キヤニモモ 黄脂桃

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Flora of Mikawa

オトギリソウ科 Clusiaceae フクギ属

別 名 タマゴノキ
中国名 大叶藤黄 da ye teng huang
英 名 gambogetree , Mysore gamboge , sour mangosteen , cochin-goraka , false mangosteen
学 名 Garcinia xanthochymus Hook.f. ex T.Anders.
キヤニモモの果実
キヤニモモの果実2
キヤニモモの幹
キヤニモモの幹2
キヤニモモ
キヤニモモ2
花 期 3~5月
高 さ 8~10m
生活型 常緑高木
生育場所 谷間または丘陵の密生した湿潤林
分 布 外来種 中国、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム原産
撮 影 浜松市 16.10.10
キヤニモモは熱帯地方で栽培されるオトギリソウ科の常緑高木、別名はタマゴノキ。果実は球形~卵形で先が小さく尖り、黄色く熟すと食べられる。マンゴスチンも同属の果実。
 高木、高さ8~10m、直径15~45㎝。樹皮は灰褐色。枝は多数、細く、十字対生し、水平だが、普通、上部は±垂れ下がり、小枝は明瞭に角(かど)がある。葉柄は丈夫、V形でやや基部は茎を抱き、長さ1.5~2.5㎝、角(かど)があり、乾くと横しわがある。小枝の頂部の1~2対は普通、ローズ色。葉身は光沢があり、楕円形~長円形~長円状披針形、長さ(14~)20~34㎝×幅(4~)6~12㎝、厚い革質、中脈は丈夫、両面に盛り上がり、2次脈は密、35~40対以下、縁近くでアーチ状に曲がり、吻合する。3次脈と細脈は明瞭。葉の基部は±広楔形、葉縁は内巻、葉先は鋭形~鈍形、まれに尖鋭形。散房花序状の集散花序に花が (2~)5~10(~14)個つき、葉腋から生じる。花序柄は長さ6~12㎜。花柄は長さ1.8~3㎝。花は5数性、雌花だけが見られる。萼片と花弁は3個が大きく、2個が小さく、縁毛が見える。仮雄しべの5束は長さ約3㎜、平たくなり、下部は統合され、上部は分離、各束には2~5個の仮雄しべをもつ。雄しべ束(fasciclodes)は5個、四角形、長さ約1㎜、強いしわがある。子房は球形、普通、5室。花柱は短く、長さ約1㎜。柱頭は盾状、先は凹形、 (3~)5裂。 熟した液果は黄色、球形又は卵形、ときに斜め、直径3~5㎝、平滑、ときに斜めの皮目があり、微突頭、萼片と雄しべの束が普通、宿存する。種子は1~4個、長円形又は卵形、種皮は褐色、平滑。花期は3~5月。果期は8~11月。2n = 72, 80, 96。

フクギ属

  family Clusiaceae(alt.Guttiferae) -genus Garcinia

 高木又は低木、普通、黄色の乳液をもつ。頂芽は機能がある。芽は普通、芽鱗が無い。葉は対生、まれに輪生、ごくまれに托葉があり、葉柄があり、全縁、革質~紙質、普通、無毛、2次脈は普通、明瞭、多数~少数、中脈に対し斜め~垂直、3次脈は網状、上面に帯褐色の横方向の樹脂道(resin canals)があり、下面に線形(~点状又は多数、分枝のある)又は脈間の半透明の腺がある。葉柄はしばしば基部に舌状の付属体をもつ。機能的に雌雄異株(ときに両性花があり、又は雌雄同株)。花は頂生や腋生の集散花序(しばしば密穂花序)につき、3個ずつ又は束生~双性~単生する。萼片は[2~3 ~]4~5個、X字形につき又は覆瓦状(梅花状の5数性)につき、分離 [または、ごくまれに芽に完全に合着する]。花弁は [3~]4~ 5[~8]個、多数~少数の雄しべが束生し、花糸がほとんど分離~完全に統合し、又は±完全に合着する [又は花弁につく]。葯は1, 2, 4 又は多数の室をもち、底着又は様々に統合する。雄しべ束(staminode bundles=fasciclodes)は4又は5個、咢片の前につき(antisepalous)、分離又は± 統合又は無い。退化雌しべ(pistillode)は有又は無。雌花は仮雄しべが束生し、雄花は小さく又は仮雄しべが分離に見え、雄しべ束は雄花では分離するが小さく、子房の基部で輪になるか又は欠く。柱頭は分離又は±統合し、盾状、2~5裂又は全縁。液果は平滑又は溝があり[又はいぼ状又はまれに2次裂開]、革質~薄い外果皮をもち、1~5個、ときにより多くの種子を内果皮の果肉に埋めてもつ。種子は大きく、胚軸は塊状。
 世界に約400種があり、熱帯アフリカ、アフリカ南部マダガスカル、熱帯アジア、オーストラリア北東部、ポリネシア西部、熱帯アメリカに分布する。

フクギ属の主な種と栽培種

1 Garcinia dulcis (Roxb.) Kurz オオバノマンゴスチン
 インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン原産。英名はyellow mangosteen , gourka , claudie mangosteen , eggtree。
 常緑高木、高さ6~15m。樹皮は褐色、鱗片状になる。葉は単葉、対生し、卵形~長円状楕円形、長さ10~30㎝×幅3.5~14㎝、全縁、革質、縁はやや波状、上面は暗緑色、光沢があり、下面には通常、毛がある。雌雄異花、異株またはときに両性花。花は葉腋および枝先の集散花序に、5個ずつ束生する。花は直径6~12㎜、酸っぱい匂がする。萼片は4個、花弁は4個、白黄色。液果は幅5~8㎝、ほぼ球形で先端が尖り、緑色~黄色に熟し、柱頭が宿存する。種子は2~4個。花期は4~5月。果期は5~6月。

2 Garcinia linii C.E.Chang コウトウフクギ 
 台湾原産。中国名は兰屿福木 lan yu fu mu。台湾東部の山の斜面に生える。
 高木、高さ10~15m。小枝は黄褐色で丈夫、若い小枝は四角形。葉柄は長さ5~12㎜。葉身は上面が濃緑色、卵形~楕円形、長さ7.5~12㎝× 幅4~6.3㎝、ほぼ革質、二次脈は下面にわずかに隆起し、基部は広楔形、縁は内巻きし、先は鈍形~鋭形または円形。雌雄異株、花は単生、腋生する。小花柄は長さ6~10㎜。雄花は萼片が4個、うち2個は大きく、2個は小さい。外側の2個は円形または楕円形へら形。花弁は倒卵形で長さ9~10㎜。雄しべは4束になり、各束には丈夫な柄と多数の葯がある。葯室は長円形、縦方向に裂開する。雌しべは円筒形で細い。雌花は不明。果実は楕円形または球形、長さ2~3㎝×幅約2㎝、表面は平滑。

3 Garcinia mangostana L. マンゴスチン
 栽培種。マレーシアで栽培、おそらく原産。英名はking's-fruit , mangostan , mangosteen。中国名は莽吉柿 mang ji shi。
 小高木、高さ12~20㎜。枝は多数、密に十字対生する。小枝は明瞭に角(かど)がある。葉柄は丈夫、長さ約2㎝、乾くと密に、横向きのしわがある。葉身は光沢があり、楕円形~楕円状長円形、長さ14~25㎝×幅5~10㎝、厚い革質、中脈は両面に盛り上がり、2次脈は密、40~50対あり、葉縁のちょうど中で結合し、基部は広楔形又は類円形、縁は内巻、先は短く尖鋭形。雌雄異株。雄花はまれ、小枝のさきに、2~9個、束生する。花柄は短い。雄しべは4個、束生し、葯は2室、室は縦に裂開する。退化雌しべは円錐形。雌花は単生又は小枝の先に対につき、わずかに雄花より大きく、直径4.5~5㎝。花柄は長さ約1.2㎝。子房は5~8室。花柱は無いに近い。柱頭は5又は6裂。熟した果実は紫赤色、ときに黄褐色の斑点があり、球形、直径5~8㎝、平滑。種子は4~5個又はそれ以上、果肉は白色、ジューシー、肉質。花期は9~10月。果期は11~12月。2n=96。

4 Garcinia morella Desr. ガンボウジノキ
 インド、バングラデシュ、スリランカ原産。英名はIndian gamboge-tree , Indian gamboge。山地に生える。果実は食べられるが、酸っぱい。
 常緑高木、高さ18mもなる。樹皮は平滑、暗褐色、または白色。小枝は角張り、無毛、乳液(latex)は明るい黄色、豊富にある。葉は単葉、対生し、枝の先端に密集する。葉柄は長さ0.6~1.5㎝、溝があり、基部に鞘があり、無毛。葉身は長さ6.5~15㎝x幅3.5~8㎝、通常は楕円形、ときに狭い倒卵形、先端は尖る~先細りになり、基部は狭まり、革質またはほぼ革質、無毛、二次脈は6~8対あり、三次脈は不明瞭。花は両性花を含む異株(polygamodioecious)、帯赤色、無柄。雄花は長さ5~10㎝、葉腋に束生または古い木の上につく。萼片は4個、丸く、十字対生し、外側の対は内側の対より小さく、無毛。花弁は4個、萼片より少し大きく、丸く、脈があり、凹面状。雄しべは10~12本、一束雄しべ(monadelphous)、花糸は中央に柱状に結合し、ほぼ四角形になる。葯は赤く、丸い。雌花は葉腋に1個ずつ付き、雄花より大きい。果実は直径3㎝、4個の種子をもつ。花期は2~4月。

5 Garcinia multiflora Champ. ex Benth. タイワンフクギ 台湾福木
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、江西省、雲南省)、香港、台湾、ラオス、ベトナム原産。中国名は木竹子 mu zhu zi。標高100~400~1200(~1900)mの山の斜面、谷の縁、二次林、雑木林の開けた林または密林に生える。
 高木、稀に低木、高さ(3~)5~15m、直径 20~40㎝。樹皮は灰色、ザラつく。小枝は灰色、角(かど)がある。葉柄は長さ0.6~1.2㎝。葉身は下面が粉白緑色、乾燥すると褐色になり、卵形~長円状卵形、または長円状倒卵形、長さ7~16(~20)㎝×幅3~6㎝、薄い革質、中脈は下面に隆起し、上面は凹み、二次脈は10~15対、細く、葉の縁近くで結合し、三次脈と細脈は上面では不明瞭、基部は楔形または広楔形、縁はやや反り返り、先は鋭形~尖鋭形または鈍形。植物は雌雄同株。雄花はときに単生し、ときに密錐花序(thyrse)は長さ5~7㎝、直径2~3㎝となる。小花柄は長さ0.8~1.5㎝。萼片は2個が大きく、2個が小さい。花弁は橙色、倒卵形、萼片の長さの1~5倍。雄しべの束は2~3㎜の柄があり、各束には50個の葯がある。葯は頭状に集まり、2室、室は縦に裂開する。退化雌しべ(pistillode)は円柱状で、柱頭は明瞭に盾形、4裂する。雌花は1~5個。仮雄しべの束は短く、柄は約1.5㎜、雌しべより短い。子房は長円形、上半分が幅広く、2室がある。柱頭は無柄で、盾形、大きく厚い。成熟した果実は黄色で、卵形~倒卵形、長さ3~5㎝×幅2.5~3㎝、平滑。種子は1個または2個、長円形、長さ2~2.5㎝。花期は6~8月。果期は11~12月。花と果実が同時に現れることもある。

6 Garcinia subelliptica Merr. フクギ 福木
  synonym Garcinia spicata auct. non (Wight et Arn.) Hook.f.
 日本(沖縄)、台湾、インドネシア、フィリピン、スリランカ原産。中国名は菲岛福木 fei dao fu mu 。
 小高木、高さ2m以下。小枝は堅く、丈夫、4~6角(かど)がある。葉柄は長さ0.6~1.5㎝、丈夫。葉身は下面が黄緑色、上面が暗緑色で光沢があり、卵形~卵状長円形~楕円形、まれに円形又は披針形、長さ7~14(~20)㎝×幅3~6(~7)㎝、厚い革質、中脈は下面に盛り上がり、2次脈は12~18対、細く、わずかにアーチ状になり、両面に盛り上がり、縁で結合し、3次脈と細脈は明瞭、基部は広楔形又は類円形、縁は内巻、先は鈍形~円形~凹形。.雌雄同株。花は5数性、雄花と雌花は普通、一緒に混ざって束生し又は葉腋に単生する。ときに雌花が束生するが、雄花は長さ約1㎝の偽穂状花序につく。雄花は萼片が類円形、革質、密に縁毛があり、内側の2萼片が大きく、外側の3萼片が小さい。花弁は黄色、倒卵形、長さは萼片の約2倍又はそれ以上。雄しべは束生して5束になり、各束に雄しべが6~10本、柄は長さ約2㎜。葯は2室。雄しべの束は5個、腺様、しわがある。退化雌しべは無い。雌花は花柄が普通、長い、仮雄しべは5束になる。雄しべ束(fasciclodes)は5個、分離、上半分に不規則に微細不整歯がある。子房は球形、3~5室。柱頭は盾状、5裂、平滑。熟した液果は黄色、広長円形、平滑。種子は1~3(~4)個。

7 Garcinia volkensii (Lauterb.) Kosterm. フクギモドキ 福木擬
 アフリカ(タンザニア、ケニア、モザンビーク、マラウィ、ザンビア)原産。標高10~約2500m常緑雨林、霧林、林縁の下層に生える。
 常緑高木または低木、高さ(2)4~20m、枝分かれが多く、無毛。枝は幹に対してしばしば広い角度でつき、硬く、溝があるかまたは翼があり、最初は通常±扁平で、最終的には±四角形または円筒形(葉が輪生している場合は三角形)になる。樹皮は灰褐色。葉は対生(まれに3輪生)、±革質、葉柄がある。葉身は長さ(2)4~11㎝×幅(1)1.5~6㎝、大きさや形や質が非常に多様で、披針形または倒披針形~広卵形または倒卵形、先は鋭形~円形小突起形、基部は楔形~円形、上面は暗青緑色または黄緑色、下面はより淡色、平らまたは±水疱状に隆起し(bullate)、主な側脈は両面で目立ち、三次脈は上面で±目立ち、縁はときに肥厚し、少なくとも若い葉には分岐した半透明の腺管が見られ、下面には不透明な縦方向の腺管が見える。葉柄は長さ3~18㎜、上面に溝があり、横しわがある。葉舌は明瞭。花序は頂生の集散花序、緩く分岐または凝縮している。枝は四稜形または±扁平。花序柄は長さ4㎝以下、または無い。苞は鱗片状、竜骨がある。花は雌雄異株、多数~1個、小花柄があり、まれにほぼ無柄、球形または鐘形。萼片は5個、±不等長、革質、多肉質(carnose)、円形~三角状卵形、縁にはしばしば±パピラがある。花弁は5個、長さ4~9㎜、萼片の長さの約4~5倍、±多肉質、円形~広倒卵形、クリーム色~緑白色、ときにピンク色がかり、基部から帯黄色の腺管(glandular canals)が放射状に伸びる。雄花は雄しべが5束ありスポンジ状に花の中央で統合し、束ごとに 5~9本の雄しべがあり、雄しべはクリーム色の花糸でほとんど全体で統合する。葯は褐色または赤色。雌花は小さな雄しべ束(fasciclodes)と仮雄しべの束が互生する。子房は2~4室があり、淡緑色または帯黄色。柱頭は5裂し、盾状。果実は球形、卵形、または2~4裂し、直径1~3㎝、暗緑色、熟すと黄色になり、1~4個の種子をもつ。種子は卵形、長さ1~2(3)㎝。

8 Garcinia xanthochymus Hook.f. ex T.Anders. キヤニモモ 黄脂桃
 中国(広東省(栽培)、広西チワン族自治区、雲南省)、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム原産。中国名は大叶藤黄 da ye teng huang 。英名はgambogetree , Mysore gamboge , sour mangosteen , cochin-goraka , false mangosteen 。別名タマゴノキ。。標高(100~)600~1000(~1400)mの谷間または丘陵の密生した湿潤林に生える。
 高木、高さ8~10m、直径15~45㎝。樹皮は灰褐色。枝は多数、細く、十字対生し、水平だが、普通、上部は±垂れ下がり、小枝は明瞭に角(かど)がある。葉柄は丈夫、V形でやや基部は茎を抱き、長さ1.5~2.5㎝、角(かど)があり、乾くと横しわがある。小枝の頂部の1~2対は普通、ローズ色。葉身は光沢があり、楕円形~長円形~長円状披針形、長さ(14~)20~34㎝×幅(4~)6~12㎝、厚い革質、中脈は丈夫、両面に盛り上がり、2次脈は密、35~40対以下、縁近くでアーチ状に曲がり、吻合する。3次脈と細脈は明瞭。葉の基部は±広楔形、葉縁は内巻、葉先は鋭形~鈍形、まれに尖鋭形。散房花序状の集散花序に花が(2~)5~10(~14)個つき、葉腋から生じる。花序柄は長さ6~12㎜。小花柄は長さ1.8~3㎝。花は5数性、雌花だけが見られる。萼片と花弁は3個が大きく、2個が小さく、縁毛が見える。仮雄しべの5束は長さ約3㎜、平たくなり、下部は統合され、上部は分離、各束には2~5個の仮雄しべをもつ。雄しべ束(fasciclodes)は5個、四角形、長さ約1㎜、強いしわがある。子房は球形、普通、5室。花柱は短く、長さ約1㎜。柱頭は盾状、先は凹形、(3~)5裂。 熟した液果は黄色、球形又は卵形、ときに斜め、直径3~5㎝、平滑、ときに斜めの皮目があり、微突頭、咢片と雄しべの束が普通、宿存する。種子は1~4個、長円形又は卵形、種皮は褐色、平滑。花期は3~5月。果期は8~11月。2n=72, 80, 96。

参考

1)Flora of China
 Garcinia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113257
2) GRIN
 Garcinia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=4842
3)Garcinia volkensii in Global Plants on JSTOR
 Garcinia volkensii
https://plants.jstor.org/compilation/garcinia.volkensii