ユキノシタ科 Saxifragaceae 又はスグリ科から新分類（APGⅢ）ではズイナ科に分離された。
　株立になる。樹皮は赤紫色、後に灰褐色の縦の割れ目が入る。葉は互生し葉柄は長さ3～10㎜。葉身は長さ2～9㎝、幅1～4㎝、楕円形～楕円状倒披針形、縁は腺のある鋸歯～細鋸歯、又は小歯状、先は短く尖る。総状花序は弓なり、花を密に20～80個つけ、長さ4～15㎝、花軸は帯赤紫色、有毛。小花柄は長さ1～3.5㎜、有毛。萼片は直立又はやや開き、長さ0.6～1㎜の狭長楕円形、先が尖る。花弁は5個、長さ3.5～6㎜の狭長楕円形。雄しべ5個、花糸は長さ1～2㎜、有毛。花柱は縦に溝がある。蒴果は後屈;し、円筒形、長さ7～10㎜、花柱は残り、有毛。種子は長さ1～1.4㎜、幅0.4～0.9㎜、平滑、光沢がある。 2n=22。
　ズイナ Itea japonica　は日本固有種。枝は横に広がり、よく分枝し、若枝は淡緑色。葉は互生し、葉身は草質、長さ5～12㎝の卵状長楕円形～楕円形、基部は広楔形～円形、先は鋭く長く尖り、細鋸歯縁。葉脈が葉裏に突出し、目立ち、側脈は約8対、平行し、脈上に微毛がある。枝先に上向きの総状花序をつけ、小さな花が多数つく。総状花序は長10～20㎝、花序軸に白色の開出毛が密生し、花が1～3個ずつ束生する。萼片は5個。花弁は5個つき、長さ3～5㎜の狭披針形、黄色の花盤が目立つ。.雄しべ5個。蒴果は長さ約3㎜の広卵形、9月に熟し、2裂する。種子は長さ約0.8㎜の卵形、黒色、網目模様がある。2n=22。

ズイナ属

　 family　Iteaceae - genus　Itea

　低木又は高木。葉は互生、葉柄があり、托葉は脱落性又は常緑、小さく、羽状脈がある。葉身は単葉、楕円形～披針形、2次脈は広がり又は曲がり、縁は腺のある歯か又は刺のある歯があり、まれに円鋸歯又は全縁。花序は頂生又は腋生、総状花序又は総状花序状の円錐花序、多数の花がつく。花は両性又は単性もあり、小さい。咢筒は子房の基部につく。咢片は5個、宿存する。花弁は5個、子房周位;、果時に直立又は後屈、帯白色又は黄緑色、敷石状。雄しべは5本、花盤の縁につく。花糸は糸状槍形。葯は卵形～長円形。花盤はリング状。子房は上位又は半下位、花盤につき、2心皮、長く、楕円形、中央胎座。胚珠は多数、2列。花柱は1本又はときに中間まで分裂し、条線がある。柱頭は頭状。果実は蒴果、円錐形～線状長円形、先は裂け、宿存する咢片と花弁をもつ。種子は多数で狭い紡錘形、又は少数の平らな長円形。種皮は光沢があり、胚は円筒形、大きい。
　世界に約27種があり、主に南東アジア、ヒマラヤ～中国、日本に分布し、1種が北アメリカに分布する。

ズイナ属の主な種

1 Itea ilicifolia Oliv.　シナズイナ　支那瑞菜
　中国原産。中国名は冬青叶鼠刺 dong qin shu ci
　低木、高さ2～4m。小枝は無毛。葉柄は長さ5～10㎜、無毛。葉身は下面は淡緑色、上面は暗緑色で光沢があり、楕円状長円形～広楕円形、まれに類円形、長さ5～9.5㎝×幅3～6㎝、厚い革質、両面とも無毛又は脈腋だけに毛叢があり、中脈や2次脈が下面に明瞭に隆起し、2次脈は5～6対あり斜上し、網状脈は不明瞭、基部は鈍形～円形、縁はしばしば乾くと、外巻きになり、緩く刺のある鋸歯があり、先は鋭形又は刺がある、総状花序は頂生、垂れ下がり、長さ25～30㎝、花序軸は微軟毛がある。苞は錐形、長さ約1㎜。花は多数、普通、3個束生する。花柄は長さ約1.5㎜、無毛。咢は浅い円蓋形。咢片は花時に直立し、先がわずかに内側に曲がり、三角状披針形、長さ約2.5㎜、先は微突形。雄しべは花弁の長さの約1/2。花糸は長さ約1.5㎜、無毛。葯は長円形。子房は半上位。花柱は1本、柱亜多アは頭状。蒴果は垂れ下がり、卵状披針形、長さ約5㎜、無毛。花期は5～6月。果期は7～11月。2n = 22。
品種)　'Rubrifolia' , 'Westonbirt'

2 Itea japonica Oliv.　 ズイナ　瑞菜
　日本固有種(本州の関西以西、四国、九州)。別名はヨメナノキ
　落葉低木。高さ1～2m。枝は横に広がり、よく分枝し、若枝は淡緑色。葉は互生し、葉身は草質、長さ5～12㎝の卵状長楕円形～楕円形、基部は広楔形～円形、先は鋭く長く尖り、細鋸歯縁。葉脈が葉裏に突出し、目立ち、側脈は約8対、平行し、脈上に微毛がある。枝先に上向きの総状花序をつけ、小さな花が多数つく。総状花序は長10～20㎝、花序軸に白色の開出毛が密生し、花が1～3個ずつ束生する。萼片は5個。花弁は5個つき、長さ3～5㎜の狭披針形、黄色の花盤が目立つ。.雄しべ5個。蒴果は長さ約3㎜の広卵形、9月に熟し、2裂する。種子は長さ約0.8㎜の卵形、黒色、網目模様がある。2n=22。花期は5～6月。
品種)　'Beppu'

3 Itea oldhamii C.K.Schneid.　 ヒイラギズイナ　柊随菜
　　synonym　Itea chinensis auct. non Hook. et Arn.
　　synonym　Itea chinensis Hook. et Arn. var. subserrata Maxim.
　日本(沖縄)、台湾原産。中国名は台湾鼠刺 tai wan shu ci
　低木又はまれに小高木、条柄翼、小枝は丈夫、若い小枝はまばらに長軟毛があり、古い小枝は無毛。葉柄は長さ5～10㎜、無毛。葉身は卵形～卵状楕円形、長さ6～9㎝×幅3.5～5.5㎝、厚い革質、両面とも無毛、中脈は下面に盛り上がり、上面は凹み、2次脈は5～7対、弓状に斜上し、網状脈が目立ち、基部は鈍形～楔形、縁は離れた2～10個の歯が両側にあり、先は短い鋭形～尖鋭形、まれに鈍形。総状花序は腋生又は頂生、長さ3～5㎝、しばしば軟毛がある。苞は長さ1～2㎜。花は多数、単生又は2個束生する。花柄は開出し、長さ2～4㎜、微軟毛がある。咢は浅い円蓋形。咢片は三角状披針形、花弁の長さの約1/2。花弁は白色、披針形、約・長さ2.5㎜×幅1㎜。雄しべは花弁より長い。花糸は毛がある。葯は楕円状球形。子房は上位、微軟毛がある。蒴果は円錐形、長さ5～6㎜、わずかに軟毛があり、基部に宿存する咢片をもつ。2n = 22。

4 Itea parviflora Hemsl.　 ヒメズイナ　姫瑞菜
　台湾原産。中国名は小花鼠刺 xiao hua shu ci 。別名はアリサンズイナ。


5 Itea virginica L.　 コバノズイナ　小葉の瑞菜
　北アメリカ原産。英名はVirginia sweetspire , Virginia-willow , tassel-white , Virginia-tea。別名はアメリカズイナ。
　落葉低木。高さ1～3m。株立になる。樹皮は赤紫色、後に灰褐色の縦の割れ目が入る。葉は互生し葉柄は長さ3～10㎜。葉身は長さ2～9㎝、幅1～4㎝、楕円形～楕円状倒披針形、縁は腺のある鋸歯～細鋸歯、又は小歯状、先は短く尖る。総状花序は弓なり、花を密に20～80個つけ、長さ4～15㎝、花軸は帯赤紫色、有毛。小花柄は長さ1～3.5㎜、有毛。萼片は直立又はやや開き、長さ0.6～1㎜の狭長楕円形、先が尖る。花弁は5個、長さ3.5～6㎜の狭長楕円形。雄しべ5個、花糸は長さ1～2㎜、有毛。花柱は縦に溝がある。蒴果は後屈;し、円筒形、長さ7～10㎜、花柱は残り、有毛。種子は長さ1～1.4㎜、幅0.4～0.9㎜、平滑、光沢がある。 2n=22。花期は5～6月。
品種)　'Beppu' , 'Henry's Garnet'=Virginia sweetspire , Little Henry = 'Sprich' (PBR) , 'Long Spire' , 'Merlot' , 'Morton' , 'Sarah Eve' , 'Saturnalia' , Scarlet Beauty™ , ScentlandiaR , 'Shirley's Compact' , Swarthmore form , 'Theodore Klein' , 赤花

参考

１） Flora of China
　　Itea
　　http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=116640
2) GRIN
　Itea
　https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6123
3) Flora of North America
　Itea
　http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=116640
4）Kewscience
　Itea
　http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:37068-1