キンシャチ 金鯱

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Flora of Mikawa

サボテン科 Cactaceae タマサボテン属

中国名 金琥 jin hu
英 名 golden barrel cactus , golden ball , mother-in-law's cushion , mother-in-law's-seat
学 名 Echinocactus grusonii Hildm.
キンシャチの蕾
キンシャチの頂部の毛
キンシャチの刺
キンシャチ
キンシャチ蕾2
花 期 3~8月
高 さ 90(180)㎝以下
生活型 多年草
生育場所 栽培種
分 布 外来種  メキシコ原産
撮 影 浜松フラワーパーク 18.5.22
キンシャチはサボテン科タマサボテン属の代表的な栽培種。シロトゲキンシャチやトゲナシキンシャチなどの品種もある。
 普通、球形の茎1個がゆっくり成長し、播種から4~5年で直径5~8㎝、成熟すると樽形になり、直径及び幅が90㎝(180㎝)になるまでに20~30年かかる。ごく若いうちはいぼ状突起(tubercles =wart-like swellings))に覆われ、いぼは次第に縦の列の線(肋)になる。直径15㎝のときに肋は20~27本になる。年をとると分枝し、少数の増殖が小さくても起こる。茎は淡緑色、多数の肋があり、肋に多数のアレオール(areoles)を持つ。アレオールは帯黄色又は帯白色の羊毛状の毛で満たされる。刺は黄色、アレオールの中に束生し、5~10本は長さ1㎝、他の3~5本は長さが2倍ある。花は昼間に開花し、鮮やかな黄色、幅4~5㎝、頂部に輪になってつくが、大きな樽に比較して小さく、頂部の羊毛状のクリーム色の毛の中にありあまり目立たない。花期は春~夏。

タマサボテン属(エキノカクタス属)

  family Cactaceae - genus Echinocactus

 直立し、分枝又は不分枝、30+分枝のコンパクトな山形をつくり、基物に深く根付かない(E. texensisでは深く根付き、E. horizonthaloniusでは未熟又は高高度なら深く根付く)。根は拡散又は短い直根。茎は節がなく、灰青色、黄緑色、又は草緑色(grass green)、頂部が平らな球形~短い円筒形、長さ4~40(~45)[~250]㎝×幅8~30[~80]㎝、先端部分におびただしい羊毛状の毛があり(E. texensisにおいては短いビロード状) [無毛]。肋(ribs)は(7~)8~27[~60+]本、よく目立ち、真っすぐ(又は、わずかに波打つだけ)、ときに、茎の周りを螺旋状に曲がり、広く丸く~竜骨に近くなり、肋のとさか(rib crests)は中断せず、又はアレオール(areoles)の間は±くびれる。アレオールは間隔が広く開き、又は年とともに合流し、近円形~長円形、上面に刺の束と一緒になって伸びた短く広い稔性の部分をもち、アレオールに腺は無い。皮質(cortex)と髄(pith)は硬く、粘着性がある。刺はアレオールに(5~)7~19本、わら色、ピンク色、赤色、灰色、タン色、又は褐色、著しい環状うねがあり、堅く、硬い。放射状の刺がアレオールに5~14本あり、刺は真っすぐ~曲がり、長さ2~5㎝。中央の刺はアレオールに1~4本、真っすぐ~曲がり、円柱形、扁平になるか又は外側にうねがある。花は昼間に開花し(diurnal)、茎の先近くの アレオールの内側の広がりの内側の縁近くにつき、広漏斗形~高杯形に近く( E. texensisではより細い漏斗形)。外花被片は全縁、先に刺がある。内花被片は黄色又はピンク色~マゼンタ色、長さ2.4~3.2㎝×幅0.3~1.5㎝、縁は全縁、鋸歯縁、歯状縁、又は微細不整歯。子房は鱗片があり、刺は無く、おびただしい羊毛状の毛があり、子房と花時の花筒に隠れるアレオールからの白色又は淡タン色の毛をもつ。鱗片は8~60個、縁は全縁又は繊維状、先端に刺がある。柱頭の裂片は6~14(~17)個、黄色、ピンク色、又はオリーブ色、長さ1~4.5mm。果実は非裂開又は不規則に破裂、又は基部の離脱穴からゆっくり裂開、白色を帯びたタン色~帯ピンク色 (E. texensisでは明るい赤色)、球形~卵形~卵状円筒形、長さ10~50㎜×幅10~40[~100]㎜、普通、ほぼ乾き(E. texensisでは強く、多肉多汁)、多数の鱗片があり、鱗片の腋におびただしい羊毛状の毛があり(E. texensisを除き、果実の表面を覆う)、刺はなく、上部の鱗片は先端に刺がある。果肉は赤色。花の残存物は宿存する。種子は赤褐色~黒色、球形~類腎形~倒卵形、長さ2.4~4.7㎜、光沢があるか又は無く、種皮の細胞は凸面又は平ら。x = 11。英名はbarrel cactus , barrel cacti。
 世界に6種があり、USA南西部、メキシコに分布する。

タマサボテン属の主な種と園芸品種

1 Echinocactus grusonii Hildm.  キンシャチ 金鯱
 メキシコ原産。英名はgolden barrel cactus , golden ball , mother-in-law's cushion , mother-in-law's-seat。中国名は金琥, 象牙球。
 普通、球形の茎1個がゆっくり成長し、播種から4~5年で直径5~8㎝、成熟すると樽形になり、直径及び幅が90㎝(180㎝)になるまでに20~30年かかる。ごく若いうちはいぼ状突起(tubercles =wart-like swellings))に覆われ、いぼは次第に縦の列の線(肋)になる。直径15㎝のときに肋は20~27本になる。年をとると分枝し、少数の増殖が小さくても起こる。茎は淡緑色、多数の肋があり、肋に多数のアレオール(areoles)を持つ。アレオールは帯黄色又は帯白色の羊毛状の毛で満たされる。刺は黄色、アレオールの中に束生し、5~10本は長さ1㎝、他の3~5本は長さが2倍ある。花は昼間に開花し、鮮やかな黄色、幅4~5㎝、頂部に輪になってつくが、大きな樽に比較して小さく、頂部の羊毛状のクリーム色の毛の中にありあまり目立たない。花期は春~夏。
1-1 Echinocactus grusonii var. albispinus シロトゲキンシャチ 白刺金鯱
 栽培種。英名はWhite barrel cactus , White ball cactus。刺が白色。
品種) 'Alba'白刺金鯱 , 'Albispina' , 'Brevispinus'(var. brevispinus)='Togenashi Kinshachi' , 'Cristata'(f. cristata) , 'krauskopf' (curvispinus) , 'Mostruosa' (f. mostruosa) , 'Scarascia'

2 Echinocactus horizonthalonius Lem. タイヘイマル 太平丸
 メキシコ、USA(アリゾナ州)原産。英名はblue barrel cactus , visnaga meloncillo , devilshead。
 通常は分枝しない。茎は淡灰緑色~明るい灰青色、頂部は平ら又は半球形、基物に深く根付き、古くなると球形又は頑強な短い円筒形(高い高度では半球形のまま)、長さ4~25(~45)㎝×幅8~15(~20)㎝。肋は(7~)8(~9)本、垂直~茎の周りを螺旋状に曲がり、肋のとさか(rib crests)は広い円形、中断せず又はわずかにアレオールの間がくびれ、アレオールに刺は(5~)8(~10)本、緩く突き出し又は強く下向きに曲がり、ピンク色、灰色、タン色、又は褐色、強く環状にうねがあり、錐形、±扁平、無毛、普通、茎の表面から隠さない。放射状の刺はアレオールに5(~8)本、中心の刺に似ている。中心の刺はアレオールに1(~3)本、長さ18~43㎜×幅1~2.5(~3)㎜、最も長い刺は普通、下向き、真っすぐ又は長さ全体が下向きに曲がる。花は長さ5~7㎝×幅5~6.5(~9.5)㎝。内花被片は明るいローズピンク色又はマゼンタ色、色は基部から先までほぼ単一、長さ3㎝×幅1.5㎝、縁は全縁又は鋸歯縁。柱頭の裂片は帯ピンク色~オリーブ色。果実は非裂開又は基部の離脱穴から弱く裂開し、ピンク色、又は赤色、球形又は卵状円筒形、表面は鱗片の腋から出る毛と茎の先のアレオールの長い毛により部分的又は完全に隠れ、普通、すぐに乾き、種子が放出される前にタン色になり、長さ10~30㎜、鱗片は数個、先端は暗色で刺状、無毛。種子は黒色又は灰色、角(かど)があるか又はわずかにしわがり、球形~倒卵形、長さ2~3㎜、種皮細胞はわずかに凸面、わずかに垂層の(anticlinal)細胞壁に突き出る弱い網目をもつ。2n = 22。花期は4~9月。
品種) 'Albinous' , 'Sirotoge Suiheimaru'

3 Echinocactus parryi Engelm. シンリュウギョク 神竜玉
 メキシコ原産。
 扁球形又は短い円筒形、形態学的にE. polycephalusに酷似するが、成長の仕方と冬の刺が異なる。普通、単生だが、自然に分枝する。  茎は無毛、灰緑色、高さ20~30㎝×直径25~40㎝(典型的には直径35㎝以下)。アレオールは円形、灰色の羊毛状の毛が多数。肋は約13本、鋭形。若いときは肋は完全でなく、マミラリア属(イボサボテン)のようないぼ状突起がある。刺は密、丈夫で、角(かど)があり、環があり、チョーク白色~灰ピンク色、水をかけたときに、暗赤色に変わる。植物体に刺はほとんど不明瞭で小さな黄色の花が開くと目立つ。果実は羊毛状の毛がある。花期は夏。

4 Echinocactus platyacanthus Link et Otto  イワオ 巌
  synonym Echinocactus ingens Zucc. ex Pfeiff.  Mexican giant barrel cactus
 メキシコ原産。中国名は 广刺丸 guang ci wan。英名はGiant Barrel Cactus , visnaga
 普通、単生、100年以上生育し、タマサボテンの中で最大。茎は灰青色、小さい時はやや疣状でかわいい、大きくなると多数のアレオールをもつ重い肋が連続した線になる。鮮やかな黄色の花を春~(夏)~秋につける。  茎はほぼ旧球形~交円柱形~樽形、しばしば非常に大きくなり、高さ0.5~2.5(~3)m、幅40~80(~100又はそれ以上)㎝、栽培ではかなり小さく、薄緑色~黄緑色、ときに粉白を帯び、先に羊毛状の毛が多い。若い時にときに紫色の帯がある。肋は数が極端に変化し、若い植物では5~20本、後に増加し、30~60本又はそれ以上、鋭形、垂直に配置し、小さいときは多少、疣状で素晴らしく、後に高くなり、平らな刃になる。アレオールは円形だが、楕円形~線形になり、成熟した植物では連続する。刺は年々様々に変化し、大きく、硬く、やや扁平になり、横に条痕があり、初め、帯褐色~帯黄色~帯赤色、古くなると帯灰色~帯黒色になる。放射状の刺は(3-)4-8(-10)本、広がり、しばしば、上部や下部の列では長さ1.2~4㎝。中心の刺は3~4本、しばしば十字になり、下部の刺はしばしば他より大きく、やや曲がり、長さ3~10㎝。花は多数つき、昼間に開花し(diurnal)、長さ3~6㎝×幅3~8㎝、長い羊毛状の毛があり、鮮やかな黄色。成熟した植物ではしばしば、やや背が丸く(sway-backed)、先が鞍形(saddle-shaped)、密に白色の羊毛状の毛で覆われる。外花被片は披針形、微突形。内花被片は幅が広く、鈍形、黄色、外側の内花被片は先細、狭い帯褐色の尖りになる。柱頭の裂片は10個、広がる。果実は熟すと乾き、頂円形~狭こん棒形、帯黄色、長さ3~8㎝×幅約2.5㎝、多数の薄い、乾いた膜質の鱗片と羊毛状の毛と毛をもち、花被は宿存する。種子は各果実に多数、黒色、約・長さ1.3mm×幅0.9mm。花期は春下旬~夏~秋、大きく成長し、十分日光を受けたものだけが開花する。果期は夏~冬。

5 Echinocactus polycephalus Engelm. & J.M.Bigelow タイリュウカン 大竜冠
 メキシコ、USA(アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州)原産。英名はcotton top cactus , many-headed hedgehog cactus。
 基部から分枝し(まれに、不分枝)、 2~50(~130)枝の小型のマウンドを作る。茎は灰緑色~黄緑色、球形~短い円筒形、長さ15~40㎝×幅(9~)15~30㎝。肋は11~25本、普通、垂直、又は茎の周りをやや螺旋状に曲がり、肋のとさか(rib crests)はアレオールの間がくびれず (乾燥するとわずかにくびれる)、鋭く、平らな面をもつ。刺はアレオールに10~19本、真っすぐ~曲がり、鈎は無く、しばしば捻じれ、赤色~わら色、古くなると灰色になり、外側のうねまで扁平になり、環状のうねがあり、茎表面近くは不明瞭、無毛~灰白色の毛があり、微細な白色の単細胞の毛状突起があり、しばしば、基底の刺の色で不明瞭。放射状の刺はアレオールに6~14本。中心の刺は4本、外側がしばしば最も長く、真っすぐ~やや反曲する。花は長さ5.5~5.8㎝×幅4~6㎝。内花被片は明るい黄色、色は基部~先まで均一、長さ24~26mm、まばらに小さな歯がある。柱頭の裂片は明るい黄色。果実は基部の離脱した穴から裂開し、卵形、表面は鱗片の腋から出る毛と茎の先のアレオールの長い毛状突起により大きく隠れ、普通、乾くと種子が放出される前にタン色になり、長さ15~40㎜、鱗片は多数、全体が黄色~帯赤色、又は黄色で帯赤色の縞が中央にあり、平ら、先端は刺状、無毛又は灰白色の毛がある。種子は暗栗色~黒色、±倒卵状腎形又は勾玉形、長さ2.4~4.7㎜、平滑で光沢があるか、又種皮細胞の表面から突き出た顆粒状で鈍く、種皮細胞は表面がときに半球状~六角状のカット面をもつ(faceted)。
5-1 Echinocactus polycephalus var. polycephalus
 茎は灰緑色。刺は赤色~灰色、まれにわら色、灰白色の毛がある。果実の鱗片は帯赤色~栗色、古くなるとタン色又は黒色、長さ10~14㎜。果実の先の乾いた花被片より普通、短く、刺の先端は灰白色、ひも形の単細胞の毛状突起がある。種子は丸く又は横向きの種皮の平らな面をもち、長さ2.8~4.7mm、パピラがあり、粗い (種皮細胞が突き出し露出する表面は、半球形~六角形の面があり、個々の面が顕微鏡的に輝く以外は鈍く見える)。2n = 22。花期は7~8月。

6 Echinocactus texensis Hopffer アヤナミ 綾波
  synonym Homalocephala texensis (Hopffer) Britton & Rose
 メキシコ、USA(テキサス州、ニューメキシコ州、オクラホマ州)原産。英名はground master , horse crippler , devil’s-head , manca caballo。
 分枝しない(ごくまれに文意する)。茎は淡灰緑色(砂漠の群)~グラスグリーン(東部の群)、地上部分は頂部が平ら、古い部分は半球形、普通、普通、深く根付き土壌の表面と同一平面になり長さ10~30㎝×幅10~30㎝。肋は13~27本、ごく目立ち、真っすぐ、垂直又は乾燥した植物の上で曲がりくねり、とさか(crests)は±鋭形、アレオールの間がくぼまず、ときにアレオールは肋の中に部分的に埋め込まれ、 刺はアレオールに(6~)7~8本、ほとんどが下に曲がり、又は1本が前に突き出し真っすぐ、淡タン色、ピンク色、帯赤色~灰色、円柱形~扁平、環状になり、茎の表面に隠れず、微細な灰白軟毛があり、側面が扁平な単細胞の毛状突起をもつ。 放射状の刺はアレオールに(5~)6~7本。中心の刺はアレオールに1本、前に突き出るか又は下向きになり、真っすぐ又は上部が下向きに曲がり、長さ(20~)40~60(~80)㎜×幅1.5~4(~8)㎜。花は長さ5~6㎝×幅5~6㎝。内花被片は明るいローズピンク色~淡銀ピンク色、下部は橙色~赤色、長さ(15~)28~32㎜×幅(3~)6(~9)mm、縁は普通、微細不整歯。柱頭の裂片はピンク色~ピンク白色。果実は非裂開(まれに不規則に破裂)、緋色又は深紅色、球形~卵形、長さ15~50㎜×幅15~40㎜、肉質、表面は鱗片の腋に広く間隔を開けた毛で隠れない。鱗片は13~21個、上部の鱗片は先端に刺があり、微軟毛がある。種子は黒色、球状腎形又は不規則な倒卵形、長さ2.5~3mm、光沢がある。種皮の細胞は平ら又はごくわずかに凸面形、。2n = 22。花期は春下旬。
品種) 'Anayami Monstr' , 'Kyoushi Anayami' , 'Togenasi Anayami' , 王綾波(おうあやなみ)[刺の幅が広いもの ] , 剣峯(けんぽう)[刺の長いもの]

参考

1) Flora of North America
 Echinocactus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=111209
2) Jepson eFlora: Taxon page
 Dopatrium junceum
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000246-2
3) Plants of the World Online | Kew Science
 Echinocactus Link & Otto
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000246-2
4) LLIFLE - Encyclopedia
 Echinocactus parryi Engelm.
https://llifle.com/Encyclopedia/CACTI/Family/Cactaceae/938/Echinocactus_parryi
 Echinocactus platyacanthus Link & Otto
http://www.llifle.com/Encyclopedia/CACTI/Family/Cactaceae/10367/Echinocactus_platyacanthus