ケンポナシ 玄圃梨

mark

Flora of Mikawa

クロウメモドキ科 Rhamnaceae ケンポナシ属

中国名 北枳椇 bei zhi ju
英 名 Japanese raisintree, Chinese raisintree
学 名 Hovenia dulcis Thunb.
ケンポナシの果実
ケンポナシの葉
ケンポナシの葉先
ケンポナシの幹
ケンポナシ
ケンポナシ葉
花 期 6~7月(果期9~10月)
高 さ 15~25m
生活型 落葉高木
生育場所 山野の林内
分 布 在来種  北海道(奥尻島)、本州、四国、九州、朝鮮、中国、タイ
撮 影 豊田市(旧小原村)    12.7.27
皮や枝を煮出したり、葉を発酵させてケンポナシ茶とする。最近ではペットボトル入りのケンポナシ茶が売られている。アルコール臭や口臭を消す効果がある。
 幹は暗灰色、網目状の縦の割れ目が目立つ。葉は互生し、長さ10~20㎝、幅7~14㎝の広卵形。葉脈3本が葉柄に続き、葉身から出っ張ったようになるのが特徴。葉脈は裏面に隆起する。葉腋から出る集散花序に花を多数つける。花は緑白色、直径約7㎜の5弁花。果実は直径7~9㎜の球形の核果。果実の下の軸が膨らみ果肉となって食べられる。梨のような甘い味がするが、少し渋味がある。核は直径4~5㎜の扁平な円形、光沢のある黒褐色。

ケンポナシ属

  family Rhamnaceae - genus Hovenia

 落葉高木又はまれに低木、高さ25m以下。若枝はしばしば直軟毛又は綿毛がある。葉は互生、長い葉柄があり、基部から3脈があり、1次脈は4~8対の2次脈をもち、葉の基部は±斜め、縁は鋸歯縁。花は白色又は黄緑色、両性、5数性、頂生又は腋生の集散花序の円錐花序につく。萼筒は半球形。咢片は三角形、明瞭な竜骨がある。花弁は楕円形~卵形、基部に短い爪部があり、先はわずかに凹形、しばしば±完全に雄しべを包み込み、花時に±広く後屈する。雄しべは花弁に包み込まれる。花糸は披針状線形。葯は背着。花盤はほぼ丸く、厚く、肉質、しばしば、±密に毛があり、まれに無毛、萼筒を満たす。子房は半下位、ほぼ完全に花盤に埋まり、3室があり、胚珠は各室に1個。花柱は2裂又は3裂、±深く枝になる。核果はほぼ無毛~密に毛があり、基部に萼筒が宿存し、先に未発達の花柱をもつ。中果皮は革質、しばしば膜質の内果皮から離れる。果序の花序柄と花柄は果実が熟すと明瞭に肉質で多汁になる。種子は3個、帯褐色~帯黒色、光沢があり、長円形~円形、しばしば小さな穴の斑点がある。
 世界に3種あり、ブータン、中国、インド、日本、韓国、ミャンマー、ネパールに分布し、中国に3種ある。

ケンポナシ属の主な種と園芸品種

1 Hovenia acerba Lindl.  シナケンポナシ 志那玄圃梨
 中国、ブータン、インド、ミャンマー、ネパール原産。中国名は枳椇 zhi ju

2 Hovenia dulcis Thunb.  ケンポナシ 玄圃梨
  synonym Hovenia dulcis Thunb. f. latifolia (Nakai ex Y.Kimura) H.Hara
 日本(北海道の奥尻島、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、タイ原産。中国名は北枳椇 bei zhi ju。英名はJapanese raisintree, Chinese raisintree。
 落葉高木。高さ15~25m。幹は暗灰色、網目状の縦の割れ目が目立つ。葉は互生し、長さ10~20㎝、幅7~14㎝の広卵形。葉脈3本が葉柄に続き、葉身から出っ張ったようになるのが特徴。葉脈は裏面に隆起する。葉腋から出る集散花序に花を多数つける。花は緑白色、直径約7㎜の5弁花。果実は直径7~9㎜の球形の核果。果実の下の軸が膨らみ果肉となって食べられる。梨のような甘い味がするが、少し渋味がある。核は直径4~5㎜の扁平な円形、光沢のある黒褐色。花期は6~7月。果期9~10月。
2-1 Hovenia dulcis Thunb. f. deviata Honda  オウゴンケンポナシ 

3 Hovenia trichocarpa Chun et Tsiang  ケケンポナシ 毛玄圃梨 [広義]
  synonym Hovenia tomentella (Makino) Nakai ex Y.Kimura
 日本(本州、四国、九州)、中国原産。中国名は毛果枳椇 mao guo zhi ju。
 中型~大型の高木、落葉性、高さ18m以下。小枝は褐紫色~黒紫色、無毛、皮目が目立つ。葉柄は長さ2~4㎝、無毛又は直軟毛がある。葉身は長沿状卵形~広楕円状卵形~長円形、まれにほぼ円形、長さ12~18㎝×幅7~15㎝、紙質、下面は密に綿毛~主脈上に直軟毛があり、上面は無毛、基部は切形~類円形~心形、縁は円鋸歯~鈍鋸歯、まれにほぼ全縁、先は尖鋭形。花序は密に鉄さび色~黄褐色の綿毛がある。花は黄緑色、直径7.5~8.5㎜、鉄さび色の直軟毛があり、頂生又は腋生の2出集散花序につく。萼片は長さ2.8~3㎜×幅2.1~2.6㎜、目立つ鉄さび色の直軟毛がある。花弁は卵状へら形、長さ2.8~3㎜×幅1.8~2㎜、基部に爪部があり、爪部は長さ0.8~1.1㎜。花盤は密に鉄さび色の絨毛がある。花柱は長さ1~1.8㎜、基部に柔毛があり、基部まで深裂する。果時の花序柄と花柄は太くなり、鉄さび色の綿毛がある。果実は熟すと黄褐色~褐色、ほぼ球形。種子は黒紫色又は褐色、ほぼ球形、直径4~5.5㎜。花期は5~6月。果期8~10月。
3-1 Hovenia trichocarpa var. trichocarpa
 中国原産。中国名は毛果枳椇 mao guo zhi ju。
 葉は上面に密に黄褐色又は黄灰色の綿毛がある。
3-2 Hovenia trichocarpa Chun et Tsiang var. robusta (Nakai et Y.Kimura) Y.L.Chen et P.K.Chou  ケケンポナシ 
 日本(本州、四国、九州)、中国原産。中国名は光叶毛果枳椇 guang ye mao guo zhi ju
 葉は両面とも無毛又は上面の脈上に直軟毛がある。

参考

1) Flora of China
 Hovenia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=115811
2) Flora of North America
 Hovenia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=115811
3) Plants of the World Online | Kew Science
 Hovenia
http://powo.science.kew.org/taxon/33460-1