カリマタガヤ 雁又茅
Flora of Mikawa
イネ科 Poaceae カリマタガヤ属
中国名 | 觿茅 xi mao |
学 名 | Dimeria ornithopoda Trin. synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. |
花 期 | 9~10月 |
高 さ | 10~40㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 低地の湿地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、マレーシア、フィリピン、オーストラリア |
撮 影 | 新城市 13.10.21 |
学名は広義にDimeria ornithopoda とする見解が普通である。
茎は細く、下部で分枝し、叢生する。茎の下部はやや曲がり、先は直立する。葉舌は白色、膜質、長さ1~2㎜、卵形、鈍頭。葉は互生し、長さ3~7㎝、幅2~5㎜、質は柔らかく、長毛が開出する。葉鞘は長さ5~10㎜程度、長毛がまばらにつく。葉や葉鞘にある長毛の基部は膨らみ、節には環状に毛が密生する。茎の先にV字形(花序枝が多い場合は掌状)の紫色を帯びた細い花序をつける。花序の枝は普通2個(稀に1から3個)、長さ2.5~5㎝、無梗の小穂を互生する。花序軸には狭い翼があり、稜には上向きの短毛がある。小穂は長さ2.5~4㎜、左右に扁平、紫褐色を帯び、2小花をもち、うち1小花は不完全。小穂の基部に毛がある。苞頴は2個がほぼ等長、内折し、背の竜骨が狭い翼状になり、稜に上向きの小歯があり、縁は有毛、先が尖る。第1苞頴の方が幅が狭い。第1小花は不完全、薄膜質の護頴(第3頴)だけとなり苞頴の1/2以下と短く、細い。第2小花の護頴(第4頴)は薄膜質、苞頴よりやや短く、先に2歯があり、長さ3~10㎜(普通小穂よりかなり長い)の芒があり、護頴の先端の歯間から突き出る。芒には上向きの小歯がある。頴果は背腹に扁平でなく、左右に扁平、長さ約2.2㎜、幅0.3㎜、厚さ0.5㎜。
メヒシバ Digitaria ciliaris の小さいものは少し似ている。メヒシバは花序が緑色。小穂が背腹に扁平。
一年草または多年草。稈はしばしば繊細で、直立~傾伏し、節には毛があり、毛は上向きになる。葉身は線形。葉舌は短く、膜質。花序は頂生、単生または亜掌状の総状花序からなる。総状花序は片面につき、小穂は1個、短い小梗(小穂の小花柄;pedicel)があり、普通、2列に重なり、花軸は丈夫、3稜形または平ら、成熟すると小梗から関節で離れる。小梗は非常に短く、幅が広く、先が凹面状で、縁は切形。小穂は披針形または狭長円形で、側部が強く扁平。カルス(callus)は切形、短い髭がある。苞穎(glumes)は草質または薄い紙質、中央の竜骨で折り畳まれ、竜骨にはしばしば翼があり、下側の苞穎(lower glume)は上側の苞穎(upper glume)より狭く、わずかに短い。下側の小花は狭い透明の護穎(lemma)に退化する。上側の小花は両性、護穎は透明、上側の苞穎より少し短く、先は短い2歯があり、切れ込みから芒が出る。芒は膝状に曲がり、ときには弱くまたはほぼ真っ直ぐで、無毛。上側の内穎(upper palea)は普通、無い。雄しべは2個。穎果は狭長円形、側部が扁平。 世界に約40種あり、インド、中国、日本からインドネシア、フィリピン、オーストラリアに分布する。
synonym Dimeria ciliata Merr.
インド、アッサム、バングラデシュ、マレーシア、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、サンタクルス諸島、キャロライン諸島、マリアナ原産。
多年草。稈は直立し、長さ40~90cm。葉鞘は表面が平滑または粗毛があり、外側の縁は無毛または毛がある。葉舌は縁毛があり、膜質、長さ0.8mm。葉身は長さ10~20cm×幅4~8㎜、表面に密に直軟毛があるかまたは粗毛があり、上面または両面に毛がある。花序は3~6個の総状花序が、掌状につき、総状花序は片側につき、長さ9~15cm。花序軸は平ら、幅0.7~1㎜、表面に直軟毛があり、縁毛がある。小穂は密集して詰められ、普通、 2列につく。小穂は圧着し、単生。稔性の小穂は無柄、基部の1個の不稔の小花と、1個の稔性の小花を含み、小軸の伸長は無い。小穂は長円形、側部が強く扁平、長さ4~5.5㎜、熟すと、全体で落ちる。小穂のカルス(callus)は長さ0.2㎜、毛があり、基部は切形または鈍形。両苞穎はり、小花の先を超え、稔性の護穎より堅い。第1苞穎(lower glume)は線形または楕円形、長さ4mm、小穂の長さ0.9~1倍、紙質、縁はかなり薄く、1竜骨、1脈があり、一次脈は縁毛があり、側脈は無く、苞穎の縁には長さ0.7~1㎜の縁毛があり、先は鋭形または尖鋭形。第2苞穎(upper glume)は楕円形または長円形、小穂の長さと同じで、紙質または革質、縁は透明、1竜骨があり、竜骨に翼は無または有、一次脈には縁毛があり、苞穎の縁には繊毛があり、先は凹形または鋭形。基部の不稔の小花は不毛(barren)で有意な内穎は無く、護穎は線形または披針形、長さ2.5~3.2㎜、透明で、縁に繊毛がある。稔性の小花の護穎は楕円形または倒卵形、長さ2.5~4.2㎜、透明、竜骨はなく、1脈があり、先は歯状に2裂し、1芒がある。主要な芒は護穎の切れ込みから出て、膝状に曲がり、全体の長さは10~17㎜、下部の柱は捻じれ、無毛。内穎はないかまたは小さい。葯は2個、長さ1.5~2.2㎜。
2 Dimeria falcata Hack. ケカリマタガヤ
中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は镰形觿茅 lian xing xi mao。沼沢地の斜面、湖畔に生える。 多年草。 稈は株立(房状)し、針金状、直立または最下の節から発根し、高さ20~70㎝、枝分かれし、2~9節がある。葉鞘は粗毛があり、基部がいぼ状の短い毛がある。葉身は暗緑色または帯赤色、線形、長さ10~20㎜×幅0.2~0.3㎜、粗毛があり、上面は幅広の白色の中肋があり、先は細かく尖鋭形。葉舌は長さ0.4~0.5㎜。 総状花序は2~3個つき、わずかに曲がり、長さ2~7㎝、散開する。花序軸は平らで、縁は翼があり、翼の縁はザラつきまたは白色の縁毛があり、節間は長さ1.5~2㎜。小梗(小花柄)は長さ0.4~0.5㎜、外側または両方の縁に毛がある。小穂は線状長円形、長さ3.5~4.5㎜、赤褐色またはほぼ帯紫色。苞穎は紙質、上側の苞穎(upper glume)は広い薄膜質の縁を持ち、背中は丸く、竜骨があり、ザラつき、または先の下部に狭い翼があり、または全体に竜骨と翼があり、縁の近くと竜骨の上に白色の直軟毛があり、先は鋭形。上側の護穎(upper lemma)は倒披針形、長さ約2.5㎜。芒は長さ7~10㎜、膝状に曲がる。上側の内穎(upper palea)は無い。 葯は長さ1.7~2㎜。花期および果期は秋。
2-1 Dimeria falcata var. falcata
中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は镰形觿茅 lian xing xi mao。
総状花序の花序軸は縁がザラつく。上側の苞穎(upper glume)は背中が丸く、先の下部だけに竜骨があり、竜骨は翼が有または無。花期および果期は秋。
2-2 Dimeria falcata Hack. var. taiwaniana (Ohwi) S.L.Chen et G.Y.Sheng ケカリマタガヤ 狭義
中国、台湾、ベトナム原産。中国名は台湾觿茅 tai wan xi mao。
総状花序の花序軸は、縁に白色の縁毛がある。上側の苞穎(upper glume)は基部から先まで明瞭に竜骨があり、竜骨には狭い翼がある。
3 Dimeria ornithopoda Trin. カリマタガヤ 雁又茅、雁又萱 広義
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. yakusimensis Honda ex Masam.
synonym Dimeria parva (Keng et Y.L.Yang) S.L.Chen et G.Y.Sheng
日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、台湾、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ、ベトナム、南西アジア(オマーン)、オーストラリア、太平洋諸島(ポリネシア)原産。中国名は觿茅 xi mao。小川、湿った場所などに、しばしば群生する。
1年草、繊細。稈は非常に細く、直立し、高さ3~40(~60)cm、節は2~17個ある。 葉鞘は竜骨があり、普通、剛毛があり、基部にいぼある毛が散生する。 葉身は若いときは緑色、帯赤色になり、柔らかく、長さ1.5~5㎝×幅0.1~0.25㎝になり、剛毛があり、基部にいぼある毛が散生するかまたは無毛になる。葉舌は長さ0.5~1㎜、不規則に切り裂かれる。 総状花序は2~3(~5)個つき、ほぼ掌状、長さ1~6(~10)㎝、初めは斜上し、その後、散開する。花序軸は3稜形、角(かど)がザラつき、節間は長さ1~3 ㎜。小梗(小花柄)は長さ約0.2㎜、無毛。小穂は線状長円形、長さ1.7~3.2(~4.5)㎜、普通、紫色または赤褐色。苞穎は草質、広い薄膜質の縁を持ち、ザラつき、ときに、竜骨の頂部近くに少数の長い堅い毛があるか、または全体に堅い直軟毛があり、竜骨には普通、翼がなく、たまに、上側の苞穎(upper glume)は狭い翼があり、先は鋭形。上側の護穎(upper lemma)は楕円状披針形、長さ1.6~2㎜。芒は長さ6~11㎜、膝状に曲がる。上側の内穎(upper palea) は無い。葯は長さ0.4~0.6㎜。花期および果期は9~11月。
3-1 Dimeria ornithopoda subsp. ornithopoda カリマタガヤ 雁又茅 狭義
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack.
日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、台湾、インド、マレーシア、フィリピン、オーストラリア原産。中国名は觿茅 xi mao。別名はコカリマタガヤ、オオカリマタガヤ、ツクシカリマタガヤ、ヤクシマカリマタガヤ。小川、湿った場所に生える。
稈は高さ3~40cm。総状花序は2~3個つき、長さ1~6cm。 小穂は長さ1.7~3 mm。下側の苞穎(lower glume)は小穂よりも短く、背がザラつき、紙質、縁は膜質。上側の苞穎(upper glume)は 正中線が丸くまたは先だけに鋭い竜骨がある。花期および果期は10~11月。
次のように日本のものを var. teneraとし、東アジア、オーストラリアなどに分布する基本亜種subsp. ornithopodaと分ける見解もあり、下位分類がなされていたが、現在では分類しない。
3-2 Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. カリマタガヤ
3-2-1 Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. f. microchaeta Hack. ヒメカリマタガヤ 姫雁股茅
カリマタガヤの小型の品種。小形で、小穂が長さ2.5~3㎜、芒が無く、又は短く、頴果は長さ1.5~1.8㎜。花期は9~10月。ヒメカリマタガヤを分けないとする見解もある。
3-2-2 Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. f. subrobusta (Hack.) Ohwi オオカリマタガヤ 大雁又茅
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. subrobusta Hack.
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. plurinodis Keng et Y.L.Yang
synonym Dimeria ornithopoda Trin. subsp. subrobusta (Hack.) S.L.Chen et G.Y.Sheng [flora of China]
日本、中国原産。中国名は具脊觿茅 ju ji xi mao。
稈は高さ60cmまで。総状花序は2~5個つき、長さ2~8.5(~10)㎝。小穂は長さ(2.5~)3~3.5(~4.5)㎜。下側の苞穎(lower glume)は小穂よりわずかに短いか等しい。上側の苞穎(upper glume)は全体に鋭い竜骨があり、竜骨には狭い翼がある。花期および果期は9~10月。
Dimeria
Dimeria
Dimeria
Dimeria
Dimeria
茎は細く、下部で分枝し、叢生する。茎の下部はやや曲がり、先は直立する。葉舌は白色、膜質、長さ1~2㎜、卵形、鈍頭。葉は互生し、長さ3~7㎝、幅2~5㎜、質は柔らかく、長毛が開出する。葉鞘は長さ5~10㎜程度、長毛がまばらにつく。葉や葉鞘にある長毛の基部は膨らみ、節には環状に毛が密生する。茎の先にV字形(花序枝が多い場合は掌状)の紫色を帯びた細い花序をつける。花序の枝は普通2個(稀に1から3個)、長さ2.5~5㎝、無梗の小穂を互生する。花序軸には狭い翼があり、稜には上向きの短毛がある。小穂は長さ2.5~4㎜、左右に扁平、紫褐色を帯び、2小花をもち、うち1小花は不完全。小穂の基部に毛がある。苞頴は2個がほぼ等長、内折し、背の竜骨が狭い翼状になり、稜に上向きの小歯があり、縁は有毛、先が尖る。第1苞頴の方が幅が狭い。第1小花は不完全、薄膜質の護頴(第3頴)だけとなり苞頴の1/2以下と短く、細い。第2小花の護頴(第4頴)は薄膜質、苞頴よりやや短く、先に2歯があり、長さ3~10㎜(普通小穂よりかなり長い)の芒があり、護頴の先端の歯間から突き出る。芒には上向きの小歯がある。頴果は背腹に扁平でなく、左右に扁平、長さ約2.2㎜、幅0.3㎜、厚さ0.5㎜。
メヒシバ Digitaria ciliaris の小さいものは少し似ている。メヒシバは花序が緑色。小穂が背腹に扁平。
カリマタガヤ属
family Poaceae - genus Dimeria一年草または多年草。稈はしばしば繊細で、直立~傾伏し、節には毛があり、毛は上向きになる。葉身は線形。葉舌は短く、膜質。花序は頂生、単生または亜掌状の総状花序からなる。総状花序は片面につき、小穂は1個、短い小梗(小穂の小花柄;pedicel)があり、普通、2列に重なり、花軸は丈夫、3稜形または平ら、成熟すると小梗から関節で離れる。小梗は非常に短く、幅が広く、先が凹面状で、縁は切形。小穂は披針形または狭長円形で、側部が強く扁平。カルス(callus)は切形、短い髭がある。苞穎(glumes)は草質または薄い紙質、中央の竜骨で折り畳まれ、竜骨にはしばしば翼があり、下側の苞穎(lower glume)は上側の苞穎(upper glume)より狭く、わずかに短い。下側の小花は狭い透明の護穎(lemma)に退化する。上側の小花は両性、護穎は透明、上側の苞穎より少し短く、先は短い2歯があり、切れ込みから芒が出る。芒は膝状に曲がり、ときには弱くまたはほぼ真っ直ぐで、無毛。上側の内穎(upper palea)は普通、無い。雄しべは2個。穎果は狭長円形、側部が扁平。 世界に約40種あり、インド、中国、日本からインドネシア、フィリピン、オーストラリアに分布する。
カリマタガヤ属の主な種と園芸品種
1 Dimeria chloridiformis (Gaudich.) K.Schum. et Lauterb. オオコカリマタガヤsynonym Dimeria ciliata Merr.
インド、アッサム、バングラデシュ、マレーシア、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、サンタクルス諸島、キャロライン諸島、マリアナ原産。
多年草。稈は直立し、長さ40~90cm。葉鞘は表面が平滑または粗毛があり、外側の縁は無毛または毛がある。葉舌は縁毛があり、膜質、長さ0.8mm。葉身は長さ10~20cm×幅4~8㎜、表面に密に直軟毛があるかまたは粗毛があり、上面または両面に毛がある。花序は3~6個の総状花序が、掌状につき、総状花序は片側につき、長さ9~15cm。花序軸は平ら、幅0.7~1㎜、表面に直軟毛があり、縁毛がある。小穂は密集して詰められ、普通、 2列につく。小穂は圧着し、単生。稔性の小穂は無柄、基部の1個の不稔の小花と、1個の稔性の小花を含み、小軸の伸長は無い。小穂は長円形、側部が強く扁平、長さ4~5.5㎜、熟すと、全体で落ちる。小穂のカルス(callus)は長さ0.2㎜、毛があり、基部は切形または鈍形。両苞穎はり、小花の先を超え、稔性の護穎より堅い。第1苞穎(lower glume)は線形または楕円形、長さ4mm、小穂の長さ0.9~1倍、紙質、縁はかなり薄く、1竜骨、1脈があり、一次脈は縁毛があり、側脈は無く、苞穎の縁には長さ0.7~1㎜の縁毛があり、先は鋭形または尖鋭形。第2苞穎(upper glume)は楕円形または長円形、小穂の長さと同じで、紙質または革質、縁は透明、1竜骨があり、竜骨に翼は無または有、一次脈には縁毛があり、苞穎の縁には繊毛があり、先は凹形または鋭形。基部の不稔の小花は不毛(barren)で有意な内穎は無く、護穎は線形または披針形、長さ2.5~3.2㎜、透明で、縁に繊毛がある。稔性の小花の護穎は楕円形または倒卵形、長さ2.5~4.2㎜、透明、竜骨はなく、1脈があり、先は歯状に2裂し、1芒がある。主要な芒は護穎の切れ込みから出て、膝状に曲がり、全体の長さは10~17㎜、下部の柱は捻じれ、無毛。内穎はないかまたは小さい。葯は2個、長さ1.5~2.2㎜。
2 Dimeria falcata Hack. ケカリマタガヤ
中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は镰形觿茅 lian xing xi mao。沼沢地の斜面、湖畔に生える。 多年草。 稈は株立(房状)し、針金状、直立または最下の節から発根し、高さ20~70㎝、枝分かれし、2~9節がある。葉鞘は粗毛があり、基部がいぼ状の短い毛がある。葉身は暗緑色または帯赤色、線形、長さ10~20㎜×幅0.2~0.3㎜、粗毛があり、上面は幅広の白色の中肋があり、先は細かく尖鋭形。葉舌は長さ0.4~0.5㎜。 総状花序は2~3個つき、わずかに曲がり、長さ2~7㎝、散開する。花序軸は平らで、縁は翼があり、翼の縁はザラつきまたは白色の縁毛があり、節間は長さ1.5~2㎜。小梗(小花柄)は長さ0.4~0.5㎜、外側または両方の縁に毛がある。小穂は線状長円形、長さ3.5~4.5㎜、赤褐色またはほぼ帯紫色。苞穎は紙質、上側の苞穎(upper glume)は広い薄膜質の縁を持ち、背中は丸く、竜骨があり、ザラつき、または先の下部に狭い翼があり、または全体に竜骨と翼があり、縁の近くと竜骨の上に白色の直軟毛があり、先は鋭形。上側の護穎(upper lemma)は倒披針形、長さ約2.5㎜。芒は長さ7~10㎜、膝状に曲がる。上側の内穎(upper palea)は無い。 葯は長さ1.7~2㎜。花期および果期は秋。
2-1 Dimeria falcata var. falcata
中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は镰形觿茅 lian xing xi mao。
総状花序の花序軸は縁がザラつく。上側の苞穎(upper glume)は背中が丸く、先の下部だけに竜骨があり、竜骨は翼が有または無。花期および果期は秋。
2-2 Dimeria falcata Hack. var. taiwaniana (Ohwi) S.L.Chen et G.Y.Sheng ケカリマタガヤ 狭義
中国、台湾、ベトナム原産。中国名は台湾觿茅 tai wan xi mao。
総状花序の花序軸は、縁に白色の縁毛がある。上側の苞穎(upper glume)は基部から先まで明瞭に竜骨があり、竜骨には狭い翼がある。
3 Dimeria ornithopoda Trin. カリマタガヤ 雁又茅、雁又萱 広義
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. yakusimensis Honda ex Masam.
synonym Dimeria parva (Keng et Y.L.Yang) S.L.Chen et G.Y.Sheng
日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、台湾、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ、ベトナム、南西アジア(オマーン)、オーストラリア、太平洋諸島(ポリネシア)原産。中国名は觿茅 xi mao。小川、湿った場所などに、しばしば群生する。
1年草、繊細。稈は非常に細く、直立し、高さ3~40(~60)cm、節は2~17個ある。 葉鞘は竜骨があり、普通、剛毛があり、基部にいぼある毛が散生する。 葉身は若いときは緑色、帯赤色になり、柔らかく、長さ1.5~5㎝×幅0.1~0.25㎝になり、剛毛があり、基部にいぼある毛が散生するかまたは無毛になる。葉舌は長さ0.5~1㎜、不規則に切り裂かれる。 総状花序は2~3(~5)個つき、ほぼ掌状、長さ1~6(~10)㎝、初めは斜上し、その後、散開する。花序軸は3稜形、角(かど)がザラつき、節間は長さ1~3 ㎜。小梗(小花柄)は長さ約0.2㎜、無毛。小穂は線状長円形、長さ1.7~3.2(~4.5)㎜、普通、紫色または赤褐色。苞穎は草質、広い薄膜質の縁を持ち、ザラつき、ときに、竜骨の頂部近くに少数の長い堅い毛があるか、または全体に堅い直軟毛があり、竜骨には普通、翼がなく、たまに、上側の苞穎(upper glume)は狭い翼があり、先は鋭形。上側の護穎(upper lemma)は楕円状披針形、長さ1.6~2㎜。芒は長さ6~11㎜、膝状に曲がる。上側の内穎(upper palea) は無い。葯は長さ0.4~0.6㎜。花期および果期は9~11月。
3-1 Dimeria ornithopoda subsp. ornithopoda カリマタガヤ 雁又茅 狭義
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack.
日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、台湾、インド、マレーシア、フィリピン、オーストラリア原産。中国名は觿茅 xi mao。別名はコカリマタガヤ、オオカリマタガヤ、ツクシカリマタガヤ、ヤクシマカリマタガヤ。小川、湿った場所に生える。
稈は高さ3~40cm。総状花序は2~3個つき、長さ1~6cm。 小穂は長さ1.7~3 mm。下側の苞穎(lower glume)は小穂よりも短く、背がザラつき、紙質、縁は膜質。上側の苞穎(upper glume)は 正中線が丸くまたは先だけに鋭い竜骨がある。花期および果期は10~11月。
次のように日本のものを var. teneraとし、東アジア、オーストラリアなどに分布する基本亜種subsp. ornithopodaと分ける見解もあり、下位分類がなされていたが、現在では分類しない。
3-2 Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. カリマタガヤ
3-2-1 Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. f. microchaeta Hack. ヒメカリマタガヤ 姫雁股茅
カリマタガヤの小型の品種。小形で、小穂が長さ2.5~3㎜、芒が無く、又は短く、頴果は長さ1.5~1.8㎜。花期は9~10月。ヒメカリマタガヤを分けないとする見解もある。
3-2-2 Dimeria ornithopoda Trin. var. tenera (Trin.) Hack. f. subrobusta (Hack.) Ohwi オオカリマタガヤ 大雁又茅
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. subrobusta Hack.
synonym Dimeria ornithopoda Trin. var. plurinodis Keng et Y.L.Yang
synonym Dimeria ornithopoda Trin. subsp. subrobusta (Hack.) S.L.Chen et G.Y.Sheng [flora of China]
日本、中国原産。中国名は具脊觿茅 ju ji xi mao。
稈は高さ60cmまで。総状花序は2~5個つき、長さ2~8.5(~10)㎝。小穂は長さ(2.5~)3~3.5(~4.5)㎜。下側の苞穎(lower glume)は小穂よりわずかに短いか等しい。上側の苞穎(upper glume)は全体に鋭い竜骨があり、竜骨には狭い翼がある。花期および果期は9~10月。
参考
1) Flora of ChinaDimeria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110205
2) Plants of the World Online| KewscienceDimeria
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:17919-1
3) World Flora OnlineDimeria
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000011753;jsessionid=B4E2960761A9219378E7948B6AD13F84
4) World Checklist of Vascular PlantsDimeria
https://wcvp.science.kew.org/
5) GBRINDimeria
http://www.narc.gov.jo/GRINGLOBAL/taxonomylist.aspx?category=species&type=genus&value=Dimeria&id=3719