コゴメウツギ 小米空木
Flora of Mikawa
バラ科 Rosaceae スグリウツギ属
英 名 | lace shrub , cutleaf stephanandra |
中国名 | 小米空木 xiao mi kong mu |
学 名 | Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel. |
花 期 | 5~6月 |
高 さ | 1~2.5m |
生活型 | 落葉低木 |
生育場所 | 山地 |
分 布 | 在来種 北海道日高地方、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾 |
撮 影 | 新城市(旧作手村守義) 12.6.1 |
ウツギの名が付いているが、バラ科。コゴメウツギ属(Stephanandra)からスグリウツギ属(Neillia)に変更された。
太平洋側に多い。幹は灰褐色。葉は互生し、長さ2~4㎝の三角状広卵形、重鋸歯縁、葉先は尾状に尖り、基部は切形~心形、葉裏の脈上に軟毛がある。葉柄は長さ3~7㎝、軟毛がある。托葉は長さ約5㎜の披針形。円錐花序~散房状の花序に小さな花を多数つける。花は直径4~5㎜の白色の5弁、萼片が大きく、10弁花に見える。萼片は卵円形、縁に細鋸歯と毛があり、果実を包んで残る。雄しべは10個、花弁より短い。果実は直径2~3㎜のほぼ球形の袋果、有毛、種子が2個入る。種子は直径約1.5㎜、広倒卵形。
低木、まれに亜低木、落葉性。小枝は広がり、細く、円柱形または角(かど)がある。芽は卵形、芽鱗は覆瓦状、先は鋭形。葉はしばしば2列につく。托葉は目立ち、落葉性。葉身は単葉、縁は重鋸歯縁、普通、3分割または浅く3~5(~7)裂する。花序は頂生またはときに腋生の総状花序または円錐花序。苞は線状披針形~卵形、小さく、早落性。花は両性。花托筒は鐘形、つぼ状鐘形、または円筒形。萼片は5個、直立し、果時に宿存し、密に毛があり、外側に柄のある腺がつく。花弁は白色またはピンク赤色、萼片と同長ではない。雄しべは10~30本、花托筒の縁に不規則に2輪につき、花弁を超えない。心皮は1(~5)個。子房は2~10個の胚珠をもつ。花柱は直立。袋果は宿存性の花托筒に包まれ、内側の縫合線に沿って裂開する。種子は数個、倒卵形。種皮は光沢があり、カルンクル(肉阜)は凸面形。
世界に約17種あり、中央アジア、東アジア、および東南アジアに分布し、中国には15種(12種が固有種)ある。
synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel var. quadrifissa (Nakai) T.B.Lee
synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel
synonym Stephanandra gracilis Franch. et Sav.
synonym Stephanandra flexuosa Siebold. et Zucc.
日本(北海道日高地方、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は小米空木 xiao mi kong mu。英名はlace shrub , cutleaf stephanandra。山地に生える。
落葉低木、高さ1~2.5m。幹は灰褐色。葉は互生し、長さ2~4㎝の三角状広卵形、重鋸歯縁、葉先は尾状に尖り、基部は切形~心形、葉裏の脈上に軟毛がある。葉柄は長さ3~7㎝、軟毛がある。托葉は長さ約5㎜の披針形。円錐花序~散房状の花序に小さな花を多数つける。花は直径4~5㎜の白色の5弁、萼片が大きく、10弁花に見える。萼片は卵円形、縁に細鋸歯と毛があり、果実を包んで残る。雄しべは10個、花弁より短い。果実は直径2~3㎜のほぼ球形の袋果、有毛、種子が2個入る。種子は直径約1.5㎜、広倒卵形、光沢がある。花期は5~6月。2n=18。
品種) 'Crispa' , 'Dart's Horizon' , 'Prostrata'
1-1 Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh var. macrophylla (Hid.Takah.) Yonek. シマコゴメウツギ 島小米空木
synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel var. macrophylla Hid.Takah.
伊豆諸島に分布する。
落葉低木。托葉は大きく、卵形~広披針形、長さ 3~8mm×幅2~ 5㎜、基部付近に顕著な切れ込みが多くある。葉柄は長さ8~15mm。葉身は三角状広卵形、長さ3.5~8㎝×幅2.5~7㎝、羽状に浅裂~中裂し、各裂片は鋭尖頭~尾状鋭尖頭、縁には鈍~やや鋭頭の重鋸歯があり、基部は心形、質は厚く、両面に毛があり、側脈は4~ 7対。本年枝の葉身は3中裂し、さらに裂片が羽状に浅裂する。花は大きく、直径6~7mm。萼片は5個、広楕円形、鈍頭、長さ1.6~2.2mm×幅1.5~1.8㎜。花は白色、直径6~7㎜。花弁は5個、広倒卵、長さ1.6~2.5㎜×幅1.4~2mm、早落性。雄しべは長雄しべが長さ1.0~1.4㎜、短雄しべが長さ0.6~0.7㎜。葯は長さ約0.2mm。花粉は長楕円形、長さ30~32.5µm×幅15µm。子房は全面に毛がある。花柱は長さ1.2~2.2mm。果実は直径約3㎜、各果に1~ 2個の種子が入る。種子は褐色、楕円形、長さ1.6~2mm。
2 Neillia tanakae (Franch. et Sav.) Franch. et Sav. ex S.H.Oh カナウツギ 金空木
synonym Stephanandra tanakae Franch. et Sav.
日本固有種。本州(関東~中部地方の太平洋側、日本海側の新潟県、秋田県)に分布する。英名はTanaka's stephanandra。山地の林縁に生える。
落葉低木、高さ2.5m以下。幹は株立ちになる。若枝は赤褐色を帯び、細く、無毛、古枝は灰褐色。托葉は大きく、狭卵形、長さ10~12㎜、縁には鋸歯縁、先は鋭形。葉は互生し、葉柄は長さ12~17㎜。葉身は三角状広卵形、長さ5~11㎝×幅3.5~7㎝、基部は心形、縁は欠刻状の鋭鋸歯、先は尾状尖鋭形、下面は無毛、脈上と脈腋に軟毛がある。当年枝に頂生または腋生の円錐花序をつけ花を多数つける。花序は長さ4~10㎝、花序柄がある。花は直径約5㎜、白色の5弁花。萼片は5個つき、卵状三角形。花弁は5個、長さ2㎜。雄しべは約20本、長さ約0.5㎜。雌しべは1個。花柱は長さ約1.2㎜。袋果は楕円形、長さ約2.5㎜、2~3個の種子が入る。花期は5~6月。果期は8~10月。
3 Neillia uekii Nakai スグリウツギ 酸塊空木
朝鮮、中国原産。中国名は东北绣线梅 dong bei xiu xian mei。英名はKorean neillia。
低木、直立し、高さ1.5~2m。小枝は赤褐色で細く、若いときはわずかに毛があり、無毛になる。蕾は紫色、卵形、縁に3~4個の鱗状毛がある。托葉は卵状披針形~三角状披針形、草質、縁は鋸歯縁、先は鋭形。葉柄は長さ5~10㎜、密に毛がある。葉身は卵形~楕円状卵形、まれに三角状卵形、長さ3~6㎝×幅2~4㎝、下面は脈にわずかに毛があり、上面は無毛、基部は円形~切形、縁が羽状分裂し、重鋸歯があり、先は長い尖鋭形または尾状。総状花序は長さ4~9㎝、花が10~25個つき、花序柄と花柄にはわずかに毛と星状毛がある。花は直径5~6㎜。花柄は長さ3~4㎜。花托筒はつぼ状鐘形、長さ3~4㎜、外側は毛がある。萼片は三角形、花托筒よりわずかに短く、両面に毛があり、縁は全縁、先は尖鋭形。 花弁は白色、へら形、長さ約4㎜。雄しべは約10本。子房は卵形、先と内側の縫合線に沿って毛がある。胚珠は2個。袋果は長い卵形。種子は卵形。花期は5~6月。
4 Neillia x nakatsuriparia (Hid.Takah.) S.H.Oh ナカツカナウツギ
synonym Stephanandra x nakatsuriparia Hid.Takah.
コゴメウツギとカナウツギの交雑種。
3 その他ハイブリッド
品種) 'Bokrabruijn'PBR , Oro Verde
Neillia
Neillia
Neillia
Neillia
日本産コゴメウツギ属の新変種・新雑種
太平洋側に多い。幹は灰褐色。葉は互生し、長さ2~4㎝の三角状広卵形、重鋸歯縁、葉先は尾状に尖り、基部は切形~心形、葉裏の脈上に軟毛がある。葉柄は長さ3~7㎝、軟毛がある。托葉は長さ約5㎜の披針形。円錐花序~散房状の花序に小さな花を多数つける。花は直径4~5㎜の白色の5弁、萼片が大きく、10弁花に見える。萼片は卵円形、縁に細鋸歯と毛があり、果実を包んで残る。雄しべは10個、花弁より短い。果実は直径2~3㎜のほぼ球形の袋果、有毛、種子が2個入る。種子は直径約1.5㎜、広倒卵形。
スグリウツギ属(ネイリア属)
family Rosaceae - genus Neillia低木、まれに亜低木、落葉性。小枝は広がり、細く、円柱形または角(かど)がある。芽は卵形、芽鱗は覆瓦状、先は鋭形。葉はしばしば2列につく。托葉は目立ち、落葉性。葉身は単葉、縁は重鋸歯縁、普通、3分割または浅く3~5(~7)裂する。花序は頂生またはときに腋生の総状花序または円錐花序。苞は線状披針形~卵形、小さく、早落性。花は両性。花托筒は鐘形、つぼ状鐘形、または円筒形。萼片は5個、直立し、果時に宿存し、密に毛があり、外側に柄のある腺がつく。花弁は白色またはピンク赤色、萼片と同長ではない。雄しべは10~30本、花托筒の縁に不規則に2輪につき、花弁を超えない。心皮は1(~5)個。子房は2~10個の胚珠をもつ。花柱は直立。袋果は宿存性の花托筒に包まれ、内側の縫合線に沿って裂開する。種子は数個、倒卵形。種皮は光沢があり、カルンクル(肉阜)は凸面形。
世界に約17種あり、中央アジア、東アジア、および東南アジアに分布し、中国には15種(12種が固有種)ある。
スグリウツギ属の主な種と園芸品種
1 Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh コゴメウツギ 小米空木synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel var. quadrifissa (Nakai) T.B.Lee
synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel
synonym Stephanandra gracilis Franch. et Sav.
synonym Stephanandra flexuosa Siebold. et Zucc.
日本(北海道日高地方、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は小米空木 xiao mi kong mu。英名はlace shrub , cutleaf stephanandra。山地に生える。
落葉低木、高さ1~2.5m。幹は灰褐色。葉は互生し、長さ2~4㎝の三角状広卵形、重鋸歯縁、葉先は尾状に尖り、基部は切形~心形、葉裏の脈上に軟毛がある。葉柄は長さ3~7㎝、軟毛がある。托葉は長さ約5㎜の披針形。円錐花序~散房状の花序に小さな花を多数つける。花は直径4~5㎜の白色の5弁、萼片が大きく、10弁花に見える。萼片は卵円形、縁に細鋸歯と毛があり、果実を包んで残る。雄しべは10個、花弁より短い。果実は直径2~3㎜のほぼ球形の袋果、有毛、種子が2個入る。種子は直径約1.5㎜、広倒卵形、光沢がある。花期は5~6月。2n=18。
品種) 'Crispa' , 'Dart's Horizon' , 'Prostrata'
1-1 Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh var. macrophylla (Hid.Takah.) Yonek. シマコゴメウツギ 島小米空木
synonym Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel var. macrophylla Hid.Takah.
伊豆諸島に分布する。
落葉低木。托葉は大きく、卵形~広披針形、長さ 3~8mm×幅2~ 5㎜、基部付近に顕著な切れ込みが多くある。葉柄は長さ8~15mm。葉身は三角状広卵形、長さ3.5~8㎝×幅2.5~7㎝、羽状に浅裂~中裂し、各裂片は鋭尖頭~尾状鋭尖頭、縁には鈍~やや鋭頭の重鋸歯があり、基部は心形、質は厚く、両面に毛があり、側脈は4~ 7対。本年枝の葉身は3中裂し、さらに裂片が羽状に浅裂する。花は大きく、直径6~7mm。萼片は5個、広楕円形、鈍頭、長さ1.6~2.2mm×幅1.5~1.8㎜。花は白色、直径6~7㎜。花弁は5個、広倒卵、長さ1.6~2.5㎜×幅1.4~2mm、早落性。雄しべは長雄しべが長さ1.0~1.4㎜、短雄しべが長さ0.6~0.7㎜。葯は長さ約0.2mm。花粉は長楕円形、長さ30~32.5µm×幅15µm。子房は全面に毛がある。花柱は長さ1.2~2.2mm。果実は直径約3㎜、各果に1~ 2個の種子が入る。種子は褐色、楕円形、長さ1.6~2mm。
2 Neillia tanakae (Franch. et Sav.) Franch. et Sav. ex S.H.Oh カナウツギ 金空木
synonym Stephanandra tanakae Franch. et Sav.
日本固有種。本州(関東~中部地方の太平洋側、日本海側の新潟県、秋田県)に分布する。英名はTanaka's stephanandra。山地の林縁に生える。
落葉低木、高さ2.5m以下。幹は株立ちになる。若枝は赤褐色を帯び、細く、無毛、古枝は灰褐色。托葉は大きく、狭卵形、長さ10~12㎜、縁には鋸歯縁、先は鋭形。葉は互生し、葉柄は長さ12~17㎜。葉身は三角状広卵形、長さ5~11㎝×幅3.5~7㎝、基部は心形、縁は欠刻状の鋭鋸歯、先は尾状尖鋭形、下面は無毛、脈上と脈腋に軟毛がある。当年枝に頂生または腋生の円錐花序をつけ花を多数つける。花序は長さ4~10㎝、花序柄がある。花は直径約5㎜、白色の5弁花。萼片は5個つき、卵状三角形。花弁は5個、長さ2㎜。雄しべは約20本、長さ約0.5㎜。雌しべは1個。花柱は長さ約1.2㎜。袋果は楕円形、長さ約2.5㎜、2~3個の種子が入る。花期は5~6月。果期は8~10月。
3 Neillia uekii Nakai スグリウツギ 酸塊空木
朝鮮、中国原産。中国名は东北绣线梅 dong bei xiu xian mei。英名はKorean neillia。
低木、直立し、高さ1.5~2m。小枝は赤褐色で細く、若いときはわずかに毛があり、無毛になる。蕾は紫色、卵形、縁に3~4個の鱗状毛がある。托葉は卵状披針形~三角状披針形、草質、縁は鋸歯縁、先は鋭形。葉柄は長さ5~10㎜、密に毛がある。葉身は卵形~楕円状卵形、まれに三角状卵形、長さ3~6㎝×幅2~4㎝、下面は脈にわずかに毛があり、上面は無毛、基部は円形~切形、縁が羽状分裂し、重鋸歯があり、先は長い尖鋭形または尾状。総状花序は長さ4~9㎝、花が10~25個つき、花序柄と花柄にはわずかに毛と星状毛がある。花は直径5~6㎜。花柄は長さ3~4㎜。花托筒はつぼ状鐘形、長さ3~4㎜、外側は毛がある。萼片は三角形、花托筒よりわずかに短く、両面に毛があり、縁は全縁、先は尖鋭形。 花弁は白色、へら形、長さ約4㎜。雄しべは約10本。子房は卵形、先と内側の縫合線に沿って毛がある。胚珠は2個。袋果は長い卵形。種子は卵形。花期は5~6月。
4 Neillia x nakatsuriparia (Hid.Takah.) S.H.Oh ナカツカナウツギ
synonym Stephanandra x nakatsuriparia Hid.Takah.
コゴメウツギとカナウツギの交雑種。
3 その他ハイブリッド
品種) 'Bokrabruijn'PBR , Oro Verde
参考
1) Flora of ChinaNeillia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110810
2) Plants of the World Online| KewscienceNeillia
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30002868-2
3) World Flora OnlineNeillia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012430
4) Flora of North AmericaNeillia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=121784
5) Bulletin of the Kanagawa Prefectural Museum (Nat. Sci.),No20, 11-19 1991日本産コゴメウツギ属の新変種・新雑種
https://nh.kanagawa-museum.jp/www/contents/1600215828751/simple/bull20_11-19_takahashi.pdf