 Salix kangensis Nakai コウカイヤナギ 江界柳
 朝鮮、中国原産。中国名は江界柳 jiang jie liu。

46 Salix kangensis Nakai f. leiocarpa (Kitag.) Kitag. ホウオウヤナギ 鳳凰柳
 中国原産。中国名は光果江界柳 guang guo jiang jie liu。

47 Salix kochiana Trautv. ヒロハコリヤナギ 広葉行李柳
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は沙杞柳 sha qi liu。

48 Salix koriyanagi Kimura ex Goerz コリヤナギ 行李柳
  synonym Salix purpurea L. subsp. japonica (Nakai) Sugim.
  synonym Salix koriyanagi Kimura ex Goerz f. rubra (Nakai) W.T.Lee
  synonym Salix purpurea L. var. smithiana auct. non Trautv.
 朝鮮原産。中国名は尖叶紫柳 jian ye zi liu。朝鮮半島に自生し、古く日本に渡来したとされ、中国、ヨーロッパなどで広く栽培され、枝の皮で行李(こうり)などを作ったのが、和名の由来。葉が対生するのが特徴。
 低木~落葉小高木。株立ちし、高さ2~3m。小枝はあずき色(russet)または紫赤色、細く、無毛。 芽は紫赤色、まれに黄褐色、卵形、葉柄より長く、初めは先に直軟毛があり、無毛になり、光沢がある。葉は対生し、まれに互生し、薄い革質。葉柄は長さ2~5㎜。葉身は倒披針形または線状倒披針形、長さ5~10㎝×幅0.6~1.5㎝、無毛、下面は淡緑色、上面は緑色、基部はくさび形、縁は下部が全縁、上部に細鋸歯があり、先は尖鋭形、中脈は帯黄色、側脈は密につき、曲がる。開花は葉の展開より早い(precocious)。 尾状花序は対生、まれに互生し、細い円柱形、長さ2~3㎝×幅3~4㎜、花序柄は無い。苞は黒色、倒卵形または長い倒卵形、長さ約1.5㎜、絨毛があり、先は鈍形。雄花は雄しべが2本、全体に合着し、まれに花糸だけが統合し、無毛。葯は紫赤色、球形、4室、まれに2室。雌花は子房が卵形、密に灰白色の綿毛があり、柄は無い。花柱は短いか、無い。柱頭は全縁または2裂する。花期は5月。果期は6月。
品種) 'Rubykins'

49 Salix kusanoi (Hayata) C.K.Schneid. 水社柳
  synonym Salix suishaensis Hayata
 台湾原産。中国名は水社柳 shui she liu。

50 Salix lanata L. ウーリーウィロー
 ヨーロッパ北部、アジア北部、北アメリカ苞部原産。英名はwoolly willow
品種) 'Drake's Hybrid' , 'Mrs Mac' (m) , 'Stuartii' , 'Williamsii'

51 Salix lapponum L. ダウニーウィロー
 ヨーロパ北部原産。英名はdowny willow,
品種) 'Corrieshalloch'

52 Salix lasiandra Benth. サリクス・ラシアンドラ
  synonym Salix lucida subsp. lasiandra (Benth.) E.Murray
 カナダ、USA、アフリカ(モーリタニア)原産。英名はPacific Willow
品種) 'Nehalem' , 'Roland'

53 Salix lasiolepis Benth. サリクス・ラシオレプシス
 USA、メキシコ原産。英名はArroyo Willow
品種) 'Rogue'

54 Salix ligulifolia (C.R.Ball) C.R. Ball ex C.K.Schneid. サリクス・リグリフォリア
 USA原産。英名はStrap-Leaf Willows , strapleaf willow
品種) 'Placer'

55 Salix mesnyi Hance タイワンアカメヤナギ 
  synonym Salix warburgii Seemen 
 中国原産。中国名は粤柳 yue liu。

56 Salix microstachya Turcz. ex Trautv. キヌゲコリヤナギ 絹毛行李柳 広義
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は小穗柳 xiao sui liu。川岸、砂丘の間の湿った場所などに生える。
 低木、高さ2m以下。小枝は帯黄色~黄褐色~灰紫褐色、まれに灰緑色、無毛またはわずかに直軟毛がある。芽は卵形、繊維状の毛がある。托葉は非常に小さく、または無い。葉柄は短い。葉身は線形、線状倒披針形、またはかま形状倒披針形、長さ1.5~4㎝×幅2~4㎜、初めは繊維状の羽毛があり、ほぼ無毛になり、基部は漸尖し、縁はほぼ全縁または不明瞭な細鋸歯があり、先は長い尖円形、下面で中脈は目立つ。開花は葉の展開より早く(precocious)またはほぼ同時(nearly coetaneous)。尾状花序は円柱形、長さ1~1.5(~2)㎝、花序柄は無く、基部に1~2個の鱗片状の小葉がある。花序軸には直軟毛がある。苞は帯褐色または黄緑色、先は褐色、長円形、縁にはまばらに絨毛があり、先は切形または鈍形。 雄花は内側の腺は小さい。雄しべは2本、全体に合着する。雌花は子房が緑褐色、卵状円錐形、無毛、無柄。花柱は明瞭。柱頭は2裂する。花期は5月。果期は6~7月。
56-1 Salix microstachya Turcz. ex Trautv. var. microstachya
  中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は小穗柳 xiao sui liu。
 高さ2m以下。小枝は帯黄色または黄褐色。 葯は黄色
56-2 Salix microstachya Turcz. ex Trautv. var. bordensis (Nakai) C.F.Fang  キヌゲコリヤナギ 
 中国原産。中国名は小红柳 xiao hong liu
 植物は矮性、高さは1m以下。小枝は灰紫褐色、まれに灰緑色。葯は赤色。花期は5月。果期は6月。

57 Salix miyabeana Seemen エゾノカワヤナギ 蝦夷の川柳 広義
  synonym Salix dahurica Turcz. ex Laksch. ホソバモウコヤナギ
  synonym Salix glacilior Nakai
  synonym Salix gracilior (Siuzev) Nakai
  synonym Salix mongolica Siuzew
 日本(北海道、本州北部)、朝鮮原産。川の砂礫地や岸に生える。
 低木または小高木、高さ6~7m。幹や枝は平滑。托葉は細長く、ヤナギ類としては大きく、長さ2.2cmになる。葉は互生し、狭披針形、長さ6~16cm×幅1.1~2.7cm、先は鋭形、基部はくさび形、縁は細鋸歯があり、両面とも無毛、上面は緑色、光沢があり、下面は淡緑色、光沢はない。雌雄異株。開花は葉の展開より前。雄花序は楕円形、長さ4~6㎝×幅約1.5㎝、葯は黄色、初め紅色を帯びる。雌花は淡緑色、長さ4~8cm。花期は4月末~5月。果期は6月。
品種) 'Purpuras' , 'Shrubby Willow'
57-1 Salix miyabeana Seemen subsp. miyabeana  エゾノカワヤナギ 
  synonym Salix lepidostachys Seemen

58 Salix morrisonicola Kimura  ニイタカミネヤナギ 
  synonym Salix taiwanalpina Kimura var. morrisonicola (Kimura) K.C.Yang et T.C.Huang
 台湾原産。中国名は玉山柳 yu shan liu

59 Salix mucronata Thunb. サフサフヤナギ
  synonym Salix aegyptiaca L. ペルシャバッコヤナギ
 アフリカ、アジア南西部原産。英名はSafsaf Willow , Cape Willow , Persian willow。

60 Salix myrsinifolia Salisb. サリクス・ミルシニフォリア
60-1 Salix myrsinifolia subsp. myrsinifolia
  synonym Salix nigricans Sm.
 ヨーロッパ、ロシア原産。英名はdark-leaved willow , myrsine-leaved willow , blackskin willow
品種) 'Blackskin' , 'Black Knight' , 'Cotinifolia' , 'Faucille'

61 Salix myrsinites L.
 ヨーロッパ北部原産。英名はWhortle-leaved willow
品種) 'Jacquinii'

62 Salix myrtilloides L. コウアンヌマヤナギ 
 朝鮮、モンゴル、中国、ヨーロッパ原産。中国名は越桔柳 yue ju liu。
品種) 'Pink Tassels' (m)
62-1 Salix myrtilloides L. var. manshurica Nakai ヌマヤナギ 
 朝鮮、中国原産。中国名は东北越桔柳 dong bei yue ju liu。

63 Salix nakamurana Koidz. レンゲイワヤナギ 蓮華岩柳
  synonym Salix nakamurana Koidz. f. stenophylla (Kimura) Kimura
  synonym Salix yezoalpina Koidz. タカネイワヤナギ
 日本(北海道、本州中部)、ロシアに分布。別名はタカネイワヤナギ。高山帯の礫地に生える。
 落葉小低木、矮性、高さ10~30㎝。枝は分枝して地表を這い、小群落を作る。葉は広楕円形、長さ2~5㎝、質はやや厚く、縁は全縁または細かい鋸歯が疎にあり、はじめは両面に長さ2~4mmの白色の柔毛が密にあるが、後に毛がなくなり光沢がある。雌雄異株。枝先の雄の尾状花序は長さ3~5㎝、直径約8mm。雌性花序は果時に長さ約5㎝。花期は7月。
63-1 Salix nakamurana Koidz. subsp. nakamurana  タカネイワヤナギ 高嶺岩柳
 南北アルプスの高山帯に自生する。
63-1-1 Salix nakamurana Koidz. subsp. nakamurana f. eriocarpa (Kimura) T.Shimizu  ケタカネイワヤナギ 
  synonym Salix nakamurana Koidz. var. eriocarpa Kimura
63-2Salix nakamurana Koidz. subsp. kurilensis (Koidz.) H.Ohashi  ハイヤナギ 這柳
  synonym Salix hidakamontana H.Hara ヒダカミネヤナギ
  synonym Salix kurilensis Koidz. ヒダカミネヤナギ
  synonym Salix subreniformis Kimura
 若干小型、茎が地を這って広がる。風衝地に適応した型。
63-3 Salix nakamurana Koidz. subsp. yezoalpina (Koidz.) H.Ohashi エゾノタカネヤナギ 蝦夷の高嶺柳
  synonym Salix yezoalpina Koidz. f. grandiflora (Nakai) Kimura
  synonym Salix yezoalpina Koidz. f. stenophylla (Nakai) Kimura
  synonym Salix aquilonia Kimura
  synonym Salix nakamurana Koidz. var. yezoalpina (Koidz.) Kimura
 北海道の利尻、礼文、大雪山系、夕張山系等に分布する。
63-4 Salix nakamurana Koidz. subsp. yezoalpina (Koidz.) H.Ohashi f. neoreticulata (Nakai) H.Ohashi イヌマルバヤナギ 犬丸葉柳
  synonym Salix yezoalpina Koidz. var. neoreticulata (Nakai) Kimura
  synonym Salix yezoalpina Koidz. f. neoreticulata (Nakai) T.Shimizu
 葉裏の脈が隆起するもの。

64 Salix nigra Marshall アメリカポッキリヤナギ 
 USA原産。英名はblack willow。

65 Salix nummularia Andersson エゾマメヤナギ 
  synonym Salix nummularia Andersson subsp. pauciflora (Koidz.) Kimura
  synonym Salix tschanbaischanica Y.L.Chou et Y.L.Chang
  synonym Salix pauciflora Koidz. エゾマメヤナギ
  synonym Salix pauciflora Koidz. f. cyclophylla (Kimura) Kimura
  synonym Salix pauciflora Koidz. f. stenophylla (Kimura) Kimura
  synonym Salix polyadenia Hand.-Mazz.
  synonym Salix rotundifolia auct. non Trautv.
 日本(北海道の大雪山)、中国、ロシア原産。中国名は多腺柳 duo xian liu。高山のツンドラに生える。
 低木、平伏し、矮性。樹皮はあずき色(russet)。枝は長さ80㎝以下、太さ(2~)10㎜。小枝は黄褐色、若いときは直軟毛があり、無毛になる。芽は長円状卵形、長さ2~3㎜、無毛。規定があります。葉柄は長さ約3 mm、若いときは直軟毛があり、無毛になる。葉身は倒卵状楕円形、ほぼ円形、または楕円形、長さ0.5~1.7㎝×幅0.5~1.5㎝、革質、下面は緑色、若いときは絨毛があり、無毛になり、上面は鈍い緑色、基部は円形または丸みのあるくさび形、縁は全縁、先は円形、鈍形、または小凹形。開花は葉の展開と同時。尾状花序は頂生。雄の尾状花序は卵形、長さ約8㎜、花が10~20個つく。苞は黄褐色、円形、長さ約1㎜、毛がある。雄花は腺が2個、長さ0.3~0.4㎜、内側の腺は卵形または円形、ときに2裂し、外側の腺は2~3深裂するかまたは全縁。雄しべは2本、分離、無毛。雌の尾状花序は長さ5~8㎜、花が10~20個つく。苞は雄の尾状花序と同じ。雌花は内側の腺は普通、2~3(~4)裂し、柄の長さの約2倍、外側の腺は内側の腺よりも短い。子房はほぼ披針形、先は尖鋭形、長さ3~4㎜、無毛、柄は長さ約1㎜、、果時には伸びる。花柱は長さ約0.5㎜。柱頭は4裂。花期は7月。果期は7月。
65-1 Salix nummularia Andersson f. hebecarpa (Kimura) Kimura  キヌゲエゾマメヤナギ 
  synonym Salix nummularia Andersson subsp. pauciflora (Koidz.) Kimura var. hebecarpa (Kimura) Kimura ex Ohwi et Kitag.
  synonym Salix pauciflora Koidz. f. hebecarpa (Kimura) Kimura

66 Salix okamotoana Koidz. ミヤマバッコヤナギ 
 台湾原産。中国名は台矮柳 guan ling liu。

67 Salix pentandra L. セイヨウテリハヤナギ 
 ヨーロッパ北部、アジア北部原産。英名はbay willow , laurel willow。
品種) 'Dark French' , 'Patent Lumley' , Prairie Reflection®

68 Salix phylicifolia L. サリクス・フィリシフォリア
 ヨーロッパ北部原産。英名はtea-leaved willow。
品種) 'Malham' (m)

69 Salix pierotii Miq. オオタチヤナギ 大立柳
  synonym Salix pseudokoreensis Koidz.
  synonym Salix koreensis Andersson
 日本(北海道の西南部、本州の北陸地方・近畿地方以西、四国、九州 )、中国、ロシア原産。中国名は白皮柳 bai pi liu。川沿いに生える。
 低木~高木、高さ8(10~15)m以下。樹皮は暗灰黄色または灰褐色。小枝は褐色、灰緑色、または灰黄色、若いときは直軟毛があり、無毛になる。芽は赤褐色、卵形、若いときは毛があり、先は鋭形。托葉は披針形、小さい。葉柄は長さ2~5mm、綿毛がある。葉身は披針形または披針状長円形、長さ8~12㎝×幅2~3㎝、中央より下が最も幅が広く、下面は粉白色、上面は緑色、無毛、脈に沿って綿毛があるかまたは無毛、若いときは密に綿毛があり、基部がくさび形、または広くさび形、縁には鋸歯があり、先は長い尖鋭形。雄性の尾状花序は約・長さ2.5㎝×幅5mm、花序柄が無く、基部に小葉がつく。苞は倒卵形または長い卵形、先は円形または鈍形、直軟毛がある。雄花は内側に腺がある。雄しべは2本。花糸は完全に合着し、苞の長さの約3倍、下部に毛がある。葯は赤紫色。雌性の尾状花序は楕円状長円形、長さ1~1.8㎝×幅5~7mm。苞は普通、褐色、倒卵形または倒卵状円形、毛があり、子房より短い。雌花は腺が内側にある。子房は広卵形またはほぼ球形、長さ1~1.5mm、綿毛がある。花柱は短い。柱頭は4裂。花期は4月。果期は5月。
69-1 Salix pierotii Miq. f. auricomans Kimura レンギョウヤナギ 連翹柳
 若葉が淡黄色になる。コガネヤナギ 黄金柳ともいう。

70 Salix polaris Wahlenb. チシママメヤナギ 千島豆柳
 ユーラシア、北アメリカの北部に分布。英名は polar willow。世界で最も小さいヤナギの1つ。更新世の氷河期からの化石の残骸が、ヨーロッパ南部、南部イングランド、アルプス、およびカルパティア山脈で知られている。
 高さ1~9㎝(矮性)。根茎によりクローンを形成する。茎は直立する。枝は赤褐色(しばしば、粉白色で、鈍い)、無毛。小枝は帯褐色、無毛。托葉は無いかまたは未発達。葉柄は(深い溝があり)、長さ1.3~10㎜(上面は無毛)。最大の中間の葉身(秋に落葉、基部または基部近くにつき、2対の二次脈は先に向かって弧を描く)は楕円形、広楕円形、卵形、またはほぼ円形、長さ5~32㎜×幅7~18㎜、長さは幅の1.1~2.8倍、基部が凸面状、円形、またはくさび形、縁はわずかに外巻きまたは平坦、全縁、縁毛があり、先は普通、円形か凸状、ときに小凹形、下面は(まれに粉白色)無毛または直軟毛があり、上面はわずかに光沢があり、無毛。下部の葉身は縁が全縁。若葉の葉身は無毛。尾状花序はときにほぼ頂芽から出る。雄の尾状花序は長さ9~34㎜×幅6~12㎜、花のつく小枝は長さ1.5~14㎜、密にまたは中程度に花がつき(花が15個以上)、ずんぐり~球形、長さ10~50㎜×幅7~13㎜、花のつく小枝は長さ1~12㎜。花の苞は褐色、黒色、または二色、長さ1.5~2.5㎜、先は円形または凸状、全縁、下面にまばらに毛があり、毛は真っすぐまたは波打ち(苞を0.6~1.12~1.8㎜超える)。雄花は外側の蜜腺が長さ0.3~0.7㎜、内側の蜜腺は長円形、狭長円形、正方形、または卵形、長さ0.5~1.4㎜、蜜腺は分離。花糸は普通、分離し、ときに下部が合着し、無毛。葯は楕円形または卵形、長さ0.4~0.6㎜。雌花は外側の蜜腺が無く、内側の蜜腺は狭長円形、長円形、または卵形で、長さ0.8~1.8㎜、柄より長い。柄は長さ0.2~0.7mm。子房は倒こん棒形または 洋ナシ形、密に絨毛~直軟毛があり、毛は平らになり、嘴は次第に先細になるか、または花柱の下でわずかに膨らむ。胚珠は子房あたり12~17個。花柱は合着~その長さの1/2が分離し、長さ0.7~1.2㎜。柱頭は平らで、外側にパピラは無く、先が尖りまたは細く~広い円筒形、長さ0.3~0.6(~0.7)㎜。蒴果は長さ4.8~8.25㎜。2n=76, 114。花期は6月中旬~8月上旬。

71 Salix pseudolasiogyne H.Lév. コウライシダレヤナギ 
 朝鮮、中国原産。中国名は朝鲜垂柳 chao xian chui liu。

72 Salix pseudopentandra (Flod.) Flod. テリハヤナギ 
  synonym Salix pentandra L. var. intermedia Nakai [Flora of China]
  synonym Salix pentandra L. var. pseudopentandra (Flod.) Kitag.
  synonym Salix pentandra L. subsp. pseudopentandra Flod.
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は白背五蕊柳 bai bei wu rui liu。

73 Salix purpurea L. セイヨウコリヤナギ 西洋行李柳
 ヨーロッパ、、アジア(モンゴル)、北アフリカ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)原産。英名はpurple willow , basket willow , purple osier , blue arctic willow
 ときに、茎の断片化によってクローンを形成する。枝は(ときに根元で±もろく)、黄褐色またはオリーブ褐色、粉白色でないかまたは弱く粉白色、無毛。小枝は黄褐色またはオリーブ褐色、紫色を帯び、無毛。葉は(ときに対生またはほぼ対生)、托葉は無い。葉柄は上面に浅い溝があり、長さ2~7㎜、上面は無毛。最大の中間の葉身は帯ひも状 、狭長円形、狭倒披針形、倒披針形、長さ35~77㎜×幅5~20㎜、基部は凸状または円形、縁は外巻きし、全縁または細鋸歯があり、先は鋭形、尖鋭形、または凸形、下面は粉白色、無毛、上面は鈍く~やや光沢があり、無毛。下部の葉身は縁が全縁。若葉の葉身は黄緑色または帯赤色、無毛またはまばらに毛があり、毛は白色、ときに鉄さび色もある。葉の展開前に開花する(花序はほぼ対生、後ろに反曲する)。雄の尾状花序はずんぐりまたはほぼ球形、長さ25~33㎜×幅6~10㎜、花のつく小枝は長さ0㎜。雌の尾状花序は密に花がつき、細くまたはずんぐり、長さ13.5~34.5(果時には~35)㎜×幅3~7㎜、花のつく小枝は長さ0.5~3㎜。花の苞は黒色または二色、長さ0.8~1.6㎜、先は円形、外側に毛があり、毛は真っすぐまたは波打つ。雄花は内側の蜜腺が長円形、正方形、または卵形、長さ0.4~0.8㎜。花糸は合着する。葯は(分離)、紫色、黄色に変わり、楕円形または球形、長さ0.4~0.5mm。雌花は内側の蜜腺が卵形、長さ0.3~0.7㎜。子房は倒こま形、嘴は徐々に花柱に向かって細くなる。胚珠は各子房に6個。花柱は長さ0.2~0.3mm。蒴果は長さ2.5~5mm。2n=38。花期は3月中旬~5月中旬。
品種) '#187' , 'Abbeys' , 'Bleu' , 'Brittany Blue' , 'Brittany Green' (f) , 'Canyon Blue' , 'Carl Jensen' , 'Continental Reeks' , 'Dark Dicks' (f) , 'Dicky Meadows' (m) , 'Elegantissima' , 'Eugene' , 'Eugenei' , 'Eugeniae' , 'Fish Creek' , 'Golden Dicks' , 'Goldstones' , 'Gracilis' , 'Green Dicks' , 'Helix' , 'Howki' (m) , 'Irette' (m) , 'Jagiellonka' (f) , 'Kecks' , 'Lancashire Dicks' (m) , 'Leicestershire Dicks' (m) , 'Light Dicks' , 'Lincolnshire Dutch' (f) , 'Nana' , 'Nancy Saunders' (f) , 'Nicholsonii Purpurascens' , 'Norbury' , 'Odeta' , 'Packing Twine' , 'Pendula' , 'Procumbens' , 'Read' (f) , 'Red-bud' , 'Reeks' (f) , 'Richartii' (f) , 'Richartii' (m) , 'Streamco' , 'Uralensis' (f) , 'Welsh Dicks' , 'Whipcord'

74 Salix reinii Franch. et Sav. ex Seemen ミヤマヤナギ 深山柳
  synonym Salix reinii Franch. et Sav. ex Seemen f. cyclophylloides (Koidz.) Kimura ex Ohwi et Kitag., nom. nud.
  synonym Salix tontomussirensis Koidz.  ミヤマヤナギ synonymSalix shikotanica Kimura
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、南千島、ロシアに分布。亜高山帯から高山帯に生える。別名はミネヤナギ(峰柳)。
 落葉低木、高さは20~100㎝。岩礫地などでは地を這い、低地の栽培では直立し、高さ5mほどになることもある。新しい枝は黄褐色。若葉には細毛がある。葉は互生し、革質、枝先の方が大きく、葉身は楕円形~倒卵形、長さ3~9㎝×幅1.5~5㎝、基部はくさび形、先は丸みを帯び急に鋭形または小突形、縁には外巻きする波状の鋸歯があり、両面無毛、上面はやや光沢があり、下面は粉白色。雌雄異株。葉の展開と同時に開花する。尾状花序は円柱形、基部には小葉が3~5個つく。雄の尾状花序は長さ2.5~6㎝、直径1~1.2㎝。雌の尾状花序は長さ2.5~5㎝、直径0.5~0.7㎝。雌花、雄花ともに、腹側に腺体が1個ある。雄花は雄しべが2本。雌花の雌しべは柱頭が花柱より短く、浅く2裂し、子房は普通、無毛。包は縁に毛がある。果実は蒴果。花期は5~6月。果期は6~7月。
74-1 Salix reinii Franch. et Sav. ex Seemen f. eriocarpa (Kimura) Sugim.  キヌゲミヤマヤナギ 絹毛深山柳
  synonym Salix hidewoi Koidz.
  synonym Salix reinii Franch. et Sav. ex Seemen var. eriocarpa Kimura
 雌花の子房の全面に白色の絹毛が密生する。
74-2 Salix reinii Franch. et Sav. ex Seemen f. pendula Kimura シダレミネヤナギ 
 枝が枝垂れる。
74-3 Salix reinii Franch. et Sav. ex Seemen subsp. tontomussirensis (Koidz.) Nedol. シママルバヤナギ 
 葉が円形になる。

75 Salix repens L. クリーピングウィロー
 ヨーロッパ原産。英名はcreeping willow , silvery creeping willow
 低木、高さ1m以下、。茎は傾き、傾伏、這い、茎から根を出し、枝は直立し、初めは綿毛があって後無毛になり、または無毛、成長すると無毛で、赤褐色、灰褐色、または黒色。古い幹の樹皮はときに剥離する。葉は互生、ときに枝の基部で対生し、長さ2㎝×幅1(1.5)㎝・以下、長円状倒卵形、楕円形、披針形、倒卵状披針形、先は鋭形で反曲し、まれに鈍形、基部は円形、縁は外巻きし、少数の歯があるかまたは全縁、無毛、無毛になり、ときに毛があり、上面は暗オリーブ緑色、伏毛と絹毛があり、しかしときに無毛になるか、または完全に無毛で、下面が粉白色になる。葉柄は長さ0.5cm未満、毛があり、基部が広がる。托葉は腺に退化、またはまれに欠き、披針形。尾状花序は長さ3㎝×1cm、互生まれに対生、開花は葉の展開と同時またはほぼ同時、側生ときにほぼ頂生、まれに花序柄がなく、またはる短い花序柄があり、花序柄に葉状の苞がある。花の苞は倒卵形、長円形、披針形で、先は鈍形または凹形、普通、より暗色になるが、多くの場合、全体が均一に暗色になり、長毛がる。雄花は雄しべが離生で、毛があり、ときに花糸が無毛になる。雌花は有毛、無毛になり無毛の雌しべをもち、長い小花柄があり、花柱は短く、柱頭は2裂または細い。2n=38。
品種) 'Arenaria' , 'Argentea' , 'Armando'PBR , 'Boyds Pendulous' , 'Dart's Silver' , 'Iona' (m) , 'Iona Dwarf Form' , 'Pygmaea' , 'St Kilda' , 'Voorthuizen' (f)

76 Salix retusa L. サリクス・レテゥーサbr>  ヨーロッパ原産。英名はNotchleaf Willow
品種) 'Pygmaea'

77 Salix rorida Laksch. エゾヤナギ 蝦夷柳
  synonym Salix lackschewitziana Toepffer
  synonym Salix lackschewitziana Toepffer var. roridiformis (Nakai) Kimura
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は粉枝柳 fen zhi liu。森林、山地、小川に生える。
 高木、高さ15m以下。樹皮は灰褐色、初めは灰緑色。樹冠はタワー形または球形。小枝はあずき色(russet)、無毛、2年の小枝は白粉で覆われる。芽は無毛。托葉は無いか、または有るときは卵形または広卵形、まれに斜めの卵形、長さ4~8㎜以下、歯がある。葉柄は長さ約8㎜。葉身は披針形または倒披針形、長さ8~12㎝×幅1~2㎝、無毛、若いときは毛があり、下面は白粉で覆われ、上面は鈍い緑色、光沢があり、基部はくさび形、縁は腺のある鋸歯状、先は尖鋭形。開花は早咲き。雄性の尾状花序は円筒形、長さ1.5~3.5㎝×幅1.8~2㎝、花序柄は無い。上部の苞は黒色、倒卵状長円形、ときに基部の両側に3~4個の腺があり、長いけがある。雄花は内側に腺がある。雄しべは2本、長さ7~8.5mm。花糸は無毛。雌性の尾状花序は円筒形、長さ3~4㎝×幅1~1.5㎝、果時に長さ5cm以下。苞は雄性の尾状花序と同じ。雌花は内側の腺が柄の長さの約1/2。子房は緑色、卵状円錐形、長さ2~3㎜、無毛、柄は長さ1~1.5㎜。花柱は長さ1~2㎜、子房より短い。柱頭は2裂。花期は5月。果期は6月。
品種) 'Seoraksan'
77-1 Salix rorida Laksch. f. pendula Kimura シダレエゾヤナギ 
 枝が下垂する。
77-2 Salix rorida Laksch. f. roridiformis (Nakai) Kimura ex H.Ohashi コエゾヤナギ 
  synonym Salix rorida Laksch. var. roridiformis (Nakai) Ohwi

78 Salix rosmarinifolia L. ホソバヌマヤナギ 
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ヨーロッパ原産。中国名は细叶沼柳 xi ye zhao liu。英名はrosemary-leaved willow。

79 Salix rupifraga Koidz. コマイワヤナギ 駒岩柳
 日本固有種。本州の関東地方西部~中部地方に分布する。山地の岩場に生える。
 落葉小低木、高さ0.5~1m。葉は互生し、長さ3~10㎝×幅2~3㎝の長楕円形、縁にまばらに細鋸歯があり、先は尖鋭形。葉の展開と同時に開花する。雄花序は長さ2.5~4.5㎝の円柱形。雄しべは6本。花糸は離生。雌花序は長さ1.7~2.5㎝。苞は淡黄緑色で両面に長い軟毛が密にある。花期は3月末~6月。
79-1 Salix rupifraga Koidz. f. eriocarpa (Kimura) Kimura ex H.Ohashi  ケコマイワヤナギ 
  synonym Salix rupifraga Koidz. var. eriocarpa Kimura

80 Salix saxatilis Turcz. ex Ledeb. ケコバヤナギ 
  synonym Salix nyiwensis Kimura
  synonym Salix stoloniferoides Kimura
 モンゴル、ロシア原産。

81 Salix schwerinii E.L.Wolf エゾノキヌヤナギ 蝦夷の絹柳
  synonym Salix pet-susu Kimura f. angustifolia (Kimura) Kimura
  synonym Salix viminalis L. var. angustifolia Turcz.
  synonym Salix pet-susu Kimura f. abbreviata (Kimura) Kimura ex Ohwi et Kitag.
  synonym Salix viminalis auct. non L.
  synonym Salix yezoensis (C.K.Schneid.) Kimura
  synonym Salix pet-susu Kimura
 北海道、本州の東北地方北部、サハリンに分布。別名はギンヤナギ(銀柳)。水辺に生える。
 高さ6~13(25)m。樹皮は灰暗色または暗褐色で縦に不規則な割れ目が入る。枝はよく分枝し、小枝は斜上しやや真っすぐ。若葉は上面に白色の綿毛があり、先を除いて縁は外巻きになる。葉は互生し、葉柄は長さ8~15㎜、毛がある。葉身は披針形、長さ10~20cm×幅1.2~2cm、基部はくさび形、縁は全縁、先は尾状尖鋭形、下面に絹毛が密生し銀白色。雌雄異株。葉の展開前に開花する。雄花序は卵形~長楕円形、長さ2~3.5㎝×直径1~1.5㎝、雄花の葯は黄色。雌花序は淡黄色、長さ2~3.5㎝×直径7~9mm、果時に長さ約10㎝になる。花期は4~5月。果期は5~6月。
品種) 'Carin Ehrenberg' , 'Hilliers'
81-1 Salix schwerinii E.L.Wolf subsp. yezoensis (C.K.Schneid.) Vorosch.  エゾノキヌヤナギ 狭義
81-2 Salix schwerinii E.L.Wolf 'Kinuyanagi'  キヌヤナギ 
  synonym Salix schwerinii auct. non E.L.Wolf
  synonym Salix kinuyanagi Kimura

82 Salix serpyllifolia Scop.
  synonym Salix retusa var. serpillifolia (Scop.) Wahlenb.
 ヨーロッパ(オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、ユーゴスラビア)原産。英名はthyme-leaved willow。
品種) 'Chamonix'

83 Salix sessilifolia Nutt.
 カナダ、USA原産。英名はnorthwest sandbar willow
品種) 'Multnomah'

84 Salix shiraii Seemen シライヤナギ 白井柳 広義
 日本固有種。本州の北東部と中央(山形県、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、長野県の浅間山と兜岩山)に分布する。 山地の上部から亜高山帯の岩が多い崖または岩棚に生える。
 落葉低木。高さ0.5~1m。枝は暗褐色,葉は互生し、葉柄は短い。葉身は卵形~楕円状卵形、長さ4.5~8㎝×幅2~4㎝、基部は浅い心形~くさび形~短い漸尖形~心形、縁に鋭鋸歯があり、先は鋭形、下面は帯粉白色(若い時は粉白色で、成熟するとわずかに粉白色)で無毛または灰色の伏した長毛があり、普通、成葉の細脈は不明瞭。本種はシバヤナギに似るが、それより棄が広く短く、鋭鋸歯があり、先端するどくとがり、若いとき毛が多い。雌雄異株。雄花序は長さ2.5~3.5㎝、狭円錐形。雄花の雄しべは2本。雌花序は長さ2.5~5㎝。苞は楕円形~広楕円形、長さ0.6~2㎜。子房の柄は長さ0.5~0.8㎜、果時には普通、長さ0.8~2.0(~2.3)㎜、苞より長い。花期は5月。
84-1 Salix shiraii Seemen var. shiraii  シライヤナギ 白井柳
 成葉の葉身は楕円形または楕円状倒卵形、基部は円形~心形、下面は無毛。
84-2 Salix shiraii Seemen var. kenoensis (Koidz.) Sugim.  チチブヤナギ 秩父柳
  synonym Salix kenoensis Koidz.
 本州(群馬県、埼玉県、東京都、長野県)に分布。 山地の上部から亜高山帯の岩が多い崖または岩棚、石灰岩地域によく生える。
 成葉の葉身は楕円形、長円形、または長円状倒卵形、基部はほとんどが切形または短い漸尖形、しかし、下部の少数の葉はしばしば心形になる。葉の下面は宿存する絹毛があり、少なくとも肋に沿ってある。

85 Salix sieboldiana Blume ヤマヤナギ 山柳 広義
  synonym Salix buergeriana Miq.
  synonym Salix propitia Koidz.
  synonym Salix saidaeana Seemen
  synonym Salix daiseniensis Seemen
  synonym Salix harmsiana Seemen
 日本固有種。本州(近畿地方以西)、四国、九州に分布する。丘陵地~山地に広く生える。  落葉低木、高さ2~4m。株立ちになる。樹皮は暗灰色。裸材に隆起条はない。新枝は緑褐色、はじめ綿毛があるが、後に無毛になる。冬芽(花芽)は黄褐色、卵形、長さ約1cm。托葉は明瞭。葉は互生し、葉柄は長さ1~2㎝。葉身は長楕円形、長さ8~14cm×幅2.5~5cm、縁に波状の鋸歯があり、縁は巻かず、下面は粉白色、普通、無毛。雌雄別株。葉の展開と同時に開花する。雄の尾状花序は長さ2.5~5cm、花序柄は無い。雄花は雄しべが1本のものと2本のものが混在する。葯は黄色。花糸は離生または途中まで合着する。基部には腺体が1個ある。雌の尾状花序は長さ3~5cm。雌花は子房に柄があり、白色の綿毛が密生する。腺体は1個。苞は卵形~楕円形、上半部は黒褐色または赤褐色で下部は淡緑色、両面に長い軟毛が密生する。果実は蒴果、成熟して裂開する。花期は3月下旬。果期は5月。
85-1 Salix sieboldiana Blume var. sieboldiana ヤマヤナギ 山柳
85-2 Salix sieboldiana Blume var. doiana (Koidz.) H.Ohashi et Yonek. サツマヤナギ 薩摩柳
  synonym Salix doiana Koidz.
  synonym Salix tsukushiana Koidz.
 日本固有種。九州(宮崎県、鹿児島県)に分布する。低地の丘の斜面に生える。
 当年枝の中間または先の葉の葉身は長円形または狭長円形、縁は円鋸歯状鋸歯があり、上面は緑色、若いときは帯褐色または白色の毛があり、成熟すると無毛になり、下面は淡色または弱く粉白色、若い時は帯褐色または帯白色の毛があり、毛は少なくとも肋に沿って宿存し、外脈は8~13対。雄花は苞が楕円形、長さ1.0~1.5㎜、全体に淡褐色または先が暗褐色。 雄しべは普通、1本、まれに、尾状花序の基部では2本の雄しべの花が混じる。雌花は苞が長円形または長円状卵形、長さ1.5~2.0(~2.5)㎜、先が暗褐色。果実の柄の長さは0.5~1.2mm。

86 Salix silesiaca Willd. シレシアヤナギ
  synonym Salix × rubens J.Presl & C.Presl
 ヨーロッパ東部原産。
品種) 'Basfordiana' , 'Bouton Aigu' , 'Decipiens' , 'Farndon' , 'Farndon Red' , 'Flanders Red' , 'Fransgeel Rood' , 'Glaucescens' , 'Golden Willow' , 'Hutchinson's Brown' , 'Hutchinsons Yellow' , 'Jaune de Falaise' , 'Jaune Hâtive' , 'Laurina' , 'Natural Red' , 'Parsons' , 'Rouge Ardennais' , 'Rouge Folle' , 'Russet' , 'Sanguinea' , 'Viridis Sanguinea'

87 Salix sitchensis Sanson ex Bong.
 カナダ、USA原産。英名はSitka Willow
品種) 'Plumas'

88 Salix starkeana Willd. エナガキツネヤナギ 
  synonym Salix livida Wahlenb.
 ヨーロッパ原産。英名はbeak willow , long-beak willow , diamond willow。

89 Salix subopposita Miq. ノヤナギ 野柳
  synonym Salix repens L. var. subopposita (Miq.) Seemen
 日本(本州の中国地方西部、四国、九州)、朝鮮(済州島)原産。別名はヒメヤナギ。湿った草地に生える。
 落葉小低木、高さ20~70㎝。枝は繊細で群生して斜上し、強靭である。小枝は黄褐色~暗褐色、灰色の短毛が密生し、ときに、ややビロード状を呈するが、後に次第に無毛となる。裸材には小隆起線が散在する。冬芽(花芽)は卵形、長さ5~7mm、鈍頭、淡褐色、長軟毛を密生し、後にしばしばやや無毛となる。托葉は明瞭、斜めの卵形、長さ3~10mm、先は鋭形または鈍形、縁に不明瞭な小鋸歯がある。成葉は互生し、しばしば対生し、葉柄は長さ5~7mm。葉身は小さいものは長さ1.5~3cm×幅2~5mm、大きいものは長さ3~5cm×幅5~15mm、質がやや厚く、長楕円形、長楕円状披針形、または楕円形、縁は全縁、外巻きし、上面は葉脈が凹み、微細な毛があり灰緑色を呈し、下面は粉白色、伏した長軟毛が密~疎につき、脈は強く隆起する。葉の展開より早く開花する。尾状花序はネコヤナギに似て密に花をつけ、卵形~楕円形。雄の尾状花序は長さ1~2cm×直径約1cm。雌の尾状花序は長さ8~10mm、直径5~7mm。苞は倒卵状楕円形~倒卵形、先は円形、上部は黒色で基部は淡黄緑色、両面の上部に白色~帯黄色の光沢がある長軟毛がある。雄花の腺体は普通、1個で、狭卵形、先は切形。雄しべは2本、葯は紅色または黄紅色。雌花の腺体は1個、形は雄花と同様。子房は狭卵形で短毛を密生し、柄にも毛があり、腺体と同長ないし2倍長。花柱は短い。柱頭は2深裂する。花期は4月。

90 Salix tagawana Koidz. タガワヤナギ
  synonym Salix fulvopubescens Hayata var. tagawana (Koidz.) K.C.Yang et T.C.Huang 
 台湾原産。花莲柳

91 Salix taiwanalpina Kimura ナンコミネヤナギ 
  synonym Salix chingshuishanensis S.S.Ying
 台湾原産。 台湾山柳

92 Salix takasagoalpina Koidz. タカサゴヤナギ 
  synonym Salix taiwanalpina Kimura var. takasagoalpina (Koidz.) S.S.Ying
 台湾原産。中国名は台湾匐柳 gao shan liu。

93 Salix taraikensis Kimura タライカヤナギ 多来加柳
  synonym Salix taraikensis Kimura f. latifolia (Kimura) Kimura
  synonym Salix xerophila Flod. f. glabra (Nakai) Kitag.
  synonym Salix taraikensis Kimura var. latifolia Kimura
 日本(北海道東部)、朝鮮、ロシア原産。別名はヒロハノタライカヤナギ、 チョウセンミネヤナギ。広葉山地や低地、湿原に生える。  落葉低木、高さは3~5m。枝は直立し、斜上または横に開き、前年枝と成葉は無毛。冬芽(花芽)は細長く、角(かど)張り、しわがある。葉は長円形、基部は広くさび形~円形、縁に浅い鋸歯があり、先は尖鋭形。雌雄異株。葉の展開と同時に開花する。雄花は雄しべ2本、花糸は2本、下部が有毛または無毛、長さ約11mm。葯は黄色、腺体は1個、長さ0.4~0.8㎜。苞は長楕円形、長さ2.3~2.6㎜、上半部が暗色で、両面に長軟毛がある。

94 Salix tetrasperma Roxb. テンジクヤナギ 天竺柳
 中国、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、パキスタン、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は四子柳 si zi liu。英名はIndian willow。

95 Salix triandra L. タチヤナギ 立柳 広義
  synonym Salix triandra L. var. nipponica (Franch. et Sav.) Seemen
  synonym Salix subfragilis Andersson
  synonym Salix nipponica Franch. et Sav.
 日本、ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、トルコ、ヨロッパ、アルジェリア、チュニジア原産。英名はAlmond leaf willow , Almond willow , almond-leaved willow , French willow , golden willow。河岸、荒地に生える。
 落葉低木、高さ4~10m。樹皮は赤栗色、褐色、またはほぼ黒色、不規則な剥片に剝れる。枝は無毛または無毛になる。小枝は黄褐色、赤褐色、または帯褐色、普通、無毛、まれに直軟毛がある。托葉は初めは未発達~葉状(下部の葉には無い)。葉柄は上面に深い溝があり、縁は溝を覆い、長さ4~26mm、毛があるかまたは、上面に微軟毛があるか~無毛になる。最大の中間の葉身は、長円形、狭い長円形、狭い楕円形、楕円形、または披針形~倒卵形、長さ53~114mm×幅14~35mm、長さは幅の2.7~6.3倍、基部は凸状またはくさび形、縁は平らまたはわずかに外巻き、縁は円鋸歯または鋸歯があり、先は尖鋭形、鋭形、または±尾状、下面は無毛または無毛になり、上面は鈍いまたはわずかに光沢のあり、無毛または無毛になる。下部の葉身の縁は円鋸歯または小円鋸歯がある。若葉の葉身は赤みを帯びる。雄の尾状花序は長さ20~60mm×幅5.5~10mm、花のつく小枝は長さ3~17mm。雌の尾状花序は花が中程度~非常に密につき、細くて丈夫で、長さ20~60mm×幅5~8mm、花のつく小枝は長さ5~31mm。花の苞は長さ1~2.3mm、先は円形または鋭形、下面に毛があり(主に下部に)、毛が波打つ。雄花は外側の蜜腺が長さ0.2~1.1mm、内側の蜜腺は長円形、正方形、または卵形、長さ0.2~0.6mm、分離。花糸は分離、下部の1/2に毛がある。葯は楕円形。雌花は外側の蜜腺は倒卵形~正方形、長さ0.3~0.5mm。子房は 洋ナシ形、嘴は次第に先細なるか、花柱の下がわずかに膨らむ。胚珠は子房あたり30~36個。花柱はその1/2が分離し、長さ0.2~0.3mm。柱頭は平らで、外側にパピラは無く、先端が丸く、長さ0.1~0.2mm。蒴果は長さ3~6mm。2n=38(44), 57, 88。花期は春下旬。
品種) 'Amygdalina Vitellina' , 'Belge' , 'Black German' (m) , 'Black Hollander' (m) , 'Black Maul' , 'Brilliant' , 'Champion' , 'Champion B' , 'Faux Plant de Tourraine' , 'French Purple' , 'Grisette de Falaise' , 'Grisette Droda' (f) , 'Grisette Noire' , 'Grizette' , 'Hoppeana' , 'Houghton's Black' , 'Light French' , 'Long Bud' , 'Medwedewii' , 'Mottled Spaniards' , 'Noir de Challans' , 'Noir de Touraine' , 'Noir de Villaines' (m) , 'Noire de Villaine' , 'Oliveacea' , 'Q83' , 'Rouge d'Orléans' , 'Sarda' , 'Sarda d'Anjou' , 'Semperflorens' (m) , 'Whissander' , 'Yellow Dutch' , 'Zwarre Driebast'
95-1 Salix triandra L. subsp. triandra セイヨウタチヤナギ 西洋立柳

95-2 Salix triandra L. subsp. nipponica (Franch. et Sav.) A.K.Skvortsov タチヤナギ 立柳
 北海道、本州、四国、九州に分布する。湿地に生える。
 落葉低木~小高木、株立ちし、高さ3~10m、幹の直径10~30cm。樹皮は灰褐色、不規則に剝れる。裸材に隆起条はない。枝は整然と伸び、新枝は灰褐緑色、無毛、しばしば白粉を被る。冬芽の花芽は褐色。長さ約7mmの挟三角形~卵形、先は尖る。芽鱗は無毛のものと有毛のものがある。托葉は腎形。葉は互生し、葉柄は長さ5~10mm。葉身は長楕円形、長さ6~15㎝×幅2~3.5㎝、縁には歯先が腺になる細かい鋸歯があり、下面は淡白緑色、無毛。若葉は赤褐色を帯び、縁は巻かない。雌雄別株。葉の展開と同時に開花する。尾状花序は長い円錐形、長さ4~6cm。雄花序は黄色く、苞は外面に毛があり、黄色。雄花は雄しべが3本。葯は黄色。花糸は離生し、基部に黄緑色の腺体が2個ある。雌花序は黄緑色、苞は外面に毛があり、淡黄緑色。雌花の腺体は黄色で1個。子房は長い柄があり、緑色で無毛。果実は蒴果、裂開する。花期は4月。果期は5月。

96 Salix udensis Trautv. et C.A.Mey. オノエヤナギ 尾上柳
  synonym Salix udensis subsp. sachalinensis (F.Schmidt) Nedol.
  synonym Salix sachalinensis F.Schmidt
  synonym Salix siuzevii Seemen
  synonym Salix opaca Andersson ex Herder
 日本(北海道、本州、四国)、朝鮮、ロシア原産。別名はカラフトヤナギ、ナガバヤナギ、ヤブヤナギ。湿地や川岸に生える。
 樹高は5~10m。樹皮には不規則な縦方向の裂目ができる。枝はほぼ無毛、まっすぐに伸びる。冬芽は赤褐色、長楕円形で先は丸い。芽燐はほぼ無毛。托葉は明瞭。葉は互生し、葉身は披針形~狭披針形、縁は波状の細鋸歯があり、外巻き(若葉)、上面が暗緑色、光沢があり、初め軟毛があるがのちに無毛、下面は帯白淡緑色、全体に伏毛がある。雌雄異株。葉の展開前に開花する。雄の尾状花序は円柱形、短い花序柄があり、花序柄に小葉が数個つく。雄花の葯は濃紅色を帯びる。雌の尾状花序円柱形。雌花の子房は白色で短毛がある。柱頭は2裂し赤味を帯びる。果実は蒴果、熟すと2裂し、白い綿毛につつまれる種子を出す。花期は4月。
品種) 'Golden Sunshine' , 'Kioryo' , 'Sekka'セッカヤナギ(枝が偏平化する帯化現象のために幅が5~6㎝になったもの)

97 Salix viminalis L. セイヨウキヌヤナギ 西洋絹柳
 ヨーロッパ、西アジア、ヒマラヤ原産。英名はbasket willow , common osier , osier , silky osier。砂浜、開いた森、石畳の川岸、湖の縁、道端などに生える。
 低木または高木、高さ15m以下。枝は黄褐色、灰褐色、または帯黄色、粉白色でなく、無毛または微軟毛がある。小枝は黄褐色または帯黄色(ときに、毛で色が不明瞭)、無毛、密~疎に絨毛状、ビロード状、または微軟毛がある。托葉(葉柄につかない)は初期のものには未発達または無い(後期のものはときに帯褐色、線形、長さ5.4~10.4㎜)、先は尖鋭形。葉柄は上面に浅い溝があり、長さ4~13㎜、上面は絨毛、微軟毛、またはビロード状の毛がある。最大の中間の葉身は線形、 帯ひも状、狭い長円形、または狭い楕円形、長さ53~130㎜×幅5~33㎜、基部はくさび形、縁は強く外巻きし、または明らかに全縁(腺は葉身上:epilaminal)、先は尖鋭形、鋭形、または凸状、下面は明瞭に粉白色(毛により不明瞭)、密に短い絹毛、羊毛状毛、または綿毛があり(中肋は明瞭、帯黄色で毛がある)、毛は伏せまたは開出または直立し、真っすぐまたは波打ち、上面は鈍いまたはわずかに光沢があり、疎~中程度に密に毛があり、毛は灰色。下部の葉身は縁が全縁。若葉の葉身は黄緑色、非常に密に綿毛があり、または下面に短い絹毛があり、毛は白色。葉が展開する直前または同時に尾状花序は開花する。雄の尾状花序はずんぐりし(stout)、長さ24~48㎜、花のつく小枝は長さ0~2㎜。雌の尾状花序は密に花がつく、長さ23~55 mm、花のつく小枝は長さ0~6㎜。花の苞は褐色または黄褐色、長さ1.6~2.2㎜、先は凸状または円形、外面に毛があり、毛は真っすぐ。雄花は内側の蜜腺が狭長円形または長円形、長さ0.6~1.5㎜。花糸は分離。葯は紫色、黄色に変わり、楕円形~短い円筒形、長さ0.6~0.8㎜。雌花は内側の蜜腺が狭長円形または長円形、長さ0.9~1.4㎜。子房は洋ナシ形、嘴は徐々に花柱に向かって先細になる。胚珠は各子房に12~18個。花柱は長さ0.6~1.8㎜。蒴果は長さ4~6㎜。2n=38。花期は4~5月上旬。
品種) 'Aquatica Gigantea' , 'Black Satin' , 'Bowles' Hybrid' , 'Brown Merrin' , 'Campbell' , 'English Rod' , 'Gigantea' (m) , 'Green Gotz' , 'Jorr' , 'Jorunn'PBR , 'Meteor'PBR , 'Mulattin' , 'Reader's Red' (m) , 'Regalis' , 'Riefenweide' , 'Romanin' , 'Stone Osier' , 'Suffolk Osier' , 'Tora' , 'Tordis'PBR , 'Yellow Osier'

98 Salix vulpina Andersson キツネヤナギ 狐柳 広義
 北海道、本州、四国、九州、南千島に分布する。近畿地方以西に分布するものを亜種のサイコクキツネヤナギとしている。
98-1 Salix vulpina Andersson subsp. vulpina キツネヤナギ 狐柳
  synonym Salix vulpina Andersson var. subalpina Koidz.
  北海道、本州の関東地方北部~東北地方、南千島に分布する。別名はイワヤナギ、オオシバヤナギ 。丘陵地から山地の日当たりの良い場所に生える。
 低木、高さ1~2m。樹皮は灰褐色。1年枝は無毛またはわずかに毛があり、後に無毛になる。葉、苞などに黄褐色(きつね色)の毛がある。和名はこれによる。葉は互生し、葉柄は長さ10~15(~20)㎜。葉身は倒卵形~楕円形、長さ5~12(~15)cm×幅2~5.5(~7)cm、基部はくさび形~円形、縁には浅い波状の鋸歯があり、先は尖鋭形、表面に少ししわがあり、下面は粉白色を帯び、ほぼ無毛、側脈は弧状に上向きに曲がり葉縁に達しない。雌雄異株。葉の展開前に開花する。尾状花序は雌雄とも円柱形、長さ3~5㎝。花の苞は黄褐色(きつね色)の毛があり、上部は褐色または暗褐色、下部は淡黄緑色、両面に白色の長軟毛が密にある。雌雄花ともに腹側に1個の腺体がある。雄花の雄しべ2本。葯は黄色。雌花の雌しべは1本、子房は柄があり無毛、花柱、柱頭ともに短い。花期は3~4月。果期は5月。
98-2 Salix vulpina Andersson subsp. alopochroa (Kimura) H.Ohashi et Yonek. サイコクキツネヤナギ 西国狐柳
  synonym Salix alopochroa Kimura
 本州の近畿地方以西、四国、九州北部に分布する。丘陵地~山地に生える。
 葉には特有の顕著なしわがあり、葉はやや小型で長さ5~7(~12)㎝×幅2.5~3.3(~5.5)㎝、倒長円状卵形~長円形。雄の尾状花序が太く短く、花序基部の小葉が未発達かまたは欠く。
98-2-1 Salix vulpina Andersson subsp. alopochroa (Kimura) H.Ohashi et Yonek. f. psilostachys (Kimura) H.Ohashi et Yonek. カンサイキツネヤナギ 関西狐柳
  synonym Salix alopochroa Kimura var. psilostachys (Kimura) Kimura
 近畿以西に分布。
 苞が無毛のもの。

99 Salix yoshinoi Koidz. ヨシノヤナギ 吉野柳
  synonym Salix yoshinoi Koidz. f. pseudoyoshinoi (Koidz.) Kimura
 日本固有種。本州の近畿地方以西、四国に分布する。河原に生える。
 落葉高木、高さ25m以下。1本立ちで、樹冠は丸い。樹皮は灰褐色。裸材に隆起条はない。新枝は緑褐色で細く、先端部は灰色の毛が密生する。冬芽の花芽は褐色、卵形、長さ4~5mm。托葉は小さい。葉は互生し、葉柄は長さ3~7㎜、白色の毛が密生する。葉身は長さ4~8cm×幅1~2cmの線形、縁には浅い細鋸歯があり、新葉の縁は巻かず、下面は緑色。上面の主脈には宿存性の絹毛があり、下面の側脈は葉縁に達しないかまたは不明瞭。雌雄別株。葉の展開と同時に開花する。雄花序は円柱形、長さ2~3cm×幅約7mm。雄花の雄しべは2本。葯は黄色。花糸は離生し、基部には腺体が2個ある。雌花序は雄花序に比べてはるかに短く、長さ1~1.2cm×幅約5㎜。雌花の子房には白色の毛が密生する。腺体は1個。花の苞は楕円形で淡黄色。果実は蒴果、裂開する。花期は3~4月。果期は5月。

100 ハイブリッド
(1) Salix x algista C.K.Schneid. トウゲヤナギ 
 カワヤナギ×ミヤマヤナギ
(2) Salix x ampherista C.K.Schneid. ハコダテヤナギ 広義
 オノエヤナギ×キツネヤナギ。別名はヤマトヤナギ、 イシカワヤナギ。
(2-1) Salix x ampherista C.K.Schneid. nothosubsp. ampherista ハコダテヤナギ 
(2-2) Salix x ampherista C.K.Schneid. nothosubsp. yamatoensis (Koidz.) H.Ohashi et Yonek. ヤマトヤナギ 
  synonym Salix x yamatoensis Koidz.
  synonym Salix x ishikawae Kimura
 オノエヤナギ×サイコクキツネヤナギ。別名はイシカワヤナギ。
(3) Salix x arakiana Koidz. ナガバノネコヤナギ 
  ネコヤナギ×オノエヤナギ
(4) Salix x arikae H.Ohashi et Yonek. バッコオオキツネヤナギ 
 バッコヤナギ×オオキツネヤナギ
(5) Salix × calliantha Jos.Kern.
 ヨーロッパ原産。英名はWest Wales Willows。Salix purpurea × Salix daphnoides。
品種) 'William Rogers'
(6) Salix x chrysocoma Dode コガネシダレ 
 セイヨウシロヤナギ×シダレヤナギ。栽培種。
 ヨーロッパの特に中部以北で庭園や公園に植えられ、シダレヤナギのように見える。
(7) Salix x cremnophila Kimura ネコシバヤナギ 
 ネコヤナギ×シバヤナギ。
(8) Salix × doniana Sm.
 ヨーロッパの自然交雑種。 Salix purpurea × Salix repens
品種) 'Gracilis' , 'Kumeti'
(9) Salix x eriocataphylla Kimura  シグレヤナギ 
 バッコヤナギ×シバヤナギ
(10) Salix x eriocataphylloides Kimura  ナスノシグレヤナギ 
 バッコヤナギ×シライヤナギ
(11) Salix x euerata Kimura  カワオノエヤナギ 
 カワヤナギ×オノエヤナギ
(12) Salix × fragilis L. ポッキリヤナギ
  synonym Salix sanguinea Selling
 ヨーロッパ、西アジア原産。英名はcrack willow , brittle willow。
 Salix alba × Salix euxina
品種) 'Basfordiana' (m) , 'Bouton Aigu' , 'Farndon' , 'Flanders Red' (f) , 'Fransgeel Rood' (m) , 'Glaucescens' (m) , 'Golden Willow' , 'Hutchinson's Brown' , 'Jaune de Falaise' , 'Jaune Hâtive' , 'Laurina' , 'Legomey' , 'Natural Red' (f) , 'Parsons' , 'Rouge Ardennais' , 'Rouge Folle' , 'Russet' (f) , 'Sanguinea' , 'Viridis Sanguinea' , 'Vitellina Natural Red'
(12-1) Salix × fragilis f. vitellina (L.) I.V.Belyaeva
  synonym Salix vitellina L.
  synonym Salix alba var. vitellina (L.) Stokes
 英名はgolden willow
品種) 'Aurea Pendula' , 'Britzensis'(scarlet willow) , 'Pendula' , 'Yelverton'
(13) Salix × fruticosa Döll
 ヨーロッパ原産。
 Salix viminalis x S. aurita
品種) 'McElroy' (f)
(14) Salix x gracilistyloides Kimura ロッコウヤナギ 
  ネコヤナギ×サイコクキツネヤナギ
(15) Salix x grahamii Borrer ex Baker
 Salix herbacea x S. aurita x S. repens。英名はIrish Prostrate Willow
品種) 'Moorei'
(16) Salix x hachiojiensis Yoshiyama イヌバッコヤナギ 
 バッコヤナギ×イヌコリヤナギ
(17) Salix x hapala Kimura イヌカワヤナギ 
  イヌコリヤナギ×カワヤナギ。別名はカワイヌコリヤナギ。
(18) Salix x hatusimae Kimura チクゼンヤナギ 
 ネコヤナギ×イヌコリヤナギ。
(19) Salix x hayatana Kimura リュウゾウジヤナギ 
 オオタチヤナギ×ネコヤナギ
(20) Salix × hermaphroditica L.
  synonym Salix × meyeriana Rostk.
 ハンガリー原産の自然交雑種。
  S. pentandra × S. fragilis
品種) 'Daza' , 'Lumley' (f)
(21) Salix x hiraoana Kimura ヒラオヤナギ 広義
 イヌコリヤナギ×サイコクキツネヤナギ。別名はツガルヤナギ。
(21-1) Salix x hiraoana Kimura nothosubsp. hiraoana ヒラオヤナギ 平生柳
 イヌコリヤナギ×サイコクキツネヤナギ
 兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県に分布。
(21-2) Salix x hiraoana Kimura nothosubsp. tsugaluensis (Koidz.) H.Ohashi et Yonek. ツガルヤナギ 津軽柳
  synonym Salix x tsugaluensis Koidz.
 東北地方に分布。イヌコリヤナギ×キツネヤナギ。
品種) 'Ginme' (f)
(22) Salix x hirtei Strähler
 栽培種。Salix viminalis × Salix cinerea Salix Salix aurita
品種) 'Delamere' , 'Reifenweide' (f) , 'Rosewarne'
(23) Salix x hisauchiana Koidz. フジヤナギ 
 イヌコリヤナギ×シバヤナギ
(24) Salix x ikenoana Kimura イケノヤナギ 
 イヌコリヤナギ×オノエヤナギ
(25) Salix x iwahisana Kimura イワヒサヤナギ 
 ネコヤナギ×エゾヤナギ
(26) Salix x japopina Kimura シバキツネヤナギ 
 シバヤナギ×キツネヤナギ。栽培種。
(27) Salix x kamikotica Kimura カミコウチヤナギ 上高地柳
 ケショウヤナギ×オオバヤナギ。長野県の上高地周辺に分布。
(28) Salix x kawamurana Kimura ミョウジンヤナギ 
 ネコヤナギ×オオキツネヤナギ
(29) Salix x ketoiensis Kimura ケトイヤナギ 
 タカネイワヤナギ×ミヤマヤナギ
(30) Salix x koidzumii Kimura トヨハラヤナギ 
  synonym Salix x asamaensis Sugim.
 バッコヤナギ×オノエヤナギ。別名はコイズミヤナギ、バッコオノエヤナギ、アサマヤナギ。
(31) Salix x koiei Kimura ヌシロヤナギ 
 ネコヤナギ×カワヤナギ。別名はコイエヤナギ。
(31-1) Salix x lasiogyne Seemen nothosubsp. lasiogyne シロシダレヤナギ 
 シダレヤナギ×コゴメヤナギ
(31-2) Salix x lasiogyne Seemen nothosubsp. yuhkii (Kimura) H.Ohashi ユウキシダレ 
  synonym Salix x yuhkii Kimura
 シダレヤナギ×シロヤナギ。
(32) Salix x leucopithecia Kimura フリソデヤナギ 振袖柳
  synonym Salix x yoitiana Kimura 
 バッコヤナギ×ネコヤナギ。別名はヨイチヤナギ。冬芽が赤いため、アカメヤナギともいわれる。
 明暦の大火(1657年)の火元とされた本郷の本妙寺(現在は巣鴨に移転)に植えられていたためこの名で呼ばれる。
(33) Salix x matsumurae Seemen  クヤマサルコ 
 オオキツネヤナギ×キツネヤナギ
(34) Salix x mictostemon Kimura ワケノカワヤナギ 
 ジャヤナギ×カワヤナギ
(35) Salix × mollissima Hoffm. ex Elwert
  synonym Salix x mollissima var. hippophaifolia (Thuill.) Wimm.
  synonym Diplusion × undulata Raf.
 ヨーロッパ、オーストラリア原産。英名はSharp-stipuled Willow
 Salix triandra x Salix viminalis
品種) 'Jefferies' (m) , 'Kottenheider Weide' (f) , 'Notts Spaniard' (m) , 'Pheasant Brown' , 'Q83' , 'Stinchcombe' , 'Trustworthy' (m)
(36) Salix x nasuensis Kimura ナスノイワヤナギ 
 オオキツネヤナギ×シライヤナギ
(37) Salix x paramushirensis Kudô  チシマオノエヤナギ 
  synonym Salix pulchra Cham. subsp. parallelinervis auct. non (Flod.) A.K.Skvortsov
  synonym Salix kudoi Kimura
 ミヤマヤチヤナギ×オノエヤナギ
(38) Salix x pedionoma Kimura バッコキヌヤナギ 
 バッコヤナギ×エゾノキヌヤナギ
(39) Salix × pendulina Wender.
 S. babylonica × S. fragilis or S. euxinaの人工交配種。野生化している。
品種)  'Elegantissima'
(39-1) Salix × pendulina f. erythroflexuosa I.V.Belyaeva
  synonym Salix × erythroflexuosa Ragonese & Alberti
 Salix matsudana'Tortuosa 'とSalixalba'Tristis'の人工交配種、栽培種。英名はGolden Twisted Willow
品種) 'Vanstones Gold'
(40) Salix x praegaudens H.Ohashi et Yoshiyama ドアイヤナギ 
  synonym Salix caprea L. x S. hukaoana Kimura
 バッコヤナギ×ユビソヤナギ
(41) Salix x praegravis Kimura バッコオノエヤナギ
 バッコヤナギ×オノエヤナギ
(42) Salix x pseudopaludicola Kimura オオミヤマヤチヤナギ 
 ミヤマヤチヤナギ×ミヤマヤナギ
(43) Salix × rubra Huds. サリクス・ルブラ
 ヨーロッパ原産。英名はgreen-leaved willow , red osier , tulip willow。
 S. purpurea × S. viminalis。
品種) 'Abbey's Harrison' (f) , 'Continental Osier' (f) , 'Eugenei' (m) , 'Fidkin' (f) , 'Harrison's' (f) , 'Harrison's Seedling A' (f) , 'Harrison's Seedling B' , 'Mawdesley' , 'Mawdesley Seedling A' (f) , 'Pyramidalis'
(44) Salix x sakaii H.Ohashi et Yonek. イヌコリシライヤナギ 
 イヌコリヤナギ×シライヤナギ
(45) Salix x sakamakiensis Yoshiyama サカマキヤナギ 
 コマイワヤナギ×オノエヤナギ
(46) Salix x sendaica Kimura センダイヤナギ 広義
 バッコヤナギ×キツネヤナギ。別名はコンゴウバッコヤナギ。
(46-1) Salix x sendaica Kimura nothosubsp. sendaica センダイヤナギ 
 バッコヤナギ×キツネヤナギ
(46-2) Salix x sendaica Kimura nothosubsp. ultima (Koidz.) H.Ohashi et Yonek. コンゴウバッコヤナギ 
  synonym Salix x ultima Koidz.
  ヤマネコヤナギ×サイコクキツネヤナギ
(47) Salix × sepulcralis Simonk. 黄金シダレヤナギ
  synonym Salix salomonii (Carrière) Carrière
 英名はChrysocoma , Weeping Golden Willow。
 Salix alba × Salix babylonica
品種) 'Aokautere' , 'Caradoc' , 'Chrysocoma' , 'Dart's Snake' , 'Erythroflexuosa' , 'Salamonii' , 'Sepulcralis'
(48) Salix x sigemitui Kimura フカオヤナギ 
 ネコヤナギ×ユビソヤナギ
(49) Salix x sirakawensis Kimura コセキヤナギ 
 イヌコリヤナギ×オオキツネヤナギ
(50) Salix x sugayana Kimura スガヤヤナギ
  イヌコリヤナギ×コマイワヤナギ
(51) Salix x sumiyosensis Kimura スミヨシヤナギ 
 ネコヤナギ×ヨシノヤナギ
(52) Salix x tamagawaensis Yoshiyama et J.Yamag. シバオノエヤナギ 
 シバヤナギ×オノエヤナギ
(53) Salix × tetrapla Walk.
  synonym Salix × fraseri Druce
 ヨーロッパ原産。英名はWhite Cat Pussy Willow
 Salix myrsinifolia × Salix phylicifolia
品種) 'Hutchinson's Nigricans'
(54) Salix x thaymasta Kimura ミヤコヤナギ 
 ネコヤナギ×キヌヤナギ(およびエゾノキヌヤナギ)
(55) Salix x turumatii Kimura ヒタチヤナギ 
  バッコヤナギ×オオキツネヤナギ×ネコヤナギ
(56) その他ハイブリッド
品種) 'Advance'PBR , 'Aegma Brno' (f) , 'Americana' (m) , 'Aokautere' , 'Aquatica Gigantea' , 'Asgerd' , 'Ashton Parfitt'PBR , 'Ashton Stott'PBR , 'Aud' , 'Avon Red' , 'Axutime' , 'Basfordiana' , 'Beagle'PBR , 'Bella'PBR , 'Birgit'PBR , 'Bjírn'PBR , 'Bjtmrn'PBR , 'Black Cat' , 'Blackskin' (f) , 'Blue Streak' , 'Bowles's Hybrid' , 'Boydii' (f) , 'Boyd's Pendulous' (m) , brachycarpa 'Blue Fox' , 'Branhall' , 'Caerulea' , 'Caradoc' , 'Cardinalis' , 'Chrysocoma' , 'Coire Kander' , cordata 'Purpurescens' , 'Corrieshalloch' , 'Decipiens' , 'Dimitrios'PBR , 'Discovery'PBR , 'Drago' , 'E.A. Bowles' , 'Elegantissima' , 'Emma'PBR , 'Endeavour'PBR , 'Endurance'PBR , 'Erik'PBR , 'Erna'PBR , 'Erythroflexuosa' , 'Estelle'PBR , 'Ester'PBR , 'Eugenei' , 'Fantazija' , 'Flame' , 'Fuiri-koriyanagi' , 'Gertrud'PBR , 'Gigantea' , 'Ginme' , 'Golden Curls' , 'Green Dicks' , 'Hagensis' , 'Halla' , 'Harlequin' , 'Helga'PBR , 'Herdis' , 'Hippophaifolia' , 'J1010' , 'J1011' , 'J841' , 'J842' , 'Jacquinii' , 'Julia'PBR , 'Kishu' , 'Klara'PBR , 'Kuba Dola' , 'Kumeti' , 'Kureneko' , 'Kurome' , 'Kuroyanagi' , 'Levante' , 'Linnéa'PBR , 'Lisa'PBR , 'Loden'PBR , 'Maerd Brno' (f) , 'Mark Postill' (f) , 'Melanostachys' , 'Merry Widow' , 'Micrugosa' (m) , 'Muscina' , 'Nimrod'PBR , 'Nora' , 'Oliver' , 'Olof'PBR , 'Onoga' , 'Onusta' (m) , 'Orm' , 'Paramore'PBR , 'Petra'PBR , 'Phillip's Fancy' , 'Pink Delight' , 'Prairie Cascade' , 'Preble'PBR , 'Purpurascens' , 'Quest'PBR , 'Rapp' , 'Resolution'PBR , 'Robin Redbreast' , 'Roth Cheviot'PBR , 'Roth Chiltern'PBR , 'Roth Cotswold'PBR , 'Roth Hambleton'PBR , 'Roth Mourne'PBR , 'Salix Red' , 'Scarcuzam' , Scarlet Curls ('Scarcuzam') , 'Setsuka' , 'Silberlicht' , 'Spaethii' , 'Stina'PBR , 'Stuartii' , 'Sunny Twist' , 'Super Willow' , 'Sven'PBR , 'Sw Inger'PBR , 'Sw Sherwood'PBR , 'Swierdtowskaja Iswilistajall' , 'Terra Nova'PBR , 'The Hague' (f) , 'Thyre' , 'Tora'PBR (f) , 'Torhild' , 'Tricolor' , 'Ulbrichtweide' , 'Ulv' , 'Valborg' , 'Vanstones Gold' , 'Vitellina' , 'Wilhelm'PBR , 'Winter Glory' , 'Winter Green' ,

参考

1) Flora of China
 Salix
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129059
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Salix
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:325916-2
3) World Flora Online
 Salix
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000033844;jsessionid=9E0E655A40652A39B01B3302BB12CAB6
4) Flora of North America
 Salix
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=129059
5) 植物研究雑誌第81巻 第2号: 75-90 (2006)
 大橋広好,米倉浩司:日本産ヤナギ科植物の追加と訂正 2
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_081_75_90.pdf
6) 恵泉 樹の文化史(11)
 ヤナギ 宮内泰之
https://keisen.repo.nii.ac.jp
7) 箒状樹形のヤナギ(ペキンヤナギ由来)のルーツ物語
 ペキンヤナギ
http://syokubutukensaku.o.oo7.jp/Salix%20matsudana.pdf
8) 人と自然 Humans and Nature 29: 11−34 (2018)
 関東と近畿に生育する,オオタチヤナギ群と
 ジャヤナギ群における識別点の再検討
https://www.hitohaku.jp/publication/r-bulletin/2018-002.pdf
9) World Checklist of Vascular Plants
 Salix
https://wcvp.science.kew.org/