コメガヤ 米茅

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae コメガヤ属

別 名 スズメノコ
中国名 俯垂臭草 fu chui chou cao
英 名 mountain melick
学 名 Melica nutans L
コメガヤの穂
コメガヤの小穂
コメガヤ小穂の葯と柱頭
コメガヤ小穂の小花
コメガヤの第3、4小花
コメガヤの果実
コメガヤ
コメガヤ葉
コメガヤ両性花
花 期 4~7月
高 さ 20~50㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の林内
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、インドなど、アジア、ヨーロッパの温帯域に広く分布
撮 影 宮路山  07.5.4
和名の由来は小穂が米粒に似ていることから。小穂に特徴があり、花穂のある季節には山の道端でよく見かけられる。宮路山の遊歩道では、コアブラツツジの花が見られる頃から花穂が目立つようになる。渥美半島では4月半ば頃から見られる。
 根茎が匍匐して伸びる。茎は細く、基部は紫褐色を帯び、直立して叢生する。葉は無毛、長さ5~20㎝、幅2~3㎜。葉鞘は無毛、筒状、紫褐色を帯びる。花序は円錐状に小穂が6~15個つき、枝には毛があり、軸に沿ってつき、短く見える。小穂は無毛、長さ6~8㎜の広楕円形、帯紫色~白緑色、4小花。両性小花2個と白色の退化した2個が重なった小花がある。両性小花は護頴と縁が内折れした内頴がある。雄しべ3個、葯は黄色。頴果は長さ3.5~4㎜、腹面が平らな惰円形、褐色。2n=18

コメガヤ属

  family Poaceae - genus Melica

 多年草、房状または根茎がある。稈は直立または斜上する。葉鞘は縁が融合する。葉身は線形。葉舌は膜質、しばしば円筒形で、ときに対生の葉身の側部に裂片をもつ。円錐花序は広がるか、より頻繁に狭くなり、ときに、乏しくまたは総状花序状になる。小梗(pedicels)は垂れ下がり、小穂の下に毛がある。小穂は弱く側部が扁平、1~3個の下部の稔性の小花と数個の上部の小さくなった小穂からなり、これらはしばしば未発達の鱗片の頂生の束に圧縮され、最下の小花の下で関節が離れ、または小穂が全体で落ちる。苞穎はよく発達し、広披針形または卵形であり、しばしば竜骨がなく、膜質または紙質状、両苞穎は等長または第1苞穎(lower glume)が短く、1~5脈があり、先は鈍形または鋭形。小花のカルス(callus)は小さく、無毛、鈍形。護穎(lemmas)は広披針形または卵形、普通う、草質、ときに大きく膜質であり、背が丸く、平滑またはザラつき、または毛があり、5~9(~13)脈があり、先は膜質、鈍形~鋭形、または浅く2裂する。内穎(palea)は普通、護穎よりも短いか、または上側の小花の護穎と同長、竜骨はザラつきまたは繊毛がある。雄しべは3個。x=9。
 世界に約90種あり、オーストラリアを除く世界の温帯および亜熱帯地域に分布する。

コメガヤ属の主な種と園芸品種

1 Melica altissima L.
 ヨーロッパ中部~東部、ロシア(シベリア)、イラン原産。英名はSiberian melic , dark purple Siberian melic。
品種) 'Alba' , 'Atropurpurea'

2 Melica ciliata L.
 中国、ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、南西アジア(コーカサス、北イラン)、ヨーロッパ原産。中国名は小穗臭草 xiao sui chou cao。英名はsilky-spike melic。
品種) 'Reine Saat' , 'Pearl Eyelash'

3 Melica macra Nees
 南アメリカ(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ)原産。
品種) 'Purpurea'

4 Melica nutans L. コメガヤ 米茅 
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、インドなど、アジア、ヨーロッパの温帯域に広く分布。中国名は俯垂臭草 fu chui chou cao。英名はmountain melick。別名はスズメノコ。山地の林内に生える。
 多年草、高さ20~50㎝。根茎が匍匐して伸びる。茎は細く、基部は紫褐色を帯び、直立して叢生する。葉は無毛、長さ5~20㎝、幅2~3㎜。葉鞘は無毛、筒状、紫褐色を帯びる。花序は長さ7~15㎝円錐花序、小穂が6~15個つき、枝には毛があり、軸に沿ってつき、短く見える。小穂は無毛、長さ(5~)6~8㎜の広楕円形、帯紫色~白緑色、4小花。両性小花2個と白色の退化した2個が重なった小花がある。両性小花は護頴と縁が内折れした内頴がある。雄しべ3個、葯は黄色。頴果は長さ3.5~4㎜、腹面が平らな惰円形、褐色。2n=18。花期は4~7月。
【Plants of the World Onlineの解説】
 多年草。根茎(匍匐根茎)は長く伸びる。稈は長さ20~60㎝。葉鞘はほぼ管状、細かくざらつく。葉舌は縁毛がなく、膜質、長さ約0.5㎜、先は切形。葉身は長さ4~20㎝×幅2~6㎜、表面は細かくザラつき、下面は粗く、上面は毛がある。花序は円錐花序、5~15個の稔性の小穂からなり、花序は開き、線形、うなずき、長さ3~15㎝、少数の小穂をつける。一次の円錐花序の枝は不明瞭、円錐花序はほとんど総状花序である。小穂は垂れ下がり、単生、稔性の小穂は小梗がある。小梗は糸状、曲がり、長さ3~15㎜、微軟毛があり、先端に毛がある。小穂は2~3個の稔性の小花からなり、先は小花が無くなる。小穂は長円形、側部が扁平、長さ6~8㎜、成熟すると別れ、苞穎の上で明瞭に関節が離れるが、小花の間では離れない。苞穎は宿存し、両苞穎は似ていて、小穂より短く、稔性の護穎より質が薄い。第1苞穎(lower glume)は長円形、長さ4~6㎜、第2苞穎(upper glume)と同長、膜質、紫色、竜骨はなく、5脈があり、先は鈍形。第2苞穎(upper glume)は長円形、長さ4~6㎜、隣接する稔性の護穎の長さの0.8倍、膜質、紫色、竜骨はなく、 5脈があり、先は鈍形。稔性の護穎は楕円形、長さ5~7㎜、紙質、竜骨はなく、7~9脈があり、表面は粗面(asperulous)であり、先は鈍形。内穎(palea)は楕円形、護穎の長さの0.9倍、2脈があり、竜骨は厚く、狭い翼があり、繊毛があり、先は全縁、鈍形。先の不稔の小花は2~3個つき、不毛、固まってつき、くさび形、長さ2mm。鱗被(lodicules)は2個、統合し、長円形、肉質、切形。葯は3個、長さ1.5~2mm。穎果は果皮が付着性、楕円形、長さ約3mm。胚は穎果の長さの0.2倍。へそは線形。
【Flora of Chinaの解説】
 多年草、根茎は細く、這う。稈は散在し、高さ25~70㎝、直径1~2mm。葉鞘は竜骨があり、翼が非常に狭く、翼の縁およびときに脈がザラつき、葉身との接合部が無毛またはまばらに毛があり、下部の葉鞘は帯紫色になる。葉身は平らで薄く、長さ10~26㎝×幅2~5㎜、下面は平滑、上面は微軟毛があり、ときにまばらに直軟毛があり、横脈がある。葉舌は長さ約0.3㎜またはほとんど無い。円錐花序は長さ4~15㎝、総状花序状、片面につき、最終的にはうなずく。小穂は5~15個つき、ほとんどが対になり、または主軸上に直接、単生し、ときに、最下の枝には2個または3個の小穂がつく。小穂は倒卵形、長さ5~8㎜、苞穎は紫色、小花は緑色、稔性の小花は2(または3)個つき、頂部の不稔の護穎は集まって球形に束生する。両苞穎は広卵形、不等長、長さ4~6㎜、縁は広く膜質で、3~7脈があり、先は両方とも鈍形。護穎は広楕円形、最下の護穎は長さ5~7㎜、革質、7~9脈があり、下部に追加の中間脈が付加し、細かくザラつきまたは微軟毛があり、先は鈍形。内穎は竜骨に繊毛がある。葯は長さ1~1.5mm。花期は5~7月。 2n=18。
4-1 Melica nutans L. subsp. grandiflora (Koidz.) T.Koyama アオコメガヤ 
  synonym Melica komarovii Lucznik
  synonym Melica grandiflora Koidz.
  synonym Melica nutans L. f. argyrolepis (Kom.) Kitag.
  synonym Melica nutans L. var. argyrolepis Kom.
 別名はシロコメガヤ。Kewscienceでは基本種に含める。YListやGBIFでは亜種または別種として認めている。
 小穂は基本種より大きく、長さ7~9mm、第1苞穎は長さ5~7mm、第2苞穎は長さ6~8mm、長楕円~長楕円被針形、先は鈍形、白っぽい緑色~淡緑色、または基部付近が淡赤紫色を帯びる。最下の小花の護穎は基本種よりやや短く、長さ4.5~6.5㎜。葯は基本種より短く、長さ0.8~1.2mm。

5 Melica onoei Franch. et Sav. ミチシバ  道芝
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州I)、韓国、中国、台湾、カシミール、パキスタン原産。中国名は广序臭草 guang xu chou cao。別名はハナビガヤ。林内、丘の中腹、峡谷、湿った日陰の場所、道端のなどに生える。
 多年草、株立(房状)O。稈は少なく、高さ75~150㎝、直径2~2.5㎜、節が多数ある。葉はすべての茎葉。葉鞘は節間よりもはるかに長く、ザラつきまたは微軟毛があり、下部の葉鞘は葉身が小さくなり、しばしば後向きの剛毛がある。葉身は広線形、長さ10~25㎝×幅6~14㎜、向背軸の表面は滑らかで、向背軸の表面はヒスパニックまたは毛状突起で、多くの場合まばらです。葉舌は長さ0.2~0.5㎜。円錐花序は緩く、長さ15~35㎝、各節に2~3本の枝があり、斜上または広がり、枝分かれし、長さ15㎝以下、小穂は拡散する。小穂は線状披針形、長さ5~9.5㎜、緑色、1または2個の稔性の小花と、1個の小さな不稔小花を長さ約2㎜の節間の上に生じる。両苞穎は等しくなく、隣接する小花よりも明らかに短く、第1苞穎(lower glume)は狭卵形、長さ2.5~3.5㎜。第2苞穎(upper glume)は披針状長円形、長さ4~5㎜、どちらも鈍形~穎形である。護穎は披針状長円形、最下の護穎は長さ4.8~5.5㎜、草質、顆粒状に細かくザラつき、7脈があり、ときに弱い付加脈があり、上側の縁と先は広い膜質で、先は鈍形。内穎の竜骨は先近くで細かくザラつき、それ以外は平滑。葯は長さ0.8~1.5㎜。花期および果期は5~10月。2n=18。
5-1 Melica onoei Franch. et Sav. var. pilosella Honda ウスゲミチシバ 
 円錐花序と葉舌がMelica onoeiから明瞭に異なる。単純な幅の狭い円錐花序をもち、葉鞘は平滑。葉は上面に長い直軟毛があり、先が尖る。葉舌は長さ約5㎜m。中国には無い。

6 Melica radula Franch. イトバコメガヤ 
  synonym Melica scabrosa Trin. var. radula (Franch.) Papp
 中国原産。中国名は细叶臭草 xi ye chou cao。

7 Melica scabrosa Trin. フサコメガヤ 
 朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は臭草 chou cao。別名はチョウセンミチシバ。

8 Melica transsilvanica Schur
 ヨーロッパ東部~モンゴル、イラン原産。英名はmelic grass。
品種) 'Atropurpurea' , 'Red Spires'

9 Melica turczaninowiana Ohwi オオコメガヤ 
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は大臭草 da chou cao。

10 Melica uniflora Retz.
 地中海沿岸地域、ヨーロッパ、コーカサス原産。英名はwood melick。
品種) 'Variegata'

11 Melica virgata Turcz. ex Trin. ホナガコメガヤ 
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は抱草 bao cao。

12 その他ハイブリッド
品種) 'Red Spires'

参考

1) Flora of China
 Melica
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=120133
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Melica
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30001058-2
3) World Flora Online
 Melica
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000023630;jsessionid=CEF5502F4E6CED5BE3FDA23A603EDD0C
4) World Checklist of Vascular Plants
 Melica
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North America
 Melica
http://floranorthamerica.org/Melica