ケチョウセンアサガオはチョウセンアサガオ属の栽培種であり、世界中で野生化している。全体に白色の微軟毛があり、白っぽい。学名は Datura inoxia 又はDatura wrightiiとされていたが、ＹListではDatura wrightiiをケチョウセンアサガオとしている。Datura inoxiaとDatura wrightiiは混同されていることが多く、Flora of ChinaではDatura inoxiaを掲載しているが、Datura wrightiiを掲載していない。Jepson eFloraではDatura wrightiiを掲載し、Datura inoxiaをsynonymとしている。Datura inoxiaとDatura wrightiiは別種であり、USAやオーストラリアで両者の区別がはっきり示されている。写真のものは柱頭の高さが雄しべの葯の高さと比べ、花柱が倒れ、はっきりしないが、ほぼ同じくらいである。茎の毛は開出毛ではなく、やや下向きの短毛であり、腺毛はない。また花冠の5裂片の突起が、小裂片の突起より長い。これらによりDatura wrightiiとした。ただし果実の刺は確認できていない。Datura inoxiaはアメリカチョウセンアサガオの和名が使われ始めたようである。
　多年草、高さ120cmまで、根は塊茎がある。茎は通常、枝分かれし、ときに無毛。葉身は卵形、長さ22cm×幅16cm・以下、縁は全縁または不規則に波状歯があり、下面は灰白軟毛(canescent)があり、特に葉脈に沿ってあり、毛は伏しまたは湾曲し、ときに腺毛があり、上面は微軟毛があるか無毛になる。花：萼は脈に沿って灰白軟毛があり、萼筒は円筒形、5萼歯がある。花冠は白色、ときに淡いラベンダー色がかった色になり、広漏斗形、通常、脈に沿って微軟毛があり、長さ14～26cm、尖鋭形の裂片が小さい小裂片と互生する。蒴果は垂れ下がり、不規則に裂開し、果皮は肉質、微軟毛があり、通常10mm未満の小刺がある。萼片の残部はわずかに増大する。種子は褐色、長さ4～6mm、縁に凸状の隆起があり、種皮は平滑、種沈(caruncle)がある。2n=24。花期は6～10月(FNA)。
　類似種にもう1つ、シロバナチョウセンアサガオがある。葉が不規則な鋭い鋸歯縁。果実は卵形、反曲しない。

チョウセンアサガオ属

　family Solanaceae － genus Datura

　低木又は1年草、多年草、単純毛、ときに腺毛がある。葉柄がある。葉身は単葉、全縁又は波状鋸歯縁。花序は葉腋又は枝先に花が単生する。花序柄、苞、小苞は無い。花は放射相称、大きい。花柄はしばしば丈夫。萼は長い筒形又は円筒形、しばしば、基部近くで横に裂ける。花冠は長く、漏斗形、裂片はときに尖頭形。葯はほとんどが長く、縦に裂開し、突き出ない。子房は2～4室。果実は乾いた蒴果、バルブは4個又は不規則に裂開し、刺があるか又は無く、しばしば、宿存する萼の残物により包まれる。種子は多数、側面が扁平、胚は曲がる。
　世界に約11種があり、北アメリカ、南アメリカに分布する。thorn-apple , angel trumpet(Flora of China)

　夏に生育する高さ1.2m以下の1年草又は短命の多年草、無毛又は有毛、腺毛又は腺の無い単純毛。葉は互生し、全縁又は分裂し、葉柄がある。花は枝先に単生、両性、放射相称。咢は筒形、5裂（たまに、3、4裂又は9裂以下）、基部は果実に宿存する。花冠は漏斗形又はトランペット形、まれに、多様、白色又は様々な色になる。拡大部は短く5裂又は10裂になり、蕾中では折り畳まれて、捻じれる。雄しべは普通、5個、等高、花冠筒部に下半分につく。葯は2室、底着、縦の隙間から裂開する。子房は2室又は下半部に偽4室。柱頭は鞍形。果実は2～4室、刺又は瘤がある蒴果、規則正しく又は不規則に先から裂開する。種子はおおよそD形。
　世界に10種があり、熱帯、温帯の中央アメリカ及び南アメリカ、中国、アジア、北アフリカに分布する。(Flora of South Australia)

【チョウセンアサガオ属の種】 The Plant List
Datura × candida (Pers.) Saff=Brugmansia xcandida： B. aurea と B. versicolorのハイブリッド
Datura ceratocaula Ortega：メキシコ原産、1年草
Datura discolor Bernh.：北アメリカ西部原産。1年草
Datura dolichocarpa (Lagerh.) Saff.=　Brugmansia × insignis (Barb.Rodr.) Lockwood ex R.E.Schult.
Datura ferox L. ツノミチョウセンアサガオ
Datura innoxia Mill.：Datura inoxia Millの誤り、ラテン語ではinnoxiaが正しいとされるが、命名は異なる
Datura inoxia Mill.　 ケチョウセンアサガオ(アメリカチョウセンアサガオ )南アメリカ原産。
Datura kymatocarpa Barclay：メキシコ原産、1年草
Datura leichhardtii Benth.：メキシコ、グアテマラ原産、1年草
Datura metel L. 　チョウセンアサガオ
Datura reburra Barclay ：栽培種、最近ではDatura discolorの変種とされる。
Datura stramonium L.　ヨウシュチョウセンアサガオ
Datura wrightii Regel　 ケチョウセンアサガオ(アメリカチョウセンアサガオ )USA、メキシコ原産

【類似属のキダチチョウセンアサガオ属 Brugmansia との相違】
　BrugmansiaはしばしばDaturaと混同される。2属は初期には長命の軟らかい低木、高さ4m以下で、 Brugmansiaは短命の夏に開花するDaturaの1年草として区別されていた。加えて、Brugmansiaは花が垂れ下がり、長さ3～6㎝の花柄があり、果実に刺が無い。一方、Daturaは花が直立し、花柄が長さ0.5～1.5㎝で、果実に刺がある。

チョウセンアサガオ属の主な種と園芸品種

1 Datura ferox L.　ツノミチョウセンアサガオ
　南アメリカ(アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイ)原産。英名は false castor-oil , fierce thorn-apple , large thorn-apple , long-spine thorn-apple , long-spur thorn-apple。
　1年草、高さ60㎝。茎は±無毛～まばらな毛がある。葉は長さ10～20㎝、普通、深く波状に分裂する。花は直立する。咢は長さ2～2.5㎝、基部に角(かど)がある。咢片は長さ2～4㎜。花冠は長さ4.5～5㎝、無毛、白色又は淡青紫色、花冠裂片は長さ2～4㎜、先は短く、狭い、花糸は長さ2㎝。葯は長さ3㎜。花柱は長さ2.5㎝。果実は4バルブ、直立し、幅25㎜、刺は少数、長さ8～22㎜、丈夫。種子は長さ±4㎜、黒色。n=12。花期は4～6月。ヨウシュチョウセンアサガオと交雑する。

2 Datura inoxia Miller　アメリカチョウセンアサガオ　亜米利加朝鮮朝顔

　　synonym　Datura metel auct. non L
　USA(テキサス州)、メキシコ原産。中国名は毛曼陀罗 mao man tuo luo 。英名はAngel's-trumpet, downy thorn-apple, herbe aux sorciers, Indian-apple, moonflower, pomme épineuse, pricklyburr, tlapatl, stramoine innofensive。別名はケチョウセンアサガオ。標高0～2000mの岸、道路や小道の縁、荒れ地、砂漠の低木地、草地に生える。南北アメリカ、西インド諸島、オーストラリアなど世界中に広く帰化、中国でも野生化している。観賞用として、また意図せずに雑草として広く導入されている。初期にはDatura metelと混同されていた。POWOではテキサス州およびメキシコ原産としている。
　多年草、高さ100cmまで、根は塊茎状。茎は通常絨毛があり、ときに無毛。葉身は卵形、長さ22cm×幅16cm・まで、縁は全縁または不規則な波状の歯があり、表面は絨毛または無毛、毛状突起は開出し、しばしば脈に沿ってより密にあり、ときに腺毛がある。花：萼は脈に沿って絨毛があり、毛は開出し、萼筒は円筒形、5萼歯がある。花冠は白色、ときにラベンダー色または帯紫色、漏斗形、長さ10～22cm、まばらに毛があり、無毛になり、尖鋭形の裂片が同じ大きさの小裂片に互生する。蒴果は垂れ下がり、不規則に裂開し、果皮は肉質で毛があり、長さ10mmの刺がある。萼の残部はわずかに増大する。種子は褐色で、長さ4～6mm、縁に凸状の隆起があり、種皮は平滑、種沈がある。2n=24。花期は7～10月(FNA)。
【Flora of Chinaの解説】
　多年草、高さ1～2m、密に毛と腺毛がある。葉柄は長さ3～5㎝。葉身は広卵形、長さ10～18㎝×幅4～15㎝、膜質又はフェルト状、細かい綿毛があり、基部は円形～鈍形、非対称、縁は類全縁形、波状又は不規則な歯状、先は鋭形、脈は7～10対。花は直立。小花柄は長さ1～5㎝。萼は円筒形、長さ8～10㎝×幅2～3㎝。萼片は狭いデルタ形、長さ1～2㎝、ときに不等長。花冠は下部が帯緑色、先は白色、長さ15～18㎝。拡大部は直径7～10㎝、裂片は先が微突形。花糸は長さ約5.5㎝。蒴果は反曲し、球形～卵形、直径3～4㎝、密に細い、ほぼ等長の刺があり、白色の毛があり、先が不規則に裂開する。宿存する萼の残片が基部につく。種子は多数、褐色、円盤状の腎形、直径3～5㎜。花期と果期は6～9月。花に強い芳香がある。(Flora of China)

　丈夫な1年草。綿毛があり、直立する腺毛をもつ。成葉は広卵形。葉身は長さ20㎝以下、ほとんど全縁、わずかに波状または不規則kな裂片が基部付近にある。萼は長さ5～11㎝、3～6裂する。萼片は長さ13～20㎜、ときに分裂が不完全。花冠は長さ12～19㎝、白色で脈が緑色。拡大部は波打ち、10裂し、互生する裂片は広三角形又は長さ5～10㎜の細い先端で終わる。雄しべは突き出ない。葯は長さ8～10㎜。花柱は長さ10～14㎝。柱頭は葯より下。蒴果は球形又は球形に近く、長さ3～5㎝、反曲し、刺がある。刺は多数、細く、鋭く、ほぼ等長、長さ10㎜以下。萼片の宿存する基部は長さ20㎜以下、よく目立つ。種子は長さ4～5㎜、褐色。(Flora of South Australia)
　頑丈な草本植物で、直立した腺毛を持つ綿毛がある。成熟した葉は広卵形で、通常長さ6～20cm、幅3～12cm、縁はほぼ全縁で、わずかに波状、または基部に向かって不規則に裂ける。萼は長さ5～11cm、3～6裂し、裂片は長さ13～20mm。花冠は長さ12～19cm、白色で緑色の脈がある。拡大部は波状で、10 裂片のように見える。互生の裂片は幅三角形、または長さ5～10mmの細い先端で終わる。雄しべは突き出ない。柱頭は葯よりかなり下にある。蒴果体は±球形で、長さ3.5～5cm、直径3～5cm、屈曲している。刺は多数あり、細く、鋭く、すべて ± 等しく、長さ5～10mm。花期は夏(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)
品種)　'Evening Fragrance'

3 Datura metel L.　チョウセンアサガオ　朝鮮朝顔
　　synonym　Datura alba Rumph. ex Nees
　　synonym　Datura fastuosa var. alba C.B.Clarke
　　synonym　Stramonium metel (L.) Moench
　メキシコ原産。栽培種。原産地不明、おそらく西インド諸島。中国名は洋金花 yang jin hua 。英名はdowny thorn-apple , Hindu datura , Hindu thorn-apple , hoary thorn-apple , horn-of-plenty , metel , purple thorn-apple。植物全体、特に種子は有毒。花は麻酔薬として使用される。アジアには古くから導入されて帰化し、草が生い茂り日当たりの良い斜面、住宅の近く、多くの都市でも一般的に栽培されている。
　1年草。高さ0.5～1.5m 、ほぼ無毛。茎はしばしば暗紫色。葉柄は長さ2～6㎝。葉身は卵形～広卵形、長さ5～20㎝×幅4～15㎝、膜質、ほぼ無毛、基部は切形～楔形、非対称、縁は不規則な波状鋸歯縁～分裂～全縁、先は尖鋭形。側脈は4～6対。花は直立。花柄は長さ約1㎝。萼筒は長さ4～9㎝。花冠は白色、帯黄色又は淡紫色、漏斗形、ときに2重又は3重、長さ14～20㎝。拡大部は直径6～10㎝、裂片は長い。葯は長さ1～1.2㎝。蒴果は反曲し、類球形、直径約3㎝、いぼ状、不規則な4バルブ、宿存する萼の残物により包まれる。種子は淡褐色、腎形状円盤形、直径約3㎜。花期と果期は3～12月。
品種)　'Atropurpurea' , 'Ballerina Tutu' , 'Blackcurrant Swirl' (d) , 'Belle Blanche' , 'Cherub' (d) , 'Double Blackcurrant Swirl' , 'Double Eryngium Blue' , 'Double Purple' , 'Double Golden Queen' , 'Floreplena' ヤエチョウセンアサガオ , 'Flore Pleno' , 'La Fleur Lilas' , 'Triple Yellow' , 'Violacea Plena'

4 Datura stramonium L.　ヨウシュチョウセンアサガオ　洋種朝鮮朝顔
　　synonym　Datura tatura L.　
　　synonym　Datura stramonium L. var. chalybea W.D.J.Koch
　　synonym　Datura stramonium L. var. tatura (L.) Torr.
　　synonym　Datura stramonium f. tatula (L.) B.Boivin

　　synonym　Datura stramonium var. inermis (Juss. ex Jacq.) C.E.Lundstr.　 トゲナシチョウセンアサガオ

　メキシコ原産。英名はcommon thorn-apple , false castor-oil , imsonweed , moonflower , purple thorn-apple , thorn-apple 。中国名は曼陀罗 man tuo luo。世界中で薬用および観賞用植物として庭などで栽培され、帰化している。家屋の近く、道端、草原などに生える。植物全体に毒性があり、麻酔薬、鎮静剤、筋肉のけいれんの緩和に薬用として使用される。種子油は石鹸作りに使用できる。
　多年草または亜低木、時に頑丈、高さ0.5～1.5m、無毛。葉柄は長さ3～5.5cm、葉身は広卵形、長さ8～17cm×幅4～14cm、膜質、無毛、基部は非対称、楔形、縁は不規則に湾曲または歯状浅裂し、先は尖鋭形、葉脈は3～5対。花は直立する。小花柄は長さ5～12mm。萼は筒形、5角(かど)があり、長さ3～5cm。花冠は白色または淡紫色、基部は帯緑色、ときに上部は紫色、漏斗形、拡大部は直径3～5cm、裂片は長さ6～10cm、先端は微突形。花糸は長さ約3cm、葯は長さ3～4mm。蒴果は直立し、球形または卵形、長さ3～4.5cm×幅2～4cm、多数の刺があり、まれに平滑で、4個の等しいバルブによって裂開し、残存する萼が基部につく。種子は黒色、卵形または円盤形、直径約4mm。花期は6～10月。果期は7～11月。
品種)　'Blue' , 'La Fleur Lilas'

5 Datura wrightii Regel　ケチョウセンアサガオ　毛朝鮮朝顔

　　Synonym　Datura innoxia subsp. quinquecuspidata (Torr.) A.S.Barclay

　　Synonym　Datura inoxia auct. non Mill.
　　Synonym　Datura meteloides auct. non Dunal
　　Synonym　Datura metel var. quinquecuspidata Torr.
　USA(アラバマ州、アリゾナ州、アーカンソー州、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、フロリダ州、ジョージア州、アイダホ州、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メイン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ミネソタ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ネバダ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オハイオ州、オクラホマ州、オレゴン州、ペンシルバニア州、ロードアイランド州、サウスカロライナ州、テキサス州、ユタ州、バージニア州、ワシントン州、ウェストバージニア州、ウィスコンシン州、ワイオミング州)、メキシコ(バハカリフォルニア、チワワ、ソノラ)原産。オーストラリアに帰化している。オーストラリアでは初期にはDatura metelと混同されていた。英名はhairy thorn-apple , Jimsonweed , sacred thorn-apple , angel's trumpet , Indian-apple , sacred datura。中国名は圣曼陀罗 sheng man tuo luo。標高0～2100mの川岸、灌漑用水路、道路や歩道の縁、荒れ地、砂漠や砂漠縁の低木地帯、草地に生える。ほぼ世界中に導入されている。
　多年草、高さ120cmまで、根は塊茎がある。茎は通常、枝分かれし、ときに無毛。葉身は卵形、長さ22cm×幅16cm・以下、縁は全縁または不規則に波状歯があり、下面は灰白軟毛(canescent)があり、特に葉脈に沿ってあり、毛は伏しまたは湾曲し、ときに腺毛があり、上面は微軟毛があるか無毛になる。花：萼は脈に沿って灰白軟毛があり、萼筒は円筒形、5萼歯がある。花冠は白色、ときに淡いラベンダー色がかった色になり、広漏斗形、通常、脈に沿って微軟毛があり、長さ14～26cm、尖鋭形の裂片が小さい小裂片と互生する。蒴果は垂れ下がり、不規則に裂開し、果皮は肉質、微軟毛があり、通常10mm未満の小刺がある。萼片の残部はわずかに増大する。種子は褐色、長さ4～6mm、縁に凸状の隆起があり、種皮は平滑、種沈(caruncle)がある。2n=24。花期は6～10月(FNA)。
　1年草又は多年草、高さ50～150㎝。茎は白色の微軟毛がある。葉は長さ7～20㎝、全縁又は粗く分裂する。花は直立又は下向き。萼は長さ8～12㎝、少なくとも基部にうねがある。萼片は長さ±2㎝。花冠は長さ15～20㎝（6～8in）、微軟毛があり、白色、花冠裂片は長さ1～2㎝、先端は長く、狭い。花糸は長さ13～15㎝。葯は長さ12～15㎜。花柱は長さ15～18㎝。果実はバルブが不規則、下向きにつき、幅25～30㎜、微軟毛があり、刺は長さ5～12㎜。種子はタン色、長さ約5㎜、平ら、縁には溝がある。n=12。花期は4～10月。甘い芳香がある。（Jepson eFlora）

　1年草、綿毛があり、後ろ向きの腺のない毛といくらかの直立する腺毛がある。成葉は卵形～角(かど)のある卵形、葉身は長さ16㎝×幅10㎝以下、全縁又は不規則に分裂する。萼は長さ6～9㎝、5裂。裂片は長さ10～25㎜、ときに、分裂が不完全。花冠は長さ14～20㎜、白色、普通、縁がラベンダー色を帯び、5裂、裂片は長さ5～13㎜の細い先端で終わる。雄しべは短く突き出す。葯は長さ10～14㎜。花柱は長さ15～17㎝。柱頭は葯の高さの上に出る。蒴果は球形、直径3.5㎝以下、萼の宿存する基部が長さ10㎜以下で目立つ。種子は長さ5～6㎜、黄褐色～灰褐色。(Flora of South Australia)
　草本植物で、後屈した非腺毛と直立した腺毛を持つ綿毛がある。成熟した葉は卵形～角張る卵形で、通常長さ5～16cm、幅4～10cm、縁は全縁または不規則に裂ける。萼は長さ6～9cm、萼片は長さ10～25mm、ときに不完全に分離する。花冠は長さ14～20cm、白色で、通常縁に向かってラベンダー色がかる。拡大部は5裂し、裂片は5～13mmの細い先端で終わる。雄しべは短く突き出る。葯の上に柱頭がある。蒴果は±球形で、長さと幅は2.5～3.5cm、屈曲し、刺は多数、鋭く、すべて±等しく、通常 3～5mm。花期は夏～冬。(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)

【類似属種】
(1) Brugmansia suaveolens (Humb. et Bonpl. ex Willd.) Sweet　 キダチチョウセンアサガオ
　　synonym　Datura suaveolens Humb. et Bonpl. ex Willd
(2) Brugmansia x candida Pers　コダチチョウセンアサガオ
　　synonym　Datura arborea auct. non L.
(3) Brugmansia versicolor Lagerh.
　　synonym　Datura versicolor (Lagerh.) Saff. 'Grand Marnier'
　　synonym　Datura mollis Saff.

ケチョウセンアサガオの混同

　ケチョウセンアサガオはDatura inoxia MillerとDatura wrightii Regel　の学名があてられ、一部で混同されている。Jepson eFloraでもDatura wrightii と同種の可能性があるとしている。New England Wild Flower SocietyではDatura wrightiiは花冠の長さが20～24㎝と長く、花冠裂片の先の歯が5個で、花冠の色が淡紫色を帯びることがあり、Datura inoxiaは花冠の長さは16～20㎝、花冠の歯は10個、花冠の色は白色に限るとしている。これに対し、USDA Forest Service、Jepson eFloraなどはDatura wrightii の花冠は長さ6～7又は8インチとしている。FNAでは
　Flora of South AustraliaにDatura inoxiaとDatura wrightiiなどの比較が掲載されている。 Datura inoxia は花冠の拡大部が角張り、ほぼ5角形、Datura wrightiiはあまり角張らず、円形に近い。花冠の突起状の裂片については変化があり、Datura inoxia は5又は10個、Datura wrightiiは5個。腺毛は Datura inoxia には有り、Datura wrightiiはときに有又は無。Flora of ChinaとJepson eFloraの記述から花糸の長さに顕著な差があり、Datura inoxiaは約5.5㎝、Datura wrightii は13～15㎝である。これはFlora of South Australiaの解説と一致する。両者の花冠の長さに大きな違いはない。蒴果はどちらも柄が反曲し、直径はDatura inoxiaが3～5㎝、Datura wrightii が2.5～3.5㎝とやや小さい。果実の表面の刺はDatura inoxiaが長さ約10mm、Datura wrightiiは長さ10mm未満でオーストラリアでは通常3～5mm。
　※花冠の拡大部の形はインターネット検索ではDatura inoxia の葯の上に花柱が突き出るDatura inoxiaと思われるものでも、やや円形に近いものも見られる。裂片の細く尖った先端は5個のものが多い。

【Key to species】
　Key adapted from L. Haegi, Taxonomic account of Datura L. (Solanaceae) in Australia with a note on Brugmansia Pers. Australian J. Botany 24: 421-422 (1976).

1　葉縁は普通、歯状又は波状、蒴果は直立、種子は黒色又は灰色

　2 花の長さ6～10㎝、蒴果は細い刺が100本以上、刺の長さは様々、ランダムに分布

　2:花の長さ4～6㎝、蒴果は丈夫な刺が40～60本、上側は下側の刺より長い

1　葉は全縁～波状縁又は分裂、裂片は全縁、蒴果は反曲、種子は褐色又は黄色

　　3　全体に無毛またははまばらに短毛があり、腺毛は無い。
　　　4 枝は緑色、花は長さ4.5～7㎝、蒴果は多数の鋭い刺をもつ

　　　4 枝は紫色を帯び、花は長さ14～20㎝、蒴果は多数の、短く鈍い瘤をもつ

　　3　全体に綿毛があり、腺毛は無又は有

　　　　5 直立する腺毛があり、柱頭は葯よりかなり下、花冠拡大部の縁は角(かど)張る。

　　　　5 毛はほとんど腺毛が無く、後ろ向き、ときに直立する腺毛がある。柱頭は普通、葯の上に突き出る。花冠拡大部の縁は円い。

Datura inoxia とDatura wrightii の比較

	Datura inoxia	Datura wrightii
英　名	angel's-trumpet, downy thorn-apple, Indian-apple, pricklyburr	angel trumpet, angel's trumpet, jimson weed, sacred datura, sacred thorn-apple
高さ	100cm	120cm
茎の毛	絨毛があり、ときに無毛	灰白軟毛(canescent)があり、ときに無毛になる
葉の毛	表面は絨毛があるか無毛になり、しばしば脈上で密。毛は開出し、ときに腺毛がある。	下面に灰白軟毛(canescent)があり、毛は伏せまたは曲がり、とくに脈上に多く、ときに腺毛がある。上面は微軟毛があるか無毛になる。
萼	脈上に開出する柔毛(villous)がある。	脈上に灰白軟毛(canescent)がある。
花冠	漏斗形、長さ10～22cm。まばらに毛があり、無毛になる。	広漏斗形、長さ14～26cm。脈上に微軟毛がある。
花冠裂片	5裂片は尖鋭形で、先端は長さ5～10mmの細い小突起形、突起の似た大きさの小裂片を互生する。	5裂片は尖鋭形で、先端は長さ5～13㎜の細い小突起形、突起の小さい小裂片を互生する。
花柱の長さ	柱頭が葯の高さより下。	柱頭が葯の高さを超える。
蒴果	果皮は肉質、毛があり、刺は長さ10mm。	果皮は肉質、微軟毛があり、刺は通常、長さ10mm未満。
花期	花期は7～10月	花期は6～10月

参考

1) Flora of North America
　Datura 2) Flora of China
　Datura 3) Jepson eFlora: Taxon page
　Datura wrightii Regel 　Datura ferox 4) GRIN
　Datura 5) New England Wild Flower Society
　Datura inoxiaとDatura Wrightiiとの比較 6) Electronic Flora of South Australia
　Datura inoxia 7) Flora of South Australia
　Datura wrightii Regel 8）Flora of South Australia
　Datura　Key to species 9）Flora of North America species comparison
　Datura innoxia vs. Datura wrightii 10）NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
　Datura innoxia Mill. 　Datura wrightii