コンニャク 蒟蒻

mark

Flora of Mikawa

サトイモ科 Araceae コンニャク属

中国名 花蘑芋 hua mo yu
英 名 konjac , Voodoo Lily , Konnyaku Potato , devil's-tongue , elephant-yam , leopard-palm , snake-palm , umbrella arum
学 名 Amorphophallus konjac K.Koch
コンニャクの花序
コンニャクの雄花蕾
コンニャクの花序3
コンニャクのハエ
コンニャクの花芽
コンニャクの葉芽
コンニャクの果実
コンニャク
コンニャク花序2
コンニャク雄花
コンニャク雌花
コンニャク葉柄
コンニャク葉
花 期 4月
高 さ 1~1.5m
生活型 多年草
生育場所 栽培種
分 布 外来種 中国(雲南省)原産。
撮 影 西尾市  21.4.14(花)      21.8.4(果実)
コンニャクはサトイモ科コンニャク属の栽培種。日本で古くから栽培されている根菜類である。原産地は中国の雲南省であり、東南アジアで広く栽培されている。日本へは大和時代(3世紀後半~4世紀初頭ごろ)に朝鮮を通じて医薬用として伝来された。平安時代にはすでに食用とされていて、和歌にも詠われている。江戸時代に製粉する技術が確立され、広く食用とされるようになった。
 塊茎は褐色、わずかに光沢があり、扁球形、高さ約20㎝×直径30㎝・以下、季節ごとに多数の長い根茎の枝を発達させ、先に膨れた部分をもち、長さ50㎝×幅3㎝・以下になる。葉は1枚つく。葉柄は地色が汚れた白ピンク色又は汚れたクリーム色、しばしば大きな長い暗緑色の合流する斑点と小さな白色の点又は多数の小さな黒緑色の斑点で、ほとんで全体が覆われる。非常に変化が多く、約・長さ100㎝×幅8㎝・以下、無毛又は基部に点状のこぶがある。葉身は強く全裂し、直径約200㎝以下、葉軸に狭い翼がある。小葉は上面が鈍い緑色、楕円形、長さ3~10㎝×幅2~6㎝、先は尖鋭形。花序は長い花序柄がある(まれに短い)。花序柄は葉柄と色が同じで、約・長さ110㎝×幅5㎝・以下。仏炎苞の外側は基部が汚淡褐色を帯び、黒緑色の斑点をもち、あるいは汚淡白灰色を帯、少数の黒緑色の斑点が散在し、縁近くは紫色を帯びる。内側の基部は栗色で上部に淡白紫色のゾーンがあり、又は無く、楕円状披針形~広卵状三角形、長さ10~60㎝×幅10~55㎝、基部と拡大部は浅いくびれで±分かれ、縁は±強く、曲がりくねり、先は鋭形、基部は密にいぼがあり、いぼは小さく、点状。拡大部は直立し、外側は均一に暗紫褐色、又は黒緑色の斑点が散在する。内側は均一に暗褐色、光沢があり、波打ちや、縦の折り重なりがあり、基部の縁は広がる。肉穂花序は雌花の花時に強い腐った肉の臭いを出し、小さな澄んだわずかに粘る小滴を生じる。肉穂花序は無柄、長さ15~110㎝。雌ゾーンは円筒形又は狭い円錐形、長さ2~11㎝×基部で直径1~4㎝、先で直径約6㎝以下、花は密又は疎。子房は帯白色又は帯淡ピンク色、先は帯紫色、断面が扁球形、楕円形、又はほぼ円形、高さ2~2.5mm×直径2~4mm、2~3室。花柱は帯紫色、長さ1~5mm、細く直径は0.7~1mm、しばしば先に明瞭な枝がある。柱頭は汚黄褐色、落ち込み、強く波打ち、しばしば、長い花柱の枝の間が沈み、2~3(~4)裂し、断面は楕円形又は三角形、高さ約0.5mm×直径1.5~2mm、いぼ状でザラつく。雌と雄ゾーンの間の遷移ゾーンは部分的に仮雄しべの雄花や退化雌しべの雌花や全ての中間段階を示す花をもつ。雄ゾーンは円筒形、わずかに紡錘形、又はわずかに倒円錐形、長さ2~12㎝×幅1~6㎝、花は密集する。雄花は3~5本の雄しべからなり、雄しべは長さ2~2.5mm。花糸は淡橙黄色又は帯白色、長さ0.5~1mm、基部又は全体が合着又はわずかに先が散開する。葯は帯白灰色、又は±クリーム色、切形又はほぼ切形、長さ1~1.5mm×0.8~2mm、断面は長方形。葯隔は帯紫色、花時に帯灰色に変わり、わずかに持ち上がり、孔は先端にあり、楕円形又は腎形。花序付属体(appendix)は狭い紡錘状の円錐形、しばしば側面が扁平になり、不規則な浅い縦の畔溝をもち、長さ10~85㎝×幅1.5~6㎝、先は鋭形、暗紫褐色又は淡紫褐色、密に小しわがあり、基部にはしばしば数個のダイアモンド形の扁平な仮雄しべをもつ。花期は4月。

コンニャク属

  family Araceae - genus Amorphophallus

 草本、地上性、小型~大型。茎は類地下性、塊茎があり、まれに塊茎が鎖状になり、又は根茎がある。根茎は+-這う。葉は普通、1枚、まれに2枚又はそれ以上。葉柄は円柱形、まれに角(かど)はあり、浅い溝があり、又は小しわがあり、まれに全体にいぼ又は毛がある。葉身は複葉、主な3裂片に分裂して長さが等しいか、又は前側の裂片は後ろ側の裂片より短い(葉身はほぼ鳥足状)。葉軸は裸かで、狭い~広い翼があり、しばしば下部に定数以上の小葉をつける。むかご(bulbils)がときに葉の上に発達し、epiphyllar(露出するbulbil)、intercalary(葉軸の内側に発達する)、又はhalf-epiphyllar(基部が葉軸の中で、先が露出)のいずれもある。花序は1個、まれに2~3個(合成花序)又は季節によりそれ以上(その後、茎の異なった芽から発達する)、地上性、まれに部分的に埋まり、花序だけが単独で生じ、又は葉の展開と同時又は直前に生じ、まれに葉の発達後に現れる。仏炎苞の基部は巻き込み、まれに開く又は合着し、くびれによって拡大部からはっきり分かれ又は別れない、仏炎苞の外側は色が様々で、形も様々、しばしば舟形又は鐘形、まれに漏斗形になる。拡大部は直立、開出、斜め、又はアーチ状になる。肉穂花序(spadix)は無柄又は短柄があり、頂部に様々な花序付属体(appendix)がある。下部の雌ゾーンは上部の雄ゾーンと隣接、又は不稔のゾーンによって分かれる。花はときに仮雄しべに囲まれる。雌花は1個の雌しべからなり、子房は無柄又は短柄があり、1~4室、各室に胚珠は1個、底着、まれに子房ののほぼ中間に腋生する。花柱はあり、又は(まれに)欠き、明瞭に子房から分かれ、又は多少別れ、先端に柱頭を超えて伸びる突起(枝)をもつ。不稔ゾーン(もしあれば)は仮雄しべで被われ、まれに、部分的又は完全に裸かになる。雄ゾーンは円筒形、紡錘形、円錐形、又は倒円錐形。雄花は(1~)3~6(~8)本の雄しべからなる。雄しべは低く又は長い。花糸はあるか又はほとんどなく、別れ、又は花の中に部分的~完全に融着し、まれに隣接する花の間に融着する。葯は2半葯(bithecal)。半葯は2室(2個の花粉嚢)、まれに1室。孔(pores)は先端、まれに側部又は頂部近くにある。花粉は無口(inaperturate)、球形又は楕円形、外膜はまれに欠き、平滑型(psilate)、条線状(striate)、いぼ状(verrucate)、刺状(echinate)、小区画状(areolate)、小孔状(porate)、小窩状(fossulate)、網状(reticulate)、又はざらつく(scabrous)。花序の頂部につく花序付属体(appendix)はまれに欠き、雄ゾーンに隣接し、又はくびれや短い柄により分かれ、ときに大きな縦の折り重ね又は±不規則な深い裂けめをもつ。液果は密又は疎、熟すと赤色、まれに青色、球形、卵形、又は狭楕円形、平滑、まれにいぼ状、種子は1個。種子は普通、明瞭な縫線(raphe)があり、胚乳はない。
 世界に約200種あり、旧熱帯地域のアフリカ西部~東部、アジア南部~南東部、オーストラリア北部、太平洋諸島に分布する。英名はVoodoo Plant , devil's tongue。

コンニャク属の主な種と園芸品種

1 Amorphophallus albispathus Hett. アモルフォファルス・アルビスパトゥス

 タイ原産。英名はvodoo lily。日陰の石灰岩の腐植ポケットに生える。
 塊茎はカブラ形で(napiform)、分枝しない(若い植物)か、または数本の平行な垂直の枝があり、長さ約17㎝×幅約7㎝。葉は1個の塊茎に1枚または2枚付く。葉柄は長さ10~55㎝×幅8~18mm、膨らんで平滑、灰緑色、基部はしばしば帯ピンク色または赤褐色、またはほぼ全体が淡い赤褐色で、少数の暗灰色の斑点が散在しまたは無い。葉身は中程度に切れ込み、直径15~90㎝、前側の裂片は側裂片より小さく、後者は大きい裂片のみほぼ2分裂する。小葉は楕円形、長さ20~35㎝ ×幅6~10㎝、長く尖鋭形(尖端は長さ約3.5㎝の)、基部は長く沿下し、ほぼ革質、中程度に光沢があり、上面は灰緑色、下面はより淡色になる。花序は単生で、長い花序柄がある。花序柄は葉柄のようで、約・長さ40㎝×幅9㎜。仏炎苞は直立または凹面形、舟形(cymbiform)、三角形または三角状卵形、基部は5回巻き込み、先は尖鋭形、長さ6~14㎝×幅3~10㎝、外側は均一な淡緑色または汚白色で、淡いまたは濃い灰緑色の細点が散在し、ときにかすかに淡紫色がかった色調になり、内側は外側と同じく基部の内側にパピラがあり、最も基部のパピラは毛状で、しばしば側部が融合したり、ときに不規則に分枝する。肉穂花序は仏炎苞より短く、長さ5~13㎝、わずかに曲がりくねり、無柄。雌花ゾーンはわずかに円錐形、長さ1~2.3㎝×幅7~13㎜、花は密集する。子房はほぼ菱形または断面がやや不規則で、窪み、明るい緑色、長さ3~4㎜×幅約2㎜。花柱は細く、明るい緑色、長さ約1㎜×幅0.7~0.8㎜。柱頭は平らで、3または4裂し、長さ1.5~2㎜、汚白色、表面は浅くザラつく疣状、裂片は半球形。雄花ゾーンはやや円錐形で、長さ1.5~3(~6.5?)㎝、直径5~12㎜、花は密集する。雄花は2~4(または5)本の雄しべをもつ。雄しべは融合した花糸を持ち、融合した花糸は下部の花で大きく肥大し、目立つクッション状の柱を形成し、長さ2~3㎜で、雄花の開花時に橙色に変わる。葯は短く (約1㎜)、半球形で、淡い橙黄色。葯隔は大きく、ヘルメット形、緑色、葯全体が開花時に濃橙色に変わり、孔は細長く、側部またはまれにほぼ頂部にある。付属体は円筒状紡錘形、平滑で浅い窪みがいくつかあり、象牙白色で帯緑色またはピンク色を帯び、先と基部は鈍形、長さ2~8㎝×幅8~20㎜、基部には丸い仮雄しべがいくつかある。果序は伸び、長さ約6㎝×幅約4㎝。果実は細長い~卵形で、長さ1.5~2㎝×幅1~1.5㎝、熟すと鮮やかな赤色になる。
品種) 'Hi Ho Silver'

2 Amorphophallus albus P.Y.Liu & J.F.Chen アモルフォファルス・アルブス

 中国(四川省、雲南省)原産。中国名は白蘑芋 bai mo yu。標高800~1000mの開けた森林、乾燥した茂みに生える。農作物として、雲南省で栽培されている。
 塊茎は褐色でほぼ球形、高さ5~6㎝、直径7~10㎝、季節によって、長さ23㎝×幅1.5㎝・までの長い根茎の子株を生じる。葉は単生。葉柄は淡緑色で灰緑色の不規則な細長いまたは丸い斑点と帯白色の点があり、長さ40~70㎝×幅1.5~2㎝、無毛。葉身は直径約 80㎝、葉軸は翼がある。小葉は楕円状披針形、長さ2~12㎝×幅1~3㎝、先は尖鋭形。花序は単生で長い花序柄がある。花序柄は長さ16~30㎝×はば1~2㎝。仏炎苞は舟形(cymbiform)で狭卵形、長さ12~22㎝×幅6~10㎝、鋭形。拡大部の下部は反り返り、基部の外側は緑色~淡緑色、内側は乳白色。拡大部の外側は淡緑色、濃い緑色の斑点があり、縁近くには不明瞭な白色の細点が多数あり、内側はクリーム色で、かすかに淡緑色を帯び、基部に密に小いぼがある。雌花の開花時に肉穂花序は強いガス臭を発し、無柄で明るい淡緑色、雄花の開花時に黄色に変わり、わずかに湾曲し、仏炎苞より短く、長さ約13.5㎝。雌花ゾーンは円筒形で、長さ約1㎝×幅1.2~1.3㎝、花は密集する。子房は明るい緑色、凹み、断面は角張り、高さ約1.5㎜、直径2.5~3㎜、2室だが1室は縮小して不稔。花柱は肉穂花序の軸と強く平行に向き、明るい緑色、先端は淡緑色~黄緑色、長さ2~2.5㎜×幅約1㎜。柱頭は側方にあり、わずかに弓なりで、白っぽい円盤状で、長さ約1.5 cm。雄花は直径1.5mm、厚さ約0.8mm、全縁、強い鱗片状模様がある。雄花と雌花の間の不稔部は膨らみ、わずかに円錐形、長さ1~2.5㎝×幅1~1.8㎝。仮雄しべは密につく。仮雄しべは不稔の花から成り、オフホワイト色、わずかに半球形、不規則、約・長さ12㎜×幅7㎜・以下、浅く不規則な窪みまたは少数の不規則な溝がある。雄花ゾーンは狭い円錐形、先端がわずかに広がり、約・長さ4㎝×幅0.8㎝、基部の直径約1.5㎝、花は密につく。雄花は3本または4本(または5本)の雄しべをもち、雄しべは長さ約2㎜。花糸は完全に融合し、オフホワイト色、長さ約1.3㎜。葯は約・長さ0.7㎜×幅2㎜、切形。半葯はオフホワイト色で、先端に丸い孔が開く。葯隔は帯汚淡黄色、平らで、開花後に隆起する。付属体は狭い円錐形、約・長さ6㎝×幅1.6㎝、細かいしわがあり、先は鈍形。果実は熟すと橙赤色になり、卵形になる。
品種) 'Green Stalkings'

3 Amorphophallus ankarana Hett., Ittenbach & Bogner アモルフォファルス・アンカラナ

 マダガスカル原産。マダガスカルのツィンジ(tsinji)と呼ばれるカルスト地域の石灰岩の崖に生える。
 塊茎は円盤形、直径10~15㎝、高さ5~7㎝、重さ約1kg、淡赤褐色、母塊茎から直接、季節ごとに数個の球形の子球ができる。葉:鱗片葉は3個、ピンク色または白ピンク色、楕円形、暗ピンク~黄土色の斑点が融合し、質が薄く、長さ20~30㎝×幅4~6㎝。葉柄は長さ15~80㎝、直径2~5㎝、平滑または非常に細かいうねがあり、肉質で、淡帯緑色または淡帯褐色、赤褐色から褐色の小さな斑点が散在し、基部は赤褐色。葉身は開花後に展開し、直径 30~100㎝、多裂し、中央の葉脈は狭く翼があり、小葉は革質、楕円状披針形~披針形、長さ4~22㎝×幅1.5~7㎝、先は鋭形~尖鋭形、上面は淡い暗緑色、下面は明るい緑色。花序は葉と同時に、またはわずかに早く、垂直に伸びる。花序柄は長さ30~75㎝×直径1~2.5㎝、葉柄と同色。仏炎苞は直立し、狭三角形、長さ16~35㎝×幅10~14㎝、先は鋭形、基部は円形、しばしば縁は包み、筒部と花盤部(plate)はくびれで離れず、花盤部は縦方向にわずかにまたは強く湾曲し、縁は強く波打ち、基部は筒状、卵形または円筒形、外側には光沢があり、濃~薄いオリーブグリーン色~オリーブブラウン色、丸い赤褐色の斑点と薄褐色の脈が散在し、基部は内側が褐紫色で、上部は白色、かすかに紫色の条線があり、疣があり、疣は上から下まで枝分かれする鎖状に伸びる。花盤部は外側がオリーブブラウン色または淡いオリーブブラウン色で、丸い赤褐色の斑点と淡褐色の脈が散在し、内側は白く、ときに中央にかすかな紫色の条線が入り、または全体が紫色になる。肉穂花序は無柄で、仏炎苞より長く、長さ28~40㎝。雌花ゾーンはわずかに倒円錐形で、長さ1~2.5㎝、基部の直径1.1~1.8㎝。花は密集するか、またはわずかに間隔が開く。雄花は円筒形、長さ2.5~4㎝×直径1~1.6㎝。花はわずかに間隔を開け、明瞭な螺旋状につき、上部では間隔が広く、徐々に不規則に配置された雄花ゾーンへと移る。付属体(appendage)(雄花ゾーンを含む)は長さ25~35㎝、直径 0.9~1.8㎝、細長い円錐形、鋭形または半鋭形の先端に向かって徐々に細くなり、褐色または紫褐色で、ワックス状の層が目立ち、息苦しいほどのスパイシーな香りまたはココアを思わせる香りを放ち、透明な液滴を染み出す。基部の領域には、歪な雄花と雌性の仮雄しべまでのすべての移行形態があり、上から流れ込み、広い肋につき、さらに上部でこれらの肋が合流して付属体の外壁を形成する。子房は卵状ピラミッド形~球形、直径2~2.5㎜×高さ約2.5㎜、明るい淡緑色、ときに先が紫色になり、単室。花柱はないかほとんど無く(長さ約0.3㎜)、柱頭は断面がわずかに圧縮された楕円形または三角形、細かく2または3裂し、直径0.5~1.2㎜×高さ0.5~1㎜、裂片は鈍形、黄色、密にパピラで覆わる。雄花は2~4本の雄しべからなる。雄しべは長さ約2㎜、花糸はなく、葯は鈍形、長さ1.5~2㎜×直径1.5~2㎜、橙色、葯隔および葯の基部は赤紫色、孔は先端にあり、細長い。集合果は果実部分が円筒形、長さ12㎝×直径2.5㎝。液果は帯赤色、長さ0.7~0.9㎝×直径0.5~0.7㎝。種子は卵形、長さ0.5~0.7㎝×直径0.4~0.5㎝。2n=26。
品種) 'Fine Wine'

4 Amorphophallus asterostigmatus Bogner & Hett. アモルフォファルス・アステロスティグマトゥス

 タイ原産。石灰岩の岩がある斜面に生える。
 塊茎は扁球形(depressed-globose)または不規則、長さ3~5㎝×幅5~9㎝、少数または数個の短い細長いまたはほぼ球形の派生片(offsets)がある。葉は単生。葉柄は長さ60~70㎝×幅1~1.8㎝で平滑、銀灰色がかった帯赤色~帯緑色で、散在し、ほぼ円形または楕円形の暗チョコレート褐色の斑点がある。葉身は直径50~100㎝、小葉は多少楕円形、長さ6~19㎝×幅2.4~7㎝、葉軸に沿下し、基部は楔形、先は尖鋭形、上面は暗緑色、下面はより淡色、葉軸と下面の主脈は葉柄とと同色、主脈は非常に強く、一次側脈と二次側脈は目立たず、2~3㎜離れ、内側の集合脈は縁から約2~3㎜離れる。花序の前に4枚の膜質の鱗片葉があり、長さ4~25cm。花序柄は長さ35~70㎝×幅1.3~2cm、帯緑色~灰藤色、非常に暗褐色の斑点が少数ある。仏炎苞は直立し、長い卵形で、肉穂花序と同長かそれより長く、基部は回旋状になり、長さ15~21㎝×幅7~13㎝、先は多少尖端状小突起があり、先端は長さは約3㎜、外側の縁は帯緑色で、中央近くがかすかに淡帯紫色または赤褐色を帯び、内側はクリーム色または淡緑色、基部は帯緑色で、不規則な淡帯紫色を帯び、基部内部は平滑。肉穂花序は無柄またはほぼ無柄(最下部1.5~3㎜には花がない)で、長さ11~17.5cm。雌花ゾーンは長さ1~2.8㎝×幅1.5~1.7cm。子房は長さ約4㎜、扁球形、長さ3.5~5㎜×幅2~2.5㎜、淡緑色。花柱は肉穂花序の先端に向かって湾曲し、細長い円錐形で、長さ1.5~3㎜×基部で幅約1.5㎜、先端で幅約1㎜、黄金色または淡い汚れた帯黄色。柱頭は大きく、深く2~4裂し、上から見ると不規則な星形、縁は強く切れ込み波状になり、長さ2.5~3㎜、刺状にザラつき(echinate-scabrate)、汚れた帯黄色。雄花ゾーンは円筒形またはわずかに円錐形、長さ2.7~5㎝×幅1.3~1.5㎝。雄花は2~5本の雄しべがあり(2–5-androus)、全体が帯黄色または先が帯赤色。雄しべは広楕円状長円形。花糸は長さ約2㎜、下半分は合着する。葯は長さ約1㎜。半葯は先端がスリット状またはほぼ先端の孔がある。付属体は細長い円錐形で先は丸く、長さ6~11.5㎝×幅1.3~1.5㎝、平滑、帯黄色~黄リーム色、基部は長さ1.5~2㎝で、目立つ不規則な細長い菱形の平らな不稔の仮雄しべがあり、仮雄しべは長さ3~10㎜、幅2~5㎜。果実は見られない。
品種) 'Superspot'

5 Amorphophallus atroviridis Hett. アモルフォファルス・アトロビリディス

 タイ原産。英名はVoodoo Lily。石灰岩の岩の間に生える。観葉植物として栽培されている。
 塊茎は細長く、長さ20㎝×幅5㎝まで、しばしば不規則に分岐する。葉柄は長さ10~70㎝×幅1~2㎝、暗赤褐色、一部に円形の汚白色、中央が褐色の斑点と多数の小さな汚白色の点があり、表面には密にビロード状の毛が生える。葉身は直径18~100㎝、葉軸は翼があり、小葉は大きく、倒卵形~長円状楕円形、長さ9~33㎝×幅4.5~14㎝、短い尖鋭形、わずかに多肉質、上面には微細な直立した白色毛があり、暗エメラルド緑色~黒緑色で、縁が目立つピンク紫で、しばしば青みがかった光沢があり、縁は切れ込み、下面は灰緑色、主脈と2次脈は淡ピンク色、多数の白色毛があり、脈間の表面は毛が少なく、縁はピンク紫色。花序は単生。鱗片葉は2個、赤褐色、若干淡い斑点がある。花序柄は葉柄のように見え、長さ23~46㎝×幅1~1.7㎝。仏炎苞は直立し、楕円形~卵形、長さ8~16㎝×幅7~10㎝、下部3分の1は回旋し、浅いくびれで拡大部から分離している。仏炎苞の拡大部は三角形で鋭形、縁はわずかに反り返り、基部の外側は汚白色、淡い帯緑色、帯ピンク色、または淡灰緑色で、上部に向かって先は淡緑色に色調を変え、ピンク色または淡褐色、多数の小さい不規則に散らばった汚白色の斑点があるか、または全体にそのような斑点があり、縁はピンク紫色、下半分の主な脈は暗褐色、内部は淡い白緑色、上部の縁近くは紫色を帯び、縁全体はピンク紫色、基部の内側には不規則な多少扁平化した疣が密生し、疣の表面には疣状突起がある。肉穂花序は無柄、仏炎苞の長さの約2倍の長さで、長さ20~38㎝。雌花ゾーンは円筒形、長さ1~2.5㎝×幅1.2~1.5㎝、花はやや離れてつくかまたは密集する。子房は凹み、横断面は多少、円形になり、約・長さ1.5㎜×幅2.5㎜、淡緑色で、花柱の挿入部付近は暗紫色、基部は明瞭な円錐形の表皮細胞を持つ。花柱は短く、約・長さ1㎜×幅0.8㎜、真っ直ぐかわずかに上向きに曲がり、汚紫色または淡緑色で、先は淡紫色である。柱頭は凹み、不規則な円盤形(disciform)、横断面は円形またはわずかに角張り、約・長さ0.6㎜×幅2㎜、不稔の隙間(interstice)は長さ0.3~1㎝で、少数または多数の密集した仮雄しべを持つ。仮雄しべは半扁平で、断面は楕円形または角張っており、長さ約5㎜、ときに縁近くに放射状の溝があり、象牙白色で、表面には多数の活性の腺細胞がある。雄花ゾーンは細長い円錐形またはほぼ円筒形、長さ4~9㎝×幅1.5~2.1㎝、花は密集する。雄花は3~5本の雄しべをもつ。花糸は短く、肉質、長さ約1.5㎜×幅2㎜、最下部の花では花糸が完全に合着、強く肥大し、長さ約5㎜、乳白色。葯隔は淡褐色を帯び、、孔は頂端またはほぼ側部にあり、細長い。付属体は細く、鋭く、不規則な浅い溝があり、小さな点状の浅い疣がいくつかあり、褐色、淡褐色または赤褐色で、長さ14~26㎝×幅1.3~1.8㎝ (基部付近)。果実は細長く、長さ約1.5㎝、黄白色または黄色。
品種) 'Grey Expectations' , 'Pewterware' , 'Red Sox' , 'Thai Hot Spot'

6 Amorphophallus bulbifer (Roxb.) Blume ムカゴコンニャク 零余子蒟蒻

  synonym Amorphophallus tuberculiger (Schott) Engl.

  synonym Arum bulbiferum Roxb. , Fl. Ind. ed. 1832 , 3: 510 (1832)

 インド、アンダマン諸島、アッサム、バングラデシュ、東ヒマラヤ、ミャンマー、ネパール原産。英名はVoodoo Lily。中国名は珠芽磨芋。別名はアモルフォファルス・ブルビフェル。森内に生える。
 多年生で、塊茎はカブラ形、直径5~8cm、どの部分からも、肉質の繊維がほぼ同じ大きさであり、特に頂部から。茎はない。開花時には花序以外は何も見えず、花が枯れた直後に葉が現れ、雨季の間も葉があり、秋になると地上部は枯れて塊根で越冬する。葉は根生し、通常1枚、長い葉柄があり、普通3分岐し、葉柄があり、1回または2回二股に分岐し、羽状複葉であるが、矮小植物ではしばしば三叉である。小葉は広披針形で先が鋭形、全縁で平滑、葉全体の幅はしばしば1.2mとなる。小さく扁平な丸い玉芽(零余子)が、ほとんどの場合、葉の分割部の上側にある。葉柄は長さ30~120㎝、丸く、平滑、鈍く曇り、上部に向かってわずかに細くなる。花茎は塊茎の頂部から直立し、丸く、平滑、長さ約15㎝、オリーブ色と淡橙色でピンク色を帯びた美しい雲りがある。仏炎苞はカウル(被い)になり、切り離して広げると卵形で、両面が平滑、花茎のように曇る外側の基部につき、上部と内側はピンク色。仏炎苞は円筒形で、肉穂花序とほぼ同長、花序部分の棍棒は鈍形で全体の長さの約1/3の長さ(雌ゾーン:長さ1.5~2㎝、雄ゾーン:長さ約2.5cm、付属体:長さ5~8㎝)で、淡黄褐色。雄しべに花糸なく、葯は2細胞。蜜腺はない。雄花ゾーンと雌花ゾーンの間には隙間はない。子房は丸く、2室で、胚珠のうちの1個はほとんどが不稔で、もう1個の胚珠は湾曲し、底着する。花柱はほとんどない。柱頭は4裂。液果は1種子。花期は5月。[Arum bulbiferum]
品種) 'Old Warty' , 'Patches' , 'Racing Stripes' , 'Stemulation'

7 Amorphophallus flotoi (S.Y.Hu) Govaerts アモルフォファルス・フロトイ

  synonym Amorphophallus pseudoharmandii Hett. & Claudel
  synonym Pseudodracontium flotoi S.Y.Hu
  synonym Pseudodracontium harmandii Engl.
  synonym Pseudodracontium kerrii Gagnep.
 カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム原産。
 葉は常に花序より明らかに長い。塊茎は短くまたは強く伸長し、長さ20cmに達する。葉柄は長さ60~70㎝、基部の直径は2㎝、地色は淡緑色~汚れた淡灰緑色で、表面全体に通常大小(長さ1~20mm)の細長い黒緑色の斑点があり、まれに欠け、多数の小さな白色斑点がある。前側の葉片(segment:羽片)は長さ26~41cmで、3~5枚の小葉からなり、最大の小葉(末端)は長さ12~23㎝×幅3~10㎝、長円形で、先が鋭形~尖鋭形、基部は葉軸に沿下し、革質で、上面は緑色~暗緑色、多少光沢があり、まれにほぼ青緑色で、基部の沿下部分の縁がまれに紫色を帯び、斑入りの場合は、中脈(上面のみ)の両側に白色~黄白色の点または連続した白色の縞があり、まれに1次側脈と内側の葉縁脈(collective vein)も白色である。後側の主葉片(segment)は長さ35~45㎝、しばしば二股に分岐し、小葉は(8~)9~11個以下つき、最大の小葉は長さ10~25㎝×幅3~9.5㎝、内側の葉縁脈は節の縁から 6~13㎜離れている。葉軸は下部3㎝を除いて翼がある。花序柄は長さ45~57㎝、基部で幅約1.3㎝、色は葉柄に似ているがより淡く、上部の斑点は少ない。仏炎苞は舟形(cymbiform)で、決して下側に曲がらず(fornicate)、楕円形~卵状楕円形、先は短い尖鋭形、緑色~黄色(中間色のことが多い)、長さ14~16㎝×直径6~7㎝まで、肉穂花序より明らかに(最大 4 cm)長い。縁は内巻きし、基部の内側に多数の小さな浅い疣がある。肉穂花序は長さ10~15㎝、雌ゾーンは長さ1.5~1.8㎝×直径約1㎝、円筒形。雄ゾーンは長さ3.5~7.5㎝×直径1.5~1.8 ㎝、花は下部で密集し、残りの部分では離れる。付属体は柄があり(柄は長さ0.5㎝未満)またはほぼ無柄、広円錐形、先は鈍形、基部は切形、長さ3~5.5㎝×基部で直径1.6㎝、白色で、パピラのある棍棒形、下部にはよく離れた仮雄しべがあり、長い柄がある。子房は倒卵形、わずかに凹み、角柱形、非常に淡い白緑色、直径1.8~2㎜。柱頭は無柄、厚い円盤形~半球形、表面は密にザラつきがあり、直径1~1.2㎜。雄花は(1または)3~6本(平均4または5本)の雄しべからなる。花糸は基部までほとんど離生、真っ直ぐで、ゾーンの下部ではたまに完全に融合して、1個の花~円柱状の柄になる。葯は棍棒形~ほぼ球形で、離生であるが、最下部の花では一部または全体が1個の花に融合し、多少円盤形状の不稔花(synandrium:圧縮された不稔花)を形成し、中央に深い凹みがある(これはまれに雄ゾーンの上部にも見られる)。果序:液果は赤色、長さ1.5㎝×直径1.3㎝・以下。種子は大きく、卵形、長さ10~13㎜×直径6~11㎜、カラザの端は平らで、反対側の端は円錐状に突出し、表面は淡緑色で、中程度の光沢のある銀色の層があり、多少丸みを帯びたまたは楕円形の、淡い赤褐色の斑点をもち(カラザ近くに密集する)。縫線は明瞭で、暗褐色で、幅広。
品種) 'Hot Legs'

8 Amorphophallus gigas Teijsm. & Binn. アモルフォファルス・ギガス

 スマトラ島原産。緩い腐植土で覆われた急峻な石灰岩の丘陵斜面でよく育ち、多くの場合二次林に生える。北パダンラワス地域ではbunga bangkaiと呼ばれ、現地名はAtturbungという。腐った悪臭を出し、corpse flowers(死体の花)の一種である。花序柄が長く、高さ4m以上にもなり、無茎で世界で最も背の高い花を咲かせる植物である。開花は数年~十数年に1度と少ないが、日本の植物園でも栽培され、小石川植物園では2003年、2007年に開花した。広島市植物公園では2021年に開花している。
 多年草。塊茎は扁球形、重量は40~最大70kgと報告され、毎年の交配はない。茎はない。葉は単生、葉柄は長さ約3~4m×直径約11~20㎝、基部近くは平滑またはしわがあり、濃緑色で多数の大小の円形または細長い楕円形の淡緑色の斑点がある。葉身は複葉、輪郭は直径4mまで、小葉は披針形、長さ13~25㎝×幅5~9㎝、先は尖鋭形。花序は長い柄があり、高さ4.26mm に達すると報告されている。花序柄は長さ約2~3.5m×直径7~10㎝、葉柄と同じような模様がある。仏炎苞は倒鐘形、長さ60~70cm×幅17~36㎝、直立し、広げると、広卵形、外側は濃い緑色から淡い緑色に変わり、縁は濃い茶色、基部は濃いオリーブグリーン色で、いくつかの不明瞭なリング状の淡い斑紋があり、内側は淡緑色で赤褐色の斑点と赤みがかった脈があり、縁はひだ状で曲がりくねり、すべての部分の脈が強く盛り上がる。肉穂花序は仏炎苞より長く、無柄で、長さ約100~150cm、花序は雄ゾーンは上部の付属体は約80~100㎝。開花時に腐肉のような悪臭を放つ。雌ゾーン(長さ約13㎝)は雄ゾーン(長さ約5㎝)より下部にあり、若い雌花の色は濃い紫色で、雄花の色は黄色である。成熟すると肉穂花序は約30度に加熱され、強い臭いを出し、虫を寄せる。その後、雌花は受粉して閉じ、雄花が花粉を出し、悪臭が消える。液果は緑色から黄色~橙色に変わり、熟すと赤色になる。

9 Amorphophallus harmandii Engl. & Gehrm. アモルフォファルス・ハルマンディー

  synonym Amorphophallus parvulus Gagnep.
 カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム原産。英名はVoodoo Lily。標高50~200mの落葉樹林、竹林に生える。
 塊茎は細長く、ときに分岐し、約・長さ40㎝x直径2㎝、根茎があり、基部に明瞭なリング状の鱗片の痕跡がある。葉は単生。葉柄は長さ20~80㎝×幅4~10㎜、平滑、一様に淡緑色または基部が紫色を帯び、または灰色で帯黒色の斑点があり、上部で帯黒色の斑点のある淡緑色に次第に変化する。葉身は直径36~74㎝ 、葉軸は全体に翼があり、小葉は形が一定せず、楕円形または楕円状披針形または披針形、長さ2~20㎝×幅1~7.5㎝、上面は緑色~暗緑色、ときに狭い赤紫色の縁があり、ときに小さな円形の白斑が散在し、下面は淡緑色。花序は花序柄があり、花序柄は長さ6~18㎝×幅3~4㎜、平滑、汚れた淡灰褐色で、小さな長い楕円形の黒緑色と白色の斑点がある。仏炎苞は卵形~円形、長さ5~13㎝×幅5~10.5㎝、直立し、凹面形、縁は真っすぐ、先は鋭形、外側は淡緑色、内側は白緑色、基部は通常より暗緑色か黄緑色で、基部の内側は密に疣状になり、疣は小さく円錐形である。肉穂花序は仏炎苞より長く、無柄、長さ8~25㎝。雌ゾーンは短い円筒形かわずかに倒円錐形、長さ6~10㎝×幅10~15㎜、花は密集するかわずかに離れる。子房は凹み、長さ2~2.5㎝×幅1.5~2㎜、裂片状の溝があり、明るい淡緑色である。花柱はわずかに円錐形、長さ2~3㎜×幅約1㎜、肉穂花序の先端まで強く尖り、白緑色、ときに溝がある。柱頭は長さ約0.6㎜×幅約1.5㎜、斜めにつき、しばしば仏炎苞の内側に向き、窪み、横方向に細長い浅い窪みを経て浅く2裂し、窪みはしばしばΛ字型で、表面は疣があり、汚れた淡黄褐色。雄ゾーンは細長く、紡錘状円錐形またはフラスコ形(lageniform)、基部の半分が明瞭に膨れ、長さ3~6㎝×幅1~1.7㎝、膨れた基部がときに雄花を分ける。雄花は3~4(~5)本の雄しべを持つ(androus)。雄しべは長さ1.5~2㎜。花糸は非常に短く、融合し、長さ0.2~0.5㎜、白色、付属体は非常に狭い円錐形で、ほぼ円柱形?(myosuroid)または紡錘状の円錐形で、長さ5~18㎝×幅5~16㎜、細い場合は下半分がわずかにS字状に前方に湾曲し、表面は平滑または細くて浅い溝があり、乳白色または緑黄色、先端は鋭形、基部は平滑または部分的に溝がある。果実は見られない。
品種) 'Lop Buri'

10 Amorphophallus henryi N.E.Br. ヘンリーイモ 
 台湾原産。中国名は台湾蘑芋 tai wan mo yu。英名はSnake Plant。海抜700mまでの広葉樹林、混交林、竹林、果樹園、日陰が濃い場所から薄い場所、石灰岩の岩盤またはカルスト地帯の薄い土壌に生える。花序付属体(appendix)は狭円錐形、ときに毛が散在する。
 塊茎は暗褐色で、凹んだ球形、高さ2~6㎝、直径3~11㎝、重さ500 gまで、季節ごとに直径0.5~1㎝の球形の片側の塊茎を数個形成する。葉は単生。葉柄は鈍いまたは中程度に光沢があり、緑色または暗緑色で、いくつかの±楕円形または不規則な白っぽい斑点があり、斑点間に多数の小さな白い点がある場合とない場合があり、長さ30~60㎝、基部近くの直径1~2㎝、無毛。葉身は中程度または大きく切れ込み、直径30~100㎝。葉軸には狭い翼がある。小葉は、外側が淡緑色、内側が中緑色または濃緑色、鈍い色または光沢があり、縁は初め赤みがかったピンク色で、後に普通緑色または白っぽくなり、楕円形卵形、楕円形、または披針形、長さ4~26㎝×幅1.5~5.5㎝、先は尖鋭形または長い尖鋭形、主脈は強く刻印されている。花序は単生で、短い花序柄がある。花序柄は葉柄と同色で、長さ4~20㎝×幅0.8~1.5㎝、果実になると長くなる。仏炎苞は基部が強く巻きつき、外側は光沢のある淡緑色、紫がかった紅色の有無、いくつかの小さな淡い斑点の有無は問わない。内側は濃い栗色で、くびれ付近は白っぽいまたは緑がかった紫色、鐘形で、基部と肢の間でくびれがあり、広三角形状卵形、長さ9~25㎝×幅8~23 cm、壁が厚く、先端は鋭形または鈍形。肢は水平で不規則に波打っており、外側は淡い緑色で、変化するピンクがかった紫がかった色調で、縁付近は栗色、内側は濃い栗色で、鈍いまたは光沢があり、縁付近は緑がかったまたは淡い紫がかっており、基部内の内側は大きく不規則な疣贅で密に覆われている。葉脈は強く刻印されている。肉穂花序は雌花が開花時に腐肉または牛糞の臭いを発し、無柄で、仏炎苞より長く、長さ20~52㎝、雌ゾーンと雄ゾーンは隣接しているか、短い(約0.5 cm)(部分的に)不稔性部で分けられている。雌ゾーンは円筒形またはわずかに円錐形で、長さ1.5~4㎝×直径2~3㎝(花柱を含む)、花は密集しているか、全部または一部が±離れている。子房:基部または大部分は緑がかっており、残りは暗紫色、くぼみ、断面は円形または亜円形、高さ1.5~3㎜×直径2~3(~4.5)㎜、2室で、室ごとに基部胚珠が1個あり、珠柄(funicle)は長く、強く巻いている。花柱は茶紫色または黒色がかっており、長さ2~3㎜、細く、直径0.8~1.2(~1.5)㎜。柱頭は灰紫色で大きく、断面は円形または楕円形、高さ0.8~1.5㎜×直径約2㎜、2~3(~4)裂し、密に鱗片状のパピラがあり、裂片は円錐形、鈍形またはほぼ鋭形。不稔ゾーンには様々に変形した雄花(仮雄しべ)があり、ときに両性花の不稔の残骸が少数混じり、隣接するゾーンからのあらゆる移行段階を伴うことが多い。付属体は淡褐色または暗褐色、狭い紡錘形、長さ15~42㎝、基部近くの直径は1.4~3㎝、基部から約1/3の直径は1.8~4㎝、横断面は楕円形で、壁が薄く開花後は中空、先は±鈍形または鋭形、規則的または不規則な浅く、強くしわが寄り、および/または細長い窪みがあり、付属体の基部半分に、短い淡いまたは暗紫色または白色の毛(長さ0.5~2.5㎜)があり、または無い。雄ゾーンと雌ゾーンの間の不稔の花は(あれば)、淡緑色または紫色、長さ5㎜まで、毛状または縮小した両性花があり、縮小した雌しべとそれを取り囲む複数の雄しべから構成される。雄ゾーンは±倒円錐形で、長さ1.5~4.5㎝、基部の直径0.9~1.9㎝、先端の直径1.5~3.5㎝、花は密集しているか、または基部の花は離れているか、離生、または上部が低角度の螺旋状に融合している。雄花は(2~)3~6本の雄しべからなる。雄しべは象牙白色で、断面は楕円形、約・長さ2㎜×幅1.8㎜。花糸は長さ約1㎜、基部で合着する。葯は長さ約1㎜、切形または嘴状(葯隔が伸長)になり、葯隔はわずかに疣状で、開花後、葯の側面が収縮することでより強く嘴状になり、孔は先端にあり、開花前は伸長し、開花時には楕円形になり、下部の縁が深くなって開き、開花後は±側部に移動する。果実は青色または紫色、楕円形。
品種) 'O'Henry'

11 Amorphophallus hirtus N.E.Br. ケコンニャク 毛蒟蒻
  synonym Amorphophallus niimurae Yamam.
 台湾原産。中国名は密毛蘑芋 mi mao mo yu。標高100m以下の密生した草原に生える。花序付属体(appendix)には長毛が密生する。
 塊茎は帯白色、露出すると灰褐色になり、球形または扁球形、高さ2~9㎝、直径 3~15㎝、重さ約1500gまでになり、季節ごとに約・3㎝×幅1㎝までの細い根茎性のオフセット塊茎(offset tubers:子塊茎)を多数生成する。葉は単生。葉柄は暗緑色、多数の小さな黒緑色の斑点、またはより大きな±ダイヤモンド形の淡灰緑色の斑点があり、これらの斑点には多数の暗緑色の細長い点が詰まり、長さ20~100㎝、基部の直径1~2.6㎝、膨らみ、無毛。葉身は直径30~120㎝、大きく切れ込みが入る。葉柄は上部半分のみに翼があり、翼は波状。小葉は上面が暗エメラルドグリーン色、縁はピンクがかった紫色、±倒卵形または楕円状卵形、長さ5.5~11 ×幅2.5~4.5 cm、±肉質、先は長い尖鋭形。葉脈は上面で凹む。花序は単生で、長い花序柄がある。花序柄は葉柄と同色で、長さ38~125㎝、基部の直径1~4㎝。仏炎苞は基部が強く巻き込み、外側は淡緑色、かすかに紫色や暗灰緑色を帯び、多数の帯淡白緑色の斑点があり、基部の斑点は合流し、脈は暗緑色、内側は黒栗色、鐘形、基部と枝の間で狭まり、広三角形、長さ13~53㎝×幅12~45㎝、多数の短いうねの、側部が扁平な肉質の疣で覆われ、基部は斜めのつぼ形、壁が厚く、先は鋭形。拡大部は水平に広がるかまたは斜めに上を向き、外側は淡緑色で、紫褐色または暗灰緑色がかった角張った白緑色の斑点があり、縁は汚れた紫色で斑点はなく、内側は±栗色で、帯緑色または多数の小さな丸いときに合流する帯白緑の斑点があり、脈は栗色、縁は波状。 肉穂花序は古い靴下または強い堆肥のような強い匂いを発し、±柄があり、仏炎苞よりかなり長く、長さ31~88.5㎝、柄は0.2~1㎝、雌と雄のゾーンと狭い不稔ゾーンで分けられる。雌と雄のゾーンはやや倒円錐形または円筒形、長さ1.6~6.5㎝、基部の直径1.1~3.5㎝、先端の直径は1.2~3.7㎝、花は緩くつく。子房は基部半分が白色、先半分が黒栗色で、±球形、高さ約2.5㎜×直径約2.5㎜、横断面は円形、± 花柱に向かって徐々に細くなり、2室があり、室ごとに基部に胚珠が1個ある。花柱は栗色で太く、約・長さ1㎜×幅1.5㎜。柱頭は±ピラミッド形、横断面は円形、高さ約1.8㎜、直径約2.5㎜、浅く2(~3)裂し、裂片は淡オリーブグリーン色で丸く、ザラつく。雄花と雌花の間にある不稔の花は1~7個の仮雄しべからなり、仮雄しべは膨らみ、しばしば凹み、白色の基部と長さ5~10㎜の紫色の毛からなる。雄ゾーンはつぼ形で円柱形またはわずかに側部が扁平、上部の縁は真っすぐまたは非常に不規則で、長さ3~9㎝×直径0.9~3.7㎝、基部の直径は2~7㎝、先端では花が密集し、花の間には紫色の毛が散在する。雄花は3~6本の雄しべからなる。雄しべはごく浅い半球形、長さ約2㎜、最上部の雄しべのいくつかは中間形で付属体に毛があり、葯隔に短い毛があるか、またはわずかに凹面形になり、基部が幅広く、毛仮雄しべ)をもつ。花糸は短く、長さ約0.5㎜、合着する。葯は長さ約1.5㎜×幅3~3.5㎜、断面は多角形、先はごく浅く丸くなり、象牙白色、雌花の開花時に上部から透明な液を分泌し、葯隔結合部は帯褐色、先端の孔は細長く、花後は楕円形になる。付属体は非常に狭い円錐形で、長さ25.5~73㎝×基部の直径2~7㎝、全体が紫色、または多数の汚れた緑色の小さな斑点があり、多数の緩く並んだ毛があり、これらは付属体の軸に対して垂直になり、長さ0.2~1.5㎝、紫色で、浅いポケットの中につき、基部は膨らまず、先端は鈍形、雌花の開花時に透明な液を出す。

12 Amorphophallus kiusianus (Makino) Makino ヤマコンニャク 山蒟蒻

  synonym Amorphophallus hirtus N.E.Br. var. kiusianus (Makino) M.Hotta

 日本(四国南部、九州南部、屋久島、種子島)、中国、台湾原産。中国名は东亚蘑芋 dong ya mo yu。花柱は無又はほぼ無(柱頭は無柄又はほぼ無柄)。花序付属体(appendix)は無毛又は少し毛が散生する。
 塊茎は扁球形、直径約20㎝以下、高さ約12㎝以下、[日本産では娘植物=オフセット:offsetは発達しない]、少数の無柄の球形のoffsetをもつ[中国本土産]。葉は1枚。葉柄は光沢があり、汚オリーブ緑色又は灰緑色、細い楕円形又は不規則な帯白色~ごく淡色の帯緑色の斑点と多数の小さな暗緑色の点があり、約・長さ65㎝×幅4㎝、無毛。葉身は直径60~90㎝、葉軸は主の分枝の基部から上部に翼がある。小葉は上面が鮮やかな緑色で、縁は狭く淡紫色になり、狭楕円形~披針形、長さ6~20㎝×幅3~4.5㎝、縁は波打ち、先は中程度~長く尖鋭形。花序は単生、長い花序柄がある。花序柄は色が葉柄と同色、長さ40~100㎝(果時には約120㎝以下)、直径1.5~4㎝。仏炎苞は外側が帯暗緑色、緑ピンク色、又は光沢のある暗紫褐色、小さな帯白色の斑点をもち、縁に狭い赤紫色の線をもつ。内側は帯淡ピンク色で、基部は帯紫色で、帯紫色と帯緑色、又は全体に暗褐色、縁は帯緑色又は帯緑色にならず、ときにピンク色を帯び、ときに中間の淡緑色だけになり、それ以外は丸い帯白色の斑点があり、基部の外側は暗緑色又は暗緑褐色で小さな帯白色の丸い斑点と黒緑色の脈をもち、三角形で基部は円形、長さ9~25㎝×幅4~13㎝、基部と拡大部の間は浅く、明瞭にくびれる。拡大部は初め斜め、その後、反り返り、下側に曲がり、縁は後屈又は波打つ。基部の内側は暗紫色、多数の±明瞭な円錐形のこぶがあり、たまに小さな帯白色の斑点をもつ。肉穂花序は無柄又はほぼ無柄、仏炎苞の長さより短又は同長又は長、長さ9~22㎝。雌ゾーンはわずかに円錐形、長さ1~4㎝×幅0.5~2㎝。子房は鮮やかな淡緑色、±倒卵形、断面は角(かど)があり、高さ約2.5mm×直径約2mm、2室。花柱は鮮やかな淡緑色又は暗褐色、ほとんど無く、長さ2㎜×幅1㎜程度、先は2分岐。柱頭は淡緑灰色、浅く、明瞭に2裂し曲がりくねり、断面はわずかに楕円形、高さ約0.8mm×直径約1.5mm、微細なパピラがある。雄ゾーンと雌ゾーンの間の仮雄しべは単独、又は2~4個のグループになり、又は最も下部の雄花部分として機能的な雄しべとともにグループとなり、大幅に退化した雄しべと葯隔の上の長い褐色の毛からなる。これらはグループでしばしば1個の円盤形の基部を作り、消滅した雄しべに限定して対応する溝をもつ。花序の付属体は褐色の毛だけからなり、浅い窪みに生える。雄ゾーン円筒形又はわずかに倒円錐形、長さ2.5~4.5㎝×幅0.5~2㎝。雄花は4~6本の雄しべからなる。雄しべは淡黄色、長さ約1.5㎜。花糸は長さ約0.5㎜、全体に合着する。葯はほぼ切形~切形、断面はほとんどが類長方形、長さ1~2mm×幅約1mm。孔は先端につき、細長い。頂部につく花序付属体(appendix)は狭い紡錘状の円錐形又は狭い紡錘形、長さ4~16㎝×基部近くの直径1~3㎝、先は鋭形又は鈍形、全体に帯黒色又は小さい緑色の斑点が散在し、あるいは全体に帯暗緑色、光沢があり、無毛又は浅いくぼみがあり、基部に溝があり、その他は裸か又は細い紫褐色の毛が散在し、窪みから生じ、長さ約1㎝以下。花粉は条線状~小区画状、糸で放出される。花序はときに乾いた仏炎苞を基部に残し、円筒形、長さ5~22銭t×幅3~4.5㎝。果実には光沢があり、初めは鮮やかな緑色、ピンク紫色に変わり、やがて濃青色に変わり、球形~楕円形、約・長さ1㎝×幅0.8~1㎝、種子は2個。種子は縦の断面で楕円形、片側が平ら、約・長さ8㎜×幅8㎜×厚さ4㎜。種皮は黒色、中程度に光沢があり、小しわがある。花期は4~6月。果期は5~7月。

13 Amorphophallus konjac K.Koch コンニャク 蒟蒻
  synonym Amorphophallus rivieri Durieu ex Carrière

  synonym Amorphophallus rivieri Durieu et Carrière var. konjac Engl.

 中国(雲南省)原産。中国名は花蘑芋 hua mo yu。英名はkonjac , Voodoo Lily , Konnyaku Potato , devil's-tongue , elephant-yam , leopard-palm , snake-palm , umbrella arum。日本で栽培されている。花柱が明瞭にある。付属体物(appendix)は無毛。
 塊茎は褐色、わずかに光沢があり、扁球形、高さ約20㎝×直径30㎝・以下、季節ごとに多数の長い根茎の枝を発達させ、先に膨れた部分をもち、長さ50㎝×幅3㎝・以下になる。葉は1枚つく。葉柄は地色が汚れた白ピンク色又は汚れたクリーム色、しばしば大きな長い暗緑色の合流する斑点と小さな白色の点又は多数の小さな黒緑色の斑点で、ほとんで全体が覆われる。非常に変化が多く、約・長さ100㎝×幅8㎝・以下、無毛又は基部に点状のこぶがある。葉身は強く全裂し、直径約200㎝以下、葉軸に狭い翼がある。小葉は上面が鈍い緑色、楕円形、長さ3~10㎝×幅2~6㎝、先は尖鋭形。花序は長い花序柄がある(まれに短い)。花序柄は葉柄と色が同じで、約・長さ110㎝×幅5㎝・以下。仏炎苞の外側は基部が汚淡褐色を帯び、黒緑色の斑点をもち、あるいは汚淡白灰色を帯、少数の黒緑色の斑点が散在し、縁近くは紫色を帯びる。内側の基部は栗色で上部に淡白紫色のゾーンがあり、又は無く、楕円状披針形~広卵状三角形、長さ10~60㎝×幅10~55㎝、基部と拡大部は浅いくびれで±分かれ、縁は±強く、曲がりくねり、先は鋭形、基部は密にいぼがあり、いぼは小さく、点状。拡大部は直立し、外側は均一に暗紫褐色、又は黒緑色の斑点が散在する。内側は均一に暗褐色、光沢があり、波打ちや、縦の折り重なりがあり、基部の縁は広がる。肉穂花序は雌花の花時に強い腐った肉の臭いを出し、小さな澄んだわずかに粘る小滴を生じる。肉穂花序は無柄、長さ15~110㎝。雌ゾーンは円筒形又は狭い円錐形、長さ2~11㎝×基部で直径1~4㎝、先で直径約6㎝以下、花は密又は疎。子房は帯白色又は帯淡ピンク色、先は帯紫色、断面が扁球形、楕円形、又はほぼ円形、高さ2~2.5mm×直径2~4mm、2~3室。花柱は帯紫色、長さ1~5mm、細く直径は0.7~1mm、しばしば先に明瞭な枝がある。柱頭は汚黄褐色、落ち込み、強く波打ち、しばしば、長い花柱の枝の間が沈み、2~3(~4)裂し、断面は楕円形又は三角形、高さ約0.5mm×直径1.5~2mm、いぼ状でザラつく。雌と雄ゾーンの間の遷移ゾーンは部分的に仮雄しべの雄花や退化雌しべの雌花や全ての中間段階を示す花をもつ。雄ゾーンは円筒形、わずかに紡錘形、又はわずかに倒円錐形、長さ2~12㎝×幅1~6㎝、花は密集する。雄花は3~5本の雄しべからなり、雄しべは長さ2~2.5mm。花糸は淡橙黄色又は帯白色、長さ0.5~1mm、基部又は全体が合着又はわずかに先が散開する。葯は帯白灰色、又は±クリーム色、切形又はほぼ切形、長さ1~1.5mm×0.8~2mm、断面は長方形。葯隔は帯紫色、花時に帯灰色に変わり、わずかに持ち上がり、孔は先端にあり、楕円形又は腎形。花序付属体(appendix)は狭い紡錘状の円錐形、しばしば側面が扁平になり、不規則な浅い縦の畔溝をもち、長さ10~85㎝×幅1.5~6㎝、先は鋭形、暗紫褐色又は淡紫褐色、密に小しわがあり、基部にはしばしば数個のダイアモンド形の扁平な仮雄しべをもつ。花期は4月。
] 品種) 'Beige Stem' , 'Early Bloomer' , 'Funky Form' , Gordon's Gold' , 'Leo Song' , 'Nightstick' , 'Pink Stem' , 'Pinto' , 'Pseudo Dwarf', 'Shattered Glass' , 'Tattered Umbrella' , 'Thread Leaf'

14 Amorphophallus krausei Engler アモルフォファルス・クラウセイ

 中国(雲南省)、バングラデシュ、ラオス、ミャンマー北部、タイ北部原産。中国名は西盟蘑芋 xi meng mo yu。英名はKraus's Voodoo Lily。標高1500m未満の混合原生常緑樹/落葉樹林および落葉フタバガキ林の日陰から開けた、火災が発生しやすい場所、森林の縁、竹林、花崗岩の岩盤、時には小川の近く、低地に生える。
 塊茎は淡黄色、茶色、またはオレンジ色がかった汚れた色で、内側は黄色、球形で、わずかに円筒形に近い形をしており、中央に深い窪みがあり、高さ4~8㎝(またはそれ以上)、直径 5~25㎝、重さは最大750 g(またはそれ以上)で、季節によって数個の子株が生える。子株は根茎で、長くて細く、長さ2~27㎝×幅0.4~1㎝、先端はわずかに肥厚する場合としない場合がある。葉は単生。鱗片葉は3個、長さ25㎝まで、基部は淡いピンク色、先端に向かって淡い白色に変わり、淡い黒緑色の細長い斑点で覆われる。葉柄の地色は淡緑色、基部は淡ピンク色または赤褐色または赤みがかった色を帯びていることが多く、多数の大小の斑点があり、部分的またはほぼ完全に合流し、楕円形~狭楕円形、黒緑色または淡緑色またはまれに赤褐色の斑点といくつかの小さな白色の点があり、色の強度と模様の広がりは可変で、長さ20~190㎝、基部の葉は直径1~5㎝、無毛、葉身は直径100~200㎝。葉軸には広い翼状部がある。小葉は外側が淡緑色、内側が緑色または灰緑色、披針形~楕円状披針形、まれに楕円形で、長さ11~48㎝×幅2~11㎝、基部は沿下し、先は尖鋭形。花序は単生。花序柄は葉柄と同じ色だが小さく、長さ25~100㎝、基部の直径0.8~2㎝。仏炎苞は直立し、基部が巻き込み、外側は淡緑色で、基部に向かってやや暗色になり、内側は淡黄緑色、基部はときに±栗色、舟形(cymbiform)、卵形~卵状披針形、長さ11~40㎝×幅6~26㎝、基部の巻き込み部分は長さ4~6㎝、基部内側に多数の小さなやや細長いまたは不規則な隆起形の疣があり、先は鋭形~尖鋭形。肉穂花序は雌花が開花するとかなり熱くなり、重いガス状の吐き気を催すような悪臭を発し、黄白色または淡緑色、仏炎苞とほぼ同じ長さで、まれに明らかに短いかやや長く、長さ8~35㎝、花は単性で裸出。雌花ゾーンは円筒形またはやや倒円錐形、長さ0.6~5㎝、直径0.6~2.3 ㎝(花柱を含む)、花は密集する。子房は淡緑色、ときに花柱基部近くが淡いマゼンタ紫色、球形またはわずかに窪み、高さ1.5~2㎜、直径2~2.5㎜、1室(まれに2室)、基部に胚珠が1個ある。花柱は緑色またはマゼンタ紫色、円筒形または円錐形、直径1~2㎜。柱頭は球形または半球形、直径約1㎜、全縁または中央が浅く窪むか、浅く2裂または3裂し、裂片は淡黄白色、黄色、または褐色で、丸く、ザラつき、縁は曲がりくねる。雌ゾーンと雄ゾーンの間の不稔ゾーンはまれに無く、円筒形、長さ0.6~2㎝×幅0.8~1.8㎝、仮雄しべは密集する。付属体は紡錘形または紡錘状円錐形、ときにわずかに側部が圧縮され、長さ3~17㎝×幅0.9~5㎝、ときに小さな柄状の部分があり、無毛、先は円形または±鋭形、基部はときに柄があり、基部にときに数個の丸い仮雄しべまたは仮雄しべの残部があり、小さな溝で区切られる。仮雄しべは雌花が開花するときの葯隔のように液滴(droplet)を伴うことが多く、象牙色またはクリーム色がかったオレンジ色で、ときに帯淡紫色、横断面は卵形または菱形、半球形、長さ1~4.5㎜×幅1~3.1㎜。雄ゾーンは円筒状紡錘形またはわずかに倒円錐形で、ときにわずかに側部が圧縮され、長さ3.5~13㎝×幅0.8~3㎝、花は密集する。雄花は(1~)3本 または4(または5)本の雄しべをもち、象牙色である。雄しべは高さ2~2.2㎜。花糸は短く、太さ0.75~1㎜、合着し、最下部の花では大きく広がり、半葯は小さくなり、雄しべに段階的に移行する。葯は先端が丸いまたはほぼ切形、高さ1~1.3㎜、直径1~1.75 mm、孔は先端にあり、細長い。雌花の開花時にはしばしば葯隔に透明でわずかに粘着性のある液滴が付く。果序は円筒形、長さ約10㎝。液果は1種子(まれに2種子?)、鮮やかな赤色、直径約1㎝。種子は銀灰色で小さな黒色の点があり、楕円状卵形、長さ6~9㎜×幅3~5㎜。花期は6~8月。果期は11~12月。
品種) 'Kew Form'

15 Amorphophallus laoticus Hett. アモルフォファルス・ラオティクス

 ラオス原産。英名はLaosy Voodoo Lily。ラオスの森林地帯に生える。
 葉柄は高さ60㎝、葉は複葉、小葉は披針形、先は鋭形~鈍形、ときに中脈が白色になり、ときに縁がかすかに赤くなる。花序柄は長さ45㎝以上あり、ベージュ色と淡褐色のまだらになる。花序は花序柄を含めて高さ約1.5mになる。仏炎苞は下部はつぼ形、外側の基部は淡緑色で白色の斑点と淡紫褐色の脈があり、上部は先がくびれ、その先の拡大部はやや広がりフレアー状に波打ち、内側は赤色~紫黒色。肉穂花序は直立し、仏炎苞よりかなり長く、付属体は花序柄より太く、円筒形で先が長い尖鋭形、赤色~紫黒色で長い開出毛に覆われる。柱頭は黄色~ベージュ色。
品種) 'Silver Center'

16 Amorphophallus myosuroides Hett. & A.Galloway アモルフォファルス・ミオスロイデス

 ラオス原産。英名はMousetail Voodoo Lily , Mouse-tail Amorphophallus。
 小型で高さ10~30㎝。塊茎は直径1.5~2㎝で花を咲かせる。葉は複葉、小葉は卵状楕円形、基部は楔形、先は鋭形、縁は低い波状鈍鋸歯、側脈は多数、平行につき、縁に達せず、縁から離れた明瞭な縁脈があり、中脈付近に銀色の斑紋のある品種もある。仏炎苞は長さ4~5㎝、内部が白色で、外側に細い帯褐色の脈がある、肉穂花序はほぼ無柄、仏炎苞の長さの約3倍あり、付属体は先が長く漸尖して尖り、やや曲がり、クリーム色で高く直立する。雌ゾーンは紫色、雄ゾーンは白色で間に長い隙間がある。花には特に香りはない。1シーズンに最大3回開花する。室温かそれよりわずかに低い温度で乾燥すると休眠期に入る。
品種) 'Silver Saddle'

17 Amorphophallus paeoniifolius (Dennst.) Nicolson ゾウコンニャク 象蒟蒻

 中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾、バングラデシュ、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム。 北オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は疣柄蘑芋 you bing mo yu。英名はelephant yame , ephant foot yam , whitespot giant arum , Laosy Voodoo Lily , pungapung , sweet-yam , telinga-potato , telingo-potato。根菜として広く栽培され、食料および動物の飼料として利用される。海抜800mまでの二次林または非常に撹乱された地域、まだら模様の日陰または完全に露出している場所に生える。
 塊茎は暗褐色で、扁球形、高さ約20㎝、直径約30㎝まで、重さ約15kgまで。根痕は顕著で、輪状。子株は毎シーズン生じ、太く、根茎を持ち、約・長さ10㎝×幅4㎝になる。葉は1~2枚。葉柄の地色は淡い緑色~暗緑色、または黒緑色で、通常、大小の淡色の斑点と多数の小さな黒点があり、大きな斑点はしばしば合流し、特に基部近くで顕著。葉柄は約・長さ2m×幅20㎝になり、浅く波形(corrugate)から強く刺状疣(echinate-verrucate)になる。葉身は大きく切れ込み、直径約3mになる。葉軸は基部近くまで狭くまたは広く翼がある。小葉は上面が緑色または淡緑色、下面が緑色、円形、楕円状、卵形、倒卵形、楕円形、楕円状長円形、楕円状披針形、または披針形、長さ3~35㎝×幅2~12㎝、先は尖鋭形。花序は短い花序柄があり、花序柄は長さ3~20㎝×幅1~8㎝、通常、葉柄よりも色が薄く無毛。仏炎苞は鐘形、長さより幅が広く、長さ10~45㎝×幅15~60㎝、しばしば基部と拡大部は浅いくびれで離れる。拡大部は広がり、地色は淡緑色~暗褐色で、普通は大小両方の円形の淡い斑点があり、基部の下部の内側は濃い栗色、上部は汚れた白色または非常に淡いピンク色、拡大部の外側は基部と同じだが特に縁近くでは栗色の帯びがより顕著、拡大部の内側は通常光沢のある暗栗色で強く波打ち、基部の外側は非常に変化に富み、基部の内側は密に疣状になり、疣は変化に富み、ほとんどが円錐形で肉質。肉穂花序は腐肉のような悪臭を放ち無柄で、仏炎苞より短いかまたは長く、長さ7~70㎝。雌ゾーンは円筒形で、長さ3~25㎝×幅1~12㎝、花は密集するかまたはわずかに離れる。子房は全体が淡緑色または大部分が栗色で基部は帯白色、凹み、横断面は円形で高さ1.5~2.5㎜、直径3~5㎜、2室または3室。花柱は栗色、長さ3~15㎜、細く、直径1~1.5㎜。柱頭は淡黄色または濃黄色、横断面は楕円状または三角形、大きく、高さ3~5㎜、直径4~7㎜、しばしば強く側部が圧縮され、縦断面で心形、小疣状突起があり、浅くまたは深く2~3裂し、裂片は円形または円錐形で、ときに外側に強い溝がある。雄ゾーンは円筒形または強く倒円錐形、長さ2.5~15㎝、基部の直径1~10㎝、先端の直径1~20㎝、花は密につく。雄花は4~6本の雄しべからなる。雄しべは長さ4~6㎜。花糸は長さ約0.5㎜、合着する。葯はオフホワイト色、円筒形、長さ3.5~5.5㎝×幅約1.5㎜、ほぼ切形、花粉は平滑型(psilate) 、付属体は非常に多様、光沢のある暗栗色、稀にピンク色または黄色、膨らみ、球形、扁球形、卵形、または三角状円錐形(ピラミッド形状)、長さ1.5~30cm、直径1.2~30cm(基部のわずかに上)、微細顆粒状、無毛または様々な折り目および/または不規則な浅い凹みがあり、基部はしばしば扁平な仮雄しべの構造を持ち、先は鈍形または±鋭形。果序は長い花序柄があり、受粉後に強く伸び、長さ20~100㎝、均一に黄褐色(tan)になり、非常に多数の狭い横方向の亀裂がある、果実ゾーンは円筒形で、長さ10~50㎝×幅3~8㎝。果実は密またはやや離れてつき、熟すと緑色から黄色を経て鮮やかな赤色になり、細長く、長さ1.5~2㎝×幅8~10㎜。花期は4~5月。果期は10~11月。
品種) 'Gajendra' , 'Thailand Giant'

18 Amorphophallus titanum (Becc.) Becc. ex Arcang. ショクダイオオコンニャク 燭台大蒟蒻

 インドネシア、スマトラ島原産。英名はtitan arum , corpse flower(死体の花) , carrion flower。別名スマトラオオコンニャク。スマトラ島西部の熱帯雨林の急斜面に生える。世界中の植物園で栽培されている。世界一大きい花はラフレシア・アルノルディイ(Rafflesia arnoldii)であるが、ショクダイオオコンニャクは花序が非常に大きく、小さい花が多数つく最大の花序である。
 塊茎は70~90(最大の記録は153)kgにもなる。花が咲かない年には通常、高さ約4.6~7m、幅5~7m以下の木のように大きい葉を1枚生やす。葉柄は高さ6mの葉の太さが地表で直径38~41㎝、胸高直径30~32㎝(D.B.H.)になり、緑色に白色の斑点が点在する。葉身は通常は3分岐して広がり、さらに分岐して多数の大きな小葉が羽状につき、上部の裂片では基部が沿下し、翼になり、先は尖鋭形。12~18か月の光合成の後、葉は枯れ、植物は休眠状態になる。通常、植物が再び開花するのに十分なエネルギーを蓄えるまでに、数回の葉のサイクルが必要であり、花序が出るまでに通常4~10年以上かかる。花序は巨大で、高さ3mにもなり、あらゆる植物の中で最も大きな枝分かれしていない花序である。花序は数か月かけて成長し、成長のピーク時には成長速度は1日に最大15㎝に達するが、開花するのは約24~48時間だけである。花序柄は短く、その上につく肉穂花序は、花弁のような仏炎苞に囲まれる。仏炎苞は初め閉じているが開くと上向きの大きな漏斗形になり、外側が緑色~クリーム色で、内側が深紅色~紫色、多数の縦溝がある。肉穂花序の上部の付属体はほぼ平滑、黄色がかった褐色で、肉穂花序全体の高さは3m以上になることもある。何百もの単性花が、仏炎苞によって形成された保護室の中で肉穂花序の下部に生じ、自家受粉を減らすために別々に成熟する。上部に濃いクリーム色の雄花ゾーンがあり、下部にピンクからオレンジ色の雌花ゾーンがある。開花中、32 °C 以上の熱を発生し、ニクバエや腐肉食甲虫を誘引して受粉させるために特徴的な腐肉臭を放つ。果実は鮮やかな赤色~オレンジ色に熟し、種子は1~2個入る。果実が熟してくる頃には仏炎苞と花序上部の付属体は崩れ落ちる。最終的には枯れて休眠状態になる。

19 その他ハイブリッド
品種) 'Blue Nightspot' , 'John Tan'(Amorphophallus variabilis × Amorphophallus titanum)

参考

1) Flora of China
 Amorphophallus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=101404
2) Flora of North America
 Amorphophallus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=107697
3) GRIN
 Amorphophallus
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxon/taxonomygenus?id=542
4) Plants of the World Online | Kewscience
 Amorphophallus
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331135-2
5) BLUMEA 36 (1992) 467-475
 Notes on the genusAmorphophallus(Araceae)
 1. Three new species from tropicalAsia A. asterostigmatus , A. hottae , A. palawanensis B
BLUM1992036002008.pdf
6) Plantsman june 2011
 Amorphophallus in the wild and in cultivation.
https://www.researchgate.net/publication/283567578_Amorphophallus_in_the_wild_and_in_cultivation
7) e-Flora of Thailand
 Amorphophallus Blume ex Decne.
https://botany.dnp.go.th/eflora/floragenus.html?factsheet=Amorphophallus#
8) Blumea 68, 2023: 139 –161 RESEARCH ARTICLE
 An updated identification guide to the species of Amorphophallus (Araceae):
 new synonyms and a set of global dichotomous keys
https://www.researchgate.net/publication/374470289_An_updated_identification_guide_to_the_species_of_Amorphophallus_Araceae_new_synonyms_and_a_set_of_global_dichotomous_keys
9) Fl. Ind. ed. (Flora indica) , 3: p510 (1832)
 Arum bulbiferum Roxb.
https://archive.org/details/mobot31753000967882/page/510/mode/2up
10) BLUMEA —Vol.40, No.1, p223-224 1995
 Pseudodracontium harmandii Eng
https://repository.naturalis.nl/pub/525619/BLUM1995040001012.pdf
11) Wikipedia
 Amorphophallus titanum
https://en.wikipedia.org/wiki/Amorphophallus_titanum