キダチルリソウ 木立瑠璃草

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Flora of Mikawa

ムラサキ科 Boraginaceae キダチルリソウ属

別 名 ニオイムラサキ、ヘリオトロープ
中国名 南美天芥菜 nan mei tian gai cai
英 名 cherry-pie , heliotrope
学 名 Heliotropium arborescens L
Heliotropium peruvianum L.
Heliotropium corymbosum Ruiz et Pav.
キダチルリソウ花序
キダチルリソウ花序2
キダチルリソウ花
キダチルリソウの花2
キダチルリソウの茎
キダチルリソウ
キダチルリソウ葉表
キダチルリソウ葉裏
花 期 2~6月
高 さ 30~45(100)㎝
生活型 多年草又は1年草
生育場所 園芸種
分 布 帰化種  南アメリカ(ペルー)原産
撮 影 豊橋市  17.6.20
キダチルリソウはニオイムラサキやヘリオトロープともいわれ、ムラサキ科キダチルリソウ属(ヘリオトロープ属 Heliotropium )の植物であり、バニラのような香りがする。原種が1757年にペルーからフランスに渡り、世界中で栽培されるようになった。古くは香料採取も行われ、香水木(コウスイボク)、香水草(コウスイクサ)の別名もある。現在では合成香料のヘリオトロピンが使われ、香料採取用の栽培は行われていない。観賞用に広く栽培され、多くの園芸品種がある。ヘリオトロープは園芸品種を含めた総称である。広義には属名でもあるため、キダチルリソウ属の種の総称でもある。キダチルリソウ属の原種は250種以上ある。日本へは江戸時代の中期に渡来したといわれている。
 多年草。高さ30~45(100)㎝。茎は直立又は斜上、基部が木質化し、不分枝又は上部で分枝、黄色の短い伏毛及びまばらに剛毛がある。茎の下部の葉は長柄があり、中部以上は短柄。葉身は卵形~長楕円状披針形、長さ4~8㎝、幅1.5~4㎝、先は漸尖、基部は広楔形。葉の上面はしわがあり、剛毛と伏毛がある。葉の下面は柔毛が密生する。側脈は8~9対、葉の両面とも明瞭。葉柄は長さ0.5~1.5㎝、剛毛と伏毛が密生する。集散花序は頂生、花が密集してつき、直径4~6㎝、花後に直径約10㎝になる。花柄は無柄又は短柄。萼は長さ2~2.5㎜、中裂~深裂、外面に短い剛毛が散生し、内面は無毛又は中部以上にまばらに伏毛がある。萼裂片は披針形、不等形。花冠はバイオレット、まれに白色、バニラのような芳香があり、長さ3~6㎜、基部の直径約1㎜、拡大部は直径5~7㎜、裂片の外面の中肋及びのど部には短い伏毛があり、内面は無毛。葯は卵状長楕円形、長さ1.2~1.5㎜。花糸は極めて短く、花筒の基部から1㎜上につく。子房は球形、無毛。花柱明瞭、長さ約0.5㎜。柱頭は花柱よりやや長く、上部の細いぶぶんは錘形で長さ約.5㎜、下部の太い部分は盤状。核果は球形、無毛。熟すと1種子を入れる分果4個に分かれる。花期は2~6月。50種以上の園芸品種がある。

キダチルリソウ属

  family Boraginaceae - genus Heliotropium

 1年草、多年草、まれに亜低木。軟毛又は剛毛があり、まれにザラザラする。葉は互生し、頻度は少ないが対生し、無柄又は有柄。集散花序は頂生、ときに腋生、片側性、サソリ形花序、苞は有又は無。萼は5深裂。花冠は白色又は薄青紫色、まれに黄色、円柱形又は漏斗形、外側に剛毛があり、内側は無毛でまれに伏した軟毛があり、のど部にはしばしば軟毛がある。拡大部は5深裂、裂片は円形、ときに線形、縁は折り返すか又は波打つ.。花糸は極端に短く、葯は突き出さない。子房は完全又は不完全に4裂片に分かれる。胚珠は4小。花柱は末端、柱頭は円錐形又はリング状。果実は小堅果様の乾いた核果、熟しても明瞭な中果皮は無く、内果皮は骨質、1種子の4個の分果又は2種子の2個の分果に分かれる。種子は真っすぐか又は曲がり、普通、薄い 胚乳を持つ。
 約250種が世界の熱帯および温帯に分布する。 
 類似属のTournefortia 属はキダチルリソウ属に含める見解もあり、Ylistではキダチスナビキ属(Tournefortia L.)はキダチルリソウ属に統合している。ユープロカ属(Euploca)は1837年にThomas Nuttall によって最初に記載された属であるが、キダチルリソウ属(Heliotropium)に含められていた。2016年に分枝系統解析により、再び別属とされた。

キダチルリソウ属の主な種と園芸品種

1 Heliotropium amplexicaule Vahl  ダキバニオイムラサキ 
 南アメリカ(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビア)原産。 北アメリカに帰化。日本でも関東地方以西に帰化している。英名はblue heliotrope , clasping heliotrope , summer heliotrope , violet heliotrope , wild heliotrope , wild verbena 。
 多年草、茎は傾伏又は斜上、高dさ20~60㎝、短毛がある。葉は長さ4~9㎝、長楕円形~倒披針形、短柄~無柄、先は鋭形、短毛がある。花序は穂状花序が3~5個、頂生し、花がコイル状につく。萼片は線状披針形、剛毛がある。花冠は長さ4~6㎜、鐘形、拡大部はは幅3~4㎜、紫色。果実は小堅果2個、不規則な粗面、かすかにいぼ状。
品種) 'Azure Skies'

2 Heliotropium angiospermum Murray  
 北アメリカ(フロリダ州)、南アメリカ原産。英名はscorpion's-tail , scorpion-tail。侵略的外来種リスト(科ナンバー179)に記載されている。
 多年草、高さ50㎝以下。茎の基部はやや木質化、上部は草質。葉は互生、単葉、楕円形~卵形~やや披針形、長さ1.5~10㎝、幅1~2㎝、白毛があり、全縁。花序はサソリ形花序、長さ20㎝以下。花冠は白色、しばしば、のど部が黄緑色になり、鐘形、5裂し、裂片は長さ1.5~2㎝、のど部に毛がある。雄しべ5個。果実は2小堅果、幅2~2.8㎜。種子は小堅果に1~2個。
 類似のHeliotropium anderssoniiは葉幅が2~8㎜と狭く、淡褐色の毛があり、花が黄色。

3 Heliotropium arborescens L キダチルリソウ 木立瑠璃草 
  synonym  Heliotropium peruvianum L.
  synonym  Heliotropium corymbosum Ruiz et Pav.
  南アメリカ(ペルー)原産。英名はcherry-pie , heliotrope。別名はニオイムラサキ、ヘリオトロープ
 多年草。高さ30~45(100)㎝。茎は直立又は斜上、基部が木質化し、不分枝又は上部で分枝、黄色の短い伏毛及びまばらに剛毛がある。茎の下部の葉は長柄があり、中部以上は短柄。葉身は卵形~長楕円状披針形、長さ4~8㎝、幅1.5~4㎝、先は漸尖、基部は広楔形。葉の上面はしわがあり、剛毛と伏毛がある。葉の下面は柔毛が密生する。側脈は8~9対、葉の両面とも明瞭。葉柄は長さ0.5~1.5㎝、剛毛と伏毛が密生する。集散花序は頂生、花が密集してつき、直径4~6㎝、花後に直径約10㎝になる。花柄は無柄又は短柄。萼は長さ2~2.5㎜、中裂~深裂、外面に短い剛毛が散生し、内面は無毛又は中部以上にまばらに伏毛がある。萼裂片は披針形、不等形。花冠はバイオレット、まれに白色、バニラのような芳香があり、長さ3~6㎜、基部の直径約1㎜、拡大部は直径5~7㎜、裂片の外面の中肋及びのど部には短い伏毛があり、内面は無毛。葯は卵状長楕円形、長さ1.2~1.5㎜。花糸は極めて短く、花筒の基部から1㎜上につく。子房は球形、無毛。花柱明瞭、長さ約0.5㎜。柱頭は花柱よりやや長く、上部の細いぶぶんは錘形で長さ約.5㎜、下部の太い部分は盤状。核果は球形、無毛。熟すと1種子を入れる分果4個に分かれる。花期は2~6月。50種以上の園芸品種がある。
品種) 'Alba' , 'Album' , 'Atlanta' , 'Amaretto' . Atlantis , Baby Blue = 'Balhelbabim' (PBR) , Baby Blue Improved , 'Balhelbabim' (PBR) , 'Black Beauty' , 'Blue Wonder' , 'Butterfly Kisses' , 'Chatsworth' , 'Chatsworth Park' , 'Chequerboard' , 'Cherry Pie' , 'Dame Alice de Hales' , 'Dwarf Marine' , 'Florence Nightingale' , 'Fowa' , 'Fragrant Blue' , 'Fragrant Delight' , 'Gatton Park' , 'Helio0901' (PBR) , 'Heliobu' (PBR) , 'Heliosil' , 'Heliover' , 'Heliovi' , 'Incense' , Incense = 'Helio0901' (PBR) , 'Iowa' , 'Kleha05206' , 'Kleha07520' (PBR) , 'Klehelio' , 'Lord Roberts' , 'Marine' , 'Marino 2000' , Marino Blue = 'Kleha07520' (PBR) , Marino™ White , 'Mary Fox' , 'Midnight' , 'Midnight Sky' , 'Mini Marine' , 'Mrs J.W. Lowther' , 'Nagano' , 'Nautilus Power Blue' (Nautilus Power Series) , 'Netherhall Lilac' , 'Netherhall White' , 'P.K. Lowther' , 'Plum Pie' , 'President Garfield' , 'President Roosevelt' , 'Princess Marina' , 'Regale' , 'Reva' , Scentropia Blue = 'Heliovi' , 'Scentropia Dark Blue' , Scentropia Silver = 'Heliosil' , Scentropia™ Silver , 'Seifel' , 'Strawberry' , 'Super Marine' , 'Sweet Heaven' , 'The Queen' , 'The Speaker' , 'W.H. Lowther' , 'Wanda Repp' , 'White' , 'White Lady' , 'White Queen' , 'Woodcote'
 ●Heliotropium × hybridum (H.arborescens x H. corymbosum ) 現在は同種とされている。
   'Lord Roberts' , 'Regal Hybrids' , 'Poseidon Blue'
  'Simply Scentsational' Fragrant Beauty™ Simply ScentsationalR

4 Heliotropium bracteatum R.Br. ナンカイルリソウ  南海瑠璃草
  synonym  Heliotropium cyrtostachyum Miq. , Heliotropium laxiflorum Roth.
  synonym Heliotropium marifolium var. bracteatum (R.Br.) M.R.Almeida
  synonym Heliotropium ramosum Roxb. ex Wall. , Heliotropium zeylanicum Wall.
   インド、スリランカ、インドネシア、オーストラリア原産。英名はbracted heliotrope。
 草本、直立し、高さ50㎝以下。葉は互生し、長さ2~4㎝、幅0.3~0.5㎝、線状披針形、伏した絹毛があり、縁は反曲する。総状花序は長さ8㎝以下。萼片は卵形~倒卵形、長さ2.5㎜、ザラザラせず、先は鋭形。花冠は白色、直径2.5㎜、盆形(salver form)、花冠裂片は長さ1.5㎜以下。雄しべ5個。葯は長さ1㎜以下、卵状心形、先で輻合する。花柱は上部が円板状、先が尖る。子房は球形。核果は直径2㎜、4裂。小堅果は球形、平滑、まばらに毛がある。花期、果期は3~7月。

5 Heliotropium curassavicum L.  アレチムラサキ 荒地紫
 北アメリカ(USA、メキシコ)、南アメリカ、オーストラリア原産。英名はseashore heliotrope , seaside heliotrope , smooth heliotrope 。
 全体に無毛。日本にも帰化し、侵略的外来種リスト(科ナンバー179)に載せられている。
 無毛の多年草、高さ45㎝以下。茎と枝は傾伏する。葉は長さ15~40㎜、幅4~8㎜、無毛、倒披針形~線状披針形、先は鈍形、葉脈はかすか。花序は頂生、1個又は二又、長さ3~6㎝、普通、花が単列につく。萼は長さ1.5㎜、宿存性、5深裂、裂片は卵状披針形。花冠は白色、花筒は短く、長さ約1.7㎜、無毛。花冠裂片は長さ約1㎜、鈍形、波打つ。葯は長さ0.7~0.8㎜、無柄、基部が広くなり、花冠の基部から0.7㎜の位置につく。柱頭は円錐形、長さ約0.5㎜、無柄、柱頭のリングは明瞭。子房と果実は夢夢。小堅果は長さ2㎜、褐色、黒色、しわがある。花期は3~4月。
5-1 Heliotropium curassavicum L. var. curassavicum 
5-2 Heliotropium curassavicum L. var. argentinum I.M. Johnst.
5-3 Heliotropium curassavicum L. var. oculatum (A. Heller) I.M. Johnst. ex Tidestr.
  synonym Heliotropium oculatum A. Heller ;
  synonym Heliotropium spathulatum subsp. oculatum (A. Heller) Ewan
 北アメリカ(USA テキサス州、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、 メキシコ)原産。英名はseaside heliotrope , Alkali heliotrope
 多年草、肉質、ときに根茎がある。茎は平伏~斜上、高さ10~60㎝、無毛。葉は長さ1~6㎝、普通、倒披針形、短柄があるかほぼ無柄、先は鋭形~鈍形、無毛。花序は穂状様の集散花序、花が2~4個。萼片は長楕円形~狭卵形、無毛。花冠は長さ3~5㎜、直径3~5(7)㎜、高坏形(たかつき)~鐘形、白色、のど部は普通、青紫色、花筒の上部は黄色。果実は小堅果4個、平滑。 2n=26, 28、花期は2~10月。
5-4 Heliotropium curassavicum L. var. fruticulosum I.M. Johnst.

6 Heliotropium europaeum L.  ヨウシュキダチルリソウ 洋種木立瑠璃草
 ヨーロッパ、アジア(コーカサス、西アジア)、アフリカ、オーストラリア原産。北アメリカ、中国などで野生化。英名はbarooga-weed , caterpillar-weed , common heliotrope , European heliotrope , European turnsole , wild heliotrope 。中国名は天芥菜(tian jie cai )。別名はビッグヘリオトロープ。
 1年草、高さ20~50㎝。茎は直立~斜上し、基部から分枝し、剛毛又は微細剛毛がある。葉柄は長さ1~4㎝。葉身は楕円形~楕円状卵形、長さ1.5~4㎝、幅1~2.5㎝。葉の裏面は灰緑色、微細剛毛が密生する。葉表は緑色、まばらに微細剛毛がある。葉の基部は広楔形~円形。葉先は鈍形~鋭形。集散花序は頂生及び腋生、サソリ形花序、分枝又は二又分枝、2~4㎝。花は無柄。萼片は卵形~卵状披針形、長さ2~3㎜、幅1~1.5㎜、果時にも大きくならず、剛毛がある。花冠は白色、長さ4~5㎜、基部は幅1.5~2㎜。喉部はわずかに収縮し、拡大部は幅(2~)3~4 ㎜。裂片は円形、幅約1.5㎜、短い剛毛が外側にあり、内側は無毛。葯は卵状長楕円形、長さ約1㎜、花糸は無く、花冠冠筒部の基部の上約1㎜につく。子房は球形、直径0.5~0.7㎜。花柱は短い。柱頭は長い円錐形、2深裂、長さ1.2~1.5㎜、リング状の部分は無毛、先は短い剛毛がある。果実は直径2.5~3㎜。分果は卵形、長さ約2㎜。密に疣があり、無毛。花期、果期は7~9月。2n = 24, 32, 48。

7 Heliotropium foertherianum Diane et Hilger モンパノキ
  synonym Tournefortia argentea L. f.
  synonym Messerschmidia argentea (L. f.) I.M. Johnst.
 日本(沖縄、小笠原)、熱帯アジア(インドネシア、フィリピン、スリランカ、ベトナム、太平洋諸島)原産。英名はvelvetleaf soldierbush , tree heliotrope。中国名は银毛树(yin mao shu )。別名はハマムラサキノキ。
 高さ1~5mの灌木、低木。小枝は強く、さび色~白色の軟毛がある。葉は枝の先につき、倒披針形~倒卵形、長さ7~13㎝、幅2~4㎝、黄白色の糸状の毛で密に覆われる。葉の基部は漸尖、先は鈍形~円形。花序は頂生、散房花序、直径5~10㎝、密にさび色の軟毛がある。集散花序はさそり形花序。萼は肉質、無柄、長さ1.5~2㎜、5深裂。萼裂片は長楕円形~倒卵形~円形、外面に密にさび色の軟毛があり、内側は基部だけに軟毛があるか、ほぼ無毛、長さは花冠の約1/2。.花冠は白色、筒形、長さ2.5~3㎜。花冠裂片は広がり、卵形、長さ約2㎜、筒部より長い。雄しべはやや突き出る。花糸は花筒の基部の約4㎜上につく。葯は卵状長楕円形、長さ約1㎜。子房は類球形、無毛。花柱jは不明瞭。柱頭は2裂、基部はリング状、膨らむ。果実は類球形、直径約5㎜、無毛。花期、果期は4~6月。

8 Heliotropium formosanum I.M.Johnst. コゴメスナビキソウ 小米砂引草
  synonym Heliotropium strigosum auct. non Willd.
 台湾原産。中国名は台湾天芥菜 (tai wan tian jie cai )。
 多年草、斜上叉は平伏、短い灰色の剛毛がある。茎は高さ10~25㎝、基部は普通、木質。枝はまばらで、細い。葉は混みあい、基部の葉は葉柄が長さ約1㎜、他の葉はほぼ無柄。葉身は楕円形~卵形、長さ3~4㎜、幅1~2㎜、基部は鈍形~円形、先は鋭形。中脈は表面で明瞭。花序は頂生、不明瞭なサソリ形花序、長さ0.8~1.5㎝、4~8個の花をつける。苞は卵形~楕円形、長さ2~3㎜。花は密につく。萼は長さ2~3㎜、外側に剛毛があり、内側はほぼ無毛。裂片は不等形、幅0.5~1.2㎜、わずかに花筒を超える。花冠は白色長さ3.5~4㎜、花筒は長さ約1.5㎜、中間部で幅0.8~1㎜。のど部はわずかに収縮し、密に綿毛がある。拡大部は幅4㎜以下。花冠裂片は卵状三角形幅約1㎜、裂片の間に鈍角の折り重ねがある。花糸は極端に短く、花筒の基部の上0.4~0.6㎜につく。葯は卵状披針形、長さ0.6~0.7㎜、先は1つになる。子房は平滑。花柱は長さ約0.5㎜。柱頭は長い円錐形、長さ0.7~0.8㎜。果実は凸面形、長さ1~1.2㎜、中間から上に

9 Heliotropium indicum L.  ナンバンルリソウ 南蛮瑠璃草
 南アメリカ(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルー)原産。アジア、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアに帰化。日本では、沖縄本島、八重山群島、小笠原諸島の父島などに帰化している。英名はIndian heliotrope , turnsole 。中国名は大尾摇(da wei yao)。
 1年草、高さ20~50㎝。茎は直立し、強く、多数、分枝し、剛毛がある。葉は互生又は類対生。葉柄は長さ2~5㎝。葉身は長さ3~9㎝、幅2~4㎜、軟毛又は剛毛があり、基部は円形又は切形、葉柄に沿着し、縁は波打ち、先は鋭形。側脈は5~7対。集散花序は1個、サソリ形花序、長さ5~15㎝、苞は無い。花は無柄、密につく。萼片は披針形、長さ1.5~2㎜、剛毛がある。花冠は薄青色又は青紫色、高坏形、長さ3~4㎜、基部は幅約1㎜、のど部は約0.5㎜に収縮、拡大部は幅2~2.5㎜、裂片は丸形、長さ約1㎜、縁は縮れる。葯は狭卵形、長さ約0.5㎜、基部の上約1㎜につく。子房は無毛、花柱は長さ約0.5㎜。柱頭は円錐形、軟毛がある。果実はうねがあり、長さ3~3.5㎜、無毛又はほぼ無毛、分果に2深列し、1種子をもつ2個の小堅果に分かれる。分果は縦のうねがある。花期と果期は4~10月。2n = 22, 24, 44, 64。

10 Heliotropium supinum L. 
 インド、アジア西部、ヨーロッパ南部、アフリカ北部原産。南アフリカ、オーストラリアに帰化。英名はdwarf heliotrope。  茎は斜上し、高さ50㎝以下。葉は長さ1.5~2㎝、幅0.8~1.2㎝、披針状卵形、柔らかく、白色の羊毛状の毛がある。穂状花序は長さ5~9㎝。萼片は長楕円状披針形、柔らかい絹毛があり、先は鋭形。花冠は白色、直径2.5㎜。葯は線状披針形、短く、 微突頭。花柱は上部が円板状、鋭い房毛状。小堅果はいぼ状、伏せ毛があり、羊毛状の毛の多い萼に包まれる。

11 その他ハイブリッド
品種) 'Amaretto' , Baby Blue , 'Butterfly Kisses' , 'Butterfly Kisses Light Blue' , 'Coconut Sundae' , 'Dwarf Marine' , 'Midnight Sky' , 'Purple Prince' , Scentropia™ Blue , Scentropia™ Dark Blue) , Simply Scentsational = 'Ushtrp0303' , Simply Scentsational® , 'Ushtrp0303'

キダチスナビキ属

  family Boraginaceae - genus Tournefortia

 灌木、つる性木、木本、草本。葉は互生、有柄、全縁。集散花序は頂生又は腋生、散房花序状、苞は無い。萼は4~5深裂、果時にも変化しない。萼裂片は狭い。花冠は白色又は淡緑色、ふつう、漏斗形。花冠筒部は外側に軟毛があり、普通、萼から突き出す。喉部には付属体が無い。花冠裂片は4又は5、蕾では重なり又は敷石状、花期には広がる。花糸は短く、花冠筒部につく。葯は卵形~長楕円形、先は微突形又は鈍形。花盤はわずかに凸面形、ときに円蓋状に近くなる。子房は4室、胚珠は室に1個。花柱は頂生。柱頭は全縁又は2裂、基部は肉質、リング状、膨れる。核果の中果皮は水っぽい~粘りがある~コルク質。内果皮は熟すと2種子の2個分果又は1種子の4分果、ときに不稔の1種子に分かれる。種子は斜形、子葉は卵形~楕円形。
 世界の熱帯、亜熱帯に約150種が分布する。Tournefortia属の中国名は紫丹属。
 キダチスナビキ属(Tournefortia) はキダチルリソウ属に含める見解もあり、Ylistではキダチスナビキ属(Tournefortia L.)はキダチルリソウ属に統合している。

キダチスナビキ属の主な種と園芸品種

1 Tournefortia sarmentosa Lam. キダチスナビキ 木立砂引
  synonym Heliotropium sarmentosum (Lam.) Craven
 台湾、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア原産。中国名は台湾紫丹 tai wan zi dan 。
 つる性木。高さ1~5m、直径4㎝以下。樹皮はときに細長く剥がれる。葉柄は長さ1~2㎝。葉身は長さ7~15.5㎝、幅 3.5~8㎝、葉の表面は無毛~ほぼ無毛、裏面は有毛。葉のついた小枝を切ると、塗布薬(liniment)の臭いがする。花は無柄、直径5~6㎜、長さ約1.5~2㎜、外面に軟毛があり、花筒は長さ約12㎜。花は白色、先端部分は白色、それ以外は緑色。裂片は長さ約2.5㎜。子房は長さ約2.5~3㎜。果実は白色、球形、直径4~5㎜、4室。萼は宿存性、果実の基部に残り、有毛。花柱は短く、宿存性。小堅果(pyrene)=分果は長さ2~3㎜程度、普通、果実に4個、種子を1個ずつ入れる。胚乳は多くない。胚は長さ約1.5~3㎜。子葉は長さが幅の2倍、幼根よりわずかに長い。

2 Tournefortia sibirica L. スナビキソウ 砂引草
  synonym Heliotropium japonicum A.Gray
  synonym Argusia sibirica (L.) Dandy
  synonym Messerschmidia sibirica (L.) L.
  日本、朝鮮、中国、ロシア、アジア南西部、ヨーロッパ南東部原産。中国名は砂引草( sha yin cao )。英名はSiberian sea rosemary。別名はハマムラサキ。
  学名が混乱している。日本では Heliotropium japonicumが一般的であるが、WFO (2021)ではTournefortia sibiricaが採用されている。
 多年草、高さ10~30㎝。根茎は這う。茎は1本又は少数、叢生、直立又は斜上、普通、密に分枝し、剛毛又は白色の柔毛がある。葉は無柄又はほぼ無柄、披針形~倒披針形~長楕円形~線形~線状披針形、長さ1~1.5㎝、幅6~10㎜、密に剛毛又柔毛があり、葉の基部は楔形~円形、葉先は尖鋭形~鈍形。集散花序は頂生、サソリ形花序、幅1.5~4㎝。花柄がある。萼片は披針形、長さ3~4㎜、剛毛が密にある。花冠は黄白色、鐘形、長さ1~1.3㎝、筒部は裂片より長く、外面は密に剛毛があり、裂片は卵形~長楕円形、反曲する。花糸は長さ約0.5㎜、花筒の中間につく。葯は長楕円形、長さ2.5~3㎜、先は微突形。子房はわずかに4裂し、長さ0.7~0.9㎜、無毛。花柱は長さ約0.5㎜、細い。柱頭は2裂、長さ0.7~0.8㎜。果実は楕円形~卵形、直径7~9㎜、4稜があり、コルク質、ザラザラし、密に剛毛があり、先は凹形。内果皮は熟すと縦にうねがあり、中に4個の小堅果がある。小堅果は種子を22個入れる。花期は4月(日本5~8月)、果期は6月。2n = 26.
2-1 Tournefortia sibirica L. var. angustior (A.DC.) G.L.Chu et M.G.Gilbert モウコスナビキソウ
  synonym Argusia rosmarinifolia (Willd. ex Roem. et Schult.) Steven
  synonym Argusia rosmarinifolia Steven
  synonym Messerschmidia rosmarinifolia Roem. & Schult.
 中国、ロシア、カザフスタン原産。中国名は细叶砂引草 xi ye sha yin cao。

ユープロカ属

  family Boraginaceae - genus Euploca

 草本又は亜低木。葉は互生、単葉、全縁。毛状突起は大きな葉状の表皮細胞からなる台座(pedestal)の上につく。花序は単純なサソリ形集散花序又は花が単生する。花は放射相称。咢は5歯又は5咢片、宿存する。花冠は白色、小さく、5数性、花冠裂片の縁は内巻き。雄しべは5本、突き出ない。子房の基部に蜜腺の盤がある。子房は機能的に4室、室に1種子。花柱は頂生、不分裂又は欠く。柱頭は曖昧又は明瞭に先が2裂又は4裂する。果実は分離果、乾いた、2~4個の骨質の1種子を含む小堅果。胚は曲がる。
 世界に約73種があり、熱帯~亜熱帯に広く(北アメリカ~南アメリカのアルゼンチン、アフリカ、アジア、オーストラリア)分布する。
 ユープロカ属(Euploca)は1837年にThomas Nuttall によって最初に記載された属であるが、キダチルリソウ属(Heliotropium)に含められていた。2016年に分枝系統解析により、再び別属とされた。

ユープロカ属の主な種と園芸品種

1 Euploca ovalifolia (Forssk.) Diane & Hilger ユープロカ・オーバリフォリア
  synonym Heliotropium ovalifolium Forssk. クサルリソウ、シロタエルリソウ
  synonym Heliotropium ovalifolium var. gracile (R.Br.) Domin
  synonym Heliotropium gracile R.Br.
 アフリカ(スーダン、ケニア、タンザニア、エリトリア、エチオピア、ソマリア、エジプト、アンゴラ、モザンビーク、マラウイ、ザンビア、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、エスワティニ、南アフリカ、ガーナ、マリ、ナイジェリア、セネガル、ザイール、マダガスカルなど)、アジア(トルコ、イエメン、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマー、ベトナム、インドネシア)、オーストラリア、ソロモン諸島原産。英名はforget-me-not, grey-leaf heliotrope。チャゴス諸島(インド洋)、小笠原諸島に帰化。YlistではHeliotropium ovalifoliumをオオコゴメスナビキソウEuploca procumbensに含めている。
 1年草又は短命の多年草、高さ40[90]㎝以下。若枝には帯銀色の毛がある。葉は互生し、葉柄があり、密な毛があり、灰白色。托葉はない。葉柄は長さ5~10mm。葉身は単葉、楕円形~倒卵形、長さ10~25mm×幅4~13mm、先は微突形、両面に伏毛がある。花序は頂生、細く、長さ2~13㎝、ときに二又にない、苞はなく、2列に花をつける。咢は長さ約2mm、5深裂し、裂片は不等長、剛毛があり、宿存する。花冠は白色、長さ約3㎜、花冠筒部は円筒形、外側に毛があり、内側ののど部にも毛がある。花冠裂片は卵形、短突起がある。葯は長さ0.5~0.6mm、幅が狭く、花冠の基部から約0.5mmにつき、葯隔がある。柱頭は長さ約0.4mm、円錐形、先に微細な剛毛がある。花柱は不明瞭。子房は無毛。果実は卵形、4個の小堅果、長さ約1.5mm、伏毛がある。2n=22。花期は2~8月。(Flora of Pakistan)
品種) 'Bride Pearl ブライドパール'

2 Euploca polyphylla (Lehm.) J.I.M.Melo & SemirHeliotropium polyphyllum Lehm.  ユープロカ・ポリフィラ
  synonym Heliotropium polyphyllum Lehm.
 USA(フロリダ州)、バハマ諸島原産。英名はPineland heliotrope。
 多年草、高さ8~15㎝。太い暗紫色の塊根をもち、1~数本の茎を直立又は平伏し、長さも様々な分枝しない又は様々に分枝した茎を生じる。全体に剛毛がある。葉は無柄、上部の葉は小さく、狭い披針形、線形、線状楕円形、狭い倒披針形、長さ1~2㎝、中脈だけが明瞭、ときに不明瞭、先は鋭形、全縁。総状花序は枝先に頂生。苞は葉状。花は初め、軸に密につく。果実は軸が伸び、やや離れる。果時の総状花序は長さが様々で、長さ30㎝以下。萼筒は短く、裂片は不等形、萼筒より長く、披針形、楕円形、披針状卵形、長さ4~5㎜。花冠は高杯形、花筒は長さ3~4㎜、拡大部は白色で目が黄色又は全体に黄色。果実は卵形、浅く4裂、褐色、4小堅果に分かれ、萼片は宿存性、果実の長さの3倍の長さがある。花期はほとんど通年。フロリダ州の東海岸の花は黄色、西海岸の花は白色。

3 Euploca procumbens (Mill.) Diane et Hilger オオコゴメスナビキソウ  大小米砂引草
  synonym Heliotropium procumbens Mill.
  synonym Heliotropium ovalifolium Forssk. クサルリソウ、シロタエルリソウ [Ylist]
  synonym Heliotropium ovalifolium var. depressum (Cham.) Merr [Kewscience] 
  synonym Heliotropium procumbens var. depressum (Cham.) Fosberg & Sachet
 北アメリカ南部、中央アメリカ、南アメリカ原産。ハワイなどに帰化。英名はfourspike heliotrope , four-spike false heliotrope。
 1年草。直根がある。茎は平伏、傾伏、斜上、高さ10~30(40)㎝。シュートは茎葉だけをもち、基部が膨らんだ剛毛があり、白粉状にならない。茎は円柱形、直径3㎜以下、強く、緑色。葉は螺旋状に互生し、単葉、托葉は無い。葉柄は半円柱形、長さ5㎜以下。葉身は楕円形~狭倒披針形~広披針形、長さ10~23(40)、㎜、幅3~8(20)㎜、緑色、基部は漸尖し、全縁、先は尖り、下方へやや曲がる。葉脈は不明瞭な羽状脈、中脈だけが見える。中脈は表面で沈み、下面に盛り上がる。花序は穂状花序様の集散花序、円錐花序、サソリ形花序、頂生する。典型的なものは花序柄の先に穂状花序を2~3個、一般に対でつけ、3又に見える。典型的な穂状花序は40以上の花をつける。花は枝の上面に2列に、3㎜の間隔でつき、果実はV形又は広い叉状につく。花や果実は苞が無く、明瞭な剛毛がある。花柄は花期には長さ0.5㎜、斜上し、果時には2倍に伸び、毛はしばしば柄より長い。花は両性、放射状、直径約2.5㎜。萼は5裂。萼裂片は基部に融着し、暗緑色又は赤色を帯び、外側は剛毛があり、内側はまばらに短い剛毛があるか又はほぼ無毛。萼筒は長さ0.3㎜以下、萼片の基部は膨れ、萼片は直立し、不等形、列の外側の萼片が最も幅が広く、長さ1.2~1.3㎝、幅0.6~0.7㎜。隣り合う狭い三角形の萼片は長さ1.2~1.3㎜、幅0.35㎜。それらの隣り合う狭い長楕円形の萼片は長さ1.4~1.5㎜、幅0.3㎜。果時には2倍に大きくなる。花冠は5裂、鐘形、長さ約2.2㎜、果時に落ちる。筒部とのど部までは長さ約1..5㎜、帯黄色、基部を除いて外側には剛毛があり、のど部は子房の上部で広がり、裂片のすぐ下に短毛のリングがあり、萼筒の先に穴(orifice)がある。花冠裂片は等形、平開~斜上し、披針形、長さ約0.7㎜、幅約0.25㎜、白色、無毛。雄しべは5個、花筒の頂上に融着し、突き出さない。葯は2半葯、外形は卵形、長さ0.45㎜、淡黄色、先は不稔、白色、尖り、小さなでこぼこのパピラがあり、縦に、内側に裂開する。花粉は帯白色。雌しべ1個、雪だるま形、長さ0.6㎜、緑色。子房は上位、回転楕円体、わずかに4裂、花期に長さ0.4㎜、幅0.35㎜、無毛、裂片ごとに1胚珠。花柱は短く、強い。柱頭は半球形、花期に長さ約1㎜、花柱より狭い。果実は4小堅果、外形はほぼ卵形、3面があり、長さ0.9~1㎜、幅0.7㎜、褐色、丸く、外側に短い剛毛が目立つ。平らな面はしばしば1~数個の水疱があり、側面に広い傷痕がある。宿存性の花冠は無く、萼は広く、広がる。
3-1 Heliotropium procumbens Mill. var. depressum (Cham.) H.Y. Liu   synonym Heliotropium ovalifolium var. depressum (Cham.) Merr [Kewscience]
  synonym Heliotropium ovalifolium Forssk. [flora of Taiwan , Ylist]
 台湾原産。中国名は伏毛天芹菜 fu mao tian qin cai。
 1年草。高さ30~50㎝。全体に毛で覆われる。葉は互生し、線状披針形~倒披針形、全縁。花序はサソリ形集散花序、頂生又は腋生。花は小さく、白色、5裂。花期は2~5月。

4 Euploca strigosa (Willd.) Diane & Hilger 
  Basionym Heliotropium strigosum Willd.
 アフリカ(アルジェリア、エジプト、エチオピア、スーダン、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ブルンジ、コンゴ、ルワンダ、ベナン、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、マリ、モーリタニア、ナイジェリア、セネガル、トーゴ、アンゴラ、マラウイ、モザンビーク、ザンビア、ジンバブエ、ボツワナ、エスワティニ、南アフリカ)、アジア(サウジアラビア、イエメン、ブータン、インド、ネパール、パキスタン、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)原産。英名はbristly heliotrope。台湾原産のコゴメスナビキソウ 小米砂引草(Heliotropium formosanum I.M.Johnst.)とは異なる。
 1年草又は多年草。広がり、直立又は平伏し、茎は長さ又は高さ5~45㎝、伏毛又は開出毛がある。葉は疎~ごく密に広がり、葉身は線形~狭長円形~狭楕円形、長さ3~40mm×幅1~5mm、基部は漸尖し、先は鋭形、縁は±外巻き。葉柄は長さ0.5~2mm。花は花柄がほぼ無か、長さ2㎜以下、単純又はときに分枝する長さ1~10㎝の集散花序につく。苞は長さ±1~5mm。咢には毛がある。 咢片は線状披針形、不等長、長さ1.5~3mm。花冠は白色、ときに中心が帯黄色。花冠筒部は長さ2~3mm、外側の上部に毛がある。花冠裂片は長さ0.5~2mm×幅0.7~2mm。花柱は長さ0.2~0.5mm。柱頭は短い円錐形、長さ0.3~0.8mm。小堅果は4個、約・長さ1.5m×幅1.5mm、背面に毛があり、各内面に窪みがある。

ピロリジジンアルカロイド(PAs)の問題

 ピロリジジンアルカロイド(PAs)は、捕食者を回避するために植物体内に産生される植物の二次代謝物質と考えられている。今日までに全世界で350種以上の植物から、660以上の様々な化合物とそのN-オキシドが検出されている。植物全体では、6000種以上の植物にPAsが存在すると推定されている。PAsを含む植物は主にキク科、ムラサキ科(ルリジサBorago officinalisなど)、マメ科に多く、その1例として、ヤコブボロギク Jacobaea vulgaris、ノボロギクSenecio vulgaris L.、シベナガムラサキEchium vulgareがあげられる。
 ピロリジジンアルカロイド(PAs)は化学的には、PAsはネシン塩基と脂肪族モノまたはジカルボン酸(ネシン酸)からなるエステルである。この内、少なくとも1分枝のC5-カルボン酸でエステル化した1,2-不飽和ネシン構造をもつPAsに毒性があり、動物試験では肝毒性、発がん性、変異原性が示されている。
 ピロリジジンアルカロイドを摂取したヒトでの症例は少ないが、多くの場合、肝毒である。パキスタン、インド、アフガニスタンではキダチルリソウ属とタヌキマメ属の種子が穀類に混じり、中毒の原因になった。ジャマイカではブッシュティーによる中毒があり、タヌキマメ属とキオン属(ragwort)の植物が原因となった。アフガニスタン産の小麦畑では、キダチルリソウ属の植物が原因となっている。茶やハーブティーなどでは雑草からのPA汚染が問題となっている。(食品安全情報(化学物質)No.4/ 2017(2017. 02. 15))

参考

1) 中国植物誌
 南美天芥菜Heliotropium arborescens L - 中国植物志
2) 王立園芸協会 (Royal Horticultural Society) Gardening
 Find a plant https://www.rhs.org.uk/plants
https://www.rhs.org.uk/
3) 農林水産省品種登録ホームページ
 平成16年度 種苗特性分類調査報告書(においむらさき) 平成17年3月
http://www.hinsyu.maff.go.jp/info/sinsakijun/botanical_taxon.html
4) PhytoKeys
 Two new combinations in Euploca Nutt. (Heliotropiaceae, Boraginales) and  a conspectus of the species of the Guiana Shield area
https://phytokeys.pensoft.net/article/6260/
5) Euploca ovalifolia - efloraofindia - Google Sites
 Euploca ovalifolia
https://sites.google.com/site/efloraofindia/species/a---l/b/boraginaceae/euploca/heliotropium-ovalifolium
6) Plants of the World Online | Kew Science
 Euploca ovalifolia (Forssk.) Diane & Hilger
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:60430581-2
7) Vascular Plants of Williamson County
 Heliotropium procumbens
http://w3.biosci.utexas.edu/prc/K12/pages/Heliotropium%20procumbens.html