コケサンゴ  苔珊瑚

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Flora of Mikawa

アカネ科 Rubiaceae コケサンゴ属

別 名 タイワンアワゴケ、タマツヅリ
中国名 红果薄柱草 hong guo bao zhu cao
英 名 florists' cyclamen , Persian cyclamen
学 名 Nertera granadensis (Mutis ex L.f.) Druce
 synonym Nertera depressa Banks et Sol. ex Gaertn.
コケサンゴの果実
コケサンゴの果実2
コケサンゴの葉
コケサンゴ
コケサンゴの葉2
花 期 4~7月
果期] 5~12月
高 さ 匍匐し、5㎝以下
生活型 多年草
生育場所 栽培種
分 布 外来種 台湾、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、トリスタンダクーニャ諸島原産
撮 影 西尾市  17.5.27
アカネ科、コケサンゴ属の栽培品種。黄色、赤色の球形の果実を多数つけ、観賞用に栽培される。多年草、匍匐する。茎は角(かど)があり、無毛になる。葉柄は細く、長さ2~4㎜、無毛になる。葉身は乾くと紙質、しばしば裏が淡色になり、卵形~卵状三角形、長さ03~1㎝、幅0.2~0.8㎝、無毛になり、一般に、上面は平滑、基部は鈍形~浅い心形、先は鋭形~鈍形。葉の2次脈は2~3対。托葉は卵状三角形、長さ0.5~1㎜、無毛になり、先は鋭形、しばしば腺がある。花は無柄又はほぼ無柄。萼は無毛、子房部分は楕円形、長さ約1㎜、萼の拡大部は退化。花冠は白色~淡緑色、無毛。花冠筒部は長さ0.5~1㎜。花冠裂片は長さ約1㎜。核果は赤色、類球形、直径3~5㎜、核は2個。花期は4~7月。果期は5~12月。

コケサンゴ属(ネルテラ属)

  family Rubiaceae - genus Nertera
 
 多年草、刺は無く、ときに傷つけると悪臭があり、しばしば、匍匐し、節から根を出す。束晶(raphide)がある。葉は対生、ダニ室(domatia)は無く、縁が普通、厚くなり、ときに縮れる。托葉は宿存し、葉柄間にあり(interpetiola)、葉柄に合着し、三角形又は2歯形(bidentate)。花序は頂生、偽腋生のいずれか又は両方、花が単生、花序柄は無又は短く、、苞は無いか又はときに対の融着した苞又は小さくなった托葉と葉からなる小さな総苞をもつ(例 副萼 calyculate)。花は両性、等花柱性。萼の拡大部は切形、4裂又は小さくなる。花冠は緑白色~白色~ピンク色、漏斗形、内側は無毛、花冠裂片は5個、蕾では敷石状。雄しべは4個、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は発達する。葯は底着。子房は2又は4室、胚珠は各室に1個、中軸胎座。柱頭は2又は4個、線形、突き出す。果実は橙色、赤色又は黒色、核果、卵形又は球形、肉質、咢の拡大部が宿存する。核(pyrene)は2又は4個、1室、各1種子をもち、平凸形、軟骨性。種子は中型、楕円形~平凸形、種皮は膜質。胚乳はわずか。子葉は葉状、胚軸は子房下。
 世界に約9種があり、熱帯アジア、オセアニア、南アメリカなどに分布する。ニュージーランドには固有種が6種ある。

【コケサンゴ属の種】
Nertera balfouriana Cockayne - ニュージーランドド固有種、2n=44
Nertera ciliata Kirk - ニュージーランド固有種 黄花、2n=44
Nertera cunninghamii Hook.f. - ニュージーランド固有種、2n=44

Nertera dichondrifolia (A.Cunn.) Hook.f. - ニュージーランド固有種、2n=44

Nertera granadensis (Mutis ex L.f.) Druce コケサンゴ
Nertera holmboei Christoph. - トリスタン・ダ・クーニャ諸島
Nertera nigricarpa Hayata  アリサンアワゴケ 

Nertera scapanioides Lange Nertera sinensis Hemsl. ex F.B.Forbes & Hemsl. - ニュージーランド固有種、2n=44

Nertera sinensis Hemsley, - 中国、薄柱草 bao zhu cao

Nertera villosa B.H.Macmill. & R.Mason - ニュージーランド固有種、2n=44

Nertera yamashitae T.Yamaz. アマミアワゴケ ⇒Ophiorrhiza yamashitae (T.Yamaz.) Kokub., Koh Nakam. et Yokota -日本(鹿児島県、沖縄県)


コケサンゴ属の主な種と園芸品種

1 Nertera granadensis (Mutis ex L.f.) Druce コケサンゴ 苔珊瑚

  synonym Nertera depressa Banks et Sol. ex Gaertn.[ニュージーランド]

  synonym Nertera taiwaniana Masam.[台湾]
 台湾、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、トリスタンダクーニャ諸島原産。英名はbeadplant , coral beadplant , coral-moss , English babytears。中国名は红果薄柱草 hong guo bao zhu cao。
 多年草、匍匐する。茎は角(かど)があり、無毛になる。葉柄は細く、長さ2~4㎜、無毛になる。葉身は乾くと紙質、しばしば裏が淡色になり、卵形~卵状三角形、長さ03~1㎝、幅0.2~0.8㎝、無毛になり、一般に、上面は平滑、基部は鈍形~浅い心形、先は鋭形~鈍形。葉の2次脈は2~3対。托葉は卵状三角形、長さ0.5~1㎜、無毛になり、先は鋭形、しばしば腺がある。花は無柄又はほぼ無柄。萼は無毛、子房部分は楕円形、長さ約1㎜、萼の拡大部は退化。花冠は白色~淡緑色、無毛。花冠筒部は長さ0.5~1㎜。花冠裂片は長さ約1㎜。核果は赤色、類球形、直径3~5㎜、核は2個。花期は4~7月。果期は5~12月。2n=44(Flora of China)
 小~大のパッチを形成し、直形約3㎝以下、無毛まれに毛が加わる。傷つけると弱い~強い悪臭がある。茎は不明瞭な4稜形、細く、かなり丈夫、長さ30㎝以下、普通、多数分枝し、長さ1mになる品種もある。葉柄は長さ(1~)2~3(~4)㎜、日陰では10㎜。托葉は小さく、普通、かなり厚く、広~狭三角形。葉身は卵形~広卵形、たまに、類円形~三角状卵形、類膜質~厚く、長さ(3~)5~8(~15)㎜、幅2~3~5(~10)㎜、鋭形~鈍形、普通、小さな微突頭、基部は急に狭く~円形~切形~類心形、縁は厚くなり、わずかに波打つ。花は腋生及び頂生、無柄、ごく小さい。萼は切形。花冠は類鐘形、長さ(1~)2~3㎜。花冠裂片は4個、ほぼ筒部と同長。花柱はわずかに突き出る。核果は無毛、多汁、球形、明るい赤色~暗赤色、直径約4㎜。(Flora of New Zealand)
品種)  'Suzanne'

2 Nertera nigricarpa Hayata アリサンアワゴケ
 中国、台湾原産。中国名は黑果薄柱草 hei guo bao zhu cao。
 多年草、匍匐する。茎は四角(かど)があり、無毛。葉柄は長さ1~8㎜、無毛。葉身は乾くと紙質、広卵形~卵状腎形、長さ0.25~1㎝、幅0.3~1.1㎝、無毛、一般に、上面は平滑、基部は円形~切形~心形で急に漸尖、先は鈍形~広円形。葉の2次脈は2~3対。托葉は広三角形、長さ1~1.3㎜、無毛、先は鋭形、しばしば腺がある。花は無柄。萼は無毛、子房部分は卵形、長さ約1㎜、萼の拡大部は切形~歯状、長さ0.1~0.2㎜。花冠はおそらく淡緑色、つぼ状漏斗形、無毛。花冠筒部は長さ約1㎜。花冠裂片は三角形、長さ約0.4㎜。核果は黒色、楕円形~類球形、直径4~4.5㎜、無毛、核は2個。花期は2~7月。果期は3~1月。

3 Nertera balfouriana Cockayne ネルテラ・バルフォウリアナ
 ニュージーランドド固有種。標高約600~1000mの湿った沼地に生える。
 高さ10㎝まで、直径約25㎝までの密なパッチを形成し、無毛。茎は肉質で、細く、控えめ~多数、分枝する。枝や小枝は非常に細い。葉柄は細くて浅い樋があり、長さ(1)~ 2~(4)㎜。托葉は長さ約1㎜、ほぼ三角形、膜質、淡色、先は鋭形またはほぼ鋭形。葉身は広卵形~広長円形~倒卵形またはほぼ円形(同じ植物でも様々な形状になり)、長さ(1.5)~2~4~(5)㎜×幅(1)~2~3~(4)㎜、基部は鈍形~円形~切形、またはほぼ心形。 花は腋生および頂生、無柄、顕著に雌性先熟(protogynous)。 萼は切形、廃れる。花冠は4裂。筒部は長さ2.25~3㎜、無毛、漏斗形。裂片は鈍い三角形、後屈し、縁にパピラがある。花柱は葯を超えて突き出し、反曲し、基部の1/3が統合する。雄しべは長さ約5㎜、直立する。核果は洋梨形、長さ(6.5)~7~9㎜、黄色~薄オレンジ色。2n=44。果期は2月。
品種) 'Lakeside'

4 Nertera sinensis Hemsley ネルテラ・シネンシス
 中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、雲南省)原産。中国名は薄柱草 bao zhu cao。標高500~1300mの山の斜面、道端、溝の脇、川辺の石に生える。
 多年草、低く、主茎が這い、繁殖茎が直立し、高さ10㎝まで。茎は角(かど)があり、無毛。葉柄は長さ1~3㎜、無毛。葉身は乾くと紙質、長円状披針形~楕円形、長さ0.7~1.6㎝×幅0.35~0.5㎝、両面は無毛またはまばらに小剛毛(hispidulous)があり、下面は薄壁の細胞が拡大して粗く、乾くとふけで覆われたような外観になり(scurfy appearance)、基部は楔形~鋭形、縁は小剛毛があり 、先は鋭形~楔形、二次脈は見えない。托葉は狭三角形、長さ0.8~1㎜、鈍形~鋭形、または芒状で、通常は腺がある。花は無柄。萼は無毛。子房部分は長さ1~1.5㎜。拡大部は切形、長さ0.1~0.2㎜。花冠は淡緑色、漏斗形、無毛。花冠筒部は長さ約1㎜、花冠裂片は三角形、長さ約0.5㎜、鋭形~鈍形。核果は暗青色~黒色、ほぼ球形、直径2~6㎜。核は4個。花期は7~8月。果期は7~11月。

参考

1) Flora of China
 Nertera
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=122178
2) Flora of New Zealand | Taxon Profile
 Rubiaceae
http://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Rubiaceae.html
3) Nertera depressa | New Zealand Plant Conservation Network
Nertera balfouriana , Nertera ciliata , Nertera cunninghamii , Nertera depressa , Nertera dichondrifolia , Nertera scapanioides , Nertera villosa
http://nzpcn.org.nz/flora_details.aspx?ID=2206:Nertera depressa