キバナノマツバニンジンは在来種のマツバニンジンに似て花が淡黄色であることから。日本の各地に帰化している。アメリカにはvar. medium と、var. texanum の2変種があり、var. texanumの方が分布域が広い。葉の形と果実の分かれる数が異なる。日本で帰化が確認されているのはvar. medium である。午後に開花する。
　1年草。高さ15～50㎝。全体に無毛、やや粉白色を帯び、茎は直立する。葉は長さ1～2.5㎝の被針形～倒卵形、茎に張りつくように互生し、下部では対生する。葉柄はない。茎頂で枝分かれした枝先に花が数個つく。小花柄は長さ10㎜以下。花は直径5～10㎜の黄色の5弁花。花弁は長さ5～8㎜。萼片は長さが果実と同長又は以下、5個のうち、内側の3個の縁に腺毛がつくのが特徴である。外側の2個は蕾のときに花を包んでいる。雄しべ5個。雌しべ5個。果実は胞間裂開蒴果、直径1.5～2.5㎜の球形。果実にはコルク質の殻に包まれた10個の種子があり、熟すと分果のように10個に分かれる。4倍体 2n=72。花期は6～8月。
　var. texanum (Texas Yellow Flax , Southern yellow flax)は葉が線形～線状被針形。萼片が果実より長く、熟すと5個に分かれる。2倍体 2n=36。
　Linum virginianum　(Virginia yellow flax , woodland flax )もアメリカ東部に分布し、よく似ている。よく分枝し、内側の萼片の腺毛が無い。

アマ属

　　family Linaceae － genus Linum

　1年草、2年草、又は多年草、まれに基部が木質になる。基は直立、丈夫な外皮をもち、無毛又はまれに軟毛がある。托葉は小さいか又は無い。葉は互生又は対生し、単葉、無柄、基部から1又は3(又は5)脈があり、縁は全縁、ときに小歯状、ときに先に腺毛（glandular trichomes）をもつ。花序は集散花序又はサソリ状集散花序(scorpioid cymes)。花は両性、放射相称、ときに異形花柱性(heterostylous)。萼片は5個、覆瓦状、宿存し、縁は全縁、ときに腺毛をもつ。花弁は5個、赤色、白色、青色、又は黄色、早落性、萼片より長く、歪み、基部に爪部がある。雄しべは5本、咢片に互生する。花糸は基部が合着する。仮雄しべは5本、歯状（dentiform）。子房は5室又は偽隔壁（false septa）により、10室に見える。胚珠は室に2個。花柱は5本、糸状。柱頭は頭状。蒴果は10セグメントに割れる。種子は扁平、光沢があり、種皮が粘る。
　世界に約180種あり、温帯と亜熱帯の地域に分布する。

アマ属の主な種と園芸品種

1 Linum alpinum L.　タカネアマ　高嶺亜麻
　　synonym　Linum perenne L. subsp. alpinum (Jacq.) Stoj. & Stef.
　ヨーロッパ原産。英名はalpine flax 。花の観賞用に栽培される。
　高さ10～30㎝、直立又は斜上、無毛。茎は密に葉がつく。葉は互生し、無柄、線状披針形、長さ2.5㎝以下。花柄は続く葉より長い。蕾は下向きにつく。萼片は長さ5～7㎜、縁は無毛で薄く、短く、尖る。花弁は青色、長さ12～20㎜。蒴果は長さ6～8㎜、直立又はわずかに傾斜する。2n=18,36。
品種)　'Alice Blue'

2 Linum amurense Alef.　マンシュウアマ　満州亜麻
　中国(甘粛省、黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省)、ロシア原産。中国名は黑水亚麻 hei shui ya ma。標高600～4000mの草原、砂利の多い氾濫原、乾燥した山の斜面に生える。
　多年草、高さ25～60㎝。根は直根。茎は数本、直立し、基部は木質、中央から先で分岐し、長い花のゆかないシュートを持つ。葉は互生し、線形～線状披針形、長さ1.5～2㎝×幅約2㎜、基部から1本の脈があり、縁は平ら、先は鋭形。花はまばらな集散花序に多数つく。小花柄は細く、果時に反り返る。萼片は卵形～楕円形、長さ4～5㎜、基部に5本の脈があり、先に微突がある。花弁は青紫色、倒卵形、長さ1.2～1.5㎝×幅0.4～0.5㎝、基部は楔形、先は円形。花糸は基部で耳状になる。花柱は基部で合着する。蒴果はほぼ球形、直径約7㎜、種子は褐色、楕円形、平ら。花期は6～7月。果期は8月。

3 Linum bienne Mill.　ヒメアマ　姫亜麻
　ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、キプロス、イラン、イラク、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ヨーロッパ、アフリカ原産。英名はpale flax , narrowleaf flax。日本にも帰化している。
　2年草又は短命の多年草(1年目に開花)、高さ6～60㎝、無毛。茎は直立、普通、基部近くと花序で分枝する。葉身は線形～線状披針形、長さ5～25㎜×幅1～1.5mm。花序は開いた円錐花序。花柄は長さ10～25mm。花は異形花柱性。萼片は卵形、長さ4～5.5mm、内側の萼片の縁に微細な縁毛があり、外側は無毛、先は鋭形～尖鋭形。花弁は青色、倒卵形、長さ6～10㎜。雄しべは長さ4～5㎜。葯は長さ1～2.5㎜。仮雄しべは有又は無。花柱は明瞭、長さ約2㎜。柱頭は線形～こん棒形。蒴果は広卵形～ほぼ球形、長さ4～6㎜×幅4～6㎜、先はごく短く尖り、宿存し、縁毛がある。種子は長さ2.5～3㎜×幅1.5～2㎜。2n=30。花期は3～8月。

4 Linum campanulatum L.　リヌム・カンパニュラーツム
　　synonym　Linum glandulosum Moench
　　synonym　Linum rochelianum Gand.
　フランス、イタリア、スペイン原産。英名はyellow flax , western flax。
　多年草、高さ5～30(40)㎝。茎は多年部分は短く、木質で無毛、1年部分は草質。葉は互生し、長さ4㎝×幅1㎝・以下。下部の茎葉は形が様々、普通、倒卵形、先が鈍形、ときにへら状披針形。上部の茎は次第に幅が狭くなり、ほとんど線形になる。花序は花が3～5個つく。花は放射相称、直径約3㎝。咢片は分離、5個。花弁は黄色、分離し、5個つき、長円状楕円形、長さ2.5～3.5㎝、虫媒花。蒴果は10セグメントに分かれ、各セグメントに種子が1個。花期は5～6月。
品種)　'Sulphur'

5 Linum flavum L.　ヤマブキアマ　山吹亜麻
　ヨーロッパ、ロシア、トルコ原産。英名はgolden flax , yellow flax。花の大きさはベニパナアマと同じ位であり、花の色が山吹色。日本でも栽培されている。
　多年草、地下に根茎がある、不稔のロゼットはない。花茎は長さ(10～)20～35㎝、根生のロゼットはなく、強くうねがあり、しばしばザラつく。中間の葉は長円状披針形～長円状倒披針形、長さ25～45㎜×幅5～14㎜、下面に3～7本(通常5本)の脈がある。集散花序は多数花がつき、幅5～15㎝で、Linum mucronatum Bertol.よりも広がりが少なく、花はほぼ無柄で、斜上する花序柄の先の最終の小集散花序につく。萼片は披針形、長さ8～15㎜、竜骨があり、縁は膜質で縁毛が腺毛になる。花弁は黄色、長さ20～25㎜。蒴果は長さ4～5㎜、嘴は長さ0.75～1㎜。花期は5～6月。
品種)　'Compactum'

6 Linum grandiflorum Desf.　ベニバナアマ　紅花亜麻
　アフリカ(アルジェリア)原産。英名はcrimson flax , flowering flax , red flax , scarlet flax。
　1年草、高さ10～60㎝、無毛、粉白色。茎は斜上、又はときに基部で傾伏し、普通、自由に分枝する。葉身は線形～披針形～狭楕円形、長さ10～30㎜×幅2～3(～7)㎜。花序は集散花序、花が少数つく。花柄は長さ10～25㎜。花は異花柱性。咢片は披針形、長さ7～11㎜、縁は無毛、先は尖鋭形。花弁は鮮やかな赤色～栗色、紫色に退色し、広倒卵形、長さ15～30㎜。雄しべは長さ8～10 mm。葯は長さ約5㎜。仮雄しべは無い。花柱は下部の1/2が合着し、長さ4～5㎜(短花柱)、又は長さ8～10mm(長花柱)。柱頭はこん棒形。蒴果は卵状球形、直径6～7㎜、先には短突起があり、宿存し、縁は見られない。種子は長さ2～3㎜×幅0.5～1㎜。2n=16。花期は4～9月。
品種)　 'Blue Dress'(青色) , 'Bright Eyes'ブライトアイズ(白色で目が暗赤色)='Charmer', 'Charmer Salmon'チャーマーサーモン(サーモン色で目が褐色) , 'Rubrum'ルブラム=Flax Scarlet(緋色で目が暗色)

7 Linum medium (Planch.) Britton　キバナノマツバニンジン　黄花の松葉人参
　　synonym　Cathartolinum virginianum auct. non (L.) Rchb.
　　synonym　Linum virginianum auct. non L.　
　北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はstiff yellow flax。日本の各地に帰化している。アメリカにはvar. medium と、var. texanum の2変種があり、var. texanumの方が分布域が広い。葉の形と果実の分かれる数が異なる。日本で帰化が確認されているのはvar. medium である。午後に開花する。
　1年草。高さ15～50㎝。全体に無毛、やや粉白色を帯び、茎は直立する。葉は長さ1～2.5㎝の被針形～倒卵形、茎に張りつくように互生し、下部では対生する。葉柄はない。茎頂で枝分かれした枝先に花が数個つく。小花柄は長さ10㎜以下。花は直径5～10㎜の黄色の5弁花。花弁は長さ5～8㎜。萼片は長さが果実と同長又は以下、5個のうち、内側の3個の縁に腺毛がつくのが特徴である。外側の2個は蕾のときに花を包んでいる。雄しべ5個。雌しべ5個。果実は胞間裂開蒴果、直径1.5～2.5㎜の球形。果実にはコルク質の殻に包まれた10個の種子があり、熟すと分果のように10個に分かれる。4倍体 2n=72。花期は6～8月。
7-1 Linum medium (Planch.) Britton var. medium

7-2 Linum medium (Planch.) Britton var. texanum
　英名はTexas Yellow Flax , Southern yellow flax)
　葉が線形～線状被針形。萼片が果実より長く、熟すと5個に分かれる。2倍体 2n=36

8 Linum monogynum G.Forst.　リヌム・モノギヌム
　ニュージーランド固有種。英名はrauhuia , native linen , New Zealand linen flax。
　多年草、丈夫で無毛、高さ約0.6mまでになり、まれに3mまでで這う。茎は単純または分枝し、基部は木質化する。葉は常に互生し、線形～楕円形～狭倒卵形または披針形、先は鋭形～尖鋭形、1～3脈があり、全縁、長さ(2～)5～30㎜。単純または複合散房花序に数個～多数個の花がつく。萼片は楕円状長円形～広楕円形、先は鋭形～尖鋭形、長さ5～10(～15)㎜で、蒴果とほぼ同長または以下である。花弁は白色またはときに淡青色を帯び、長さ10～25㎜。花柱は長さの3/4以上が合着する。蒴果はほぼ球形、裂開し、直径(4～)5～10㎜。種子は楕円形で基部がわずかに狭まり、光沢のある淡褐色～暗褐色、長さ4～5㎜。花期は9～3月(Flora of New Zealand)。
品種)　'Nelson'

9 Linum narbonense L.　リヌム・ナルボネンセ
　ヨーロッパ(バレアレス諸島、コルシカ島、フランス、イタリア、ポルトガル、シチリア、スペイン、ユーゴスラビア)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ、)原産。英名は perennial flax , blue flax。
　多年草、長さ(5～)14～70㎝、木質の蔓があり、通常は細くて分枝する。ときに花のつかないシュートがあり、長さ8(15)㎝以下、斜上し、無毛、花のつくシュートと似ているが、葉は小さい。花茎は基部がほぼ木質、直立または斜上し、通常は花序のみに分枝し、ときに花のつかいない腋枝があり、花のつく前年の乾燥した茎の中央部分に発生し、無毛、まれに小さな透明な毛は、基部の断面が円形で、先は多角形、わずかに条線があり、沿下する翼はない。葉は互生し、±密につき、 常に上部で密度が低くなり、ときに下部で葉がなく、ほぼつき～ほぼ開出し、1～ 3(5)脈があり、極端な場合には外側の脈はあまり目立たず、縁が帯褐色、±帯赤色、または緑色で±透明、またははっきりと区別されず、無毛で、まれに縁～上面～下面に小さな透明な毛があり、基部には赤褐色～帯黒色の腺はない。花のつかない茎の葉は長さ6～8㎜×幅0.7～1.2㎜、狭楕円形。花茎の葉は、線状錐形～卵状披針形、基部は心形で、先は徐々にまたは急に狭くなり、鋭形で、最大の葉は長さ5.5～21(27)㎜×幅0.7～11(13)㎜、先につく。花序は単一集散花序、ほぼ散房花序状、ときに円錐花序状で、まれに花が枝に沿って緩く分布し、±緩く、1～9(14)本の枝と4～15(38)個の花があり、通常は長い小花柄がある。果時の小花柄は長さ(3)6～15(26)㎝、萼片の長さの0.4～1.8(2.5)倍、真っ直ぐ、ほぼ直立～直立・開出する。苞は長さ4.5～12(25)㎜×幅1.4～5(11)㎜、上部の葉より小さく、通常は1脈、卵状披針形～狭いへら形、先は尖鋭形、通常薄膜質のい半透明の縁がある。花は異形花柱性。萼片は長さ7～13㎜×幅1.8～5㎜、蒴果の長さの0.7～1.5倍、±ほぼ同形、竜骨があり、卵状披針形で急に小突起があり、広い半透明の房状へりではない薄膜質の縁を持ち、あるいは披針形で徐々に小突起形になり、狭く半透明で房状へりではない薄膜質の縁があり、3～5脈があり、無毛。花弁は長さ17～32㎜×幅7～15mm、へら形、わずかに小突起形、次第に細長い爪部になり、縁はわずかに波形(scalloped)で、基部は融合しないが、爪部の中央部ではわずかに融合し、激しい藍色(indigo blue)、個体群によって異なるが、ごくまれに白色になり、根元が白っぽく、爪部が黄色、脈が暗色。柱頭はほぼ線形。蒴果は長さ7～11mm、半球形、断面がほぼ五角形、先端の小突起は長さ0.5～2.3㎜、無毛、橙黄色。種子は長さ4～6mm×幅1.8～2.7mm、わずかに両凸形、輪郭はほぼ長方形で、翼のある縦縁があり、わずかにパピラがあり、光沢があり、表面は黄褐色～黒褐色。 2n=18, 28, 30; n=7, 9, 14, 15。
品種)　'Gentianoides' , 'Heavenly Blue' , 'June Perfield' , 'Six Hills' , 'Tilgate Blue'

10 Linum nutans Maxim.　モウコアマ　蒙古亜麻
　中国(甘粛省、黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、西蔵)、モンゴル、ロシア、インド(シッキム)原産。中国名は垂果亚麻 chui guo ya ma。標高600～4000mの砂地の草原、乾燥した山の斜面に生える。
　多年草、高さ20～40㎝。根は直根。茎は数本、直立し、基部は木質で鱗片状の葉があり、中央より上で分枝し、花がつかにシュートは未発達。茎葉は互生し、線形～線状披針形、長さ1～2.5㎝×幅1～3㎜、無毛、基部から1脈があり、縁はわずかに外巻きする。花は集散花序に多数つき、直径約2㎝。小花柄は細く、果時にうなだれる。萼片は卵形、長さ3～5㎜×幅2～3㎜、基部に5脈があり、縁は膜質、先は鋭形。花弁は青色～青紫色、倒卵形、長さ約1㎝、基部は楔形、先は円形。雄しべは花柱とほぼ同長。花柱は離生。蒴果はほぼ球形、直径6～7㎜、胞間裂開。種子は長円形、約・長さ4㎜×幅2㎜。花期は6～7月。花期は7～8月。

11 Linum perenne L.　シュッコンアマ　宿根亜麻
　中国、モンゴル、ロシア、西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は宿根亚麻 su gen ya ma 。英名はblue flax , perennial flax , sinipellava , lint
多年草、高さ20～100㎝、無毛。茎は斜上又は直立、普通、分枝しない。葉身は線形～線状披針形、長さ5～20㎜×幅1～3㎜。花序は多数分枝する円錐花序。花柄は開出し、長さ5～25㎜。花は異花柱性。内側の咢片は卵状披針形～卵形、長さ4.5～5.5㎜、縁は無毛、先は鈍形。外側の咢片は披針形～卵状披針形、長さ3.5～4.5㎜、外側の咢片より幅が狭く、縁は無毛、先は鋭形～尖鋭形。花弁は青色、倒卵形～倒卵状披針形、長さ10～25㎜。雄しべは長さ約5㎜。葯は長さ約2㎜ (長花柱) 、又は雄しべが長さ6.5㎜、葯が長さ1.8㎜ (短花柱)。花柱は目立ち、長さ8㎜(長花柱)、又は長さ2.5㎜(短花柱)。柱頭は頭状。蒴果はほぼ球形、直径5～7㎜、先は鋭形～鈍形、宿存し、縁毛は有又は無。種子は長さ3～4.2㎜×幅1.7～2㎜。2n=18。花期は3～8月。
品種)　'Alba' , 'Album' , 'Appar' , 'Blau Saphir' , 'Blue Sapphire' , 'Bryce Canyon' , 'Diamant' , 'Himmelszelt' , 'Nanum' , 'Nanum Diamond' , 'Nanum Sapphire' , 'Sapphire' , 'White Diamond'

12 Linum salsoloides Lam.　スギバアマ　杉葉亜麻
　　synonym　Linum suffruticosum subsp. salsoloides (Lam.) Rouy
　フランス、イタリア、スペイン原産。標高600～1300(1500)mの岩場、石の多い地面、灌木地、石灰質、泥灰質、白亜質の土壌に生える。
　亜低木で、高さ10～30(40)㎝、平伏または斜上し、茎は木質で、比較的太いこともあり、多数の枝があり、絡み合って群生する。花をつけない新芽は高さ7(12)㎝まで、ほぼ草質、多数つき、枝分かれし、散在し、絡み合い、密に毛が生え、毛は長さ0.1㎜以下、ほぼ開出し、帯白色。花茎は高さ5～20(25)㎝、直立または斜上し、花序でのみ枝分かれし、基部に毛が生え、毛は長さ0.1㎜以下、ほぼ開出し、帯白色、先の1/3は無毛、断面は円形で、条線があり、沿下する翼はない。葉は互生し、三角形～狭三角形、1脈があり、脈は上面では目立たず、上面は無毛またはほぼ無毛 、毛は基部にのみあり、パピラがあり、縁に毛があり、腺はなく、毛の基部は赤褐色～帯黒色。花がつかない枝の葉は密に重なり、規則的に並び、付いたままで、全てがほぼ等長、最大の葉は 長さ1.5～3(3.5)㎜×幅0.2～0.4㎜、三角形、鋭形で先端に小さな無色の微突があり、特に先端に向かって竜骨があり、縁にはやや透明な縁があり、小さな無色の毛があり、毛は基部が広く、± 鉤状で前屈する。花茎のものは付着し、あまり密集せず、基部から花序に向かって次第に並び、狭三角形で鋭形、先端に無色の微毛があり、内巻きし、特に先端に向かってわずかに竜骨状になり、縁はわずかに厚くなり、小さく無色の幅広い基部の毛があり、毛は±鉤状で前屈し、最大のものは長さ4～6㎜×幅0.1～0.4(0.7)㎜、長さ/幅比は8.5～25(40)であり、先の1/3に位置し、上面で脈がわずかに明瞭で、縁はわずかに厚くなる。花序は単一の集散花序(monocasial cyme)、ほぼ散房花序、緩く、2～6(10)個の花と2～5本の断面がほぼ多角形の枝がつき、無毛で帯緑色、赤みがかり、果時に花序軸は長さ(1)15～64㎜、下部の花の枝は長さ8～53㎜、直立・開出し、下部の花の花序軸/枝比は(0.05)0.7～1.5である。苞は長さ3～6㎜×幅0.2～0.8㎜で、上部の葉より幾分幅広く、狭いほぼ三角形、1脈があり、鋭形、先端に無色の微突があり、やや竜骨があり、縁はやや厚く、上面と下面は無毛、無色の小毛が数本あり、毛は基部が広く鉤状で前屈し、ときに腺毛もある。異形花柱花。萼片は果時に長さ2.3～5㎜×幅1～1.4(1.7)㎜、蒴果の長さの1.1～1.6倍、狭卵状披針形で、次第に非常に長い尖鋭形になり、細い先端になり、1(3)本の脈があり (もしあるとすれば、側方の脈はほとんど目立たない)、竜骨があり、基部に向かって縁が薄膜質になり、中間部に房状縁の腺があり(fimbriate-glanduliferous)、先に非常に小さな無色の鉤状で前向きの毛があり、外面は無毛で、内側は中間部に無色の毛がある。花弁は長さ12～19㎜×幅4～9㎜、萼片の長さの2.4～4.3倍、卵状へら形で、次第に狭くなり、短い爪部があり、基部で互いに分離し、先は極微突形になり、白色で、爪部の内側に、長さ約1.5㎜のワイン色のしみがあり、脈の上に長さ2.5㎜まで広がり、外側には長さ約1.5㎜の斑点があり、よりぼやけており、短い有色の脈(長さ2.5㎜以下、すべてほぼ等しい)があり、蕾では濃いクリーム色。柱頭は頭状。蒴果は長さ2.5～4.5㎜で、萼片より短く、ほぼ球形で、基部は平らで、先端は長さ0.1～0.2㎜で、わずかにパピラがあり、無毛、黄土色、光沢がある。隔壁は内側の縁の下半分に長い毛が少しある。種子は長さ1.8～2.2㎜×幅1～1.2㎜ で、わずかに非対称な両凸形で、輪郭は狭い卵状三角形で、先は丸く、縦の縁はやや厚くなり、表面にわずかに小穴があり、薄褐色。2n=18。
品種)　'Nanum' , 'Prostratum'

13 Linum stelleroides Planch.　マツバニンジン　松葉人参
　日本（北海道、本州、四国、九州）、韓国、中国、ロシア、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン原産。中国名は野亚麻 ye ya ma 。別名はマツバナデシコ。
　1年草、2年草、高さ20～90cm。茎は円筒形、直立、無毛、基部は木質、中間の上で散房状に分枝する。葉は互生、線形、線状披針形、又は狭披針形、長さ1～4cm×幅1～4mm、両面とも無毛、基部から3脈があり、基部は漸尖し、縁は全縁、先は尖鋭形、鋭形、又は鈍形。花は単生又は広い集散花序に多数、直径約1㎝。花柄は長さ0.3～1.5cm。萼片は長円形～広卵形、長さ3-4mm、基部に3脈があり、縁は膜質、黒色の有柄の腺をもつ。花弁は青色、青紫色、又はピンク色、倒卵形、長さ9mm以下、基部は次第に狭くなり、先は微細不整歯。雄しべは花柱と同長。花柱は分離し、基部は合着する。蒴果はほぼ球形、直径3-5mm、 胞間裂開。種子は長円形、長さ2～2.5 mm.。花期は6～9月。果期は8～10月。2n=20。

14 Linum striatum Walter　アレチアマ　荒地亜麻
　北アメリカ(USA)原産。英名はridged yellow flax。日本にも帰化している。
　多年草。高さ 25～100 cm、無毛。茎は直立～斜上、不分枝又は基部から分枝、下部～花序まで不分枝、上部には目立つうねがある。葉は下部に5～20対が対生し、上部は対生又は互生、直立又は開出する。托葉は腺が無い。葉身は楕円形～倒披針形～倒卵形、長さ15～35mm×幅4～10mm、縁は全縁、縁毛は無く、先は鈍形又は鋭形。花序は長い円錐花序。花柄は長さ0～4mm。萼片は宿存、披針形～卵形、長さ1.5～3.5mm、縁は薄膜質でなく、腺はなく、又は内側の萼片に少数の繊細な小さな腺が縁にあり、先は鋭形又は微突頭。花弁は淡黄色、倒卵形、長さ2.7～4.6mm。柱頭は頭状。蒴果は球形、心皮は外面が凸面、長さ1.3～1.9mm×幅1.8～2.3mm、先は凹み、自由に裂開し、10個に分かれる。種子はセグメントに1個、セグメントは自由に落ち、偽隔壁はほとんど完全、下部の縁に縁毛は無い。種子は長さ1～1.4mm×幅0.5～0.7mm。2n=36。

15 Linum suffruticosum L. 　リヌム・スフルティコスム
　ヨーロッパ(イタリア、フランス、スペイン)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)原産。英名はwhite flax。
　多年草、亜低木、丸く叢生する。茎は10～40(50)cm、直立～傾伏し、条線があり、葉のある部分には多少密に微軟毛があり、基部で多数分枝する。葉は長さ5～20㎜x幅0.5～2(～2.3)㎜、線状披針形、1脈がある、縁が反り返り、顕著にザラつく。花序は非常に緩いほぼ散房状円錐花序、花は異形花柱性、長い小花柄がある。萼片は長さ4～6mm、卵形状尖鋭形、3脈がある。花は直径3～5㎝、白色、目が紫色～ピンク色、ときに脈が薄ピンク色になる。花弁は長さ15～35㎜、倒卵形～楔形。柱頭は頭状。蒴果は長さ3.5～4(～4.5)㎜、球形、先は小突起形。種子は長さ2～2.2㎜。2n=36。花期は5～7月。
品種)　'Spanish Sun'

16 Linum usitatissimum L.　アマ　亜麻
　地中海沿岸地域、西ヨーロッパ、西アジア原産。中国名は亚麻 ya ma 。英名はflax , linseed。別名はヌメゴマ(滑胡麻)、イチネンアマ(一年亜麻)、アカゴマ。日本へは江戸時代に薬用として渡来し、明治から昭和初期にかけて北海道で繊維用に栽培された。茎の繊維から作られる製品はリネンと呼ばれ、種子から採れる精油は亜麻仁油と呼ばれる。
　1年草。高さ30～120 cm。茎は1本、円筒形、直立、基部は木質になり、先で散房状に分枝する。葉は互生し、線形～線状披針形、あるいは披針形、長さ2～4cm×幅1～5 mm、基部から 3(又は5)脈があり、基部は漸尖形、先は鋭形。花は腋生し、単生又は広い集散花序につき、直径15～20 mm。花柄は長さ1～3cm、直立する。萼片は卵形～卵状披針形、長さ5～8 mm。基部から3(又は5)脈があり、腺は無く、縁は全縁又は縁毛があり、先は鋭形～尖鋭形。花弁は青色、まれに白色又は赤色、倒卵形、長さ0.8～1.2cm。花柱は明瞭。柱頭は線状こん棒形。蒴果は球形、直径6～9 mm、胞間裂開、種子を10個もつ。種子は褐色、長円形、扁平、長さ3.5～4 mm。花期は6～8月。果期は7～10月。2n=30。
品種)　'Abacus' (PBR) , 'Abby' , 'Adelie' , 'Agatha' , 'Agriace' , 'Agrigem' , 'Agristar' , 'Alaska' (PBR) , 'Alcala' , 'Alizee' (PBR) , 'Alpaga' (PBR) , 'Altea' (PBR) , 'Altess' (PBR) , 'Amina' (PBR) , 'Andrea' , 'Angora' (PBR) , 'Aquarius' (PBR) , 'Aramis' (PBR) , 'Aretha' (PBR) , 'Argos' , 'Aries' (PBR) , 'Arras' , 'Astral' (PBR) , 'Aurore' , 'Avian' (PBR) , 'Axelle' (PBR) , 'Baikal' (PBR) , 'Baladin' , 'Banquise' (PBR) , 'Barbara' , 'Batsman' (PBR) , 'Bethune' , 'Bilton' (PBR) , 'Bingo' (PBR) , 'Birdseye' , 'Bliss' (PBR) , 'Blizzard' (PBR) , 'Blue Dress' , 'Bolchoi' (PBR) , 'Bonita' (PBR) , 'Bowler' (PBR) , 'Bravo' , 'Brighton' (PBR) , 'Caesar Augustus' (PBR) , 'Capricorn' , 'Carina' (PBR) , 'Chantal' (PBR) , 'Christine' (PBR) , 'Cirrus' (PBR) , 'Comtess' (PBR) , 'Coniston' , 'Cristalin' (PBR) , 'Crystal' , 'Cumulus' (PBR) , 'Damara' (PBR) , 'Daniel' (PBR) , 'Danube' , 'Dea' , 'Diane' (PBR) , 'Diva' , 'Dragon' (PBR) , 'Drakkar' (PBR) , 'Duchess' (PBR) , 'Dufferin' , 'Eden' (PBR) , 'Electra' (PBR) , 'Elise' , 'Elixir' (PBR) , 'Elodie' (PBR) , 'Empress' (PBR) , 'Eole' , 'Escalina' , 'Evasion' (PBR) , 'Evea' (PBR) , 'Everest' (PBR) , 'Exel' , 'Filea' (PBR) , 'Fjord' , 'Flanders' , 'Flechette' , 'Fountain' , 'Gemini' , 'Geria' , 'Glacier' , 'Glas' , 'Gold' , 'Gold Merchant' , 'Hanley' , 'Heiya 4' , 'Heiya 6' , 'Heiya 7' , 'Hermes' , 'Iceberg' (PBR) , 'Ideo' (PBR) , 'Ilona' , 'Imperial' (PBR) , 'Ineke' (PBR) , 'Ingot' (PBR) , 'Juliet' (PBR) , 'Jupiter' , 'Kaolin' , 'Lagoon' (PBR) , 'Laser' (PBR) , 'Laura' , 'Lea' , 'Libra' (PBR) , 'Liflax' , 'Lightning' , 'Linoal' , 'Linola 989' , 'Linus' , 'Lion' (PBR) , 'Lisette' (PBR) , 'Livia' (PBR) , 'Liviola' , 'Lola' (PBR) , 'Lorea' , 'Lucie' (PBR) , 'M-5' , 'Magea' (PBR) , 'Marmalade' (PBR) , 'Marquise' (PBR) , 'Master' , 'Melina' (PBR) , 'Meteor' , 'Mikael' , 'Mons' , 'Moonraker' , 'Natural' , 'Niagara' (PBR) , 'Ningya 10' , 'Noemie' (PBR) , 'Nordica' , 'Normandy' , 'Novea' (PBR) , 'Oleal' (PBR) , 'Olga' (PBR) , 'Oliver' (PBR) , 'Omega' , 'Omegalin' (PBR) , 'Oscar' (PBR) , 'Oural' , 'Pacific' , 'Phoenix' (PBR) , 'Pilgrim' , 'Podium' (PBR) , 'Polar' , 'Prairie Blue' , 'Prairie Grande' , 'Prairie Sapphire' , 'Prairie Thunder' , 'Princess' (PBR) , 'Recital' , 'Redwood 65' , 'Rooster'(PBR) , 'Royale' , 'Sanctuary' , 'Scorpion' (PBR) , 'Serenade' (PBR) , 'Serpent' (PBR) , 'Sky' , 'Solon' , 'Sorrel' , 'Sunrise' (PBR) , 'Symphonia' (PBR) , 'Talon' (PBR) , 'Taurus' (PBR) , 'Telios' (PBR) , 'Tosca' , 'Toundra' (PBR) , 'Trio' , 'Valoal' , 'Venus' (PBR) , 'Vesta' (PBR) , 'Vimy' , 'Violin' , 'Vitalin' (PBR) , 'Vivea' (PBR) , 'Volga' (PBR) , 'Watson' , 'Windermere' , 'Wpb Anette' (PBR) , 'Wpb Felice' (PBR) , 'Zarja 87' , 'Zenith' , 'Zoltan' (PBR) , 'Zorepad'

17 その他ハイブリッド
品種)　'Charmer' , 'Gemmell's Hybrid'(L. elegans × L. campanulatum.) , 'Waterperry'

参考

1) Flora of China
　Linum 2) Flora of North America
　Linum 3) GRIN
　Linum 4) Plants of the World Online | Kew Science
　Linum 5）植物研究雑誌 = The journal of Japanese botany. 46(5)138–138(1971)
　Linum flavumにヤマブキアマの新称を提唱する / 久内清孝
6) Flora Vascular
　Linum suffruticosum L. 7) Flora Iberica
　Linum 8) ibuflora
　Linum flavumL.